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トワールが追い詰めても相手は知らぬふりをし続ける。「最初にケンカ吹っかけた奴はお前と知り合いだよな?」「知らないって言ってるだろ!証拠でもあるってのか!?」そこへひとり駆け寄ってくる。「悪いな。(金)くれるなら、言うだろ?」ちょっとした諍いで、不満や不安が煽られることもある。そこから新たな諍いが生まれる。相手はうなだれ、「(金は)先にもらう」と右手を差し出す。トワールが金を渡した瞬間、駆け出していく。「お前を撒けば、問題ない」「なめやがって」トワールはあとを追う。それから各地を巡ってきたレイトがとある町に踏み入れる。レイトを迎え入れるため、トワールは待ち構えている。トワールの姿を見たレイトは安堵と喜びの表情を示す。一方で、トワールは喜びきれないというのが現状だ。「結局、バフタールの奴に頼まれた、としか聞けませんでした。 いまも逃亡する者はあとを絶ちません」「そんなことはない。他の者も追いかけてるし、直に片付く」「いえ、その大元の話です」というと、トワールはアロギラのことを話す。「わかった。そこに直接乗り込めばいいんだな?」レイトは承諾したものの、この行程の中で一番最後にさせてくれ、と言う。オポアを最終地点にすることで、ようやくこの行程の意味が芽生える。「お前の力を貸してくれ」レイトはトワールに同行してほしいと頼む。レイトたちの各地訪問は、終わりが見えてきた頃には逃亡者数も減り続けている。そして、オポアで最後の演説を終えると、視察という名目であの場所を訪れる。トワールが事前に設定していた通り、奥の部屋へと通される。「レイト様、直々に来ていただけるとは恐悦至極。さ、どうぞこちらに」レイトは用意されたところに座ると、「あなたはどうやってここを立ち上げたのですか?」アロギラは丁寧に過去の話をする。少しずつ金銭と資材を集めて小屋を建てるところから始めたという。レイトはアロギラの話が終わったところで、「その前はどちらに所属されていたのですか?」アロギラは恥ずかしそうに、ただの一兵卒です、と答える。「そうですか、なぜでしょうか。どこか懐かしさのようなものを感じるのですが・・・」「・・・それはなんともうれしきお言葉」レイトはこの話を切り上げて、次の話に移る。「ところで、あなたには後継者がいらっしゃいますか?」その問いにアロギラは慎重に言葉を選ぶ。「えぇ、まぁ、私もそれなりの齢なので」
2020/02/23
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アロギラとの話を終えたトワールは一旦退き下がる。(もう少し調べてみるか。まだなにかあるかもしれねぇ)「そんで帰った、か」ビルクは椅子に寄りかかって、ギシギシと軋ませる。軋む音を止めて、ビルクは話題を変える。「そういや、レイトが来るみてぇだな」「ここに来る頃には、片をつけるのだろう?」「いつまでもやってると、バレる可能性があるからな」と言ったあとで付け加える。「見に行くなよ?向こうから来るんだからな。格が下がる」トワールと会ったことでいずれは正体がばれる。だとすれば、レイトから会いに来ることは間違いない。「長生きのためには楽しみを取っておかないとな」トワールの調査はなかなか進まないまま、ついに事件の片鱗が浮かび上がる。場所は国境沿いの町で、数十人がいなくなったという。(ってことは、実際はもっといるってことだよな。くそっ)数日見張ってはいるものの、特に変わった様子もなく、アロギラが動く様子もない。ただ、この街に限らず、フューリッドの北側はバフタールの手に落ちている。しかもそれは、武力によるものだけではなく、計算された策略だ。事情を聴いても、あの戦争のあの状況ではどうすることもできず、無抵抗で降伏するしかない、というのも理解できるし、致し方のないことだ。だからこそ、ここに何らかの秘密があるはずだ。(やっぱり現行犯で捕まえる方がはやいかもな)トワールは立ち上がる。街の中を歩いていくと、どこかで騒いでいる声がする。おそらく喧嘩だ。頻繁に見かけるわけではないが、よくある光景である。この街にも治安部隊はいる。今までも割り切ってきたし、首を突っ込むつもりはない。それからしばらくして、またちょっとした騒ぎが起きる。今度は窃盗だろうか。そうした喧騒が新たな喧騒を呼ぶ。どさくさに紛れて、というやつだ。「それにしても今日はやけに騒がしいよな」とトワールは話しかける。話しかけられた相手は怪訝な顔で立ち止まる。「あんた、この街の奴だよな?ちょっと話聞かせてくれよ」トワールは相手をがっちりと掴んで奥の路地に入る。「あんたは任務を果たし、そのあとで俺がたまたま捕まえる。これでどうだ?」「ふざけてるのかっ!そもそも一体何の話をしてるんだ?」「お前が裏で何をやってるか、わかってるんだぞ。ここで締め上げてやろうか」トワールは手に力を入れる。
2020/02/16
