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ナショナル・シアター・ライブ
第3弾は テネシー・ウィリアムス
の戯曲
「欲望という名の電車(A Streetcar Named Desire)」
でした。
エリア・カザン
監督が 「風とともに去りぬ」
の ヴィヴィアン・リー
に マーロン・ブランド
を抜擢して作った映画が有名で、 ヴィヴィアン・リー
が二度目のアカデミー賞・主演女優賞をはじめ、いろんな賞を獲った映画なのですが、今では、 マーロン・ブランドの出世作
としてのほうが有名かもしれません。彼が下着の肌シャツを普段着にして着ていたのが、いわゆる、Tシャツの元祖だと言われるていますが、 マーロン・ブランド
ってそんなに人気があったんですかね。
1951年
につくられたこの映画を三宮の名画座 「阪急文化」
だったか、元町の 「元映」
だったかで観た記憶があります。まあ、 マーロン・ブランド
が若いことに驚いた
覚えしかありませんが。 1970年代後半
に学生だったぼくは、 「ゴッド・ファーザー」
の ドン・コルレオーネ
や 「地獄の黙示録」
の カーツ大佐
をすでに観ていましたから、当たり前なのですが、暗い俳優という印象は変わりませんでした。もちろん映画の筋など、全く覚えていません。
同じころ新潮文庫で テネシー・ウィリアムス
の戯曲を数冊読みました。 「焼けたトタン屋根の上の猫」
とか、題名がおもしろいので読んだはずなのですが、今回のお芝居のための予習でネット上を確認してみましたが、こっちもストーリーはほとんど忘れていました。黄色い、薄い文庫本だったことは覚えています。 40年以上
も前の話です。
画面が暗くなって、芝居が始まりました。劇場の中央にしつらえられたセットに、一人の女がやってきました。主役の女優 ジリアン・アンダーソン
です。何かしゃべり始めます。 「A Streetcar Named Desire」
だけが聞き取れてあとは字幕です。 「ここが天国なのか墓場なのか」
と叫んでいます。声が上ずっている感じがして、まわりの人たちから、一人だけ浮いています。
「この女優、ひょっとして大根?」
ふと、そんな、ありえない印象が浮かんで、一瞬しらけたのですが、一幕の間、ずっと上ずっているように聞こえました。まあ、英語はわからないので、音だけの話なのですが。
何度か暗転があって、そのたびに、大きな音の音楽と登場人物も舞台もいっしょに動く面白い転換が何度かあって、休憩があって、相変わらず女優の声は耳障りで‥・・・、そう感じていたはずなのに舞台が繰り返しゆっくりと回りつづけ、 ブランチ・デュボア
( ジリアン・アンダーソン
)の「来ないで」というセリフが響きわたるあたりで、舞台に見入っているぼくのニュアンスが微妙でした。
「ああ、彼女は、もう充分壊されているのに、なぜ、このうえ、こんなことまでされなきゃならないんだろう。」
舞台では、新しく子どもが生まれる夜。家に帰った夫はふたりきりになった妻の姉と・・・・。
芝居が終わり、劇場が明るくなっても、しばらく立ち上がれませんでした。
「そうか、はじめからの演出か、演技だったんだ。」
だんだんと、狂気に向かっていたんじゃなかったのです。狂気の激情と表情の冷静。嘘だと知られていることを知りながら、嘘をつき続ける狂気。
舞台に終わりが来て、 ジリアン・アンダーソン
がカーテンコールで見せた表情を見て、初めて気づきました。
「
すごい、始まりから終りまで嘘をつき続けた女優!」
「とんでもない芝居だったんだ!」
劇場から 神戸駅
に向かってトボトボ歩いていると、 「だって私は、いつだって、見ず知らずの方のご親切に支えられて生きてきたんですから……。」
という ブランチ・デュボア
の最後のセリフの字幕が頭に浮かんできました。
病院に連れていかれながら、彼女がいったそのセリフのトーンだけが、ひくく、かすかに聞こえて、芝居は終わりました。
今さら言うまでもありませんが、見事な構成の戯曲で、 ジリアン・アンダーソンの
納得の演技でした。 拍手!
神戸駅前の花壇
の煉瓦に腰を掛けて煙草を喫いました。 元町あたり
のビルに夕日が反射してまぶしく輝いていました。で、駅舎の上の、まだ青い空に白い月が出ていました。
中々立ち上がれない気分でした。隣に座っていたオニーさんが、ケータイ電話を相手にケンカを始めました。なんとなく、いたたまれなくなって立ち上がって駅に向いましった。ヤレヤレ‥‥。
出演 ジリアン・アンダーソン、ベン・フォスター 他
演出 ベネディクト・アンドリュース
作 テネシー・ウィリアムズ
上映時間 202分 2014年/イギリス/配給:カルチャヴィル2018-08-22
追記2020・01・06
ジリアン・アンダーソン
のお芝居
「イブのすべて」
を観ました。彼女のなんか危ない感じの演技が、ぼくは好きですね。題名をクリックしてみてください。
追記2022・08・08
映画でもお芝居でも、自分が何を面白がったり、どんなことに感動したりしているのかよく分からいのですが、舞台や、映像という作りごとの中に生身の自分とは違う、作りごとの「人間」として、自分の表情や体の動きをつくりだす俳優という仕事は、スゴイですね。舞台とはまた違いますが、最近見た 「灼熱の魂」
という映画の ルブナ・アザバル
という女優さんにも、そんな感じを持ちました。大変でしょうね、イヤ、ホント。
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