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かぐや姫は僕のキスで泣き止んだが、まだ濡れてる瞳で見つめられると、切なくなってしまう。キスだけにしておこうと思うのに。彼女の体を覆ったタオルケットを引き剥がしたい衝動にかられるけど、それを隠すように、タオルケットを彼女の顔にまでかぶせてしまった。「何も見えないよ」心細そうな声が愛しい。「いいんだよ。僕がいるんだから。」自分でも驚くほど、強い調子になってしまった。肩を抱くとビクッとしたが、僕がベットの方に引き寄せると、たどたどしく歩く。足元を確かめながらゆっくりいくから、まどろっこしくなって、横抱きにした。お姫様だっこともいうんだよな。そのまま歩いていき、ベットに下ろした。彼女はタオルケットにくるまれたままだ。まるでこれから蝶になるさなぎのようだ。顔だけ出して、僕を見上げる。何かを言いたそうな瞳。でも、なぜか何も言わない。「どうしたんだい。」優しく聞いても、首を振るだけだ。「帰ってしまうんだね。」コクンとうなずき、横を向いてしまう。目を合わせるのが辛いのか。「何か言ってくれよ。黙ってたら分からないじゃないか。」ベッドの横にしゃがみこみ、彼女を強く揺すってしまった。「何もしてあげられなくてごめんね。」僕が乱暴に言うから、か細い声になってしまうのか。そんなことを言ってほしい訳じゃない。僕の方が泣きたくなってしまう。「いつまで居られるんだい?」「満月の夜まで。」「月の使者が迎えに来るのかい?」ちょっと皮肉っぽく言ってしまった。「だぶんそうだと思う。」かぐや姫にしては頼りない返事だ。本当に帰らなくてはいけないのかな。十五夜に帰るなんて、昔のままじゃないか。「なんとか変えられないのか?」「無理だと思うわ。」自分でも無理を言ってるのは分かってるのだが、このまま引き離されるなんて辛すぎる。いっそ、彼女と交わって、一緒に死のうか。そんなことしても、救われないよな。月の女と地球の男が交わったら死ぬなんて、あまりにも酷すぎる。それほど隔たりがあるものなのだろうか。彼女を見てると、地球の女と変わりないように思えるけど。もしかしたら本当はエイリアンの姿で、地球の女に変身してるのか?想像すればするほど、バカらしくなってきた。そんなことはどうでもいい。とにかく今は、この目の前にいるかぐや姫と別れたくないというだけだ。タオルケットの上から抱きしめてしまう。「離したくない。」「私だって、離れたくない。」二人で抱き合いながら、涙ぐんでしまった。
2005年09月30日
校長先生もいい方で安心しました。渋滞の少ない道まで教えてもらいました。また4日と11日に勤務先の小学校へ打ち合わせに行きます。11日は保護者会まで開いて紹介してくださるそうです。29日の土曜日は学校公開日で、授業参観を2時間もやらなければいけません。前の小学校の授業参観は始まって5日目ということと、初めての担任ということで、教務主任がやってくれたのですが。その学校の校長や教務主任ともお知り合いだそうで、事情は聞いてもらえるかもしれません。あまり聞かれると、私を採用したことを後悔されるかもしれませんが。授業参観は、音楽と国語とかにしようかしら。発表形式の方が保護者も喜んでくれるかも。といって、あまり授業に自信がないからなのですが。それでも、自分なりに頑張りますね。また、履歴書に私の市の教育委員会が付け加えてくれたのですが、4月1日から15日まで市の臨時職員として働いていたのに、在家庭つまり無職扱いになってたのです。一番分かってるはずなのに・・・。4月16日からしか県の臨時教諭としての手続きができなかったので、それまで市費扱いだったのです。もう県のほうにもそのように履歴書を提出されてたようなので、書き換えはできませんが、ちょっと嫌ですね。市の臨時が職歴にならないとしても、去年1年間、教科指導充実員として働いたのは、給与格付け表にも加算されてるのです。よく分かりません。まあ、これで書くしかないのですよね。また書き直して履歴書郵送します。
2005年09月28日
地球人と交わったら死ぬなんてこと本当にあるんだろうか。でも、かぐや姫の言葉を信じるしかない。見ているだけしか出来ないけど、彼女を守りたいと思う。他の男に何かされたら大変だ。彼女と愛し合ってる僕でさえ我慢してるのだから。それにしても、触れられないのは辛い。肌に触れたら、そのまま進んでしまいそうで怖いのだ。このまま見てることしかできないのか。「クシュン」かぐや姫のくしゃみだ。裸でいたら、寒くなってきたんだろう。「風邪ひくよ。」慌てて、タオルケットを持っていって、かけてやる。「ありがとう。」僕を済まなそうに見つめる瞳が痛い。抱きしめたいけど、抑える自信もなく、彼女から離れてしまう。「待って」僕の背中が温かくなる。彼女が後ろから抱き付いてきたのだ。「やめてくれないか」嬉しいけど、哀しすぎる。「これ以上僕を苦しめないでくれよ。」「ごめんなさい。」パッと離れる彼女。つい口に出して言ってしまったが、傷つけてしまっただろうか。でも、こうして同じ部屋で夜を過ごすのは酷だ。今夜がやけに長く感じられるのは、月の光のせいかな。月に照らされた彼女を見たからだ。「私、もう少しで帰られなければいけないの。」唐突にそんなことを言い出す。「そういえばもうすぐ十五夜か。」帰って欲しくないと思うが、この苦しみが続くのも耐えられない。引きとめたくてもお迎えが来るんだよな。「私が帰っても思い出してくれる?」もう帰ることが前提なのか。振り向いて、彼女を見つめる。「思い出してしまうとは思うけど、辛いから思い出したくないな。」残酷なこと言ってるか。息を呑んでるのが分かる。彼女だって残酷だよ。でも、わざとやってるわけじゃないんだよな。少なくとも死んでしまうのは、どうしようもできないんだろうし。うつむいてる彼女が可哀相になってきた。「言い過ぎたよ。」ポツンと独り言のようにつぶやいた。顔を上げて、見つめる彼女。その瞳から涙が溢れている。こんなに傷つけてしまったのか。涙をそっと口で吸い取った。されるがままにされている彼女。愛しくなって、抱きしめキスしてしまう。キスだけならいいんだよな。それだけにしておこう。そう自分に言いきかせていた。
2005年09月27日
「香水だけで一糸まとわず寝る。」かぐや姫はそんな刺激的な言葉を残して、銀座のバーの勤めに出かけてしまった。まあ、昨日初めてで、今日休む訳にはいかないだろうけど。僕をこんなに惑わして、どうするつもりなんだ。以前、キスだけ許してそれ以上は拒んだくせに。誘惑してるのか、無邪気なのか分からない。かぐや姫でなければ襲ってしまうところだよ。悶々として眠れない。明日も朝早くから仕事だというのに。そのうちに彼女が帰ってきた。合鍵でドアを開け、そうっと入ってくる。僕は布団をかぶって見ないようにしている。彼女はみんな脱いで、ベットにもぐりこんだようだ。こうして別々のところにいるのに、気配を感じて、分かってしまうのだ。それゆえ、じっと息を殺してしまう。もう寝たのだろうか。かすかな寝息が聞こえてくる。こんなふうに裸で寝られるなんて、信頼してくれるのだろうけど、男として見てくれてないよな。布団から頭を出し、起き上がった。彼女はベットの中で、安心したように休んでいる。まるで穢れを知らない童女のようだ。この無邪気さは可愛いと思うが、時には憎らしくもなる。僕をじらしているのでは思うほどだ。カーテン越しの月明かりに照らされて白く浮かび上がる彼女の顔。唇だけが紅く息づいて別の生き物のようだ。少し開いて何かを言おうとしている。聞き取ろうと、耳を口に近づける。かすかに僕の名を呼んでいた。やはり僕のことを想ってくれてるのか。愛しくなって、思わず唇を重ねてしまう。彼女は瞳を開けて、僕を見た。まだ夢でも見ているかのように、ぼんやり見つめていたが、僕だと分かると急にベットにもぐりこんでしまった。「ごめんよ。驚かせて。」僕は慌てて謝ったのだが、かぐや姫の返事はない。「赦してくれないか。」哀願して、布団の上から頭を撫でる。カタツムリの角のように手が出てきた。そして、ゆっくり顔をのぞかせる。「キスはいいの。」でも、それ以上は駄目なの。」「なぜだい。こんなに好きなのに、辛すぎるよ。」彼女の頬を両手で包み込む。「私も好きよ。でも、地球の人と交わってしまったら、命が絶えてしまうの。」声まで消え入りそうだ。「そんなことってあるのか?」「月は地球と一緒にはなれないから。」「月食があるじゃないか。」そんなこと関係ないのに、つい感情的になって言ってしまう。「それは影になるだけ。交わることではないわ。」冷静に言われると、ますます血がのぼる。「それじゃあ、なんのために何も身に着けずにいるんだ。僕を苦しめたいのか。」もう悲鳴になってしまう。「ごめんなさい。でも、せめてあなたに見てもらいたいの。」彼女まで悲痛な声をあげる。起き上がり、僕の横をすり抜けたとき、彼女から芳醇な香りが漂う。それだけを残して、窓際に立った。月明かりで、彼女のシルエットが浮かび上がる。ウエストのくびれがはっきりと分かるほど。横を向いて、胸やお尻のラインまで見せてくれた。僕はそばに行きたいと思ったが、自分を抑える自信はない。ただ見ているしかできないのだ。とても綺麗だと思った。でも綺麗な分かえって、彼女に触れられない哀しみが募り、もっと辛くなるのだった。
2005年09月26日
会社帰りに早速香水を買ってきた。エルメスの「ナイルの庭」という香水だ。香水を良く知らないので、店員に柑橘系の香水を聞いたら勧めてくれた。「柑橘系のグリーンマンゴーをはじめ、フレッシュな香りをベースにしたフルーティ、グリーン、ウッディノートのユニセックスな香りですよ。」「それだったら、嗅がせて下さい。」少しとって、香りを嗅がせてもらった。「香りをかいだだけでゆったりと流れるナイルのほとり、クレオパトラも愛でたかもしれない睡蓮の美しい風景がイメージできませんか。自然をそのまま切り取ってきたわけではないのに、人工的な無機質さを感じさせないんですよね。」あまりにも流暢な説明にうなずくしかない。そう言われれば、そんな感じがするかも。微笑む店員に手渡された「ナイルの庭」をそれこそ自然に受け取って、買ってしまった。結構いい値段したが、かぐや姫は高貴だからな。はやく帰って、身に付けて貰いたい。「お帰りなさい!」いつもより、歓迎してくれてるような・・・。彼女に小さな包みを見せながら、「これなんだ?」と聞くと、「香水でしょ。」と即答。やっぱり待ってたのか。「嬉しいな。どんな香水?」手渡すと、包み紙を開けるのもまどろこしっそうに香水を取り出す。「素敵な香水ね。付けてみていい?」「いいよ。」僕の返事も聞かずにつけてるじゃないか。あまりの性急さに思わず笑ってしまう。手首につけて、香りをかいでいる。「なんか、夢の世界に誘われるみたい。」僕は店員に教わったうんちくを並べるが、彼女は本当に夢の世界に行ってしまって、ろくに聞いていない。やっと戻ってきたようだから、「マリリンモンローという女優は、シャネルの5番ダフィネだけを身に着けて眠ったんだって。」という話をすると、「素敵ね。私もやってみようかしら。」目をキラキラさせて、無邪気に言うのだ。「香水以外は何も身にまとわないんだよ。」念押しすると、素直にうなずく。今までずっと我慢してきたのに、ますます厳しいよ。これでは蛇の生殺しだよな。
