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バフタールからの帰り、レイトはビルクのところを訪ねている。ビルクはひとりで来ていることに驚きながらも、イグリスの監視下にある状況を考えれば、最善の策だと理解できる。「今回は何の御用で参られたのでしょう?」「今日は本音を語り合いに来た。今日ならそれができるだろ」ビルクたちが何も言えないままでいると、レイトは続ける。「これから協力関係をより強くしていくために、 フューリッドの一員として仕えてもらいたい」またアロギラに対しては、「初代エインテルとして後見を頼みたい」と言う。レイトの要望に対してまずはアロギラが答える。「今更、年寄りが出張っていくものではありません。ご容赦を」その間、考えを巡らせたビルクは、「俺たちにとっての利益はどこにある?フューリッドに仕えろと言うが、 やりたくもねー仕事やらされるだけだろ?」レイトは表情を変えず、ビルクの希望について聞いてみる。ビルクは勿体ぶりながら、希望「過去の清算」について語り始める。それを聞いたレイトは、ビルクとヨーディがあのときの一味にいたことを再確認する。「あいつが最初、エインテルとして認められたとき、そんな気はしてた」そして、レイトは一呼吸おいてから、「それには応えられそうにない」と言う。今のフューリッドに置かれている状況を説明していくが、ビルクにとってもそれはよくわかっている。これだけが唯一の条件であり、絶対に譲れないとビルクは念を押す。「お前にとっても忘れられない事件のはずだろ!? もっと言うなら、討伐隊も処罰してほしいくらいだ」感情的になるビルクに対してレイトはあくまで冷静に、「やり方はどうであれ、こっちからすればお前らは同じだ。 結果として、アルケデニックの謀略に嵌まったというわけだ。 どうしてもと言うなら、生き残りとしてお前らを罰することになる」「なんだと?あいつも罰するっていうのか!?」レイトの言葉にビルクは動揺を隠せず、レイトに付け込まれる隙を与える。「もちろんそんなことをするつもりはないが、こっちの提案を呑んでくれれば」ビルクは冷静を取り戻してから、仕官の話は改めて固辞する。「市民には市民にしかできないこともある。できるだけのことはする」その言葉でレイトは満足したかのように去っていく。「うまくはいかねぇもんだな、やっぱり・・・」ビルクは無意識にため息を漏らしている。
2020/05/31
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バフタールの狙い通り、時間稼ぎがうまくいっている。それでも不安がないわけではない。「動くべき時に動けるような状況じゃなくなってきてるわけだし」バフタールの準備が整ったとしても、イグリスに攻め込めるわけではない。前提としてフューリッド・ゼリクトアとの足並みをそろえる必要がある。しかし、連絡を取ることすらままならないのが現実だ。「うまくいくかどうかわかりませんが、つてを探ってみます」ビルクはめんどくさそうに手紙を放り投げる。「無視しても問題ないが・・・、つなげるだけつないでやるか」「それは、レイト様がバフタールと組むと予想している、ということか?」ビルクはその質問にはあいまいにしたまま、「どういうつもりでいるのかはわからねぇが、何か企んでるに違いない」そう言いながら、白い紙に手を伸ばす。「じゃが、どうやって届けるつもりじゃ。人知れず渡すことなどできるのか?」よくよく考えてみれば、その方法はかなり面倒なことになる。トワールに渡したとしても、イグリスの目をかいくぐることができるとは思いにくい。それ以前にトワールに知られるのも気持ちがいいものではない。となれば、残っている選択肢は・・・。「あいつがどこにいるかわかるか?」「はっきりとは言えんが、新規訓練は終わったであろう。 エインテルとして認められていれば、城に戻っているだろう」「城、か。それ相応の理由がねぇと入れねぇじゃねーか」城に行くとなると、ヨーディに会うというより、レイトに会う方が早いだろう。ヨーディが城にいない場合、レイトのところまで行きつけるのか、その方法が見つからないような気がしてくる。今度はアロギラが笑い始めている。「会いに行く理由ならば、おあつらえ向きのがあるであろう?」アロギラの考える理由とは、レイトに挨拶しに行けばいいというものだ。それはレイトに従うということを意味している。ビルクは明らかに嫌な顔をするが、「それしかないってんなら、そうするしかねぇか。 こうなるんだったら、この前に話しとけよ。まったく」
2020/05/24
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戻ってきたヨーディは新たな配属先へと向かう。「本日より、お世話になります」すると、奥の方からどたどたと騒がしくなる。奥から出てきた大男はヨーディを見るなり、「お前が、そうか!そう畏まるな。 うちの預かりとはなっているが、自由に出入りしてくれればいい」どうやらヨーディのことは覚えていないようだ。(そりゃ、覚えてないか。あのときにちょっと会っただけだもんな・・・)「よろしくお願いします。隊長」今後は護衛隊とともに訓練に励みながら、個別の任務に対応していくことになる。イグリスでは、バフタールとの交易問題が沸き上がってきている。少し前から価格の見直しを迫っているが、それから話は滞っている。同盟関係であるため、強く主張しているわけではない。また、経済的な格差は明らかであることもその一因となっている。しかし、このまま黙ってみてはいられないという意見が出る。