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若い頃、今はなき(といっても物件跡は未だ当時のまま)飯田橋ギンレイホール(及び併設のピンク映画館のくらら)に足繁く通ったものです(カッコ内のくららはあまり気の利いた作品が上映されることがなかったたま指折り程度)。当時は相当に貧乏生活を送っていたので、映画と映画の合い間に時間を潰そうと思っても喫茶店などで浪費するようなことはできなかったのだ。図書館などの公共施設で過ごそうとはなぜか思わなかったのですね。じゃあ何をしていたかというと、ひたすら歩いていたのでした。映画漬けの日常で足腰の衰えをどこかで不安に感じていたのかもしれません。とにかくただただ歩いていたのです。でも人というのは闇雲に盲滅法歩くなどできるはずもないのです。ぼくの場合は、とにかく朝は早朝から開館する、例えば桜木町にあったヨコハマニュース劇場なんかに向かい、次に川崎の川崎国際劇場、そして次が大井町の大井武蔵野といったスケジュールをこなすわけですが、こういう京浜東北線の沿線でハシゴするとなるとどうしたって沿線沿いを繰り返し歩くことになり、多少脱線しても意識としては常に京浜東北線の線路に沿って歩こうという意思が働く訳です。例外的には多少脱線が過ぎてしまうと持ち前の方向感覚の乱れからとんでもない場所を進んでいることに気付くこともあるけれど、そうなると次の上映開始時間が気になって風景煮など目がいかなくなるのです。純粋に行き先を決めずに散策できるようになるには公共交通機関の縛りから脱するしかないのかもしれません。というか、散策者としてあるまじき蛮行ではありますが、タクシー利用に躊躇しないようになれない限りは自由に町歩きできるようにはなれないんじゃないかなんて思ってしまうのです。 と当初想定していた話から逸脱してしまいましたが、飯田橋も散々歩いている割には首都高速5号池袋線沿いというか神田川沿いを歩くことはほとんどなかったようです。いや、北岸はそこそこ歩いているはずですが、なぜか南岸側を歩いた覚えがあまりないのです。というのが、「中華 アオキ」を目撃した記憶がなかったからで、単にこの渋い中華屋さんを覚えていなくてもまあ仕方のないことですが、以前は恐らくこの通りには居酒屋などの飲食店が立ち並んでいたように思われるから、記憶の琴線に触れることがあっても不思議ではなさそうなのです。ともあれこの外観を目にしてしまっては、いくらお腹が空いていなくても立ち寄らざるを得ないのでした。昼下がりではありましたが、幸いにもまだ営業中です。調べるとこちら、11時から16時までの営業時間と訪れる機会はそうそうなさそうだったので、改めて入っておいてよかったなあと思ったのです。しかしまあ、店の方たちを見るとまだまだ現役世代が活躍されているので、当分は変わらず営業を続けられるように思われます。取り急ぎビールをもらったら、ビールしかないというお答え。特に意地悪だった訳じゃなくて、以前は清酒も提供していたからそう仰っただけと理解します。さて、すでに書いたとおりすでにそれなりにお腹は満たされていたので、まるまる1食分を食べ切るのはちょっと自信がありません。こういう場合2名だと助かるなあ。餃子とソース焼きそばをもらうことにしました。どちらも普通よりちょっと美味しいかな。というかコチラの料理は値段もそこそこするのですが、とにかく盛りがかなりのものなのです。だからでしょうか、腹を空かせたお客さんたち(いかにも食欲旺盛って感じの人ばかりだったような)がポツリポツリと訪れるのでした。今度来る機会があったらやはりしっかり歩いて腹を空かせてから訪れるべきでありましょう。
2024/04/29
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都心部には、案外暗いエリアが存在していますが、護国寺界隈は都心の暗部エリアでも相当にハイレベルな場所と思われます。特に夜になると街灯も少なく、小篠坂ないしは日出通り(夜中にこの通りを歩いて日出というネーミングに思い至る人など皆無ではないだろうか)と呼ばれる通りは自動車の往来は激しいけれど、人の姿を目にすることはほとんどなかったりします。そりゃまあ護国寺と雑司が谷霊園という都内でも有数の墓地に挟まれた通りなのだから寂しいのは当然のことかもしれません。寂しいにもかかわらず、雑司が谷霊園を暗闇にジョギングする人や通り抜けする人がかっぱらいに遭ったといういう話は余り聞いたこともないから、これは日本の治安の良さというよりは、余りにも人気がないからかっぱらいが狙い目とすることもないというのが正しそうに思えるのです。でもこういう暗部にも酒場が存在するのです。住宅がそれなりにあるから住民もそこそこ存在するのでしょうが、住民だけで酒場が成立するのはなかなか困難に思えます。それこそスナックなんかだと辛うじてやっていけそうにも思えますが、純粋な居酒屋ではかなり商売として厳しいのではないだろうか。そういう謎めいたところがあるから、こうした場所にある酒場がぼくの好奇心をくすぐってやまないのであります。 ということで今回訪れたのは、「居酒屋 六角牛」です。以前、すぐそばの「焼鳥屋 いいね」というテイクアウトメインで店舗の一画が立ち呑みになっているお店にお邪魔したことがあります。その脇の細い路地の蕎麦屋「松栄庵」にもお邪魔しています。でも「居酒屋 六角牛」のことはずっと気になりながらもなかなかお邪魔する機会がなかったのです。というのもこの辺を歩くのは大概そこそこ酔っ払っている時が多くて(こんな暗く寂しい通りを酔っ払って千鳥足で歩くのもどうかと思うけど)、なんとか池袋駅まで辿り着こうと思っているから、さすがにこんな半端な場所でゆっくりと寄り道している暇などなかなかお膳立てできぬのでした。この日はどうにも気力が湧かない割に未知の酒場に行きたい気分が高じていたことから、近頃10数年のブランクを置いて仲良くしているK氏と一緒になったので、伴って出向くことに決めたのです。家の方向が同じということもここを訪れるきっかけではあったのです。ということで見慣れてはいるこの酒場の戸をいよいよ開く時が訪れました。ガラリ、と開いた先に待ち受けていたのは、まるで家じゃん、だったのです。いやいや、内装はごちゃついてはいるけれど居酒屋の体裁を一応は保っているのです。普通の居酒屋と比較して"家じゃん"ってなったのは、客たちのそのリラックスぶりにあったのです。だって、ちょっと若い人はカウンターと一体になった小上がりで横たわってテレビを見ているんだからね。初老の方は座ってはいるけれど、明らかにくつろぎ切っているし、店の女将さんは一応カウンターの中にいるけれど、やはり少しも商売っ気がないのです。ここが居酒屋でなければ、このお三方、両親とその息子にしか見えないんです。そんななのに未知なる客のわれわれもあっさりと受け入れてくれるのが面白い。品書きはなくて、女将さんがお通しにポテサラを出してくれました。あるものなら適当に調理して出してくれるようではありますが、まあ酒が呑めれば文句はないのです。で、かなり独特なこの雰囲気でありますが、すぐにわれわれも馴染んでしまって、案外心地良く思ったよりも長く過ごさせてもらったのでした。まあ、こういう商売っ気なしの酒場ってたまにあるんですよね。そしてこれはこれで悪くなかったりするんですね。
