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国税庁が発表したところによると、民間企業のサラリーマンは7年連続で年収が減っていることがわかったと、29日の東京新聞が報道しています; 民間企業に勤める人が昨年一年間に受け取った一人あたりの平均給与は438万9千円で、前年より5万1千円(1.1%)減り、7年連続でダウンしたことが28日、国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。景気回復の兆しはあるものの、サラリーマンやOLの給与に反映されるのは先になりそうだ。(中略) 一方、源泉徴収された所得税額は、昨年の配偶者特別控除一部廃止により、3339億円増え、8兆7988億円と4年ぶりに増加に転じた。2005年9月29日 東京新聞朝刊 12版 1ページ「民間給与ダウン 税負担アップ」から引用年収が減っているにもかかわらず、特別控除廃止で税率アップでは、ダブルパンチです。その上、せっかくの「景気回復」も「兆し」だけで終わったりしたのでは、目も当てられません。政府の経済政策はしっかりやっていただきたいと思います。
2005年09月30日
天文学研究の分野では、日本を含む東アジアの研究者の間で交流が進んでいると、27日の朝日新聞が報道しています; 研究交流や共同プロジェクト推進などを目的とした「東アジア中核天文台連合」が今月結成された。参加したのは日本の国立天文台と、中国の国家天文台、韓国の天文宇宙科学研究院、台湾の天文及天文物理研究所。 今後、望遠鏡の共同利用や観測装置の開発などを組織的に進める。欧州諸国が協力する「欧州南天文台」をモデルに、「東アジア天文台」の建設も目標とする。 海部宣男・国立天文台長は「東アジアを北米や欧州に並ぶ天文学の研究拠点に育てたい」と話している。2005年9月27日 朝日新聞夕刊 2版9ページ「東アジアの天文台連携-研究交流を推進」から引用このように、経済や学問の分野では東アジアの連携が進んでいくのに、外交面だけ行き詰まっているのは大変残念なことで、政府の責任ある対応を期待したいと思います。
2005年09月29日
「南京大虐殺-歴史改竄派の敗北」という本が、教育史料出版会から刊行されたのは2003年のことですが、私はつい最近読みました。「はじめに」の部分には現代社会への警鐘と思えるような記述があったので、私は日記に書き留めることにしました。 戦後の日本人の多くにとっては、自らの被害体験やまわりの日本人の不幸な印象が強烈であったこともあり、アジア諸国民への加害行為についてはほとんど省みられることがなかった。そういった加害行為については、私的な場での自慢話として語られることはあっても、公の場で語られることはほとんどなかったのである。このような日本社会に対して問題提起したのが、1971年に『朝日新聞』紙上で連載された「中国の旅」(本多勝一)であった。このルポでは、南京大虐殺をはじめとする旧日本軍による中国各地での残虐行為について、中国人の被害・目撃者の証言に焦点を当て、その実態を明らかにした。 この連載は大きな反響をもたらした。その多くは「よくやってくれた」といった支持であったが、なかには猛烈に反発する人々もいた。そしてこれ以降、南京大虐殺をはじめとする旧日本軍による蛮行を「幻だ」「虚構だ」とする言説が、(株)文芸春秋などが発行する雑誌に掲載され、単行本も出版されるようになっていった。 しかし、80年代になり、南京大虐殺の事実を証明する旧軍関係者の記録や証言がつぎつぎと発掘され、研究者らも実態調査を行うようになり、南京大虐殺の歴史事実がさらに明らかになっていった。ここに至って、南京大虐殺を「幻だ」「虚構だ」とする主張が成り立たなくなってきた。そこで南京大虐殺「否定派」の多くは、今度は個々の証言の信用性を貶めるなどして、「日本軍の不法行為による犠牲者は極少数だった」「戦闘行為だった」などとして、南京大虐殺を矮小化する戦術に方向転換したのである。 これら「否定派」の言説はどれも非論理かつ低劣なのだが、書店の棚での占有率や雑誌の掲載頻度では、先に上げた二大「戦犯」(正しい発言を控えている学者・知識人とジャーナリズムのこと)の”貢献”もあり、この「否定派」の方が有利な状態にあるようだ。それ故、これら「否定派」の言説を真に受けた人々は、南京大虐殺を「なかったらしい」「中国のでっち上げらしい」などと思い込み、ある程度の良識を持った人々でも、「事実かどうか分からない」「未決着の問題」と考え、泥仕合にはかかわり合いたくないと思うようになっていった。「ウソも千回言えば本当になる」。事実や論理よりも、ウソでも何でもたくさん言った方が勝ち。こんな歴史改竄派の望む社会に、いま日本はなりかねないところまで来ている。本多勝一、渡辺春己、星徹共著「南京大虐殺-歴史改竄派の敗北」4ページから引用この本は、松村俊夫著「『南京虐殺』への大疑問」が、南京事件の奇跡的生存者である季秀英氏の名誉を毀損したという判決がでた裁判のいきさつと結果を記録し論評した本です。読むと大変勉強になります。松村氏を訴えた季秀英氏は、名誉毀損の損害賠償を1200万円要求したのですが、判決では「その本はたったの2000部しか売れなかったし、素人が読んでも内容がデタラメであることはすぐにわかるので、名誉毀損と言っても賠償額は120万円で十分」となっています。こういう禄でもない本(というのは、松村俊夫著「『南京虐殺』への大疑問」のことですが)を書いたり出版したりする人たちはいったい何を考えているのでしょうか。
2005年09月28日
戦争というと、天皇が国民に戦争の終結をラジオで放送した8月15日を思い起こしますが、今日の東京新聞の投書には、あの戦争がなんだったのかを考えるために、戦争を仕掛けた日も認識すべきであるとの意見が掲載されています; 「戦後60年」の特集記事は8月15日をピークにしてほぼ終わったようだ。だが、9月に入っても忘れてほしくない日がある。終戦からさかのぼることさらに14年前の1931年9月18日のこと。「満州事変が始まった日」とされているがその内実は同日の深夜、現在の審陽郊外の柳条湖付近で満鉄線の線路を日本の旧関東軍が自分の手で爆破した。 爆発音は審陽の街に響き渡ったという。関東軍は直ちに「中国軍に爆破された」と口実をもうけて中国軍の兵営に砲弾を撃ち込んで攻撃を開始した。1945年8月15日の終戦を迎えるまでの長い長い戦争の始まりであった。その真実は戦争が終わるまで国民には知らされなかった。 謀略であの戦争が開始され、国民はだまされたまま300万人もの犠牲者を出し、国民は奈落の底に突き落とされた。戦争は常に相手を「悪」にしたてて「正義」のため開始される。だまされてはいけない。2005年9月27日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「発言-戦争仕掛けた日も記憶して」から引用この投書が指摘するように、あの戦争は領土拡大の邪な野心と謀略によって始められた戦争ですから、動員された国民も「国を守るために戦った」というよりは、「騙されて侵略戦争に動員された」者であると考えるのが真相に近いと思います。
2005年09月27日
