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ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 [ ダヴィッド・オイストラフ ]
2020年06月30日
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「知らないの?」二人がとても驚いた声を出した。川島さんが車を道のわきによせてキュッと停めた。からだが前につんのめった。川島さんは怒っているように見えた、怒っていた。「それ、行ってからいわないほうがいいね」川島さんがいった。「知らないってことをね」「【先生】の代表作だからね」強い調子ではなかったけど、立川さんがいった。かかっていたのはあるテレビドラマのテーマ曲だった。ドラマのタイトルは聞けば知っていた。母が見ていたのはおぼえていた。これから行く場所を立ち上げた人が、【先生】が、そのドラマの脚本を書いていたのだとそのとき知った。信じられないという顔を二人はした。「ほんとに?」川島さんがいった。なら何を見て応募したのだ、と立川さんがいった。「新聞。の応募記事」そうじゃなくて、と立川さんはいった。「そうじゃなくて、先生の何を見て、応募しようと思ったの」何を。何も見ていない。いや見てはいた。【先生】と呼ばれる人はたくさんのテレビドラマや映画の脚本を書いていたから、二人が話題にしていたそのドラマは見てなかったけど、いくつか見てはいた。見てはいたけどそのときのぼくはそれがその【先生】の作品だとは知らない。二人は黙ってしまった。(山下澄人さん「しんせかい」P17)
2020年06月30日
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プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第2番、第6番、第8番【輸入盤】ピアノ・ソナタ第2番、第6番、第8番 アレクサンドル・メルニコフ [ プロコフィエフ(1891-1953) ]
2020年06月29日
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まーちゃんとたけしとおれの三人で店を出た、ジョンは一人でビールを飲み出したから、帰る、と言っておれたちは外に出た、ちゃんと三人でジョンに、「ごちそうさまでした」といった、「おい小鳥」とジョンは言った、「小鳥やて」たけしが言った、「小鳥が小鳥なんは小鳥のときだけやぞ」ジョンが言った、「大きなって変な鳥になれ」(山下澄人さん「小鳥、来る」P193)というわけで、山下澄人さんの「小鳥、来る」を読みました。山下さんの小学校時代の「おれ」の視点から、父、母、妹ら家族と近所の子どもたちやまちのことが描かれていきます。とくに、「父」と「おれ」の関係のゆがみやきしみのようなことがなんどもなんども描かれます。「おれ」の視点はゆれにゆれて、気が散るままに描かれていきますから、違う話がまぎれこんできます。これを面白いと思うかどうかが、この小説を楽しめるかのポイントになってくると思います。これ、山下さんの「ハックルベリー・フィン」やなあと思って読んでいたら、突然にそのものが登場してきたのでびっくりしました。また、僕も神戸生まれなので、この小説の舞台は、神戸市灘区の都賀川の近くだということ、動物園のこと、商店街のこと、神社のことなどから、書かれている地域がどのあたりのことかほぼ推測できます。「父」と釣りをしに海に下っていくシーンなんかも、あ、2号線や、43号線や、とか思うわけです。海側は、HAT神戸なんかもでき、まったく違う風景になっていますし、山側も当時の面影が、今もあるのかどうかはわかりませんが、また一度訪れてみたいと思いました。そして、「ぼくじょう」?のことが出て来るんやけど、灘区の街中に牧場があったんか?僕の生まれたところには1970年代くらいまで牧場があり、そこで遊んどったけど・・・・・。
2020年06月29日
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プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第5番、ピアノ・ソナタ第8番ほかプロコフィエフ:ピアノ協奏曲第5番作品55 ピアノ・ソナタ第8番≪戦争ソナタ≫ 束の間の幻影作品22から [ スヴャトスラフ・リヒテル ]
2020年06月28日
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「うちにもあんたらぐらいの子どもがおったんやで」おばさんが言った、「死んだん?」たけしが言った、「大人になってもた」大人になってもたもたもた大人になってもたもたもたジョンがたこ焼きを食べながら歌った、「またへんなうた」たけしがたこ焼きを食べながら言った、ジョンが歯をむき出して歯ぐきまで見せて顔にしわを寄せた、歯に青のりがついていた、店の奥でガタンと何かが倒れた、「飯わい!」奥からひとの声がした、「飯や!」またガタンと音がした、おばさんが奥に入って行った、「昔の子どもや」ジョンが笑いながら言った(山下澄人さん「小鳥、来る」P190)
2020年06月28日
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プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3,4,5番
2020年06月27日
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父がいた、声がした、さっきからしていたのはこれだった、海の音だと間違えていた、父は走って来た、父の走るのをはじめて見た、父の遠くにゴムボートが見えた、父はボートを捨てなかった、離さなかった、でもおれを離した父はたぶんゴムボートよりおれをどうにか浜に連れて来た方がよかった、父にもおれにも、そうした方がよかったと思う、おれが泳げたからよかったけどもしこれがたけしなら死んでた。(中略)父は動物にはやさしい、犬でも猫でもねずみでもからすでも、でもおれを叩く、母に暴れる、仕事をやめる、そういうひとだ、母はそのことをよく知っている、残念なひとだと母は言っていた、おれは父はかわいそうだと思っている、ああそうか、そう思っている、だけどやっぱりかわいそうだと思うのはかわいそうにと言われるより嫌だ、父とは一回やる、やって終わる、それでおれと父は解散する。(山下澄人さん「小鳥、来る」P166)
2020年06月27日
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プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番、ラヴェル:ピアノ協奏曲、夜のガスパールプロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ラヴェル:ピアノ協奏曲/夜のガスパール [ マルタ・アルゲリッチ ]
2020年06月26日
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まーちゃんが来た、本を持ってきてくれた、字の本、ハックルベリィ・フィンの冒険「おもろしろいで」「お父さん怖いから逃げんねん」「いかだで」「黒人と」「ジムいうねん」「最後捕まんねん」「でもトムソーヤーと助けんねん」「トムソーヤー読んだ?」読んでない次の日まーちゃんはトムソーヤーの冒険を持ってきてくれた、「ハックルベリィのが好きやけど」「トムソーヤーはなんかちょっとずるい」じゃあハックルベリィを先読もうと思ったけどまだ読んでない。(山下澄人さん「小鳥、来る」P117)
2020年06月26日
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プロコフィエフ作品集 のうちCD2CD/クラシック/プロコフィエフ:交響曲第1番(古典)/第5番/ピアノ協奏曲第3番/ロメオとジュリエット/ヴァイオリン協奏曲第1番、他全9曲/UCCG-3821
2020年06月25日
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パチンコ屋に父はいた、たばこをくわえてパチンコ台を見ていた、玉を見ているのだけれど一個ずつを見てるわけじゃないから目を動かしたりはしない、あれがおれの父だとおれは思いながら見ていた、右の鏡におれがうつっていた、それを見た、あれはおれだ、息子、父はあれ、父親、父を見るとおれは見えなくなる、おれを見ると父は見えなくなる、父がここに来たらどっちも鏡にうつるから見える、そうやっておれと父をおれは見たことがない、うちは四ひと家族だけど四ひとでうつった写真がない、だから誰かに何ひと家族かと聞かれたら、三ひと家族、とこたえそうになる、ひとていうの面倒くさくなってきた、三ひと家族にはおれはいない、父と母と妹だ、おれに見えているのはそうだ、三人はいつも三人だ、だけどうちは四ひと家族だ、あれが父、そこのそいつがおれだ、じっとしている、おれが動くとそいつも動く、口をあけるとあける、少しおくれている気がする、ほんの少し、パチンコ屋の男のひと、店員が、おれを見ていた、無視して父をまた見た、おれを見た、二ひとは親子だ、あと母と妹がいる、店員はいない。(山下澄人さん「小鳥、来る」P83)
2020年06月25日
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プロコフィエフ作品集 のうちCD1CD/クラシック/プロコフィエフ:交響曲第1番(古典)/第5番/ピアノ協奏曲第3番/ロメオとジュリエット/ヴァイオリン協奏曲第1番、他全9曲/UCCG-3821
2020年06月24日
