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Mr.Children:1992-1995【中古】 Mr.Children 1992−1995 /Mr.Children 【中古】afb
2020年09月30日
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ジャック・ロンドン「赤死病」を買書つんどく。「2073年、サンフランシスコ港の近く。「文明を知る、ただ一人の生き残り」の老人が孫たちに、“赤死病”による人類滅亡と文明崩壊の過程を話して聞かせる。感染率が極めて高く、顔や体中が深紅の色に変わり、死に至る“赤死病”が2013年に大流行した。老人は当時27歳で大学教授をしていたが、やがて疫病が終息し、そこにあらわれた世界とは・・・・・。人口が急増した中国の絶滅を図るため細菌兵器による戦争を描いた衝撃のSF「比類なき侵略」、二作に連なるエッセイ「人間の漂流」を併録。」(「BOOK」データベースより)
2020年09月30日
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そのあたりからしばらく平岡の記憶が飛ぶ。どうやら頭を垂れたままうつらうつらしはじめたようで、しかし意識の霞みかたも軀の状態もただの居眠りとは少々違った感じで、ひょっとしたら酒か鍋かにそういう作用をするものが入っていたのではないかというのは後になって思いついたことだ。霞んだ意識の中で、酔狂というのも醜いものだとといった漠とした想念を追っていたような気がする。酔狂というのは普通、現世の万象に倦み果てた者がその倦怠の彼方で到達する境地だろう。だが、べつだんこの世の倦怠をそんなに深く味わった覚えもないこの俺が、いきなりこんなことに巻きこまれるというのはいかがなものか。あまつさえ、俺は酔狂の概念自体にもうすでに倦んでいるかのようではないか。これは醜いことではないか。・・・・・またこんな想念も明滅していたようだ。悔悛とは、悔恨とはいったい何か。払い忘れていたお代を払ってもらいましょうということか。いくらか余計に貰いすぎていた贈与の、その過剰ぶんを返済してもらいましょうということか。とにかく俺は、竹林までは辿り着いたのだった。もうこの先は距離なしで生きればいいと得心したのだった。ひとたびそうなるや、では、借りを返してもらいましょうという話が持ち上がらないわけにはいかないのか。だが、俺はどんな借財を誰に負っているのか。(松浦寿輝さん「不可能」P152)
2020年09月30日
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マーラー:大地の歌マーラー:大地の歌/クラウス・テンシュテット[HQCD]【返品種別A】
2020年09月29日
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「そのクラブ、ROMSとやらと、君はいったいどういう関係にあるんだ。世話役みたいなものか」「うーん、何と言いますかねえ・・・・・まあ、いろんな雑用をね、頼まれてやってるだけです。折に触れ・・・・・」「全員というのはどのくらいの数・・・・・」「十二人です」とS…君は妙にはっきり言った。「たったの・・・・・」「それ以上にはしたくないそうで」「で、わたしに誘いがあったというのは、十二席のうち一つに空きができたというわけか」「たぶん、そうなんでしょうね。ほとんどが傘寿を越えていらっしゃる方々のようですので。誰かお亡くなりになったのではないかと」「誰かって、誰?」平岡は何やら「名士」の集まりのようなものを想像していたので、政界か財界か芸術や文学の世界かは知らず、名前を聞けばああ、あいつかと思い当たるのではないかと考えたのだった。功成り名遂げた老人というのはいずれ群れたがるものだ。そういう制度というか機関がこの世には沢山ある。「それから残りの十一人は?」「知りません」(松浦寿輝さん「不可能」P142)
2020年09月29日
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フリッパーズ・ギター:カラー・ミー・ポップ【中古】 カラー・ミー・ポップ /フリッパーズ・ギター 【中古】afb
2020年09月28日
