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1.タイトルについて 日本でこそ「ハムナプトラ」のタイトルになっていますが、シリーズ第一作「ハムナプトラ/失われた砂漠の都(1999)」の原題は「The Mummy」です。この映画はホラー映画の古典「ミイラ再生(1932) 原題はThe Mummy」(Mummyとはミイラのこと。念のために)のリメイクでした。“ハムナプトラ”とは、死者の都と呼ばれ、古代エジプトの墓がある場所のこと。そこへ財宝を掘り返しに行き、魔術師イムホテップのミイラを復活させてしまうのです。 今回の「ハムナプトラ3」は、エジプトから遠く離れ中国の話になっています。じゃあ「ハムナプトラ」はもう全然関係ないじゃねぇか。ごもっとも。それでも、「ハムナプトラ」を使っているのは、そのタイトルでシリーズ化されてしまったためですね。 しかし、「ハムナプトラ3」の英語タイトルは「The Mummy Tomb of the Dragon Emperor」。原題にThe Mummyとついている以上、このシリーズは、舞台がエジプトやハムナプトラとは無関係な場所であっても、ミイラは必ず登場しなければなりません。今回は、古代中国皇帝のミイラが蘇ります。 日本の映画配給会社が「“ハムナプトラ”については、死者=ミイラが眠る古代墓地というような意味で使っています」というのであるなら、まあ許そう。2.ホラー映画から冒険映画へ 原題が同じ「The Mummy」でも、オリジナルはホラー映画、リメイクは冒険映画と、ジャンルが異なりました。タイトルが同じなだけでなく、リメイクといえる訳は、両映画とも古代エジプトの高僧で魔術師のイムホテップが現代に蘇るのも共通するからです。イムホテップは、1と2に登場。3では、ナイトクラブの店名になって名残をとどめました。かろうじて“ハムナプトラ” とのつながりを感じさせます。(こだわりすぎ?) リメイクを冒険映画にしたのは、今更ミイラの登場するホラー映画も芸がないと考えたのでしょうか。死者が蘇るといえば、ゾンビが花盛りですからね。さらに、インディ・ジョーンズの人気にあやかろうとはかっただろうとは、誰でも思い当たること。けれど、ハムナプトラに登場する冒険家(?)のリックは、インディほどのスター性がありません。そのため、ハムナプトラ・シリーズは、リックとエヴリン、エヴリンの兄ジョナサンがレギュラーとなり、ファミリーで活躍します。 リックとエヴリンは第2作「ハムナプトラ2/黄金のピラミッド(2001) 原題はThe Mummy Returns」(ハムナプトラ及びイムホテップ登場)では結婚しており、息子アレックスが加わります。 そして今回の「ハムナプトラ3」も、リック、エヴリン、ジョナサン、アレックスの構成は変わりません。けれど、エヴリン役は、たれ目のレイチェル・ワイズが降板、新たに前歯が大きいマリア・ベロに替わりました。アレックスも、少年から青年に成長したということで、役者が替わっています。これは、見ている方も納得できます。けれど、エヴリンはね、リックとジョナサンが同じ役者なだけに、違和感があります。アカデミー賞をもらうと、娯楽映画には出たくなくなるのでしょうか。3.CG大軍団 ハムナプトラ・シリーズの特徴は、VFXです。今回も、ミイラ大軍団と幽霊大軍団が、派手な戦闘場面を繰り広げます。かつて、レイ・ハリーハウゼンのストップモーションによる骸骨戦士を見たときは、その迫力にぶっ飛びました。けれど、CGのミイラと幽霊はなんだか軽いんですよね。だから、物量作戦で、スクリーンを埋め尽くすミイラや幽霊を出さねばならないのでは。5.日本の怪獣が登場? ヒマラヤで、雪男イエティがリックの一行を助けに現れます。東宝特撮映画にも「獣人雪男(1955)」があります。やはり、主人公を助けます。白い毛並みからすると、ウルトラマンと闘った伝説怪獣ウーに近い形状。もしかして、日本の怪獣マニアが・・・。 さらに、ジェット・リー扮する中国古代の皇帝が、三頭竜に変身します。三頭竜といえば、そう東宝の宇宙怪獣キング・ギドラではありませんか。三頭竜は、キング・ギドラほど巨大感はありませんが、三つの首を交互に上下させながら背中についた大きな羽で飛翔する姿は、じつにキング・ギドラもどき。 やはり「ハムナプトラ」のスタッフには、日本の怪獣マニアがいるのではないでしょうか。 4.そして次回作は 死体をミイラにする習慣があったのは、エジプト、中国。さすがにこのあたりは、史実に忠実に映画をつくっています。そのほかには、南米アンデスと日本!なのです。 ということは、このまま「The Mummy」のシリーズが続くとすると、いずれ日本を舞台にした「ハムナプトラ」がつくられるのか!? 北京オリンピックに沸く2008年が中国ミイラなら、「ハムナプトラ」に日本が登場するのは東京オリンピックを招致したい2016年のことかもしれません。そのころは、リックの息子アレックスのファミリーが主役になっているでしょう。 人気blogランキングに参加中。クリックしてね。ご協力、よろしくお願いします。
