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ヨーディは部屋から出ると、やることを反芻している。「水路の道筋としてはだいたいこのとおりでいいだろう。 まずは水路を通さない離れた町に住む民に理解と移動の手配を整えろ」各町に赴き、了承を得るというだけでもかなりの時間がかかるに違いない。(そのあとは移動先の住まいも用意しておかないと・・・)ヨーディは考え込み、「あ、やっと戻ってきた」と言う声も聞き逃すほどだ。肩を掴まれてようやく気付き、ケジたちが心配そうに見ている。状況を説明すると、「なんか話が大きくなりましたね」と返ってくる。「俺たちもやりますよ。このまま終わらせるつもりもなかったし」そう言ってくれたことで別れて向かうことができる。「くれぐれも無理強いはしないでくれ。協力が必要不可欠だし」ゲイドモールからは強制的にでもと言われたが、そうしたくはない。人手はいくらでも必要になるし、移動できない人もいるだろう。「残る人にも何かしらの保証をするべきなんじゃないか?」保障については向こうで調整しろと言われているし、変更しようと思えば、それほど難しくはないはずだ。ゲイドモールは珍しく口調を緩めている。「想定通りに話は進みました。お見事でした」「本題はこれからだ。実際に事を為せるかどうか、あいつにかかってる」これまではヨーディの思考を予測して、うまく誘導させることに成功する。これからは大規模な計画を成就させるためにどうしていくべきか。以前にも計画として出されることもあったが、結局は実行までに至っていない。その理由は、二度、移動を余儀なく負わせているからだ。バフタール領となって移動を強いられ、フューリッドに返されてまた元に戻り、また今度移動しろとはなかなか言いづらいものがある。不平不満を募らせる原因ともなりかねず、この任務を任せてもいいのか、思案中の案件でもある。「あの者に任せてよかったのでしょうか? 誰に任せても不安が拭えるわけではありませんが・・・」一度失敗すれば、次にお願いしたとしても余計難しくなるだろう。やるからには失敗は許されず、一発で決めなければならない。レイトは目線を上げて、自分にも言い聞かせるように話す。「イチから這い上がってきたあいつならできるはずだ」(地の底から這い上がってきたあいつなら、な)
2020/08/30
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アロギラとの交渉は思うようにいかなかったが、フューリッドが先頭に立って着手するとなれば、協力は厭わないという。「フューリッドにとっても悪く無い話であろう。 完成すれば、皆が喜び、感謝するに違いない」港町に戻ったヨーディは、結果を聞いてため息を漏らす皆に言う。「だが、今度はフューリッドに頼んでみる。それまで待っていてほしい」これで一旦、任務を終え戻ることにする。四人で戻り報告を終えると、「そうか、わかった。戻っていいぞ」ヨーディはまだ言っていないことがあると言うと、相手は渋い顔をする。それでも強く願い、頼み込むと、時間はかかったがレイトとの面会が許される。川を利用して水路を造り、物資の流れを早くして経済を回していく。「よく考えてきた話だとは思うが、根本的なところが見えているのか?」やはり問題となるのは金銭面である。不確定要素が多いと指摘される。費用に比べてどのくらい効果が生まれるのか、目算よりも余計に費用も時間もかかるに違いない。「それでもやるべきだと、俺は思う」ヨーディが心情に訴えれば訴えるほど、レイトは冷静に見つめていく。「お前はその町に行ったから、気持ちがうつってるだけだ。 他の町に行っていたら、そこの町にいる人の気持ちに引っ張られる」さらにレイトは疑問点を浮かび上がらせる。「それに港町はそこだけじゃない。当然、他のところにもある。 その町に水路を造るなら、他の町のことも考えてしかるべきである」レイトの正論によって、部屋中に沈黙が広がっていく。このまま話は終わってしまうのかとヨーディの焦りは募るが、何ひとつ方法が浮かんでこない。しかし、退出を命じられることのないまま時間が過ぎ、「そうは言っても、何もやらないままと言うわけにもいかないのも事実」今まで黙っていたゲイドモールが口を開き、「水路を造ることでいくつかの町は廃れるとみて間違いないでしょう。 それを見越して強制的に民に移動してもらう必要があります」ゲイドモールはヨーディをじっくりと見つめ、「それをエインテル、あなたにやってもらいます。できますか?」ヨーディは気圧されながら、「やります」と言うしかない。
2020/08/23
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ヨーディは「あなた方のうちの誰か」として話を進めていく。「このような形で訴えるべきではなかった。直訴するべきでした」相手が黙っているのを見て、ヨーディは続ける。フューリッドへの依頼を裏から手をまわして失敗させ、問題を重症化させることで資金援助を取り付けようという作戦だったに違いない。本来の目的を読まれ、ようやくあきらめたようだ。その顔は悔しさでゆがみ、「直訴したところで何も変わらない。・・・変わらなかった」だとしても、そのようなやり方では根本的な解決には至らない。ヨーディたちもどうにかしたいと思い、一時的なものであっても、滞在している間はお金を落とすことを念頭に置いている。「完全な解決を目指すために、もうしばらく居させてもらいます」ヨーディには考えがあり、交易交渉しようと画策している。少なくともそれが終わるまではここにいることになる。ヨーディは交渉内容を精査してひとりで出発準備に取り掛かる。