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ランダム読書日記 「暗号の天才」 R.W. クラーク(Ronald W. Clark) 新庄哲夫訳 新潮選書 272頁 ¥1100 1981.1.20 初版第1刷 発行 原題 The Man Who Broke Purple [目次] 1. 修業時代 2. 暗号入門 3. 解読専門家への道 4. 暗号戦争 5. 機密室えの道 6. ブラック・チェンバー以後 7. 紫暗号への挑戦 8. 陰謀かダブル・エラ-か 9. 紫暗号が教えた最高機密 10. 戦後もつづくもう一つの戦争 11. にがい極秘任務 12. 情報工作組織の犠牲者 訳者あとがき [内容] 米国が日本を打ち破るために用いた最大の秘密兵器は、原子爆弾 でもVT信管でもなく暗号解読であった。機密情報を読み取ることの力 の差が、どれほど大きな衝撃となったか、第二次大戦中我々は骨身 に徹するほど味わされたはずである。しかし、暗号解読作業とはどう いうものかとなると、確かな知識がない。(と表紙にあります) この本は米国の天才的暗号解読官であったロシア生まれの ルーマニア系ユダヤ人 ウイリアム・フレデリック・フリードマン(1891-1969.11.2) の伝記です。 [感想] 面白いと思ったこと: 1. フリードマンの変わった経歴:1900年の「メンデルの法則再発見」 をきっかけに遺伝学を志し、1個体に二本の実がつくトウモロコシ を作りたいと、カーネーギー研究所のG.H.Shull博士の助手を務めた。 さらにコーネル大学大学院で育種学、植物生理学などを専攻する。 2. 文字や単語の使用頻度:文字の使用頻度はヨーロッパ言語間 でも異なる。 また最も使用頻度の多い英単語は、 the, of, and, to, a, in, that, is, it, I の順である。文章の 出だしに多い語は you である。 これらが暗号解読の手がかりになる。 3. 真珠湾攻撃:1941年、ワシントンはハル国務長官が十一月下旬 に送った「覚え書き」(ハル・ノート)に対する日本側の回答を待ちつ づけていた。最後の回答文は日曜日の早朝5時に入電しはじめた。 すでに紫暗号の解読に成功していたアメリカ側は日本大使館より 先に解読を終えた! [頁のかけら] ○ 「暗号解析家にとって、幸福への必要条件は無名に徹する という情熱である」 フリードマン ○ 「人に読まれたくないと思って書かれた文章がどんなものか 知りたい、そういう生得の好奇心以外の何ものでもないね」 フリードマンがそもそも暗号に取組むに至った事情を聞かれたとき ○それは暗号教育を受けた80人の将校たちがオーロラ・ホテルの前に 勢揃いした一見何の変哲もない写真だった。しかし正面を向いている 男たちは二記号暗号のaを、横向きの男たちはbを表わしていた。 80人全体でKnowledge is power と綴っていた。 **************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.8.24 No.95)
2008.08.22
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ランダム読書日記 「英語の語源」 渡部昇一 (わたなべ しょういち)講談社現代新書 206頁 ¥390 1977.6.20 初版第1刷 発行 [目次] まえがき序 語源をさぐる意味第1章 「人間」のイメージ第2章 思考・音楽・記憶第3章 女性・生まれ・血統第4章 自然-生み出す力第5章 家・パン・領地-家父長のイメージ第6章 母性と父性-保護者のイメージ索引[内容]身近な英単語の語源をさぐりながら、西洋文化の背景を明かにした出色の文化論、と表紙にあります。著者については「知的生活の方法」のほうで広く知られているでしょう。[感想]面白いと思ったこと:1. 今の英語でgentle(ジェントル)というと「やさしい」、「穏和な」という意味だが、元来は「生まれのはっきりした」とうことで、そこから「高貴な家系の」という意味が出てきた。古くはnoble(ノーブル)と同じ意味であったが、その後、「よい家系」のもののうち、紋章を用いる権利をもつ者をnobleman(ノブルマン)、もたない者をgenleman(ジェントルマン)と呼ぶようになった。2. 「同族」を意味するkin(キン)から出た言葉にKing(キング国王)がある。古い英語ではkinにing(派生したものであることを示す)を加えたものである。(色の浅黒い人がBrownブラウン「茶色さん」と皆からあだ名でよばれる。 その人に生まれた男の子は、「茶色さんの子」という意味でBrowning ブラウニングと呼ばれる) Kingは「一族の者」から「一族の最も大切な者」という意味になった。 King(王)とは族長であり、Kingdom(王国)とは族長が支配する部族集団である。 Enperor(皇帝)はKingの上であるが、一族の長でなくともよい。 プロイセン国王ヴィルヘルム一世は、国王の名称をすてて「ドイツ皇帝」になる戴冠式の前夜さめざめと泣いたという。3. 一家の主人lord(ロード)の原義は、「パンを守る者」、つまり「食物を持っていて、家族や従者に分かち与える人」ということ。一家の女主人lady(レデイ)は「パン粉をこねる人」という意味。 [頁のかけら] 略**************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.8.17 No.94)
2008.08.17