August 31, 2008
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アメリカ兵に変装して、ソ連兵の一団(幕僚車や軍用トラック)が米軍基地に侵入してきました。彼らは、とある倉庫の前で車を止めます。幕僚車のトランクから、男が引っ張り出されました。顔は見えません。足元に、フェドーラ帽が転がります。男は帽子を拾い、被りました。姿が見えなくても、影だけで観客はその男が誰だか分かります。そう、インディ・ジョーンズなのです。 大向こうから「待ってました!」の声がかかりそう。インディ・ジョーンズは、まさにみんなのヒーローです。 前作から19年ぶりとなるこの映画ではインディ・ジョーンズも、60歳に手が届こうとする年齢です。劇中「じいさん」と呼ばれたりもしますが、昔と変わらず血気盛んでした。インディ・ジョーンズは、老若男女みんなに好かれるヒーローです。 超常的な能力をもつスーパーヒーローではありませんが、体も心もタフネスで、嫌味がない性格。今も、アクロバチックなアクションだって、敢然と挑みます。天井の梁を渡って、平気で走り抜けます。激走するトラックの屋根だって登っちゃう。危ないからって、躊躇なんかしません。それでもって、本職は大学教授というインテリ博学ぶり。たまにはずっこけて笑いを取るところには、親しみが増します。 監督のスティーヴン・スピルバーグにしてみれば、もともとは007を撮りたかったそうです。それが叶わなかった。だから、インディ・ジョーンズは、ジェームズ・ボンドに匹敵するようなヒーローとして生み出されました。ゴジラを撮りたかった金子修介が、ガメラを撮ったようなものでしょうか(金子氏は、後にゴジラを監督しました)。 ジェームズ・ボンドの酒、女、ギャンブルという退廃的な嗜好、キザな振る舞いに比べて、インディ・ジョーンズはなんと健全、安全で、素朴なヒーローでしょう。ジェームズ・ボンドは、「女にモテモテでかっこいい」という人がいる反面、「女たらしで嫌い」という人もいます。好みが分かれるところでしょう。けれど、インディ・ジョーンズがいやだという人はいないのではないか。やっぱりみんなのヒーローです。日本でいえば、フーテンの寅さんか(寅さんも、だれにでも好かれるという意味で。念のために)。 インディ・ジョーンズの第一作は「レイダース 失われた聖櫃〈アーク〉(1981)」でした。アメリカなど、シリーズ過去3作のうちではこの映画の興行収入が一番多いようです。でも、日本でインディ・ジョーンズが売れたのは、「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説(1984)」から。作品タイトルに“インディ・ジョーンズ”がついてからですね。そのためでしょうか、今DVDのパッケージを見ると、「インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》」となっています。 「レイダース」を見たとき、スピルバーグの映画というより、製作担当のジョージ・ルーカスの色が濃く出ているように感じました。ルーカスの監督した「スター・ウォーズ」と同じように、見せ場の連続だけれども深みがない。だから、見ていて途中まで気持ちがのりませんでした。また、内容的に超常現象が出てきそうで出てこないところも不満でした。超常現象っぽく興味を引きながら、じつは現実的に説明のつくお話でした、というパターンは好まないからです。 しかし、クライマックスで聖櫃の蓋が開き、中から異様な物体がドビャーっと飛び出してくれたので、嬉しかった。悪霊のような物体は、悪漢ナチスドイツの一味を殲滅してしまいました。そして、聖櫃にまた蓋がされ、木箱に入れられて、アメリカのとある倉庫に運び込まれたのです。そこには似たような秘密の木箱が山と積まれていました。このラストにも、満足しました (この倉庫が、今回の映画につながっています) 。さすがスピルバーグと思ったものです。 それだから、第二弾「魔宮の伝説」をとってもとっても期待して見ました。こちらも見せ場の連続、ジェットコースタームービーと呼ばれました。でも、やっぱり深みを感じません。魔術師が、素手で心臓を抜き取るような超常現象にも、もう意外性はありません。それは「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦(1989)」でも同じ印象でした。 「最後の聖戦」は、当時日本初のTHX認定を受けた試写室で見ました。凄い音響に感心していると、戦車が崖から落ちるシーンでは、地響きを体感しました。とってもリアルだなあと思っていたら、その後のニュースで本当の地震があったことを知りました。たまたま、それらが重なったのでした。 