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喪中なのでおせちはつくるのはやめて祐二のお相手をゆったりしてあげようと決めていたのにやはり台所に入るといつの間にか、一つ二つと作り始めてしまう。主婦暦46年、自然にこうなってしまう。結局昨年と大差ない。祐二の世話が入るからいつもより忙しなくなってしまっている。病院ではテレビを見ることはないし、普段からテレビに集中することはできないで音だけを聞いているのが関の山なのだが、今日は紅白歌合戦を見せてみようとベッドのそばで付き合ってテレビ視聴。思ったよりしっかりと良く見ていた。知っている歌手が歌っているときは首を振る瞬間を見た。発見である。
2007.12.31
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年末年始を家で過ごさせたい、と介護タクシーで迎えに行った。にこやかに家に戻った祐二だったが、やはりわめき声が出てくる。わめくしか意志を伝えられないのだ。これがまた難解な意志伝達方法で、伝えられないもどかしさがあるのかどうかも定かではない。顔をしかめていないときは、苦痛を訴えることは起こっていないと察し、体をゆすってあげたり、背中に手を入れてさすってやる。満面笑顔でわめきが笑いに変わる。顔を歪めて喚いているときは、どこかが不愉快なのに違いないので、ああなのかこうなのかといろいろ試みる。こういうときはこうなのだという答えが定まらない。なかなか分かってやれないのがつらい。脳みそが壊れると言うことはこういうことなのだ。今ここにいるのは36歳の人間のはずなのだが、1歳児を抜け出せない。それでも笑顔のときは、抱きしめてやりたいほどに愛おしい。
2007.12.29
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二十二年間の保護司のお勤めご苦労さん、と言うことで全保連から頂戴した素敵な漆絵は、正月の玄関にぴったりな二羽の鶴が羽ばたく絵である。玄関の格があがった感がある来客に褒められた。そのたびに私はこう答えるのだ。「ライリーの働きのおかげで大過なく過ごせました」と。 ライリーとは、昨年3月に命を全うするまで保護司としての私を助けてくれた愛犬の名前だ。盲導犬の候補生を産むために預かった雌犬である。「ライリーがいたから、来訪が楽しかったよ」先ごろ七年前まで担当していた少年が電話をくれた。これまで多くの少年を担当してきたが、ほとんどの子が簡単には心を開いてくれない。そうした少年に、ぴったりと寄り添い、顔を見上げ、ときに膝枕までして、心を和ませるのだった。彼らはライリーの顔や体を撫でながら、ぼそぼそと話を始めるのだ。次の来訪からはもうためらいはない。玄関に迎えに出たライリーを伴ってにこやかに部屋に入ってくる。 ライリーは少年達にとっても私にとっても最高のアシスタントであった。ライリー、君は素晴らしい保護司だった。君こそ表彰にあたいするよ。
2007.12.26
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昨日はクラリネットの奏者でもあり、幼い日の思い出を共有する祐二の従姉妹の結婚式だった。さわやかでしがらみにも格式にもこだわらない素敵な結婚式だった。新婦自ら友人のクラリネット奏者たちと、ピアニストである幼馴染みとが競演する曲の流れる会場、そこはホテル21階、きらめく夜景が二人を祝福しているようだ。段取りも若い彼らにより構成され、多くの友人や母親の手作りであり贈り物もふくめ会場の全てに心配りがある。年配者と若者たちとは異なったものが一人ひとりに手渡された。最後の両親への「音大に行かせてくれるためにたくさんの費用を使わせてしまってごめんなさい。そしてありがとう」との感謝の気持ちを、モーツアルトのクラリネットのための曲にたくした花嫁の演奏に、胸が熱くなった。結婚式のプログラムにたくさんのスナップが写されていた。その中に祐二と美術館に行ったときの写真があり、この結婚式に参加していた。あえてその写真を取り入れてくれたようだ。明日はこの写真を祐二に見せて話してあげよう。響子の晴れ姿の様子を。
2007.12.23
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胃ろうの経管を交換するために、久しぶりに静脈に注射をされて交換も無事終了。折角のコンサートだが、聴いたのは、私と夫。祐二はベッドから動けないでいたため残念。音楽は大好きなのにね。それにしても、プロのチェロ奏者と演奏をする院長先生はすごい。この前はピアノコンサートでピアノを演奏している。この病院には、演奏会場もあるのには驚き。グランドピアノは院長先生個人のものだとか。素敵なコンサートだった。
2007.12.21
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今日はすこぶる機嫌が悪い。昨日の夕方、下剤をかけたところ、夜通し,喚いていたとのこと。おなかが痛かったのでは。通じが今日に持ち越されていたのだ。それでも頑固に通じはない。午後、浣腸が行われた。結果はあまりかんばしくない。今日も持ち越しか?つらいだろうねえ。明日は、胃ろうの取替え手術だ。レントゲンを撮りながら行うとの事。3年前、安易な取替えをして失敗し、腹膜炎で危うく命を落とすところだった。簡単なこととはいえ、慎重を期すためにレントゲンを撮りながらの器具の交換がなされるとのこと。慎重にことをなすのは、大切なこと。家族にとってありがたいこと。
2007.12.20
