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2025.11.03
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カテゴリ: メディア
明治維新前後の日本の運命とやらを浅田次郎が語っているので・・・以下のとおり復刻して読み直してみよう♪

*******************************************************
図書館で『日本の「運命」について語ろう』という本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくると・・・冒頭に歴史小説を書くにあたっての守備範囲は、日本の幕末、幕末以降の近代、そして中国の近代、と表明しています。これがいたく大使のツボに響くのです。






浅田次郎著、幻冬舎、2015年刊

<「BOOK」データベース>より
衆より個の利益を、未来より現在を大切にする今の日本。150年で起きたこの国の「変容」を、知の巨人が深い洞察力と明快な論理で解き明かす。驚きと発見に満ちた、白眉の日本人論。
【目次】
第1章 なぜ歴史を学ぶのか/第2章 父の時代・祖父の時代/第3章 中国大陸の近代史/第4章 明治維新が目指した未来とは/第5章 参勤交代から覗く「江戸時代のかたち」

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくると・・・冒頭に歴史小説を書くにあたっての守備範囲は、日本の幕末、幕末以降の近代、そして中国の近代、と表明しています。これがいたく大使のツボに響くのです。

rakuten 日本の「運命」について語ろう



「第4章 明治維新が目指した未来とは」で、水戸藩の攘夷思想あたりを見てみましょう。
NHKの大河ドラマで渋沢栄一が育った水戸藩を観ているので興味深いのでおます。
p152~156
<■攘夷思想を醸成した水戸藩>
 攘夷運動を牽引し、討幕運動の中心となったのが長州藩でした。今の山口県にあたる周防・長門を領国とする大大名、毛利家ですね。ここがいちばん熱心な攘夷主義者の集まりでした。みなさんもご存じの明治の元勲と言われる人々、木戸孝充、伊藤博文、山県有朋たちがそうですね。思想的背景となった学者、吉田松陰も長州の人間です。

 彼らが幕府を倒そうという、世の中を大転換する運動を始めるのです。ただ攘夷を最初に言い始めたのは長州ではなくて、水戸藩だったと思われます。

 水戸藩は御三家のひとつですが、昔から尊王思想の篤いところです。藩祖は家康の十一男の徳川頼房ですから、もちろん徳川の一門ですが、当主は代々都のお公家さんや皇室から妻を迎えているくらい、尊王思想の強い藩でした。

 第二代藩主の徳川光圀は水戸黄門として有名ですね。その光圀が始めた一大プロジェクトが、『大日本史』というわが国の史書の編纂です。

 幕府による公式の史書『本朝通鑑』が1670年に完成していますが、『大日本史』の編纂は二百年以上もずっと藩の仕事として続きます。完成したのは明治時代に入ってからです。『大日本史』は初代・神武天皇から、室町時代の第百代・後小松天皇まで百代についてまとめてありまして、こうした事業を通じて、もともと篤かった尊王思想がさらに育まれていったことは間違いないでしょう。

 そうした思想が水戸から長州に伝わったと、私は見ています。
 茨城県から山口県に思想が伝播するのかと思うでしょうが、これは傍証があります。
 当時は参勤交代の制度がありましたから、お殿様は1年おきに江戸と領国を行き来するわけです。たとえば尾張藩のお殿様が、今年名古屋城に住んでいたら、来年は大名行列をして江戸に来て1年間住みます。尾張藩の上屋敷は、今、市ヶ谷の防衛省が建っているあの場所ですね。そして翌年はまた大名行列で名古屋に戻る。

 もちろん長州藩も同じです。山口県と東京の往復は大変ですが、薩摩藩でも弘前藩でも参勤交代は義務だったのです。

 しかし水戸藩は例外でした。家康によって例外中の例外が認められていたのです。
 徳川家康はたくさんの子供を作りましたが、とりわけ晩年に作った三人の子供をかわいがりました。「歳をとってからの子供はかわいい」と言い慣わされてきた通りですね。

 九男、十男、十一男が尾張藩、紀伊藩、水戸藩の初代藩主になって、これがやがて御三家と呼ばれるようになるわけです。ただ水戸藩主になった末っ子、頼房は当時6歳でしたから、三人に同じ資格を与えるのも無理があったのでしょう。二人の兄よりも石高は少なくなりました。
 また尾張徳川家と紀伊徳川家は、将軍家に跡取りがいなくなった場合に継子を出す権利を認めましたが、水戸徳川家にはその権利を与えていません。
 そのかわり参勤交代はしなくていい、領国は近いのだから、ずっと江戸にいて将軍の補佐をする、ということになった。

 つねに将軍の側にいて、いろいろな話を聞いて相談相手になっていたから副将軍という役回りになった。それが水戸徳川家というものでした。
(中略)

 九段坂を下りきったところにあった練兵館には、水戸藩の藤田東湖、新選組の芹沢鴨、長州藩の桂小五郎、品川弥二郎といった面々が通っていました。
 当時の道場では、剣術に励むとともに学問がついてきます。午前中は道場で稽古をして、午後は隣の塾で学問をする。文字通り文武両道、ワンセットです。だから大勢の水戸藩士と長州藩士が竹刀を交え、机を並べたことでしょう。
 親藩と外様の違いはありますが、石高も藩士の数もおなじくらい、おそらく交流があったと思われます。

 藤田東湖は一世代上の人で、「水戸学」の大家として知られる学者です。水戸学とは水戸光圀由来の『大日本史』の編纂を目的に、日本古来の伝統を研究する学問ですから、尊王思想の碩学による影響も大きかったのではないでしょうか。

 このあたりは小説家である私の創造ですから、学術的な裏付けはありません。
 しかし、水戸学に端を発する尊王攘夷思想が、明治維新に大きな役割を果たしたことは、広く認められている史実です。


ところで読書歴を調べてみたら、この本を借りたのは三度目になることが分かりました。
・・・またか、でもそれだけ興味深い本ではあるなあ。

【過去2回】
『日本の「運命」について語ろう』1
『日本の「運命」について語ろう』2 :漢族と満州族(清)の違いp124~129
『日本の「運命」について語ろう』3 :徳川と愛新覚羅を比べてp131~135
『日本の「運命」について語ろう』4 :日本人と中国人の違いあたりp137~140
『日本の「運命」について語ろう』5 :日露戦争の戦果p182~185
『日本の「運命」について語ろう』6 :西南戦争で国民皆兵が定着p67~73

【2021年の2回】
『日本の「運命」について語ろう』2 :アヘン戦争、香港割譲104~112
『日本の「運命」について語ろう』1 :中国の歴史p26~29

*********************************************************
■2021.07.03
『日本の「運命」について語ろう』3





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Last updated  2025.11.03 00:02:04
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