2024/04/28
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「4月29日はナポリタンの日!」なんだそうな。macaroni 「究極のナポリタンマニアが教えるおいしい作り方。3つのコツで自分史上最高の味」https://macaro-ni.jp/100197#heading-1588790 どうして4月29日なのか、ちょっと気になった。検索すればその回答はすぐに明らかになるとは思うのだけれど、まるっきり考えもせずに調べるのは解決策として安直に過ぎるだろう。ということでたまには必死になって考えてみることにしたのです。「4」「2」「9」という数字で語呂合わせを考えてみたのです。その思考過程は割愛するけれど、結論として正解らしきものを得ることはできなかったのです。やむなくウィキペディアで「4月29日」を調べることにする。https://ja.wikipedia.org/wiki/4%E6%9C%8829%E6%97%A5 できごと、誕生日、記念日・年中行事、フィクションのできごととつらつらと目を凝らして「ナポリタン」との関連を読み取ろうとするのだけれど、どうしても回答には辿り着けなかったのです。もう少し粘ってみても良さそうなものですが、この頃にはすでにほとんどの興味を失っていたのです。回答は、以下にありました。chrome-extension://oemmndcbldboiebfnladdacbdfmadadm/https://www.kagome.co.jp/library/company/news/2018/img/2018040400001.pdf 世の中には知らずにいた方がいいこと、いや、知らずにいても一向に差し支えないことがあるのだなあと思い知らされたのです。ナポリタンサンド【材料】バゲット(トースト)・スパゲッティ(茹でる)・ベーコン(みじん切り)・玉ねぎ(みじん切り)・ピーマン(みじん切り)・トマトケチャップ・バター・粉チーズ・タバスコ 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱してベーコン、玉ねぎ、ピーマンを炒める。トマトケチャップを加える。スパゲッティを加える。バゲットにのせて粉チーズ、タバスコを散らす。 パンとナポリタンの組合せならコッペパンが定番ですが、ロールパンでも食パンだってソフトフランスだって構わないわけです。どのパンに挟んでもちょっと食感に違いがあってでも味はそう変わらないのです。肝心なのは高級なものではなく、大手メーカーの安価なものの方がナポリタンとの相性はいいようです。グラナポトースト【材料】食パン(トースト)/溶けるチーズ/【ナポリタンの具】ソーセージ(斜め薄切り)・玉ねぎ(くし型切り)・ピーマン(横5mm幅)・トマトケチャップ・トマトペースト・バター/【ホワイトソース】バター・小麦粉・牛乳・塩・白胡椒・ナツメグ/【トッピング】タバスコ 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱してソーセージ、玉ねぎ(、ピーマンを炒める。トマトケチャップ、トマトペーストを加える。2. 鍋にバターを熱して小麦粉を炒める。牛乳を加える。塩、白胡椒、ナツメグを加える。3. 食パンに1.をのせて2.をかける。溶けるチーズを散らしてトースターで焼く。タバスコを散らす。 たまたま冷蔵庫にナポリタンの具材とホワイトソースが保存されているなんてことあるはずがなさそうですが、あるのです。ぼくはパン好きではありますが、毎朝食べるから常に食パンを切らさないってほどではないのです。だからこの3者が揃ってあるのはかなり珍しいのですが、ぼくには起こり得たのです。これを作るためにわざわざ両方を用意するようなマメな人は存在しないと思いたい。大量に作り置きでもある店の賄いとかだったら食べる機会もないとは言わないけれど、自宅でいちいちこれを作るような人とはぼくはとても付き合えそうにありません。マカロニナポリタン【材料】マカロニ(茹でる)・玉ねぎ(みじん切り)・ピーマン(みじん切り)・ベーコン(みじん切り)・にんにく・バター・トマト水煮・トマトペースト・トマトケチャップ・ウスターソース・塩・胡椒・白胡椒・粉チーズ・タバスコ 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱して玉ねぎ、ピーマン、ベーコン、にんにくを炒める。トマト水煮、トマトペースト、トマトケチャップを沸かす。マカロニ、ウスターソース、塩、胡椒、白胡椒を加える。皿に盛って粉チーズ、タバスコを散らす。 多分、覚えていないだけで以前も作ったことがありそうです。スパゲッティをマカロニに置き換えてみたらどうなるか、試してみたくなりました。結論としては、思った通りの味ですけど、やはりスパゲッティがいいかなってなったのでした。ナポリタン厚揚げ【材料】厚揚げ(縦2等分)・溶けるチーズ・玉ねぎ(みじん切り)・ピーマン(みじん切り)・ベーコン(みじん切り)・にんにく・バター・トマト水煮・トマトペースト・トマトケチャップ・ウスターソース・塩・胡椒・白胡椒・タバスコ 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱して玉ねぎ、ピーマン、ベーコン、にんにくを炒める。トマト水煮、トマトペースト、トマトケチャップを沸かす。マカロニ、ウスターソース、塩、胡椒、白胡椒を加える。2. 厚揚げに1.、溶けるチーズを挟んでグリルで焼く。皿に盛ってタバスコを散らす。 厚揚げのレシピって色々あるけど、まあ厚揚げも炭水化物同様に強い個性のある食材ではないからまあ和洋中、どんな味付けでも大概受け止めてくれます。だからこれまた合うのは分かっているけれど、もう一度食べたいかと言われるとそこまでではないという答えになるのです。
2024/04/27
