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2016.04.28
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『オーデュボンの自然誌』という本を手にしたが、表紙の絵がきれいである。
それに最近、野鳥観察に凝っているので、読んでみようかと思ったわけです。



オーデュボン

ジョン・ジェ-ムズ・オ-ドゥボン著、宝島社、1994年刊

<「BOOK」データベース>より
天才鳥類画家オーデュボンが愛した鳥たち、数々の探検旅行、そして彼の人生。絵を描く合い間にオーデュボンが書き続けた鳥の生態や豊富なエピソードが、今は見失われてしまった人と大自然とのきびしくも幸せな関係を私たちにいきいきと伝えてくれる。

<読む前の大使寸評>
外国語として米語を学んだオーデュボンは、自分自身は作家としての力量を認めてなかったようです。
自慢から哀願へコロコロ変わるオーデュボンは、かなり破天荒で情熱的なヴァガボンドだったようで・・・・
自然誌もさることながら、オーデュボンその人が興味深いのです。

rakuten オーデュボンの自然誌


スコット・R・サンダースによるオーデュボン評を見てみましょう。
p13~14
<オーデュボンの文学とその時代> より
 以上見てきたとおり、人類学者が用いるメタファーを借りれば、「あるがまま」のオーデュボンと「脚色ずみ」のオーデュボンを見分けることができる。手紙や未編集の日誌に現れた非公式の声と、『鳥類の生態』や不穏当な部分を削った日誌の公式の声のちがいが聞き分けられる。
 生のオーデュボンはより生き生きとしており、感覚的で自説を曲げない面を備えている。また奥地の俗語を使いがちで、混雑した船の説明として「床の上にブタのようにごちゃごちゃと転がらなければならないだろう」と表現したり、自分の意気込みを表すのに「私にとってはイチかバチかだ!」と言ったり、あるいは「非現実な恐怖におびえて自分を出し惜しみするな」と若い女性に助言したりした。あるいはある手紙を「これ以上は気がふさいで書けません」と結んだりした。

 脚色されないありのままの文章からは、自惚れが強く気まぐれで、途方もない野心家で、かつまた自分に確信が持てず、ナイーブで複雑な人間性を垣間見ることができる。しかし文章に手を加えられてもなお、自然と人間性の非常にすぐれた観察者という著者像は不変である。

 心が広く、何事にも手当たり次第に好奇心を抱き、噂話がとても好きで、精力的に自分の物語を語るエネルギッシュなオーデュボン。彼の目を通じて開拓時代のアメリカの混沌と興奮が私たちにも伝わってくる。

 オーデュボンの文章を通じて読者はロッキー山脈以東の野生がまさに消滅しようとする歴史的な瞬間へと導かれ、アメリカ開拓時代の鳥・動物・人間などじつにさまざまな生き物の生態描写に出会うことになる。


「好きこそものの上手なり」を地でいくようなオーデュボンが語られています。
在野の観察者の面目躍如でんな♪
p49~51
<ケンタッキー州ルイビル> より
 ルイビル滞在中は、ライフワークにたくさんの時間を費やしたものだった。手に入れた標本すべてを絵に描き生態を記録したのだが、私の記録の蓄えは日ごとに増えつづけた。鉄砲を持った人のほとんどから、これは私の役に立つのではないかと鳥や動物の標本がどんどん送られてきたからだ。

 私の画帳にはすでに二百点以上の図版がたまっていた。植物学者のW・C・ゴート博士とそのご友人のファーガソン博士にはたびたび相談にのってもらった。M・ギリーは絵がうまく、私の目標をよく理解してくれた。友にして今は親類となったN・バーソードにも世話になった。

 ある晴れた朝、かの高名な『アメリカの鳥類学』の著者、アレクサンダー・ウィルソン氏が突然私どもの店に来訪されたときは、非常に驚いた。この街に来ておられたなど、知らされていなかったのだ。1810年3月のことだった。
(中略)
 ウィルソン氏の図版を何点かじっくり拝見して最初は驚きが、つぎに喜びがこみあげてきた。すっかり予約する気になって申込書を手にしたとき、仕事のパートナーが突然割り込むようにフランス語で私につぶやいた。

 「ねえきみ、なぜこれを買うんだい? きみの絵のほうが数段いいものだし、しかもアメリカの鳥の生態だったらこの方に劣らずよく知っているんじゃないのかい?」

 ウィルソン氏がフランス語を理解されたのか、あるいは私が突然手を止めたからなのかわからないが、明らかに気分を害されたようだった。急に気が変わり、友達におだてられたのも手伝ってとうとう予約をしなかった。

 ウィルソン氏は私にもう鳥の絵はたくさん持っているのかと尋ねられた。立ち上がって大型の画帳を取りだし、こういうものに興味を示される方にはいつもするように机の上に広げ、氏がご自分の図版を見せてくださったのと同じように辛抱強く、画帳にはさんだ絵をすべてご覧にいれた。

 自分以外にこのような絵を書きためる人物がいようとは思ってもみなかったと言われただけに、非常に驚かれたようだ。これを出版するつもりなのか、と尋ねられ、いいえと答えると、さらに驚きの度が増したようだった。

 そうなのだ、あの頃はそんなことはぜんぜん考えていなかったのだ。その後だいぶ経ってフィラデルフィアでムシナーニョ皇太子(ナポレオン皇帝の甥)にお会いするまで、自分の苦労の結晶を公表するつもりはなかったのだ。

 ウィルソン氏はもう一度私の絵をていねいにながめられると、この街に滞在するあいだいくつか借りたいとのことだったのでえ、どうぞと答えた。それからしばらくよもやま話になった。近在の森の探索に同行することと、氏がまだ見たことがないという鳥の標本を手に入れることを約束すると、ようやく帰っていかれた。


オーデュボンの画像 より
鳥1

鳥2

鳥3

鳥4

日本の野鳥ということでは 『里山の野鳥ハンドブック』 がええでぇ♪





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Last updated  2016.04.28 00:07:32
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