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太陽系には、水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の8つの惑星が存在する。我々の世代は中学の理科の時間に冥王星を加えて記憶させられたが、2006年に冥王星は純惑星に格下げされた。地上から視認できた木星は、古代から知られ馴染み深い星であった。古代バビロニアでは、木星は神マルドゥクと同一視されていた。英語では木星を、ジュピター (Jupiter) と呼ぶ。ジュピターの語源は、ローマ神話の神、ユーピテルである。イギリスの作曲家ホルストは、太陽系惑星を主題にした大管弦楽のための組曲「惑星」を作曲した。この組曲は地球を除く7つの楽章から構成されており、それぞれにローマ神話の神の名が付けられて副題が付いている。火星は、戦争をもたらす者。金星は、平和をもたらす者。水星は、翼のある使者。土星は、老いをもたらす者。天王星は、魔術師。海王星は、神秘主義者で木星は、快楽をもたらすものである。「木星」の第4主題は、ホルスト自身によって管弦楽付きコラールに改作編曲された。イギリスでは愛国賛歌として、「我は汝に誓う、我が祖国よ」の歌詞で広く歌われているのでそのメロディーを聞いたことのある人は多い。さらに平原綾香 のデビュー曲「Jupiter」は、第4主題に新たな歌詞が付けられたもので2003年にリリースされ大ヒットしたので一層この第4主題が知られることとなった。木星の黄道に沿った公転周期がほぼ12年であることから、木星の天空の位置によって年を指し示すことが考案された。中国の戦国時代の中ごろになって木星は、十二支を司る最も尊い星の意味で「歳星」と呼ばれるようになった。地球上から見ると木星は、太陽・月・金星に続いて4番目に明るく見える天体である。しかし、時に火星が木星よりも明るく見える場合がある。これは、太陽と木星と地球の相対的な位置が関係し、木星が太陽との衝にあるときは−2.9等級、合にあるときには−1.6等級と明るさが移り変わるためと説明されている。木星と土星はガスを主成分とする惑星で、巨大ガス惑星と呼ばれる。木星は発熱する惑星であり、太陽から受ける熱量の二倍もの熱を放射しているとされる。そのため木星は年間 2 cm づつ縮んでいて、誕生時の木星は現在よりも2倍程度の大きさがあったと考えられている。8月25日は月齢4の細い月と木星が接近したので、多くの人が晩夏の宵の空を眺めたに相違ない。山荘の日中の空は相変わらずの雷雲が掛って、観天には不向きと思われた。ところが午後7時前から西の空の雲が取れて甲斐駒ケ岳が夕闇に浮き上がり、細い三日月の左に小さな光る星が観測できた。記憶にないが公転周期がほぼ12年であるから、12年前にも同じ時刻に同じ様に月と木星が並んだに違いない。当日はおとめ座の星スピカを加えた3天体の共演が予告されていたのだが、残念ながらこちらは確認できなかった。26日は大曲の花火大会で、BS103で実況中継がされた。その中継画面では月齢5の三日月と木星ならぬ豪華な花火とが共演していた。甲斐駒ケ岳の上にはうす雲の間から時折テレビの画像と同じ月が覗いたが、当然のことながら木星の姿は見えなかった。次回の月と木星との接近は、9月22日だという。秋の空は今よりもっと澄んでおり、天気さえよければより鮮明な天体ショーが楽しめると思われる。
2017年08月28日

左エンマコオロギ 右オカメコオロギ (標準原色図鑑全集)40年振りとされる連続降雨で夏が無いまま秋になるのかと思っていたが、22日を過ぎたころから猛烈な残暑がぶり返した。異常気象にも関わらず鳴く秋の虫も季節を忘れずに月遅れのお盆を過ぎたころから、庭の植木の下で盛んに虫の鳴く声が聞こえるようになった。童謡「虫のこえ」では、 ♪あれ松虫が 鳴いているちんちろ ちんちろ ちんちろりんと歌っている。この歌の歌詞に出てくる鳴く虫の名前は松虫の他、鈴虫・こおろぎ・くつわ虫・馬おいである。この他にも鳴く虫には、ヤブキリ・コロギス・カンタンなどがいる。今の時期夕方から日の出直後まで、「リッリッリッ、リッリッリッリッ」と盛んに鳴いているのはオカメコオロギである。エンマコオロギ・ミツカドコオロギ・オカメコオロギ・ツヅレサセコオロギなどが日本にいるコオロギの代表的な種類として挙げられるコオロギはほとんどの種が雑食で、植物質の他にも小動物の死骸などを食べる。