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今村翔吾さんの「じんかん」を買書つんどく。「民を想い、民を信じ、正義を貫こうとした青年武将は、なぜ稀代の悪人となったか?時は天正五年(一五七七年)。ある晩、天下統一に邁進する織田信長のもとへ急報が。信長に忠誠を尽くしていたはずの松永久秀が、二度目の謀叛を企てたという。前代未聞の事態を前に、主君の勘気に怯える伝聞役の小姓・狩野又九郎。だが、意外にも信長は、笑みを浮かべた。やがて信長は、かつて久秀と語り明かした時に直接聞いたという壮絶な半生を語り出す。大河ドラマのような重厚さと、胸アツな絆に合戦シーン。ここがエンターテインメントの最前線!」(「BOOK」データベースより)
2020年06月24日
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ミシャクジ(御左口)は諏訪を中心に長野県はもとより山梨・愛知・三重・岐阜・滋賀にも分布している信仰である。それがどんな神であるかについては議論があり、その名で呼ばれている神がみな同一であるかも不明だが、諏訪にかぎっていうとその祭祀は守矢氏によって独占されており、諏訪氏がかかわることはなかった。これは、タケミナカタの奉斎者による諏訪侵攻以前から、ミシャクジが守矢氏によって祭祀されていた神であることを示すものと思われる。つまり、こうした習俗からもタケミナカタが諏訪を占領した神であることがわかるのである。『日本書紀』持統天皇5(691)年8月23日の条には「使者を遣わして竜田風神、信濃の須波(諏訪大社)、水内などの神を祭らしむ」とある。タケミナカタが強かったにしろ弱かったにしろ、遅くとも7世紀後半には朝廷より崇敬される神になっていたのである。(渋谷申博さん「神社に秘められた日本書紀の謎」P76)
2020年06月24日
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ブルーノ・マーズ:24K Magic 【中古】 【輸入盤】24K Magic /ブルーノ・マーズ 【中古】afbフレンチ・コネクション
2020年06月23日
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ブレイディみかこさんの「ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち」を買書つんどく。「大ヒット作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』に次ぐ、待望の最新エッセイ集!日常をゆるがす大問題を前に、果敢に右往左往するおっさん(おばさん)たちの人生を、音楽にのせて描く。ブレイディみかこの新たなる代表作、誕生!!」(筑摩書房の紹介)
2020年06月23日
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『古事記』を読んでいるかぎりにおいては、オホクニヌシの御子神とされるタケミナカタはまったくの引き立て役だ。巨大な岩を手にして怪力をアピールして登場しておきながら、タケミカヅチにあっさりと投げ飛ばされ、ほうほうの体で諏訪まで逃げたあげく、命乞いまでしている。(中略)ところが諏訪に伝わる話はまったく異なる。たとえば、『諏訪大明神絵詞』によれば、タケミナカタはもともと諏訪にいたモリヤ(洩矢)神を打ち破り、諏訪地方の統治権を譲り受けたのだという。諏訪におけるタケミナカタの武勇譚はこればかりではない。この地方を悩ませていた蝦蟇の神を退治したという話もあり、それ以来諏訪湖が静かになったので、「すわ」という神名で呼ばれるようになったともいう。しかも諏訪大社は古くから軍神として有名であった。坂上田村麻呂、源頼朝、武田信玄などが同社で武運長久を祈願しているし、後白河法皇が、編纂した歌謡集の『梁塵秘抄』にも「関より東の戦神、鹿島・香取・諏訪の宮」と詠まれている。タケミカズチに軽くあしらわれる神のこととはとうてい思われない。では、『日本書紀』ではどうなっているのかというと、こちらにはタケミナカタは登場してこない。オホクニヌシはコトシロヌシの意見をいれて国譲りを決める。武力衝突はなく、出雲は無血開城される。(渋谷申博さん「神社に秘められた日本書紀の謎」P72)
2020年06月23日
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ブルーノ・マーズ:Doo−Wops and Hooligans【中古】 【輸入盤】Doo−Wops and Hooligans (Bonus Track) /ブルーノ・マーズ 【中古】afb
2020年06月22日
