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週刊未来経済 07.12.31号 (月曜発行) FPの視点-今年中にこれだけは言っておきたい! きょうで2007年も終り さてきょうで07年も終りです。今週は正月休みで株式市場もほとんど機能 しません。日本の経済が実質的に始動するのは、来週の7日以降になります。 どのような年になるのか、自分の興味中心になるとは思いますが、追いかけて いきたいと思います。 07年は年金記録に終始した一年 これまでの社保庁のずさんな年金記録管理が明らかとなって以来、責任追求 と対応に追われ、もっと大切な年金を中心とした社会保障をどう立て直すかと いう本質的な対策が少しも進みませんでした。08年こそ前向きの議論をして 欲しいですね。政治家はもちろんですが、私たちも過去を振り返らず、現状に とらわれない未来志向が大事だと思います。 国民安心倍増計画を日本の目標に 1958年度の経済白書に次の一文があります。「われわれはいまや異なっ た時代に直面しようとしている。回復を通じての成長は終わった。今後の成長 は近代化によって支えられる」。その後、所得倍増計画が打ち出され、196 0年代以降、日本は驚異的な経済の成長を示すこととなります。 上記の経済白書のコメントのなかの「回復」を「企業」に、また、「成長」 を「国民の安心」で読み替えたらどうでしょうか。今の時代認識にぴったりと するのではないでしょうか。これまでの日本経済は企業の力によって支えられ てきました。でも現状は国民を幸せにしていません。国民の富をどう再分配す るか、という1点が政策化していないのです。だから私は、所得倍増計画なら ぬ「国民安心倍増計画」を国を挙げて目標にすべきなのだと思います。 経済財政諮問会議を廃止して国民安心諮問会議をつくれ 野党からもこの経済財政諮問会議への疑問が出ているようです。小泉時代に それでも官僚をけん制する機能は果たしていました。しかし安倍、福田政権と なると全く省庁の予算取り機関となっているように見えます。当然ですね、議 題をつくり報告案をつくるのは事務局です。よほどの問題意識をもたなければ 事務局案を超えるドラスティックなものは出てきようがありません。 また経済財政諮問会議には根本的な欠陥があります。メンバーは、大臣、企 業代表、マクロ経済学者であり、かつ、テーマはあくまで「経済財政」に関す ることのみです。消費者や生活者の声を代弁する人は入っていません。今の日 本の問題は経済の問題ではなく、生活の問題だというのが私の持論です。だか らもっと国民生活の現場に近いメンバーを大幅に入れて、国民安心諮問会議を つくれと言いたいのです。 そもそも経済問題を声高に主張すること自体が、貧しさの発想なのです。北 欧の国々を見てください。もちろん経済成長しなければ国全体が豊かにならな いので産業政策はありますが、むしろ国民福祉の増大を優先しています。先進 国では規制緩和を徹底的に進めれば、企業は黙っていても頑張るのです。 経済中心主義は発展途上国の発想 ヨーロッパの国々の共通性は、社会主義的なことです。資本の論理を土台に 据えながらも再配分の考えを重視し、国民生活を重視しています。例えばドイ ツやデンマークは教育費が無料です。教育費が無料になったとすると日本人は どれだけ安心できるでしょう。年金や医療も負担と受益がわかれば安心できる でしょう。 もちろん高福祉社会にも問題はあります。社会保険料と税金を合わせた国民 負担は50~60%にもなるし、働かなくても保障が充実しているので失業率 も高いようです。ドイツなどは小学生の段階で、高等教育を受けられる子ども と労働者としての教育を受ける子どもとに区分けされてしまうため、どこか社 会が沈滞している、といった面もあるようです。但し、これらの国々が手厚い 社会保障や教育体制を選んだということもっと学ぶ必要があると思います。楽観的な日本人は安心構築で活性化する 歴史が好きな私から見ると日本人は楽観的な民族だという気がします。以前 に吉田茂が明治以来の100年の歴史を回顧した文章を読んだ記憶があります がこれに近いことを書いていました。幕末の攘夷派が一転して開国路線に転じ たこと、先の敗戦時にアメリカの方針を素直に受け入れたことなど、日本人の 楽観主義が如実に表わされていると言っていました。 また私の個人的な見方では、日本人はふだん優柔不断な面がありますが、何 らかの方向を指し示されると、爆発的な力を発揮する特徴をもっていると思い ます。だから生活安心というエンジンを与えられるとこの国は再び活力を発揮 するのではないかと感じています。
2007.12.31
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第3部中国大動乱 3.高度経済成長(本題の前にきょうの感想-市民力の時代) 今回の薬害肝炎問題で分かったことは、「顔の見える」人々の声が、国の政策を動かす力の大きさです。最初は軽視していた政治も救済新法をつくる方向に追い込まれました。世論も支持したことから与野党を超えて動かざるを得なくなったのです。思うのは、政治の弱体を見て官僚の蛮行狼藉が目に余ることです。政党支持率だけでなく、新聞などが官庁への政策評価の世論調査をしたら少しは反省するのかな、と思うのですが。さて閑話休題。驚異の成長力 改革開放の狙いは外資を呼び込んで、国内の成長インセンティブに火を点けようとするものだったが、ものの見事に成功した。この10年間の中国経済の成長率は平均で10%だが、このことはこの10年間で経済規模が2倍となったことを意味する。これまで沿岸地域が成長エンジンだったが、今、内陸エリアへも拡大しようとしつつある。起業意欲も旺盛だ。従来のIT関連から内需産業へと広がりつつある。改革開放は中国人の潜在エネルギーを引き出した。チャイニーズドリーム 高度成長期の日本は、一生懸命に頑張れば明るい明日がくると皆が信じていたようだ。今の中国がまさにそうだ。とくに総人口の半分を占める都市部にはその気分が横溢している。若い女性は定時にオフィスを出ると、ファーストフード店などで腹ごしらえした後、夜間学校へと急ぐ。外国語やコンピュータを勉強するためだ。キャリアを蓄積して有利な条件で転職したり、起業するためである。上昇志向というチャイニーズドリームが中国経済の推進力となっている。 都市が推進力 都市が成長することで国全体が豊かになっていく、これは普遍の法則だが、中国の特徴はこれを国家が強力に進めたことだ。