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2005.05.18

不思議の国のアリスとニセアリス　ＡＣＴ．２４３　「いよいよ”女王の間”へ。」

テーマ：オリジナルイラスト・小説・漫画・夢日記etc……。(1276)

カテゴリ：不思議の国のアリスとニセアリス

　とにかく入る事にしました。”女王の間”の中へ。
勇気を振り絞って入らないと、事態が進展する事はありません。

　ミルキーがアリスの髪の毛にしがみつきました。やはり怖いようです。
ニセアリスは先頭に立ち、その巨大な扉をノックしてみました。

　コンコン

　固くて手が痛いです。
しばらく待っても応答が無いので、開けてみる事にしました。ウサギさんを一旦床に置きました。

　幸い、手の届く高さに大きな取っ手のパイプが伸びていました。
扉はあまりにも大きくて、本当に開くのかと思いましたが、力いっぱい引くと少しづつ開きました。

　アリスも手伝いました。

アリス　　「うう……」

　ギーーーーーーーーーーーーーー。

やがて子供が入れるぐらいに開いたので、アリス達はそこから中に入って行きました。

　そこは書斎風の大きな部屋でした。
”女王の間”と言うのに、それほどの広さは感じませんでした。
もっと広いものかと想像していたアリスですが……、そこはせいぜい学校の教室ぐらいの広さでした。

　これほどの冒険をして、到着したのはこんな部屋だったとは……、少し意外です。
アリスが映画なんかで見たような、「接見の間」みたいな場所とは違いました。
そこには人間が住みそうな生活感がどことなく漂っていました。女王様がおられるところがこんな世俗的な感じなのは、なんだか似つかわしくないような気がしました。

　中には誰もいません。女王様はどこでしょうか？

　部屋の中を見回しますと……、
まず、床には分厚い２枚の絨毯が敷かれていました。左右に１枚づつ分けられて敷いてありました。
壁には本棚があり、そこにはいろいろな種類の本が揃えられていました。大型の古書のような豪華なハードカバーの本達。本棚は本当にたくさんの本で埋まっています。

　そして、世界中から集められたと思われるいろいろな小道具が部屋の隅々に所狭しと置かれていました。仮面・地球儀・チェス盤、カレンダー、それと化粧品と鏡台……。
鏡台には宝石箱がいくつも置いてあり、ネックレスや香水のビンが何本もありました。

それと本棚横の壁には、小さな額縁に入った絵が無数に飾ってありました。１辺が５０センチから２０センチぐらいの小さな絵ばかり。確かに変わっていて面白いです。小さな手の平サイズの彫刻も棚の上に配置されてました。それはミニチュアのように見えました。

　暖炉が壁の中央にあり、そこでは火が小さく焚かれていました。ゆるゆると燃えるような薪がくべてあるようです。また排気口のダクトが上の方まで伸びていました。
　ここも天井は丸屋根のガラス状になっており、一部青い空が見えてます。
光が当たりすぎるのを防ぐ為か、ほとんどは細かくカーテンで仕切られてはいますが。

　奥の壁際には重そうな木のテーブルもありました。テーブル面は色違いの板を組み合わせて模様が作られていました。またその上には、豪華な絵模様の入ったトランプが並べられてありました。

　ふと、アリスはそこにボードゲームのような物が置かれてあるのを発見しました。
そのボードゲームに気を引かれてじっと見ていると、ニセアリスとウサギさんもそこにやって来ました。
それはスゴロクゲームで、透明なオレンジのサイコロがボードの上に転がっていました。そしてマス目のコースがボードの上に綺麗に塗り分けされて描かれていました。
そのスゴロクのマス目の配置はどこかで……。

　その時、後方で何か小さな物音が聞こえたような気がしました。アリスニセアリスの耳にはおぼろげでも、ウサギさんの耳にははっきり聞こえたようです。ウサギさんはアリスの足にしがみ付き、ガタガタ振るえ始めています。

　そう言えば奥の方に入り組んだ細い通路部分があり、その横側には扉がありました。そこから奥に部屋がありそうな雰囲気です。
物音はそこからでしょうか？

　奥まった部分の壁に、一際大きな鏡が置いてありました。細長くて、高さは人の背ほどもあります。装飾もまるで絵画の額のように派手で重厚な物でした。
　でもその中の鏡は割れていました。ヒビだらけで、かけらが所々ありませんでした。どうやらこの鏡は一度割れた物を修理したようです。しかしヒビは直せてません。かけらを鏡台に貼り付けただけのようです。

　アリスは「（これはどこかで見た事があるわ）」と、思いました。
そう、この世界に来た時に、最初に泊まった”あの家”にあった鏡とそっくりでした。

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