椿荘日記

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その6


November 10, 2011
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カテゴリ: カテゴリ未分類
その「猫」は、三毛猫のみいの様に突然我が家にやって来ました。
栖鳳が「拾い子」として、身近に馴染んでから、約一年後の事、息子が家に居ましたので、恐らく休日の午前中だったと思われます。マリが何時も通り庭の様子を見ようと玄関先に立って居た所、門扉の辺りで、息子の声が致しました。「母さん、猫、猫!」。
何事かと玄関の扉を開けると、半分開いた門扉の直ぐ傍で小さな黒白の猫が、此方に向かわんばかりの姿勢で、身を揉んでおりました。

この「椿荘」は幹線道路では無いにしても、車の交通量の多い、広めの道に面しておりますので、此の儘放っておきますと、車との接触の可能性もあり、咄嗟に息子に、猫を追い立てて、門扉を閉める様に命じましたが、息子が追い立てる必要もなく、汚れて痩せた仔猫が、マリの居る玄関のポーチに向かって突進して来まして、其の儘家の玄関のたたきでにゃあにゃあ鳴き始めました。余程お腹が空いていたのでしょう、様子を見ながら与える、ミルクや缶詰、ドライフードを、あっと言う間に平らげ、それでも物足りなさそうに落ち着き無く動き回り、兎に角捕まえて入浴させ、先輩である栖鳳にお目通りです。

我が「栖鳳」先生は、「甚五郎」と同じく黒白の、牛柄の猫で、額は八分け、黒く縁取られた大きな目に、尻尾の少々曲がった、それでも中々の美猫で、連れて来た時こそ神妙で、餌の食べ方もはしたなく、野良猫であることを彷彿とさせておりました。でも体格は大きく立派に育ち、落ち着くに従って、命名の所為なのか、威風堂々辺りを払うと言った風で、「拾い子」の俤は微塵も無く、寧ろ妙な威圧感を帯びる様になりまして、今や隣の母家の黒芝犬「ジロ」にさえ、尻尾を足の間に入れさせる程「立派」に成りました。

当然の如く、新入りに対して早速「しゃあしゃあ」と、誰何と服従を求めますが、風来坊の仔猫は意に介さず、「先生」の鎮座するゲージの周りを、興味深そうに長い尻尾を立てながらぐるぐる周り、先生の面目を潰した挙句、手が付けられない程激怒させ、騒ぎに気付きやって来た夫に、これ以上は無理、との強制退去命令まで受けてしまう事に。

「大先生」と、「大王様」の決然とした拒絶に合い困り果て、マリはまたもや、お優しい日本画の先生に助けを請い、一先ず次の飼い主が見つかるまでの保護をお願い致しました。幾つかの里親話が有りながら結局全て反古になり、最終的には先生がまたもや拾い主と為って下さいまして、その際、困惑と言いましょうか、もはや諦めの表情を浮かべておいででした。
只、何かの機会に、この「椿荘」の、美術骨董の話題になり、少々自慢げに、この家は住居と言うより、コレクションルームなのかもしれませんと申し上げましたら、その時空かさず「では、僕の家は君の『ペットルーム』だね」と笑いながら仰いまして、マリからはぐうの音も出ませんでした。





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Last updated  November 11, 2011 05:49:47 PM
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