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あなたに似た人(著者: ロアルド・ダール /田村隆一 | 出版社: ハヤカワ・ミステリ文庫) 書名は知っていたが、初めて読んだ。 短編集だが、書名になった作品があるわけではない。 不思議な味わいがある。こうなるだろうと予測させておいて、それをはずすのがうまい。 一つだけ、「兵隊」はなんだかよく分からなかった。 ただ、こういうものを読むといつも感じることだが、訳文がどんなに良くても、日本語の論理で書かれたものではないために、どうしても隔靴掻痒の思いをしてしまう。 かといって原文で読む能力はないし。少し残念。
2003.12.20
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イエスタデイ・ワンス・モア(part2)(著者:小林信彦|出版社:新潮文庫) 書名から分かるとおり、「イエスタデイ・ワンス・モア」の続編。 30年前にタイムスリップし、1959年の東京に生きる主人公が、6年後に、来日するビートルズを父親が殺そうとするというのを知って、それをふせぐべく、1966年にタイムトラベルして……。というSF仕立ての小説。青春小説であり、風俗小説でもある。 ビートルズが滞在していた間の日本がどうだったかが描かれている。 重要なのは、「あの時」を描くことなのだ。 主人公が物怖じせず、妥協しないことに驚く。 たとえば、デパートでジャケットを買うと、値段は「一万一千三百円」と書いてある。1966年に一万円以上するジャケットを躊躇せずに買うのだ。そのすぐ後に、「公務員の初任給は二万三千円ちょっとよ」というせりふがある。 身なりには金を惜しまないのだ。 ポール殺害を命じられたのが誰か、というのは途中で読めた。それでもおもしろいことにかわりはない。 洗練された都会の感性にあふれた小説である。 なお、父親が自分のことを「愚弟」という場面がある(p174)が、「愚弟」というのは「私の弟」と意味で使うか、あるいは年長者に対して自分をさしていう言葉。
2003.12.04
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日本語練習帳(著者:大野晋|出版社:岩波新書) 国語学者の書いた、日本語トレーニングのための本。 「微苦笑」という語は久米正雄の作ったものだとは知らなかった。念のため、手元の国語辞典を二つ引いてみたら、どちらにも「久米正雄の造語」と書いてあった。 誤植発見。23ページに「扱われました。、」というところがあった。 29ページで、「気味」という語の意味を、「気」と「味」の字源から探っているが、これはいかがなものか。確かに漢語にも「気味」という語はあるが、これが日本語における「気味」と一対一で対応しているとは思えない。 さすがに「源氏物語」の言葉を研究した人だけあって、「源氏物語」だけにある形容詞がたくさんある、ということも書いてある。紫式部が「工夫を凝らして単語を作り」「足りないところを造語しました」(p35)とある。 第二章「文法なんか嫌い」は、「は」と「が」の比較で始まる。これがそれか、と興味深く読んだが、「日本語に主語はいらない」をすでに読んでいて、「は」と「が」の使い分けの比較に意味はないということを知っているので、どうしてもそれほど深い意義を発見できなかった。 変な文章発見。 「このことが、これまでの文法家の中にさえなかなか理解できなかった人がいます。」(p73)この文章の意味を理解するのに手間取った。 「濁音で始まる漢語の上には一般的にはゴはつけない。」(p185)は新知識。 意識して自分の言語感覚を磨こうとする姿勢は大切である。そのことを教えてくれる本ではある。
2003.12.01
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