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懲りずにチェーホフの「揚げた玉ねぎ」の正体に迫ってみることにします。「揚げた玉ねぎ」として考えられるのはオニオン・チップもしくはフライド・オニオンってことになるでしょうか。前者はスナック菓子だからきっと違いそう。Wikipediaによると「フライドオニオンは、タマネギの薄切りをフライパンで炒めたり、揚げたりしたもの」が正解であるというのが蓋然性が高そうです。しかし、チェーホフの「揚げた玉ねぎ」が仮にフライド・オニオンであったとして、これをどうやって食べたんだろう。そりゃまあ塩をふってそのままで食べられなくもないだろうけれど、アメリカの南部料理の大定番インゲン豆のキャセロールに散らして食べるし、ビリヤニ、ホットドッグ、魯肉飯、コシャリ、ムジャッダラなどいずれもトッピングとして用いられています。するとこんな料理が見つかりました。「伝統的なウクライナの varenyky は、粘土皿にキャベツと揚げた玉ねぎを詰めた ウクライナ料理」だそうです。https://jp.freepik.com/premium-photo/traditional-ukrainian-varenyky-stuffed-with-cabbage-and-fried-onions-in-clay-dishes-ukrainian-cuisine-close-up_38140495.htm でもなあ、ウクライナってロシアに隣接しているといっても広大なロシアの最西端で接しているだけだからねえ。一般的なロシア風餃子のペリメニはヴァレーニキ(varenyky)とはかなり違ったものみたいだからねえ。ふと思いついてチェーホフの生誕地を調べると、なななんとタガンログのあるロストフ州ってウクライナに接していたのですね。となるとウクライナで食べられている料理が共有されていたとしてもおかしな話ではありません。つまり、「揚げた玉ねぎ」はきっとヴァレーニキに用いられたんじゃないかと考えた訳です。どうでしょう? なかなか真実に迫っているような気がします。にしても「粘土皿」って何なんだろうなあ? 疑問は尽きるところを知らぬのでした。オニオングラタンスープ フランス式【材料】玉ねぎ(薄切り) 300g/バター 20g/固形ブイヨン(ビーフ) 1個/水 α+500ml/白ワイン 50~70ml/好みのハーブ((タイム or ローリエ)・ナツメグ・塩・胡椒・バゲット(トースト/にんにくの切り口で擦る) 適宜/にんにく 1片/チーズ(グリュイエール or エメンタール) 100g【作り方】1. 鍋にバターを熱して玉ねぎを炒める。白ワインを少しずつ加える。水を少しずつ加えて20分炒める。水、固形ブイヨンを加える。ハーブを加えて20分煮る。ナツメグ、塩、胡椒を加える。2. 耐熱器にスープを注いでパンをのせ、チーズをかけてオーブンで200℃10分焼く。【備考】dancyu 「辻 仁成の"パリ・スープ"|第十四回"オニオングラタンスープ"」 https://dancyu.jp/recipe/2020_00003921.html 何か写真が違ってる気もするなあ。子供の頃、親に連れて行かれたファミレスにオニオングラタンスープがありました。すごい憧れて、たった一度だけ食べさせてもらったことがありました。感動しました。でも今ではその感動を失ってしまいました。大根のオニオンスープ煮【材料】大根(下茹で)・オニオンスープ・溶けるチーズ 適宜【作り方】1. 耐熱器に大根、オニオンスープ、溶けるチーズを盛ってオーブンで焼く。 写真行方不明。随分地味な料理を作ったものです。こういうの滋味深いとか言ったりするけれど、大概の場合は地味と同義な感じがあります。こういうシンプルな料理はすぐに飽きるので作り過ぎは禁物。オニオンスープカレー【材料】ごはん・オニオンスープ・カレーフレーク・鶏肉(一口大/炒める) 適宜【作り方】1. 鍋でオニオンスープを沸かしてカレーフレーク、鶏肉を加える。耐熱皿にごはんを盛ってかける。 アホみたいな料理ではあります。一般的なカレーでも焦がし玉ねぎを使ったりもしますしね。でもぼくはインド式というか中華式というか余り炒めない玉ねぎのカレーを食べる事が多いのでこれはこれで新鮮です。玉ねぎの味噌汁【材料】玉ねぎ(4等分/横1cm幅) 1個/豆腐(1.5cm角) 1/2丁/ だし・味噌 適宜【作り方】1. 鍋にだしを沸かして玉ねぎを煮る。豆腐、味噌を加える。 子供の頃、ぼくは初心でした。そりゃまあガキの時分から枯れていてはおかしいですね。その当時のぼくは友人だったか誰だったか忘れてしまったけれど、味噌汁の具について語っていて奇異に感じました。奇異に感じた具材の一つが卵で、もう一つが玉ねぎだったのです。今ではどちらも好物になりました。
2024/04/26
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酒場巡りは、楽しい。けれど、時間も予算も限られる中で無理矢理に行っているとどうしたって無理が生じるものです。予算はいうまでもないけれど、時間に関してもせっかく交通機関を乗り継いで辿り着いてみても、じっくり町を散策しつつ酒場を物色するのが楽しみなのにそれをしている暇がないのが非常にもどかしいのです。といって旅先の場合でもそこに宿を取っていたらいいのですが、日帰りでハシゴする場合だと呑みくたびれて休みたいと思ってもなかなか思うような休憩場所がなかったりして時間調整に苦慮することも少なくないのです。インターバルなしにひたすら呑み続けるだけの気力は今のぼくにはもはや残ってはいないのです。以前なら列車で乗降を繰り返しつつ、下車した時間を呑みの時間に充てるという移動中を休息時間とするスタイルを多用しました。でも年齢が増すにつれ、用便のことも考慮に入れて行動する必要が生じています。年を取ることは子供の頃に思っていたより悪くはないみたいですが、それでも気を配るべき事項も増しているように思えます。それはともかくとして、都内でも酒場不毛地帯ってのが結構残っていて、その典型は住宅街です。住宅街ってのは大概繁華街の外周にある場合が多いから、案外行くのが大変だったりするんですね。行きはよいよい帰りは辛いというのは酔っ払いには必ずしも当てはまらないことが多くて、行きは遠いと思っても酔ってるからという理由だけでなく帰りは案外近く感じられるものです。恐らくは帰りの道中にあるということは予定の半分以上を終えているってからなんでしょう。そういう不毛地帯の酒場ってのは不思議なことに数軒が軒を連ねていることが多い気がします。ハシゴを念頭に据えて連帯して店を出してるようにすら思えます。 業平橋の「のみや」は駅からは近いけれど、清澄通りの裏手の通りだから人影もまばらで民家の灯りがあるだけの寂しい立地であります。