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ランダム読書日記 「核爆発災害」 高田純 (たかだ じゅん)中公新書 274頁 ¥860 2007.4.25 初版第1刷 発行 [目次] はじめに第1章 奇跡の生存者にみる広島空中核爆発の直下第2章 地表核爆発実験第3章 核爆発災害の科学第4章 核に関わる危険な事態と技術第5章 被害と防護のシミュレーションあとがき参考文献[内容]第二次世界大戦末期、広島に投下された核爆弾が爆発した直下でも、生き延びられた人がいた。また、ビキニ環礁での実験でも島民たちは放射線を被爆したが生存している。不幸にも核爆発の影響下にいた場合、生死を分けるものは何なのだろうか。本書は、政治的な視点を一切除外し、純粋に科学的な見地から、過去の核爆発事例を検証し、現在判明しているかぎりでの最新兵器による被害と生存可能性とを推測する試みである。と表紙裏にあります。[感想]東京大空襲の中を逃げまどった経験をもつ私には、原爆が炸裂したときに生き延びる可能性などに期待することはとてもできないと思いました。広島や長崎型の今から見ると「小さな」原爆でさえ一瞬のうちに何万人の命を奪ったことを考えれば、たとえ直下でも生き残った人がいると聞かされても、奇跡中の奇跡にすぎず、防護の点で参考になることはほとんどないように思われます。原爆を使った国、今後使うかも知れない国を死んでも呪い永遠に軽蔑することしか報復の手段はないのが現実です。そういう絶望的な破壊力と殺傷力と残酷さを核兵器はもっているのです。核兵器を装着したミサイルの弾道を日本に向けている国が現に隣にいるのに、猛烈な抗議もせずに、被害のシミュレーションだけをしていてもあまり意味がないでしょう。クラスター爆弾や地雷を禁止してなぜ核爆弾使用を議論しないのでしょう。[頁のかけら] ○ 他に携帯サイズ(の核兵器)も存在している。 これは1960年代に米ソで開発されている。 国際テロリスト集団がこの携帯核兵器を入手すれば、 二十一世紀の大いなる脅威となる。 (政府間レベルで核兵器の保有禁止を真剣に話合わなければ、 携帯核兵器がテロの最も有効な道具となる日が きっと来てしまうでしょう)**************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.7.27 No.91)
2008.07.27
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ランダム読書日記 「銀文字聖書の謎」 小塩節 (おしお たかし)新潮選書 211頁 ¥1200 2008.2.20 初版第1刷 発行 [目次] プロローグ 銀文字聖書との出会いI. ゲルマン語聖書の誕生 ドナウ河のほとりで ゴートの司教ウルフィラ ドナウ河南岸への脱出 キリスト教初期の内情II 「神」の発見 「グス」ということば 主の祈りIII 銀文字聖書、一二〇〇年の旅 ゴート語訳原本と民族大移動 ハンガリーでの発掘 ヴェルデンの修道院での発掘-一六世紀半ば カール大帝 プラハからスウェーデンへIV ことばあれこれ-ヨーロッパの普遍と多様 エピローグ 遠くて近いブルガリア年表参考文献[内容]ギリシャ人やローマ人が「バルバロイ(蛮族)」と呼んだ北方の民-長身で金髪、碧眼のゲルマン人-のなかで、三、四世紀のころに最も勇敢で知られたのがゴート族である。しかし二十一世紀の現代、地上にゴート族はいない。ゲルマン民族大移動の騒乱のなかで、虐殺されて地上から姿を消した。ゴート的という意味の「ゴシック」の語と、ゲルマン民族唯一の言語文献としての「銀文字聖書」を残して。聖書をゴート語に訳したのは、現在のルーマニアに生まれ、通訳、外交官から司教となったウルフィラWulfila(311-383)でした。天賦の語学の才に恵まれた彼は、文字をもたないゲルマン民族のなかではじめてゴート文字を創り、それを基にして旧約・新約聖書の全巻をゴート語に翻訳した。それは平穏な書斎や修道院の部屋で行われたものではなく、苛酷なキリスト教迫害と民族の大移動のさなかに続けられ完成されました。本書はこの「銀文字聖書」がスウェーデンのウプサラ大学の図書館から盗まれた話しから始まり、その成り立ちから1600年後の今日まで保存され伝えられてきた波瀾の経過について、ヨーロッパの歴史を背景にわかりやすく説明しています。[感想]現在の聖書がこの銀文字聖書に大きな影響を受けていることをはじめて知りました。また文字となったゴート語がヨーロッパのいろいろな日常用語のもととなっていることがわかり、とても興味をひかれました。[頁のかけら] ○ ウルフィラが旧約・新約両聖書のゴート語訳を四十数年にわたって営々と続けた年月のなかで、最初に出会った、しかも最も難しい問題は「神」を何と訳すか、だった。(中略)そしてついに、ある一語に行き当った。四世紀当時にはもう使われなくなっていた古語の「グス」ということばだった。意味は「話しかけられ、呼びかけられる存在」さらには「相談相手」である。ウイルフィラはひとりうなずいて、羊皮紙の上に鳥羽根のペン先をおろし、「はじめにグス、天地を創りたまえり」と記す決心をした。これがゲルマン諸族に受けつがれ、のちの英語のGodやドイツ語のGottとなったのである。**************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.7.25 No.90)
