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2009年10月26日
リュウちゃん、映画「沈まぬ太陽」を観る
(2)
カテゴリ:
日本映画・小説
リュウちゃん、実は山崎豊子さんの大ファン、特に、リュウちゃんが社会人になってすぐに発表された「白い巨塔」から、「華麗なる一族」さらに、戦後の日本の歴史を総括するような一連の大長編小説群、「不毛地帯」、「二つの祖国」、「大地の子」、それと「沈まぬ太陽」、この4部作はいずれも主人公の人物造形に実在のモデルとなった人物が存在するとは云え、他の追随を許さない緻密な考証と、余計な修飾語・美文体を排した、松本清張をも凌ぐリアリティを持つ緻密な文章で、従来の日本の作家には見られない骨太でスケールの大きな作品になっていまして、リュウちゃん、常々感服しておりました。
実のところ、「沈まぬ太陽」の映画化には、リュウちゃんは疑問を持っていました。
疑問(1):このような大長編小説が、映画という1~3時間の枠の中に納まるのかな?昭和34年製作の「人間の条件」のように、何部作かに分けて、全10時間くらいの尺数がないと、単なる物語のダイジェストに終わってしまう可能性があるな。
疑問(2):松本清張の「砂の器」の映画化にあたっても、相当の原作の改変を余儀なくされた。「沈まぬ太陽」は、「砂の器」を遥かに凌ぐ長編、原作のストーリーが映画では、維持されるのかな?
疑問(3):日本映画も、黒澤明、小林正樹、山本薩夫などの巨匠がいなくなり、「沈まぬ太陽」のようなオーソドックスな超大作を撮れる監督がいなくなっているゆうな気がするし、本来テレビドラマの演出家である若松節朗さんには、負担が大き過ぎるのではないかな?、俳優も、かっての山村聡や佐分利信などと違って、かなり小粒になっているし、画面の緊張感を維持出来るのかな?
疑問(4)原作では御巣鷹山のジャンボ墜落の大惨事と、事後の事故処理の話が中心、原作の5分冊のハードカバーの第3冊全部をこれに費している。この墜落の事故現場の映像はどのように創るのかな?最近よく用いられるCG処理で凌ぐのかな?それは止めて欲しいような気がするし、、、
国民空港のロゴ入りジャンボ機はどう見せるのかな?これもCG処理かな?
と、いろいろな事前の疑問・危惧がありましたが、まあ、とりあえず観てみようという気持ちで映画館に足を運びました。
(映画鑑賞後の感想)
本当に久々に見る日本映画のオーソドックスな大作、リュウちゃん、かなり感動しました。上記に挙げました疑問の数々は大半が杞憂に終わりました。
特に、あの長く複雑なストーリーを、3時間半の長尺とは云え、大筋を改変する事なく、奥行きのあるドラマに仕立て上げた脚本に舌を巻きました。エンターテインメントとしても、長丁場を一瞬の緩みもなく、終始緊張感のある画面に釘付けになりました。
主役を演じた渡辺謙良し、仇役の三浦友和、まずまず良し、全体に台詞の語り口が、最近の日本映画の空疎な大作によく見られる、目を剥き、口泡飛ばす調子ではなく、一部を除き、終始静かに進行する点も大変好感が持てました。
また、従来の日本映画の大作と違い、主人公のプライベート生活がよく描かれているのも大変良かったと思います。このような男性中心の映画は、従来は女優陣はほんの添え物的に扱われることが多かったのですが、この映画では、女性がきっちりと描かれていた、恩地の母親役の草笛光子さん、奥さん役の鈴木京香さん、それと、犠牲者の妻を演じた木村多江さんが良かった!彼女は昨年評判になった「ぐるりのこと」以来、リュウちゃんの最もお気に入りの女優さんです。来月公開の「ゼロの焦点」も観に行く予定です。
昔懐かしい俳優さんが多く出ているのも、「懐メロ」リュウちゃんとしては、良かったのです。首相を演じた加藤剛、国見社長の石坂浩二、犠牲者の親族で、四国八十八ヶ所の巡礼に出る宇津井健など、リュウちゃんの世代の人間にとっては、彼らの活躍した時代が青春時代だったものですから、懐かしさひとしおでした。
やっぱり、いい映画はいいですね、何か、老齢の身に活力が沸いてくるような気がします。これからも、作品を選んで、映画館に足を運ぼうと思っているリュウちゃんなのです。
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最終更新日 2009年10月26日 09時50分49秒
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