でも道を挟んで至近にもう一軒酒場があって、実はそこの帰りに立ち寄ったのです。そこは営業時間が8時までとかなり攻めの経営をしているのです。そこのことはまた今度書くとして、先にこちらのことを書くことにしたのには大した理由などないのです。店に入ると店内は静まり返っていて店主も何だか暗い表情を浮かべて出迎えたのです。店の雰囲気は小奇麗でかつあり触れていて、ここはもう一緒に行った旧友との再会を楽しむに徹することにします。すでにそこそこ呑み食いしていたので、肴は簡単なものでいい。と注文したのはポテトフライと何か。なんだそりゃって感じではありますが、とにかく記憶に残っているのはポテトフライがとんでもなく強烈だったからなのです。どう強烈だったか、無茶苦茶しょっぱいのです。どうやったらここまでしょっぱくすることができるのだ。揚げたポテトフライに塩ケースを丸ごと落としてしまったといった程度にしょっぱいのです。皿に塩は落ちていませんが、少なくとも皿に残らぬ程度には塩を払っているようではありますが、それが意味がないと思われるほどに塩辛いのだ。可能性としては、うっかり塩をまぶし過ぎた(普通にまぶしてここまでになるとは考えにくいけれど)、もしくは店主がポテトフライの塩加減がこの程度であると思い込んでいるというものです。いやいやどちらもなさそうだなあ。でもわれわれは成人病などどこ吹く風としっかり完食したのです。当然ながら塩味を呑み込むために結構な量の酒の力を借りたことは申すまでもありません。てな訳で、思ったより長居してしまいましたが、店は入店当時の静寂を保ったままです。お隣の酒場と連携して二軒目酒場としてのポジションを確保したらもっと繁盛しそうなんだけどなあ。そしたら肴も種類ももっと減らして省力化してもやっていけそうですけど。
2024/04/22
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赤坂にはとんと縁がありません。なんて書いてみましたが、実はひと頃、赤坂大好きな知人に連れられて、赤坂の夜を過ごすことも少なくなかったのです。なかなかハイクラスなお店に連れていかれることが多かったのです。その人はTBSに就職するのが小さな頃からの憧れだったのです。一方で弁護士にも強い羨望を抱いていて、界隈に弁護士事務所が数多く存在することから一ツ木通りを闊歩してみることで、念願通りTBSマンや弁護士になった自身の姿を町に投影していたようなのです。逆に将来に対する野心の少しもなかったぼくが自らの足や勘に頼って赤坂の酒場探しをしたのは、そのしばらく後の事でしかもここぞという酒場に遭遇した覚えがないのです。そういう訳で、縁がないというのは必ずしも地縁がないということではなくて、ぼくの庭にはなり得ないといった程度に理解いただきたいのです。ところで、例によって青空文庫で赤坂をキーワードに検索してみたら、江戸川乱歩著『魔法人形』なる小説が引っ掛かってきました。聞き覚えないなあと思ったら、ポプラ社「江戸川乱歩・少年探偵団」シリーズでは『悪魔人形』と改題されていたようです。その一節に、--赤坂見附に近いルミちゃんの家では、ルミちゃんが夜になっても帰らないので、大さわぎになっていました。 ルミちゃんのおとうさんの甲野光雄こうのみつおさんは、ある大きな会社の重役で、たいへんお金持ちでした。-- という一文がありますが、これだけでぼくが好きになれない理由はお察しいただけるでしょう。 それなのにこの日、赤坂で呑むことにしたのには、ちょうど出張で赤坂を訪れたからといういうだけのことなのでした。赤坂を振り出しに縁の薄い地域を訪れることも考えたのですが、慌ただしい日々が続いたのでリサーチしている暇もなかったのでした。4時前という夕方というにも早い時間に解放されたのでさてこれは困ったと思ったら、何のことはない赤坂見附駅の改札を上がったところに「やき鳥 おでん 千成」なる酒場が営業していたのです。この時間で居酒屋が営業しているとはありがたい。外観にそそられる要素はありませんが、贅沢は言ってられません。店内では若者が一人で食事をしている他にご隠居3人組がすでにいい具合に出来上がっています。おでんのセットとチューハイを注文します。彼らの会話を盗み聞きしていると本来放流する予定のもう1人が約束を失念していたらしく今から向かうということのようです。あらあら彼らはついさっきご機嫌に〆のおにぎりを注文していたのにね。結局、しばらく時間を潰してから合流することにしたようですが、昼間っから愉快に呑み食いしてブラブラしていられる彼らに深く嫉妬してしまったのです。それにしても彼らはどういう理由で赤坂に集ったのだろう。昼間から呑むなら上野なんかに行った方が店探しには事欠かないはずで、赤坂にいきなり来てみて日中から営業している酒場を見つけようというのは大間違いに思えるのです。現役時代からこの酒場をしばしば利用していたとかで、ここの存在を認知していたのであればそれはそれで納得できるのですが、彼らの会話を漏れ聞いていると偶然遭遇した店らしいのだ。これから合流しようという1名は間もなく家を出るので1時間後には着けるといったやり取りから想像すると、立地的には都心の中の都心である浅坂まで電車で30~40分もあれば辿り着けるということだから山手線演繹ないしはその広くない外周の範囲に収まるはずです。無論、この1名だけが特に近隣に在住している可能性もあるけれど、彼らの集合し易いのが赤坂だったということか。いやいやその割にはゴルフなどでちょくちょく集まっているらしいから、たまには赤坂でってことになった程度の事なのかもしれません。といったような店の事より他の客の様子が気になるといった程度のごく普通の店ですが、ファミレスなんかじゃなく普通の居酒屋で昼間から呑める店があるのは有難いことです。
2024/04/21