反対意見として、この状態のままを保っていれば、いずれは反発する力すらなくなるであろう、と述べる者もいる。「今もなお何かを企んでいる可能性があります」企んでいるということで思い浮かぶのは、兵器の開発だ。とはいえ、イグリスもまた兵器開発に着手しているが、思うような成果には至っていない。「今なら兵力差で押し切れます。今こそ後顧の憂いを絶つべきです」兵力差についても疑問符がつく。「万が一にでもフューリッドやゼリクトアがバフタールにつくようなことになれば、 追い込まれるのは我々の方だぞ」「そうならないために人質がいるのではないですか!?」人質を使えばうまくいくとは思われるが、そのあとの関係に悪影響を及ぼす。「よくそんなことが言えますね? あの計画を立てた人の口から出てきたとは思えません」あの計画とは、バフタールの船を襲わせておいて、その犯人をフューリッドに擦り付け、レイトを引きずり落とそうとしたことだ。「あの計画がこの現状を生み出していることをお忘れなく。 もうすでにフューリッドが疑心を抱いていることは容易に想像がつきます」「状況は刻々と変化する。変化に応じて考えるのが私の仕事です」話し合いは結論まで至らず、現状を維持させるしかない。
2020/05/17
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ヨーディはまた城に戻ってくるように言い渡される。だが、「現在進行中の訓練課程については、最後までやり遂げてもらう」というわけで、訓練課程が終わるまでの間、ナキュアに留まることが決定する。それから、最後には修了試験があるわけだが、もちろん合格が必須条件だ。「言わなくてもわかっているだろうが、ただ合格すればいいというものではない」ヨーディに求められているのは、エインテルという名にふさわしい結果だ。翌朝からヨーディはより一層鍛錬に励む。周りを気にしないヨーディに対して、周りからの視線は集まっている。ヨーディの噂は広まっていて、野心を抱く者から付け狙われる。「お前に勝てば、俺がエインテルってことでいいんだよな?」1対1の勝負ではあるが、次々に相手が現れるヨーディにとっては連戦となっていく。それが毎日のように続き、ヨーディの疲れはたまっていく。どんな理由があろうと負けるわけにはいかない。その意地だけがヨーディを動かす原動力になっている。そしてまた1日が終わり、挑戦者たちが待ち構えている。「クソッ。あと少しだってのに」最後の挑戦者が不満を垂らしているのを、ヨーディは地面に座り込んで眺めている。周りで見て居るやじ馬たちの中にはちらほらと気付き始めている。(あんなに疲れてるくせに勝てないんじゃ、普通のときだったらどうなんだよ・・・)(これって、挑めば挑むほどあいつが強くなるだけだよな)挑戦者は減り始めたものの、全くいなくなるわけではなく、最後まで続いていくことになる。修了試験を終えた最終日、ヨーディは文句なしで合格を伝えられる。「今までありがとうございました。 ここで学んだことをこれから生かしていきたいと思います」振り返ったヨーディは、照れ臭そうに笑う。「お前らも悪かったな。わざわざ特訓に付き合ってくれて」「なんだよ!気づいてたのか」「そりゃ、そうだろ。気迫が全然なかったし」「そんなら話は早い。今後、引き上げてくれるんだよな?」「んな権限あるわけねーだろ」ヨーディはもう一回ありがとうと言って頭を下げる。長い訓練が終わりを告げる。
2020/05/10
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レイトは一足先に城に戻って話し合いを始めている。その内容に一同は驚くが、すぐさま冷静を取り戻して考えることに集中する。「これで目標値に届くことができる。あとは予定通り進めていくだけだ」レイトはあえて鼻につくような言い回しをする。様子を見られているゲイドモールは沈黙を保っている。フューリッドとバフタールの取引はイグリスとの取引にも影響する。価格もさることながら、その量も当然改めることになる。全体の総量が変わらなければ、価格を下げた分だけ利益が減るということ。そう考えれば、そこまで損をするという話ではない。はたしてイグリスを意識するあまり我を失っているのか、わかったうえでの提案なら、真の目的が隠れているはず。「どちらにしても報告しなければなりません。 取引したいという許可をもらえるように連絡します」それからレイトはゼリクトアとの取引についても議題に挙げる。「実は先行して話をつけに行っている。問題なくまとまるはずだ」「そうですか、とりあえず今は連絡を待つしかありません」数日後、ヨーディはナキュアに戻っている。「よくやったな、なんかあったらまた頼む」と言われて任務を終える。ヨーディは部屋に戻ると、どっと疲れを感じてくる。そこまで久しぶりではないが、レイトに呼ばれたあの日から、あちこち行っていたことに感慨深くなる。いつのまにか無意識のうちにヨーディは眠りにおちている。レイトたちの前で報告を終えたヨーディは、異様な空気を感じ取っている。その空気感の原因は、エインテルの名を無断で使ったことだ。「そのことについて、何か言いたいことはあるか?」ヨーディは無断で使ったことを謝罪したうえで、こう答える。「エインテルの名を穢さないよう、言動には注意したつもりです」そのあとは、ヨーディを置き去りにして話は進められていく。賛成も反対もどちらの意見も出るが、最終的には名前の使用を認めるという方向に流れていく。決定的となった理由は、他国から認められたからだ。「今後もさらに精進するように」
2020/05/03
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