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今日の祐二はご機嫌さん、ポータブルのDVDで8時だよ全員集合をみせると、おかしい場面で大笑いする。やはり分かっているのかもしれないな。でもすぐ飽きてしまう。持続しない。今日懐かしい人から知人を介してメールが届いた。前の病院で同じ境遇から励ましあった方だ。私と同じように息子さんの介護をしている人だ。なんとなく心強い思いがする。
2007.12.18
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髪が伸びたせいかやつれ顔になったので、今日は2ヶ月ぶりの散髪をした。マルコメちゃんでは幼すぎるから、5分刈にしてみた。不思議なほど大人しくされるままになっていた。今まで散髪をしてくれていた千葉のプライナリーナースの佐藤さんを思い出していたのかな。いい具合に出来上がった。「かっこいい。男前になったよ」といったら胸を叩いて笑っていた。わかったのかい。言語の先生がリハビリにいらした。若い女性の先生。文字を見せられても話かけられても、知らん顔している。寝たふりをしているように見える。「こら、照れるな。タヌキ寝入はやめな」と私が声をかけたら、笑っていた。どこまでわかっているのだろうか。言語についてはからっきし駄目だけれど、風船を先生と交互に打つ動きは、ラリーが果てしなく続く。100パーセント打ち返している。幼いときからボールに親しんできたせいかな。バスケットの選手だったんだものね。
2007.12.14
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今日は午前中仕事で、病院へ行くのが遅くなってしまった。いつも車椅子で迎えてくれるのだが、ベッドに横になっていた。穏やかな笑顔だった。ひげ面で心なしやせて,頬がこけているように見える。このところ流動食が、体に入る前に流れ出して車椅子がどろどろになってしまうことが多かった。昨日もそうだったらしい。、チューブが合わないのか祐二が引っ張ってしまうのかはわからない。以前はそんなことはなかったので、器具が変わったせいであわないのだろか。動きの激しい右手近くにチューブがあれば、引っ張りかねないが、外れていないでもれるのはなぜだろう。確めなくては
2007.12.13
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日中の小春日和に誘われて、車椅子で戸外に連れ出す。ハンカチ手ぬぐい、大判のタオルも手にするもの片っ端から放り投げる。動かなかった右手がこれほどまでに器用に動くとは。「めがね落としたのどなた」の声に祐二の顔をのぞく。ない、めがねまでも捨ててしまったらしい。右手にご用心。DVDのポータブルで昔の映像を見せる。子供の頃の写真をまとめたもの。じっと眺めていた。その後胸を叩いて笑っていた。何かがつながってくれればいいのだが。
2007.12.10
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今日の祐二はおじさん達おばさん達に囲まれて、とっても幸せだった。千葉から宇都宮まで車できてくれた叔父さんとおばさん、滝の原からの叔父さんとおばさん、そしてお父さんにお母さん、6人のじじばばに囲まれて、興奮しちゃったみたいだね。だいぶわめいていたけれど、千葉の叔父さんのハーモニカで、穏やかな寝顔になった。すごいね。さよならの握手もちゃんとできたし、長い間お父さん母さんの代わりに可愛がってくれた事覚えていたようだね。よかった。
2007.12.08
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祐二の言語訓練に付き合うことができた。カードに書かれた言葉の動作をするのだが、目を瞑って知らん顔。さっきお母さんと、10回タッチしようって言ったら、手をちゃんと10回母さんの手を叩いたじゃないか。こらタヌキ寝入りか。キャッチボールと風船のラリーはまあまあやれるようになったね。元々バスケットボールの選手だったから、ボールは体が覚えているのかな。勉強嫌いの祐二だったから、言語は苦手なのかな。言語を司る左脳がダメージ受けてるからね。このところ、胃ろうの流動食がうまく入っていないようだ。車椅子もベッドも衣服も布団もべたべたになっている。チューブの変え時なのかな。
2007.12.05
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病室から小田和正の曲が聞こえてきていた。担当の介護士さんがCDをかけてくれたのだそうだ。「ラブストーリーは突然に」の曲になったとき、 祐二が突然手でリズムに合わせて胸を叩きだした。顔も曲に合わせて頷いている。「祐ちゃん,リズムぴったり。すごい」私の声にご機嫌な笑顔で頷いている。大進歩。
2007.12.03
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夫と二人で息子を見舞った。最近わめき声が少なくなったかなあ。「父さんだよ、わかるかい」とってもにこにこ。「母さんだよ、ご機嫌いかが」私の声に胸を叩いて歓迎の意らしい動作。主治医の先生も良く笑っているね。診るほうも楽しくなると言ってくださった。長丁場の病院生活,診てくださる方に可愛がってもらわなくてはね。帰りに保護司会の会議と懇親会に出席。あと6年在任できるのだが、息子との時間を増やしたいので、保護司としての仕事も23年目の今年で終えるつもり。
2007.12.01
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