2005年09月25日
ほとばしる血さえあなたを求めてる障子を紅く染め上げるほど樹の下に埋まる死体が花咲かす心に埋まるものは何ゆえ月光る波打ち際の二人には寄せては返す恋だけでいい街中の通りすがりの香りかぎあの人の顔鮮明に見ゆ黒鍵の合間に白鍵入り込むようにあなたに入り込みたい
2005年09月24日
いつ僕がそばに居たことに気がついたのだろうか。後ろにも目があるようだ。月で何でも見えたように地球でも千里眼だったりして。心まで見透かされてるようで怖いなあ。かぐや姫への気持ちも分かってしまってるのだろうか。「何考えてるの?」無邪気に微笑んでる。分かってはいないのか。「君のことだよ。」「嬉しいわ。」「何かプレゼントしたいな。」「急にどうしたの?」僕を思い出してくれるものを身に着けてて欲しかったのだ。「何が欲しい?」遠慮しているのか、考えあぐねているのか、なかなか言わない。「そうね。・・・香木かな。」やっと口に出したのは、僕の知らないものだった。「香木ってなんだい?」「お香みたいなものなのだけど、香りを楽しむものよ。」やはり時代のギャップを感じるなあ。「じゃあ香水でもいいかな。」「いいわよ。」「どんな香りが好きなんだい?」「さっぱりした香りがいいの。柑橘系とかの。」「蜜柑のような月から来たからか。」つい想像して笑ってしまう。「そういうわけじゃないけど、甘ったるい香りは気持ち悪くなっちゃうのよね。」拗ねたように言うのが可愛い。「僕もその方がいいな。」バニラみたいな匂いは、むせてしまう。「会社の帰りにでも買ってきてね。」「君が選ばなくていいのかい?」「あなたの好きな香りを身にまといたいの。」嬉しいことを言ってくれる。「ありがとう。」かぐや姫に似合う香りを選んでこよう。甘酸っぱい香りがツーンと鼻を刺すような香水を。その香水だけを身に着けた彼女を抱きたいのだが・・・。
2005年09月24日
席に案内されて、割と可愛い子がついてくれたが、かぐや姫が気になって、気もそぞろだ。「どうぞ」と差し出されたグラスも取り損ねて、落としてしまった。ガシャンと割れる音が店に響き渡る。「気にしないでもいいのよ。」慰められると、もっと惨めになるんだよな。一体かぐや姫はどこにいるんだ。フロアレディがグラスの破片を片付けに行った隙に立ち上がって、あたりを見渡すと、奥の方で、かぐや姫のような声がする。「本当にかぐや姫なんです。」ムキになった声は確かに彼女だ。すばやくそばの席に移動する。「だったら証拠を見せろよ。」こんなふうに酔っ払ってからむオヤジがいるんだよな。「いいわ。月からは何でも見えるのよ。あなたの隠してるものを当ててあげる。」「そんなものないさ。第一それじゃ証拠にはならないじゃないか。」ふてぶてしく、ソファにのけぞりかえっている。「それを持ってきてくれればいいのよ。二重帳簿をね。公認会計士さんが、脱税の指南なんてしてもいいのかしら。」彼女が皮肉めいた口調で、彼を横目で見ながら言うと、「何を言ってるんだ。失礼なやつだな。」彼女に手を振り上げたが、思いとどまって下ろした。「あなたにだって、まだ理性は残ってるじゃない。今のうちなら引き返すことも出来るのよ。人間は過ちを犯すものだけど、悔いてやり直せるのだから。」彼の目をじっと見て、言い聞かせている。吸い込まれるように彼も彼女の目をみつめていた。「やり直せるものなら、やり直したいさ。でも、もう遅いんだ。監査が入れば、ばれてしまう。」飼い主に怒られた子犬のようにうなだれている彼。「今なら大丈夫よ。早く帰ってやり直しなさい。」まるでマリアのように静かに温かく語りかける。彼は導かれるように立ち上がり、「やり直しはきくんだね。」と念を押し、帰っていった。僕は自分に言われてるような気がした。今までの過ちも許されるのだろうか。「僕もやり直せるかな。」いつの間にか声になっていた。「私と一緒にね。」かぐや姫が、突然振り向いて言うのだ。「独り言に答えるなよ。」二人で顔を見合わせて、笑ってしまった。
2005年09月23日
銀座に行くって言っても、かぐや姫はどこにあるかも知らないんだよな。やっぱり僕が連れていかなくてはいけないんだ。電車にしようかと考えていたら、以前、電車に一緒に乗った時のことを思い出した。彼女の腕に触れただけで、ドキッとしたんだよな。まあ、今でもキスまでしか進展はないけど・・・。とにかく電車で行くことにしよう。タクシーじゃ運賃がかかりすぎるからな。一緒に電車に乗ったが、割に空いてる。今日は、彼女もつり革につかまった。前みたいに僕の腕につかまらせたいところなんだけど。なぜか少し距離を感じるんだよな。「僕につかまっていいよ。」とさり気なく言ったつもりだったのに、「あなたに頼りたくないから。」冷たく拒否されてしまう。「こうして一緒に行ってやってるじゃないか。」つい恩着せがましく声を荒げてしまった。「だから、これ以上頼りたくないの。」ツーンと綺麗な顔を横に向ける。「じゃあ、勝手にしろよ。」僕もさすがに頭にきた。次の駅で降りようとするが、彼女は止めようともしない。悔しいから、一旦電車から降りて、隣のドアからまた乗る。一人でどこまで出来るか見てやるんだ。僕も結構意地悪だよな・・・。彼女は、僕をしばらく探していたが、溜息をついてから、窓の外をじっと見ている。何を見ているのかと思ったら、月が出ていたのだ。雲が少しかかって、薄絹をまとっているようだ。帰りたいのかとも思うが、そんなことは言わない。「銀座」のアナウンスを聞いて降りる彼女。僕がいなくても大丈夫なのか。少し離れてついていく。尾行なんて、なんか情けないよな。こんなんだったら、一緒に行ってやれば良かった。彼女は駅を出て、歩道をさっさと歩いていく。人込みの中で見失うまいと、早足で歩いていくと、急に彼女が立ち止まって、振り返った。見つかったかとあせったが、また前を向いて歩き出す。やっぱり一人では不安なのかな。可哀相なことしたのだろうか。また立ち止まり、小さなビルのネオンを見上げている。意を決したように、そのビルに入り、エレベーターのボタンを押す。彼女だけを乗せたエレベーターが、5階で止まった。僕は階段で上がっていった。結構きついな。エレベーターにすればよかったか。早足で上がったので、少し息切れしてしまった。もう彼女は中に入ったらしく、ドアの前には居ない。ドアには金色の文字で「月光」とある。それで、このバーを選んだのか。中から、女の嬌声が聞こえてくる。「かぐや姫とはいいわ。ここにぴったりよ。」今だと思ってドアを開ける。「こんばんわ。かぐや姫が居るんだって?」「いらっしゃい。よくご存知ね。」愛想のいいママさんらしい。「今聞こえたんだ。かぐや姫を指名したいんだけど。」「あら、残念。もう別の人の指名が入っちゃったの。最初から売れっ子ね。」「だって、今来たばかりじゃないか。」つい言ってしまったら、怪訝そうな顔で見る。「そうだけど、お客さん・・・誰?彼女のヒモならお断りよ。」「そんなんじゃないよ。」慌てて手を横に振るが、かえって怪しまれてしまったかな。「ならいいけど。かぐや姫以外にも、綺麗な娘が揃ってるわよ。」そう言われても、彼女以外は興味ないんだよな。というわけにもいかないから、仕方なく誰でもいいと頼む。
2005年09月22日
通勤時間も車で一時間位です。朝夕はもっとかかるだろうから、余裕みて出るけど。なかなか臨時採用の教員がいないようで、助かりましたと言われました。これではとてもお断りできないです。(笑)通勤時間によってはどうしようかと思ってたのですが。「経験が少ないのでお役に立てるかどうか」と言ったら、「教室に居て貰えるだけでも有りがたい」ですって。なんか複雑な心境ですが、少し気楽になりました。1年生の担任の介護休暇代理なのです。期間は10月17日から11月26日まで。25日の金曜までと思ってたら、26日の土曜までなんですって。休日出勤があるのかしら(笑)また27日に書類を持って町役場へ。校長も来るそうで、緊張しますね。でもお住まいが私の実家の近くと聞き、親近感を持ったのですが、やはり遠距離通勤ですね。私が遠いなんて言ってられないかな。
2005年09月22日
今日、別の町の教育委員会から、臨時採用の電話が来ました。通勤時間が車で最低1時間はかかるので、どうしようかと思うのですが、一応、明日11時に面接です。1年生の担任で、また介護休暇代理です。期間は10月17日から11月25日まで。採用されるかどうかは、面接次第なのですが、1年生は難しいのですよね。今の先生がよくしつけてくださってるとのことですが、私がそれを元に戻してしまってはと心配です。以前、受け持った3年のクラスが、前よりもっと荒れてしまって、自信をなくしてしまったのですが、このまま教師を諦めるのも悔しいので、もう一度挑戦してみようかとも思います。
2005年09月21日
耳もとのあなたの声と雨音が重なり響く頭の奥に指濡れてあなたにかけてしまおうと手を伸ばしたら引き寄せられるキスの時目をつむらずにいたならば瞼にキスをしてからにしてグッピィは飼い主来ると寄っていく餌だけでなく愛を求めて噛まれては紅い花びら散るように血にじみ出て舐めて吸い取る庭先の蛍袋に閉じ込めて蛍を放すあなたが来たら
2005年09月21日
銀座のバーになんて勤められたら、僕にはとても通えないよ。かぐや姫もまさかそんなこと考えないよな。「私、銀座で働くわ。」急に大声で宣言するから、周りの人達まで振り向くじゃないか。他のフロアレディ達が、何言ってるのというような冷たい眼差しを向ける。「そんなことやめろよ。第一、銀座なんて素人がすぐに雇ってもらえるところじゃないんだぞ。」声をひそめて彼女にささやく。「あら、もう私ここで働いてるじゃない。」不思議そうに言うけど、君のほうがよっぽど不思議だよ。「まだ今日一日じゃないか。」呆れ顔になってしまう。「1日だってもう慣れたわ。どこだって同じでしょ。」グラスを揺らして、氷の音を響かせている。カラカラと余裕の笑顔だ。「銀座は特別なんだよ。といっても、僕は行ったことないけど。」「なら分からないじゃない。行ってみないと。」「分かったよ。行ってみればいいんだろ。」氷が解けかけたウーロン茶を一気に飲み干す。「じゃあ、早速行ってみましょうよ。」「何言ってるんだ。まだ勤務時間中だろ。」「もうここはいいわ。やめる。」「なんて無責任なんだよ。それにさっきの医者がカルテを持ってきたらどうするんだ?」そうだよ。これでここに引き止められるな。安心したのも束の間、「大丈夫。名刺もらっておいたから、電話すればいいのよ。」いつの間にもらったのか、名刺を顔の横で振りながら笑ってみせる。こういうところは、すばやいんだな。立ち上がろうとする彼女の肩を抑える。「どうする気なんだ?」「やめるって、言いに行くの。」「本気なのか?」「私はいつだって本気よ。」こりゃ止めたって無駄だよな。僕の言うことなんか聞きゃしない。肩に置いた手を腕に滑らせる。「じゃあ僕も一緒に行くよ。」腕を取って立ち上がらせる。「そう言ってくれると思ってたわ。」顔が明るくなって、眩しい。さっと僕の腕を組むと歩き出した。どこまで一緒に行くんだろうな。