まず沿岸都市を指定し外資の進出を誘導した。そして今、内部の都市へその方法を広めようとしている。都市の会社で働く人には基本的な社会保障がある。都市住民にインセンティブを与え、かれらの意欲を高めようとした。中国政府の「先富」戦略は見事に成功した。一方、農民が都市へ自由に移動することは規制されている。これが未来の課題だ。文革以後の世代が都市経済をリード 日本では年代が高くなるほど所得が高くなる。一方、中国では若い世代ほど高所得で消費の中心だ。いわゆるポスト文革世代である。改革開放路線への転換で人々はくびきから解かれた。なかでも今の都市経済をリードしているのが20代の若い人である。教育レベルも所得も高い。インターネットの普及は情報入手でも世界レベルとなっている。このような最先端層でも全国に5千万人いるのが中国という国だ。上海は東京以上の繁栄 20年ほど前なら上海の魅力はヨーロッパの佇まいをもつ高層ビルの美しさと、豫園の中国ならではの庶民的な賑わいだった。しかし今の上海は、人口1800万人、1人当たりGDPが9000ドルを超え、巨大都市へと変貌している。中国が目指そうとする未来都市なのだ。新天地を訪れてみるとよい。赤レンガの街並みは、旧フランス租界そのままだが、中に入っているテナントは最先端、ファッショナブルな店ばかりだ。東京の銀座さえ凌ぐといっても言い過ぎではない。矛盾を孕んだ成長 冬に上海などの大都市を訪ねてみるがよい。暖房用の石炭で大気は汚染され観光客を寝込ませるほどだ。また発ガン性物質で国内ではガン患者が多発している。工場が排水をそのまま川に流すため有毒なヘドロが水底に厚く堆積している。もはやこの国の環境問題は国際的にも放置できず、経済の成長力にも陰りが出てこざるを得ない。そうなれば現実的な中国の人々は格差や、民主化の改革を政府に迫ることとなろう。経済の成長で国民の不満を抑えてきた中国共産党の一党独裁も維持が難しくなってくる。
2007.12.28
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投資商品としての変額年金保険 本題の前にきょうの感想を。役人が調子にのって、いい加減きわまると感じます。年金記録問題でも過去に杜撰な仕事をしてきた役人が罰を受けることありません。薬害肝炎の問題でも自分の非を認めることはありません。政治家なら私たち有権者が鉄槌を下すことができますが、官僚に対してはそれもできません。裁判官のように選挙の際に、私たちが意思表示できる仕組みが必要ですね。人間を特定することは難しいので、省庁全体に対して点数評価したらよいでしょう。例えば、「厚生労働省▲∞点」などのように。金融商品の垣根がどんどん低くなる 今、保険商品と投資商品の垣根がどんどん低くなっています。私たち生活者からは、それだけ選択肢が広がるので歓迎できることですね。そのなかで今、急速な伸びを見せているのが変額年金保険です。特徴として保険と投信の2つの性格をもっていることです。つまり死亡保障があり、なお運用益のメリットも得られます。保険商品としての性格 まず保険としての性格を見ましょう。10年とか20年間の運用期間中は、運用の実績に応じて増減するものの死亡保障を受け取ることができます。仮に運用がマイナスであっても、支払った保険料総額に相当する保障額を最低限受け取ることができます。保険なので生命保険料控除の対象となります。死亡保険金は相続税を払うときに非課税枠を使うことができます。また運用期間終了後は生涯に渡って年金を受け取ることができます。変額年金保険の投資商品としての性格 次に投資商品としての性格を見ましょう。当然、運用次第で年金額(解約返戻金)が増減します。複数ファンドのなかで一般にスイッチングができることも魅力です。例えば、これから景気が悪くなると思えば、債券投資型のファンドにスイッチしたらよいでしょう。不景気の底で、これから景気が回復すると思うなら株式型のポートフォリオにしたらよいでしょう。ある回数までは手数料不要です。スイッチの際の売却益も繰り延べ課税されるので複利効果を期待することができます。難点はコストが高いこと 難点は、コストがやや高いことです。アイエヌジー生命の「スマートデザイン123」を例に見てみましょう。最初に保険料を一時金で払い込みますが、そのときに購入手数料5%がかかります。運用期間中の信託報酬が2.65%です。投信ですので売買委託料などは別途かかります。運用会社が頻繁に売買を繰り返すとばかになりません。年金を受け取るようになると年金額の1%を差し引かれることとなります。購入するときの手数料率も高いのですが、日割りで徴収される信託報酬が、資産額が大きくなるほどボディーブローのように利いてくることになります。変額年金保険は売れ行きがよい それにしても変額年金は証券大手や銀行窓口などで売れ行き好調です。団塊世代の退職金運用が大きな背景のようですが、変額年金保険そのものの仕組みにも成長の要素があります。投資信託に比べ資金の有利活用のメリットがあるのです。投資信託に常勝なし 長期でみると投資信託に常勝はありません。運用の巧みさをいつまでも維持することはできず、ライバルが出現することにより、長期では、どの投信もどんぐりの背比べにならざるを得ないからです。これが自由市場の宿命です。保険は死亡した人の保険料が移転される 対して変額年金保険は、死亡した人がそれまで払った保険料が、満期まで生きた人に移転加算されるため、長期的にはどのような運用会社に比べても高いパフォーマンスが期待できるのです。変額年金がコスト面の不利を跳ね返して伸びているのはそれなりの理由があるのです。
2007.12.26