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ランダム読書日記 「粉の文化史」 三輪茂雄 (みわ しげお) 新潮選書 200頁 ¥770 1998.5.20 初版第1刷 発行 副題-石臼からハイテクノロジ-まで [目次] まえがき 第1章 なぜ粉の文化史なのか 第2章 紙テープ年表をたどる 第3章 粉づくりの一万年史 第4章 石ウスが宝物だった時代 第5章 開花した粉の文化 第6章 食文化の伝統 第7章 粉のダイナミックス 第8章 現代を演出する粉 第9章 消えたせせなぎ 第10章 白砂のロマン あとがき 参考文献 [内容] 石ウスと粉を追って日本中を歩いた著者の、粉談義です。 パンを焼くための小麦粉からはじまり、お茶の葉、ソバ、豆腐、 黄な粉、コーヒーなどの日常食品、お化粧の白粉、赤色塗料の ベンガラ、戦国時代の鉄砲の火薬などの歴史的な粉、 さらにはセメント、レンガ、セラミックス、コピー機の粉、 テレビの蛍光体粉末、磁気テープの粉磁石などの現代の技術 の粋である粉体、最後に自然界の鳴き砂、巨大な砂時計の話 など、よくもまあこれだけ集めたものだと思うほど話題豊富です。 「粉」という、本の主題にはとてもなりそうもないものを扱いながら、 楽しめる本になっているのは、著者の長年の深い知識と経験と 粉に対する並々ならぬこだわりによるのでしょう。 [感想] 面白いと思ったこと: 1. 石ウスは、その目のつきかたから必然的に「反時計まわりに まわす」ように決まっている。(時代劇のときに注意してみよう) 2. 抹茶を作るための茶磨(ちゃうす)は千分の5ミリ(5ミクロン) の粉を作るためのもの。ちなみにコーヒーミルでは0.5ミリの粉 しか引けない。 「石臼芸より茶臼芸」 どんな芸でもこなすが荒っぽいのを石臼芸、一芸に秀でるのを 茶臼芸という。 3. 融点が2700度という高い金属でフィラメントを作る方法。 溶かすのではなく、粉を固めてつくるという発想の転換で成功した。 オスミウムの細かい粉を、糖蜜で練って、均質なペ-スト、 つまりネバネバのものにしてから、これを細い孔から押し出して、 細い線状にし、これを乾燥した後、加熱して糖蜜を分解すると、 オスミウムと炭素からなるフィラメントが得られる。つぎにこの フィラメントに電流を通して炭素を分解した後、熱でオスミウム 金属を焼きかためることにより、目的の白熱電灯用フィラメント を造ることができた!(1897年 オ-ストリアのウエルスバハ) [頁のかけら] ○ 徹底的に洗浄された石英質の砂が鳴き砂の本体である。 汚れの正体は各種の微粒子の付着だが、肉眼や光学顕微鏡 ではほとんど区別ができない。電子顕微鏡でやっと確認できる ようなミクロの汚れが砂を鳴かなくする。 足を強くこすりつけなければ鳴かないのは、もはや鳴き砂では なく、泣き砂であって、消滅寸前の危険信号である。 (湿った砂や水中でも鳴く。雀が歩いても鳴く、というのが本物 だそうです) **************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.8.9 No.93)
2008.08.09
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ランダム読書日記 「ヨーロッパの紋章・日本の紋章」 森護 (もり まもる) 河出書房新社 177頁 ¥2600 1996.3.15 初版第1刷 発行 [目次] はじめに 第1章 紋章は武具から始まった 第2章 武具から誇示的存在へ 第3章 紋章の色 第4章 紋章図形(1) 第5章 紋章図形(2) 第6章 骸骨もある具象図形 第7章 ディファレンシングとは 第8章 紋章の組み合わせ 第9章 紋章の継承と加増数 第10章 ヨーロッパの紋章と日本の紋章の交流 あとがき [内容] 海外旅行でヨーロッパに行くといろいろなところで紋章を目にします。 紋章はヨーロッパと日本だけにしかなく、しかもまったく別個に11ないし 12世紀に発生し、それぞれ独自のシステムを編み出して発展したもの だということに、この本で知り、大変興味を引かれました。 この本には、ヨーロッパと日本の紋章について、紋章の発生の歴史 から、さまざまな紋章の図形とその意味、紋章の継承のしかた、 最後にヨーロッパと日本の紋章の交流について書かれています。 紋章のカラー写真が21、モノクロの図が105も載っています。 [感想] 紋章に関するエピソード その1. シェクスピア自筆の原稿と称する精巧な贋作をつくりつづけ、 そのニセモノの戯曲が上演までされたウイリアム・アイアランドも、 シェクスピアとの姻戚関係を証明するというでっちあげの古文書に描かれ た紋章のミスからついに虚偽が暴かれた。 その2. 徳川家の「葵のご紋」も歴代将軍によって微妙に異なる。 尾張徳川家では「表葉が2枚に裏葉が1枚」、 紀伊徳川家では「表葉が1枚に裏葉が2枚」、 水戸徳川家では「裏葉が3枚」 と区別されていた。 その3. 日本の紋章にあって、ヨーロッパの紋章にないものは、 「霞」と「雪」。ヨーロッパにあって日本の紋章にないものは「雨」 [頁のかけら] ○ ヨーロッパの紋章の定義 「中世キリスト教支配のヨーロッパ貴族社会に始まり、楯にそれぞれ 個人を識別し得るシンボルをあしらった世襲的制度」 ○ 紋章は、戦場における騎士個人の存在を敵味方双方に明示する 武具であった。 (日本の紋章は個人ではなく家単位) (楯に描かれていても、世襲しないものはしるし(emblem)と呼ばれ 紋章とはいえない) **************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.8.1 No.92)
2008.08.01
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