「海行かば水漬く屍(かばね)、山行かば草生す屍、・・・」という歌があって、丈夫(ますらお)の覚悟を歌ったものだそうで、戦時中はこれに荘重なメロディーをつけて歌ったものらしく、今でも時折酔ってこの歌を歌いだすお年寄りを見かけることがあります。こんな歌が持てはやされるような時代は二度と来てほしくないと私は思いますが、今日の東京新聞「本音のコラム」には、関西学院大学教授の村尾信尚氏が、私とは異なる観点から次のようなエッセーを書いています; 「村尾さんは『海行かば』を知ってる?」「軍歌ですか」と私が答えると、「『海行かば』は、私にとって軍歌じゃない。反戦の歌に聞こえてしまう。あの歌を聞くと、体が締めつけられて不思議な感情に襲われる。戦争を知らないあなたには分からないと思うけど」。十五夜の晩、鎌倉での月見の会でお会いした年配のSさんが語る。続けて、こんな体験も。「空襲警報で身を伏せていると、列車が近づくような振動音とともにB29が迫ってくる。そして数メートル先に焼夷弾が落下。当時軍国少年だった私だけど、B29が去っていくときのあの安堵感は今でも忘れられない」。きれいな月とともに、『海行かば』のメロディーが妙に心に残った夜だった。 戦争を知らない世代が今戦争を語り始めている。若いスマートな国会議員が、行け行けどんどん、のノリでイラク戦争を語り、憲法9条を語るとき、その言葉に首をかしげる年配者は少ない。Sさんは言う。「戦争を頭で考えたらいけない。体で感じないとあの恐ろしさは分からない」 次の総選挙では憲法9条が争点の一つになるだろう。戦争について語るなら、戦争を体験した人々の声をじっくり聞こう。空襲で逃げまどう人々の叫び。夫や息子を戦地に送る家族の思い。そして、終戦の日に思ったこと、感じたこと。戦争はバーチャルなゲームではないのだから。2005年9月26日 東京新聞朝刊 11版S 29ページ「本音のコラム-海行かば」から引用村尾氏の平和志向は理解できますが、私は次の総選挙で与党や民主党が憲法改正を民意に問うかどうか、はなはだ怪しいと思います。今もうすでに、国民投票法案の審議が準備されているし、民意を封じ込んで国会主導で、今回の選挙同様、国民の目を別の一点に集中させて、多数の議席を獲得したらそれをもって民意を確認できたとするやり方を行う危険性が高いと思います。平和憲法を守るには、選挙の投票以外の手段も考えなければならないと思いました。
2005年09月26日
レギュラーのガソリンが1リッター、130円。軽油も1リッター100円超となり、テレビでもクリーニング業界や運輸業界にしわよせが来ているという報道がありました。しかし、わが国の石油需給は、原油や石油製品の輸入量も、原油の処理量も減ってはおらず、在庫量も十分で品不足でもない。では、何故値上げかというと、これは国際市場の原油価格の高騰を理由に不安をあおって価格をつり上げているだけなのだ、と「しんぶん赤旗」日曜版のコラム「経済 これって何?」が解説しています。国際市場で原油価格が高騰している原因は、米国の製油所がハリケーン被害で操業を停止していることだけではなく、もっと根本的な理由があると説いています; 世界の原油供給は、1980年代後半からの価格低迷で、OPEC(石油輸出国機構)・非OPECを問わず油田の新規開発を控えてきたため、需給はほぼバランスしているといわれています。 一方、石油製品の供給は、石油企業が経営効率化のなかで設備投資を抑えており、精製能力は不足気味。アメリカではここ30年間、製油所の新設はなく、古い精製設備の稼働率を上げて需要に対応してきました。 最近の原油および石油製品の需要は、中国やインドの経済発展やアメリカの需要増加などを背景におう盛になっています。アメリカの石油需要は2040万バレル/日ですが、精製能力は1600万バレル/日しかなく、不足分は輸入に頼らざるを得ません。自動車社会のアメリカでは需要の中心はガソリンですが、夏の需要期にハリケーンの被害が重なって、通常であれば1ドル/ガロン程度のガソリンが、3ドルを超える史上最高になりました。つまり、原油価格の高騰は、原油の開発部門の投資不足、精製部門における投資不足による柔軟性を欠いた需給構造に、自然災害が加わり、その混乱に付け込んで投機資金が動いたことが原因です。 しかし、石油価格高騰の本当の原因は、設備投資を抑え、石油製品の品薄状態を作り出し、国民生活の充実や経済の安定よりも、自らの利益のみを追及する石油会社の企業行動にあることは明らかです。 今回の原油値上がりでも、石油会社はどこでも史上最高といわれる利益を上げています。日本の石油会社も例外ではありません。コスモ石油、新日石など、日本の大手石油会社の利益は前年同期の2倍から3倍に上っています。 原油価格が高騰しているからやむを得ないなどとはいえません。石油会社のボロもうけは、ユーザー・消費者へ還元させるとともに、便乗値上げは許さない対策が必要です。2005年9月25日 「しんぶん赤旗」日曜版 17ページ「経済これって何? - 石油製品の高騰」から引用つまり、アメリカで原油価格が高騰しているのは、アメリカの石油会社が利益の追求にのみ走って、開発や製油所の新設を怠り、石油製品の安定供給という社会的責任を忘れていること、それによる混乱に投機資本が介入して価格をつり上げていることが原因であるというわけです。しかるに、日本ではことさらガソリンが不足しているわけでもないのに、アメリカで値上がりしてるからという理由だけで、値上げをし、石油会社だけが前年同期の3倍も儲かったとは何事でしょうか。その分、庶民の暮らしを圧迫しているわけですから、物の値段は需給バランスで決まるという、資本主義経済の基本に立ち返って問題を解決してほしいと思います。
2005年09月25日
総選挙の運動期間中に共産党のビラを配ったという理由で逮捕された人について、検察が裁判所に勾留請求したが、東京地裁はこれを却下し、逮捕された人は即日釈放された、と昨日発売の「週刊金曜日」が報道しています; 総選挙最終盤の10日、東京・世田谷区で『しんぶん赤旗』号外を警視庁職員官舎で配布していたとして男性が現行犯逮捕された事件で、東京地検は13日に勾留請求していたが、東京地裁は却下。さらに検察から出されていた準抗告も退けて男性は即日釈放された。 勾留請求を地裁が却下するのはきわめて珍しく、昨年は15万件の請求に対し、わずか749件(約0・5%)。あえて身柄を拘束した検察・公安の捜査手法そのものが司法によって否定されたといえる。 男性は厚生労働省の課長補佐の地位にあるため、住居侵入罪の他に国家公務員法違反の罪でも送検されている。 他にも共産党のビラ配布では住居侵入で裁判継続中の東京・葛飾の事件や国家公務員法違反で争われている社会保険庁職員の事件もある。 事件を担当する小林容子弁護士は「国家公務員法102条は、公務員の表現の自由を制約するもので、憲法違反であるとの批判が強く、人事院も限定的に解釈してきました。それにもかかわらず同法違反を問おうとする検察側の態度は、憲法を蹂躙するものといわざるをえません。不起訴を強く要求していきます」と語っている。「週刊金曜日」2005年9月23日号4ページ「『赤旗』配布の男性逮捕 『表現の自由を制約』」から引用戦前のように、共産党が暴力革命を目指し政府が治安維持法を振りかざしていた時代ならいざ知らず、現代は思想・信条の自由、表現の自由が憲法で保証されている時代なのですから、東京地裁の判断は的確であったと思います。
2005年09月24日
森喜朗前首相は在任当時、いろいろ批判の多い人でしたが、この度の衆院選で当選した新人議員に対して苦言を呈していると、21日の東京新聞が紹介しています; 自民党の森喜朗前首相は20日、都内で開かれた森派議員のパーティーであいさつし「歳費がこれだけもらえてよかったとか、宿舎がこんなに立派でよかったとか、こんな愚かな議員がいっぱいいる。名前だけ入れといて(選挙運動をせず)当選した人もいる。内心じくじたる思いだ」と述べ、一部の新人議員の言動に不快感を示した。 森氏は「こういうばかなことをやっていると、国民からしっぺ返しがくるような気がしてならない」と指摘した。2005年9月21日 東京新聞朝刊 12版 2ページ「『愚かな議員いっぱい』森氏、一部新人に不快感」から引用「国民からしっぺ返し」が来るかも、という森氏の「危機感」はもっともなことです。先日のテレビでも、新人議員に初登院の感想や抱負を聞くインタビューをしておりましたが、どの新人も「夫に励まされて・・・」「父が元気づけてくれた・・・」「アニキがこうだから・・・」などと家族とのエピソードを語るばかりで、有権者の付託を負っているという自覚があるのかないのか、こういう「精神年齢」の若い人に国政を任せていいのかなぁと一抹の不安を覚えました。