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週刊未来経済 07.12.24号 (月曜発行) 日本は爆発力が強い国だという気がします。普段は自然のなかでつつまし く暮らす温和な国民性でも、何かに方向づけられると、とてつもないエネル ギーを発揮します。まるで火山のようです。これまで良くも悪くもこの爆発 力が日本を変えてきました。 世界を揺るがした日本発の発明の「新型万能細胞」の研究が事実上のナシ ョナルプロジェクトとなりました。今後5年間で100億円以上を投入して 治療法の開発を進めていくそうです。日本の転機となるかもしれません。 なにしろ具体性のあることに魅力を感じます。これまで○○立国戦略・・ の名前でいろいろ乱立してきましたが、大体が役所の抽象的な作文でした。 しかし今回のプロジェクトは、日本人による発明が基礎となっており、医 療現場へ応用できるという面があります。つまりゴールとプロセスが見えて 具体的なのです。 これを機会に日本が再活性化することができればと期待しています。うた た寝を続けている日本社会を目覚ませる役割を果たして欲しいものです。一 番、眠りから覚めて欲しいのは地方政府です。いつまでも国に頼らずに自律 してくれることを期待したいものです。 ●今週(12/24~30)の焦点 今、最も気になるのはアメリカ人の消費動向です。11月はクリスマス商 戦の前倒しで小売業の売上が好調だったようです。引き続いて12月も堅調 を維持できれば好いのになあ、というのが実感です。今や彼の国の頼りは消 費だからです。 日本は今年の税収落ち込みもあり、公約だった11年度の基礎的財政収支 の達成が危うくなっているようです。来年以降の景気にもよりますが、財政 改革を進めないと長期金利が上がり、日本は危機的な状況になります。不景 気だからといって再びムダ使いに走るとこの国は自滅することは明らかです。 ●市場動向(先週17~21日の市場動向) アメリカはまだ方向が見え難い状況です。不良債権化したサブプライムロ ーンを組み込んだ債券資産を、どう処理するかの方針が定まっていないため です。当面の金融危機を回避できることとなったため、先週はとりあえず落 ち着いた動きを示しました。 なぜこんなに売られ続けられなけらばならないのか、という日本の株式相 場の一方的な下げです。しかし割安感が生じ、株価は底をつけたのかな、 という実感を得た一週間でした。 NYダウ 13450.65 (+0.8%) ナスダック 2696.99 (+2.3%) ユーロトップ300 1507.08 (▲0.6%) 米国債金利 4.174 (▲1.5%) ドル円 113.99-114.05(+0.7%) WTI原油先物 93.81 (+2.8%) 金先物 815.4 (+2.2%) 日経平均 15257.00 (▲1.7%) TOPIX 1469.20 (▲2.1%) 日経ジャスダック 1699.22 (▲3.2%) マザーズ指数 782.13 (▲6.2%) ヘラクレス指数 1183.19 (▲6.1%) 長期金利 1.550 (+0.3%)(今週の市場予測) 今週で年内取引は終りです。取引する投資家はあまりいません。閑散 としているので先物の少しの売り買いで相場が左右されそうです。(今週の注目指標) 今週は市場を左右する重要指標はありません。 ●FPの視点-公武合体、倒幕? 今年の夏の参院選挙は日本の年金をどうするかが議論になったはずでした。 その結果、民主党が勝ちましたが、その後の動きを見ると、一向に年金改革は 進展を見せていません。安倍さんの不可解な政権投げ出しが停滞の主要な要因 だったと見ます。今、少し、この国が置かれた危機を冷静に分析し、理性をも って対応していてくれたなら、今の停滞は回避されたのではないかと残念です。 福田政権になって連立を模索する動きが出たものの、今度は民主党の警戒感 から潰されました。一気に自民党政権を打倒しようという胎からでしょうが、 またもや改革の機運は潰えました。党利党略に目が奪われ、国民不安などはそ っちのけ、まことに無責任です。この国の政治家には呆れざるを得ません。 2004の年金法改正では、100年安心だと役人や政治家がもてはやしま した。しかしすぐ欺まんは露になりました。出生率は当時の前提の1.39か ら直近では1.25程度まで下がっています。国民年金の納付率は66%程度 にまで落ち込んでいます。今の日本の年金制度は、現役世代が払う保険料で高 齢者世代の生活を支えようという国全体の仕送りシステムとなっています。も はやこの方法が持続不可能だということは、前から分かっていたはずです。出 生率の低下や国民年金の不払いは今に始まったことではないからです。 2001年以降のアメリカ景気の浮揚から今回の世界景気は拡大しました。 日本の景気もそのおこぼれを貰う形で、これまで拡大してきました。理想的に は、このときに年金改革を進めておくべきでした。税金を上げるにせよ国民の 理解は得られやすかったのではないでしょうか。しかしお得意の先延ばしで今 に至ってしまいました。 今、この国は内的な成長を伴わないまま、再び、外国要因によって景気の落 ち込みに入ろうとしています。増税は国民の理解を得られないような情勢とな ってしまいました。しかし、国民負担を抜きにして年金問題を解決することは できないと私は考えます。そして年金不安の解消なしに、日本の社会を浮揚す ることも不可能でしょう。 こんなときに、福田総理が、政党だけでなく財界や労組らが参加して年金問 題を議論する「社会保障国民会議」を立ち上げよう構想が出てきました。これ は筋の良いアイデアだと私は考えます。経済財政諮問会議は今や推進力を失っ ています。その結果、論議の方向は各省庁の役人に引きずり回されています。 ここで年金問題を取り上げても官僚の手垢のついた結論しか出ないでしょう。 民主党としては、またもや疑心暗鬼にならずテーブルについて欲しいものです。 もっとも現実としては難しいかもしれません。自民党は、「公武合体」を真の 狙いだし、一方の民主党は「倒幕」に持ち込みたいと思っていると見られるか らです。
2007.12.23
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第3部中国大動乱2.改革開放 本題の前にきょうの感想を。「社会保障国民会議」が来年1月に発足するそうです。福田さんの提唱らしいのですが、政党だけでなく経済人や労組なども入って年金などの問題を話し合おうというものです。ホンネは対立する民主党との合意形成が狙いのようですが、良い発想だと思います。この問題を経済財政諮問会議に任せる今のやり方がおかしいのです。年金や医療、少子化などは経済問題ではありません。日本人の生きかたの問題です。ただ民主党は乗らないかもしれません。それより総選挙に持ち込んで一気に政権をとろうという狙いでしょう。もともと中国は資本主義社会 中国の改革開放は歴史の必然であった。はるか昔の中華帝国にまで遡る必要はない。清王朝が倒された1912年、孫文によって中華民国が建国されたのであるが、そのときに中国は既に資本主義の段階にあった。第一次大戦期には工業が花開いていた。農産物や日用雑貨がヨーロッパに輸出され、紡績や製粉工業を中心に民族資本による産業が発展していたのである。