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おれは父とは一回どこかで勝負しないとなと思っている、おれが大きくなったとき、父と同じくらいになったとき、父は「ちび」といわれていたらしいから背はそんなに大きくないから、中学になればたぶん追いつく、そのとき一回だけ、一回だけ勝負する、たぶん絶対勝つ、おれはもう中学だ、負けるはずがない、だけど勝つから一回だけだ、何度もやるといじめだ、だけど父は何度もやっている、おれは何度も殴られたし、けられてはない、けられてはいない、けりはむつかしいからだ、誰もブルースリーのようにはけれない、ブルースリーほどじゃなくても、カンフーか空手かキックボクシングをやっているやつじゃないとけりは出せない、けんかでうまくけるやつはきょうじだけだ、おれはきょうじが自分より大きいやつのあごをけるのを見たことがある、・・・・・(山下澄人さん「小鳥、来る」P77)
2020年06月22日
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ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲、スコットランド幻想曲【中古】 ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲/スコットランド幻想曲〜諏訪内晶子デビュー /諏訪内晶子 【中古】afbショパン:ワルツ集【中古】 ショパン:ワルツ集 /A.ルービンシュタイン 【中古】afb
2020年06月21日
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一度お話しさせてくださいとうえだは書いていた、丸い字だった、子どもみたいな字だった。連絡帳を母に見せた、母は何も言わなかった、妹はテレビを見ていた、うえだが来た、おれは今来ると思ってなかったからびっくりした、母もびっくりしていた、入ってきたうえだは家のせまさにびっくりしていた、三人でびっくりしていた、妹はテレビを見ていた、びっくりしていない。おれの家は部屋が一つしかなかった、アパートはどの部屋も一つしかなかった、まーちゃんの部屋も一つだった、たけしの家だけ部屋を二つ借りていた、母があわてて部屋を片付けた、テレビを消された妹はうえだをじっと見ていた。「どないして寝てるんや」うえだが次の日学校で言った、家に来ていたとき言えばいいのに、そうしないところがおれがうえだをいまいち信用しないいくつかの理由の一つだったのだけど、そのことがどうして信用できなくなるのかの説明がおれにはうまく出来なかったけど、どちらにしてもうえだはそんなことわかってなかった。(山下澄人さん「小鳥、来る」P27)
2020年06月21日
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チャーリー・ジェーン・アンダーズ「空のあらゆる鳥を」を買書つんどく。「魔法使いの少女パトリシアと天才科学少年ローレンス。特別な才能を持つがゆえに周囲に疎まれるもの同士として友情を育んだ二人は、やがて地球と人類の行く末を左右する運命にあった。しかし未来を予知した暗殺者に狙われた二人は引き裂かれ、別々の道を歩むことに。そして成長した二人は、人類滅亡の危機を前にして、魔術師と科学者という対立する二つの秘密組織の一員として再会を果たす・・・・・。ネビュラ賞・ローカス賞・クロフォード賞受賞の傑作SFファンタジイ。」(「BOOK」データベースより)
2020年06月20日
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父の声が不機嫌だとおれは気がついていた、おれがまた内へはねた、しまったと思った、その日はそのずっと前から父の機嫌は悪かった、何で機嫌が悪かったのかは知らない、父はいつもそうだった、気がついたら機嫌が悪い、だいたい悪い、機嫌のいい日なんてたまにしかない、もう一回書いてみた、またやった、おれは緊張していた、だめだと思うと思うことをしてしまう、外や言うとるやろがいと父がおれの顔を叩いた、力の加減を父は間違えた、強すぎた、ゆるく叩いたらよかった、そしたら爆発しなかったと思う、強くやったから爆発した、ゆるくやったらよかった、叩かない方がそれよりよかった、父はおれの髪をつかみ、突き飛ばして、おれと父が足を入れていたこたつの足をにぎってひっくりかえした、帳面や鉛筆やコップや灰皿が飛んだ、そこらで止めるべきだと父は思っていた、あかんあかん、なのに母が止めに入った、母は止めに入るのが下手だ、ちょうどいい加減で父の体に触っていれば止まっていたかもしれないのに、大きすぎる声で、強すぎる触り方で父の腕をにぎった、父は母を窓へ突き飛ばした、そのいきおいでひっくり返ったこたつを足でふんだ、こたつは音を立ててこわれた、父はこわれたこたつをふんで、ばらばらになったこたつを手にして足で引きちぎり、その棒でおれに殴りかかった、おれは両手で頭をかばった、右手を叩かれた、痛くはなかった、最中は痛くない、だけど一発目は手ですんだけど、次は頭かもしれない、景色がぐるぐるしていた、いつもこうなる、母や妹の顔が見えた、泣いていた。「空気がつめたーなるよな」しんじが言った。(山下澄人さん「小鳥、来る」P13)
2020年06月20日