2005年09月23日
わが国経済界を代表する人たちが中国を訪問して、省エネルギーや環境問題につてい話し合う場を設けることを提案したと、今日の東京新聞が報道しています。 日中経済協会訪中代表団の千速晃団長は21日、北京市内のホテルで開かれた中国・国家発展改革委員会との会合で、「省エネルギー・環境を中心テーマにしたフォーラムを開催してはどうか」と述べ、日中環境フォーラムの開催を提案した。 同委員会の朱之琴副主任は、愛・地球博(愛知万博)を視察したことについてふれ「環境や省エネでは日本に学ぶ余地は大きい」と述べ、前向きな姿勢を示した。中国にとっては持続的な発展を実現するために、限られた資源を有効に利用し、環境にも配慮するのが最重要課題となっている。 26日に北京市内で開催される予定の代表団最高顧問の奥田碩日本経団連会長と温家宝首相の会談でも、奥田会長がフォーラム開催を重ねて提案するとみられる。2005年9月22日 東京新聞朝刊 12版9ページ「環境フォーラム訪中団長が提案」から引用このように、日中間の経済関係は良好で双方の経済発展に互いを必要とする関係にあるわけですから、政府には外交上の問題を速やかに克服して両国の信頼関係を構築してもらいたいと思います。
2005年09月22日
今日は仕事で出雲へ出かけたので、地元の「山陰中央新報」買って読んで見ました。文化面には宮台真司氏のインタビュー記事があって、今回の衆院選について次のようにコメントを述べています;-自民党圧勝の社会的背景をどうみるか。「都市無党派層を小泉自民党が根こそぎ持っていった。1990年代から社会的流動性が高まり、フリーターや契約社員などいわゆる社会的弱者が増えた。既に不安になっている弱者の不安をあおるのは容易で、こうした層が増大する初期には、質の悪いポピュリズムが現れる。自分を幸せにしてくれるかを検証しないまま、すっきりさせてくれる強者に寄り添う」「だから『断固』『決断』と言う小泉純一郎首相が支持されるのだが、強者が実は自分たちを幸せにしないという逆説に気付いていない。しかし、その逆説は昔から明らかだったことで、有権者に対して嘆いても始まらない」-民主党の敗因は。「小泉首相のポピュリズムに、政策で真っ向勝負するのは100%の誤りだった。民主党にはカウンター・ポピュリズム、分かりやすく言えばイメージ選挙が不十分だった。また、自民党は無党派層の増大に対応し、『農村型保守』から『都市型保守』へのシフトを成し遂げたが、民主党はまだ旧来の労働組合型の動員に寄り掛かっている」-民主党の今後の戦略はどうあるべきか。「『都市型リベラル』へシフトし、その支持母体をつくるしかない。不安をベースに生きるより、内発的、意欲的に生きるのがいいし、不信で右往左往するより信頼をベースにする方が格好よくてタフだと示すこと。流動性におたおたする『ヘタレ(だめな)保守』とは逆に向かおうとする若者に棹(さお)さしていくことだ」2005年9月21日 山陰中央新報 11ページ「解剖・小泉政治-社会学者・宮台真司氏に聞く」から引用さすがに社会学者のコメントは説明が分かりやすい。今回の自民党勝利は、人々が不安になり始めた時期によくある「質の悪いポピュリズム」であり、やがて人々は「強者が実は自分たちを幸せにしない」という逆説に気付くはずで、このようなカラクリを踏まえた上で、民主党には次回の選挙をしっかり戦ってほしいと思います。
2005年09月21日
今回の衆院選の結果について、新聞にはきょうも、結果をどう捉えるかという投書が掲載されています。きょうの投書は次のように述べています; いつの時代も、そしてどこの国もそうなのだろうが、国民すなわち一般大衆は物事をその場の雰囲気で考え、単純明快な答えを探して結論に結びつけてしまうらしい。 今度の総選挙でも、自民党はこの習性を巧みに利用し、さらに小選挙区という選挙制度も味方して歴史的大勝利を実現した。この自民党を選んだ人も含めて泣きをみるのは、国民であるということを私は言いたい。 自民・公明はこの後4年間、圧倒的多数で衆議院を支配し、まずやることは消費税の大増税だろう。国の借金が1秒ごとに、大きな金額になっている。そして憲法9条の改正、イラク自衛隊派遣期間の延長、隣国が最も嫌がっている首相の靖国参拝の継続など。 特に大増税は中小企業の経営やサラリーマンの生活を直撃するだろう。マスコミや評論家は「郵政以外は白紙委任していない」と言っているが、これは希望的観測であり現実は「後の祭り」である。なぜなら今度増税する時は、衆議院を解散して増税を争点にして選挙をやるのか。そのようなことは不可能であろう。 また仮に4年後の総選挙で自民が敗北し、現在の野党連合が政権を握ったにしても、この4年間に自・公が敷いたレールの延長線上を走らねばならない。政権交代したら180度政策が変わるというようなことは、現実的にありえないことだ。 そのような意味で今度の選挙は、日本国民にとって分岐点のような大切な選挙であった。自民党の”仕掛けとマジック”に浮かれて深い考えもなく投票してしまったツケは大きく、そして繰り返すが最後に泣くのは国民自身である。だが、この道を選択してしまった以上は、増税にも耐えて強く生き抜いていかねばならない。それがまた国民の務めでもあるからだ。2005年9月20日 東京新聞朝刊 11版 5ページ コラム「ミラー-増税覚悟の自公連立政権、最後に泣くのは国民自身」から引用このような意見を、選挙の前に、「もっと大きな声で」言ってほしかったと思います。
2005年09月20日
自民党圧勝の衆院選について、「しんぶん赤旗」日曜版のコラムに、元立命館大学教授の松田浩氏が次のような文章を寄せています; 選挙結果がでて、メディアの中にも「ここまで地滑り的に自民が圧勝するとは・・・」と、ある種の戸惑いがみてとれる。だが、最大の責任は当のメディアにあるのではないか。 「小泉劇場」などと劇場型政治の手法を揶揄してみせながら、「自民対民主」の構図のもとで郵政民営化がすべてであるかのような論点づくりに手を貸し、「”刺客”対自民郵政民営化反対派」の攻防をクローズアップするなど、その劇場効果最大限盛り上げたのは、ほかならぬメディア自身だからである。 その結果、重大争点であるんはずの改憲是非の論議など視野の外におかれてしまった。 「政権選択」の選挙と位置づけて、「自民対民主」の二者択一に有権者の関心を絞り、そのうえで特定候補をめぐる攻防を興味本位に報じる-。 そうすれば、それだけで憲法改悪をはじめイラク派兵延長や増税の是非、アジア諸国との関係悪化、膨大な財政赤字をつくり出した政府の責任など、この選挙で問われるべき真の争点はかすんでしまう。 本質的に自民、民主両党の間に政策上の違いがない分だけ、「改革をストップさせない!」などと髪を振り乱して絶叫する小泉パフォーマンスが有権者の目に「頼もしく」映ってしまうのである。 ここでは有権者とともに政治を検証し、生活の現実に照らしていまどのような政治選択が求められているのかを明らかにするメディア本来の役割は、最初から放棄されていた。 時代閉そくのもとで現状打破を望む人々の素朴な願望が権力の手で巧みにファシズムに組織されていった戦前の苦い教訓が思い起こされる。過ちを繰り返さないためにも選挙報道の厳しい自己検証が、いま必要ではないか。2005年9月18日 「しんぶん赤旗」日曜版 35ページ コラム「メディアを読む-『圧勝』に戸惑うなら」から引用総選挙では、最長で今後4年間の政治を任せることになるのですから、郵政一本に絞った自民党のやり方は、財政や外交に大きな問題があることを国民に意識させないようにする姑息な手段であったと思います。国民が、その姑息な手段にまんまと引っかかってしまった原因の一端は、自覚の足りないメディアにあるのではないかと、こう述べているわけで、私もそう思います。
2005年09月19日
新たに民主党代表に選出された前原誠司氏は、代表に選出されたその場の挨拶で「しがらみを断ち切って前進していきたい」というような挨拶をしているのを、私はテレビで見ました。今日の朝日新聞には、次のような記事が掲載されました; 前原氏は投票前の演説で、総選挙惨敗の理由の一つは「労組」だと明言した。だが、元全逓委員長の伊藤基隆参院議員は代表選後、「挙党態勢を組めないようならこの党はだめだ」と述べた。労組・連合をはじめとする支援団体の「しがらみ」を断ち切り、政策と党運営で「前原カラー」を貫けるかが課題となる。2005年9月18日 朝日新聞朝刊 14版2ページ「労組との距離、正念場も」から引用新しい代表を選出して生まれ変わった民主党が、今回の総選挙は「労組」に足を引っ張られて負けたと、それが公式の見解であるとすれば、私たちは失望を禁じ得ません。そうであれば、労働組合も生き残る道を考えなければ成りません。 一方で「しがらみのない立場で変革を」と訴える前原氏に不安の声も。民主を支援する県内の労組関係者は「労組は暗黒の時代に突入した。今までは無条件に民主と一心同体だったが、今後は官民の労組でスタンスが違ってくる。労組の味方になってくるのはどの政党か、真剣な議論が始まる」と話した。同紙35ページ「若さ歓迎、労組は不安も」から引用別にいまに始まった話ではありませんが、私たちは常に自分たちの声を代弁してくれるのはどの候補なのか、「しがらみ」を断ち切って選択する時代になったことを知るべきだと思いました。
2005年09月18日
民主党の衆議院議員である西村真悟が、15日に開かれた同党の両院議員総会で小泉首相を批判して「あれは狙撃してもいい男なんです」と政治テロを容認するかのような発言をしたことについて、今日の朝日新聞は社説で次のように論評しています; 日本では近年、政治の場での言葉がすさんでいる。強い表現、刺激的な言い回しを使ううちに、言葉の重さを忘れてはいないだろうか。 2年前、日朝交渉を担当する外務省幹部の自宅で爆発物を模した不審物が見つかった。その際に、石原慎太郎東京都知事は「爆弾を仕掛けられて当たり前」と述べた。私たちはこの発言を「テロ容認そのものだ」と批判した。 個性的な政治家が口を滑らせただけのことだ。いちいち目くじらを立てるのは大人げない。そんな見方もあるだろう。しかし、テロを認めるような言動は、どんなささいなものであれ、見過ごしてはならないと考える。 武力や暴力による言論の否定は、民主主義社会を破壊することだ。乱暴な言葉に慣れっこになり、そうした危うさへの感度が鈍ることを恐れる。 それにしても解せないのは、西村氏が民主党にいることだ。小沢一郎氏の率いた旧自由党に属し、後に合流した経緯はわかる。しかし、民主党はアジア重視の外交を唱え、岡田代表は首相の靖国神社参拝に反対している。 一方の西村氏は靖国参拝に賛成したうえ、日本の過去の戦争は自存自衛のためであり、侵略戦争ではないと断言する。 97年には中国と領有権を争っている東シナ海の尖閣諸島に上陸した。このときは石原氏が船で同行している。99年には雑誌の対談のなかで日本の核武装の検討を唱え、暴政政務次官を辞任した前歴もある。あまりにも考えが違いすぎる。 それだけにとどまらない。03年に「建国義勇軍」や「国賊征伐隊」を名乗って広島県教組などに銃弾を撃ち込んだ刀剣愛好家団体の最高顧問と務めたことがある。その団体の会長が役員である会社から政治献金を受け取っていた。 「狙撃してもいい」という西村氏の発言に、その場で何人かの民主党の議員が声をあげて撤回を求めた。適切な判断だったと思う。しかし、解党的出直しを言うなら、こうした資質の政治家を抱え続けることの当否についても、真剣に考える必要がある。2005年9月17日 朝日新聞朝刊 14版3ページ「社説-口に出すおぞましさ」から引用この社説は、西村議員のうっかり発言の揚げ足を取るのではなく、日頃の同氏の言動をも考慮した批判で、私も支持します。民主党がほんとうに政権政党をめざすなら、こういう低劣な議員は処分した方がいいと思います。
2005年09月17日
自民党の圧勝に終わった衆院選の結果について、今日の東京新聞は特報面で新聞各紙の選挙戦報道や主張がどのようなものだったかを分析し、識者の感想も掲載しています。その中のひとつは、次のように述べています; 作家の佐野眞一氏は衆院選報道を「これまでの小泉政権の失点をえぐり出す記事どころか、”人生いろいろ発言”などの失言語録さえ、ろくに見かけなかった。メディアの健忘症に驚いた」と話す。小泉政権は個人情報保護法を成立させ、一度廃案になった人権擁護法案の再提出も射程に入れるなど、メディア規制が着々と進む。「政権批判をしない、官報まがいのメディアの犯罪は、ものすごくでかい」とする佐野氏は「皮肉で言うけれど、テレビも新聞も”民営化”した方がいいんじゃないのか」と言い切る。 上智大学の田島泰彦教授(メディア法)は「メディア内部からも、自民党が勝ちすぎだという意見が出てきたが、誰が勝たせたと思っているのか。それはメディアでしょう。特にテレビは小泉首相の枠に乗ってしまった」と指摘し、こう苦言を呈する。 「ここまで圧倒的多数になってしまうと、野党も自民党をチェックできず、官僚も自民党に逆らえない。チェック機関はメディアしか残っていないことを認識してもらいたい」2005年9月16日 東京新聞朝刊 11版S 25ページ「こちら特報部-新聞『観客』の心つかめず」から引用ここでは両氏ともメディアの政権党批判が不十分だったことが、自民党の圧倒的勝利をもたらしたように主張しているわけで、私も一部賛成です。しかし、二大政党の得票率が拮抗していても、ごくわずかリードした党が圧倒的に議席を占めることができるのが、小選挙区制のなせる技ですから、今回の結果について不満を唱えるなら、10年前の「小選挙区制」の選択に問題があったことを想起するべきではないか、と思いました。
2005年09月16日
60年前の敗戦時に日本軍が中国大陸に遺棄した毒ガス兵器などで負傷した中国人が日本政府を訴えている裁判で、当時、日本軍の軍属として遺棄作業を行った方が、今回の裁判で証言したと、今日の東京新聞が報道しています。記事は次のように述べています; 旧日本軍が中国に残した毒ガス兵器などで負傷した中国人ら13人が、国に計2億円の賠償を求めた訴訟の控訴審弁論が14日、東京高裁であった。毒ガス弾を遺棄したという元軍属の男性(77歳)が原告側証人として出廷し「捨てた毒ガス弾は、私だけで20発ぐらい、部隊全体では200発を超えると思う」と述べた。 証言によると、男性は16歳で旧日本軍の軍属となり、黒龍江省ハルビン市郊外の弾薬基地に配属された。遺棄が行われたのは、終戦直前の1945年夏。兵士や軍属計100人ほどが4日間にわたり作業を続けたという。男性は「上官からは『深く穴を掘って埋めろ』と命じられた。だが、私の班が担当した場所は地盤が固かったので井戸に捨てた」と証言した。閉廷後、記者会見した男性は「ほっとした」と語った。 実際に毒ガス弾を捨てたとする旧日本軍関係者の法廷証言は、同種訴訟で昨年11月、元兵士が東京高裁で証言したのに続き2件目。2005年9月15日 東京新聞朝刊 12版 30ページ「『部隊で200発超遺棄』」から引用60年前に敗戦して敵地で武装解除された旧日本軍の中には、毒ガス兵器も隠さず連合国側に引き渡した部隊もあるにはあったらしいが、ごく一部であり、大部分は秘密裏に上記証言のように遺棄されました。そうしなければならなかたった理由は、大本営から毒ガス兵器は何があっても敵に引き渡してはならないとの命令があったためで、命令に忠実だった部隊が遺棄を行ったものです。
2005年09月15日