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今更ではあるけれど、ぼくはスパゲッティが好きです。最悪、オリーブ油に塩だけだったり、醤油だけでも食べれてしまう。単に塩だけとか醤油だけでも食べられなくはないけれど、オリーブ油があると圧倒的に美味くなります。そういう意味では米というか米飯の方が勝っているともいえるかもしれない。塩だけの塩むすびや味噌や醤油を塗っただけの焼きむすびで上等なんだから、私見ではやはり米が実力で上回っていると思うのです。でも塩むすびでも焼おにぎりでもそれで酒の肴にできなくはないけれど、スパゲッティの方がより酒のアテには向いていると思うのですが、いかがでしょう。でも焼きおにぎりにバターの一片でものせたらそれはそれで立派な酒の肴となり得そうだから、一概にどちらが上とは言えないかもしれません。でも少なくとも、うどんやそばに塩だけとか醤油だけとかで食べ続けるのはキツいからこの辺よりは汎用性が高いとはいえそうです。ところで、スパゲッティ好きというとぼくはどうしても古川緑波を思い浮かべます。『古川ロッパ昭和日記』を紐解くとそこら中にスパゲッティという単語を見出すことができます。きっちり確認した訳じゃないですけど、特に昭和九年頃はとりわけ好んで食べていたように思えます。日を開けずに食べる事もあったようです。ということで今回はスパゲッティなのです。話の流れから貧乏系スパゲッティを数種。ちなみにロッパ氏は、スパゲッティ、スパゲティの綴りには余り拘りはないようです。魚醤のトマトスパゲッティ【材料】スパゲッティ(茹でる) 150g/トマト水煮 1缶/魚醤 大さじ1.5/オリーブ油 小さじ1.5/にんにく 1片/白ワイン 80ml【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱してにんにくを炒める。トマト水煮を加える。白ワインを加えて煮る。魚醤を加える。茹で汁(80ml)を加える。スパゲッティを加える。胡椒を散らす。【備考】dancyu 「トマトのコクが深まる"魚醤のトマトスパゲッティ"」https://dancyu.jp/recipe/2023_00007685.html 恥ずかしながらパスタに魚醤(イタリアのコラトゥーラ)が合うなんてつい最近まで考えてもみませんでした。でもこの美味しさを知るとヴァラエティーが一気に増えます。これはレシピ有の一品ですが、これなら大概自宅に揃っていていざという時でも簡単に作ることができます。スパゲッティ デル ポヴェレッロ(貧乏人のパスタ)【材料】スパゲッティ(茹でる) 80g/オリーブ油 15ml/にんにく 1/2片/卵 1個/卵(目玉焼き) 1個/パルミジャーノ・胡椒 適宜【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱してにんにくを炒める。卵を加えて混ぜる。茹で汁を加える。スパゲッティを加える。皿に盛って目玉焼きをのせ、パルミジャーノ、胡椒を散らす。【備考】料理リレー レシピ集 「【スパゲッティ デル ポヴェレッロ】」http://cookingrelay2020.jp/2020/06/16/post-11780/ イタリアでは卵系とパン粉系の貧乏人のパスタがあるみたいですが、後者はともかく前者はちっとも貧乏臭くないですね。ぼくには贅沢だけど一度は食べてみたいと作ってみることにしました。確かに旨いけどぼくならついつい卵の仕上げをオムレツ上にしたりスクランブルエッグにしたりと余計な工夫をしちゃいそうです。贅沢品なのに写真無し!馬車引き風パスタ【材料】スパゲッティ(茹でる) 110g/パン粉(細かく砕く) 25g/塩 適宜/アンチョビ 1枚/イタリアンパセリ小さじ2/オリーブ油 適宜/【A】オリーブ油 大さじ1/2/にんにく 1/4片/【B】オリーブ油 大さじ1/にんにく 1/2片【作り方】1. フライパンで【a】の材料を炒める。パン粉を加える。塩を加えて取り出す。2. フライパンに【b】の材料を炒める。アンチョビを加える。イタリアンパセリ(半量)、茹で汁(1/2カップ)を加える。スパゲッティを加える。1.(半量)を加える。皿に盛って1.(半量)、イタリアンパセリ(半量)を散らしてオリーブ油をかける。 こちらがもう一つの本場風ビンボー系パスタ。むしろ卵より美味しいんでないのと思ってもいなかった感想を漏らしてしまいました。でも小麦の害が喧伝されているのを思うとつい躊躇っちゃうレシピではあります。ビーゴリ・イン・サルサ【材料】ビーゴリ(or スパゲッティ/茹でる) 200g/アンチョビ 6尾/玉ねぎ(みじん切り) 1個/オリーブ油 適宜/バター 10g/胡椒 適宜【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱して玉ねぎを炒める。アンチョビを加える。ビーゴリ、茹で汁、バターを加える。皿に盛って胡椒を散らす。 さっきのパン粉を玉ねぎに置き換えたみたいなもので、まあ悪くはないけれど、想像したまんまではあります。ここでは玉ねぎをみじん切りにしてますが、くし型切り位が適当かも。
2024/04/20
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同じイモでも種類によってかな/カナ/漢字など色々と表記の仕方があって、いつでも迷ってしまいます。じゃがいもひとつ取ってみても、平仮名で「じゃがいも」と書く場合もあれば、「ジャガイモ」「じゃが芋」といった記載もあります。ぼくにとってしっくりとくるのは、「じゃがいも」とかな表記になります。がさつまいもの場合は、かなよりも片仮名で「サツマイモ」と書くのが馴染みがいいのです。さつま芋でも薩摩芋でもないのです。同様に「里芋」や「山芋」はどちらも漢字で記すのが馴染みがよかったり、これはもう理屈もへったくれもなく好みの問題でしかないようです。拘るまでのことではなさそうですが、ぼくにはどうにも気に掛かるものなのです。小説家でも拘りのある人ない人様々であり、現代作家であからさまに拘りのある作家としては川上弘美を挙げることができそうです。それはさておき、ぼくには「芋」という感じに各種イモ類を重ねることがどうにもできないのです。里芋や長芋などの日本で古来から食べられていたイモいもに充てるのはまだしもじゃがいも、サツマイモには、どうしてもこの字を充てるのは不適当に思えるのです。ちなみに「芋」の字の成り立ちは以下の通りとのこと。漢字/漢和/語源辞典https://okjiten.jp/kanji307.html う~ん、何か文字面とはどうもイメージが違っているなあ。ということで今回はじゃがいもです。貝ひもとじゃがいものバター炒め【材料】貝ひも 50g/じゃがいも(茹でる/一口大) 2個/バター 小さじ2/白ワイン 大さじ1/にんにく 小さじ1/グリーンオリーブ(2等分) 6個/大葉(千切り)・塩・胡椒・醤油 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱してにんにくを炒める。貝ひもを加える。白ワインを加える。じゃがいも、グリーンオリーブを加える。塩、胡椒、醤油を加える。皿に盛って大葉を散らす。 じゃがいもと合わせられないものなどほとんどなさそうですが、貝ひもと併せたら予想通りに美味しかったので一応書き残します。でもうちの近所のスーパーでは最近になって貝ひもの取り扱いを始めたけど、簡単に手に入るものなんだろうか。