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びるくはつぶやく。「ついに今夜、か」それに対して、うまくでしょうか?と心配を耳にするも、「不手際さえなければ必ず成功する。計画は万全だ」これが成功すれば、次また次と繰り出していけるし、回数が増えれば手際もよくなる。窓の外では薄暗い雲が広がり、夜になって雨が落ち始める。雨が降ってきたことで成功確率は上がってくる。この雨は現地にいる者たちにとって、心躍らせる状況となっている。「全員揃ってるな。向こうに着くまで休みなしで行くぞ。 はぐれたとしても置いていく。準備はいいか?」頃合いを見計らったかのように雨脚が強くなる。こうして計画は成功を収める。その報せが届くと、すかさず次の準備に取り掛かる。「時間との勝負だ。気を引き締めて行け」「じゃあ、お前は先行して調査しておいてくれ」トワールは一足先にオポアにたどり着く。(ここなら関係してる奴らも出入りしてるはず)街を調べるため、町長のもとを訪ねる。「この街が賑わっているのは、アロギラさんのおかげである」と聞き、その人に会いに行く。街一番大きな施設に入り、身分を証明した上でアロギラに会いたいと伝える。杖を突いた老人がゆっくりと出てきて、「わしに何か用か」と目を細くする。目の奥の眼光は鋭かったが、トワールは臆せず聞いていく。アロギラが街を発展させたことに驚嘆の意を伝えると、わしの力などたいしたことではなく、皆の力のたまものだと笑う。ひと通り話の流れを聞き終わってから、トワールは本題に探りを入れる。「それにしてもよくバフタールの支配下の中、これだけ発展できましたね」「それはあいつらにとっても必要なことだったからであろう」「それはそうかもしれませんが、他のところではうまくいかなかったようで・・・」「ほう。その違いは何かしらよくないことをしていると疑っているわけですな?」トワールは気取られたことに動揺して言葉を失う。「確かに税の上乗せを条件に取引もしたが、生活は厳しいままだった。 それにしても、こんなにも早く元に戻れるとは思ってもみなかった」アロギラは感謝の言葉を口にしたうえで、こう付け加える。「他の町の者にとっては、恨まれることなのだろうな・・・」トワールは思い切って聞いた。「そういった者たちを導く奴がいるのでは?」「そんな奴がこの街にいるというのか?まあ、灯台下暗しという言葉もあるくらいだからな」アロギラは笑い飛ばす。「いつぞやのことのように紛れ込んでいるというのか?」
2020/02/09
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あちこちから聞こえてくるのは、別の道を辿ってきたという内容だ。ヨーディはしまった、ということにようやく気付く。(道を知ってる奴についていけばよかったってわけだ・・・)ともかく時間には間に合っている。それで十分だと思い込ませる。ヨーディが本人確認を終えてしばらくすると日が沈み、責任者が現れる。「これより、晴れてお前たちは国境隊としての任務を請け負うことになった。 その名に恥じぬよう、日々の訓練に精進せよ!」ひと通りの挨拶が終わり、ついに始まる。「準備運動も終わったところで随分と待たせて悪かった。では、訓練を開始する」レイトは窓の外を見つめて、「今年はナキュアで一括してやるのか?」と聞く。「えぇ、安全確認のできた場所がそこしかなかったものですから」土地と兵士が戻ってきたことで、配置転換をする必要があり、それにあたって新たに兵士を増やさなければならない。「島争奪戦にて任務を全うした者もおりますので、その補充も兼ねて。 これでひと通りは片づけましたので、一旦戻らせていただきます」ゲイドモールは以前からイグリスに戻る予定になっており、再び来るまでの間、イグリスの監視役はいない、ということになっている。「わかった。くれぐれもイグリス王によろしく伝えてくれ」ゲイドモールは一礼して部屋をあとにする。残されたレイトはまだ外を眺めている。(あいつは問題なくやれるだろ・・・)それから数日後、北部調査の内容がもたらされる。その内容は予想通り、以前の状態と大差のないものだという。ただ、開発しようと手を付けていた痕跡は残っている。その中で「ひとつだけ発展している街がある」という。それは、オポアというところだ。報告を聞き終えたところで、やはりバフタールの狙いは「民の自主的な移住」という見解に至る。向こうでの暮らしが快適なものであれば、当然戻りたいという感情が湧き出る。以前のような保障では不満が出ると思われるが、それ以上となると、財源が追い付かなくなる。出ていこうとする者を無理やり止めようとすれば、余計に状況が悪化する。各地に訪問して心情に訴える、というだけでは押しとどめておくことはできないだろう。(・・・ほかの方法が見つからない今、できることをやるしかない)「レイト様、準備ができました」レイトは供の者を連れて北を目指す。(ゲイドモールが戻ってくる前に終結させられるだろうか。 やっぱり、間に合わなかった場合も考えておかないとな・・・)
2020/02/02
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