戦時中に勤労動員で徴用された韓国人のことが、先月末の新聞に報道されましたが、それに関連して83歳の読者がきょうの東京新聞に投書を寄せています; 8月29日付朝刊社会面の「補償を求める韓国人元徴用工」の記事を読んだ。日本人として申し訳ないと思うとともに、恥ずかしさを感じた。親から相続した日鉄の株を小額だが所有しているので、なおさらだ。 日本の法律では、親の借金は子が受け継ぐ。新と旧の日鉄は、親子関係に等しいのではないだろうか。「日韓協定」「時候」「請求権消滅」などと、それとして理解するが、呂氏の納得できない気持ちも痛切に分かる。 元徴用工の呂さんは、日本にひどい目に遭わされたのに、その日本にある懐かしさ持っていてくれているという。涙が出る思いだ。 同じような被害者はほかにもいて、呂氏の補償要求に応じたら切りがなく後につづくのかもしれない。でも知った以上、読み流しにしてしまうのは、同世代を生きて迷惑をかけた側の人間としては、恥の上塗りになる。 日本は理不尽な人間ばかりの国じゃないことを伝えたい。過去の過ちを清算しようとする至誠を持たなくては、この国が受けた被害も、世界に分かってもらうことはできないだろう。 国や企業ができないなら、民がやるしかない。だからといって、自分に何ができるのか? 最高裁とか新日鉄の巨大な壁に立ち向かうには、体力も能力もない。それでもできることはないのか? 呂氏の訴えを読まれて、私と同じように感じられた方が大勢いれば、何かできそうに思う。その中に日鉄の社員が一人でもいればいいけど・・・。 世の中そんな甘いもんじゃない、とは分かっているけど、これを書かずにはいられなかった。2005年9月14日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「発言-韓国人徴用の過去に反省を」より引用戦時中を知らない私たちは、そんなことは両国政府が話し合って解決したはずだよ、で考えることを止めてしまいがちですが、かたづかないでまだ悩んでいる人もいることを重く受け止めるべきだと思います。
2005年09月14日
今回の衆院選で自民党が歴史的勝利を納めたことについて、ノンフィクション作家の山下柚実氏はきょうの東京新聞「本音のコラム」で、次のような感想を述べています; ふたを開けてみれば、びっくりの結果。これほどまで自民党が大勝するとは! どの政党も、どの候補者も現状をよしとせず、「変化と改革」を訴えていたのに。いったいなぜ、小泉自民党の「改革」だけが圧倒的な力を持ったのか?たしかに小泉自民党だけが、私の目には、他党と違う姿に映った。解散が決まった時点から、「目に見えて」、変化とは何かを具体的にアピールしていた。 郵政法案反対の議員を党から「追い出す」。旧態依然とした男の候補者に、「刺客と呼ばれた女」をぶつける。Tシャツ姿のホリエモンを候補者に推す。タクタイ背広姿の他党代表を尻目に、淡い色合いやストライプのカッターシャツを変幻自在に着こなす・・・。 主張の内容やマニフェストはともかく、小泉自民党は「改革」や「変化」という抽象的な概念を、中身を問題にしないイメージ商品に仕立てあげたのです。男と女、年配者と若者、ネクタイとクールビズ、見比べればはっきりと違いがわかる「改革」の包装紙。これほど若者や庶民にアピールする表現方法は、他に無い。 「五感」という私のテーマから見るなら、自民党の大勝利は「視覚」効果を最大限活用した結果でしょう。これからは、私たちが小泉改革の中身に「監視の目」を光らせる番です。2005年9月13日 東京新聞朝刊 11版 29ページ「本音のコラム-『視覚』の勝利」から引用開いた口がふさがらないとはこのことです。今回の選挙が、民度の低い有権者による衆愚政治であったことを見事に表現しています。普通、議員を選ぶにはそれぞれの候補者の思想、政策、方針をよく吟味して選択するものではないでしょうか。それを、> 主張の内容やマニフェストはともかく、と脇に置いて有権者の目からそらせて、背広なのかクールビズなのか、年寄りなのか若者なのか、視覚すなわち「見た目」で候補者を選ぶ。これを衆愚政治と言わずになんと言うのでしょうか。
2005年09月13日
自民党優勢は一週間前の世論調査でわかっていたものの、議席率6割を超える圧倒的勝利になると予測できた人はいなかったらしく、今日の東京新聞コラム「筆洗」は次のように書いています。小泉改革が圧倒的に信任された。国民がこれほどまでの支持を与えるとは、予想外で、不明を恥じるしかないが、郵政民営化一本に絞った首相の作戦勝ちというだけでは説明がつかない。この国の政治風土を一変させる何かが起きたのだろうか2005年9月12日 東京新聞朝刊 12版 1ページ「筆洗」から引用このように書いた筆者の認識は、私は遅れていると思います。「この国の政治風土を一変させる何かが起きた」のは、今回の選挙が初めてではなく、青島幸雄や横山ノック、石原慎太郎といった人物が自治体首長に選出されたときから始まっていたのではないかと考えるからです。戦後一貫して続いた長期保守政権に飽き飽きした有権者は、多分、政治に失望するか興味を失い、候補者の政策を検討する熱意を失った結果、選挙はただの人気投票になってしまいました。その候補者が提案する政策に賛成したら、自分たちの将来がどうなるか深く考えることなく、単に、歯切れのいい発言をするという「うわべ」だけで候補者を選び投票をしている。「筆洗」は次のようにも書いています;今回、小泉支持に向かった都市の無党派層は、首相に郵政以外にも現状を打破する「毅然(きぜん)とした強い指導者」を求めていくのだろうか。そこに独裁政治の危険をみるのは考え過ぎか。上記と同じ欄から引用これは、私は「考え過ぎ」ではないと思います。このような「警鐘」を打ち鳴らすことこそ、ジャーナリズムの使命だと思います。
2005年09月12日
今年になって頻繁にマスコミに登場する東条元首相の孫の発言について、「週刊金曜日」の読者の投書で次のような意見が掲載されました; 自分に逆らった奴は、絶対に許さない。先に郵政民営化に反対した議員に次々と「刺客」を送り込む小泉首相の手法を見ていると思い出すのが、東条英機元首相の手法だ。 「竹ヤリより飛行機だ」と書いた新聞記者を前線に送り込もうとしたり、東海大学元総長の松前重義氏なども苛酷な南方戦線に送りこまれている。靖国神社問題や、東京裁判の是非が問われるなかで論じられている東条英機元首相。 良く言えば秀才肌で、生真面目な責任感の強い軍人官僚。悪く言えば視野の狭い、神経質で狭量な人物だ。最近、彼のお孫さんである東条由布子さんがあちこちの雑誌で発言している。 もちろん民主主義の世の中だから何を話そうと自由だが、雑誌『WILL』9月号での発言はいただけない。「私の祖父が戦ったのは中華民国。だから中華人民共和国から、とやかく言われる筋合いはない」(?)「ドイツの軍人の孫娘が、「私の祖父が殺したのはユダヤ人だ。だからイスラエルからとやかく言われる筋合いはない」とほぼ同じ意味の発言だと思う。 身びいきも結構だが、あまりにも度の過ぎた発言だ。かりにも、かつて一国の指導者の身内の発言としては、不穏当ではないか。「週刊金曜日」2005年9月2日号 62ページ「投書-『東条首相のお孫さん』の発言」から引用投書の主は46才の男性ですが、私もこの当初の意見に賛成です。マイナーな右翼の新聞に風変わりな評論家が珍説を書き付ける場合と違って、仮にも一国の首相を務めた人物の身内の方であれば、それなりに世間の耳目を集めるわけですから、節度のある発言をお願いしたいものです。
2005年09月11日
