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ランダム読書日記 「非暴力-武器を持たない闘士たち」 マーク・カーランスキー (Mark Kurlansky) 小林朋則訳ランダムハウス講談社 290頁 ¥2400 2007.8.8 初版第1刷 発行 [目次] 序文 ダライ・ラマ十四世第1章 不完全な存在第2章 宗教と国家の関係第3章 殺人者の平和運動第4章 トラブルメーカー第5章 「未開人」のジレンマ第6章 自然法と暴力革命第7章 平和と奴隷制度第8章 国家の呪縛第9章 偉大なる正義の戦争第10章 ならず者の支配と万有引力の法則第11章 失われることのない希望二十五の真実(この本は、 内容は分かりやすいが、章題のつけかたが下手。 見ただけでは何が書いてあるのかほとんど想像つかない)[内容]「武力を捨て、戦争を放棄する非暴力という思想は平和を讃えるだけの空虚な理想主義ではない。それは既存の秩序を根底から揺るがす危険で有効な戦略なのだ。イエス・キリストに始まりガンディーやキング牧師に至るまで権力と密接に結びついた暴力に対し非武装・無抵抗で立ち向かった者たちの果敢な挑戦の歴史を振り返り「戦争のない世界」を実現する可能性を探る」と表紙に書いてあります。表紙と裏表紙と表紙裏にマハトマ・ガンディーの写真が載っています。「感想」この本のテーマは難しく深刻な問題です。ランダムに本屋で本を探していると、こんな本にも出会います。このようなテーマをまとめて本にした著者には敬意を表します。しかし、モンゴル(元寇)やヒットラーのような世界侵略を狙う狂気の独裁者が攻め入ってくる可能性がまだまだあるのに、それでも「非武装」のままでいいと考えるでしょうか?理由なく侵略された国で、100万人以上の人が惨殺され、処刑され、多くの男性が強制収容所に送られ、女性は犯され、子供は拉致されることが第二次世界大戦後でさえ存在した事実があるのに、それでも「非暴力」を信奉する勇気があるでしょうか?隣国の沿岸に核弾頭を装着可能な数百基以上のミサイルが日本に焦点を合わせている現実があっても、それでも「非暴力」がよいと選択するでしょうか。残念ながら、今の私は Yes! というにはまだ覚悟ができていません。「軍備」や「軍事同盟」を不要と言うにはまだ勇気がありません。自国の「軍備」や「憲法改正」には反対するのに、隣国の「軍備拡張」、「人権弾圧」、「核武装」にはひたすら黙る人たちの唱える謀略としての「平和主義」に若い頃からずっとだまされつづけてきたために。じっさい「非武装」、「非暴力」ですむ「平和主義」ならば、どんなに楽なことかと思います。しかし、非暴力で抵抗しない国をやすやすと侵略する国が、温情をもって非侵略国民に接するというのでしょうか?残念ながら20世紀以降の歴史をもってしても、それは儚い期待でしかありません。自国民さえ安全も自由も平和も保証しない支配者が他国民の生命の安全や私有財産の権利や言論・宗教の自由を保証するはずがありません。この本が説く「戦略としての平和主義」は英国の植民地であったインド民衆や,米国内の黒人のように、すでに侵略され支配されてしまって、正攻法ではとても勝ち目がないという場合にだけ、有効なのではと思います。そのような場合には、「非協力+サボタ^ジュ」の「非暴力」が支配された側の犠牲者を最少にする最も有効な手段だと思います。しかし、一方では、ヒットラーを倒すためのノルマンディ上陸が無駄だったとは思えません。また元寇を博多湾から追い返した鎌倉武士団がいなかったら、日本の歴史は中断され,文化・文明はずっと貧しいものになっていたことでしょう。[頁のかけら] ○「国家は、軍隊を抑止力として整備していても、結局は戦争に 使ってしまう」 ○「残酷な弾圧を受けている人に、弾圧者に自殺攻撃を仕掛けろと説得すれば、ほぼ間違いなく成功する。しかし、凄まじい暴力に非暴力的手段で抵抗せよと説得するのは、不可能に近い。」○「実は非暴力とは、通常の肉体的戦闘で求められるよりも高いレベルの勇気と情熱が必要な戦術かもしれない」 アレグザンダー・マキューン************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.3.5 No.74)
