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ウェントソンは急な帰還を言い渡されて困惑している。どういう状況になっているのか尋ねると、正式に決めるのはレイトだが、イグリスでの生活はこれで終わりだ、と言われる。レイトに渡すまでが使者としての任務であるため、封を開けるわけにはいかない。ときどき手紙は送られてきていたが、ゲイドモールの検閲もあり、内容から想像することもできない。ただ、「無理して動くな」という言葉だけはいつも添えられている。何かしようとしていることが形になったのかもしれない。レイトはゲイドモールたちを含めた一軍を見送り、一息ついている。イグリスの支配から解放されれば、バフタールと組んで形勢を変えられる。まずはグラッカ王国が退くのを合図に、バフタール国内を通ってイグリス軍を挟み撃ちにできる。ゲイドモールたちは隙を見て捕らえればいい。これでバフタールの領土が増える。そのあとはゼリクトアとともに押し出していく。イグリスからの返答を待っている間、レイトは計画を練り上げていくが、予想しないことが起きる。「ゼリクトア軍が北上してきているとの情報!」それに先立って使者が送られてくる。使者によると、ゼリクトア軍も後詰として戦争に参加することになったという。「これからもともに協力してイグリスと手を組んでいきましょう」使者の言葉にレイトは息を呑み、言葉を選びながら、「このままではイグリスの天下となりますが、それも承知の上ですか?」「我々の協力があってこその天下です。我々が監視役となるのです」そううまくいくわけがないということは容易に想像できる。しかし、ここでゼリクトア軍を足止めさせることもできず、「わかりました。同盟国ですから、ともに戦うのは当然です」二日後、ゼリクトア軍が通っていってから間もなく、ウェントソンが帰還する。「レイト様、ただいま戻りました」「よく耐えたな。感謝してもしきれない」ウェントソンが戻ってきたということは、独立が認められたということ。だが、手紙の内容もまた予測を外れている。「独立について、それを希望するなら認めてもいい。 ただし、交易については変えるつもりはない」これでイグリスの狙いがはっきりとする。「先に抑えられたか・・・。選択を間違えたのか?」
2020/10/25
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ゲイドモールはイグリス王に手紙を綴っている。ゲイドモールたちは自身が人質となって迷惑をかけることを望んではいない。「国の足を引っ張るわけにはいきません。そうなるくらいなら死にます」「その気持ちはわかる。ウェントソンもそう思っているからな」やはりこの状況でウェントソンを交渉材料にするのは難しいようだ。が、「同盟関係を築くにあたり、すぐにでも援軍要請をさせてもらいます」それは当然のことだとレイトも考えている。「返事が来る前に出陣していただき、我々も参陣させてもらいます。 その代わりウェントソン氏の帰還を上申します」この戦争が終わるまではイグリス側につくよう、最大限の条件にも思える。それでも、イグリス王が首を縦に振らない可能性もある。「可能性は低いですが、そうなったら我々の首でも取ってみますか?」ゲイドモールたちが参陣するということは、万が一のときは二人に逃げ道もないということを意味している。手紙を読み終えたイグリス王は、少しずつ呼吸を取り戻していく。「まったく、一番いやな場面をついてくるな。ずっと狙ってたのか」イグリス王は内容を話してから、どうすべきか考える。「いずれはゼリクトアも反旗を翻してくるだろうな・・・」不安要素を抱えたまま、時を無駄にするよりは方針を変えたほうがいいかもしれない。いっそのこと強固な同盟を築くべきだろうか。そもそも強固な同盟など築けるのか。いや、こういう時こそ冷静に考えなければならない。こんな状況にならなければ、強気な態度には出られない。基本的な国力は完全に差がついているわけで、ひっくり返そうとするなら、他と手を組むのが必須条件である。バフタールとフューリッドが組んだとしても負けるわけではなく、ゼリクトアを奪われなければ優勢を保てる。逆に言えば、ゼリクトアを味方につけたほうが優位に立てる。不確かなフューリッドにこだわる前にゼリクトアを抑えておけば、フューリッドはこちら側に来るしかない。「返答内容は決まった。ゼリクトアには早急に同盟を要請してくれ」そして、ウェントソンが呼び出される。「急なお呼び出しですが、なにがあったのでしょうか?」畏まるウェントソンにイグリス王はゆったりとした口調で、「長きにわたる任務、ご苦労でございました。 最後にこの手紙を持ち帰る任務を請け負っていただけますか?」「最後?それは私に帰れと申されているのですか?」