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ところで、宮崎駿は「『ナウシカ』誕生までの試行錯誤」と題されたインタヴューのなかで、マンガ版『風の谷のナウシカ』の連載がはじまるまでの三年間について、とても興味深いことを語っていた。おそらく、一九七九年の『ルパン三世カリオストロの城』の興行的な失敗につづいた、それゆえに苦難を抱えた過渡の時代をさしている。その時期に、宮崎はイメージイラストのかたちで、鎧・城・騎士・ゴブリン・少女・少年・ロボット・トリウマ・風車・・・・・などのモチーフをさまざまに描き散らしていたらしい。そこから、やがてナウシカの原案となるヒロイン像も生まれている。『風の谷のナウシカ』が生まれる以前にあった企画についていえば、厳密にどれが時間的に早いか遅いかということは大した問題ではないと思うんです。この時期、幸い3年ぐらい暇な時間がありましたから。その時に描き散らしたもので、今までずっと商売してるんです。『天空の城ラピュタ』も『となりのトトロ』も描きましたし、『風の谷のナウシカ』のモチーフとなった絵も、ほとんどこの時期に描いたものです。ですから、その3年間は僕にとって、ときどき小さな仕事もしましたが、基本的にやりたいものを整理していた時期なんですね。一つの世界ができあがっていく場合、それはいろいろな断片と混沌としたものの中から出てくるものなんです。『風の谷のナウシカ』以降の『天空の城ラピュタ』や『となりのトトロ』、さらに『もののけ姫』にいたるまで、この三年間のいろいろな「断片や混沌としたもの」のなかから、しだいに芽生え、それぞれの物語世界へと成熟しながら、かたちを成していったアニメ作品の群れがあった。『シュナの旅』もまた、そうした流れの渦中から誕生してきたマンガ作品であったことになる。(赤坂憲雄さん「ナウシカ考」P39)
2020年09月28日
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シベリウス/ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲【中古】 シベリウス/ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲 /諏訪内晶子,サカリ・オラモ,バーミンガム市交響楽団 【中古】afb米津玄師:STRAY SHEEPSTRAY SHEEP (通常盤) [ 米津玄師 ]
2020年09月27日
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おそらく、(チベット民話の「犬になった王子」の)王子がはじめに向かった方位は語られていなかったが、宮崎はそれを、ためらうことなく(『シュナの旅』では)「西に向かって」と読んでいたのである。この、無意識であったかもしれない西への強い指向性には、とても深い理由があるのではないかと、わたしは想像している。宮崎駿の物語世界は、いわば西方憧憬といったものに色濃く覆われており、いくつかの例外を除けば、その物語のヴェクトルはつねに、大きくは西に向けて傾斜しているのである。これについては、章をあらためて触れたいが、マンガ版『風の谷のナウシカ』の場合にも、南へ、西へ、とヴェクトルは差し向けられている。それは決して、北へ、東へ、という方位を選ぶことがない。(赤坂憲雄さん「ナウシカ考」P28)
2020年09月27日
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スーパー・デュオ!【中古】 スーパー・デュオ! /ファジル・サイ&パトリシア・コパチンスカヤ 【中古】afbマーラー:交響曲「大地の歌」【中古】 マーラー:交響曲「大地の歌」 /オットー・クレンペラー(cond),クリスタ・ルートヴィヒ(MS),フリッツ・ヴンダーリヒ(T),ニュー・フィルハーモニア 【中古】afb
2020年09月26日
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実際のところ、『砂漠の民』から『シュナの旅』、そして『風の谷のナウシカ』へと連なる宮崎駿のマンガの系譜は、とてもエンターテイメントの枠には収まりきらぬ、圧倒的な豊穣と深さと広がりをはらんでいる。それは端的にいって、途方もなく暗くて、重い。どこかしらニヒリズムの影が射している。アニメとしてはとうてい堪えがたいものだ。たとえば、公開から三十年ほどの歳月を経て、若き宮崎が製作にかかわったアニメ映画であることを知らせたうえで、『太陽の王子 ホルスの大冒険』を講義のなかで見せたときに、学生たちが示した拒否反応は決して小さなものではなかった。山形の美術系大学での体験である。かれらはまさに、幼いころから宮崎アニメにどっぷり浸かって育った世代であるが、むきだしに提示される「思想=イデオロギー」への嫌悪を隠そうとはしなかった。とはいえ、それをただちに、アニメの表現形式としての限界と見なすべきではない。アニメにはまた、アニメにしかない表現の可能性と振幅がある、というだけのことだ。いずれにせよ、映画監督である宮崎駿は、マンガという表現形式を手放すことがなかったのである。たぶんどこかで、アニメとマンガは矛盾だらけで両立しない、とか呟きながら。(赤坂憲雄さん「ナウシカ考」P4)
2020年09月26日
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マーラー: 交響曲第9番ロリン・マゼール / マーラー: 交響曲第9番&第10番よりアダージョ [CD]
