椿荘日記

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マリ・デユプレシ

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けむり男と落ちてきたお月様~4


その6


November 5, 2011
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カテゴリ: カテゴリ未分類
マリは数年前、早朝の散歩時に、川岸の土手の草むらで、一匹の子供の猫を拾いました。
左の目は完全に塞がれ、黒白の被毛は汚れて、何処か辛いのか、哀しそうな声で泣き続け、家に連れて帰ってミルクを遣っても余り飲まず、日に二度三度と獣医師の下に通いましたけれど、容態は好転しませんでした。それでもすっかり懐いてくれて、片時も離れようとしないので、家事をする際は始終肩の上に乗せ、夜は抱えて眠りました。が、一週間の後、閉じられた片目がパッチリと開き、薄青い綺麗な瞳を見せてくれた直後、亡くなりました。ウイルス性の肺炎でした。

その時分を思い出しますと、今でも胸の奥が絞られる様で辛いのですけれど、正に喪失感に悩み、悲しみ、己を責め苦しんで、自分自身で狼狽する程で、その結果、次に起こした行動は、ボランティアで猫を保護している団体から、猫を引き取ることでした。
当初は一匹でも助けたい、と云うよりは、失った猫の子供の俤を、ネット上で捜し求め、それは一種憑り付かれた様に、唯サイトを彷徨って居ただけなのですが、幾足りかのサイトを眺める内に、思い付いた事は、再び猫の子を手元に置こうということでした。

夫は、本来は猫が大の苦手で、川岸で見つけた子猫でさえ、保護することに最初は反対でしたけれど、その猫を失いすっかり意気阻喪し、柄にも無くとんだ愁嘆場を見せつけ、見る影も無いマリを気遣かったのか呆れたのか、引き取ることを了承してくれたのでした。
早速横浜のボランティアさんと連絡を取付け、翌日の内に連れて帰り、今足元のゲージでぐっすり眠っているのが、現在の愛猫「栖鳳」です。

先の仔猫は、マリが大好きな名画「黒き猫」の作者である菱田春草先生に肖り、また、見出したのが正に春の草むらでしたので「春叢」と名付けましたが、春草先生の早逝が何かしらの縁を結んだのか、夭折してしまいましたので、今回は験を担ぐ意味も込めて(それ程、神経質に為っておりました)、京都画壇の重鎮で、名画「班猫」の作者である竹内栖鳳先生のお名前を戴くことと致しました。作品は勿論素晴らしく、春草先生同様、その作品は重要文化財であるのですが、何よりも重要だったのは、栖鳳先生が長命だったことにあったことは確かでした。





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Last updated  November 5, 2011 06:21:48 PM
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