2008.02.29
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ランダム読書日記 「吾輩はハスキーである」 三田誠広 (みた まさひろ) (1948-) 河出書房新社 218頁 ¥580 1999.4.2 初版第1刷 発行 [目次] 第1章 運命の出会い第2章 吾輩は傲慢である第3章 その他の登場人物第4章 龍之介が公園を往く第5章 湖を泳ぐ龍之介第6章 龍之介、訓練所に入る第7章 彼は昔の彼ならず第8章 雪の日の追跡劇第9章 室内犬になった龍之介第10章 人生の出会いの不思議あとがき晩年の龍之介とともにーー文庫版のための近況報告 [内容]犬は嫌いだ。そう思っていた。その嫌いなはずの犬と、通りがかりのペットショップのウインド越しに目が合ってしまった。という出会いで買うことになった顔に歌舞伎役者のような隈どりのあるハスキー犬との面白い生活が軽妙に描かれています。著者は芥川賞作家(第77回)。だから犬の名は龍之介。「感想」犬との生活を描いたものとして、中野孝治「ハラスのいた日々」(ランダム読書日記2007.8.5)とはまた違った味わいのある作品です。わが家でも一代目芝犬、二代目レドリバーもどきを経て、今は三代目のジャックラッセル・テリアがいますが、種類が違うと同じ動物とは思えないほど性質もやることも違うものだと思いました。[頁のかけら] ○ジュネーブからパリに向かう その列車には、他にもいっぱい犬が乗っていた。日本の列車では、盲導犬の他は、乗車拒否されるだろう。 犬に関しては、日本は後進国なのだ。パリにも、いっぱい犬がいた。パリの犬は、路上でウンコをしてもいい。散水車が来て、犬のウンコを排水口に流してくれる。パリの犬たちは、排水口の前でウンコをするように躾けられている。************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.2.27 No.73)
2008.02.27
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ランダム読書日記 「世界の教科書は日本をどう教えているか」 別技篤彦 (べつき あつひこ) (19xxx-xxx-xxxxx)朝日文庫 270頁 ¥680 1999.9.1 初版第1刷 発行 [目次] 序章 子どもと教科書第1章 世界の教科書にみる日本記述の変遷の概要第2章 各国別にみた日本記述の具体例(1)第3章 各国別にみた日本記述の具体例(2)第4章 アメリカの社会科教科書第5章 国を教えるとは何か あとがき解説 村上義雄[内容]世界の26か国以上について、日本を教科書でどのように教えているかを具体的に示しています。広島・長崎の原爆投下についても、アメリカ、旧西ドイツ、オーストリアなどでどのように異なる記述になっているかが示されています。オーストリアの「高校用国語教科書(2)」に載ったカール・ブルクナー「サダコは生きていたい」は広島という惨劇の現場にいなかったにもかかわらず、これだけの文章が書けるのだという良文です。「感想」多量の情報が瞬時に行き交う時代になっても、他国の歴史や現況を正しく理解すること、正しく理解してもらうことがどんなに難しいことかと感じさせられます。世界の中で、フィリピン、タイ、ヨルダン、ケニア、ドイツ、フランス、オーストラリアなどの教科書は、日本の現状をかなり正確に伝えています。とくにフランスでは、自国の教科書が世界を興味深く正しく教えているかどうかを再検討すると記述していて、日本もぜひともその姿勢を見習うべきと著者は指摘しています。誤った記述をしてい国の教科書は、(1)古い教科書を参考にしてそのまま伝えているための時代錯誤が含まれている(アイルランド、カナダ)、(2)資料にもとづく検証が少なく、先入観をもって記述されている(アメリカ、ポルトガル)、(3)国家や時の政権の政略・戦略のために敢えて真相を伝えず自国に有利な捏造や誇張したもの(中国、韓国、旧東ドイツ、旧ソ連)に分けられます。日本の社会科教科書は活字がいたずらに大きく頁数も限られ、事実がただ羅列された無味乾燥なものであるのにくらべて、欧州や米国の教科書は読みやすく学生に興味深いものになっていると、著者はたびたび本の中で嘆いています。私もまったく同感です。学生を勉強嫌いにしている原因のひとつは教科書だと今でも思います。[頁のかけら] ○ 「当時の時間の経過を調べるとアメリカ側の公式の説明には疑問がある。(原爆)投下以前に米ソとも日本の求めた降伏のための接触を無視したのである。したがってこの投下はまったく無意味な手段であった。その目的はただ新兵器の威力の実験を、他国(とくにソ連)への示威のためであった。」 西ドイツの教科書(1970)トンデモ誤解集:○「日本人が入浴を好む風習は、家屋のなかに冬は火鉢以外には体を温めるものが何もないことから発達したものである。 アメリカ(1971)○「(日本の)家庭では食料が不足のため、残り物も料理に使わざるをえなくなった。果物の皮から菓子を作る方法、魚のしっぽの料理法などが新聞の家庭欄に載る。電力も不足しがちで午前八時から午後六時までは停電である。水道の給水も朝夕三時間だけに限られる」 カナダ(1975) (終戦直後じゃァあるまいし)○「ロシア革命に刺激された労働者、学生などの被圧迫大衆は反抗して空前の大規模な民衆蜂起としての「米騒動」を起こすに至った」その参加者は「一千万人、全国の三分の二に及んだ」 中国()実際には、米騒動の参加者は70万人。○中国の教科書では、天草四郎や大塩平八郎らは不公平な政治経済に対して立ち上がった英雄とされている。また奴隷制に反対したローマのスパルタクスが古代最高の英雄とされる。いっぽうでは日本侵略の「元寇」については自国ではなく兄弟民族であったモンゴル人によるものとしている。(実際には、侵略軍の大半は江南出身の漢族で、残りの多くは朝鮮高麗人だったということです)************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.2.21 No.72)
2008.02.21
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ランダム読書日記 「ヨーロッパ 本と書店の物語」 小田光雄 (おだ みつお)平凡社新書 225頁 ¥760 2004.7.15 初版第1刷 発行 [目次] 1 書物と書店の出現2 行商本屋の巡回3 ゲーテとイタリアの書店4 貸本屋の登場5 バルザック「幻滅」の書籍商6 古本屋の位置7 三文文士の肖像8 キオスク書店の開店9 ドイツの出版社と書店10 オデオン通りの「本の友書店」11 シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店12 ディドロを再考するあとがき主要参考文献[内容]グーテンベルクによる印刷技術の発明以前の書物の読者は、貴族と僧侶に限定されていた。十二世紀末の大学の出現が、学者・教師・学生という新しい読者層を生み出した。さらに十三世紀末になると市民階級が読者に加わった。十五世紀から十六世紀にかけてヨーロッパ各地の都市に書店が開業した。また地方では行商人による書物の巡回販売が行われるようになった。1605年スペインのマドリッドで出版されたセルバンテスの「ドン・キホーテ」が、出版業界の立ち上がり、ダンテの時代と異なる近代小説の読者の出現を告げるものであった。書物は高価だったので、十九世紀になると貸本屋が出現した。読者層が拡大して、書物の大量生産が始まり、凡庸な小説が多産されるようにもなる。出版者として、印刷業者として、活字鋳造所の経営者として、三度も破産したバルザック。「私のこの本は決して世に出ることはないでしょう」と出版の引受け手がない原稿をかかえて意気消沈していたジェイムズ・ジョイス。1919年パリに英語文学書の販売と貸出しをおこなうシェイクスピア・アンド・カンパニーが開店し、アメリカから来た無名時代のヘミングウエイも会員となった。会員登録の金もなかったが。「感想」作家と出版者との駆け引きが、書物の商業出版が広まった19世紀初めからすでに苛酷であったということに驚きました。