2020年09月25日
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宮崎駿は足かけ十三年にわたって、マンガ版『風の谷のナウシカ』の連載のかたわら、『風に谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『魔女の宅急便』『紅の豚』といった、後世に残るようなアニメ映画の傑作を次から次へと創りだしていた。宮崎はこう語っている。僕は『ナウシカ』を書いていたお蔭でやれたんだという気がします。いちばん重いものとして『ナウシカ』があるわけです。『ナウシカ』の世界の戻るのは辛くて、戻りたくない。この世で書いていても社会復帰がむずかしくなってくるんです。ああいうのをやっていると。マンガ版『風の谷のナウシカ』の執筆は、それほどに重い負荷を宮崎にもたらしていたのである。「この世で書いていても社会復帰がむずかしくなってくる」といった言葉もまた、決して大袈裟なものではなかったはずだ。さらに、宮崎はこんなふうに語っていた。ひとつの映画が終わると、茫然自失したように休むことになるが、そこにマンガ版『風の谷のナウシカ』が待ち受けている。半年くらいはそのまわりをウロウロしてから、仕方なく書きはじめる。だから、「『ナウシカ』から逃げるために映画をやるみたいなところが正直いってあった」ともいう。(赤坂憲雄さん「ナウシカ考」はじめに)
2020年09月25日
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マーラー:交響曲第9番
2020年09月24日
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この竹林までは来た、石垣を乗り越えてここまではたしかに来たのだと平岡は思った。たったこれだけの距離を踏破してここまで辿り着くのにこんな長い歳月がかかったのかという考えは彼を愕然とさせた。しかし俺に後ろ姿しか見せなかったあいつの方はと言えば、星々の間を擦り抜け銀河の果てめざして飛翔し、それでもなおこの竹林までさえ辿り着けなかったのだ。つい目と鼻の先のこの竹林までやっと来て、それだけで俺の生の時間は尽きてしまうのか。いやいやと平岡は思い直し、死ぬための場所はもう用意したのだし慌てる必要などまったくないのだと、腹まで深く息を吸いまた吐くようにしながら自分に言い聞かせた。畸形だと。怪物だと。それならまだまだ生きてやる、この官能とこの直接性の生の時間の退屈に付き合ってそれにとことん倦み果てるまで、いつまでもいつまでも生きてやる。(松浦寿輝さん「不可能」P127)
2020年09月24日
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aiko:まとめI【中古】【全品5倍!9/25限定】aiko/ まとめIaiko: まとめII 【中古】【全品5倍!9/25限定】まとめII / aiko
2020年09月23日
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菅浩江さんの「歓喜の歌 博物館惑星3」を買書つんどく。「地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館苑ー“アフロディーテ”。そこには、全世界のありとあらゆる美術品、動植物が収められている。音楽・舞台・文芸担当の“ミューズ”、絵画、工芸担当の“アテナ”、そして、動・植物担当の“デメテル”-女神の名を冠した各専門部署では、データベース・コンピュータに頭脳を直接接続させた学芸員たちが、収蔵品の分析鑑定・分類保存をとおして、“美”の追究に勤しんでいた。そんな博物館惑星に赴任したばかりの新人自警団員・兵藤健は、同じく新人で、総合管轄部署“アポロン”配属の尚美・シャハムらとともに、創立50周年記念フェスティバルの夜、国際的な贋作組織の摘発に臨むがーあのダニエル・キイスが推薦した名作『永遠の森 博物館惑星』、その19年ぶりの続篇『不見の月 博物館惑星2』に続く、シリーズ第3作。」(「BOOK」データベースより)
2020年09月23日
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「そう、できなかった、あんたにもな、そうだろう?しかし、そのずれ、その距離が完全になくなった瞬間があった。少なくとも一度だけは確かにあったんだ」男の声がまた気色ばんだ。「あんただって知ってるはずだろ?あのとき、距離は完全に零になった。あの研ぎ澄まされた固い冷たい刃は俺の首にたしかに喰い入った。距離どころか、俺の躰は世界に激突した・・・・・。いや逆か、世界の方が・・・・・。まあ何でもいいや、とにかくそこですべての距離が消えた。どうだい、そう言っていいんじゃないか?それもまた幻想だなんて俗なことだけは、どうか言わないでくれよな」それでも男は平岡の方を振り向こうとしなかった。ガラス戸の向こう側に広がる庭の暗闇には植物の濃密な緑が重くよどんで、あらゆる音という音を吸収しているかのようだ。「幻想とは言わないが、あれにはやはり、無理があったんじゃないか」と努めて平静に言いながら、平岡は我知らず自分の首筋を撫でていた。「無理・・・・・?どういう意味だ、無理というのは」「ああいう不自然を、不自然と承知で、力ずくでやってのけるという、そのことさ。どだい、『不自然』というのは、『無理』というのは、距離の露出そのもののことじゃないのか」(松浦寿輝さん「不可能」P119)
