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2016.04.16
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カテゴリ: 歴史
図書館で『アジア海道紀行』という本を手にしたが・・・
東シナ海の(外交的)波高し昨今であるが、この本がふれている歴史認識が肝要ではないかと思ったのです。



アジア

佐々木幹郎著、みすず書房、2002年刊

<「BOOK」データベース>より
鑑真が漂着した島、倭寇が拠点とした島はどこか?唐辛子はなぜ「唐」なのか?日中韓3国沿岸の港町、島々をめぐる旅。
【目次】
鑑真が到着した港ー入唐道・坊津と秋目浦へ/鑑真が出発した港ー中国・長江の岸辺へ/海の上の観音菩薩ー中国・普陀山へ/風待ちの島、漂流のルートー中国・舟山群島から寧波へ/消えていった大凧/凧の文化とアジアの海とー長崎へ/唐辛子は、なぜ「唐」なのかー韓国・釜山へ/非時の香の木の実を求めてー韓国・済州島へ/元寇の舞台と捕鯨漁ー鷹島と平戸へ/SHANGHAIする!/上海幻変・蟋蟀博打

<読む前の大使寸評>
日中韓に横たわる東シナ海は、今では紛争の海に成り果てたが…
著者が観る歴史的な視点がええでぇ♪

rakuten アジア海道紀行


キムチの成り立ちが説かれています。
それから、味噌、醤油などの発酵材料の違いが説かれているが・・・
日韓の味の微妙な違いについて、やっと納得できたのです。
p162~166
<唐辛子はなぜ「唐」なのか> より
 朴氏は文献をひも解きながら、ノートに鉛筆で図を描き、ゆっくりと教えてくれた。韓国語と英語が半分ずつである。韓国語は金昌〇氏が通訳してくれた。

 塩は李朝の時代、王室の管理下にあって、一般庶民にはなかなか手に入らなかった。入っても高価だった。また王室はしばしば盛大な冠婚葬祭を行ったが、そのたびに魚を捧げ、その魚には保存用に大量の塩が必要だった。

 また、17世紀から18世紀にかけて旱魃と飢餓がたびたび起こり、18世紀から19世紀にかけては天災や洪水が多かった。その救荒対策としても、塩は保管しておく必要があった。一般庶民は塩を求めたが、政府は唐辛子のカプサイシン成分を利用して塩辛を作り、それを使ったキムチ作りを奨励した。このように、塩を節約するために、唐辛子は普及したのである。そしてまた、朝鮮半島の風土が唐辛子の栽培に適していた。

 唐辛子を使ったキムチが朝鮮の料理書に登場するのは、『増補山林経済』(1766年)が最初である。それまでは朝鮮の漬物は、大根やキュウリ、茄子などの野菜を塩漬けにし、香辛料には山椒を使っていた。それをキムチと呼んだ。

 『増補山林経済』が出版された頃、キムチに唐辛子が使われ、その種類も増えて、大根、キュウリ、茄子類が主な材料となり、にんにくや生姜、葱類が香辛菜として使われるようになった。

 19世紀の初頭に出た料理書『閨〇叢書』(1809年)は、女性によってハングルで書かれた最初の伝統的家庭百科全書である。ここには、白菜がキムチの材料になり出したことが書かれている。しかし、この頃の白菜キムチは現在のように丸ごとの白菜を使ったものではなかったようだ。現在のような大きな丸い白菜ができるのは、20世紀になってからであった。

 1849年に書かれた『東国歳時記』の中に「朝鮮料理製造法」の項があり、ここでは海老の塩辛が初めて紹介されている。むろん、この塩辛には唐辛子が使われていた。この頃になって、ソウル市とその近辺では、海老の塩辛入りキムチが定着した。

 キムチ作りに使う塩辛の種類は、現在の韓国の市場では、驚くほど豊富にそろっている。そういう塩辛の種類も、この頃から開発され出したらしい。「朝鮮料理製造法」には、19世紀半ばに、白菜キムチがキムチの主流となったことも記録されている。

 ところで、キムチとは簡単にいえば、野菜の発酵食品である。発酵させるために、少量の塩と大量の唐辛子を使う。

 日本ではキムチといえば、塩漬けの白菜に唐辛子を入れたもの、というふうに誤解する人が多いが、朝鮮のキムチはカプサイシンを含んだ唐辛子と、蛋白質の豊富な塩辛によって、塩の全体の使用料低めて、味を良くしている。

 こういう説明をした後に、朴健栄氏はわたしに聞いた。「韓国の味噌玉を見たことがありますか?」
 いえ、まだですと言うと、写真雑誌を出してきて、ソウル近郊の農家での味噌作りの方法を教えてくれた。

 大豆を蒸して、それを煉瓦のように固める。それを稲束で結んで、軒に吊るしておくのである。するとカビ(菌)が生えて、味噌ができあがる。醤油はその味噌を瓶に漬けて、その上澄み液から作る。これは、古代に中国で発明されて以来の、原型的な味噌と醤油の製造法である。発酵材料に、日本のようなコウジカビ(麹菌)を使わない。

 コウジカビ(麹菌)は、日本独特のものだ、と朴氏は言った。酒の製造法も日本では米を蒸して、そこにコウジカビを付着させて繁殖させる。それを発酵材料とした。

 韓国では古来、麦や粟、ヒエ、コウリャンなどを粉にし、水で練って、穀物の中にあるクモノスカビを繁殖させて、麹を作り、発酵させた。これは韓国だけではなしに、大陸全体に共通のものである。発酵材料のカビ(菌)の種類が、日本とはまったく違う。

 「風土によるのでしょう」と、朴氏は言う。唐辛子がキムチの乳酸発酵を促進する材料として朝鮮半島で広まり、日本ではひろまらなかったのも、コウジカビ(麹菌)による発酵文化が、日本で古くから始まっていたことも関係があるだろう。
(中略)

 このように考えると、唐辛子の「唐」という言葉は、日本と朝鮮半島との交流の歴史を秘めた、複雑な歴史のテクスチャーとなっていると思える。

 釜山の町で、わたしは毎食のようにキムチを食べた。若い頃は唐辛子料理が好きではなかったのだが、年齢を経るにしたがって身体に合うらしい。金昌〇氏が韓国でもキムチは大人の食べ物、と言っていたのだが、わたしはようやく唐辛子の麻薬的な魅力に取りつかれ出したのである。

 釜山が港として開かれたのは、15世紀の初めであった。この頃には朝鮮半島の海岸部を脅かす倭寇の活動は、ようやく下火になりつつあったのだが、釜山はその頃「富山浦」と呼ばれていた。
 「富山浦」が昔の名前であったように、現在の釜山も周囲に山が多い。「釜のような形をした山が多いから、釜山と名づけられた」という地元の人もいるくらいだ。


テンジャン
テンジャンチゲのレシピ より

 韓国出張の際、テンジャンチゲなど味噌味の違いを、興味深く感じたが・・・・
 「素朴な感じでこれもOKやで♪」と許容範囲の広い大使であった。

 当時は味の違いは、風土の違いくらいに思っていたけど、この本を読んで違いがよくわかりました。






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Last updated  2016.04.16 00:07:50
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