じゃがいものソースのパスタ【材料】パスタ 140g/じゃがいも(2cm角) 1個/ローズマリー 1本/粉チーズ 適宜/赤唐辛子 1/2本/オリーブ油・水 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱してにんにくを炒める。ローズマリー、赤唐辛子を加える。じゃがいもを加える。水、塩を加えて煮る。パスタを加える。【備考】料理リレー レシピ集 「【じゃがいものソースのパスタ】」http://cookingrelay2020.jp/2020/05/29/post-9785/ 炭水化物にじゃがいもというのはちょっと面白いかな。ポテサラにパンなら普通ですが、ポテサラごはんとかそばはちょっと変わってるかも。あんまり食べたいとは思いませんが。パスタはまずまず好相性。コルキャノン【材料】じゃがいも(皮を剥く/2cm角/蒸かす) 4個/キャベツ(1cm幅/蒸かす) 4枚/牛乳100ml/バター 20g/塩・胡椒・パセリ 適宜【作り方】1. 鍋で牛乳を沸かす。じゃがいも、バターを加えて潰す。キャベツ、塩、胡椒を加える。パセリを散らす。 グレートブリテン島では定番らしい料理。若い頃は簡単なので時折作って食べてましたが、ある時期からぱったり食べなくなったのを近頃は残った牛乳の消費レシピとしてたまに作るようになりました。コルキャノンパスタコルキャノンそばコルキャノングラタン コルキャノンをそのまま食べるのも飽きちゃうので、パスタ、そば、グラタンにしました。どれもまあ悪くはないのですが、なんだか満足感がいまひとつ感じられない仕上がりとなりました。あんまり余計な食材を加えたらコルキャノンとは全く別物になっちゃうんだろうなあ。
2024/04/19
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何度となく書いてきたけれど、ぼくは本質的にぐうたらな人間なのです。いざ出掛けるってなるととにかくちょこまかマメに歩き回ったりもするけれど、逆にこの日は家でゴロゴロするんだって決めた日にはコンビニに買い物どころかゴミ捨てに行くのすら面倒に思えるのです。脱線になりますが、子供の頃からテレビが好きで見る見ないに関わらず電源を付けっぱなしにしていたものですが、最近はテレビの音声のみならず画面のちょこまかとした編集が及ぼすチカチカしたところが目障りで電源を切っている時間がとても長くなりました。でもニュース番組を中心にいくつかの番組位は見るのですが、ニュースを見ていると休みの日にはとにかく家でのんびり過ごすことができない人がとんでもなく多いことに驚かされます。ぼくには何が面白いかまるで分らぬイベントにどっと人々が押し寄せているのを見ると、ホントにそんなことに興味あるのかよと思うと同時に、そうまでして混み合う中、出掛けることに怪訝な気持ちを抱かざるを得ないのでした。ぼくは混雑する場所は余程のことがなければ回避したいと思っているし、のんびりする時は徹底的にのんびりしたいと思っているから、鮪や鰹みたいに、立ち止まると死んでしまうとでも思っているんじゃないか。と、活動的な人たちを嘲るような文章を書いたらしいのだけれど、どうしてこんなことを書こうと思ったのかどうも思い出せません。しかも嘲るようでいて、単に怠惰に陥っている自身のあり様を擁護しようとしているようにしか思えぬのです。カッコ悪いなあ。 と何やら意味不明な導入となりましたが、志村三丁目の「大衆酒場 巴」にお邪魔しました。目にした瞬間にこれは入らねばなるまいという使命感すら抱かされてしまったのです。というか志村三丁目は初めてではないから、万が一にも以前この酒場を目撃していたらどんなに終電が迫ろうが、酔っ払っていようが間違いなく立ち寄っていたはずです。最近の体調の芳しからざる状態でもやむなしとして見送ることなどできなかったはずです。それだけの風情を讃えていたわけであります。帰宅してからメモを見てやはり以前訪れていることを確認して安堵したりもしたわけです。でも、よくあることなのでまたかという感じですが、返す返すもまるきり覚えていないというのが不可解かつ不安になるのです。こんなにあからさまにいい感じの酒場を忘れてしまうんだからなあ。いつもなら何度でも初体験を味わえるなんてラッキーなことだなどと開き直ってみせたものですが、実のところ、世間の酒場の近い将来に対しての不安が日毎に増しているのでした。不安がる暇があれば行動せよといった言い方がありますが、そういう言い方ってのは自分が頑張ればなんとかなることに対して用いるべきで、いくら自分がせっせと通ったところでその酒場の延命にはさほど寄与しないであろう場合には有効ではなさそうです。だからこの先ぼくも含めた酒場好きは、常に不安を抱きながら酒場通いを続けることを余儀なくされるのではないか。と暗澹たることを思いつつカウンター席に着くなんてことは実際はなくて、席に落ち着くと気持ちは多幸感に埋め尽くされるのです。そうでもない場合も少なくないけれど、大概は楽しい気分へとすぐに切り替わるのです。具ナシのおつまみ焼きそばなんてのも自宅で食べても旨くもなんともないはずなのに、酒場で食べるとオツなものに思えるのだから酒場の謎めいた潜在力の一端でも会得して、将来の酒場のない時代を乗り切れるように備えることにします。
2024/04/15
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タイトルに「家に帰ったみたい」なんて書いてしまったけれど、もうその時点でホントにそれでいいのかなんてことを思ってみたりするのです。ってまあこんなことを書いたらもうこの先、何を言わんかなどということはとっくにご承知いただけてしまったはずです。全員が全員そうとは言わないけれど、かなり多くの人たちは真っ直ぐ帰宅したくないからわざわざ寄り道して呑みに行くのだろうと想像されるのです。逆に家に帰っても待ち人などいないからこそ呑みに行くという人もいるかもしれません。いずれにしても実際に住んでいる家に帰るのが嫌だと考える人が居酒屋に寄り道して帰るのであって、そこが居心地良かったりすると、そここそが真の家よりも好きってなるから家みたいなんて言ってみたりするのかなあ。ぼくはどうかというと毎晩のように通っている酒場に家を感じることはないかなあ。それは実際の家が好きで好きで仕方ないとかいった話ではなくて、いくら家族のような付き合いをしたところで、店に集まる人たちは結局のところ他人でしかないのであります。実の家族も他人ではないかという人もいるかもしれませんが、家族というのは好き嫌いに関わらず相互に何某かの責任などと無縁ではいられないものです。その点、居酒屋の常連たちは、仮に実の家族以上に長く過ごして会話を交わしていたとしてもその場限りの関係であります。責任という見えない糸でどこにいても責任から逃れられぬ家族とはやはり別物なのです。