むしろ停滞したのは、中華人民共和国時代の初期であった。百害ばかりの共同・集団化 1949年、中国は中華人民共和国となった。数年間、自立的に経済は成長した。ここで最高権力者の毛沢東はソ連型の共同・集団化の方向を選んだ。いつもこの誘惑に駆られるのは共産主義の宿命か。全土の町や村を廃止して、人民公社をつくった。農地や農具は農民から没収され公社の共有財となった。農民は賃金を受け取る単なる労働者となってしまったのである。毛沢東は意図しなかったにしても、農民を基盤として建国したはずの共産党が、逆に農民を搾取するという矛盾をつくり出してしまったのだ。経済のマイナス成長 中国という国は共産党の一党独裁ピラミッド支配であり、政策が良ければ国は発展し、悪い政策の下では国は疲弊する。人民公社制度は、働き手が一介の賃労働者となることで、人々のインセンティブを失わせる宿命をもつ。案の定、経済は沈滞した。1961年と67年から69年にかけて経済成長はマイナスとなった。農民が受け取る労賃は安く搾取した富はやみくもな重工業化のために使われた。全人口の7割を占める農民を苦しめるこの政策がうまくいくはずはなかった。改革開放に追い込まれる 中国人の特徴は現実を重んずることだ。遠い未来を見通した理念より今の幸せを重視する。中国の現実主義からみれば毛沢東の目指した共同・集団制社会はむしろ水と油だ。受け入れられるものではない。疲弊した経済も改革を求めた。中国は共産党内の熾烈な権力闘争のなかで政策が決定される。だから政策転換はときにドラスティックな展開を見せる。すなわちトウショウヘイは毛路線とは正反対の改革開放路線に大きく舵をとったのである。1978年のことであった。お手本は日本やアジアにあった 中国が改革開放路線に移行することができたのは、世界経済が拡大し続けたという運の良さがある。その点では、日本やそれに続いてテイクオフを果たした、台湾、韓国、香港、シンガポール(アジアNies)なども同じだ。同じ環境のなかで、中国が経済成長路線に転換するうえで、このような先輩の国々を手本として学ぶことができたということは中国にとって幸せなことだった。アジアの成功の素 日本やアジアNiesに共通するのは、国家による半強制的な経済政策と優秀な官僚の存在だ。国策による成長戦略を頭脳とすると、官僚システムは神経ネットワークである。国民の富を効率的に配分して国力を高めていくためには、欠かすことができない2つの要素なのである。中国は共産党組織が国家だけでなく、地方にまで張り巡らされている。若干の行き過ぎがあるにせよ、中央の指示が漏れなく末端まで伝わる。一気呵成とはこのことだ。中国は、アジアの成功を教師として共産党の組織力を使い、一気に開放路線へ突っ走った。 改革開放政策 1979年の改革開放後、人民公社を廃止して郷鎮制を採用した。一定の税金を支払えば余剰生産物は各農家の所得にできるようにした。農民が自由に販売できる市場も整備した。郷鎮会社が地方で次々とできて地方の活性化の原動力となったのである。工業面では経済特区や沿岸開放都市を次々に指定して、外国企業を積極的に誘致して輸出主導の経済を作り上げたのである。中国の改革開放は、内での規制緩和と外からの資本の受け入れを基盤としたものだ。
2007.12.21
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投信の選び方-私の場合 本題の前に明るそうなニュースをひとつ。次世代の無線通信が来年から実用化されるとのことです。2013年ごろにはブロードバンド並みのケータイ通信が実現するとのこと。情報過疎地がなくなることで、ケータイや情報端末、ゲーム機などを使った新ビジネスが盛んになりそうです。既にケータイ通販が成長、今やTV通販を追い越しそうな勢いです。例えば沖縄の離島などブロードバンドの恩恵が得られない地域もあるのが現状です。投信の判断基準は、タイミング、コスト、運営方針 投資信託が資産形成の王道であることは間違いのないことでしょう。新聞でも新しい商品が毎日のように宣伝されています。新規の投信の場合には、運用の実績がないので、どうやって良し悪しを判断するか、ということになります。ここではFPとしてというか、私個人のチェックポイントをお話ししたいと思います。経済情勢のタイミングが最重要 タイミングとは景気循環のことです。投信の運用は景気の好悪に左右されます。そして景気は循環します。例えば、今、アメリカ発で世界が不景気になりつつあります。いろいろな債券に組み込まれた低所得者向けの住宅ローン債権がウイルスのように広がり、ローンの借り手が支払い困難となり、債券価格の下落を引き起こしたためです。 信用不安といわれますが、実態は不動産バブルの崩壊だと思います。アメリカは今世紀初頭に経済低迷脱却のために矢継ぎ早に利下げを行いました。余ったおカネが住宅着工に回り、空前の不動産の活況を生みましたが、そのツケが回ってき始めたのです(グリーンスパンさ、あなたは戦犯ですぞ!?)。不動産の在庫が減っていかなければバブルは解消しません。アメリカ人は、自分の住宅を担保に借金して消費をするという歪な構造になっているので、(国の介入で)大きな落ち込みはしないまでも、景気減速は避けられないと思います。来年から減速がもっと、はっきりとしてきそうです。 だから今は投信を買うタイミングとはいえません。すべからく買い物は安いところで買うべきです。私だったら今は静観してアメリカ景気の先行きをみます。何といっても世界のGDPの5割を占める国です。いくら新興国の勢いがよいからといって、所詮はアメリカへの輸出で成り立っているのです。アメリカの住宅関連の動向を注視したいと思います。信託報酬コストに注意する 運用側や販売会社にとっては美味しい利益源ですが、私たち投資家にとっては最大のコストです。信託報酬は日割りで毎日、資産額に定率でかかります。資産の価値、つまり基準価額が上がろうが下がろうが、お構いなしです。簡単な計算をしてみましょう。 元本100万円、利回り2%、投資期間20年とします。元本は20年後には149万円となります。信託報酬を年2%とすると20年間の総計コストは50万円になります。つまり信託報酬率以上の利回りがないと、私たちは相手を儲けさせるだけです。だから、できるだけ信託報酬の低い投信を選ぶことが大切なのです。リターンはリスクですが、コストは選ぶときに確定できますからね。私の方針は、信託報酬率の低い投信を、株式相場が低迷しているときに買って、じっと値上がりを待つことです。そしてそろそろ天井だと思ったら売ります。