2020年09月23日
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ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、第3番ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番&第3番 [ カティア・ブニアティシヴィリ ]
2020年09月22日
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本当の距離が始まったのはおそらくその直後のことだ。母親から引き離され、世界から引き離され、おそらく自分自身からも引き離され・・・・・。それからは俺にはもう距離しかなかった。そのことへの復讐に賭けた生涯・・・・・。復讐のために俺の手中にあった武器、俺が自由にできた武器はといえば、それはただ言葉だけだった。俺はせっせと文字を集め意味を集め、世界を撃つための武器を組み立てて、それに終始「美」のオイルを点していつ何時でも使えるように日頃の手入れを怠らず、そうやって自分専用の武器庫を整備していったのだ。むろん、言葉とは距離そのものだ。血が至高の密着であるように言葉は至高の距離だろう。しかしそれは俺が自分自身で好き勝手に調整できる距離、完璧に統制できる距離だった。言葉、この「距離の装置」、距離を持って距離を制するための禍々しい戦い・・・・・。(松浦寿輝さん「不可能」P109)
2020年09月22日
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オルガ・シェプス:Vocalise
2020年09月21日
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カーソン・マッカラーズ「心は孤独な狩人」を買書つんどく。「誰もが孤独の部屋の中から、報われない愛の行き先を探している。1930年代末、アメリカ南部の町のカフェに聾啞の男が現れた。大不況、経済格差、黒人差別・・・・・。店に集う人々の苦しみを男は静かに聞き入れ、多感な少女を優しく包みこむ。だがその心は決して満たされない――。フィッツジェラルドやサリンジャーと並ぶ愛読書として、村上春樹がとっておきにしていた古典的名作、新訳で復活! 」(新潮社の紹介)
2020年09月21日
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――ここはなかなか良いな。G…君は大したものだ。たしかに俺はこういう場所で死にたかったのだ。やりたいことは何をやってもいいのだった。人間は自由という刑に処せられているなどといった哲学者が昔いたがあいつは頓馬だなと平岡は思った。何でもいい、たった一つでいい、自分がやると決めたことを何にも誰にも遮られることもなく徹底的にやってみた人間以外には自由とは何かなんぞわかるはずがない。人間は盗んでも犯しても殺しても、あるいはそれよりもっともっと激しい度外れの倒錯に身を投じてもいいのだ。平岡がそれをしないのは単にとりたててそれをしたいとは思わないからでしかなかった。(松浦寿輝さん「不可能」P102)
2020年09月21日
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リフレクション:グリモー
2020年09月20日
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そこは八角形の小ぢんまりした空間だった。周囲はぐるりと全面ガラス張りで――嵌め殺しのガラスと普通に開け閉めできる窓とが交互に配されているー―頭上を見上げるとそれがさらにこれまた総ガラス張りのドーム天井まで繋がっていて、たしかにここにいると丸々透き通った半球状の泡の中に入ってそのまま宙を浮遊しているような気持になる。(中略)夕食後平岡とS…君はG…君に促されてもう一度塔に昇った。頭上の小部屋に出るとそこには月光が水のように溢れ返っていて三人とも思わず歓声を発した。高い空に満月が皓々と輝き、晴天というのか透き通るような真っ青な闇の中に月のあまりの明るさにかき消さされながらも無数の星々がきらめいて、振り向くと真っ黒な山陰のシルエットの背後から天頂めざして天の川が流れ、そのさまはまるで壮麗な龍が駆け上がって宇宙に帰ってゆくようだった。ガラス張りの<繭>の内部にはどこもかしこもにもあの透明な鉱物質の光が溢れていて、平岡はG…君が十五夜でしかも晴天というこの日を細心に選んで平岡たちを「塔の家」の竣工記念に連れてきたのだということに遅ればせながらようやく気づいた。三人は声もなく立ち尽くしていた。ずいぶん経ってからG…君が小さな声で、「骨に沁み入ってくるというのが何だかわかるような気がする」とぽつりと言った。(松浦寿輝さん「不可能」P97)