だからある日を境にフッツリと消息を絶ってしまう人というのがいたりする。それは寂しいことではある。だけど、それは当たり前のことです。そのことに酷く喪失感を覚える人もいるようですが、それは悲しかったり残念だったりするけれど、やはり居酒屋は所詮、仮初の家庭でしかなく、人は結局は本来いるべき場所に帰っていくものです。 なんてつらつらともっともらしいことを書いたけれど、ぼくはどちらかといえば酒場の付き合いを酒場の外部に拡大することを避けたいと思っています。親しい人が増えるということは、その分、将来失う人が多くなるという事であって、出会いの場を酒場に限定するなら、もしその酒場が閉業したとしてもまたどこかで出会えるかもしれないという希望が残せるんじゃないか。と書くと割り切った考えの持ち主のようであるけれど、そんなことは今ではなかなかあり得ない。ぼくもいつ登録したか全く覚えがないのですが、lineを交換していたりして時折でしかないけれど、やり取りしたりすることもあるのです。店の仕舞いが縁のとりあえずの終いであるというのはむしろ健全なのかもしれないなあ。といった感想を漏らしたくなるような酒場が赤羽岩淵にありました。店名がそのままズバリ、「居酒屋 仲よし」なんだからねえ。そういえば居酒屋って仮初の家族関係や交友を暗示する店名が多いですね。「おふくろ」、「親爺」、「姉妹」、「友」、「悪友」などなど。誰しも第二の家庭を切望しているってことなんでしょうか。さて、こちらはカウンター席だけのお店だったような。ほぼ満席で辛うじて入れてもらえたものの、皆が揃いも揃って顔見知り。家族ぐるみの付き合いの方もおられると耳にしたような気がします。酒はちょいお高めの値段設定になっているけれど、常連の店というのはボトルをキープしてお得さを享受できるというシステムになっていることが多いから、一見にはちょっと残念な染み皆事が多く、ここもそれに倣っています。一方で肴はお手頃な点からもその経営理念があくまで常連重視という点の証左ともなっているようです。こうした店で一見になることが必然的に多いぼくはいつだってどうして毎夜のように彼らはここに通うのだろうかと思うのです。でもそんな疑問を抱きつつ10回も通うと(もうひとつの)家庭に帰ってきたといった気分になってしまうんだろうなあ。
2024/04/14
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北大路魯山人が『日本料理の基礎観念』なる御大層な文章を残しています。学術論文調の大仰な標題ではありますが、書かれていることはいつもとさほど変わらぬもっともらしいご高説ばかりなのです。もともと美味いものは、どうしても材料によるので、材料が悪ければ、どんな腕のある料理人だって、どうすることも出来ません。里芋でいっても、ゴリゴリした芋だったら、どんな煮方をしたって、料理人の手に負い切れないのです。 と語ると思ったら、 里芋でありますなら、掘る洗う煮るという具合に続けますと、その芋が少々性のよくないものでも、相当に食べられる。性がよければ、この上、美味いことはないのであります。 なんてことを書いてみたりする。誠に勝手なことばかり書いている。その点、古川緑波は分かり易い。『八の字づくし』で里芋のことを書いています。筆者は、戦前から戦争中にかけて名古屋のことを嫌いだったそうだが、戦後になって食いもの屋が増えて大好きになったそうなのです。まず、宿へ着いたら、八丁味噌の汁を、ふんだんに、と、たのむ。それも、身は、他のものでは、いけない。里芋に限る。それも、東京式に、小さな里芋を、まるごと入れたんでは駄目、短冊(?)に切った奴。朝食には、その八丁味噌汁の三杯汁だ。 こりゃいかにも旨そうです。確かに赤だしに里芋というだけでも旨そうですが、丸のままじゃなく短冊とか拍子木に切った里芋ってのがすごいそそられます。こりゃ早速試してみないといけないなあ。スキアルビキサブジ[インド]【材料】里芋(2cm角/茹でる) 6個/にんにく 1片/赤唐辛子 1本/オリーブ油 大さじ1/クミンシード 適宜/フェヌグリークシード 5個/胡椒 小さじ1/8/ターメリック 小さじ1/2/カスリメティ 小さじ1/カイエンペッパー 小さじ1/8/塩 小さじ1/4/水・マンゴパウダー 適宜【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱し、クミンシード、フェヌグリークシード、赤唐辛子、にんにくを入れる。里芋、胡椒、ターメリック、コリアンダーパウダー、カスリメティ、カイエンペッパー、塩を入れ、水、マンゴパウダーを入れる。蓋をして5分煮る。 インド料理に里芋を使ったレシピはたくさんあります。きっと日本の里芋とはちょっと違っていたりもするんでしょうね。近頃インド料理店に行く機会がめっきり減っていますが、今時は店でも里芋を使ったカレーなど出してくれるんでしょうか。このレシピはカスリメティやマンゴパウダーなど登場機会の少ないスパイス・ハーブを使うことができて重宝しそうです。里芋のコランブ[インド]【材料】里芋(8mm角) 2個/カレーリーフ 6枚/ヒン 適宜/ココナッツミルク(炒る) 50ml/塩 小さじ1/2/クミンシード(炒る/潰す) 小さじ2/3/胡椒 小さじ1/4/ココナッツファイン 大さじ2/水 適宜【作り方】1. 鍋に里芋、カレーリーフ、ヒンを入れ、水を入れて熱する。弱火で蓋をして煮る。2. 残りの材料をすべて入れて混ぜる。 一転してこちらはココナッツ風味のレシピです。いかにも南インド料理らしいレシピでシンプルながら美味しいですね。サンコーチョ[パナマ]【材料】玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/パセリ 大さじ2/鶏肉(骨付) 500g/オリーブ油 大さじ2/里芋 500g/水 1L/塩 小さじ1/チキンコンソメ 小さじ1/オレガノ 適宜/香菜 大さじ2【作り方】1. 鶏肉、玉ねぎ、パセリをボウルに入れよく混ぜ、30分置く。2. 鍋にオリーブ油を入れ、1.を加えて炒める。水、塩、チキンコンソメを入れ、沸騰したら中火で煮る。3. 鶏肉が煮えたら里芋を入れ、弱火で煮る。オレガノ、香菜を入れる。 オレガノと香菜が入っているのが特徴といえば特徴ですが、非常にさっぱりとしたスープで食べやすいです。でもなんか満足感が薄いんですよね。ヤム・ライス[マレーシア]【材料】ジャスミン米 1合/里芋 10個/椎茸(細切り) 4個/長ねぎ(小口切り) 1/4本/生姜・にんにく 1片/醤油・みりん 大さじ1/五香粉 小さじ1/2/塩・水 適宜【作り方】1. 全ての材料を炊飯器(内釜)に入れて炊く。 里芋のエスニック風な炊き込みごはんでありますが、これがなかなか美味しいのでした。米に別な食材を加えて嵩増しするのってダイエット向けでよくありますが、イモ類にしてはカロリー低めのこれはなかなか有望なレシピではなかろうか。和風に作っても無論イケそうです。