2020/10/18
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イグリスの包囲網はなかなか狭められずにいる。「やはり南東から物資が送られてきてるのは間違いないな」グラッカ王国から送られる支援物資を止められないことが、バフタールの士気を下げ止める要因となっている。もともと戦争を仕掛ける前から、事前に準備していただろうし、地の利はあっても、長期戦になるだろう。なんとかしてこの補給路を奪う策はないかと考える最中、予想だにしない報告がもたらされる。ゲイドモールからの手紙が届き、封を開けると、「レイトの反乱!?だと。改めて同盟を結べ!?」戦場から離れたフューリッドは穏やかな日々を送っている。レイトはおもむろに立ち上がり、二人に銃を向ける。「我々、フューリッドは独立する。改めて同盟を結ぶなら、命は保証する」ゲイドモールたちは度肝を抜かれるが、レイトの説得を試みる。「独立するのは今じゃなくてもいいでしょう。 イグリスの下で力を溜めていくことが先決だと思われます」今、独立したところでイグリスの圧力に耐えられない、と。だが、レイトは別の予測を立てているようで、戦争している今しかないと思っている。「いずれはイグリスがバフタールを抑える状況になる。 そうなっては抵抗する術がなくなる。この機会を逃すことはできない」ゲイドモールはレイトの思惑を確認してみる。「大陸の平和を願っての行動だとは思えないのですが?」「大陸の平和など本当にあり得ると思っているのか?」平和を願ったとしても、結局、他人の思惑で戦争は起きる。それなら、この監視され続ける現状を打破したい。「もちろん感謝している気持ちもあるが、 監視されることがこんなにも息苦しいとは思わなかった」「では、監視を緩めるよう打診いたします」「今までも機会は十分にあった。その気がないことはわかってる」レイトの決意は固く、結論を求める。「独立を拒否して反乱を許すか、認めて同盟を結ぶか。 平和を願うあなたなら、答えは決まっているでしょうけど」
2020/10/11
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レイトの思惑では出兵をきっかけに、どちらにつくか見定めようとしていたが、方法を変えなければならなくなる。レイトは窓の外を見つめてもどんよりとした雲が広がっているだけだ。雨が降り始めた頃、戦況が変わり始める。「報告っ!南東方面より敵が侵入!」南東にはグラッカ王国との国境があるが、攻め込んできた軍隊は違うようだ。「わざわざ山を越えてきたのか、ご苦労なことだ」もちろんこれは想定内であり、あらかじめ部隊を配置してある。多少苦戦するかもしれないが、食い止められると高をくくっている。危機感は持っていても、心のどこかでは気が緩み、ここに付け込まれることになる。それぞれから不利な戦況が報告され、応援を要請される。詳しい報告によると、敵個々の力が強化されており、特にグラッカ王国方面は激しく押されているという。「してやられたな。おそらく高山訓練でもしてきたんだろう」「とにかく予備兵を送りましょう。至急、増員の手配もしなければ」拠点を奪われれば、取り返すのも手間がかかる。が、「逃げ場を無くしてすりつぶすのも悪くないな」高山訓練をしているのであれば、今争うのは厳しい。強化効果がずっと続くわけではなく、時間が経てば弱まっていくはず。その作戦は前線に伝わり、あきらめたように見せかけて拠点から退く。喜ぶ敵をしり目に、バフタールの補給路を断つように軍隊を配置する。バフタール軍は二つの拠点を結ぶために出撃する。それに対してイグリス軍は補給路を断ちながら、余力ある部隊が拠点をつついていく。強化効果が薄れてきたのか、補給路を断たれた焦りからか、戦力は拮抗し始めていく。だが、バフタール軍もこれで全兵力を出し切ったわけではなく、グラッカ王国方面からの第二陣が参戦する。再び士気を取り戻したバフタールが南東の補給路を回復させる。それでも、バフタールへの直接的な補給路を取り戻せないまま、時間が経つ。イグリスにとっては予定通りに事が進み、各地からの応援が続々と流れ込んでいく。「逃げるそぶりが見えたら迷わず追いかけろ。ひとりでも多く仕留めるぞ」
2020/10/04
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