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「でも、当子様はそれからずっと外にも出られないまま、間もなく出家してしまわれたのでしょう? まだお若かったのに、おいたわしい」「あの道雅に付きまとわれるくらいなら、いっそ出家した方がどれほど良いかしれぬ。そなたも知っての通り、花山院の皇女は悲惨なことになってしまった」 頼通は眉間(みけん)に皺(しわ)を寄せて腕組みした。 能季はふと気になって聞いてみた。「花山院の皇女は、当子内親王様に似ていたのですか」「そうだろうな。皇女の方は私も上東門院様の御所で時々見かけたことがあるが、色白でほっそりとしたなかなかの美貌であった。当子様の父君の三条院は花山院の弟だから、皇女と当子様は従姉妹同士に当たられる」「それで、道雅殿は皇女を見初めて通い始めたのですか」「通い始めたというか、無理に押し入ったといった方がいいだろう。当子様が出家なされた後、さすがに道雅も諦めたのか、しばらくの間は鳴りを潜めておった。ところが、その頃当子様が急にお亡くなりになったのだよ。道雅はそれを知ると、また狂ったように暴れ始めてな。それを何とか静めようと思ったのか、誰かが花山院の皇女の話をしたらしい。それで、たまたま宿下がりをしていた皇女の元へ忍んでいって、無理矢理自分のものにしてしまったというわけだ」↑よろしかったら、ぽちっとお願いしますm(__)m
2015年08月02日
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頼通はふっと目を閉じると、深い溜め息をついた。 そして、再び能季の方を見据えると、低い声で呟いた。「だが、その姿の美しかったこと。地獄の悪鬼が姿を変え、人を誘惑して堕落させようと考えるなら、おそらくあのような姿をとるのではないか。女だったら、きっと誰でも心惹かれ、つい心を開いてしまうだろう。鬢(びん)の髪がほつれて青ざめた頬にかかっている様など、男の私ですらふと心をそそられるほどだった」「頼通様は道雅殿を見張っておられたのですか」「父に命じられてな。何度か道雅の後をつけた。だが、幸いなことに、当子様は屋敷のうちに厳重に監禁されていて、一度も道雅にお会いになることはなかった。もし、あの頃の道雅に会っていたら、いかに高貴な当子様とて、つい惑わされてふらふらと誘い出されてしまっていたかも知れぬ。そのようなことにならずに済んで、当子様はお幸せだったな」↑よろしかったら、ぽちっとお願いしますm(__)m
2015年08月01日
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