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ケイト・ウィルヘルム「鳥の歌いまは絶え」を買書つんどく。「シェナンドアの谷に住む一族に生まれたデイヴィッドは、地球上のあらゆる生命が滅亡に向かっていることを知った。一族は資産と人員を谷の上流に集結させ研究所を造り、クローン技術によって人類を存続させようとする。デイヴィッドはクローンたちが従来の人類と異なる性質を持つことに懸念を抱くが・・・・・ヒューゴー賞、ローカス賞、ジュピター賞を受賞した美しくも哀切な未来叙事詩。」(「BOOK」データベースより)
2020年06月19日
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しかし、タケミカヅチとフツヌシの関係は、藤原氏の力を背景にフツヌシの役割をタケミカヅチが取ったという説明で片がつくほど簡単なものではない。フツヌシが剣を神格化したものであることは先に述べたが、タケミカヅチも剣と縁が深い。父のイツノヲハバリはイザナキが火の神カグツチを斬ったときの剣であり、そのときに流れた血からタケミカヅチは生まれたと『古事記』は述べる。また、タケフツという別名もある。フツヌシを「剣の力をもつ神」の意とするなら、タケフツは「立派な剣の神」の意味といえよう。さらには、タケミカヅチが神武天皇を助けるために下した剣にはフツノミタマという名があり、石上神宮で祀られている。こうしたことからすると、タケミカヅチとフツヌシは同一の神、あるいはタケミカヅチが帯びていた剣がフツヌシだったとも思われる。昔は霞ケ浦が今より広く、鹿島神宮と香取神宮はこれをはさんで対峙するように鎮座していたともいう。これは諏訪大社の上社と下社の関係に似ている。伊勢神宮の内宮・外宮のように、独立した二つの神社が一つの神社を形成していることがあるので、鹿島・香取神宮もそうしたものだったのかもしれない。(渋谷申博さん「神社に秘められた日本書紀の謎」P71)
2020年06月19日
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ブルックナー:交響曲第8番【中古】 ブルックナー:交響曲第8番 /ギュンター・ヴァント,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 【中古】afb
2020年06月18日
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『常陸国風土記』の記事とはこういうものだ。「高天原より降り来たりし大神の名を香島天之大神と称す」この文の前後の内容から、この香島天之大神はタケミカヅチのことと考えられる。つまり、タケミカヅチは常陸に降下して東国を平定した神であったのだ。では、なぜタケミカヅチは国譲りの立役者になったのか?どうもその背後には藤原氏の存在があったようだ。鹿島神宮をもともと奉斎していたのは多氏や物部氏であったが、両氏の没落によって、祭祀権が藤原氏へと移った。藤原氏が鹿島神宮と香取神宮を重視したことは、タケミカヅチとフツヌシを両社から勘請して春日大社を創建したことからもわかる。しかも、タケミカヅチを第一殿、フツヌシを第二殿に祀り、本来の氏神であるアメノコヤネより厚遇している。(渋谷申博さん「神社に秘められた日本書紀の謎」P68)
2020年06月18日
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ブルックナー:交響曲第7番ブルックナー:交響曲第7番/ヴァント(ギュンター)[CD]【返品種別A】
2020年06月17日
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多和田葉子さんの「星に仄めかされて」を買書つんどく。「世界文学の旗手が紡ぎだす国境を越えた物語の新展開!失われた国の言葉を探して地球を旅する仲間が出会ったものは――?」(「BOOK」データベースより)
2020年06月17日
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オホクニヌシとオホモノヌシの出会いの場面には、奇妙な点がまだある。その一つはオホモノヌシが名乗らないことだ。したがってこの場面だけ読むと、オホクニヌシの前に現れた神が誰なのかわからずじまいになる。このあとに三輪山の話が何度か出てくるので、そこからオホモノヌシだと知られるのである。もう一つは、オホクニヌシは出雲で国造りをしていたというのに、その手助けをする神を大和の三輪山に祀るということだ。神は自在に移動できるのだろうが、それでも遠すぎるし、適当な場所とは思えない。オホクニヌシとの出会いの神話が有名なため、オホモノヌシはオホクニヌシと一体の関係にある国つ神であると理解されがちだ。しかし、どうももともとは大和朝廷によって崇敬されていた神であったらしい。三輪山の神が大和朝廷にとって重要な神であったことは、『日本書紀』の崇神天皇48年1月10日の記事からも読み取れる。それによると、後継者選びで迷っていた第10代崇神天皇は、ふたりの皇子、豊城命・活目命に対して、どんな夢を見たか報告するよう命じた。すると豊城命が三輪山の上で東に向かって槍を八回振るう夢を見たと言ったのに対し、活目命は三輪山に登って四方に縄を張って栗を食べる雀を追い払う夢を見たと言った。これを聞いた天皇は、四方に目配りをした活目命を皇太子にすることに決めたという。この逸話から三輪山が皇位継承にも関わっていたことが推察される。そんな三輪山の神が、なぜ出雲の最高神と同一視されるようになったのだろうか?(渋谷申博さん「神社に秘められた日本書紀の謎」P60)