小銭は他の人にあげたらよいのです。運営方針のわからないものは避ける 例をあげます。「エマージング株式オープン」(内藤証券)という投信商品を新聞広告で見ました。別にこの投信にふくみがあるわけではありません。たまたま目に留まっただけです。他にも似たような商品があるでしょう。 エマージング諸国27カ国の株式などに投資するとあります。まずここで首をかしげます。エマージング投資というのはカントリーリスクがあります。まず国民性がわからない、政治状況もわからない、経済事情もわからない・・・。わからないことだらけです。情報もあまりありません。私が一番怖い、リスクの塊です。そんな投資先が27もあるのです。 また運用は外国の会社に任せているようです。報酬信託率は1.9635%ということですが、どんな運用指示をしているか具体的にお聞きしたいものです。広告にはそこまで書いてありませんので。なお為替ヘッジがありません。この場合、円ドルレートに一喜一憂させられることになります。 つまりは運用方針について不確定要素が多すぎるのです。また景気の落ち始めという今としてはダイミングもよくありません。一か八かの大冒険なら面白いといえますが、気の小さい私には投資実行を決断することはできません。今回はここで止めます。
2007.12.19
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週刊未来経済 07.12.17号 (月曜発行) 株や為替の日々の、上がった、下がったに一喜一憂することには意味がな いというのが持論です。それにしても、相変わらず金融市場の動揺が収まり ません。疑心暗鬼の心理からか、株式市場でも現物を買い上がる機運に乏し いと感じます。先物屋の投機的な売りで相場が一方的に動かされているよう に見えます。 ただ足元では徐々に落ち着きを取り戻すのではないでしょうか。当局によ 支援策、大手銀行間での協調などが具体化してきました。取り合えず、出血 を止める効果が出つつあると思えます。 分かったことは今回の問題は、住宅バブルの崩壊だということでしょう。 問題が大きくなるのは来年以降だと思います。不動産の含み益で嵩上げされ た消費は力を失っていくでしょう。世界景気は再び沈滞に入るという気がし ます。 もっとも来年は中国でオリンピックが開かれ、アメリカでは大統領選があ ります。協調して景気悪化を防ぐ方向で努力するでしょう。来年は景気の小 康状態で推移するのではないでしょうか。期待も込めてですが、そうなった ら資産を現金化しておくことをお勧めします。 ●今週(12/17~23)の焦点 欧米の中央銀行による流動性対策が打ち出されたことで年末の資金繰り対 策の不安がとりあえず後退しました。しかし今週発表される、アメリカ大手 銀行の決算では追加評価損が出る不安もあります。 ●市場動向(先週10~14日の市場動向) 注目のニューヨーク市場は、FOMCの利下げ幅が小さかったことで失望 売りが下げの要因となりました。もっともインフレ懸念があるなかで大幅利 下げを期待することにも無理がありました。 本来、公式的にはサブプライム損害が軽微であるはずの東京市場がアメリ カ以上に下げるのが、このところの傾向で先週もそうでした。やはり経済だ けでなく、日本社会の弱さに投資家が辟易しているのではないかと思います。 しかし下値では買う動きが出て、奈落の底への落ち込みという状況になりま せんでした。 NYダウ 13339.85 (▲2.1%) ナスダック 2635.74 (▲2.6%) ユーロトップ300 1516.37 (▲1.4%) 米国債金利 4.238 (+3.1%) ドル円 113.25-31 WTI原油先物 91.27 (+3.4%) 金先物 798.0 (▲0.3%) 日経平均 15514.51(▲2.8%) TOPIX 1501.25 (▲4.9%) 日経ジャスダック 1755.46 (▲0.6%) マザーズ指数 834.14 (▲5.8%) ヘラクレス指数 1260.43 (▲4.3%) 長期金利 1.545 (▲1.3%)(今週の市場予測) 今週の注目はアメリカでゴールドマンサックスなど金融機関の決算発表が 多くあります。ここで債券の評価損が拡大するようだとさらに株価が下落す るでしょう。一方、利下げ期待が再燃し株価を押上げることにもなり、アメ リカ市場は先週と同じように乱高下する可能性があります。 一方、東京市場は相変わらず海外市場に左右される性格は変わりませんが、 下値は限定的です。安いところでは、個人投資家だけでなく投信や海外ファ ンドからの買いが入るためです。先週の終わり値1万5500円程度が目安 となるのではないでしょうか。救いはドルの減価が一服しつつあることでし ょうか。今の株価の追い風要因は円安です。(今週の注目指標) 今週は市場を左右する重要指標はありません。 ●FPの視点-「年金安心で生活者大国を目指せ!」 総理の福田さんが新経済成長戦略を打ち出すそうです。人口減少下でも 物価の影響を除いた実質で2%の成長を目指すということで、来年6月の 「骨太の方針」に反映させるそうです。ということは福田さんが来年以降 も政権を運営するつもりだということですね。もっとも就任以来、まだ仕 事をしていないのも事実ですが、それまで自公政権が維持できるのかな。 ところで毎年、「骨太の方針」つまり経済財政運営の基本方針が出され ます。いつも思うのは空虚な作文だということです。抽象的なスローガン が羅列されその結果、やたら長文となっています。しかし論理明快意味不 明のお手本のような文章です。 だいいち「How to」がありません。政策目標をどう実現するか、 いう具体化がありません。こうした空々しい文を延々と捻くり出す役人の 筆力も捨てたものではないと、妙に関心してしまいます。最大の問題は、 「骨太」といいながら、どんな国にするのか、したいのか、という視点に 欠けることです。経済面だけに視野を狭めるからこんなことになるのです。 FPである私として思うのは、今、一番大切なことは国民に安心感を抱 かせることです。この国の国民でいて本当に大丈夫だと実感させることな のです。焦点は年金問題でしょう。百年安心どころか、払った保険料が満 足に記録されていないという惨状です。 国民が納得できる年金システムをつくらないといけません。個人的には 北欧のように税金を高くして、十分な社会保障が実現するようにすること もひとつの方法だと思いますが、この問題を与野党が同じ土俵で議論する べきだと思います。国民投票にかけてもよいではないですか。これを争点 とした総選挙でもよいのです。 将来に安心できるようになれば、消費が盛り上がり、企業の売上も高ま っていくでしょう。そうなれば会社も安心して給料を上げることができま す。福祉サービスや農業が盛んになり地方景気も好くなるでしょう。結果 的に国全体が元気を回復することができるでしょう。 つまり不安の連鎖が人々を萎縮させているのです。安心を取り戻させて 内需主導の生活者大国を目指すこと、これこそ「骨太の方針」だと思いま す。途上国のような輸出で経済成長だけを目指す、やり方はそろそろ止め ましょう。むしろ為替高で潤う経済や社会づくり、これこそが21世紀の 日本の行き方だ、個人的には思うのですが。