2005年09月21日
かぐや姫は少し呆然としていたが、急に席を立ち上がったので、僕もあわてて一緒にさっきの席に戻った。「待たせちゃってごめんなさい。お客さんに挨拶だけというわけにはいかなくて。」済まなそうに微笑んでるのに駄目だなんて言えないよな。それに『月に変わってお仕置き』してたんだから。でも、「待ちくたびれちゃったよ。」と甘えてみる。「その代わり、サービスしてあげる。」とろけるような笑顔で、僕の手を彼女の膝に乗せる。こんなところでされてもなあ。うちでは隙を見せないくせに・・・。そう思っても手が離れない。ワンピースのシフォンの生地を通り抜け、彼女の肌の温もりが伝わってくる。膝をつかんで足を開かせたい衝動にかられるが、少し力を入れただけでビクッとする彼女に理性を取り戻す。こんなんでフロアレディなんて務まらないよ。僕が守ってやらなくっちゃ。『お仕置き』が終わるまで。手を離し、彼女と向き合った。「本当は地球に何をしに来たんだ?」真剣に問いただす。「あなたに逢いに来たのよ。」切ない目で見つめる君を振り払った。「そう言ってくれるのは嬉しいけど、さっきの医者に言ってたことはなんだい?」「月で見た不正を覚えていたの。許せなくなって、つい言ってしまったのよ。」さきほどのことを思い出したのか、憤然としている。「これからも続ける気?」「もうこんなところ嫌だけど、お偉いさんが来たりするのよね。」僕の顔色を伺うように覗きこむ。「ここにはそんな偉い人は来ないと思うよ。もっと銀座とか、高級なところに行かないと。」知ったかぶりで言ってしまってからハッとした。彼女にそんなこと言ったら・・・。案の定、彼女の目が生き生きと輝きだした。
2005年09月20日
ボーイが一番高いボトルをうやうやしく運んで来る。お客の男が、グラス片手に「かぐや姫に乾杯」と言うと、「ありがとうございます。乾杯。」とにこやかにグラスを軽くぶつける。慣れてる様子だ。「お仕事は何をなさってるんですか?」「当ててごらん? ヒントは先生と呼ばれてることかな。」「先生と呼ばれる職業にいい人はいないと言いますよ。」「それはきついなあ」笑って受けながすところは大物なのか。「教師、政治家、作家、医者、弁護士・・・その辺ですか?」うかがうように彼を見上げる。「まあそんなところだな。その中のどれだと思う?」「どれでも同じですわ。」「それはまたどうして?」「手の内を見せない人にはこちらも見せないのです。」冷たくあしらうようにグラスをマドラーで響かせながら水割りを作っている。「分かった。教えよう。医者だよ。これでいいだろ。」大の大人がご機嫌取るのだ。「そうですか。教えてくださって、ありがとうございます。」急に笑顔でグラスを目に前に差し出した。「お医者様なら、高いお酒なんて飲み飽きているのでしょうね。」「なんでだね。」「だって、お礼とかでいただくのでしょう?」「酒なんかじゃないよ。現金さ。」あっさり言うもんだ。「そうですか。そのお金でボトルも入れてくださったのね。」媚を売るような甘い声だ。「こんなのお安い御用だけどね。」「それでは、もっといいものを私のために下さるかしら?」手を彼の手に重ねてしなだりかかる。「なんだい。何でも言ってごらん。」鷹揚にグラスを揺らしている。「それでは、医療過誤で裁判中のカルテをいただきたいです。もちろん修正前のね。」姿勢を正し、声のトーンが低くなる。「なに言ってるんだ。そんなものあるわけないじゃないか。」うろたえて、グラスから酒をこぼしてしまう。「いいえ、金庫の中にしまってあるはずです。」「なんで、そんなことを知ってるんだ。」「月から見えたのです。」言い放つかぐや姫に、医者はたじろいでいた。僕も驚いた。何もかもお見通しなのか。「なに馬鹿なこと言ってるんだ。もう冗談はいいかげんにしろ。」狼狽したのか、罵声をあびせる。「冗談ではありません。あなたはそのカルテを持ってくるのです。」かぐや姫がじっと医者を見すくめると、まるで催眠術にでもかかったように、医者が立ち上がった。「分かりました。持ってきます。」大声を聞きつけたボーイが、「どうかしましたか」と駆けつけると、「いや、なんでもない。私は用を思い出したので帰る。」そそくさと帰ってしまった。僕はかぐや姫に駆け寄り、「何をしたんだい。」と訊ねた。「何もしてないわ。ただ彼の心に呼びかけただけよ。本当は彼だって罪悪感を持っているの。それを隠して仮面をかぶってるから、外してあげたまでよ。」何かを思い出すようにつぶやいている。僕はそれ以上何も言えなくなってしまった。もう帰ろうと言いたいところだけど、まだ勤務時間だからなあ。こういうことをするために、かぐや姫はこの店に来たのか。まだ訳が分からないでいた。
2005年09月19日
往く人の背中にしがみつきたくて思わず後ろ向いてしまう日まだ暑い陽射しをふっと吹き飛ばす秋風よまたここまでおいで伸びやかに手足広げて横たわるあなたに触れてしまわぬようにお供えした窓から月がよく見えるうさぎから餅もらうと教え月に映る影はうさぎかあの人かじっと見つめて涙でぼやけ
2005年09月19日
かぐや姫が腕をからめてくるから、ますますそんな店に行かせたくなってしまう。僕だけのものにしておきたいのだ。「どうしても行かないといけないのか?」哀願口調になってしまう。「私だって、本当は行きたくないけど、行かないといけないの。」かぐや姫もさっきまでの強さがなくなってる。「なんで行かなければいけないんだ?」「わけは言えないけど、どうしてもなの。だから、ついてきて欲しいの。」目を合わせるのが辛いくらいに見つめる。「わかったよ。一緒に行こう。」僕が守ってやらなければと思う。腕を組みながら、歩いていく。足取りはつい遅くなってしまうけど。やっと店に着くと、「こんばんは。遅れてすみません。」かぐや姫は明るい声で挨拶する。うなだれて歩いていた彼女とは別人のようだ。「待ってたよ。早速同伴か、やるねえ。」僕までじろじろと値踏みされてる。「新入りのかぐや姫だ。ほら、みんなに挨拶して。」注目を浴びるかぐや姫。その好奇の目をはね返すように、「かぐや姫です。よろしくお願いします。」と堂々と挨拶して、お辞儀する。深々とするものだから、かえって、気品が漂う。それから奥の席に案内されて、やっと人心地がついた。「ここって、いくらくらいするんだろうね。」声をひそめてかぐや姫に聞くが、「そんなこと私だって知らないわ。」と頼りない。毎回ついてくるわけにはいかないし、どうしたらいいのだろうか。「ご注文は?」とボーイに聞かれて、思わず「ウーロン茶」と二人で一緒に言ってしまった。顔を見合わせて、笑ってしまう。ボーイは戸惑った顔をしていたが、最初だから仕方ないと思ってくれたのか、そのまま受けてくれた。「酒にしないといけなかったかな。」あまりこういうところに来たことがないんだよね。酒にも強くないし、付き合いも苦手だ。「いいんじゃないの? 何も言われなかったし。」相変わらず無邪気なかぐや姫。これで、フロアレディが務まるのだろうか。「かぐや姫さん、ご指名が来てるのですが、こちらに来ていただけますでしょうか。」慇懃無礼に先ほどのボーイが呼びに来た。早速指名とは、さすがかぐや姫だが、心配だなあ。僕では金にならないとボーイも思ったのか・・・。まさかその席に付いていく訳にもいかないし。「私は、こちらのお客様のお相手をしてるのです。そちらはお断りしてください。」毅然と言うかぐや姫。「そうは言われても、困るんです。顔見せとして、挨拶だけでもしてください。」ボーイも容易には引き下がらない。「では挨拶だけね。」と言って、席から立ち上がる。「すぐ戻ってくるから、待っててね。」耳元でささやく声が甘く感じる。「代わりに誰か来させましょうか。」ボーイにそう言われたが、断る。かぐや姫が気になるからな。席はそう離れてないようだ。通りすがりのかぐや姫を見て、指名したのだろうか。耳を澄ませて、会話を聞こうとするが、よく聞こえない。トイレに行く振りをして、近くの空いてる席に座ってしまう。「君、新顔だね。名前はなんて言うんだい?」脂ぎった顔の男が、ねちっこく聞いてくる。「かぐや姫です。」「珍しい源氏名だね。」「源氏名ではなく、本名よ。」おいおい、そんなこと言っていいのか?僕はあせってしまった。「こりゃすごい。冗談でも、こんなハッタリ聞いたことないよ。面白い子だな。気に入った。」大笑いしてるので、受けてしまったらしい。「本当なのに。」少し拗ねたように言うかぐや姫。「わかった。もういいから。かぐや姫に逢えた記念に、ボトルを入れてやろうかな。何がいい?」「一番高いのお願いします。」「また度胸がいい娘だな。」目を見張っているが、悪い印象ではないらしい。可愛いと許されるものなのだろうか。
2005年09月18日
顔を見合わせて、うちで夕食とってると、まるで新婚みたいだよな。かぐや姫が来てくれてから、僕は急いで帰ってくるようになった。それなのに、そんな店で働くなんて。「やっぱり、仕事やめたら。」箸をとめて、真剣に話す。「やめないわよ。」食べながら、淡々と言う。「じゃあ、今日僕が同伴で行って、確かめてやるよ。どんな店だか。」反対してもムキになるから、譲歩して言ったのに、「いいけど、やめたほうがいいと言っても、言うことは聞かないわよ。私自身のことなんだから。」毅然とした態度で、つけ入る隙がない。まったく生意気だよな。「分かったよ。でもとにかく行くからな。」「どうぞ、ご勝手に。」なんかどんどん可愛げなくなってくなあ。どうしたっていうんだ。「勝手にするよ。」こっちもつんけんしてしまう。こんなはずじゃなかったのに。やっぱりその仕事がいけないんだ。しばらく沈黙で食事を済ます。彼女は黄色のワンピースに着替え、出かける用意をしている。「そのワンピースは着ていって欲しくないな。」「なぜ?これが一番似合うのに。」「だからこそ、他の男に見せたくない。」「焼餅やいてるの?大丈夫よ。あなたは特別だから。」「どう特別なんだい?」「あなたのために地球に来たのよ。」「だったらなんで、そんな店で働こうとするんだ。」「仕方ないのよ。あなたには分からない。」急にしおらしくなる。「お金だったら、なんとかなるんだから。」「そういうことじゃないの。」考え込むようにうなだれるから、それ以上聞けなくなってしまった。「とにかく早く行きましょう。開店時間に間に合わなくなるわ。」腕をとられて、席を立つ。