小さな昆虫を捕食する。動物性の餌を食べない期間が長く続いたような場合には、脱皮中で動けない同種個体を共食いすることもある。女性で丸顔・鼻が低くて丸く、小さいで頭で額が広く・頬が丸く豊かに張り出した女性の仮面をオカメの面といい、このような特徴要望をした女性もまたオカメという。オカメは、お亀・阿亀と書く。別にお多福・阿多福の呼び方もあり文楽人形では同じ容貌をお福、狂言面では乙御前とか乙といわれる。オカメの冠を貰ったオカメコオロギは、雄の顔面が切断されたように平たくその面が下後方に傾いている。顔面の輪郭は、丸に近い。これらの特異な顔の特徴から名前がついたもので、漢字では阿亀蟋蟀と書く。オカメコオロギは、オオオカメ・ハラオカメ・タンボオカメ・モリオカメ・ネッタイオカメなど生息地で5種に分類されている。ハラオカメコオロギは生息分布地が原っぱであるところから、ハラオカメコオロギと呼ばれる。体長は13mm内外とエンマコオロギ25mm~30mmに比べて小型で、本州・四国・九州・南西諸島に分布している。雄の顔面が特異な形状をしているミツカドコオロギも、この仲間である。ハラオカメコオロギは農耕地や空地草地などに出現し、8~10月に「リッ・リッ・リッ・リッ・リッ…」とミツカドコオロギより弱くゆっくりしたテンポで鳴く。モリオカメコオロギの鳴き方とよく似ているため、慣れないと区別がつかない。鳴き声はモリオカメと同様に、「リッ・リッ・リッ…」と繰り返す。昼間は茂みに潜んでいて、夜に餌を探す。羽化したばかりの個体にはすでに後羽が付いており、この羽を使って良く飛ぶ。都市に近い低地から山地まで、明るい草原や枯れ草の集まった場所で多く見られる。身近に見られるものは、ほとんどハラオカメコオロギだといわれる。「少し強い音」・「少しはやい感じの鳴き方」などで区別するというが、単独で一種類の声を聞いても区別をつけ難い。虫の中で最も大きな音をだすと思われるセミは、羽で腹を擦るとき出る摩擦音と発音膜という音を出す器官を震わせて出した音を共鳴室で大きくしている。コオロギ類の出す音を虫の声というが、実際には右側の羽の裏にあるギザギザと左側の羽の尖がった部分を擦ることで音を出している。したがって実際には声ではなく、羽の摩擦音なのである。
2017年08月25日

今の時期山間部をドライブすると、真っ白に咲いた草花の群れを目にする。この植物の名前は、センニンソウである。花の時期はひどく目立つが、この時期を過ぎると周りの緑に同化してこの場所に白い花を咲かせた植物が存在していたことも分からなくなってしまう。この時期の花だけを見ていても、名前の由来はわからない。センニンソウ(仙人草)は、キンポウゲ科の多年草である。同じ仲間のクレマチスはクレマチス属に独立分類することもあるが、センニンソウ属とする場合が多い。属の名称になったセンニンソウ(仙人草)は、日本各地の日当りの良い山野に見られる。蔓植物で節ごとに卵形の葉を対生し、葉の表面に白い模様を出すことがある。葉柄が他の植物の枝や葉に絡み付き、巻き上がる。8~9月に茎の先端付近の葉腋から三出状の散房花序を出し、多数のキンモクセイに近い芳香のある白い花をつける。花弁に見えるのは4枚の萼片で、花弁は持たない。4枚の顎片は、十字型に開く。花は群生して咲き、遠くからもセンニンソウであることがよくわかる。花後の果実には白い毛を有しており、これを仙人のヒゲに見立て仙人草と名が付いたのだという。有毒なので、取り扱いには注意を要するセンニンソウ属は日本に20種以上があり、クレマチスと呼ばれて栽培される外国種も同属である。センニンソウとよく似た花を咲かせるものに、ボタンヅルがある。ボタンヅルの葉は卵形ではなく三出複葉で、ボタンに似た鋸歯の多い葉をつけるので見分けがつく。キンポウゲ科の植物は有毒のものが多く、センニンソウも毒草に分類されている。草食動物は本能的に、本種を食べない。中国で生薬の威霊仙(イレイセン)といわれるのはボタンヅルの根を乾燥したものだが、同属のセンニンソウや園芸用に栽培される中国原産のテッセンの根は「和威霊仙」の名前で生薬とされている。中国漢方では威霊仙は煎じて服用して神経痛やリューマチなどの痛み止めに用いるが日本では服用としては利用されず、外用のみが民間療法で用いられている。葉茎に薬用成分ポロトアネモニンを含有しており、皮膚に触れると発赤や水泡を生じる。誤って口中に入ると、下痢・嘔吐などの食中毒を発症する。扁桃炎の治療法として夏から秋にかけて葉茎を採取して、生のままで用いる、民間療法がある。生葉をよく揉み手首の内側に貼り着けて、軽い痛みを感じるようになるまで放置する。発赤~水泡が生じるころには、扁桃炎の痛みが寛解するという。神経痛やリューマチなどにも患部に生の葉を貼付するという民間療法があるが、効果・効能については実証されていない。リンネの植物分類法を最初に採り入れ草木図説を出版した江戸時代の医家で本草学者の飯沼慾斎(いいぬま よくさい、1782年7月19日~1865年6月27日)が、センニンソウを用いた扁桃炎の治療法について述べている。シャープテレビの亀山モデルと同じ三重県亀山の出身で、蘭学を修めた後大垣で蘭方医を開業し名声を博した。岐阜県大垣市俵町に、慾斎の銅像がある。飯沼慾斎の全20部に及ぶ「草木図説」の木部は、死後120年たった昭和52年(1977年)に漸く刊行された。この「草木図説・木部巻6」に、「原野ニ多キ蔓草ニシテ、衆ヨク通知シ、往々以テ外伝シ泡ヲ発シテ諸患ヲ治スコトアルモノナリ・・・・・」というセンニンソウの記述がある。 キンポウゲ科の植物はアルカロイドを含有していて生薬としても利用されるが、センニンソウは毒草に分類されている。センニンソウには馬食わずとか、牛の歯零れ(ウシノハコボレ)の方言がある。ウシノハコボレの異名は牛が他の草に混ざったセンニンソウを食べると歯が抜け落ちてしまうからだというが、そんなことはあり得ないと思われる。そんな強い毒を持つ草なのに、「安全・無事・あふれるばかりの善意」などの矛盾した花言葉がある。同属のクレマチスを素手で取り扱っても発赤や水泡ができたとの話はそれほど聞かないことから、センニンソウを触っても驚くほどの毒性を現わすことはなさそうである。
2017年08月20日

南信州の妹から、段ボール一杯のプルーンが送られてきた。5kgを超える量では、とても全てを生食で消費することは不可能である。多量に手に入った果実は何でもジャムにして保存することにしており、今回は初めてだがプルーンジャムを作って保存することにした。プルーンはスモモの近縁種、セイヨウスモモの改良種だという。セイヨウスモモはコーカサス地方が原産地とされ、古代ローマ時代から食べられていたという。プルーンはフランスで普及し、アメリカ大陸発見後になってアメリカに伝えられた。アメリカでのプルーンの栽培が盛んになったのは、1800年代中期以降になってからとされる。現在のカリフォルニアプルーンは、フランス人がカリフォルニアに移植したセイヨウスモモの苗木から品種改良したものだという。日本へは明治時代に伝わったが収穫期の多湿・多雨の日本の気候に合わなくて、なかなか定着しなかった。プルーンは雨に弱く成熟期に雨に当たると裂果したり、かび病などに罹りやすいため栽培が難しかったことも原因とされている。70年ほど前まではかなり酸っぱい小振りなスモモ、ちょっと大きめのハタンキョウ(巴旦杏)や牡丹杏(ボタンキョウ)しか無かった。プルーンはハタンキョウや牡丹杏より少し大きめの果実で鈴なりに成り、濃い紫色をした実である。日本産の多くは生食に回されるが米国産のプルーンは、ドライフルーツや半生状のドライフルーツ・プルーンシロップに加工されたものが輸入されている。国内では比較的雨の少ない長野県で、およそ6割が栽培されている。カルフォルニアではプルーンを、「命の果実」とか「ミラクルフルーツ」といわれているという。テレビなどで加工商品が、貧血予防・高血圧予防・動脈硬化予防・脳梗塞予防・心筋梗塞予防・疲労回復・便秘改善に効くと宣伝されていることもあり今では多くの人が文字とおりミラクルフルーツのようにそれを信じ思い込んでいる。さまざまな媒体では「プルーンには、他の果物に比べると格段に多くの栄養素が含まれていて滋養・強壮に効く。また他の果実と比較して鉄分が多く、ビタミンとともに貧血予防となり豊富なカリウムは高血圧の予防になる。 手術前後は低タンパク血症・貧血を伴い食欲不振になりがちなので、消化吸収のよいプルーンを食べることで体力回復には最適である。特にドライプルーンは葉酸やポリフェノールを効率よく摂れるので、貧血や生活習慣病の予防などにおすすめです。」などと記載されていて、プルーンに薬事法に抵触しそうな薬効に関する文句が並べられている。日本食品標準成分表によるとプルーン100g中に、水分30.92g・熱量49Kカロリー・炭水化物12.6g・食物繊維1.9g・糖類38.13g・Fe0.2mg・мg7mg・K220mg・βカロテン480μgなどとなっている。鉄分ではイチジク・キウイ・バナナなどの0.3mgと比べても少なくカロテンは多いが、含有栄養素を比較して見た場合特に突出して多く含有しているわけではなく極平均的な果物だといえる。プルーンには鉄分が豊富であると宣伝されそう信じられているが、実際には喧伝されているほど多く含有されてはいない。茹でたほうれん草(100gあたり0.9mg)よりも多いが、日本食品標準成分表に掲載されている他の果物と比較すると最下位クラスであり干しアンズや干しぶどうの半分にも満たない。プルーンはまだ固く未熟な場合は室温で追熟させ、乾燥しないようビニールの袋に入れて冷蔵庫で保存する。完熟プルーンは水洗いしてから皮のまま保存袋などに入れて、冷凍で保存することが可能である。冷凍したプルーンは、凍ったまま水に晒すと皮が綺麗に剥ける。沢山手に入った場合は、ジャムに加工した方が場所を取らないうえ長期に保存も利く。プルーン500gに対し砂糖150g、レモン果汁2分の1個を目安とする。先ず洗ったプルーンを縦に半分に切り、種を除く。次に切ったプルーンを琺瑯引またはステンレス製の鍋に入れたら、分量の砂糖をまぶして1時間ほど放置し浸透圧で果汁液が浸出してくるのを待つ。レモン汁を加え中火で焦げ付かないように掻き回しながら凡そ、1時間ほど煮詰める。途中で味を見で、甘さが足らなければ、砂糖を加える。シャモジに付いた液汁が全体にトロッとして、ポタリポタリと垂れるようになればプルーンジャムの完成である。今回は2kgのプルーンで6本の瓶に、赤色のジャムができた。プレーンヨーグルトに乗せて食べると、色合いもきれいである。
2017年08月09日

シクラメンは、葉芽1に対して花芽も1本発生する。日本におけるシクラメンの発育開花適温は15度から20度とされており、開花時期は10月25 ~ 翌年 4月20頃に掛けて秋から春に花が咲く。温度が高い場合花茎が伸びすぎて倒れたり、全体的にぐったりとして萎れることがある。球根は茎が肥大したもので、分球しない。この種の球根は表皮がコルク状で、乾燥にはよく耐える。球根が、地上に露出した状態を好む。元々鉢物は病院見舞いには不向きとされるが、シクラメンの呼び名には「死」と「苦」が付くことから病気見舞い花としては忌み嫌う人もある。地中海沿岸地方が原産地とされ、我が国へは明治末期に渡来したと伝わっている。 シクラメン原産地は雨季と乾季のある地域で雨季に花を咲かせ、乾季は球根だけとなって乾燥に耐える。湿度が極端に高い日本では夏に腐ってしまうことが多く、年間出荷鉢数が2000万を超えるというが、そのほとんどは夏越しができず昨年購入された鉢のほとんどは一年草の扱いで処分されてしまう。ただ上手に夏を越すことができれば、購入したものより見栄えは悪くなるが花を咲かせることが可能である。シクラメンは花が咲き終わり気温が高くなると、自然に休眠したり休眠に近い状態となり成長を休止する。夏越しをさせるには強制休眠をさせる方法と、休眠させない方法がある。 休眠させる方法が簡単で手間がかからず夏越しの確率は高いが、それでも夏越し成功の確率は50%程度といわれる。6月以降は水も肥料もやらず、日陰の涼しいところで管理する。休眠させた塊茎は、8月下旬~9月中旬までに土はあまり落とさないように注意して新しい用土に植え替える。 マニュアル本には休眠させない場合の水やりは花のある時期と同じように行い、夏の日差しは強すぎて葉焼を起こすので夏は50パーセント遮光の半日陰で管理するとある。昨年の12月に貰った大株のシクラメンが、5月になっても勢いを失わず次々と咲いた。今年の梅雨入り前の6月下旬の関東は少雨カンカン照りで、30度を超える日が何日も続いた。シクラメンも流石に暑さに脱帽したのか、新たな蕾を上げてくることは無くなった。今年は休眠させない夏越しに挑戦しようと給水をそれまで通りに腰水で行って、午前中太陽の直射が当たる鉢棚に置いて管理してきた。8月に入って新葉の間から次々と蕾が上がってきて、真夏日の昨日今日だが両手の指に余るくらいの花が咲いている。シクラメンの夏越しの常識を破るできごとだが真夏の太陽の下で見るより、やはり寒い冬に室内で見る方がこの花には合っているような気がする。