国民の間から要望があるわけでもない郵政民営化を、衆院解散までしてやっていかなければならない理由が、おそらく大部分の国民が納得できていないのではないでしょうか。「週刊金曜日」9月9日号では、佐高信氏が「『郵政米営』を押し付ける小泉純一郎」という一文を寄せて、小泉・郵政民営化路線を批判しています。この文章の中に、月刊「リベラルタイム」10月号が掲載した「竹中平蔵の研究」から、郵政民営化の裏事情を知ることができる重要な情報を引用しているので、私も日記に書き留めておくことにしました。 小泉以上にタチの悪いのが竹中平蔵である。小泉があまり深く考えない標語人間であるのをいいことに、自分は外資との関係を強めていく。「リベラルタイム」という雑誌の10月号は「竹中平蔵の研究」だが、そこに元『文芸春秋』の編集長で、ウルトラと言っていいタカ派の堤暁が興味深いことを書いている(「永田町仄聞録」)。 アメリカの郵政は国営が基本なのに、なぜ、日本に民営を迫るのかを明かす一通の手紙があるというのである。参議院の特別委員会でそれを暴露したのは民主党の櫻井充だった。 宛名は竹中平蔵。差出人が前アメリカ通商代表部のボス、ロバート・ゼーリック(現国務副長官)。日付は2004年10月4日。紙幅の関係で堤が要約したそれを次ぎに引く。ーーー竹中さん、オメデトウございます。金融大臣としてよいお仕事をされた。それが新しい任務を招きました。この任務を小泉首相が貴方に託したことは、われわれにとって心強い。貴方の前の同様の決意とリーダーシップを期待します。 保険、銀行、速配業務において、競争条件を完全に平等にすることは、私たちにとって根本的に重要です。郵貯と簡保を、民間とイコールフィッティング(同じ条件)にすること、すなわち民間と同様の税制・セーフティネットを義務化し、政府保証を廃止するよう望みます。ついては以下の点で、貴方の後押しを致します。(1)民営化の開始(2007年)から、郵貯・簡保業務に(民間と同時に現行の)保険業法、銀行法を適用すること。(2)競争条件の完全な平等が実現するまで、郵貯・簡保に新商品や商品の見直しを認めてはならないこと。(3)新しい郵貯・簡保に相互扶助による利益を得てはならないこと。(4)民営化の過程において、いかなる新たな特典も郵便局に与えてはならないこと。(5)その過程は常に透明なものにし、関係団体(堤註、アメリカの業者を含む)に意見を表明する機会を与え、これを決定要因とすること。 この問題について、今日まで私たちの政府が行った対話を高く評価します。貴方がこの新たな挑戦に取りかかる時に、私が助けになるなら、遠慮なくおっしゃって下さい・・・この手紙は末尾にゼーリックの手書きで「Takenaka-san」とあり、こう結ばれているという。「貴方は立派な仕事をされた。困難な挑戦の中で進歩を実現された。新たな責務における達成と幸運を祈念致します。貴方と仕事をするのを楽しみにしております。」 櫻井がこれを読み上げている間、議場には驚きの声が流れ、竹中は居心地悪そうに手で顔を撫で回していたとか。 私は、日本マクドナルドの創業者である藤田田に取り入って同社の未公開株を取得した竹中を”マック竹中”と命名したが、これからは”ゼーリック・竹中”と呼ぼうか。 この手紙は、竹中の周辺にいる人間から、やっていることがあまりにひどいと、洩れたものらしい。「週刊金曜日」2005年9月9日号 10ページ「『郵政米営』を押しつける小泉純一郎」から引用このような「裏」を知ると、小泉首相が「改革を止めるな」などと言ってることが、いかに欺瞞に満ちているか、わかります。郵貯・簡保の二百数十兆円をハゲタカ・ファンドの餌食にしていいのか、明日の投票までによく考えたほうがいいのではないでしょうか。
2005年09月10日
小泉外交の最優先課題であった日本の国連安保理常任理事国入りは、結局見通しが立たない状態になってしまいました。私は、もともと常任理事国入りには反対だったので、それほど大問題とは思いませんが、今日の東京新聞・社説は小泉外交の失敗であるとして、次のように論評しています; ブッシュ大統領は日本の常任理入りを「支持する」と明言してきた。ところが、米国は理事国が増えるのを嫌い、日本など4カ国グループが採択を目指した安保理拡大決議案には反対するよう各国に呼び掛けた。 首相が米国の要望に応え、国内世論の反対を押し切って、イラクに自衛隊を派遣したのは何だったのか。対米追従と批判される小泉外交の限界を見たようだった。 また、政府は国際社会が日本の常任理入りを認めれば、中国も最後は賛成すると読んでいた。現実は中国内で反対デモが起こり、中国政府は世界中に特使を派遣して妨害した。もともと反対だったとはいえ、首相の靖国参拝問題の影響は大きい。 読み誤りはもう一つあった。アジアとアフリカ諸国の対応だ。政府開発援助(ODA)で結びつきが強く、多くの国が支持するとみていた。期待は裏切られ、アフリカ連合(AU)は決議案への賛否を決められず、主要なアジア諸国から共同提案国になる国はなかった。 多数派工作は失敗し、目標としてきた今月中旬の国連特別首脳会合までの決議案採択は事実上、断念に追い込まれた。まだあきらめたわけではないだろうが、勝算は見えない。 日米、日中関係、ODA外交。いずれも日本外交の基軸だ。三つの「誤算」は小泉外交の行き詰まりを象徴している。 政府は明らかな外交失点なのに、いまだに総括しようとしない。首相は有税で安保理改革に触れることはなく、自民党のマニュフェスト(政権公約)にも出てこない。 日本の常任理入りは国内の十分な合意もないまま、(国連での)首相演説をきっかけに、突然、動き始めた。重要な外交課題は国民の理解と協力が不可欠である。選挙は国民に説明する絶好の機会のはずではないか。2005年9月9日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「社説・誤算から目を背けるな」から引用自公連立政権では、このように外交が行き詰まってしまったのですから、今度の選挙では別の政党に政権を担当させてみるべきだと、私は思います。
2005年09月09日
アメリカやイギリスでは時々政権政党が交代するのに、日本では一度自民党が下野した経験があるものの、すぐまた与党に復帰して「政権交代」とは言いがたい状況ですが、そのことに関連してきょうの東京新聞「本音のコラム」で、半藤一利氏が次のように述べています; 日本の降伏を勧告したポツダム宣言は、7月26日に発表され、トルーマン米大統領、チャーチル英首相、蒋介石中国総統が署名した。 実は、その直後に英代表はチャーチルからアトリーに代わった。ちょうど総選挙で保守党が敗れ、27日に労働党に政権が移動したのである。翌日、英新首相を迎え、ポツダム国際会議はとどこおりなく進められた。政権は代わっても、基本の外交政策そのものに大きな違いがなかったからである。 戦時下であったから、という理由をつける人もいるが、英国の二大政党はそんなヤワなものじゃない。なにしろ17世紀からその対立ははじまっている。筋ガネ入りなのである。実際問題として、外交を幻想や観念にとらわれずにリアリズムでいけば、当然そうなるのである。 翻ってわが自民・民主の二大政党である。何か心棒となる国家目標か外交理念があって、外交的に一致団結できる、というきちんとしたものが、トント見当たらないのには大いに失望する。 外交問題は山積みしている。例えば拉致問題ひとつを挙げてもその解決は焦眉の急と思われるのに、それは票にならないからか、選挙の争点にもなっていない。 もっともいまの日本の議会は、親譲りの勉強不足の坊ちゃん議員の集合で、期待するほうが無理か。こういう情けない思いを、日暮れて道遠し、というらしい。2005年9月8日 東京新聞朝刊 11版S 25ページ「本音のコラム-二大政党」より引用ここで半藤氏が主張しているのは、互いに合い争う二大政党であっても、どちらも幻想や観念にとらわれずリアリズムに基づいた政策を主張するのであれば、政権が移動しても世の中は無用な混乱をさけてスムーズな政権交代が可能であるということ。しかし、それを期待するには、親の七光りで政治家になったような不勉強な議員たちばかりでは難しいということです。やはり、根本的には世襲議員に投票する国民の民度の問題があると考えられます。
2005年09月08日