2005年09月17日
今朝は灰色の雲がかかって、雨が降りそうな天気だ。目覚めが良くないな。朝、うちを出るとき、かぐや姫に念を押した。「仕事は僕も探すから、今日はうちに居てくれよ。」頼むように言ったのに、「そうね。」と考え込む様子。不安を振り切るように「じゃ、行ってくるから。」と言うと、「行ってらっしゃい。」やけに機嫌よく送り出してくれる。なんか心配だなあ。案の定、雨が降り出してきた。しとしと降る秋の雨だ。その雨の中を、かぐや姫は出かけたのだった。昨日のあの店に一人で乗り込んでいったのだ。「お願いします。どなたかいませんか?」店の中を覗き込み、ソファで休んでる男を見つけた。「誰だ。まだ開店してないよ。」と目をこすりながら、起き上がる。「こんにちは。雇ってもらいたいんですけど。」と近づいていった。「え?募集みたの? 可愛いね。今日から早速来れる?」薄暗い店の中で、目を凝らしていたが、かぐや姫の顔がよく見えたら、即決だ。「はい、大丈夫です。」元気よく答える。「名前はなんていうの?」と軽く聞かれて、「かぐやひめ。」と平然と言う。「冗談だろ。」笑ってから、まじまじと見つめる。「まあ源氏名にはいいな。それでいこう。」「源氏名ってなんですか?」「お客に呼ばれる名前だよ。」「源氏物語と関係あるの?」と身を乗り出して聞くが、「知らないけど、そうかもね。」あっさりかわされてしまう。「とにかく今夜から来てよ。同伴も歓迎だよ。」最後、急に声をひそめた。「同伴って?」「お客さんと一緒に店に来ることさ。それだけでも、手当てが上がるよ。」「そうなの。」と目を輝かせた。そんなことがあったとも知らず、僕は会社から帰ってきた。うちに入った途端、「お帰りなさい。私、仕事決めてきたの。」とかぐや姫に明るく言われてしまった。「どんな仕事?」おそるおそる聞いてみると、「昨日見たあのお店よ。」と宣言する。心配が的中してしまった。「それだけはやめておけよ。僕も一緒に断りにいってやるから。」困ったと思いながら、内心、興味もあるのだ。「そんな必要ないわ。お客さんで来てくれるならいいけど。」と目を見つめて誘う。「分かった。そうするよ。」そんな仕事は心配だけど、かぐや姫は反対すれば反対するほど、ムキになってしまうから、仕方ないなあ。「さっそく同伴だわ!」無邪気に手を叩いて喜んでいる。「なんだって?」と思わず言うと、「お客さんと一緒にお店に行くことですって。」自慢げの様子。実はそれくらい聞きかじってはいるが、「僕は、お客じゃないんだけどな。」と、ぼやいてしまう。彼女にとって僕は一体何なんだろう?「じゃあ、早速行きましょうよ。あなたに報告したくて待ってたの。」と浮き立って、僕の腕を引っ張る。「ちょっと待ってくれよ。僕は今、帰ってきたばかりなんだぞ。少しは休ませてくれよ。」本当に勘弁して欲しいよなあ。「そうね。それに夕食食べてからのほうがいいわね。」急にかいがいしく夕食を並べ始める。「なんだ。用意してくれてたんじゃないか。」やっとうちに帰ってきたという感じがする。「もちろん。でも、お店でも食べられるのよ。」また、とんでもないことを言い出すんだから。「そんな店で食べたら、いくら取られるか分からない。君だって、ちゃんと食べていかないと持たないよ。」きちんと言っとかないとな。常識ないんだから。「そうなの? じゃあ、私もお相伴させてもらうわ。」にこっと笑って、席につく。まったく、憎めないんだよな。
2005年09月16日
「私もうちに居るだけじゃ嫌だな。迷惑かけるし、何かできることはないかしら?」と、かぐや姫は畳みかけるように言ってきたので、僕は戸惑ってしまった。「うーん、仕事するのは無理だと思うよ。うちにいて家事をしてくれたら嬉しいんだけど。」と、哀願するように言ってみるのだが、「だって面白くないんですもの。他の人間にも会ってみたいし。」と、いたずらっぽい目で僕を見る。「それは困るなあ。」「そう?」と、オロオロする僕を楽しんでるかのようだ。長い髪を指先でくるくると回しながら。「いまどき珍しい黒髪だよな。烏の濡れ羽色って言うんだっけ?」と、彼女の髪に見とれて言うと、「今はそんなことどうでもいいの。」と、ぴしゃりと言われてしまう。「結構きついんだなあ。もっと大和撫子かと思ったのに。」とちょっとがっかりして言う。「あら、昔の方が女性強かったのよ。私は誰にも頼らなかったわ。」と毅然としている。「確かに誰にもなびかなかったよな。でも今はどうなんだよ。」とムッとして言い返すと、「だから、独立したいの。」と唇をとがらせて答える。怒った顔も割といいなあ。「そういってもなあ。今の常識知らないし、社会に出るのはちょっとね。」ともったいぶって、かぶりを振る。「わかったわ。自分で探してみる。」と外へ出ようとする彼女。「待ってくれよ。一人じゃ危ないよ。僕も一緒に行く。」とあわててついていく。夜に彼女一人出す訳にはいかないからな。怖いもの知らずというか、向こう見ずというか、僕がついてないと、と思ってしまう。「ついてこないでいいわよ。」と早足で歩いていく。「何をするか心配なんだよ。」と腕をつかむと、振りほどいて、「仕事なんて自分でも探せるわ。」とムキになって言うから、「君に出来る仕事なんてないよ。」と僕までつい強く言ってしまった。「何かあるはずよ。あれはなあに?」とビルのネオンが輝いてる店を指す。「あれは、ちょっとやばいよ。女性が男性にサービスするところだけど、お酒も飲まされるし、何をされるか分かったものじゃない。」と必死で止めると、「ふーん。面白そうね。」と笑って、かえって興味を示す。天邪鬼だなあ。危ないので、腕をつかんで、引き戻す。今度はなぜか素直にされるがままにしているが、時々振り返ってはさっきの店を見上げていた。「仕事なら、僕も一緒に探してやるから。」一抹の不安が頭をよぎったが、振り払うようにどんどん歩いた。「もう、そんなに引っ張らないでよ。痛いじゃない。」とまた腕を振り解こうとするので、つかんでる指を緩めた。するっと腕が抜けて、急に彼女が走り出す。「つかまえてごらんなさい。」振り向いて言ったかと思うと、羽のように軽い足取りで跳んで行く。「待てよ。」右手を伸ばしながら走るが、不思議と追いつかない。僕だって結構速いのに。それでも、やっと追いついたと思ったら、急に立ち止まるので、ぶつかって二人とも倒れてしまった。彼女の上に乗ってしまう。「大丈夫かい?」とそのまま声をかけると、「早くどいてよ。」と怒って言う。「ごめん。」慌てて跳び起きると、彼女がきゃしゃな右手を差し出す。「起こして。」急に甘えた声を出す。まったく可愛いんだか、生意気なんだか、振り回されてしまうよな。「しょうがないな。」と言いながら、右手でつかみ、勢いよく引き起こす。その拍子に彼女が僕の胸に飛び込んできた。「つかまえててね。」ささやくように言うから、思わず抱きしめてしまった。「離さないよ。」声にも腕にも力がこもる。またキスをしてしまった。今度はさすがのかぐや姫も目を閉じて待っててくれた。その後、肩を抱き、うちに戻った。僕達二人のうちへ。
2005年09月15日
金子みすずの「私とことりとすずと」の詩に私が曲をつけて歌った歌が、着うたサイトに採用されることになりました。携帯はau対象です。「Indeies Cafe」4月に音楽サイトから、連絡着てたのだけど、その頃は、仕事で手一杯で、日記に載せようなんて思わなかったのです。でも、どうせなら、ダウンロードしてもらいたいなと思って、書いてみました。パソコンからもいけるので、良かったら行ってみてください。に、いろいろな歌を載せてるので、聴いてみてください。以下はMUZIEからのメールです。「現在、ネスコウイング社(本社、福岡県)と共同で着うたサイト「Indies Cafe」を運営しております。今回コンテンツ契約を結んでいらっしゃるアーティストを対象に選曲を行い、楽曲を提供させて頂くことになりましたので、内容についてご確認いただければと考えております。提供先に関する情報は以下の通りとなります。-------------------------------------------■提供先 :着うたサイト「Indies Cafe」■URL :http://indies-cafe.nescowing.co.jp/ez/■内容 :AU向け着うた配信サイトになります。■料金体系 :月額基本使用料 200 円(5 曲までダウンロード可) 6 曲目以降のダウンロードについて 1 曲当たり 30 円課金。■楽曲データ:32kbps 22khz mono (テーマ部分 15~30 秒) ※一部機種について 24kbps で提供■運営会社 :株式会社ネスコウイング■共同企画 :有限会社ミュージー■報酬 :1 ダウンロード当たり 9.3 円の予定。-------------------------------------------[今回提供を予定している楽曲一覧 ] ・私と小鳥と鈴と ※2005/4/15からの配信を予定しています。」
2005年09月14日
髪を撫でてる手が頬にすべり落ち、引き寄せていった。瞳を開けたままのかぐや姫。「目を瞑って。」素直に目を閉じる。抱き寄せて、キスをした。びっくりしたのか、身を震わせたが、観念したかのように、大人しくなる。「もう目を開けていいよ。」と耳元にささやく。「何をしたの?」「キスだよ。」「なぜ?」「君が好きだから。」と言うと、少し考え込んでいる。「口吸いね。」「古いなあ。」と、思わず笑い出してしまった。まあ仕方ないか。風に木々が揺れてざわめいている。雨でも降ってきそうだ。「そろそろ帰ろうか。夕立が来ないうちに。」「そうね。」二人で歩き出すと、急に土砂降りの夕立。手を繋いで、走り出したが、もうびしょ濡れだ。どこかに雨宿りをするところはないかと見渡したら、遠くに東屋が見えた。「あそこまで走ろう。」「うん。」だんだん僕に慣れてきたな。安心したのか、声が優しくなってる。東屋に駆け込んで、雨をはらう。「ここで、雨が止むのを待つか。」「この雨は止まないわ。」「なんで分かるんだ?」「だって、これは夕立じゃないから。もう秋の雨だもの。」「まだ夏だよ。」「そんなことない。」二人で言い争っているうちにいつの間にか雨が止んでいる。「ほら、夕立だったじゃないか。」「おかしいな。秋の匂いがしたのに。」「地球に降りてしばらくたったから、自然の勘が鈍ったのかもね。」「そうかしら。確かにあの風は秋風だったの。」と、淋しそうにつぶやく彼女の肩を抱いて、東屋を後にした。うちに帰っても、彼女はなぜか暗い顔をしている。キスしたのがいけなかったかな。「どうしたんだい?」「別に。ただ、なんとなく淋しくなっちゃったの。」「月が恋しくなったのかい?」「そういうわけではないの。地球は面白いし、 あなたも居るから、いいのだけど。」それでも浮かない顔だ。「さっきはいきなりキスしてゴメン。」と、頭を下げると、「いいのよ。私もあなたが好きだから。」と、恥ずかしげにうつむく。初々しくていいなあ。「それじゃあ、元気を出してよ。」と手を取る。「うん。そうする。」やっと笑った。もう日が早くなって、落ちてしまった。空が、夕焼けの茜色から紫へと変わる。夜の闇が全てを覆い隠そうとしていた。
