詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

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2015年11月22日
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窓の外に朝の陽のひかりが溢れても、

木立の蔭や、蝉に思い焦がれることがある。

公園のすみっこのむらさき色や青いちいさな花が、

懐かしくなる。忘れかけていた感触が蘇る――、

息をのむほど青い海・・、荘厳の太陽・・、

忘れられている、変貌の瞬間――僕は、祈りながら・・

さらさらと揺れる花の首をつかみ、それらの情景を充たす、

いつだって何かがあった、あの数秒前に惹かれている。



目蓋に滲み込んで網膜までくるころには、砂・・。


とりかえしのつかないものや、

ひらかれないもの――

僕は近頃こんなこと考える。かつて見なかったものも、

多分脳は自然に貯蔵してしまい、

それぞれに違ったお別れをしたのだ、と・・。

ひとつの表情となって、無となって、透明となり、

もう僕が見ることのできない明日になったのだろう、と・・。

前が見えなかった今日は、とり残されている僕の内部で、

何かを呼ぶ声を聞かせている・・。


目蓋は大分長い間、閉じられたままでいる。



そんな一日の終わりに――僕はここにいるけれど・・、

でも、あまり遠くへは行かないで――、

行かないで・・、魚のようにおよぎまわる――、

白い歯を見せながら、まぶしかった、あの場所で、

しかめっ面しながら・・、なにが狂おしかったのか――



それでも、僕は、と冷静に振り返る・・、

しづかにそれに従っていた、ひっそりと・・、

受け止めていた――心の奥深く、色々な話をしながら、

お互いを理解するのに必要不可欠な作業とわかりながらも、

――何故あさましく、上手に生きることばかり・・。


時々僕の方をふり向く誰かのことを考える。

それは高い樹のてっぺんの一枚の葉のそよぎ。

波長を感じて、点滅して、多分・・光合成して――、

並樹路に出て黄昏の空気を吸いながら・・、

だまり合った、到底認められなくなっている・・、

生活の不思議。毎日の価値――。

コンビニの陳列台、コインランドリーの泡に消え――。

そのうちに僕はそんな些細なことを忘れ・・。


死期見えた昆虫のただ一匹。

掃くように水面をすべる弾着の水しぶき。

いにしえの方をぬすみ見ている僕は――、

時のしずかな呼び声だけを聞いている・・。


何かが正しかった、間違っていたと、

口にした、その場所は、

小川の底で揺れていた小石・・。

真剣に生きるのが嫌だった、

真面目ぶるのがカッコ悪かった、時間の中で――、

すべてを閉ざしたまま、涙を、手に入れたようだ。

決意を手に入れることもできないまま、

僕は、風のように、鳥のように、ついばんでいる・・

生命を吹き荒している・・、さみしさが走り始め、

遠くにまで慈愛が満ち溢れている、午後――、

美しい言葉だけが大人の教科書・・。

だから、自由に生きることは・・、

そんなに難しくない気がしていたんだ、軽く弾む声、

熱くなる心臓、と、続けても・・、言っても――、

滑稽――、いまではもう手が届かない熱情・・。


ぶざまに、すり抜けてしまう・・、

いま聞こえる花びらの落ちる音は、僕の泣きたい心だ・・、

――クレヨンで色とりどりに汚れた手・・、

あの忌まわしい咽喉のあたりで、大交響のまえぶれが・・、

来る――、覚えているか、よもや忘れていはしまいか・・、

神様が生まれては消えていく・・ひとしきり、

先生に言われた言葉や、友達にとられた態度・・、

――親にされた顔つきを、思いかえしている・・。


聞いてくれるか、かすかな残像よ、

みなわが花を咲かせている。

雲がながれている、いま僕に当たるその光の前方へ、

身をなげかけ、どこかへ走り去る――すぐ・・!

照れくさくて言えない、

素直にならなければ生まれてはこない言葉の世界に、

身を浸している。こんなにすぐそばにある、

美の秩序、花片自身のいとけないその秘密、

手を伸ばせば本当にたくさんの愛が手に入る。


このなにもないひと時の中で・・、

言葉はいつになっても、枝に隠れた小鳥・・。

――あの時、見つけた僕の思春期が、

愛の疲労が、たとえ胸からいなくなったとしても、

避けがたくあらがいがたく、優しいガラクタを、

――見つけるだろう・・その非現実の壁を砕いて、

裏切られることをこわがらずに何かを信じて、

限りなく許すことを覚える・・・大人――大人・・。

ずっとそんな気はしている――でも、まだ、何かうまく、

認められないでいる――、今日も、昨日も・・

背後に気を取られた、夢の感触・・。









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最終更新日  2015年11月28日 08時16分53秒
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