2020年09月20日
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マーラー:交響曲第8番≪千人の交響曲≫マーラー:交響曲第8番≪千人の交響曲≫ [ サー・ゲオルグ・ショルティ ]
2020年09月19日
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いずれにせよ鉄などという異物とはもう縁がない。平岡はそれが癖になっている無意識の身振りで首筋に残った二筋の瘢痕を撫で、改めてかすかな驚きとともにかっつてここに鋼の刃が食い入ったのだなと他人事にように考えた。ああいうことも一度はやってみたかったのだ、それはそれで避けようのないことだった、仕方あるまいと思い、だが一度はやってみたいといった程度の酔狂にしてはそのためにずいぶん大掛かりな口実をこさえ上げたものだ、と青二才の自分に対する感歎とも憐憫ともつかぬ感情に今日もまた圧倒された。それにしてもあんな大掛かりな舞台をしつらえた挙句の果て、結局あの固く研ぎ澄まされた鋼さえこの骨を切断できなかったのだ。あれはあれでたぶん俺に人生に必須の試練ではあったか。だがそれが単なる愚行とわかった今、この余生にはもう剣も要らず鉄亜鈴も要らない。骨は残った。そしてこの先も残るだろう。俺が死んだ後まで残るだろう。(松浦寿輝さん「不可能」P83)
2020年09月19日
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マーラー:交響曲第7番【中古】 マーラー:交響曲第7番 /クラウス・テンシュテット,ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 【中古】afb
2020年09月18日
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若いころは何もしないでいるとすぐ退屈したものだった。退屈というのは精神や肉体の力の潜在量がありあまっているのにそれが具体的に消費されずにいる状態のことだろう。しかしこんな歳になってみればもう精神にも肉体にも力は残っておらず、だから退屈のしようもないわけだった。こんな歳といっても自分がいま何歳なのか平岡にはもうはっきりとはわからなかったし興味もなかった。刑務所を出るまではそれでもあれから何年とときどき数えたりしていたがそれも死児の歳を数えることのように思われてならなかった。無期懲役の判決で入監してたしか二十七年経って仮出獄になったのだった。しかしもともと受刑の日々はもう余生どころか死後の生のようなものだったので二十年だろうが三十年だろうが平岡の実感としては大差なかった。生きている人間ならばそれだけの間に青年になり壮年になるだろうが死児は二十年経とうが三十年経とうが死児のままだ。(松浦寿輝さん「不可能」P8)忘れ物、(メモ0)です。このお話は、三島由紀夫さんが、あの「事件」を生き延びて、27年が経過しているという想定で進んでいきます。
2020年09月18日
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マーラー:交響曲第6番【中古】 マーラー:交響曲第6番 /クラウス・テンシュテット,ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 【中古】afb
2020年09月17日
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「どうだった、『四枚目の写真』の出来ぐあいは」「そうですね・・・・・いや、何枚かなかなか面白いのが・・・・・さあ、どうぞ」S…君はふだんの彼に似ず少々興奮気味に勢いこんで、封筒に指を載せて平岡のほうへずいと押しやった。封筒を取り上げフラップを開けて中を覗くと印画紙の束がぎっしり詰まっている。平岡はそれを取り出そうとしかけたがふと気が変わってまたフラップを閉じ、中身を見ないままその封筒をテーブルに戻して、「これはどうも見ない方がいいようだ」と言った。「どこかに仕舞っておいてもらうかな。どうせそのうち『五枚目』、『六枚目』も撮ってもらうことになるかもしれないし。わたしはまだ生きるつもりだから」そして平岡は晴れ晴れとした笑顔になった。それが人とも物とも区別のつけようのない無機質の笑顔であったのは言うまでもない。(松浦寿輝さん「不可能」P77)
2020年09月17日