2020年06月17日
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ブルックナー:交響曲第6番【中古】 ブルックナー:交響曲第6番 /ヴァント&ミュンヘン・フィル 【中古】afb
2020年06月16日
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どうせいつか負けることになっているんです。親切な人たちが悪人に勝ちつづけるなんて、どうやったらできますか。絶対に勝てないことも親切さの一部なんだから、いいんです。それが今回だとしても大丈夫。逃げよう。だめだと思ったら逃げよう。後でまた、どうにかできる。インピョがウニョンの耳元で言った。大声ではなかったので、聞き間違えたかもしれない。ひょっとしたらインピョではなく、ウニョン自身が言ったのかもしれなかった。優しい嘘だとわかっていたから、嘘のように心が静まった。(チョン・セラン「保健室のアン・ウニョン先生」P274)というわけで、チョン・セランさんの「保健室のアン・ウニョン先生」を読みました。特殊な霊能力をもつ養護教諭アン・ウニョン先生が、同じ高校に勤務する霊能力者ではないけれど、亡くなった祖父の強力な霊に守られた漢文のホン・インピョ先生にそのエネルギーをもらいながらいっしょに、悪霊なんかを退治するお話です。ライト・ノベルです。ドラマ化もされるそうですが、韓国のドラマですよね。日本だったら、綾瀬はるかさんなんかが演じられたら面白いと思います。ちょっと美人すぎるので、地味っぽい感じで。短編集ですが、「ムシ捕り転校生」がお気に入りです。
2020年06月16日
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ブルックナー:交響曲第5番
2020年06月15日
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休校自体はちょっと嬉しくもあった。休息が必要だったのだ。慢性疲労症候群かなあと一人言を言ってみて、原因がはっきりしているからちょっと違うか、と言い直したりしたくらいだから。ウニョンにとって自分の体は、まるで無計画に建てられた仮屋とか倉庫みたいだった。ときどき自分の所有ではないものたちでいっぱいになることもあったが、やがてそれらが出ていき、雨風にさらされて錆びつき、やっとの思いで、かろうじて、ぎりぎりで立っているスレート葺きの建物だ。(中略)インピョが学校に連れてきた女性の顔が思い浮かんだ。インピョの車が校門を通り過ぎて建物の方へ上がってくるとき、ベンチに座っていて見た。きれいな人だった。きちんと洗練されていて、インピョと似合っていた。いつもウニョンが座っていた助手席で、ちょっと微笑を浮かべて学校を見ていた。(中略)心の中で。不安定な棚のようなものが落下する音がした。暗い場所で、古いねじにぶら下がっていたものが、とうとう落ちていく音だ。ここにずっといられるだろうか。何ともない顔をしていつづけることもできるだろうけど、それではいけないような気がした。(チョン・セラン「保健室のアン・ウニョン先生」P254)
2020年06月15日
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シューマン:ヴァイオリン・ソナタ集R.シューマン:ヴァイオリン・ソナタ集
2020年06月14日
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のどが渇いて、寒くて、頭が痛くて、何とも言いようのない「手術の匂い」がしたが、燃えるような感覚は消えうせていた。高熱に炙られてじりじりと溶けているようだった、ムシを入れておくあの入れ物が、消えていた。「触っちゃだめ」無意識に手が胸の方へ行ったようだ。ウニョンが優しく止めた。「どう?大丈夫そう?」インピョはまだ不安そうだった。「私、何か言いましたか?何か言ったみたいなんですけど」他人のもののように感じられる舌を動かしながらやっと尋ねると、二人の先生がまた笑った。「大学生になりたい!って」「こんなことなら勉強しておくんだった!って」先生たちの声真似を聞いて、ヘミンは恥ずかしくて気絶しそうになった。できるよ、今からでもやればできるよと応援されたが、気がせいてきた。生きていくというのは焦ることなんだな。欲がでることなんだな。めんくらっているうちに、老いたムシ捕りの心はだんだん若返っていった。(チョン・セラン「保健室のアン・ウニョン先生」P224)
