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☆ 大 い な る 野 望 ☆
山桜が咲きほころぶ三月の暖かい日に
一人で山歩きを楽しむ。。。
野に出でて新しき若草の香りを求めて・・・
私、春山和志は20歳になり今年が成人。
やっと大人の仲間入りをしたが、人生に対して
特別な夢も希望も抱いていない。
世間知らずで無為な日々を送っている。
高校を出て一端は、菓子問屋の店員として
1年間働いていたが腰痛のため仕事をやめ、
実家に舞い戻って両親とともに暮らしている。
私にとって野山を歩く散歩だけが楽しみであった。
野山に出かけるのもこれといった大きな目的はない。
ただ自然にふれるのが好きなだけだった。
春の季節になると突然地中からかわいい草の芽が
出るのにいつも興味を抱いていた。
冬の暗いイメージをを破ってうす緑の名前も知らない
小さな芽がでてくるのには自分でもおかしいほどの
愛着をもっていた。
野を散策していれば、いろんな草の芽に出会う。
みつけるとそれをいじらしいほど見つめて
長い時間を過すこともたびたびあった。
雑草のやわらかい小さな芽をみると
太陽の光をあびて精一杯生きようとしている
生命(いのち)を感じることができうれしくなった。
20歳の私は、そうすることで一日一日と
自分の中にある何かが成長していくようだった。
青き芽が毎日毎日少しずつ天に向かって
伸びていくことに自分を重ね合わせた。
実家で居候をしている20歳になった自分の
未来はどうなるんだろか。・。・
私は、不安な心でもがいている人生の
敗北者かも知れないと思うことがあった。
腰痛が長引けば私の人生はこのまま
終わりになってしまうかも知れない。
この身体の中にはか弱い春山和志という
一人ぼっちの人間が住んでいる?
そんなことを考えて憂鬱になると野山に
出かける私であった。
私は今日まで山紫水明の大自然に包まれた
紀伊半島の山懐の片田舎で育った。
青く澄んだ空と清い川の流れ、緑あふれる野辺。。。
すべてが幼い私の分身のようだった。
年がたてばたつほど何とも得たいの知れない
感情が綿雲のように心の中に湧いてくる。
それは日増しに強くなって襲ってくるのだった。
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