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マーラー:交響曲第6番「悲劇的」【中古】 マーラー:交響曲第6番イ短調「悲劇的」(Blu−spec CD2) /テオドール・クルレンツィス(cond),ムジカ・エテルナ・ブラティスラヴァ 【中古】afb
2020年09月16日
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「言ってみれば、四枚目の写真・・・・・」とS…君が言った。「四枚目・・・・・?」「ほら、太宰治に『人間失格』というのがあるでしょう。『私は、その男の写真を三葉、見たことがある』と始まる小説。子供の写真、青年の写真と来て、三枚目の写真については『まるでもう、としの頃がわからない』とあるでしょう。それから『その男』の手記というのがずっとあって、自分は厭らしい奴で、生きていてごめんなさいとか何とか、甘ったれた図々しいことを・・・・・。で、締め括りに、『自分はことし、二十七になります。白髪がめっきりふえたので、たいていの人から四十以上に見られます』。じゃあ、この年齢不詳の男が七十になり、八十になって、もう一枚写真を撮られたらどうなる?ふと、そう考えたわけです。四枚目の写真をね・・・・・」ずけずけと言うもんだ、とまたしても平岡は思い、しかし、ほう、という吐息も我知らず洩れて、それは平岡が人間に対しては感じなくなって久しくなる感嘆とでも呼んでいい感情のようだった。(松浦寿輝さん「不可能」P63)
2020年09月16日
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マーラー:交響曲第5番マーラー:交響曲第5番 [ ベルナルト・ハイティンク ]
2020年09月15日
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それにしてもいったい何と言ったものだろう、安らぎと興奮を同時に与えてくれるこのウィスキーの香り、この味、この色を。その香りと味と色とともにエディンバラについて以来見てきた様々なものの記憶が錯綜し合いひしめき合いながら一時に蘇ってくるようだった。しかし、その一口が咽喉を滑り落ちて行った後に口中に膨らんだ香りと味は、最初に感じたのとまた違ってさらにいっそうふくよかで爽やかで眩暈がするようで・・・・・つまりはこれもまた贅沢そのものにほかならなかった。平岡は目を瞑ってしばらくそのままじっとしていた。旅の様々な記憶が渾然一体となって渦を巻く中から最後に一つだけぽつんと切り離されて平岡の脳裏に広がったのは、朝日を受けてきらきら輝くテイ川の水面だった。生も愛もうら若き頃を・・・・・。そう言えばたしかキーツの墓石には"Here lies One Whose Name was writ in Water"「その名を水に書かれし者ここに眠る」と刻まれているはずだった。(松浦寿輝さん「不可能」P52)
2020年09月15日
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マーラー:交響曲第5番【中古】 マーラー:交響曲第5番 /クラウス・テンシュテット(指揮),ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(po.) 【中古】afb
2020年09月14日
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「記憶もなければ何もないところへ、自分は来てしまった」とずいぶん昔にたしか書いたのだった。言ってみればここもまた或る意味でそれに似たところだった。もちろんこの土地に染みついた記憶、地元の人々にとって大きな意味を持つ記憶というものはある、ありすぎるほどある。テイ川のミズはウィスキーに適していて川沿いに大小の蒸留所が点在しているという。これは長年月にわたってこの国の人々の生活と文化の糧となってきた川なのだ。しかしそれは自分のものではない他者の記憶であり、平岡は単に通りすがりの一介の異邦人としてたまたまここに佇んでいるだけだった。実際つい何週間か前まではこんなところに自分が佇むことになろうなどとは想像もしていなかったのだ。ここはあくまで他人の土地でしかなく、その深層に堆積している記憶の厚みは平岡自身の魂とも身体とも無縁のものだった。だからこそ、その記憶の豊饒がオーラのようにたなびかせている贅沢にひととき仮初に触れることがこれほど純粋な快楽たりうるのだろう。すめろぎだのますらをだのもののあはれだのといった言霊は少なくともこの美しい川面の上には浮遊していない。(松浦寿輝さん「不可能」P43)
2020年09月14日