2005年09月14日
眠れぬ夜を過ごし、寝不足だけど、初めてのデートだから、張り切って起きてしまった。カーテンを開けると、朝日がまぶしい。いい天気でよかった。「うーん。」と朝日に起こされて、かぐや姫も目覚めがいい。今日はどこに行こう。まずは近くの公園かな。それとももっと大きな公園の方がいいかな。なぜかかぐや姫とは自然の中に行きたいのだ。犬でもいれば、一緒に走り回りたいくらい。歩いていけるところがいいのだが、近くにはそんな大きな公園はないし、電車にでも乗るかな。かぐや姫は乗ったことないから、驚くだろう。思ったとおり、かぐや姫はラッシュに悲鳴をあげる。「なんでこんなに人間がいるの?」かばうように包み込む。「会社や学校に行く時間が一緒なんだ。仕方ないんだよ。」押されてくっついてしまういい訳だ。やっと乗換駅で降りて、下りに乗ると今度は空いている。かぐや姫はまた驚いてる。電車が揺れると倒れそうになるから、「ほら!つかまるんだよ。」と手を取ってしまった。僕の左腕に彼女の右腕をからませて僕は右手でつり革をつかむ。猫のようにしなやかな柔らかい腕。そういうものかと不思議そうに僕を見上げる彼女が愛しい。駅についても、そのまま腕を組んで歩いた。はぐれないように、というより、離したくなかったのだ。彼女はどう思ってたのだろうか。今となっては分からないけど。公園に着いて散歩した。木々が風に揺れ、木漏れ日が僕らを包む。穏やかで幸せな気持ちになる。こんな時間が永遠に続いたらと思う。隣に彼女が居るのが自然になっていた。夏が終わりに近づいてきたのか、爽やかな風が心地よい。淋しいくらいだ。急に腕に力が込められたから、思わず彼女を見てしまう。「何を考えてるの?」見上げる顔が不安げだ。「何も考えてないよ。ただ幸せだなって感じてた。」「そう、良かった。私もよ。」と無邪気に腕にぶら下がる。遊歩道が奥深い森へと続いていく。うっそうと茂った森では、木漏れ日さえもかすかになる。まだ蝉がかすれるように鳴いていた。去り行く夏を惜しみながら。この森はどこまで続くんだろう。果てがない訳はないんだ。いつかは終わりが来る。かすかな予感が頭をよぎる。振り払うように彼女に話しかけた。「ここからじゃ、月は見えないね。」「でも、月からはみんな見えるのよ。」当たり前のようにかぐや姫は言う。「そうなのかい?僕のことも?」「だから、あなたのところに飛んできたの。」「なぜ僕なんだい?」「自分でもよく分からないの。ただあなたを見てたら、吸い込まれるように舞い降りてしまったの。どうしてかしら?」と、じっと見つめるから、僕の方が、彼女の瞳に吸い込まれるそうになった。「わけなんてどうでもいいや。とにかく君が来てくれたんだもの。それだけでいいよ。」「そうだよね。」と、うなずく彼女の髪を撫でた。
2005年09月13日
昨夜は、慣れてきたせいなのか、それとも睡眠不足のせいなのか、かぐや姫が居ても、眠れてしまった。それも哀しいけど。今日は仕事を定時に終えて、服を買いにいかないとな。明日、デートが出来なくなってしまう。そのためには能率よく仕事をこなさなくちゃ。まあ、おとといは残業したお陰で、かぐや姫に逢えたから良かったけど。仕事中、かぐや姫を思い出し、ちょっとぼんやりすることもあったが、こんなことしていては定時に終わらないと自分にはっぱをかけて、頑張った。お陰でいつもより早く終わったくらいだ。自分でもやればできるんだなと苦笑する。明日の休暇届も出し、定時に退社。「お先に失礼します。」つい声に張りが出てしまう。「やけにご機嫌だな。何かいいことでもあるのか?」と上司にからかわれたが、「まあ、そんなとこです。」と笑ってごまかした。早速ブティックに飛び込み、レモンイエローのプリンセスラインのフェミニンなワンピースを買った。色といい、デザインといい、かぐや姫らしいと、一人で悦にいっている。これこそ、月のお姫様だよな。下着を買うのは恥ずかしかったが、自分好みにしてしまった。うちに帰ると、「お帰りなさい。待ってたの。」と言って、出迎えてくれた。一人暮らしが長いから、こういうのって、嬉しいよな。「服と下着を買ってきたよ。気に入るかな。」「わあ嬉しい。見せて。」袋から取り出し、ワンピースを胸に当ててみる。「どう?似合う?」黄色が顔に映えて明るくなる。「似合うよ。着てみてくれないか。」「ちょっと待っててね。」ユニットバスで着替えてきた。思ったとおり、彼女によく似合う。「素敵な服ね。」と言いながら、くるりと回ってみせる。裾がひるがえって、素足がまぶしい。「明日はそれを着て、公園に散歩に行こう。他にもいろいろ連れて行ってあげるよ。」「ありがとう。でも、そんなにいろんなところへ行かなくてもいいよ。あなたと居るだけで楽しいから。」頬を赤らめて言うから、僕まで赤面してしまう。「そう言ってくれると嬉しいな。僕も楽しいよ。じゃあ、今日は早く寝て、明日は早起きして行こう。」照れ隠しに後半は大きな声になってしまう。今夜はまた眠れなくなりそうだ。
2005年09月12日
朝、目が覚めると下に寝てることに気づき、昨夜のことを思い出す。はっと起き上がってベットを見ると、かぐや姫がすやすや寝ている。夢ではなかったのだ。起こそうかと思ったが、しばらくこうして可愛い寝顔を見ていよう。白い素肌に長い黒髪。口紅をつけてないのに紅いのだ。もの憂げに顔をしかめて、伸びをしたかと思うと、パッと目を見開き、目が合ってしまった。「おはよう」思わず照れ隠しに言う。「おはようございます。」まだ目が覚めやらないようだ。「もう朝だよ。お腹は空かないかい?」「いいえ、まだ空いてません。」「でも、少しは食べなくっちゃね。何なら口に合うかな。パンしかないんだよ。」「何でもいいです。いろんなもの食べてみたいから。」お姫様にしては気取りがないよな。二人でパンをトーストして食べた。牛乳とサラダも出したが、「意外と美味しいですね。」とぺロッと平らげてしまった。結構、食欲あるらしい。痩せの大食いかも。「僕は会社に行かなければいけないから、君はここで留守番していてくれないか。」少し心配だけど仕方がない。「何をしていればいいのですか?」「別に何もしなくていいよ。」「ここを片付けてもいいでしょうか?」見られて恥ずかしいものもあるから困るな、と思いつつ、そうも言えない。「片づけてもらうとありがたいけど、どこにあるか分からなくなってしまうから、端に寄せておいてもらえばいいよ。それより、僕が帰ってくるまで、決して外に出てはいけないよ。危ないからね。それに、誰かが来てもドアを開けないこと。ここで話せばいいんだ。」とインターホンを教える。まるで白雪姫だな。「はい、分かりました。」素直にうなずくかぐや姫を見ていると、可愛くて思わず抱きしめたくなってしまう。「でも、もし外にでたくなったらどうしたらいいのですか?」おいおい、急にどうしたんだよ。「それはちょっと待ってて欲しいな。今日、服とか買ってくるから、それまで我慢してなね。」「じゃあ、服に着替えたら、外に出てもいいの?」目を輝かすかぐや姫。これじゃあ駄目って言えないよな。「明日ならいいよ。僕も休みを取ってくるから。」仕方なく、といっても、デートかな、なんて思いつつ、約束してしまった。
2005年09月12日
「とにかく、こんな格好ではなんだから、うちに行って着替えないか?」僕は薄衣のかぐや姫を人目からかばうように前に立ち、歩いていった。後ろから素直についてくる。「こんな時間に開いてるブティックはないからね。」と言いながらも、それを口実に自分の家へ連れて行こうとする僕。でも、今夜泊まるところもないだろうし、ほっとけないよな。自分にそう言い訳している。タクシーでうちまで直行してしまった。結構かかったけど、仕方ない。部屋は散らかっていたが、あわてて片付けて、座らせる。かぐや姫は、周りを珍しそうに見回してる。来る途中も見たかっただろうが、ゆっくり見られなかったのだろう。お茶を出すと、恐る恐る手を伸ばす。「これは何ですか?」「日本茶だよ。紅茶や珈琲よりもいいかと思って。昔、飲んだことあるんじゃないかな。」「そういえば、地球に居た時、飲んだことあるような。もうずっと前だからよく覚えていないけど。」首をかしげるしぐさも愛らしい。「そうだろうね。お茶は貴重で薬代わりだったしな。飲んで、落ち着いたら、着替えようか。目のやり場に困るから。」本当は着替えさせるのが惜しいくらいなのだけど、そうしないと、自分が抑えられなくなりそうで怖い。スエットの上下を渡して、洗面所で着替えるように言う。「これはどう着るのですか?」「足をこのズボンに通すんだよ。」「こうですか?」目の前でやろうとするので、あわてて、止めた。羞恥心がないのだろうか。男の前で無邪気すぎるよな。「それでいいから、洗面所でね。」といってもユニットバスだから、バスルームも兼ねているのだが。こんな狭いワンルームマンションで、二人っきりとは、僕の自制心が持つだろうか。今夜は長いなあ。「着替えてきました。」スエットの上下でこんなに可愛いのだから、ワンピースでも着せたら、と想像してしまう。とりあえず、ベットに彼女を寝かせ、僕は下のカーペットに横になる。「私だけ寝床を用意してもらって、申し訳ないわ。まだ余裕ありますよ。」と自分の脇を指差す。「いいよ。僕はここで。隣では寝られないんだ。」あわてて手を振る。「そうですか。じゃあ、お休みなさい。」やけに素直に引き下がる。誘ってる訳じゃないんだよな。分かってないのだろう。そう思っているうちに、疲れていたのか、軽い寝息が聞こえてくる。僕はやはり寝つかれない。起き上がって、寝顔をのぞく。安心しきった顔を見ると、とてもじゃないが、何も出来ない。眠れないまでも、せめて目を瞑って休まないと。明日はどうしようと考えると、ますます目が冴えてしまうのだった。
2005年09月11日