2017年08月06日

火災報知機 火災報知器住宅火災による死者数の急増から消防法が16年6月改正され、既存住宅についても寝室・階段・台所の3か所への住宅用火災報知器の設置が義務付けられた。(神奈川県・平成23年6月から)当然のことながら住宅用火災警報器は火災を未然に防ぐことを目的にしたものではなく、逃げ遅れて死亡しないように小火のうちに火災の発生を知らせるための小型器機である。住宅火災による死亡者は平成17年1220人で、平成26年は1006名となっている。この数字を見る限り火災報知器設置義務後の住宅火災による死亡者が、年間200人以上も減っている。単純に考えれば火災報知機の設置は、大きな効果があるといえるのだろう。火災を逸早く知らせるための器機には、公共施設や会社などに付けられているものと個人住宅など小規模建物に付けられるものとがある。前者は非常ベルと消防署への自動通報などとを兼ね備えた機能を持ち「火災報知機」とよび、後者はほとんどが電池式で煙か熱を感知してブザー音を発する機器で火災報知機とは区別して「火災報知器」と呼ばれる。公共施設や大規模施などの防火施設としては、火災報知機の他に防火扉や空調ダクトや換気ダクト内に設置される防火ダンパー(羽根状の扉や板状の扉)がある。 先月29日の午前零時頃寝静まった夜の静寂のなかに、突然大音響の火災報知機のベル音が鳴り響いた。9階建て集合住宅が立ち並ぶ自宅から300mほど離れた場所の、9~11階建て都市住宅公団の何れかの建物が発生源であったと思われる。10数分して消防自動車数台がサイレンの音を響かせながら、団地方向へ駆けつけて行った。暫らくすると報知機のベルが鳴りやんで、やがて消防車のサイレンも聞こえなくなった。所が数分でまたけたたましいベル音が5~6秒鳴っては止まる繰り返しが、10分以上続いた。火災でもないのに報知機器をうっかり鳴らしてしまったことが、今までに2回ある。現役時代都の出先機関の事務所が新築されてすぐ、三宅島から届いたクサヤを湯沸かし場のガスコンロで焼いたことがある。当然換気扇は回したのだが立つ煙を排煙仕切れなくて、濛々と立つ煙に煙探知機が反応して火災報知機が鳴り響いた。火災報知機の操作盤は事務所の隅の壁面に設置されていたのだが、落ちたダンバーの遮蔽板を戻さないとベルの音は止まらない構造になっているので操作盤のスイッチで非常ベルの音を止めて再セットの操作を行ってもベルは鳴り止まなかった。とりあえず操作盤の電源を切って消防署へ電話で誤作動であることの連絡を取ったのだが、火災報知機作動の際は現場確認の義務があるとのことで消防署員が駆け付けて来て天井裏に入って遮蔽板を復旧してくれたことがあった。またカナダのバンフでロッジに滞在した時には9月であったのに夜間摂氏10度を下回る寒さで、暖を取るため室内に設置された暖炉に薪を入れて火を付けたことがある。ところが一向に煙を吸いこまず、室内に逆流して部屋に煙が充満してしまった。突然天井に取り付けられた非常ベルが、大音響で鳴り響いたのには心底驚かされた。窓を全開して煙を追い出してもベルは鳴りやまず、ロフトの手すりによじ登って天井に設置されている煙感知器を外して音を止めたことがある。先夜の火災報知機の発報は翌日ネットで市の広報など見ても、何も触れられていなかったことから誤発報であったに違いない。真夏の夜は窓を開けて寝る家も多く、火災でもないのに真夜中に響く大音量の非常ベルの音を迷惑に感じた人もいたに違いない。このような器機では点検していても誤作動が多く、面倒なので作動しないようにスイッチを切ってしまうことがある。譬え誤作動があったとしても、機器を停止したままにするなどは言語道断である。またこれらの機器は日ごろしっかり点検をしておかないと、「狼少年」になるなどの弊害を生み折角の機器が何の役にも立たないものになってしまう。イギリスでは高層集合住宅が全焼して、多くの人が犠牲となった。わが国でも、高層集合住宅の火災が多い。誤発報で発せられた高音のベル音には腹が立つが、今回の深夜の非常ベルが本当の火災で無かったことは何はともあれ良かった。
2017年08月02日
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