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ランダム読書日記 「排出する都市パリ」 アルフレッド・フランクラン (Alfred Franklin) 高橋清徳訳 悠書館 ¥2200 2007.4.10 初版第1刷発行 [目次] 第 I 章 十二世紀から十六世紀まで リユステおよびパリという語の語源 十二世紀における街路および建物の様子 最初の舗装 黒死病 最初の下水道 ほか 第 II 章 十六世紀 道路掃除・便所設置の義務 「臭い穴」、下水道、井戸 汚染された道路 1531年から1597年までの疫病 ほか 第III章 十七世紀 窓から投棄される汚物 ルーヴルの吐き気を催すような状態 街路に公衆のために便所を設置する最初の計画 ほか 第IV章 十八世紀 糞便の捨て場と下水の状態 飲料水の希少性 セーヌ川の状態 ほか 史料 訳者あとがき [内容] 中世から近世にかけての数百年間、パリの路上には人や動物の 糞尿があふれ、腐った食品のくずが散乱し、セーヌ川には屠殺さ れた牛や豚の臓物や血が途切れることなく流れ込んだ。うっかり 道の端を歩こうものなら、頭上から容赦なく屎尿がぶちまけられた。 街は悪臭に満ち、それは王宮にまで及んだ。ひとたび疫病が発生 するや、あっという間にパリを席巻し、数千数万の人々の命を奪った。 --汚穢と汚臭に満ちていた時代のパリの生活空間を、第一次 史料にもとづき、いきいきと再現! と表紙裏にあります。 この本の内容を完全に表しています。 内容はショッキングですが、 本書の原題は「衛生-街路の状態、下水、ごみ捨て場、便所、墓地」 で、決してきわものの本ではなく手堅い歴史書ですが、読みやすい 本です。 [感想] 今はあまりいわないようですが、かつては「花の都パリ、霧の都ロンドン」 と言われたものでした。しかし、同時代に、江戸では糞尿が汲み 取られ農家の肥料となり、そこで生産された食料が再び江戸市民の 食料になるという循環が行われていた時代のパリがこのようなひどい 悪臭にみちた衛生状態だったということに驚きました。 私たちは歴史というと、政治や経済や文化などの社会の華やかな事件 や積極的な面だけが教えられてきましたが、ようやくこのような負の面 もとりあげられるようになり、一般の本として読めるようになったことは、 よいことだと思います。 「負の歴史」から顔をそむけず、粉飾や捏造を加えることなく、ありの ままの姿を提示することから、はじめて真の「歴史」が姿を現わすこと になるのでしょう。 [頁のかけら] ○便所がなかったので、その代わりが必要で、通りがその役を勤め ていた。町のなかで、ひどい悪臭を発しないような場所はなく、安全に 歩くことができるような場所もなかった。四つ辻、教会の周囲、もっとも 賑わう通りは悪臭を放つ糞便にまみれていた。大規模な建物、たとえ ば裁判所では、片隅にはどこでも糞便が見かけられた。ルーヴル宮 ですらむかつくような様相を呈していた。すなわち、中庭、階段、バル コニー、戸の裏側で訪問者たちは用を足した。宮廷の住人たちは、 それを気にかける様子はなかった。 **************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.10.25 No.98)
2008.10.26
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ランダム読書日記 「いいたかないけど数学者なのだ」 飯高茂 (いいたか しげる)NHK出版 ¥700 2006.12.10 初版第1刷発行 [目次] まえがき第1章 変り者第2章 S君の読書ノート第3章 数学の使い道第4章 数学の講義生中継あとがき [内容]著者は学習院大学理学部数学科の教授で、「代数幾何学」の分野のリーダーとして世界的に知られている、とのことです。数学者の生き方や考え方を随筆風にまとめたものです。気軽に読めて(私には)楽しい本でした。書名の「いいたかないけど」は、もちろん名前の飯高にかけたもの。[感想]この本の第2章は、著者の友人で早世した数学者S君の学生時代(高校から学部)の日記や雑録が転載されています。この章に最も興味がひかれて本を買いました。数学が分からない人を蔑視する数学者(もどき)は嫌いですが、数学に没頭している数学者は好きです。尊敬します。[頁のかけら] ○ 「朝起きたときに、きょうも一日数学をやるぞと思ってるようでは、とてもものにならない。数学を考えながら、いつのまにか眠り、朝、目が覚めたときは既に数学の世界に入っていなければならない。どのくらい、数学に浸っているかが、勝負の分かれ目だ。数学は自分の命を削ってやるようなものなのだ。」(佐藤幹夫)○ユージーンは人類の始祖アダムが生まれてから6千年たったとして、6千年前に1ドルを年利4%で借りたら、今(1894年)いくらになるかを計算した。答えは1.90x10の104乗。これでは、数字がたくさんあるだけのことで、金額の大きさに実感が伴わない。そこでこの金額で金塊を買ったら、どのくらいになるかをユ-ジーンは計算した。(中略)計算した結果、一辺が千兆光年の純金立方体になることが分かったという。(低金利時代の普通預金の年利0.001%で1ドル(=100円)を6千年間預けると、106円にしかならない!)○それにしても、数学の先生には変わり者が多い。試みに、身近にいる数学の先生に」数学の先生には変わり者が多いそうですね」と聞いてみよう。「まあ、そうですね」との答えが返ってきたら、その人はわりにまともだと言ってよい。たいていの場合は、「自分はまともですよ。でも、ほかの数学者はみんな変ですね」と答えるであろう。変人であることは別に悪いことではない。変人は人に言われることを気にしないで自分流を通す人なのだ。(まえがき)(ただし、あとがきの最後には、「もちろん私自身は、変人ではない」と書いてある)****************************************************不覚にも酷い風邪をひいたり、いつになく忙しかったりで、気楽な「読書日記」も、しばらく間が空いてしまいました。******************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.10.4 No.97)
2008.10.04
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