まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2020.12.31
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宮崎吾朗/ジブリ/NHK
「アーヤと魔女」を見ました。

あまりにも唐突な終わり方だったので、
なんだか放り投げられた感じです…


世間の子どもたちは、
あの終わり方をどう思ったのか分からないけど、

大人としては、
あまりにも未回収なことが多すぎて、
思わず謎解きをせずにはいられません!



冒頭のシーンで、
バイクにまたがったアーヤの母親は、
黄色い車 (シトロエン2CV) に追われており、
後ろにミミズをぶちまけて逃げおおせました。

あの黄色い車は、
かつて彼女がマンドレークやベラ・ヤーガとともに、
「Earwig」 (ハサミムシ) というロックバンドで活動していたころに、
3人で乗りまわしていたのと同じ車です。
車のナンバーは「MYA-13W」。
(Mandrake/Yaga/A●●●-13Witchの意味かもしれません)


マンドレークの屋敷のガレージに置かれています。
アーヤは、その車のなかから、
Earwigの「Don't disturb me」というレコードを、
もち出したのです。

ラストシーンでは、アーヤがベラ・ヤーガに、


ちなみに原作での主人公の名前は「Earwig」ですから、
彼女の母親は、バンドの名前をそのまま娘につけたのです。



アーヤの母は、
孤児院に次のような置手紙を残しました。

仲間の12人の魔女に追われています。
逃げ切ったら、この子を返してもらいに来ます。


彼女は、黄色い車に追われていたわけですが、
あれを運転していたのは、おそらくベラ・ヤーガです。
マンドレークは男性ですから、
アーヤの母をふくめて13人の「魔女」がいるわけですね。

かりにマンドレークが、
カリスマ的なロックスターだったのだとすれば、
(どう見てもジョン・レノンにそっくり!)
13人の魔女仲間とは、
取り巻きのグルーピーだったのかもしれません。

そのうちの一人 (アーヤの母) が抜け駆けをして、
マンドレークの子供を身ごもってしまい、
ほかの魔女仲間から追われる身になったのではないかしら?

だとすると、
マンドレークは、アーヤの父親である可能性が高いし、
マンドレークとベラ・ヤーガは、
「アーヤが誰の娘なのか」を承知のうえで引き取った可能性がある。

ベラ・ヤーガがアーヤに厳しいのは、
かつてミミズをぶちまけてきた宿敵の娘だからであり、
マンドレークがアーヤに甘いのは、
ほかならぬ自分の娘だからなのかもしれません。

ラストシーンで、
アーヤの母が娘を引き取りに来たのは、
彼女が「12人の魔女仲間」から逃げ切ったからだと思うけれど、
しかし、そこには宿敵ベラ・ヤーガがいるのです…。

屋敷の周囲には、クリスマスツリーがあり、
屋上には「Don't disturb me」のイルミネーションが飾られています。



ちなみに、
Earwigの「Don't disturb me (邪魔するな) 」の歌詞はこうです。

あぁ悪魔は冷えた竃の中で灰をかぶり
アカギレ裸足の娘が泣いている
いつまで待てば夢の王子様が
白馬で迎えに来るのさ


…これは「シンデレラ」のことでしょうか?

お城の塔では玩具に囲まれて
青ざめた顔で王子は引きこもり
百個の鍵を部屋の扉にかけて
女はママしか知らない
あぁ愚かな王子、あぁ醜い娘よ
あぁ扉は開けるためについてるのさ


…これは「ラプンツェル」のことでしょうか?



宮崎吾朗の「山賊の娘ローニャ」もそうだったのですが、

「シンデレラ」も、「ラプンツェル」も
主人公の少女が、
悪い大人(親)の呪縛を乗り越える物語になっています。

山賊の娘ローニャは「わたしは山賊にはならない!」と宣言します。

少女たちは、親世代の「悪」をけっして引き継がないのです。
シンデレラやラプンツェルに登場する大人たちは、
少女にとっての「模範」ではなく、むしろ悪しき「反面教師」です。

それらは少女の成長物語なのですが、
少女が大人になる、ということは、
けっして「親世代と同じ」になることではない。
むしろ、親世代とは違う道を選ぶことなのです。

そこには、悪い大人(親)と同じような生き方をしない、
という強いメッセージがあります。

たとえばラプンツェルにとって、
塔の内側は、けっして安息の空間ではなく、
生きる屍にされてしまうような恐ろしい場所です。
塔の上には、鐘ではなく、
死人の生首が吊るされているのかもしれません。

だから、外に出るためには、
みずから扉を開けなければならないのです。

アーヤはそれを、軽々とやってのけます。




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最終更新日  2024.03.21 06:29:25


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