まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.03.12
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東日本大震災から13周年の祈念日に、

受賞後の山崎貴は、

と発言しました。



国際的な評価とは裏腹に、

国内の怪獣ヲタクの多くは、
今回の作品にネガティブな反応を示していたし、
ネトウヨやミリタリーヲタクも、


次回のゴジラ映画は、
きっと、いつものように、
怪獣が暴れまわるだけの痛快なエンタメに揺り戻す…
とも予測してたわけですが、

意外なことに、山崎貴は、
あくまで「社会派路線」を強めるのかもしれません。



実際のところ、
海外市場のいっそうの拡大を目指すなら、
国内のヲタク層の嗜好なんぞに合わせるべきではない。

ちなみに、

『ゴジラ-1.0』を正当に評価しなかったように、
国内のアニメヲタクも、
宮崎駿の新作をまともには評価しませんでした。

結局のところ、
国内のヲタク層というのは、

作品のテーマ性には関心がなく、理解力もないのです。

もちろん、
怪獣映画やアニメ映画にとって、
怪獣やロボットや美少女への「萌え」は必要条件だけれど、
たんにそれだけでは、
海外市場に訴求するための十分条件にはなりえません。

怪獣映画であれ、アニメ映画であれ、
国際的な評価を獲得するためには、
いっそうのテーマ性の追求こそが不可欠だし、
そのためには社会派作品であることを畏れるべきではない。



今回の米アカデミー賞では、
『ゴジラ-1.0』や『君たちはどう生きるか』だけでなく、

作品賞の『オッペンハイマー』にせよ、
国際長編映画賞の『関心領域』にせよ、
短編アニメ賞の『War is Over!』にせよ、
戦争をテーマにした作品が高く評価されました。

なお、
短編アニメ『War is Over!』を作ったのは、
ジョンとヨーコの息子のショーンですが、
もともとジョン・レノンが反戦運動に身を投じたのも、
被爆国出身のオノ・ヨーコの影響だったのは疑いないし、
ショーン・レノンも当然ながらその志を継いでいる。



一方、
わたし自身もふくめた国内のリベラル層は、

山崎貴のことを、
「百田尚樹の小説なんぞを映画化した男」
として、やや警戒もしてるわけですが、

もともとの話をすれば、
本多猪四郎や円谷英二の場合も、
けっしてリベラルな人間だったわけではなく、
どちらかといえば保守的だったと思います。

むしろ、保守的な日本人だからこそ、
反米的な意志をもってゴジラを作ったのだ…とも言える。

現代のネトウヨみたいに、
広島や長崎の原爆被害をも過小評価して、
反核運動を抑圧しようとする新米右翼は、
もはや「日本人ですらない」と言うべきですが、

ほんとうの保守思想をもつならば、
日本人が被った悲惨な原爆被害について、
「アメリカ人に正面から思い知らせるべきだ」
…と考えるのが普通だろうと思います。



もちろん、
アメリカの一般の観客や評論家たちが、
それを真面目に受け止めるかどうかは別問題です。

しかし、ゴジラ映画のなかで、
「原爆症」などの被害を表現する場合に、
かならずしも米国を加害者として描く必要はないし、
物語の舞台を広島や長崎に設定する必要もないとは思う。

たとえば、ひとつの手法として、
福島の原発事故をモデルにしながら、
そこで「原爆症」と同様の被害を表現することも、
テクニックとしてなら十分に可能だろうし、

それどころか、ゴジラが、
「原爆」のみならず「原発」の問題に向き合うのは、
ある意味での必然じゃないかとすら感じます。
それは、とりもなおさず、
ゴジラが「東北」に向き合うということでもある。



本多猪四郎や円谷英二は東北の人間でした。
とくに円谷英二はフクシマ出身です。

ゴジラ誕生から70年目のオスカー受賞が、
よりによって「3.11」だったのは偶然ではないかもしれない。

福島第一原発が立地する双葉町は、
フタバスズキリュウなどの恐竜の化石の宝庫であり、
そこもまた広島や長崎と同様の「被爆地」なのです。



これは、
一義的には東宝の責任でしょうが、

今回のような世界的な栄誉をめぐっても、
ゴジラの生みの親である本多猪四郎や、
視覚効果技術の原点である円谷英二へのリスペクトは、
まったく足りてないんじゃないかと思います。

本多や円谷の地元の東北で、
今回の快挙がどう受け止められてるのかも、
メディアの報道からはまったく聞こえてこない。

東宝は、
ライセンスなどの面でもそうですが、
内容の面においても、
円谷英二や本多猪四郎の業績に対して、
もっと真摯な形で向き合うべきです。



山崎貴が、
どのような構想をもって、
「オッペンハイマーへのアンサーを作る」
と言ってるのか分かりませんが、

わたしは、ゴジラの次回作が、
東京でもなければ、広島や長崎でもなく、
東北に結びつく形で作られる可能性もあると思う。

▶ 山崎貴『ゴジラ-1.0』と関川秀雄『きけ、わだつみの声』の関係。



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最終更新日  2024.03.12 11:18:11


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