2008.07.25
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ランダム読書日記 「座右の名文」 高島俊男 (たかしま としお) 文春新書 223頁 ¥730 2007.5.20 初版第1刷 発行 副題 「ぼくの好きな十人の文章家」 [目次] まえがき 新井白石 自分の優秀さをみずから書きのこした大秀才 本居宣長 神がかり的でもあり合理的でもあり 森鴎外 「満点パパ」と冷徹な創作家と 内藤湖南 日本初の大学出でない大学教授 夏目漱石 「坊ちゃん」は「探偵・恋愛小説」である 幸田露伴 俳諧の注釈にすごみをみせた稀代の博識 津田左右吉 処世のへたな独歩の人 柳田國男 「遠野物語」をめぐる二つの立場 寺田寅彦 「仙骨」を帯びた漱石門下の異才 斎藤茂吉 にじみ出てくる可笑しみ あとがき [内容] 書題には「名文」の文字があるので、文章読本のようなものか と思って買いましたが、文章の話しはさらになく、十人の人物評でした。 内容と書題がまるであってないよ、と思いましたが、内容は 面白い。著者が一杯しゃべったのを、ある編集者が泣き泣き(?) 編集したものということで、テンポも軽く読みやすい。 [感想] とくに「ヘえー」と思ったのは、新井白石と森鴎外でした。 白石は日本人で最初に自伝を書いた人だそうです。 鴎外がこんなにも子煩悩だったというのはまったく意外でした。 白石は屋久島で捕まって配送されてきたイタリア人ヨハン・シドッチ を直接に尋問した。聞きただしたことは三つありました。 第一は、どういうしだいで日本にやってきたのかということ。 第二は、地球上のさまざまな地域に、どんな国があるかということ。 第三は、キリスト教とはどんな信仰であるかということ。 シドッチは白石を評して「世界には五百年に一人くらいこういう すぐれた人物があらわれるものだ」と言ったということです。 第一と第二については、相当こみいった内容を聞き取ったようです。 さすがの白石も第三はお手上げだったようです。もし白石が浄土宗 か浄土真宗の熱心な門徒だったら、きっと共通点をみつけることが できて驚いたことでしょうに。 [頁のかけら] ○役所から帰ると子どもたちと遊。学校の勉強を手つだってやる。 散歩につれだしてやる。縁日を見せてやる。便所につきそう。 「アンヌコや、パッパコ、アンヌコや」 こんな事を呟きながら、父は私の恐怖が解っていてくれるやうに、 直ぐ電気をつけた。 鴎外の娘 杏奴「晩年の父」 ○外国語を書くのに、白石はカタカナをつかっている。現代の わたしたちとおなじ書きかただ。明治以降に一般的になった 表記法だが、白石はこれを『西洋記聞』で実践している。 **************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.7.22 No.89)
2008.07.22
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ランダム読書日記 「古本暮らし」 荻原魚雷 (おぎはら ぎょらい)晶文社 219頁 ¥1700 2007.5.5 初版第1刷 発行 [目次] I売るべき本の基準要不要二DKの読書生活本のマナーパラフィン古本の相場針がふれるII眼中の人安吾百歳低人雑記と西山勇太郎枯れ草ひる寝は大事「天野忠随筆選」囲碁随筆精神力の限界 鮎川信夫「一人のオフィス」たいしたことではないクリスマス・コラム歩兵と将校の戦争 古山高麗雄と吉田満一オクターブ高い声と吉行淳之介立原正秋の酒成長するってこと神吉拓郎のおしゃれ太田克彦のジャーナリスト感覚練習と習慣 永倉万治の教えIII酒煙草の無い生活なんて時差人生料理男の日常主夫の生活と料理書ゴミの日整理整頓勤労感謝の日お金と時間年金未納三十五歳定年説図書館のアルバイトええい、ままよ課題思うとおもう紳士とは何ぞや気がめいったとき研究冬さえなければ時間がたらたら流れてゆきます京都帰りあとがき[内容]高円寺在住の若いエッセイストの書いた、古本を中心としたエッセイ。「ほしい本を見て悩む。明日からの生活費のことを考える。でも、買っている。古本暮らしは、愉しく、辛く、幸せだ。古本屋巡礼が散歩。」と帯にあります。[感想]エッセイというのは、中心的な課題があるわけではないので、どう紹介してよいか困るのですが、なんとなくユーモアがあって、生活感がにじみ出ていて、読んでいて共感を覚えました。とん汁とけんちん汁が好きだ、子どものころ養命酒を飲んでいた、クラスでいちばん最初に長ズボンをはく子だった。みんなと同じだなんて無理だとかなり早くから自覚せざるをえなかった、など自分とおんなじだぁと思って買いました。