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ジョン・ウィリアムズの「アウグストゥス」を買書つんどく。「養父カエサルを継いで地中海世界を統一し、ローマ帝国初代皇帝となった男。世界史に名を刻む英傑ではなく、苦悩するひとりの人間としてのその生涯と、彼を取り巻いた人々の姿を稠密に描く歴史長篇。『ストーナー』で世界中に静かな熱狂を巻き起こした著者の遺作にして、全米図書賞受賞の最高傑作。」(作品社の紹介)
2020年09月13日
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生とはことごとく一瞬のきらめきにすぎない以上、人間社会の法も規則も所詮、仮初の約束事にすぎない。煙草を吸うか吸わないかなどという些事ばかりではない。犯すのも殺すのも盗むのも、もしやりたければ大いにやればいいというのが平岡の信念だった。それをするなという決まりがあるのはなぜか、その理由はもちろんわかる。犯されたり殺されたり盗まれたりする側の不倖を事前に予防するために、また事後に贖うために法や規則はある。監禁だの断頭台だのといった制裁を受けるのと比べれば決まり事を守って人生を全うしたほうが相対的にには幸福だという確信ないし妄念を人々に染みこませるために、文明社会はそうした制度を発明し精錬し遂げてきたわけだ。だが、監禁される不倖と監禁されない幸福の間に結局、どれほど本質的な差があるのか。所詮、一瞬のきらめきの後はその不倖も幸福もただ暗い虚無の中に呑みこまれてゆくだけだというのに。俺は二十七年間も自由を拘束されたが、そのことをさほど不倖と感じたこともない。(松浦寿輝さん「不可能」P40)
2020年09月13日
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バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1,3番、パルティータ第2番J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1&3番 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 [ 渡辺玲子 ]モノクローム [ Uru ]
2020年09月12日
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お追従のつもりだろうか。こういうふうにというのはしかし、どういうふうのことなのか。「まるでもう、としの頃がわからない」と太宰治は書いたのだった。「謂わば、坐って火鉢に両手をかざしながら、自然に死んでいるような、まことにいまわしい、不吉なにおいのする写真であった」とも。歳をとるというのがどういうことなのか、この若造に何がわかると平岡は思った。自然に死んでいるようにして俺はただここにいるだけだ。平岡は自分が久しぶりに人間らしい好意を感じたこの青年にそんな月並みなお愛想を言ってほしくなかった。「自分の作品」とやらをせっせと作りつづけた挙げ句、悠々自適の老後でも迎えてウィスキーの水割りなんぞ啜るつもりかと平岡は憎々しく考え、自分から会おうと思って呼んだにもかかわらず青年へのかすかな殺意が揺らめくのを感じた。しかし、一瞬黙った後にS…君は、「生まれたときからずっと、こんなお墓の中にいつづけたような気持ちになれる」と続けたのだった。こんな老人を目の前にして「お墓」の一語をさらりと口に出すというのはなかなか良い根性をしておるわいと平岡は思い一転して愉快な気分になってきた。気分がくるくると変わりやすいのは老耄の徴候だろうか。(松浦寿輝さん「不可能」P25)
2020年09月12日
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マーラー:交響曲第5番【中古】 マーラー:交響曲第5番 /レナード・バーンスタイン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,フリードリヒ・プファイファー(hr) 【中古】afb
2020年09月11日
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もう退屈というものを感じることがない以上、芸術という典型的な退屈しのぎにもむろんもう全く興味を持てなかった。「無」におびえる必要なないように、もはや「美」という化け物の禍々しい醜悪さに怯えるにも及ばないのだ。何が美しかろうが何が醜かろうが、人はただ平凡に生き平凡に死んでゆくのだ。(松浦寿輝さん「不可能」P15)
2020年09月11日
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マーラー:交響曲第4番【中古】 マーラー:交響曲第4番 /ベルナルト・ハイティンク(指揮) 【中古】afb
2020年09月10日