今日はいい天気だったせいか、夜も星や月がよく見える。久しぶりに月を見つめていると、なにやら落ちてくるものがある。錯覚?と目をこすっても、かえってはっきりと見えてくるのだ。天女かと思った。薄い衣を身にまとい、恥ずかしげに舞い降りたのだ。「ここはどこですか?」と口を聞いた。「君は誰なんだ?」と僕。「私はかぐや姫です。」「冗談言うのはやめてくれよ。」「本当です。」ときっぱり言う。嘘を言ってる様子はない。「じゃあ証拠を見せてくれよ」「不老不死の薬を持ってます。試してみますか?」「いいよ。昔も燃やしたんだろ。」「そうですね。不死ならぬ富士の山で。」「すごいな。僕は興味があって知ってるけど、そんなことまで知ってるなんて、今の女性らしくないよな。」確かに不思議な女性だ。「そうでしょう。」とにっこり微笑む。思わず引き込まれそうになるほど、可愛い。「まあ、いいや。とにかくそんな透けそうな服、着替えた方がいいと思うよ。目の毒だから。」と見たいけど、見てはいけないと目をそらしてしまった。「これしか着るものはないのです。いつのまにかここに来ていたのですから。あなたと目が合って、惹き寄せられるようにここに降りてきてしまった。どうしてなんでしょう。」と、大きな瞳でまっすぐに見つめられると、心がかき乱されてしまう。「どうしてなのかは、僕の方が聞きたいくらいだよ。でも、僕の為に来てくれたと言うのなら、ありがとう、かぐや姫。」「どういたしまして。」「といっても、かぐや姫なんて、誰も信じないだろうから、別の呼び名を考えないと。別名、この花咲くや姫ともいうらしいから、咲きちゃんと言うのはどうかな。」「咲きちゃんですか?ちゃんと言うのは何ですか?」「まあ、姫ということだよ。」「ならいいでしょう。」やはり姫なのか、気品があるんだよな。こんなふうに咲ちゃんことかぐや姫と僕は出会ったのだ。
2005年09月10日
おやこ劇場の幼児サークルで、おはなし遊びみたいにいろんなことして遊ぶというので、BGM代わりにピアノを弾いてくれと頼まれました。場面とか時間とか分からず、オリジナル曲を用意できず、即興でやろうと思っていたけど、やっぱりそれだけでは時間が持たない。子ども達が別々に遊んでるから、ずっと弾き続けていてというのです。仕方なく、童謡や子どもの歌、知ってる曲などを次々に弾いてました。私の曲や即興なども織り交ぜながらね。ちょっと哀しげな曲になってしまったりするけど、子どももたまにはいいよね。途中、親子でそばに寄ってきて聴いてくれるので、リクエストを聞いて弾いたりしました。「おもちゃのチャチャチャ」や「泳げたいやきくん」、「イヌのおまわりさん」などなど。曲が思い浮かばないのでかえって助かっちゃった。凝った伴奏は出来ないけど、適当には弾けるから、こういうときは便利かも(笑)生ピアノがあると、子どももぐずらないなどと言われて嬉しくなってしまいました。まあ、たまたまかもしれないけど。おはなし遊びの後、久しぶりに「ひよこさんの散歩」というパネルシアターをやりました。時間が余ったらやってということだったので、練習もせずにいってしまい、歌詞を間違ったり、ひよこを下に落としてしまったりとドジばかり。ひよこを落としたときは焦ったけど、ひよこさんがかくれんぼするから、「目を瞑って、もういいかいと言ってね」と言ったら、かえって喜んでくれました。こういう演出もいいかな(笑)なんとか無事に終わり、「今日は臨時のスタッフだけど、お願いすればスタッフになってくれるかもよ」なんて司会に言われ、「それは勘弁して」と言ってしまいました。仕事もするつもりだし、幼児サークルのスタッフは結構大変なんですよね。その後、昼食をおやこ劇場の事務局でとり、午後は例会(劇、音楽会など)選びのアンケートの集計。私がひとつひとつ読み上げて他の人が正の字を書き込んでいくのだけど、いちいち劇評の話しになって、進まないのです。いつ次の劇を読み上げたらいいかな、なんて迷ってしまいました(笑)それでもなんとか終わり、今度は集計表の作成です。今年から、幼児、小学生、中学生以上の例会を機械的に分けて集計表に載せるのではなく、対象年齢がまたがってるものもあるから、幼児と小学校低学年で一緒に見るとか出来るように、集計表にも対象年齢も載せて、三つを統一しようと言うのです。フォーマットを変えるので、それをパソコンで打ち出そうと言う。誰か打ってくれないかな、と顔を見られ、仕方なくエクセルで集計表を作りました。ワードでも表できるけど、罫線書くの苦手なんですよね。エクセルもあまり得意ではなく、試行錯誤だけど、なんとか出来てよかった。フォーマットだけ作って、あとはそれに手書きで書き込みます。そこまではちょっと勘弁と、事務局を引き上げ、帰ってきました。それでも4時過ぎでしたね。まあ、久しぶりにお役に立ててよかったかな。おととしは運営委員もしていたのだけど、去年から働き出して、何のお手伝いも出来てなかったから、せめて暇な時は手伝わないとね。でも、暇なんでしょと言われ、頼まれるから、はやく仕事見つけなくっちゃな。臨時の小学校教員の話は来ないし、やれば心身ともにきついから、どうしようかと迷っています。別の仕事を見つけようかとも。もう少し考えたいのですが。やはり、ピアノを弾いたりすると、音楽はいいなあと思ったのですけど、そういう仕事はなかなかないしね。音楽専科も大変だからなあ。
2005年09月09日
ちょっと驚いたけど、新鮮な感じでした。良かったら、読んでみてくださいね。リチャード・カールソン著、大原敬子訳。幸せになれる5つの原則1.思考は現実ではない。「幸せになるために考えすぎていませんか?」私の考えはただの考えにすぎない。事実ではないのだ。自分の考えにいつも従う必要はない。2.気分に左右されない。「気分が悪い時に何かをしようとしていませんか?」落ち込んでるときは「内面の声」に耳を傾けない。変わるのは気分であって、人生ではない。3.現実は一つではない。「自分の考えだけが正しいと思ってはいませんか?」他人を変えようなんて無駄なこと。「こうあるべき」が無くなると愛情がよみがえる。4.感情は思考のナビゲーターである。「感情のおもむくままに行動していませんか?」感情に圧倒されるのではなく、心の中で起こってるだけのことだと理解したうえで、それを素直に受け止める。5.今を生きる。「現実に直面せずに不幸だとなげいていませんか?」過去は単なる記憶として「意識」の中に存在してるだけ。過去が自分の人生を決めているパワーではない。将来の心配事を考えれば考えるほど気が動転し、いらだってくる。過去も将来も考えず、「いまが幸せ」かどうかだけ考える。5つの原則を応用して幸せに生きる。6.人間関係に応用する。「誰もが人の役に立ちたいと思っているのです。」相手に対してポジティブな気持ちが湧くのを待つ。「正しくありたい」のか、「幸せになりたい」のか。7.ストレス解消に応用する。「悪いのは周りの環境ではありません。」ネガティブな証拠ばかり集めない。少しでもストレスを感じたら休む。8.問題解決に応用する。「悩むのをやめると知恵が湧く。」分析をすればするほど問題は大きくなる。わざと問題を忘れると考えが浮かんでくる。9.幸せになるために応用する。「願望を叶えることが心の喜びなのではありません。」幸せは気持ちであって、結果ではない。幸せはいま、この瞬間にある。訳者のあとがきもいいのです。「すべての出来事は感情によって起きるものです。大事なことはあくまで事実は単なる現象であり、それをどうとらえるかで変わってくるということです。ですから現実はあなたが考えてる一つだけではないのです。感情に振り回されることなく、あくまでも冷静に物事を見なさい。」とドクターカールソンは言っています。生きることに疲れ、生きることをあきらめ、生きることを捨てようと思う。そんな心の渇きを何度か経験しながら、それでも歯を食いしばって生きているのは、「こんなことで自分をなくすのはいやだ!」という本能がそうさせるのです。 本能は「幸せ」の追求を促します。そうです。人生は「苦しんだり、悩んだり、憎んだり」しながら、心を浄化し、自分の大事なものが何であるかを知っていく、自分探しの旅でもあるのです。自分を大切にするということは、自分の大事なものが何であるかを知っていることです。生きるとは愛すること。生きるとは学ぶこと。生きるとは「幸せ」になること。生きるとは自分を知ること。そしてあなたにとっていちばん大事なものを、いまよりも、もっともっと大事に守ってあげてください。 あなたが生きていること、それだけで幸せと感じられる人生を築いてください。
2005年09月09日
垣根越え咲き誇りたる萩もまた風には乱れ露も零れし帰りては朝日まぶしく照らし出すシーツの白さに匂い立つ香
2005年09月08日
ただかすかに思い浮かぶのは、ろうそくの光の中でうごめく白い肌。確かにこの手で触れたはずなのに幻のように消えてしまう。本当に彼女だったんだろうか。夢うつつの僕を朝日が起こす。隣を見ると、ワイシャツが脱ぎ捨てられていて、かすかに彼女の香りがする。確かに彼女はここに居た。でも、どこに行ったんだ?もう帰ってしまったのか、それとも朝食の用意でもしてくれているのか。ワイシャツを脱いで、裸なんてことはないよな。昨日着てきた服がもう乾いてそれを着ているんだ。そうだよな。自分ながら笑ってしまう。それにしても静かだ。やはり帰ってしまったのか。置手紙もないようだ。カーテンを開けると、そこは眩しいほどの青空。台風一過だ。嵐は去ったのだ。静寂を破る電話の音。「もしもし?」彼女から後朝(きぬぎぬ)の電話かと思った。「落ち着いて聞けよ。彼女が昨夜、交通事故で亡くなってしまったんだ。」僕達を逢わせてくれた友人からだった。「嘘だ。だって昨夜はここに居たんだから。」そう言いながら、足元が崩れ落ちるような恐怖感を覚えた。受話器が手から離れ、床に落ちる音が遠くに響いている。それでは昨夜ここに来たのは誰なんだ?確かに彼女だったはずなのに、顔がよく思い出せない。ろうそくの光に映し出されたあの白い顔は?手に残るはずの感触さえ、砂のように零れ落ちる。「どうしても逢いたかったの」と彼女は言った。逢いに来てくれたのか。嵐と共に。嵐のように僕の心をかき乱し、嵐が去ると同時に往ってしまった。青空を残して。空を見上げれば太陽が目に沁みる。涙が溢れてるのはそのせいなんだ。彼女が居なくなったからじゃない。そう自分に言い聞かせていた。後朝の歌帰りては朝日まぶしく照らし出すシーツの白さに匂い立つ香
2005年09月08日
