全4件 (4件中 1-4件目)
1
ビルクはこれからの状況を予測している。イグリスにおけるフューリッドの立ち位置が変わるかもしれない。イグリスとバフタールの関係が悪化したりすると、フューリッドを引き込んで優位に立とうと考えてもおかしくはない。そうなれば、共闘するにあたって条件が良くなっていくはずだ。その一例として、監視の緩和が考えられる。「ま、期待はしてねーけど、がんばれや」ビルクたちが帰ると、ヨーディの日常が戻ってくる。「隊長の名前、初めて聞きましたよ」「まあ、隊長としか呼ばれないからな」ヨーディはガディーバ隊長とともに訓練に明け暮れる。「張り切り過ぎるなよ。怪しまれるかもしれないし」ビルクに言われたことを気にしつつも、それでも肩に力が入る。そんなとき、呼び出しがかかる。任務だ。「ある地域で事件が起こっているという。 そこからの応援要請のため、お前を派遣することになった」詳しくは向こうで話を聞け、ということだが、ヨーディひとりだけではなく、数人を派遣するという。「残りの者は呼び出し中だ。少し待て」数分後、三人が次々と入ってくる。同じように説明が繰り返される。場所は北東部の港町。費用についてもある程度渡される。もし長期化するようであれば、追加分を送ることも検討するという。「準備ができ次第向かってくれ。武運を祈る」ヨーディたちは二時間後、城門前に集合すると示し合わせて解散する。ヨーディは準備しながら、言われたことを思い出している。「今回はお前が班を率いて事に当たってもらう。 見ればわかるはずだが、あとの三人はお前よりも若い。 大変かもしれないが、経験を積ませてやってくれ」集合時間前には全員揃い、出発する。「俺はエインテル・Y・オルディック。よろしく」「知ってますよ、名前くらいは。俺は、ソアルディ・ケジです」「俺はボード・ゴドック。よろしくお願いします」「僕はマナトア・シュライです。お願いします」ヨーディは知らなかったが、この三人は名家の子息である。ヨーディは不安を感じながら、目的地を目指す。
2020/06/28
コメント(0)
レイトは納得して一呼級置く。「配置転換したとしても根本的な解決にはならない。 士気の問題については、それこそ隊長に頑張ってもらうしかない」レイトは手紙の内容について考えている。(今はどうすることもできねぇ。そもそもどうするつもりもないが。 余計な手間をかけさせちまったな・・・)ビルクたちはようやく気を楽にして談笑している。ヨーディが国外に出ていたことを聞いて、ビルクは驚いている。「俺より先に国外に出やがって。どうだった?」ヨーディは見た感じ、そこまでの差はないと率直に言う。ただ、ところどころに過去の戦争の爪痕が残っていて、フューリッドからも攻め込んでいたという証拠を目の当たりにする。「チッ。着々と名実ともにエインテルになってんじゃねーか」そこでヨーディはアロギラに面と向かう。「エインテルとしての立ち振る舞いを教えてもらえませんか?」畏まった言い方をするヨーディを見てビルクはにやついてちゃちゃを入れる。一方でアロギラはレイトに言ったことを繰り返す。肩を落としたヨーディにアロギラは付け加える。「お前はお前が思うように、レイト様を支えていけばいい。 昔と今じゃ、ここも周りの国々も状況が違うのだからな」満足げに話しているアロギラに対してもビルクはにやついている。「こういう話をしようとずっと考えてたんだろ?満足したか?」「お前も他に言うことはないのか?まともに話す機会なかったであろう?」ビルクは言いたいことは以前と変わってない、と言ってから付け加える。「レイトには直接言ったし、その上での言動なら、 ヨーディに言われて考えを変える可能性は低いかもしれねぇ」ビルクの頭にヨーディがレイトに論破される姿が目に浮かぶ。それよりも何よりもまず、ヨーディがレイトの近くにいないのが問題だ。「こればかりはイグリスの壁をどう超えるか、じゃな。 信頼を得るしかないのはそうだが、完全に得られるものでもなかろう」無理難題なことを言われているようで、ヨーディは怒りと困惑の色を示す。だが、ビルクはある考えを持って口を挟む。「今までならそうだった。が、これからもそうだとは言い切れない」
2020/06/21
コメント(0)