2007.12.17
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物語農業で日本再生 第3部中国大動乱1.中国の魅力心惹かれる中国という国 中国は三国志の国だ。物語のスケールの大きさ、登場人物の色づけ、勧善懲悪のストーリー展開の分かりやすさなど興味は尽きない。しかし何といっても醍醐味は漢字交じりの表現だろう。簡潔で力強く、時には詩的な表情もうかべる。同じ漢字文化をもつ日本人にはビンビンと伝わってくるものがある。水の都の江南 景観で好きなのが江南地域だ。日本から近いという面もあるが、日本的な雰囲気を醸す水の都が多くある。元気さを実感できる大都市の上海も好いが、大小の湖や長江(揚子江)の水に恵まれた水辺都市が味わい深い。異国に居ながら、ふと日本を感じてしまう水郷村が上海付近には多いのだ。周荘、朱家角、西塘、杭州など、皆個性を表出している。蘇州 蘇州は広大な太湖と長江の水をふんだんに利用した運河が市域に縦横にはしる大都市だ。歴史は古い。2500年も前に蘇州城が築かれ、秦の時代には県城がおかれた。長江がつくった肥沃な土地では昔から米や野菜がつくられた。水運を利用して産品は各地に運ばれ、蘇州は繁栄した。今でも1600万上海の食欲を支える都市として欠かせない機能を果たしている。庭園都市 美しいと思う心情は古今同じのようだ。古来より中央の要職を退官した人々が老後を養う地として風光明媚な蘇州を選んだ。その名残が市内に見られる庭園の数々である。なかでも有名なのが拙政園、留園、獅子林などだろう。ところで「拙政」などと、へりくだるところに往時の権力者の心意気を感ずる。留園 ある日、そのなかの留園を訪れた。明代に創園された。世界遺産である。楼閣の東園、自然を模した西園、池を魅せる中園、田園風景を味わえる北園の四園からなる。園内の雰囲気は中国特有のけばけばしさはなく、しっとりと落ち着いた雰囲気だ。庭園全体に回廊を配して、どこからでも景観を楽しめる。一歩一景を庭園設計の柱としている。名のとおり、いつまでも留まっていたくなる気分にさせてくれる。
2007.12.14
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投資対象として保険会社を選択する時代 保険契約者は保険会社の社員ってご存知でした? 私たちがある会社への投資を考える場合、いろいろな手段を使って、その会社を調べて納得したうえで判断をしますね。証券会社などからも自己責任ですよ、と念を押されます。 しかし保険会社を選ぶときには、この当たり前の理屈が通用しません。例えば国内の大手、例えば日本生命や第一生命などの保険に加入すると、私たちは自動的に株主(保険会社では社員という言う)になります。払った保険料は保険会社の自己資本に組み入れられます。保険会社の貸借対照表の「基金」というのがそれです。社員であっても経営に口を差し挟むことはできない 一方、株主であっても私たちが保険会社の経営に注文をつけることは事実上不可能です。保険会社には総代会という最高の決定機関があります。一般の会社の株主総会に当たるものです。しかし社員のうちから総代会に誰に出席してもらうかは事実上、保険会社が決めています。私たちには結果だけが知らされます。相互会社は貧しい時代の遺物 何とも理解し難い仕組みですが、これには説明が要ります。先の戦争で国の富は大きく傷つきました。保険会社も資本金を調達できず、保険契約者の保険料を資本金代わりにするという手法が合法化されたのです。これが日本独特の相互会社という会社形態です。 会社がまだ一人前となっていなかった昔ならともかく、現在に至るまで何故、普通の会社に形を変えなかったのか、と誰も思いますね。理由は日本の人口が府続けていたため、そのまま放っておいても保険契約が取れ続けていたという背景があります。それに相互会社を株式会社に転換するためには、基金を取り崩して社員に変換しなければなりません。この費用負担も大きいからでした。時代が株式会社への転換を促している しかし保険会社が事態を放置している間に、日本は人口減少時代に突入してしまいました。経済も一時のように2ケタ成長するような状況はもはや期待できません。既に保険契約は減少トレンドに移行して久しいのです。このうえ何もしないで先送りすると自己資本が減少し保険会社が存続の危機に至ることも否定できません。 こういう動向をにらんで大手生命保険会社の一角、株式会社への転換を目指す動きが出てきました。第一生命が2010年を目標に株式会社化することを表明したのです。当然の流れというべきです。ところで業界リーダーの日本生命が、まず最初に打ち出すべきではなかったか、と個人的に思うのですが。それはともかく、これからは第一生命のような決定が大手保険会社にも広がるでしょう。株式会社化は保険会社のビジネスチャンスを拡大する 保険金の不払いなど反社会的な行為が蔓延する業界ですが、株式会社化することで投資家や社会からの監視が強まるので、横行した自分勝手な保険会社の行動も是正されるでしょう。 しかし株式会社となることは、保険会社にとってのメリットも大きいのです。まず市場で増資などの資金調達が容易にできます。返済の必要のない資金を使って新しい事業の展開に乗り出すことが可能になります。また株式交換などでM&Aなどもできることとなります。成長するアジア市場などでの事業拡大の可能性が広がってくるのです。保険会社が投資対象となる時代 このことは私たちの投資の選択肢が広がることにもつながります。これまでは保険商品の内容には関心はあっても、正直いって、保険会社は二の次というのが実態でした。強いていえば潰れてもらったら困る、という程度でした。 これからはその保険会社の経営戦略にも関心を払うことになるのは間違いありません。保険会社がもっと強くなれるのです。もっと早く、意思決定すればよかったのにとつくづく思います。
