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2024.11.24
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カテゴリ: メディア
ヤマザキマリがこのところ目立っているので・・・
以前読んだ『たちどまって考える』という本を、以下のとおり読み直そうと思った次第です。


*********************************************************
本屋の店頭で『たちどまって考える』という新書を手にしたのです。
パラパラとめくってみると、ヤマザキマリの最新評論集のような本になっています。
これは図書館予約している場合ではないでえ・・・ということで、衝動買いしたわけでおます。





ヤマザキマリ著、中央公論新社、2020年刊

<「BOOK」データベース>より
パンデミックを前に動きを止めた社会。世界を駆ける漫画家・ヤマザキマリもこれほど長期間家に閉じこもり、自分や社会と向き合ったのは初めてだった。しかしその結果「たちどまることが実は必要だったのかもしれない」という想いにたどり着く。ペストからルネサンスが開花したようにまた何かが生まれる?混沌とした日々を生き抜くのに必要なものとは?自分の頭で考え、自分の足でボーダーを超えて。あなただけの人生を進め!

<読む前の大使寸評>
ヤマザキマリの最新評論集のような本になっています。
これは図書館予約している場合ではないでえ・・・ということで、衝動買いしたわけでおます。

rakuten たちどまって考える


イタリアと中国の蜜月が語られているので、見てみましょう。
p34~36
<暮らして見えたイタリアと中国の蜜月>
 そもそも、頬へのキスのような濃厚接触が挨拶となっているのはイタリアだけではあありません。フランスやスペインだって、濃厚接触が生活のなかにあります。なのに、なぜ中国に続いてイタリアが、しかも北部だけ、あれほど急激に感染爆発を起こしたのか。

 その状況について、報道を通じて適切な推察や説明をする専門家をなかなか見つけることができず、非常にもどかしい思いをしていました。私はウイルス感染に関しては門外漢ですが、北イタリアに長く住み、飛行機で頻繁に行き来する立場にいる人間として、中国との関係で見えていることがあったからです。

 イタリア北部で起きたパンデミックにつながるあれこれは、私がイタリア中部のフィレンツェに留学していた1980年代半ばにはすでに始まっていました。中国国内でトウ小平がリーダーシップを発揮していた時代です。当時、改革解放路線の政策が一気に進み、中国の市場は開放され、そこから海外との貿易が盛んになり始めていましたが、その中国の状況と反比例するように、イタリアの経済は脆弱化していきました。そしてその傾いたイタリアに、海外への進出を狙う中国企業が介入し始めたのです。

 私は油絵と美術史の勉強を続ける傍ら、熟れない詩人の恋人との生活を立ち回らせようと、商売を始めました。覚えているのは、そのときの取引先がどんどん中国の資本に変わっていったことです。
 フィレンツュ近郊のプラートは、織物産業や皮革産業で有名なルネサンス時代から続く古都なのですが、そのプラートに仕入れに行くたびに、地元の工場の経営者が中国人に代わっていました。今から約30年近く前です。

 損の語、私は息子のデルスを出産し、詩人と別れて日本に戻りました。しばらくして夫と出会って結婚し、再びイタリアに戻ってきたときには、イタリア北部にはすっかり中国の影響力が広がっていました。たとえば夫の知り合いのイタリア人が経営する自動車部品工場やセラミック関連の工場は、逆に中国に移転していました。それは中国で製品をつくってイタリアに持ち込んだほうが、コストはずっと安くつくからです。

 北イタリアのロンバルディア州、ヴェネト州、エミリア・ロマーニャ州などの6州には、イタリア経済の半分を支えるとされる中小企業や工場が集中しています。その地域にある企業が、こうした流れのなかで中国と密接な関わりを築いていました。そしてイタリアの経済状態が悪化した以上、それは当然の成り行きだと思います。その後も現在に至るまで、中国の存在感が薄まることはなかったですね。

 日本からパドヴァの家に戻るとき、私はヴェネツィアのマルコ・ポーロ空港に到着するフライトを選んでいます。日本からの直行便がないので、大抵フランクフルトやパリ、ロンドンといったハブ空港で乗り換えることになりますが、ヴェネツィアに向かう飛行機のビジネスクラスはいつも中国人で占められています。なんでこんなに、と最初こそ驚きましたが、それだけ北イタリアと中国の都市はビジネスの関係が濃厚で、人の往来も頻繁なのです。新型コロナウイルスが世界で初めて認められたとされる武漢も、例外ではありません。

 イタリアと中国の浅からぬ関係性は、暮らしのなかで実感することもあります。
 たとえば、パドヴァの家で過ごしている間に舅から、「今度の水曜日、僕の友だちの事業主の家でパーティがあるから、マリも一緒に行こう」と誘われて行けば、ビジネス目的で滞在しているという中国人に会うことが珍しくないのです。

『たちどまって考える』9 :イタリアと中国の蜜月p34~36
『たちどまって考える』8 :人生は思い通りにならないp166~169
『たちどまって考える』7
『たちどまって考える』6 :松田聖子は「アイドル界のカエサル」p150~153
『たちどまって考える』5 :日本人の教養p146~148
『たちどまって考える』4 :ニッポンのコロナ感染
『たちどまって考える』3 :ニッポンの世間体p204~206
『たちどまって考える』2 :外国語の習得p200~203
『たちどまって考える』1 :漫画家のくせにp195~197

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■2021.08.05XML
『たちどまって考える』9
https://plaza.rakuten.co.jp/foret/diary/202108050001/





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Last updated  2024.11.24 00:03:25
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