2020年06月14日
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ベルリオーズ:幻想交響曲ベルリオーズ:幻想交響曲 [ クラウディオ・アバド ]Uru:モノクローム モノクローム [ Uru ]
2020年06月13日
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多和田葉子さんの「星に仄めかされて」を買書つんどく。「世界文学の旗手が紡ぎだす国境を越えた物語の新展開!失われた国の言葉を探して地球を旅する仲間が出会ったものは――?」(「BOOK」データベースより)
2020年06月13日
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暴力的な死の痕跡は長く長く残った。まだ子どもだったウニョンは、生きていくのはつまるところ、あまりの暴力的な世界と毎日顔をつきあわせ、ときには避けられず傷つくことなのだと徐々に気づきつつあった。中学生が受け入れるにはしんどい気づきだった。体には力が全然入らず、心は混乱し、課外活動のためにマン研に入ってもなかなか没頭できなかった。(中略)つるつるする厚いマンガ用紙をいじっていると、ガンソンがウニョンを何度かチラチラ見て、いきなり言った。「おまえはさ、キャラの問題だよ」「何のこと?」(中略)ガンソンがスケッチを一枚差し出した。そこには、制服を着た五頭身ぐらいのウニョンがちょっと短めにしたスカート姿で描かれていた。五頭身なのが嫌なのか、勝手にスカートを短くされたのが嫌なのかわからなくてとまどった。絵の中のウニョンは片手にレイボーカラーの折りたたみ式の剣を、もう一方の手には銃を持っていた。ウニョンが何か反応する前に、ガンソンが椅子にかけてあった大きなカバンから、本当に折りたたみ式の剣とBB弾の銃を取り出した。古くて傷があるところを見るとあきらかに、ガンソンか小さいときに遊んでいたものらしい。(中略)だから今のウニョンは、実はガンソンの設定なのだった。(チョン・セラン「保健室のアン・ウニョン先生」P193)
2020年06月13日
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ブルックナー:交響曲第4番【中古】 ブルックナー:交響曲第4番 /ギュンター・ヴァント(指揮),ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 【中古】afb
2020年06月12日
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伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」を買書つんどく。「逆境にもめげず簡単ではない現実に立ち向かい非日常的な出来事に巻き込まれながらもアンハッピーな展開を乗り越え僕たちは逆転する!無上の短編5編(書き下ろし3編)を収録。」(「BOOK」データベースより)
2020年06月12日
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意外かもしれないが、スサノヲは朝鮮と浅からぬ縁がある。前述した二つの一書がその代表例であるが、第3の一書でもヤマタノオロチを斬った剣のことを「韓鋤の剣」としている。岩波文庫『日本書紀』の注によれば韓鋤の剣は、「韓から伝来した小刀の意」らしい。また、『古事記』に掲載された系譜によると、スサノヲの子のオホトシにはカラとソフリという子がいる。カラは文字通り朝鮮の神であるし、ソフリは正体不明だがカラと並べられてあげられていることから朝鮮系の神である可能性が高い。アマテラス・ツクヨミと並んで、イザナキ・イザナミから生まれた神の中でもっとも貴い子「三貴子」と呼ばれるスサノヲが、なぜ朝鮮と縁があるのか?また、なぜ新羅に降下したという神話が『日本書紀』に記されているのか?その理由としては次の三つが考えられるだろう。①スサノヲはもともと朝鮮の神で、朝鮮から日本に渡ってきたという伝承がこういう形で残った。②朝鮮系の渡来人にスサノヲを振興する集団がいて、こうした神話をつくった。③スサノヲを奉斎する氏族あるいは地域の人々の一部に朝鮮との交流があった。(渋谷申博さん「神社に秘められた日本書紀の謎」P52)
2020年06月12日
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ブルックナー:交響曲第3番
2020年06月11日