「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」は、これまで以上に見せ場の連続でした。核実験場での爆発からの遁走、軍用車での追撃戦、軍隊アリの襲撃、アマゾン大激流滝下りなどなど。観客を楽しませようとあの手この手のまさに大活劇です。 だれもが楽しめる映画で、興行収入も記録を打ち立てようとしています。でも、万人向けにつくった映画は、マニアックな気質には受けないのです。ロズウェル事件やエリア51といった怪しげな言葉も出てきますが、そこに興味深い怪しい世界が展開されるほどのことはありません。ラストの仕掛けも、大がかりなヴィジュアルではありますが、映画の内容からすれば十分に予想できるもので、意外性はありません。これまでのB級映画にありがちなパターンでした。 インディ・ジョーンズは、みんなが好む味付けをされたヒーローです。いわば誰が食べてもおいしいといわれるラーメン。それよりも、評価が割れる中で、この味がいいと語ることができるラーメンを支持するタイプの気質もあるわけです。人気blogランキングに参加中。クリックしてね。ご協力、よろしくお願いします。
July 14, 2008
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125分飽きないで見ることができましたよ。 しかし、例えば、整った顔立ち女性を見て、その方がいい顔をしていると理解できるんだけれど、セクシーとはいえない。この映画もそんな感じでしたね。彫刻のように、目も鼻も口も、ほどよくまとまった顔立ちは、意外に魅力に乏しいものです。それよりは、おっきい目をした人やピッと鼻が高い人、唇がちょっとポテッとしているなど、多少ほかの部分よりアンバランスな顔立ちの方が印象に残るもの。一見マイナスポイントになるものが、プラスに作用しているのですね。 プロレスラーだって、おとなしい顔立ちをしていると目立たないから、こけおどしの覆面を被ります。あるいは、プロレスラーは、ほかのレスラーとの違いを強調するために、自分だけの得意技をもっています。試合の中では、このほかの格闘技ではあり得ない必殺技を、強引なまでに必ず使って、見せ場をつくります。覆面や必殺技を見て、観客は喜ぶのです。 そんな灰汁の強さが、この映画にはありませんでした。 前作「ナショナル・トレジャー(2004)」は、歴史学者のトレジャー・ハンター、ベン・ゲイツ(ビル・ゲイツではなく、ベン・ケーシーでもない……ベン・ケーシーは知らないか?)が伝説の秘宝を探す話です。ところが、秘宝のありかは、なんとアメリカの国宝ともいえる“アメリカ合衆国独立宣言書”の手がかりが記してあるのです。“アメリカ合衆国独立宣言書”を盗み出す、そんなことができるだろうか、あるいはそんなことをしてもいいのか! そのへんが灰汁の強さでしょう。ディスニー映画ですからスマートなものですが。いずれにしろ、超難問の課題解決が、「ナショナル・トレジャー」を他のトレジャー・ハンター映画と一線を画すものにしているのは確かです。 2作目の「ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺の日記」では、前作を踏襲して、バッキンガム宮殿の女王執務室に潜り込む、次いでホワイトハウスの大統領執務室へも侵入して、机を探ってしまいます。さらに、アメリカ大統領の誘拐まで。不可能を可能にしていきます。 それぞれ超難問にはちがいないです。最初はそんなことができるのか、とハラハラドキドキします。けれど、超難問を次々と課題解決しちゃいますからねえ。すると、だんだんハラハラドキドキが静まって、「また、どうにかできるんだろう」ってな気分にもなります。不可能の高い壁が、次第に低く感じられるのです。刺激に慣れてきちゃうんですね、人間は。 セットなんかもすごいですよ。秘宝が隠された広い洞窟の中(ラシュモア山)で、あっちこっちから大量の水が流れ込んでいる様子を再現していますから見事です。けどね、金をかければなんでもできるのです。なにせディズニー資本ですから。 逆にB級は、いかに金も、才能もないところで頑張っているのがわかるから、観客の目を引くように工夫している場面があると、そのけなげさに感動してしまいます。人情ですね。 「ナショナル・トレジャー」は映画を見終わって「ああ、おもしろかった」と完結できる映画といえるでしょう(ちょっとストーリー的には?と思うところもあるけれど)。そういう点ではお薦めの映画です。 でも、つかみどころ、ひっかかりどころがありません。映画を見終わってから、何度も反芻して、楽しみたい人には向いていないかも知れません。人気blogランキングに参加中。クリックしてね。ご協力、よろしくお願いします。
June 22, 2008
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