ヨーディは考えるのを放棄し、「そのまま言っちまえばいいんじゃねーの?」「そういうわけにはいくか。疑われたら終わるんだぞ」ビルクは考えが浮かんだようで、「イグリスの奴らに用事はないのか?」イグリスの奴らを呼び出している隙にレイトに渡すという方法だ。「いや、用事は作ればいい。となると、あとは・・・」ビルクの手紙はウォルバーに託される。なにがなんでも二人を部屋の外に誘い出し、扉を閉める隙にレイトへの手紙を差し込むという算段だ。部屋の外で話をするために、「レイトには知られたくない」と言えば、おそらく問題はないはずで、あとは二人とも出てくるかどうかだ。ウォルバーは速やかに移動し、実行に移す。厳しい顔で部屋に入ると、ゲイドモールにひそひそと話しかける。ウォルバーの思いがけない行動が功を奏したのか、二人とも話を聞くために立ち上がる。ウォルバーの状況説明を聞きながら、ゲイドモールは手紙を開く。「フューリッドではなく、イグリスと直接取引がしたいというわけか。 はたして、信用していい話なのか?」「あなたは護衛隊長として、この行動は正しいと思われるのですか?」「初代・エインテル殿にはお世話になっていたこともあり、 今回だけは頼みを受けることにしましたが、審議には口を出すつもりはありません」直接取引によって得られる利益はさほど変わらない。だが、レイトが市民からの信用を得られていないとなれば、今後の方針に影響を与えることになる。役目を終えたウォルバーは戻り、ゲイドモールたちも部屋に入る。「何か問題か?」レイトは目線を落としたまま尋ねる。「問題と言うほどではありません。城の警備について、 体制の変更を願い出てきたという次第です」担当する任務時間を短くすることで、任務に対する集中力を持続させたいという、現場からの要望が出ていると。「ここで話してもいい事案だと思うが?」「警備以外の任務がなく、隊員の士気も下がりつつあるとのこと。 まぁ、気持ちはわからなくはないですが・・・」レイトの外出に同行する機会も最近はなく、そのことで気を煩わせたくはないとウォルバーなりの心遣いだ。配置換えも含めて考えていただきたいと。
2020/06/14
コメント(0)
これまで黙っていたアロギラが口を開く。「もっと反論するかと思っておったが、さすがに遠慮でもしたのか?」反論を控えた理由として、ビルクはレイトの様子にあるという。「脅し文句をつけて取引するような奴だとは思わなかった。 それに、あいつは本音を隠してたような気もする」ビルクはそれ以上何も言わず、考え込んでいる。それから現在、ビルクたちはレイトとの面会を果たしている。「今回はご挨拶できる場を設けていただき感謝申し上げます」面会中は終始、アロギラが話をして終える。本来の目的はこれからにある。以前と同じ部屋ならば、そこにいるはずだ。扉を叩くとちょうど人の気配がする。「ん?え?ビルク?」ヨーディの現状を聞いたのち、ビルクは本題を切り出す。「これ(手紙)を渡してきてくれねぇか?」と言われたヨーディは困惑している。「さっき渡し忘れたのか?」と言う疑問に、「レイト以外には知られたくない」という理由でヨーディは納得する。そうはいうものの、レイト以外には知られたくないというのは至難の業だ。それに、レイトに会うことすら簡単ではないというのが、今のヨーディの立場である。話が行き詰まる中、不意に扉が開き、「今から行くが、お前はどうする?」「先客がいたのか、失礼・・・」出ていこうとしたそのとき、二人に目が行く。「あなたは、まさか・・・」隊長の見たこともない様子にヨーディは首を傾げる。「ウォルバーか?懐かしいな」アロギラは思わず口元を緩める。思い出話が長引く前に、ビルクは咳払いで止める。アロギラはレイトへの手紙をウォルバーに頼むと、二つ返事で受け入れる。それを見ていたヨーディはビルクにこっそりと不安を口にする。「俺が言うのも変なんだけど、隊長ははこういうの不向きだと思う・・・」ビルクも不安を感じていたようで、「具体的な方法をお聞かせ願いたい」と。ウォルバーは神妙な顔つきになり、あれこれと考え始める。「そう言われると、難しいようにも思われる」ずっと見ているわけではないが、レイトに会うときには、必ずイグリスの者たちが付いて来ている状況だとウォルバーは語る。方法が見つからないまま、時間ばかりが過ぎていく。「このまま諦めて帰るしかねぇのか?」
2020/06/07
コメント(0)
全4件 (4件中 1-4件目)
1