2007.12.11
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週刊未来経済 07.12.10号 (月曜発行) 世界で初めて万能細胞を人の皮膚から作製したニュースは日本を元気づけ るものとして私も注目しました。ヒトのあらゆる組織への応用が可能になる ということでノーベル賞にも値するほどの仕事だそうです。 しかしその後の政府の対応は緩慢といわざるを得ないようです。7日のN HKの晩のニュースで、同時に研究していたアメリカでは既にマウスで臓器 を造ったと報じられました。2週間の間で、このスピードです。常に最先端 でい続けようとするアメリカの危機感と底力を感じます。 対して日本の感度の鈍さはどうでしょうか。見かねて当の研究者から「チ ーム日本をつくれ」とハッパをかけられる始末です。戦略とスピード、民間 企業なら当たり前の発想が、予算を消化することにしか関心のない役所には 見事に抜け落ちています。こんなとき、政治家がリーダーシップを取るべき なのですが、全くその素振りを見せません。この国をあげての鈍感さをどう したらよいのでしょうか。 ●今週(12/10~16)の焦点 8月以来の金融市場の混乱も少し沈静化してきたようです。震源のローン 借り手への救済策も発表されました。近く、FF金利の引き下げも予定され ていると聞きます。株式相場も落ち着きを取り戻しています。ここ暫くは続 騰が続くのではないかと見ています。 しかし事態は楽観的とはいえないと思います。今回のサブプライム問題の 表面化の背景にはアメリカの住宅相場の下落があります。雇用者数は減少ト レンドにあり、失業率は高まりつつあります。アメリカは景気後退しつつあ ると思います。アメリカは20~30年のサイクルで元気・不元気を繰り返 します。アメリカは退潮の歴史に入ったのかもしれません。 救いは新興国の好調です。中東欧、ロシア、中東、アジアの好景気が世界 を牽引しています。これらの国々が元気を続けられるなら、アメリカの景気 後退も軽く収まるでしょう。日本も企業がパート従業員を正社員化する動き がここにきて目立ちます。これがトレンドとなれば名目賃金の引き上げから 消費意欲が高まることでしょう。消去的に日本経済は再注目されるのでは? ●市場動向(先週3~7日の市場動向) 相場はショックに弱いことが特徴ですが、時間が経過するにつれて落ち着 きを取り戻していきます。先週の金融市場はそのような一週間でした。 最もはっきりと分かるのが、長期金利が高くなったことです。安全志向か ら国債にシフトする指向が一服を示したものとみられます。原油へ資金が向 かう流れもとりあえず収まった感があります。 NYダウ 13625.58 (+1.9%) ナスダック 2706.19 (+1.7%) ユーロトップ300 1538.51 (+0.8%) 米国債金利 4.111 (+4.2%) ドル円 111.28-34 (+1.3%) WTI原油先物 88.28 (▲0.5%) 金先物 800.2 (+1.4%) 日経平均 15956.37 (+1.8%) TOPIX 1561.76 (+2.0%) 日経ジャスダック 1766.36 (+0.7%) マザーズ指数 885.23 (▲0.2%) ヘラクレス指数 1317.20 (+1.1%) 長期金利 1.565 (+7.2%)(今週の市場予測) 当局が金融不安に積極関与の方向を強めつつあります。政府系ファンドな ど外国人も株式への関心を高めつつあります。原油や金の高騰も一服しつつ あります。全体として株式市場には追い風です。後は、アメリカのクリスマ ス商戦で好いニュースが出ることを期待したいと思います。(今週の注目指標) 何といっても11日に発表されるアメリカのFOMC政策金利の発表で す。市場は既に0.25%の利下げを織り込んでいるようにも見えます。 もうひとつは、指標ではないのですが、アメリカのクリスマス商戦の行方 です11月後半は大いに盛り上がってようですが、12月に入ってどうな っているのか、ニュースなどで見たいと思います。 ●FPの視点-地域活性化にNPOの活用を 最近、面白くないのは、自治体が相変わらず国からの税金に頼ろうとす る習性が改まらないことです。その意向を汲んで、自民党税調がふるさと 納税を決めたようです。道路特定財源の一般財源化は大きく後退しました。 また東京都は拒否したようですが、都の法人税収を地方へ移転しようとい う声は高まってうるように思えません。他力依存で地方の地活力が弱いの ではないでしょうか。 まずその前に今の仕事をチェックして支出の削減をすることが肝心だと 思いますが、新聞などからはその熱意が伝わってきません。私の住む船橋 の広報などを見る限り、危機感は伝わってきません。 大新東という会社があります。地方の自治体が行う住民サービスを受託 する事業を行っています。以前から私はこの会社の仕事を注目しています が株価はパッとしません。業績は伸びているのですが、あまり一般に注目 されることはありません。このこと自体が、行政サービスの民間移管が進 んでいないことを示しています。 地方の危機感という点では、お隣の中国を見習うべきです。中国では改 革解放後、郷鎮企業という形の民間企業が草の根的に広がり、今では中国 全体のGDPのかなりの比率を占めているといわれます。農村の過剰労働 力を吸収する役割を占めているといわれます。 何でも発端は、税制改正で中央の取り分が増え、地方が財政難に陥った ことだと聞きます。日本の町や村に当たる郷や鎮が公営企業をつくって地 方経済の活性化を図ったということです。その地元の人々がその会社の株 を買い民間会社となりました。さらに経済が盛んな華南地域では、最初か ら地域の農民が出資して郷鎮企業をどんどん作っていったようです。 中国人の特徴かもしれません。これまでの歴史もあって、地方も中央政 府を信用していません。中国経済を称して「仲間資本主義」という人もい ます。つまり一般の人々は、政府より自分や家族や知人との繋がりを重視 します。この点は、これからの私たちの国の行き方に大きな可能性を教え てくれると思います。 私は日本に置き換えた場合、NPOがその役割を果たすべきだと思うの です。私の住んでいる千葉県では堂本知事がこのNPO活動に熱心で旗振 り役になっています。しかしまだ啓蒙や運動の段階に止まっているのが現 状に見えます。実際に行政を担う市町村がもっとNPOを活用すべきです。 公務員の数を減らし、その人たちがしていた仕事を原則、NPOに委ねて いく、そんな仕組みがどうしても必要です。国もNPO移管に積極的な自 治体に交付税の配分を増やすなどの施策を考えたら、と思います。