衆院選も終盤に入り各党それぞれに票の獲得に全力を挙げておりますが、「週刊金曜日」9月2日号に掲載された76歳の読者の投書は、自民党の選挙運動を痛烈に批判しています; 小泉首相は、何とかの一つおぼえのように「官から民へ」と繰り返し絶叫している。このスローガンまがいの、中味のない言葉を得意顔でまくしたてている。 だが、彼の主張する「民へ」の「民」は、われわれ一般国民のことではない。「企業へ」ということである。もちろん、中小企業ではなく、実際は大企業のことであり、外国企業でもある。 言うまでもなく、資本(企業)の目指すものは「利潤追求」である。そして、利益第一主義で弱肉強食・強い者勝ちシステムの中にある企業には、おちいりやすい「企業の12悪」がある。それは、(1)労働基準法違反(2)三労(労働者、労働組合、労働運動)に対する蔑視、嫌悪、敵視(3)不当解雇(4)不当人事(5)政治献金(6)粉飾決算(7)脱税(8)悪徳インチキ商法(9)暴利(10)公害発生(11)武器製造(12)右翼・暴力団への資金提供などがある。かなりの数の企業が、この「企業12悪」のいくつかに抵触しているのではなかろうか。小泉氏と竹中平蔵氏は、企業活動を神聖視しすぎているようだ。 さて、政官財癒着体質を持つ自民党の責任者であり、今度の選挙で刺客に高級官僚を送り込む小泉首相に「官から民へ」などと言う資格があるのか。最後に、首相に言いたい。手を上げて、かっこいいポーズをとって国民から人気を取ろうとする、さもしい心は改めてもらいたい。テレビを見るたびに本当に腹が立つ。「週刊金曜日」2005年9月2日号 「投書『官から民へ』の欺瞞」から引用どうも最後の部分は八つ当たりのように見えなくもありませんが、私も小泉・自民党の「企業活動神聖視」には胡散臭さを感じます。
2005年09月07日
先日の新聞に発表された有権者の投票行動を探る世論調査の結果について、興味深い投書が今日の東京新聞に載りました; 8月30日付本紙朝刊に、有権者の投票行動を探るために世論調査結果が掲載されましたが、これを見て何か非常に不思議な気持ちにさせられた。なぜなら、小選挙区で自民党候補に、比例代表で自民党に投票すると回答した人がともに40%を越えて、他党を圧倒的に引き離してトップとなっていたからです。 この40%を超える人たちが、過去4年間にわたる小泉自公政権下で、いわゆる勝ち組みにそろって仲間入りしたのなら、自民党へという投票行動は当然のことであろうと思います。 しかし、現実問題として、勝ち組みは少数派であり、大半の人たちは年金や医療費、社会保険料などにかかわる負担増で生活を圧迫され、将来に対する不安を募らせているのではないか、と推察します。もしそうなら、自らの生活向上を望めず、将来にも明るさを見出せない政治を4年余もの間続けてきた自民党に、さらにこの先4年間も託そうとする考えが全く理解できない。このような人たちが果たして同じ日本国民なのか、まさに不思議な思いを禁じえないしだいです。2005年9月6日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「発言-自民支持4割、多さに違和感」より引用投書の主は68歳の男性ですが、私はこの方の言うことがよくわかります。ただ、> 大半の人たちは年金や医療費、社会保険料などにかかわる負担増で生活を圧迫され、将来に対する不安を募らせているのではないか、と推察します。この「推察」がちょっとずれているのではないか、と思いました。私は、この期に及んでまだ自民党に投票するという人は、将来への不安はあるものの「自民党ではダメだ」と思うところまで追い詰められてはおらず、ちょっと厳しいがこのまま自民党に「続投」させればピンチを切り抜けてくれるという気持ちだろうと思います。その裏には、民主党はじめ野党では頼りないとか、大きな変化は望まないという所謂保守的な心情があるでしょう。
2005年09月06日
来年から学校で使用する教科書をどれにするかという選定作業が全国の教育委員会で進められていますが、9月2日の東京新聞によると、「つくる会」主導の教科書の採択率は0.4%程度になる見込みだそうです; 「新しい歴史教科書をつくる会」が主導する扶桑社版の歴史教科書について、反対する15団体は1日、来春から使用するための採択率が0.4%程度に、公民教科書も0.2%弱にとどまる見通しを明らかにした。 「つくる会」は採択率10%を目標にしてきたが、大幅に下回ることは確実になった。 採択率については扶桑社側も、現在把握している範囲で、歴史が0.4-0.5%、公民が0.2%弱とみている。採択率が確定するのは9月中旬以降になりそう。 反対している「子どもと教科書全国ネット21」(東京都千代田区・俵義文事務長)の独自調査によると、これまでに扶桑社版の歴史教科書が採択されたのは、栃木県大田原市や東京都杉並区、東京都、愛媛県と滋賀県の中高一貫校と私立中学などで計約4800部。4年前の同時期の約600部に比べて、約8倍となったが採択率は0.38%にとどまった。 公民は大田原市東京都ろう・養護学校や私立中学など計2300部。4年前の約700部に比べ3倍以上だが、採択率は0.18%となった。 15団体は、「つくる会」には「運動に幕を引くことを進言する」とした。2005年9月2日 東京新聞朝刊 12版 3ページ「『つくる会』採択0.4%」から引用一般書籍としてなら、独自の歴史観に共感する読者はもっと多いであろうと思われる本ですが、教科書として見た場合、多くの教育委員会では「こういう内容で果たして生徒の学力増進に役に立つだろうか」という観点から評価すると、「つくる会」教科書はこの程度だったという結果です。お疲れさまでした。
2005年09月05日
この数ヶ月間、与党内にさえ反対論があるのに、何故小泉政権は郵政民営化法案をゴリ押ししなければならないのか、ほかにも重要な法案があるのに、なぜ今郵政民営化が最優先なのか、いぶかしく思ったのは、私だけではないと思います。こういう疑問に答えているのが、きょうの「しんぶん赤旗日曜版」です。「Q&Aホントはどうなの? 郵政民営化」という記事の中で「Q だれが要求してるの?」という問いに答えて、記事は次のように解説しています; 郵政民営化を強く要望してきたのは国民ではなく、日本とアメリカの銀行と保険会社です。 昨年の日米首脳会談(9月21日)で、郵政民営化の進展についてブッシュ大統領から質問があり、こんなやりとりが・・・。小泉首相 大きな反対があるがしっかりやっていきたい。ブッシュ大統領 総理の強いリーダーシップに敬意を表したい(以上は外務省のホームページから) 続いて翌10月14日、米国政府は日本政府に分厚い「要望書」を渡し、郵政民営化について詳細な注文をつけました。 そこには日本の郵政民営化準備室などと外資が「意見交換する機会を提供せよ」とあります。(在日米国大使館のホームページ) これを受け、郵政民営化準備室は米国の政府・民間業界と18回も会談を重ねてきました。郵貯・簡保資金を運用してひともうけしたい、これが米国の金融業界の狙いです。 日本では、全国銀行協会や生命保険協会が熱心に要求してきました。大銀行・保険会社にとって、自分たちよりいいサービスをやっている郵貯・簡保は商売のじゃまで仕方がない、これをつぶして新しいもうけ口をつくっていこう、という狙いです。 このことは、郵政民営化法案審議が始まる直前の今年2月28日付け新聞各紙にのった、「(民営化で郵貯・簡保の)規模の縮小は欠かせません」という、銀行・生保業界連名の1ページ大の意見広告をみても明らかです。2005年9月4日 「しんぶん赤旗」日曜版 9ページ「Q&A ホントはどうなの? 郵政民営化」から引用また、おなじ日曜版のコラム「メディアをよむ」では、仲築間卓蔵氏がつぎのように批判しています; 郵政民営化問題を審議中に、日本側が米政財界と18回にわたって交渉していたことが暴露されました。