今でもHPサイトは豪華だが行ってみるとビルの一室で表札も出さずに経営している出版社。催促しても言を左右にして一向に印税を支払おうとしない出版社。企画した百科辞典が売れ行き不振で、印税はおろか提出した写真や資料まで差押さえられたのか返してこない出版社。随筆賞などに応募させて、あなたの文章は感服した、他に作品があればぜひ出版させてくれと多額の見積書を送ってくる自費出版社。などがあるから、ご用心ご要心。[頁のかけら] ○ 「私たちが人生を賭けていることも。幾晩も呻吟し、思想の世界をさまよい、自分の血を流して築き上げた労作であっても、出版者にとってすべては儲かるか、儲からないかの問題にすぎないのだ。書店で君の原稿が売れるかどうか、これが唯一の問題なのだ」○「もっとはっきりいえば、本当の意味で「読書」をする大衆というものが実に少数であることが分かろう。たとえ書籍の印刷が中止になったところで少しも痛痒を感じない大衆は実におびただしいのだ。われわれの研究意欲をそそる学問的著述の広告も、実は英語国民の中にちらばっている、わずか数千人に向かって書かれているにすぎない。どんな貴重な書物でもその多くのものは長い時間をかけてやっとわずかその数百部がはけるにすぎない」 ジョージ・ギッシング「ヘンリ・ライクロフトの私記」************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.2.12 No.71)
2008.02.12
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ランダム読書日記 「修復家だけが知る名画の真実」 吉村絵美留 (よしむら えみいる) 青春出版社 195頁 ¥750 2004.1.25 第1刷 発行 [目次] 第1章 絵画に秘められた物語 第2章 息詰まる修復の実際 第3章 修復で知り得た画家の真実 第4章 絵画をめぐる迷宮 第5章 西洋画家の隠された技法 [内容] 欧米の修復研究所と技術交流をしながら、日本のさまざまな 美術館、画廊、コレクターのもつ絵画の修復を手がけている第一人者 が平易に絵画修復にまつわるエピソードを語っています。 語り口調の文体がそのままふさわしい内容です。 著者は、岡本太郎の巨大な壁画「明日の神話」の修復でも知られています。 この本では クラナハ、ルノアール、クールベ、ユトリロ、ロートレック、ヘリング、 コロー、ミレー、デユーラー、クールベ、マネ、モネ、ドガ、ピカソ、 ロランサン、ドカン、ルオーなど、綺羅星のように西欧画家の作品 が登場します。 岡本太郎、東郷青児、山本鼎、原撫松、藤田嗣治、梅原龍三郎、 杉本健吉、三岸節子、佐伯祐三、荻須高徳、牧野邦夫、中村不折 など、多くの日本人画家の絵画が登場します。 新書版なのに、巻頭に、修復前と修復後の絵の比較、修復中に 発見されたキャンバスに隠れたもうひとつの絵、著者の仕事場、 などがカラーで載っているのがとてもいい。 「感想」 ふつうには所有者であっても絵画にぢかに触れることはできません。 修復者だけが、名画が何の上に描かれているのか、使われた絵の具 は何か、さらには画家はどのように描いたかまでを、知ることができ ます。これは修復家だけがもつ特権です。この本は特権をもつ ことを許された修復家だけが書ける本といえるでしょう。 いろいろと面白い話が載っています。 * キャンバスの裏一面に塗られた白絵具を除いてみたら その画家の初期の作品が現れた話 * 西洋婦人像を赤外写真にかけたら、ドレスの下に同じ構図の 裸婦像が描かれていた話 *キャンバスの裏に張られた和紙をはがしたら、表の絵画の デッサンが現れた話 *パリの街並みの白壁を描くのに、漆喰壁の材料である 炭酸カルシウムを絵具にまぜていたユトリロの話 *修復家としていくつかの贋作を見破った話 [頁のかけら] ○ 略 ************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.2.5 No.70)
2008.02.05
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