2007.12.09
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週刊未来経済 07.12.3号 (月曜発行) 土曜日の朝刊に、「国内排出権取引導入の結論出ず」と経産・環境審議会 の様子に関して小さな記事が載っていました。国内に排出権市場を設置する かについて賛成と反対で対立し、結論は両論併記となるようです。受けた政 治もおそらく決断できないでしょう。 「決断できない」これがこの国に内在する問題点です。特定の人や個別の 利害に執着するあまり大局を見失ってしまうのです。排出権を市場でやりと りすることは、ユーロで先行し、世界の流れになりつつあります。温暖化ガ スを資本主義の舞台に乗せるのは問題だ、という疑問はもっともですが、世 界標準となりつつあることは事実なのです。 話を広げると、自分のことに囚われ、周りが見えなくなるという現象はこ の国に蔓延しているように見えます。この1年間だけでも発覚した偽装、汚 職などの不祥事の数々が起きました。もはや「日本的自閉症」とでもいえる ではないのかな、と感じます。 治療法はあるのか、と問われると答えに窮します。一種の病気なのだから 自然に治るのを待つしかないのかな、思います。治そうという気持ちがなけ れば名薬も効き目なしです。早く治って欲しいものです。 ●今週(12/3~9)の焦点 アメリカのバーナンキFRB議長は、少しアクションが遅いと感じます。 市場の利下げ期待催促にやっと重い腰をあげようとしています。先手を打っ て市場にサプライズを与えた前任者と違う点です。そういう点で今週の焦点 は政策金利を下げるかどうかにかかっています。もっとも利下げは金融不安 の根本解決にはなりません。私見では、いずれは公的資金を、傷んでいる金 融機関に注ぎこまざるを得ないのではないかと感じます。だとすれば市場に おねだりされない前に、早手回しで手を打つべきです。 日本の株式市場は動意が見えつつあります。欧米の投資家は傷ついており 積極的策を取り難いにしても、オイルマネーやアジアからのマネーが流入を 増やしつつあるのではないか、と写ります。株価の推移を見てもここにきて アメリカとの連動性が薄まりつつあるように見えます。少し気になるのは中 国市場です。バブルはいつか弾けるのは当たり前ですが、経済実体に影響を 与えなければよいのですが。 ●市場動向(先週26~30日の市場動向) 国内外ともに11月に入って株式市場の動揺は落ち着いてきているようで す。損害の実態がだいたい分かり、どこまで被害が広がるのかという不安は まず後退したことがあると思います。 もちろんサブプライムローン問題は借り換えが多くなる来年以降も残りま す。しかし伝えられるところによると住宅ローン金利の据え置きなども検討 されているようです。もっと危険な事態になれば、日本がしたように公的資 金の導入も検討されるのではないでしょうか。個人的には先行きは楽観して います。 NYダウ 13371.72 (+3.0%) ナスダック 2660.96 (+2.7%) ユーロトップ300 1526.59 (+3.4%) 米国債金利 3.944 (▲0.5%) ドル円 109.90-96 (+1.5%) WTI原油先物 88.71 (▲9.6%) 金先物 789.1 (▲4.5%) 日経平均 15680.67 (+5.3%) TOPIX 1531.88 (+6.6%) 日経ジャスダック 1754.41 (+1.8%) マザーズ指数 886.87 (+10.3%) ヘラクレス指数 1303.03 (+7.2%) 長期金利 1.460 (+3.1%)(今週の市場予測) 相場は落ち着きを見せはじめたと思います。金融不安も当局が積極関与 の方向を強めつつあります。政府系ファンドなど外国人も株式への関心を 高めつつあります。原油や金の高騰も一服しつつあります。全体として株 式市場には追い風です。後は、アメリカのクリスマス商戦で好いニュース が出ること、雇用統計も落ち込まないことを期待します。 ●FPの視点-アジアの時代に準備しよう 人の国を心配する前にお前の国を一人前にしろ、とアメリカ人に怒られる かもしれませんが、アメリカの今後には疑念を持たざるを得ません。ある世 論調査によるとアメリカ人の7割が「自国は間違った方向に進んでいる」と 感じているということです。自分の国を第一優先に考えずに、海外の紛争な に首を突っ込み過ぎだということです。それでもアメリカが超大国としての ニラミをきかすことができれば、国民も納得できるのですが、その自信も失 われつつあるようです。 確かにソ連の崩壊後、アメリカは唯一の超大国としてこのところ頑張って きました。しかし20年も経たないのに、その支配は崩れつつあります。ユ ーロ圏の台頭、依然として解決策を提示できない中東情勢、「死んだ」はず のソ連もロシアのプーチンが登場してきました。 そして最大のライバルがアジアです。今や、日本の貿易量はアメリカを抜 いてアジアが最大となりました。日本と中国のドル外貨準備は2兆ドルを大 きく超えます。日本はまだドルを後生大事に抱えていますが、中国などは牽 制もあるかもしれませんが、ドル以外の運用の可能性を表明しています。 ASEAN憲章が合意され、日本や中国を巻き込んだ地域共同体の実現も 時間の問題となりました。日中はお互いに補完機能をもっているのでこれか らも仲良くできるでしょう。もし両国が中心となって通貨バスケット制度を つくればドルで貿易を行う必要性はなくなります。ドル債の需要は減少し、 ドルは下落します。海外からの資金が入ってこなくなると今のような浪費は できなくなるでしょう。アメリカの景気は恒常的に悪化するでしょう。 もちろんこれはひとつの仮説です。しかし可能性のかなりある仮説だと私 は思います。利害が一致するからです。アジア経済共同体が実現すれば、日 本の人口減少などは大きな問題とはなりません。国境を開放して、資金も人 も自由に移動できるのですから。私の関心はずばりアジアです。 以上
2007.12.03
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