内容は、「郵便貯金・簡易保険は民間企業と完全同一条件での競争とすること。郵便貯金は民間銀行、簡易保険は民間企業と完全同一条件での競争とすること。郵便貯金は民間銀行、簡易保険は生命保険会社に変更」などのようです。 アメリカのメディアも取り上げましたが、「340兆円にもおよぶ郵政マネー(簡保も含めて)を持つ世界最大の銀行が生まれる」というのが、報道のポイントです。郵貯・簡保の金を鵜の目鷹の目で狙っていることがうかがえます。 小泉首相が「今回は”郵政民営化選挙”だ」と髪ふり乱して叫ぶのをみても、いかに米政府のプレッシャーが強いかがわかります。 「やはり日米金融資本の要請だったのか」と思わせられたのは、ホリエモンこと堀江貴文氏の立候補です。彼は「郵政民営化のどこが悪いんですか。なぜダメなんですか」といいます。 彼は、フジテレビの買収騒動で名をはせましたが、資金は外資でした。結局、金融資本の一翼を担っての立候補だったのです。同じ日の「しんぶん赤旗」日曜版から引用ホリエモンに投票しようかと考えている広島県の有権者のみなさんには、人気者だから入れるんじゃなくて、彼が地域を代表する国会議員として相応しい人物かどうかを考えてほしいものです。ホリエモンは、郵便局の仕事なんて、田舎の小中学校の一部を使ってできると発言したらしいですが、その小中学校は軒並み廃校になっているという実情を知らない都会人ですから、とても広島県の田舎の有権者の声を代弁する議員には不向きだと思います。
2005年09月04日
きょう、テレビを見ていたら「歴代首相の中でも、小泉首相の国債発行額はトップだ。財政再建の目処はまったく立っていない」と批判するコメンテーターの発言を聞きました。思えば、小泉政権発足当時、米百俵とかいう昔話を持ち出して「財政再建のためにやるんだ」みたいなパフォーマンスをしていたのを思い出しました。しかし、小泉首相の場合は在任期間が比較的長くなっているし、毎年同じくらいの金額の国債を発行しているとすれば、任期が長くなればそれなりに国債発行額も大きくなるわけだから、比較するには任期で割り算して任期中の平均値を出す必要があると思いました。それとは別に、きのう発売の「週刊金曜日」では、平松壮太氏が、郵政改革の是非だけで総選挙を切り抜けようとする小泉・自民党の戦略を批判して、次のように書いています;首相が衆院選を「郵政選挙」に仕立てようと懸命なのは、「郵政民営化」しか(国民に)問うものがないためだ。首相就任以後、財政赤字はさらに悪化し、年金はじめ社会保障も抜本改革にはほど遠い。靖国神社参拝で隣国の中国、韓国との関係は冷え切ったままだ。内政、外交ともに「小泉政治」は行き詰まっている。「郵政民営化」という首相の長年の夢で大ばくちに出たのだ。 もう一つのポイントは、小泉流の市場原理に基づく競争社会の暴走を認めるかどうかということだ。造反議員らの中心メンバーである亀井静香元建設相は「政治は弱者のためにある」が口癖だ。その顔ぶれから、単に郵政の既得権益擁護にしか聞こえなかったものの、自民党政治が一面でももっていた「政治的弱者への配慮」など公平さへの目配りが、党内から見えなくなったことは否めない。「週刊金曜日」2005年9月2日号 15ページ「平松壮太の政治時評」から引用弱者への配慮が無くなりつつあるという指摘は重要だと思います。ある程度の競争原理は必要かも知れませんが、人間社会は動物のジャングルではないのですから、勝った者が栄えて負けた者は死んでもいいというのでは困ります。小泉政治がこのまま進んでいいのか、少しコントロールする必要があるのか、今度の選挙にはそういう視点からの、政権政党の選択が必要だと思います。
2005年09月03日
突如衆議院が解散になったため、審議中だった法案は一旦廃案になりました。これら廃案になったものの中には、障害者が反対する「障害者自立支援法案」や犯罪を犯していなくても悪いことを企んだという名目で人を逮捕できるとする「組織的犯罪処罰法改正案」など、見方によっては悪法とも言える法案が含まれています。これらの廃案になった法案が、今後どのように扱われるのかという読者の質問に、きょうの東京新聞は、次のよな見解を掲載しています;Q. 郵政民営化関連法案や障害者自立支援法案など、先の国会で廃案となった法案の扱いはどうなるのでしょうか?A. 郵政民営化関連法案が参院での採決で否決されたことに伴う衆院の解散で、審議中だった14の法案が廃案になりました。この中には、障害者から反対する意見も出ていた障害者自立支援法案や、少年犯罪への警察の権限を強化する少年法改正案、犯罪の話し合い段階でも罪に問える「共謀罪」を盛り込んだ組織的犯罪処罰法改正案も含まれます。 これらの法案の行方は、9月11日投開票の衆院選の結果次第です。自民、公明両党で過半数を制し、小泉純一郎首相が政権を維持すれば、まずは直後に開かれる特別国会で民営化法案を成立させ、残る法案は、その後の臨時国会に再度提出し、年内の成立を図ることになるでしょう。 では、現在の与党で過半数を取れなかった場合はどうなるでしょうか。仮に、自民、公明両党が郵政民営化反対派による国民新党や新党日本の協力を得て過半数とするかわりに、小泉政権が退陣すれば、特別国会は次の首相を指名する手続きだけとなり、民営化法案は提出されません。残る法案は、秋の臨時国会に再提出されます。 与党が敗北して民主党に政権が移った場合は、民営化法案がつぶれるだけでなく、他の法案も根本的に見直されることになるでしょう。自立支援法案は衆院通過の際、民主党など野党は反対しています。ただし、その場合でも参院は現在の与党が優勢なので、新政権は法案の扱いに苦労することになるでしょう。2005年9月2日 東京新聞朝刊 12版5ぺーじ「発言ー自公勝てば年内再提出」から引用このような状況であることを考慮して、現在の自分と将来の日本にとって、どういう選択が最善なのか決めたいものです。
2005年09月02日
政府が進めようとしている改革が我々国民にどのような影響を及ぼすものなのか、今日の東京新聞には、郵政改革反対の投書が掲載されています; 最近テレビや新聞で郵政改革は「やらないよりやったほうがいい」という意見が増えているが、私はおかしいと思う。改革という言葉にだまされていると思います。民営化がすべていいことならば、警察や自衛隊、裁判所なども民営化していいのでしょうか。やはりよいことと悪いことがあることを考えるべきです。 情報は電波や光ファイバーで送れますが、郵便は人の手によって日本の隅々まで運ばれます。過疎地へ行けば行くほどコスト高になります。民営化で採算を取ろうとすれば、こういうところが邪魔になるのは必至です。同じ日本に住んでいて切り捨てられる所があっていいのでしょうか。 郵貯や簡保で集められた金の使途については問題があると思いますが、最終的には政府の責任でしょう。弱い所を押しつぶすやり方は小泉政治の常とう手段で納得できません。2005年9月1日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「発言-弱い所つぶす郵政改革反対」より引用この投書の筆者が心配するのはもっともなことで、小泉内閣が推し進める改革は、80年代の英国でサッチャー政権が実施した「新自由主義」と同じです。それで英国はスリムな政府を実現しましたが、経済政策の規制を撤廃してアメリカ資本がどんどん進出し、英国の田舎町の小さな銀行は軒並み閉鎖に追い込まれ、老人が年金の受け取りにも支障をきたしているという記事を読んだ記憶があります。その後、英国の庶民の暮し向きはどうなのか、検証してみる必要があるかもしれません。小泉政権も、発足当初は「改革には痛みも伴う」と明言しておりましたが、なるべくその「痛み」の軽減措置も考慮してほしいものです。
2005年09月01日
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