ＢＬＵＥ　ＯＤＹＳＳＥＹ

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar

Freepage List

更新状況

(45)

< 新しい記事

新着記事一覧(全5352件)

過去の記事 >

2005.04.28

不思議の国のアリスとニセアリス　ＡＣＴ．１８７　「修理完了！」

テーマ：オリジナルイラスト・小説・漫画・夢日記etc……。(1276)

カテゴリ：不思議の国のアリスとニセアリス

　ジョセフさんは壁に設置していた古めかしい電話器の受話器を取りました。電話機と言っても、学校の教科書に写真が載っているような古いタイプの物でした。ダイヤルは無く、横の手回しレバーを回して電話をかける仕組みらしいです。

　ジョセフさんはまるで糸電話のようなコップ型の受話器を耳に当てました。
そして大きな声で、電話の向こうの相手と喋ります。男っぽい元気な声です。
「６６階のジョセフです！そうです！修理依頼されてた”おもちゃのスティック”は出来上がってますか？！」
電話中、ジョセフさんはメモを取っていましたが、途中から取るのを止めてしまいました。
さっきまで始終にこやかな顔でしたが、急に表情が険しくなりました。

　電話を終えたジョセフさんは立ち上がって、この工房の入り口の所に行き、扉を閉め鍵をかけました。それからガラス窓のブラインドのカーテンを引きました。なにやら、この間のジョセフお爺さんが取った行動と似ています。
そして、アリス達に隣の暗室兼撮影スタジオに入って、そこで待つように言いました。

　ジョセフさんは部屋の壁際にある大きな木製の机に座り、何かを待っているようでした。

　すぐに「ピンポン！」というチャイムの音がしました。
壁にあるシャッターのような物を開けると、そこには大きめの紙の箱が入っていました。どうやらこれが荷物用エレベーターのようです。紙の箱はそれに乗って３３階から送られて来たようです。
ジョセフさんはそこから届いた箱を取り出して、机の上に置きました。
丁寧にそれを開けると、中にクッションの紙が入っており、それを退けるとおもちゃの魔法スティックが現れました。

　ジョセフさんはそこからスティックだけをそっと取り出しました。そして厳しい目で一応外観をチェックしていました。
……どうもチェックＯＫのようです。それが済むとスティックをニセアリスに渡してくれました。

　受け取ったスティックは新品のように輝いていました。２つに折れていたハズですが、傷はどこにも見当たりませんでした。
アリスは嬉しそうに喜び、ニセアリスは「なんだこんな物」という表情をしていました。２人の性格の違いがよく出ています。

お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう