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2012.06.20
XML
カテゴリ: 映画
 まろ0301さんのエントリー 見えるのか見えないのか・・


柳田の『遠野物語』はまだ読んでいないのですが、オシラサマには興味があるので、民族学博物館の展示に見入ったりしました。
悲しい童話のようであり、今も現存している神様、風習であるところが、この地域の独特なところかもしれませんね。
「パンズラビリンス」という映画を観たのですが、牧神とはどういうものか?という興味があったわけです。
ところがパン(牧神)はそれほど怖い存在ではないようで・・・・
これだったら、オシラサマを題材にして「パンズラビリンス」以上の怖い悲恋ものの映画ができそうだと思ったものです。


 大使が観た映画「パンズ・ラビリンス」、「千と千尋の神かくし」なんかと、オシラサマをつなぐものとは何だろう?・・・・

日本の神(別冊太陽)に伊藤幹治「稲作の豊饒神」という記事がありました。
このなかに、オシラサマの記述があるのだが、大使が労働神や豊饒神に拘ってきたのかと、なんとなくわかったような気がしたのです。


伊藤幹治「稲作の豊饒神」 より
 日本の民間信仰の世界には、山の神や水神、石神、地神、市神、荒神、産神、子安神、厄病神などという、さまざまな小さな神がみがみられる。どの神もアニミズムに根ざしたもので、日本の村には、古くからこうした神がみと人びとの共存共栄のシステムがつくりだされている。

 稲の生育を守護するといわれる田の神は、こうした小さな神がみの一つで、春になると、山の神が山から里に降りて田の神になり、秋になると、田の神が山に上って山の神になるとか、あるいは、田の神が、春になると天や家から田に出かけて、そこに滞在して稲の生長を見守り、秋になると、田から天や家に帰る、と伝えられていた。
(中略)
 こうして農民生活のなかに深く根をおろした田の神は、長い歳月のあいだに成長をとげていった。そして、恵比寿や大黒、オシラ様、歳神、地神などという、民間の小さな神がみと習合し、こうした神がみと同一視されていった。
 恵比寿と大黒は、中世以降、七福神のなかに加えられた代表的な福の神で、都市や村の人びとのあいだでひろく信仰されている。これに対してオシラ様は、本来、東北地方で家族の無事息災を願う守護神として祀られていた神であったが、これが養蚕の神とか農業や漁業の神として信仰されるようになった。
 歳神は正月に祀られる神で、農業神としての性格が強い、地神は屋敷に祀られる神で、春秋の二度、農家に祀られている。田の神がこうした神がみと習合したのは、稲の豊饒を反映しているといってよいだろう。


ギリシャ神話の牧神とかオシラサマへの興味は、(難しく言えば)労働に根ざした神様への民族学な興味だったのかもしれませんね。

・・・で、八百万の神様という括りで、蔵書や観た映画を並べてみます。
・日本の神(別冊太陽)(1990年)
・日本と道教文化(2010年)

・千と千尋の神かくし
・『おしらさま』信仰

wikipedia パーン (ギリシア神話)
*******************************************************************************

【日本の神(別冊太陽)】
神
MOOK本:山折哲雄監修、平凡社、1990年刊

<「BOOK」データベースより>
古書扱いにつき、説明なし

<大使寸評>
これも父の蔵書を受け継ぐものである。
とにかく、八百万のオールキャストが出ているので、壮観でおます。
Amazonの 日本のこころ シリーズの1冊となっているが、この括りは、ええでぇ♪

Amazon 日本の神(別冊太陽)



【日本と道教文化】
道教
坂出祥伸著、角川選書、2010年刊

<裏表紙紹介>より
長生きをしたい、金持ちになりたい、幸せになりたい、日常的な願望をかなえてくれる神さま、それが道教の神々だ。仏教でも神道でもない宗教的な風習、吉凶を占う「おみくじ」や疫病除けの「おふだ」も道教が起源。薬草を発見した神農、七福神のひとり福禄寿、邪気を払う鐘軌、疫病除けの神獣・白沢など奇怪不可思議な神々に彩られた道教の世界を日中にわたり紹介し、日常生活に溶け込んだ多様な道教文化を再発見する道教入門書。

<大使寸評>
道教とは漢民族独自の宗教であり、その成り立ちは日本の神道と似てなくもないわけであるが、「福禄寿」への拘りが、お茶漬けサラサラの日本よりは強いように感じられたのです。

Amazon 日本と道教文化
日本と道教文化 byドングリ



【パンズ・ラビリンス】
牧神パン
ギレルモ・デル・トロ監督、H24.1.25観賞

<解説>より
1944年、内戦終決後のスペイン。父を亡くした少女オフェリアは、身重の母と共にゲリラが潜む山奥で暮らし始める。そこは母が再婚したフランス軍のビダル大尉の駐屯地だった。体調の思わしくない母を労りながらも、冷酷な義父にどうしても馴染めないでいた彼女の前に妖精が現れ、森の中の迷宮へと導く。そこではパン(牧神)が王女の帰還を待っていた。オフェリアは魔法の王国に戻るために3つの試練を与えられるのだった。

<大使寸評>
パンは羊の角を持つギリシャ神話の神とのこと。とうとう牧畜の文化を持たなかった日本にとって異質な神とも言える。

goo映画 パンズ・ラビリンス
パンズ・ラビリンス byドングリ



【千と千尋の神かくし】
千
宮崎駿監督、2001年制作、2001年観賞

<解説>より
10歳の千尋が両親と共に引越し先の家に向かう途中、不思議な町に迷い込んでしまう。そこは、神々のためのお風呂屋を経営する魔女、湯婆婆に支配された妖怪の町だった。貪欲な両親はブタの姿に変えられてしまい、千尋は生まれて初めて一人ぼっちになってしまう。名前を千と変えられた彼女は、生き抜くために奇妙な妖怪たちを相手に必死に働き始める。

<大使寸評>
追って記入

goo映画 千と千尋の神かくし



『おしらさま』信仰 より
おしらさま

青森、岩手の両県に残る“おしらさま”信仰も、馬産と深いつながりがあります。柳田国男著『遠野物語』によって全国的に知られるようになりました。最近では宮崎駿監督のアニメ映画『千と千尋の神隠し』にも登場しています。
“おしらさま”は、桑の木で作った男女二体。男の頭部は立てエボシ、あるいは折れエボシをかたどっていますが、もとは馬頭だったと言われています。女はお姫様。「馬姫婚姻譚」がイタコによって語られています。

“おしらさま”は、普段は厳重な箱の中に収められ、誰も目にすることができません。年に一度、小正月の1月15日になると、一族の女性が大人から子どもまで集まって“おしらさま”の顔に白粉を塗り、「おせんだく」と言って新しい布を被せるのです。毎年新しい布が被せられていくため、年月を経たおしらさまは何十、何百にも布を重ね着しています。

土地によって細部は変化するものの、名馬と姫が主役で、蚕がキーワードとなることは変わりません。“おしらさま”は、「山の神」あるいは「田の神」に対して「家の神」。また人と馬の恋慕譚や蚕の起源から「女の神」ともされています。“おしらさま”の祭文によって広まったことは、馬と養蚕という南部地方の農家における、主婦の副業とのかかわり合いを物語っています。


中東という狭い地域で生まれ、今では世界を席巻している一神教は、原理主義という攻撃性でプリミティブな多神教を駆逐したのではないだろうか?
でも、日本やケルトのような文明化の遅れた辺境の地域は、多神教やアニミズムが生き残っています。
もしかして多神教の再評価から、アルカイーダや福音主義という原理主義をいさめるヒントでも生まれるかも?

なお、「日本と道教文化」を読めば・・・
いまも道教を信じる漢民族がそれほど悪いわけではなくて、漢民族を束ねる組織が悪かったとわかりますね。






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Last updated  2012.06.20 18:48:18 コメント(2) | コメントを書く


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