窓をたたく音がする。誰かと思うとそれは雨だった。あの人かと思ってしまった。彼女は一途だから、もしかしてこの嵐の中でも僕のところに来るのではないか?なんてうぬぼれてしまう。今夜、逢おうと約束していたのだが、嵐になるから取りやめたのだ。それでも、もしかしたら、と淡い期待をしてしまう。突然電気が消える。停電だ。慌てて懐中電灯を探したが、電池切れでつかない。手探りで物置の奥のろうそくを取り出す。マッチも一緒に取り、火を点ける。ゆらゆらと揺れる炎を見ていると、なぜか心が落ち着いてくる。いくら彼女だって、こんな嵐の中を来るはずがない。そう思っていると、今度はドアを叩く音がする。もっと風雨が強まったのか。呼び鈴まで鳴る。さすがの雨も呼び鈴までは押せないだろう。慌ててドアを開けた。ずぶ濡れになって立ってる彼女。「なんでこんな嵐の中を。」「こんな夜中にごめんなさい。どうしても逢いたかったの。」愛しくなって、思わず抱きしめてしまう。「早くシャワーを浴びて、体を温めるんだ。」素直にうなずいて、バスルームへ向かう。「着替えはどうしよう」と彼女に聞くと、「あなたがいい」と言う。ドキッとしたが、とりあえず僕のワイシャツだけ洗面所に用意しておく。まだ彼女とはそういう関係になったことがないのだ。お互い経験がないわけではないだろうが。こんな嵐の夜にずぶ濡れになりながら来てくれたのに、このまま何もせずに帰す訳にもいかないよな、と自分を納得させている。シャワーの音と嵐の音が重なり、ますます激しくなったように感じた。嵐がやんだように静かになる。シャワーが終わったようだ。ワイシャツ一枚で現れた彼女。抱き寄せてそのままベットへ。後は夢のようで覚えていない。
2005年09月07日
君遊ぶ波打ち際の小石さえ愛しく思いそっと手に取る
2005年09月07日
最初、詩を書くつもりが、どんどんただの文章になり、随筆?になっちゃった(笑)吹き荒れる風。突き刺すような雨。翻弄される花や虫。花は風になぎ倒され虫はどこに隠れているのか。鳥の声さえ聞こえない。人間までも逃げ惑い家の中へと逃げ込む。嵐の音だけでも恐怖を感じるがうちにいれば安全だ。このまま閉じこもっていればいいのだけれど、嵐が見たいとも思う。子どもの頃、窓から海が見えた。波しぶきが押し寄せ堤防を越えるのを見るのが好きだった。まるで船が進んでいくかのような錯覚を覚え、高揚した気分になったのだ。雷さえ綺麗だと思っていたあの頃。恐怖よりも新鮮な驚きで一杯だった。嵐の備えをする母を見てなんでそんなに慌てるのか理解できないでいた。今はうちにこもり、外に出ないでいるけれど、子どもはやはり大雨を体で感じ、風を身に受け、面白がっている。帰ってきたらすぐにお風呂に入れようと用意してるのに。嵐が去った後は台風一過。それを台風一家かと思い、どんな家族かと思った。嵐も晴れも同じ一家なのか。
2005年09月07日
舞う蝶の羽の眩しき白さゆえ花は静かに蜜を差し出す雨上がり道路の虹を越えたなら足元濡れて君の顔見る遠き君かすかな声も漏らさじと赤くなるほど耳押し当てり逢いたいと言われて迷う心あり更に苦しさ増すだけなのに浜千鳥揺れる足跡点々と波に消されてとぎれとぎれに窓越しに君をとらえて目を閉じる瞼の奥に焼き付けるため君と居た短き夏を惜しみつつ爽やかな風顔に浴びよう落ち葉にはなるまいとして秋風の誘い断り樹にしがみつくみずたまり落ちて泣きべそかくくせに負けず嫌いで追いかけてくる散る花の自ら風に乗るように追いかけつつも舞いては落ちる滑り台勢いあまりスカートの裾がめくれて手で押さえ込む手を振ってさよなら言うも振り返り後姿をじっと見つめる逃がしてね少女の頼み聞き入れて青い鳥さえ声残すのみ下駄の音重なり響く祭りあと影が二つに別れ去りゆく白鷺の飛び去る姿目で追えり小さくなるも点にはならず
2005年09月06日
先日の24時間テレビのドラマを録画しておいたのですが、やっと、今日見ました。遅れていますが、とても良かったので書きますね。あらすじや、キャストなどは、24時間テレビのHPの最後を見てください。 親子の愛情にも弱いけど、ボランティアの読み聞かせの人、江ノ電の人たちがこんなにも熱心に重い心臓病の少年を支えているのに感動して泣いてしまいました。 夢の為に生きる気力を振り絞る少年と、妻と同じ病気で、また息子まで喪おうとしている父。あまりにも切ないけど、淡々と演じるのがまた哀しい。 わがままを言わず、我慢してきた少年が、「僕なんて生まれてこなければ良かった」と叫ぶ時、父は呆然として言葉がなく、ボランティアの女性が「お父さんが一度でもそんなこと言ったことある?二度とそんなこと言ったら許さない」と怒る場面が印象的でした。「今まで腫れ物に触るように育てて、怒ったことがない。」という父に「当然ですよ。私も亡くなった一人娘にはそうだった。」というボランティア。少年に会って、娘を喪った哀しみから救われてるという。同じ苦しみを知ってるからこそ、お互い理解しあえるのかもしれない。少年も「お母さんが生きていたら、やっぱり同じように怒ったかな。」と言う。母子のように抱きしめあう二人。喪った者同士、欠けたものを補い合うのですよね。 少年の夢である江ノ電の運転をさせてもらえる時、自力で車椅子から立ち上がる。最後の力を振り絞ってるのですね。それから4日後に亡くなったというから、夢の為に生きていたのでしょう。 難病の子ども達の夢を叶えるボランティア団体があるのだということを初めて知りました。せめて死ぬ前に生きてて良かったと思わせてあげたいですよね。「生まれてこなければ良かった」なんて、言って欲しくない。健康なのに自殺するなんて、本当にもったいないです。生きたい子に命の電池をあげて欲しいくらい。でも、人には自分の電池しか使えないから、命を大切にしないとばちが当たりますね。 「自殺して、逆縁なんてしないでね」と子ども達には言い聞かせているけど、いつものことと聞き流されてしまう。でも、死にたいと思ったとき、そのことを思い出してくれたらと思う。そんな日が来ないことを祈るけど。
2005年09月05日
「白き風」牧場の林を見上げれば木漏れ日の眩しさに手をかざす。蝉の声がかすれて聞こえるのは夏を惜しむせいなのか。こおろぎの音に身を任せたゆたう心を紛らわす。あなたとの短き夏を消すように白き風が吹き渡る。蝉の逢瀬の夏だった。土の中に潜むものが地上に出た途端溢れ出す。叫びは林をこだまして樹々を震わし泣かすのだ。叫び疲れたものたちは樹から落ちてしまうだろう。亡骸の上をかすめる白き風。一抹の香りでさえも残しておいてはくれぬのか。
2005年09月04日
今日愛知博に来て、混んでるとは思ったけど、過去最高の人出とは!11時に同時刻の過去最高を上回る108650人になり、昼過ぎに155000人になってしまったとか。今日が終わって数えたら、会期中最高の210000人を超えるかもね。というのは、帰りの新幹線で夕刊に書いてあったのです。リニモを待ってる間、ヘリコプターが上空を回っていたから、混雑のニュースの取材だとは思ったのだけど、これほどとはね。夏休みが終われば少し空くかと思ったのに。まあ、これからまた駆け込みでもっと混むかもしれないから、いつ行っても同じかもしれない。 無事に帰って来れただけでもいいのかな。救急車の話を一回聞き、その後実際に救急車が来たのを見ました。あんなに暑くて混雑し、飲み物もなかなか買えなければ、熱中症になっても不思議はないよね。トイレに行きたくなるから自分で制限してしまったりする。トイレも凄く混んでるから。それでも暑くて飲んだけど。 帰りは名古屋の高島屋のレストラン街で食べようと行きました。愛知博帰りの人が多いのか、ここも混んでて、新幹線までに時間がないので、カフェテリア形式のところにしました。カズが機嫌悪いとき、主人が帰りに漫画を買ってやると約束してしまったから、その時間もとらないといけないのです。私とカズは慌てて食べて、下の本屋に向かい、主人はホテルに荷物を取りに行きました。駅に隣接のホテルなので近いのです。それでも間に合うかと心配しましたが、お互い間に合って良かったです。カズはブラックジャックを買い、マッキーとミンミには金のシャチホコキティちゃんの根付けを買いました。愛知博で茨城県人会のおみやげ売り場で、納豆キティちゃんもありましたが、愛知博、名古屋のおみやげにはならないしね。 夕食は名古屋の名物でもと思いましたが、カフェテリアでは味噌カツ丼と海老フライくらいしかなく、揚げ物は疲れてて食べる気になりませんでした。結局オムライスなんてどこでもあるものにしてしまったけど、安いし、早く食べられて良かったです。 カズは明日サッカーの試合で5時50分集合です。起きられるか心配ですが、帰ったら早く寝ないとね。帰りのエキスポシャトルでは寝てましたが、新幹線ではしっかりブラックジャックを読んでます。大丈夫かしら。 そういえば、今日の朝、日本テレビのズームインサタデーにカズの顔と名前が放映されたそうです。先日、原宿のキディランド前で夏休みの思い出についてインタビューされたのですが、コメントは放映されなくても、一応顔は出ると言われたのです。緊張して元気なかったから、コメントは出ませんでしたね。母が見て、ミンミに電話し、またそれをミンミが私に電話してきたのです。帰ったらビデオを見ようっと。私達はすっかり忘れてて、愛知博に慌てて行く途中でしたね。ビデオセットしてきて良かった。 愛知博旅行もあっという間に終わってしまいましたが、まあまあだったかな。人気のパビリオンは混んでるから行けなかったけど、いろんな国のパビリオンを回って異国情緒を味わえたから良しとしよう。お土産もブローチとネックレスが買えたからね。天然石のエキゾチックなネックレスも買ったのです。 カズも友達と自分にモリゾーとキッコロのオミクジ根付けを買ってました。主人はエキゾチックな陶器を買いたがっていたのだけど、使い勝手のいいものがなく、断念してました。小さな器などお猪口にしたらと言ったら、日本酒には合わないと言われてしまいました。たまには違う雰囲気もいいのにね(笑) まあ、それぞれ満足?して家路に帰ります。高い交通費と宿泊費をかけた割には収穫が少ないけど、まあ旅行は日常から離れることに意味があるのですよね。旅行に行かない分、物など買えると私は思ってしまうのだけど、旅行が趣味の主人には通用しないのです。また日常生活では倹約しないとね。
2005年09月03日
すごく混んでてびっくりしました。まずは会場に行くまでの交通機関。エキスポシャトルやリニモに乗るにも長い間待たされて、やっと着いたと思ったら、今度は手荷物検査でなかなか入場できません。待ってる間に二本もペットボトルを飲んでしまうほど。10時頃入れたけど長久手日本館は整理券を配ってないし、TOYOTA館も日立館も整理券は5時頃から再配布と言われあきらめました。もう私達が帰る頃なのです。 やはり外国館回りだなと思い、近くて一番空いていたイエメン館へ。以前ガイドブックを見てたらイケメン館かと勘違いしたところ(笑)パビリオンというか、お土産物屋さんみたいでした。ネパール館もそうだったけど、父がネパールムスタンのボランティア団体の事務局長をしていた時、何度もネパールに行っていたから、私も身近に感じていたのです。一枚50円の絵葉書を6枚買い、父に一枚書いて送ろうかと思います。 今パーキンソン病で少し手足が不自由になってきているのですが、リハビリも兼ねて水泳やヨガ、韓国語などやってる意欲的な父です。先日実家に帰った時、二股に分かれたボールペンをプレゼントしたら喜んでくれました。普通のペンでは握りにくく寝かせてしまうというので、指が不自由な人でも使いやすいというペンをLOFTで見つけて買ったのです。また話がとんでしまいましたね(笑) 中央アジアのパビリオンをいろいろ回り、細かい花などを描いたブローチを買いました。小物入れもあったけど、あまり使いそうにないし、ブローチにしては大きかったけど、個性的でいいかな。お昼はスリランカのカレーレストランです。早く行くように肩を押されたり、カレーセットを一つ言ったら、勝手にお盆にそれを三セットを置かれたりするのには驚きました。一つは気づいて返しましたが。でもまあ美味しかったからいいとしましょう。 アルゼンチン館の一時のタンゴショーを見たくて並んだのですが、次の二時にしてと切られてしまったので、その間、アマゾンなどのパビリオンへ行きました。 そこも並んだのですが、ミストが出ていたので涼かった。愛知博全体の通路もミストが出てるところあるけれど、そこの方は細かくてあまり直接当たりません。さすがアマゾンの方がダイナミックかな。中の写真は綺麗でした。出たら一時半くらい。 まだ早いかと思ってアルゼンチン館に行ったら、もう席は一杯です。それでも席の後の床に座って待ってました。歌やビデオの後、やっと念願のタンゴショーです。セクシーで素敵でした。特に最後は、倒れ落ちる女性ダンサーの首の後を片手で支えるのにはびっくりしました。私はこれが見られただけでも満足です。混んでるパビリオンに何時館も並ぶ気にはなれないから。でもカズはタンゴを期待してずっと待っていたのに、趣味に合わなかったのでしょう。 疲れたのか不機嫌になってしまいました。慌ててジュースでも買おうと思ってもそれも行列。トイレも凄く並ぶし、何もかも待つのですよね。日本館は三時間十分待ちだったから、当然パス。でもドイツ館は六時間待ちでした。誰がそんなに待つのでしょう。 最後にウクライナ館にちょっと入り、終りにしました。キッコロゴンドラも一時間待ちと書いてありましたが、実際には30分くらい。他のところももしかしたら表示の待ち時間ほど待たないかもしれないけど、長いのは確かだものね。ゴンドラからの眺めは良かったです。結構池や森が多いのですね。自然を崩して造ったのだろうけど。 降りてフランクとビールとかき氷を買い、三人でそれぞれ食飲しました。さて誰が何を食べたり飲んだりしたでしょう。正解は主人がビール、私がかき氷、カズがフランクフルトです。先日おやこ劇場で祭りの残りのフランクを買って、まだ五本も冷凍してあるというのに。まあ今日帰ってからでは遅いのでもう食べられないだろうけど。 帰りの交通機関も並ばなければ乗れない。新幹線に乗り遅れたら大変だから、早めに着きたいのです。夕食がまた駅弁というのは避けたいなあ。昨日もそうだったから。せめて名古屋駅で名物でも食べたいです。
2005年09月03日
小4のカズが行きたいと言うので、今日学校が終わってから出かけ夜、名古屋に泊まり、明日1日愛知博を見て帰ります。高1のマッキーと中1のミンミは興味ないというから、留守番です。最初は主人とカズ二人で行くはずだったのだけど、主人に「学校で話の種になるぞ」と言われ、行くことにしました。主人一人でカズを連れて行くのは大変ということなのでしょうが(笑)まだ準備もしてないので、これから準備します。明日か、明後日には報告できると思いますので、よろしくお願いしますね。
2005年09月02日
東京芸術座の公演で、新宿の紀伊国屋サザンシアターでやってました。別のおやこ劇場から移ってきた人と一緒に見に行ったのです。「地球の上に朝が来る」は、いまいちでしたね。28日に2+1シアターの「紙ヒコーキ」を見たのですが、そっちの方が私は好きです。草野心平のかえるの詩「秋の夜の会話」に反戦思想が織り込まれてるとは知りませんでした。これを知り得ただけでも観に行った甲斐はあったかなと思いましたが。土の中は戦争だとか。『秋の夜の会話』草野心平 さむいね ああさむいね 虫がないてるね ああ虫がないてるね もうすぐ土の中だね 土の中はいやだね 痩せたね 君もずゐぶん痩せたね どこがこんなに切ないんだらうね 腹だらうかね 腹をとつたら死ぬだらうね 死にたくはないね さむいね ああ虫がないてるね 」(詩集「第百階級」より) テーマが「反戦」で興味あるだけに、いろいろ惜しいところがあって、悔しかった。かえるの詩を持っていただけで思想偏向だと問い詰められてるのを救うために「げろげろ」と鳴きながら合唱するところなど、重要な場面なだけに、ハーモニーが合わないのが耳障りだった。まあ、即興で合唱という設定なのだから合わなくて当然かもしれないが、それならせめて斉唱にして欲しかった。2+1シアターの「紙ヒコーキ」でも「高校三年生」の楽譜を書き間違えるのが許せなかったけど。やはり音楽は気になってしまう。また、劇中のステージの場面で、歓声や拍手をテープ?で流すのは止めて欲しい。コントが受けてることを演出したいのだろうけど、かえってひいてしまうのですよね。演技はそれほど悪くなかっただけにもったいないです。特高や内務省など、役人に逆らってまでも、芸人根性で反戦意識を持ってるところはすごいと思いました。今、また同じようなご時世になってきて、それに逆らえる芸人、芸能人、芸術家がはたしてどれくらい居るのだろうか。山田耕作が軍歌の神様だったなんて知りたくなかったです。逆らったら捕らえられてしまうのだろうけど。北原白秋も作詩していてるんですね。哀しいです。
2005年09月01日
歌をクリックしてください。回覧板さんの詩「さくらのうた」につけた歌が聴けます。 「私を呼ぶ声」2(最終回)私は彼に付き添って看病することにした。「息子が目を開けて、話せるようになったのはあなたのお陰」と彼のお母さんも許してくれた。付き合ってたときはあれほど反対してたのにね。だから短期間で付き合いは終わりになってしまったのだ。お互い好きだったのに別れたから、思い出したくなかったのかも。彼は医者も不思議がるほどの回復をみせ、車椅子で庭を散歩できるようになった。私が彼の車椅子を押し、木立の中を歩いていると、金木犀の香りがした。「この金木犀の香りがあなたの声を届けてくれたのよね。」「そうだよ。僕も君もこの香りが好きだったから、思い出してくれるんじゃないかと思って、そうしてくれるように神様にお願いしたんだ。」「祈りが通じるなんて、すごいことだわ。普通は何も変わらないのに。」「僕の思いの強さに根負けしたんじゃないかな。眠ってる間、ずっと想いつづけていたから。」「だから、眠り続けていたのね。なんて、お祈りしたの。」「死ぬ前に君に逢わせて欲しいと。そうすれば他には何も望まない。命さえも。」「そんなことを言っては駄目よ。死んじゃうかもしれないじゃない。」「もう大丈夫だよ。神様だって許してくれるさ。」安心しきったように笑う彼を見てると、かえって不安がさざなみのように押し寄せてきた。でも、不安を押し込めて微笑むのだ。「そうよね。きっともう大丈夫よ。」しかし、彼は散歩して、金木犀の香りをかぐ度、少しずつ病状が悪くなっていくようだった。「もう散歩に行くのはやめましょう。外気に当たると体に障るわ。」「外に出て、金木犀の香りをかぎたいんだ。そうしなければ生きていけない気がする。」「それは逆じゃないの?かぐ度に悪くなってる気がするわ。」「そんなことはないよ。あの香りは君を連れてきてくれた。だから僕には必要なんだ。」「私ならもうここにいるじゃない。金木犀の香りがなくてももうどこにも行かないから大丈夫よ。」「そうだよね。金木犀の香りがしなくなったら、君がどこかへ行ってしまいそうな気がしたんだ。」「そんなことないわ。」と言いながら、私は逆のことを考えていた。『もしかしたら、彼の方がどこかに行ってしまうのでは?執行猶予は金木犀の香りのする間?そんなはずない。いくら神様だって、そんな残酷なことする訳がない。』かぶりを振りながらも、頭に浮かんだ考えを振り払えなかった。それからというもの、車椅子で散歩に行けなくなってしまった彼の枕元に金木犀を生けるようにした。もう金木犀の季節も終わりかけている。開花時期の遅い地域から取り寄せもした。金木犀を切らしたら、彼が死んでしまうような気がして、必死だったのだ。非科学的だと思いながらも、彼との再会がそうだっただけに否定できなかった。そしてついに最後の金木犀の花になってしまった。ぽろぽろと花が零れ落ち、床に散らばっている。その残り香だけが彼の命だ。私の目からも涙がぽろぽろと零れ落ちてしまう。彼の前では泣かないようにしてたのに。「どうしたんだい。何か哀しいことでもあったの。」「何でもないわ。金木犀が終わりになるのが淋しかっただけ。」「君と僕の金木犀だものね。でも、僕はずっと君のそばにいるよ。」「当たり前じゃない。そのために私を呼んだんでしょ。また元気になってもらわないと。」涙を振り払い、元気ありげに言う。「そう思ってるんだけど、なんだか力が入らないんだ。」私は彼の手を取って、また瞼、唇、首、胸と触れさせた。彼の驚きの顔は微笑みに変わり、私を抱き寄せた。「ありがとう。君を一人にしてしまうのは辛いけど、僕は幸せだったから、哀しまないで欲しいんだ。」「何、弱気なこと言ってるの?それに、もしあなたが居なくなったら、私が哀しまないわけないじゃない。」「泣いてもいいから、いつかは泣き止んでね。」「そんな口たたけないようにしてあげる」私から唇をふさぎ、キスをした。彼の手に力がこもり、抱きしめられる。次の瞬間ふっと力が抜け、彼の腕が垂れた。「どうしたの。行かないで。」薄目を開ける彼。「ごめんよ。君と居られて良かった。優しくしてくれてありがとう。」「嫌よ。優しくなんかないわ。これからは優しくするから、一緒に居てよ。」「もう逝かなければいけないんだ。執行猶予は終わりだよ。君も分かってたんだろ。金木犀の香りが見せてくれた夢だって。」「そんなの知らないわ。金木犀なんてどうでもいい。私のそばに居てよ。」「君の心の中に居るよ。いつでも呼んでくれれば応えるから。」「忘れないでよ。約束だからね。きっと戻ってきてよ。」「ああ、金木犀の香りがまた僕の声を運んでくれるよ。」残り香が消えるように彼の命も消えた。そしてまた金木犀の季節が来る。私は秋風を待っている。私を呼ぶ声を。(終わり) ご感想、アドバイスありましたら、掲示板やメッセージに書いてくださいね。よろしくお願いいたします。 前に書いた小説も良かったら読んでください。「見果てぬ夢」です。
2005年09月01日
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