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笑い声を立てることなど造作なくできたが、本当は平岡の顔からは表情というものがほとんどなくなっていた。太宰治の『人間失格』の冒頭に「まるでもう、としの頃がわからない」という男の写真が出てくる。「額は平凡、額の皴も平凡、眉も平凡、眼も平凡、鼻も口も顎も、ああ、この顔には表情が無いばかりか、印象さえ無い。特徴が無いのだ」。そういう顔は「最も奇怪なもの」と太宰は書いているがはたしてそうか。非凡を消費し尽くすには人生でさしあたり五年もあれば足りる。鍍金が剥げれば、ということはつまり歳をとれば、誰だって印象も特徴もない顔になるのであり、それこそ、「最も平凡な」生の状態にほかなるまい。人間というものは誰だって本来誰にも覚えてもらえないような平凡な顔をしているもので、そのこと自体をしたり顔で「最も奇怪」と呼んでみせる作家の気取りだか芸人根性のサービス精神だかは鼻持ちならないものと平岡の目に映った。それとも老いた自分の姿が太宰の予告した最後の写真そっくりになったことに対する居たたまれないような憤りが転化してそんな感情になったのだろうか。(松浦寿輝さん「不可能」P10)
2020年09月10日
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アナリー・ニューイッツ「タイムラインの殺人者」を買書つんどく。「数億年前から存在する5基の“マシン”により、時間旅行が可能になっている世界。2022年の時間旅行者テスは、歴史の修正を試みる任務のため訪れた30年前のコンサート会場で、“マシン”閉鎖をもくろむ男たちを発見する。一方、1992年の女子高校生ベスは、同じコンサートからの帰り道に殺人の共犯者となってしまうことに。ふたりの人生が交差していくなか、タイムライン編集戦争が勃発するがー新世代タイムトラベルSF。」(「BOOK」データベースより)
2020年09月09日
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日本は戦争に負けました。部下に、俘虜になるくらいなら自決しろと命じていた高級将校まで、おめおめと俘虜になり、濠軍の給食で生き長らえていた。そんな連中に、果して戦争中の事件を裁く資格があったかどうか疑問です。軍法会議は判決を下しました。富樫軍曹、死刑です。小針上等兵、死刑です。堺一等兵、死刑です。馬場とあとの二人は無期懲役でしたが、その三人は体が弱っていて、内地へ還る前に亡くなりました。(結城昌治さん「上官殺害」(「軍旗はためく下に」所収)P251)というわけで、結城昌治さんの「軍旗はためく下に」を読みました。5つの短編で構成されており、それぞれが「陸軍刑法」違反で処刑された人たちのお話です。どれもが、理不尽なといえばそのとおりなんでしょうが、いまいちピンとこないのは、南方の戦場だけでなく、沖縄や、本土、広島や長崎や、いたるところでたくさんの人間が、理不尽に死に過ぎている、と感じているからかも知れません。それとも、ガダルカナルでもインパールでも、無謀な作戦により、多くの人が無駄死のように亡くなっていますが、その人たちは、靖国に祀られているからよいというものじゃない、と僕が考えているからなのか、なんかよくわかりません。そして、この本で、印象深かったのは、むしろ生き残った人間が、どのように生き残ったのか、また現在の生きざまがどうなのか、とても暗いことです。
2020年09月09日
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マーラー:交響曲第3番ほかマイケル・ティルソン・トーマス(cond) / マーラー 交響曲第3番、リュッケルトによる5つの詩 [CD]
2020年09月08日
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でも、軍旗が焼かれる光景を見たときは、何とも言えない気持ちだったな、感傷的になっただけかもしれないが、胸の奥がジーンと熱くなった、軍旗はいかなる軍人の命より重い、軍旗を焼くときは玉砕するときだと聞かされていた、その軍旗が焚火にくべられるなんて、おれは連隊長の訓示を聞きながら、やはり悲壮な気持ちだった、連隊旗手は泣いているように見えた、妙に静かだったことを憶えている、焚火の音がパチパチ聞こえていた、連隊長以下、将校たちは軍旗に向かって敬礼していた、兵隊も敬礼していたと思うが、おれは自分のことを憶えていない、ぼろぼろの軍旗が炎となって燃え上がった、これで一巻の終わり、おれのうしろで呟く声がした、自嘲的だが、ふざけた声ではなかった、戦争に負けたんだ、おれはしみじみとそう思った・・・・・、(結城昌治さん「上官殺害」(「軍旗はためく下に」所収)P240)
2020年09月08日
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マーラー:交響曲第3番【中古】 マーラー:交響曲第3番 /ベルティーニ 【中古】afb
2020年09月07日
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