エッセイなら35℃を超える暑さにまいっている頭でも読めるかなと思ったのも買った動機でした。まったく違うところは著者のほうは東京で生活しているということです。都会暮らしのいいところは、(場所にもよるけど)本屋や古本屋が近くにあることです。散歩の途中で寄れることです。床屋と飲み屋がなぜか多くて、本屋といえば小中学校生のための文房具と一緒に本が申し訳け程度並んでいるような店しかない田舎の町に20年近くも住んでいた者にとっては羨ましい生活環境です。本屋のない暮らしは長い「失われた時間」として、自分の人生に埋められない空白を作りました。[頁のかけら] ○ きみがいたすべての場所から きみがいなくなったって この世のすべては変わりない あってなきがごとく なくてあるがごとく 欄外の人生を生きてきたのだ 鮎川信夫○ 読書する人は そこにいても そこにはいない 長い旅から 帰ってくる頃には この世に存在しない 本の中の人々が 人生の 友人の列に加わっている 谷郁雄○この仕事をしていると、よく「こんな原稿ならおれにも書けるよ」といわれるのだが、「じゃあ、二時間で書いてみろ」「三十八度の熱を出しながら書いてみろ」「腰痛と腱鞘炎で苦しみながら書いてみろ」「同時に三本まったくちがうテーマの原稿をかかえながら書いてみろ」「彼女と痴話喧嘩した直後に書いてみろ」「十年続けてみろ」とおもいながら、笑って流すことにしている。知らない人には教えてあげよう。無名のライターは、ものすごく悪条件で書いているのだ。**************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.7.19 No.88)
2008.07.19
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ランダム読書日記 「本棚が見たい」 川本武(文) + 津藤文生・大橋弘(写真) ダイヤモンド社 149頁 ¥1600 1996.6.27 初版第1刷 発行 [目次] 本棚が見たい! PART1 筒井康隆、内藤陳、山田風太郎、荒俣宏、高村薫、 村松友視、吉村昭、高橋克彦 本棚が見たい! PART1 畑正憲、和田勉、阿刀田高、ジェームス三木、 安部譲二、山田太一、細川護ひろ、上之郷利昭 本棚が見たい! PART1 竹中労、日下公人、吉村作治、市川森一、夏目房之介 紀田順一郎、堀田力、秋元康 [内容] 著名人の本棚を拝見し、その人なりの読書論、読書法、本の 整理法について伺う-というコンセプトで「エグゼクティブ」誌に 1990年8月号から連載された企画「本棚探険隊が行く」を本に まとめたものです。 この本には24人の方の本棚が紹介されています。 本棚を見ればその人がわかる、といいます。 本棚とは「人それぞれに書物を並べ置く棚」という定義を付け 加えたいとまえがきにあります。 本好きは他人様の本棚も好き!ということで、私もこの本を 喜んで買いました。12年前のことですが。 [感想] 本棚や書斎を紹介した本は他にもありますが、この本は写真が すばらしく、自分の書斎のように本棚の1冊1冊の背文字が読み 取れます。 そして紹介されている人の名前をみただけで分かるように、 まったくジャンルなど無関係に、ただ本好きという視点だけで 人選している点が面白いと思いました。 圧倒的な印象を与えるのは、内藤陳氏の崩落せんばかりに積み あげられた本、本、本、本の山でした。本棚などは本の山の下に 隠れてしまっている。正に「読まずに死ねるか!」という「読ま死ね」 妖怪の棲家。 [頁のかけら] ○ 無害な本というのはおおむね愚書・駄本であり、いい本は何が しかの毒を含んでいます。本は有害だからこそ読むのです!! 筒井康隆 ○どういうわけか、本の好きな人間は本のほうでもわかるんですよ。 本屋を歩いていると、面白い本は手にとってみなくても棚からポン と飛び出してくるんですね。 内藤陳 ○本はモノの中で最も安い。何せラーメン一杯の値段で文庫本 が一冊買えて、お釣りがくることもありますからね。安いくせに、 モノの中ではいちばん素晴らしい。 和田勉 ○私たちは、本当にいい世の中に生まれてきたと思いますね。 日本には言論・出版の自由があって、しかも知的好奇心の旺盛 な人がたくさんいる。そういう人たちが知りたいことを書いてくれる。 たった1000円か2000円出すだけで、他人が三年も四年もかけて 勉強した結果を教わることができる。申しわけないくらい幸せですよ。 日下公人 ○本屋さんに行ったら、自分がいつも見る本棚から左右5メートル の棚も見て、できればそこにある本を一冊買いなさい。 秋元康 **************************************************** ランダム読書日記 by 行道はるか YUKUMICHI Haruka (2008.7.6 No.86)
2008.07.06
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