善は急げでヨーディは交渉に向かう。「それで、わざわざその港町からやってきたというのか」話を聞いたアロギラは難しそうな顔をしている。ビルクは今、新しい店に出向いていて留守にしている状況だ。判断についてはある程度任されているが、利益のあるものでなければ認められるわけがない。交易対象物としては主に海産物を考えているが、加工しなければ内陸には運べない、というのが壁になっている。「何とかして新鮮なまま運べれば、大きな利益となるはず」その利益のためにビルクたちも全く考えていないというわけではなく、どうすれば生きたまま運べるのか、頭を悩ませているのも事実。ヨーディたちにとってその方法がまだ見つかっていないというのは、交渉の余地があるということにもなるが・・・。アロギラは試した方法を順番に説明していく。ただ水槽に入れただけではうまくいかず、途中で水を入れ替える必要がある。思いついた方法の中で実行できないこともある。「水路を造って運ぶことができれば・・・」それはヨーディたちも考えていたことである。「これには根本的に問題がある。金がかかりすぎることだ。 フューリッドに頼まないと無理であろうな」
2020/08/16
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ケジたちは捕まえ一人を柱に何重にも縛り付ける。しばらく休んでいたところでヨーディが帰ってくる。「無事か?思ったより大丈夫みたいだな」そう言うヨーディの方がだいぶボロボロになっている。部屋を見渡して捕虜がひとりいることに気付く。「よく捕まえた。これでこいつらの目的もはっきりするだろ」ケジが「捕虜はひとり・・・」と言おうとしたが、人の気配がする。ヨーディのうしろに縄でつながった捕虜が並んでいる。「ひとりで四人も捕まえたんですか!?」仕掛けた罠で逃げられないようにしたのがうまくいった、と言い、「最悪、こいつらだけでも捕まえておかないと。 成果なしじゃ、帰るに帰れない。たとえお前らを犠牲にしてでも」「何言ってるんですか?どうしようもなくなったら逃げろ! って言ってたくせに」ケジは数時間前の言葉を思い出している。ヨーディも逃げずに戦い続けると予想していたが、初の実戦では引き際を見定めるのは難しい。「ケジが行く前に怪我してる可能性もあった。 それが原因で将来を失うこともある」ヨーディたちは真実を携えて報告しようとしている。「怪我は大丈夫でしょうか?襲われたとお聞きしましたが」なんともありません、と答えて犯人たちについて話す。「犯人たちの素性は町の荒くれ者で、今までの破壊行動も認めています」「そうですか、お手数をおかけしました。ありがとうございました」だが、話はこれで終わりというわけではなく、まだ続きがある。「彼らがなぜ、今回は強盗という手段を選んだのか? 今までの破壊行動とはあまりにも内容が違いすぎるとは思いませんか?」ヨーディは質問しているようにみえるが、答えを求めているわけではない。「こんなところと言っては失礼になるが・・・」と言い始め、こんな田舎に長期滞在していて、毎晩騒いでいれば、金を持っていることは誰にでもわかる。だからといって、実際に行動に移すかどうかは別の話。見た目だけではわからない情報を持っていたことから、自分たちを知っている誰かから情報をもらったとみて間違いないだろう。「それが私たちの中にいる、と言いたいのですか?」
2020/08/09
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ヨーディたちは強引に突破を図ろうとしているが、思うようにはいっておらず、囲まれたまま、あっちこっちに移動している。そして、ある場所に来たところで再び強行突破を狙う。周りにいる敵も逃すまいと追いかけていく。それを見たヨーディは仕掛けを発動させて、目の前を塞ぐ。「お前は先に行け。頼んだぞ」ヨーディの声にケジはうなずいてその場を去る。「しまった。罠か」逃げようとする敵をうしろの仕掛けが阻む。ヨーディたちの狙いははじめから、ヨーディが敵をひきつけ、ケジを先に向かわせるというものだ。「俺たちが食い止める。お前らは早くどかして追いかけろ」人数を割いて対応しようとする。ヨーディは詰め寄って圧力をかける。「全員でかかってきた方が早く片付くんじゃねぇか?」急いで駆けるケジに騒いでいる声が聞こえてくる。(まだ耐えてるよな?)幸か不幸か、敵はうしろに意識している様子は全くない。ケジは思いっきり引き金を引き、敵を混乱させる。発砲したのはシュライじゃないと確認すると、敵が振り向き、ケジは剣を振り下ろす。またひとりやられて焦りの色が隠せず、「あいつらやられたのか!?でも、こいつひとりだけ?」「こいつだけならなんとかなる。早く倒すぞ」「この状況じゃ、もう手遅れだと思うけどね」ケジは密かに合図を出し、シュライはすかさず下がって銃で牽制する。シュライがいた空間をゴドックは動きを大きくすることで埋める。そして、ゴドックの隙を狙われないようにケジが敵の背後を突いていく。三人の連携が流れを引き寄せ、敵の士気を奪い、退散させることに成功する。「誰でもいいから捕まえろ。本来の目的はこれからだ」三人がかりでようやくひとりを捕まえる。「お前らのこと、全部話してもらうからな」逃げようとしばらく暴れていたが、ついにおとなしくなる。全てが終わり、ようやく落ち着いたところで、ヨーディのことが気になるようになる。合流しようと考えるが、この部屋を空けるわけにもいかない。ヨーディが自力で戻ってくるのを待つしかないと、休む理由を見つけて、腰を下ろす。
2020/08/02
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