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八咫鏡の作者について『古事記』『日本書紀』ともにイシコリドメの名をあげるが、『古事記』は「天の金山の鉄を取って(略)イシコリドメにつくらせた」とあるだけで制作の状況を詳しく述べない。一方、『日本書紀』には第7段一署第1に興味深い記述がある。「イシコリドメを工人として天香山の金を採って日矛をつくらせた。(略)これを用いてつくり奉る神は紀伊国に鎮座する日前の神である」鏡の話なのになぜ矛のことを引用するのかと思われたかもしれないが、これは「日矛」という名の鏡のことであるらしいことが『古語拾遺』を読むとわかる。『古語拾遺』は宮中の祭事を司った忌部氏の伝承を807年に記録したものだ。「イシコリドメに命じて日像鏡を鋳造させた。最初に鋳たものは少々意に添わなかった(これは紀伊国の日前の神である)。次に鋳たものは美しくできた(これは伊勢の大神である)。」これらによれば、八咫鏡は2枚あったことになる。(渋谷申博さん「神社に秘められた日本書紀の謎」P43)
2020年06月11日
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プリンス:アルティメット・ベスト【中古】 アルティメイト・ベスト /プリンス 【中古】afb
2020年06月10日
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大塚英志さん 山本忠宏による、「まんが訳 酒呑童子絵巻」を買書つんどく。「平安時代は一条天皇の治世のこと。都の貴族の娘が次々と姿を消し、占いの名人・安倍晴明が、伊吹山千丈ヶ岳に棲む鬼の仕業とつきとめた。さっそく源頼光らに退治の勅命がくだるー。武家源氏の始祖・源頼光の活躍を描く表題作『酒天童子絵巻』の他、「安珍清姫伝説」として知られる『道成寺縁起』、頼光と渡辺綱の妖怪退治譚『土蜘蛛草子』を収録。室町時代から日本人に愛されてきた物語が、まんがでよみがえる!」(「BOOK」データベースより)
2020年06月10日
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「でも、何で僕のズボンを脱がそうとしたんでしょう?」「守ってくれている〈気〉を破って侵入しようとしたんですよ」(中略)「僕の保護膜ってどこについているのかな?まさかほんとに、あんなところに?」「・・・・・丹田ですよ、丹田。そこにボタンみたいなものがあると思えばいいんです」「あ」ウニョンは足元に散らばっているまわしを見た。相撲をしようとしていたのかな?あの危険なやつと、こんな貧弱な体で?ホン先生はときどき信じられないほどまわりが見えなくなるんだなあ。それでまたカバーしてあげなきゃいけないことが発生する。私の運命だな、と思いながらウニョンはしゃがんで救急車を待った。ティッシュでマッケンジーのよだれを拭いてやった。あといくつか、楽になる手当をしてやろうと思ったが、マッケンジーが苦しい息の下から拒否したのであきらめた。(チョン・セラン「保健室のアン・ウニョン先生」P130)
2020年06月10日
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古川日出男さんの「大きな森」を買書つんどく。「小説家兼探偵・坂口安吾が、失踪した高級コールガールの行方を追う「第一の森」。記憶を持たない男・丸消須ガルシャが乗った列車で不可解な殺人が起きる「第二の森」。そして私は小説に導かれ京都、長崎、東北と漂泊し、手記「消滅する海」をしたため続ける。ミステリ、SF、幻想小説にして世界文学。異能の作家の代表作、更新。」(「BOOK」データベースより)
2020年06月09日
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「あんた何者?あの子が見えるんでしょ?」ウニョンは単刀直入に聞いた。腹の中が煮えくり返るような確信のために、思わずぞんざいな言葉が出た。とはいえマッケンジーは知らんぷりをしてごまかすだろうと予想していたのに、彼が満面にねちっこい笑みを浮かべたので、さらに興奮してしまった。「俺か?お前よりずっとクラスの高い霊能力者だ。そんなに片っ端からバッタバッタと切り捨てて歩いてどうするんだ?金になることをやれよ」ずっとずっと動かなかった心の一部が不意にいっとき、痙攣のように動いた。ウニョンもいつか、そんなことを思ったときがあった。こんなに危険で辛いのに金銭的報酬がないのはひどいじゃないかと。だが、ウニョンの能力を買ってくれそうなのはたいてい欲深な人たちで、悪だくみにばかりウニョンを使おうとする。悪徳下請け業者になんか絶対なりたくない。ウニョンは別の形のほうびもあるのではと考えたが、いつからか対価そのものを望む気持ちも捨てた。世の中が公平でないとしても、親切心を捨てたくはなかったからだ。ウニョンの仕事は、ウニョンが世界に対して捧げる親切と似ていた。親切という徳目はあまりに低く評価されすぎだという見解において、ウニョンとインピョは通じ合うところがあった。もしも能力のある人間が親切な行いをしたくないなら、それもまたどうしようもないことだ。価値観の違いだから。(チョン・セラン「保健室のアン・ウニョン先生」P122)
2020年06月09日
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