2024/04/13
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芥川龍之介著『LOS CAPRICHOS』という掌編があります。ありますなんてさも知っていたかのような振舞いは時間の無駄だからやめておくことにします。実は今回青空文庫で“香菜”をキーワードに検索したらたまたま引っ掛かったのでした。これがまた奇怪なシロモノでありまして、何故に芥川が斯様な文章を執筆したのか、こそが謎に思えるのでした。眼―中華第一の名庖丁張粛臣の談― 眼をね、今日は眼を御馳走しようと思つたのです。何の眼? 無論人間の眼をですよ。そりや眼を召上がらなければ、人間を召上つたとは云はれませんや。眼と云ふやつはうまいものですぜ。脂があつて、歯ぎれがよくつて、――え、何にする? まあ、湯(タン)へ入れるんですね。丁度鳩の卵のやうに、白眼と黒眼とはつきりしたやつが、香菜(シヤンツアイ)が何かぶちこんだ中に、ふはふは浮いてゐやうと云ふんです。どうです? 悪くはありますまい。私なんぞは話してゐても、自然と唾気がたまつて来ますぜ。そりや清湯燕窩だとか清湯鴒蛋だとかとは、比べものにも何にもなりませんや。所が今日その眼を抜いて見ると、――これにや私も驚きましたね。まるで使ひものにやならないんです。何、男か女か? 男ですよ。男も男も、髭の生えた、フロツク・コオトを着てゐる男ですがね。御覧なさい。此処に名刺[#「名刺」は底本では「名剌」]があります。Herr Stuffendpuff. ちつとは有名な男ですか? 成程ね、つまりその新聞や何かに議論を書いてゐる人間なんでせう。そいつの眼玉がこれぢやありませんか? そら、壁へ叩きつけても、容易な事ぢや破れませんや。驚いたでせう。二つともこの通り入れ眼ですよ。硝子細工の入れ眼ですよ。 香菜が泳ぐ中華スープに目玉がプカリプカリと浮き沈みするなんてのは、ゾッとしませんし、さすがに唾気が湧き出るなんてこともありません。当時はこの程度のアイデアやオチなんかでもそれなりに目新しさがあったのかもしれませんが、すれっからしの現代人にとってはいささかに退屈とも思えるものです。それでも澄んだスープに浮き沈みする香菜と目玉のイメージはそれなりに鮮明で悪くないなあなんて思ったりもするのでした。でも、こんな話を読んだところで、香菜への嫌悪感は少しも沸き立たないってことは小説というジャンルの凋落と見るべきか、それとも読者たるわれわれの読書力の低下にこそ理由を見出すべきなんでしょうか。パクチーとベーコンのパスタ【材料】スパゲッティ(茹でる) 80g/香菜(4cm長) 50g/ベーコン(3cm長) 1枚/にんにく 1片/赤唐辛子(砕く) 1本/オリーブ油 大さじ1.5/塩 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱してにんにく、赤唐辛子を炒める。ベーコンを加える。香菜((茎)を加える。スパゲッティ、茹で汁を加える。香菜(葉)え、塩を加える。【備考】ELLEgourmet 「パクチーとベーコンのパスタ」https://www.elle.com/jp/gourmet/gourmet-recipes/a51257/gco-2058/ 特段にレシピがなくてもいずれはきっと試していたはず(というかすでに食べたことがありそう)。香菜の根っことかをちゃんと炒めて、葉の部分は生のままっていうのも良さそうです。香菜そば【材料】そば(茹でる) 1人前/香菜(4cm長/茹でる) 50g/そばつゆ・ナンプラー・揚げ玉・一味唐辛子 適宜【作り方】1. 丼にそばを盛ってそばつゆ、ナンプラーを注ぎ、香菜、揚げ玉をのせて一味唐辛子を散らす。 そばに香菜は邪道な気もしますが、実はちょくちょくやっちゃってます。三つ葉替わりなんですけど、香りの強い野菜とそばの組合せは悪くないんですねエ。香菜そば【材料】そば(茹でる) 1人前/香菜(5cm幅) 5本/めんつゆ・ナンプラー・スイートチリソース・ピーナッツ(砕く) 適宜【作り方】1. 皿にそばを盛ってめんつゆを注ぎ、ナンプラー、スイートチリソース、ピーナッツを散らす。 こちらはさらにエスニック色を鮮明にしています。これはこれで美味しいのだ。アメリカとかではこれのめんつゆ抜きみたいなので食べちゃう人がいそうです。香菜ラーメン【材料】中華麺(醤油/茹でる)・香菜(4cm幅)・白胡椒 適宜【作り方】1. 丼に中華麺を盛って醤油スープを注ぎ、香菜をのせて白胡椒を散らす。 香菜には白胡椒が合うと思うんですね。ラーメンも同様。ということで白胡椒が合う香菜とラーメンに白胡椒をふるとそりゃまあこんな簡単なのに美味しくなるのです。 香菜っていうのは気に入って良く食べているんですけど、本当のところこれぞという食べ方がないんですねえ。強いて挙げれば香菜ドレッシングで食べる香菜サラダってことになりますが、それを上回る食べ方があるように思うのです。時間に余裕が出てきたらまたレシピ探しを再開したいものです。
2024/04/12
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もう一つこの3日に及ぶ闘病の日々で自らを驚かしたのが、ちっとも食事を体が欲しなかったこと、そして何より酒もちっとも呑みたいと思わなかつたことです。初日がそば少量とピノ6粒、2日目がキムチのせそば少量とピノ3粒、3日目がそば少量、おにぎり1個、サンドイッチ1.5個と最終日には多少増えはしましたが、それでも普段のぼくにとっての1食分半から控え目な2食程度分です。だから当然といえば当然のことにその余得として、ベルトの穴ひとつ分位はダイエットに繋がったのです。これが1週間続けばなどと想像したくもなりますが、そう上手く事は運ばないだろうなあ。そうそう、足が僅かの館で痩せちゃって、回復後に靴を履いたらブカブカになっていたのも新しい発見でした。もっともこれは単に塩分とアルコール摂取量の減少でむくみが取れただけのことなのかもしれません。そんなストイック状態なのに仕事復帰したその夜、いつもの立ち呑み屋に行っちゃったんですね。アホですねえ。いつもの調子でお通しのちくわの煮付けを摘まむこともせずにチューハイ1杯を呑み干し、お替りしたところに注文していた鶏竜田揚げが登場。ようやくお通しを口に運び調子よく2杯目を呑み始め、竜田揚げを口にして3杯目を注文した辺りで体調の異変を感じたのです。チューハイも肴も喉を通り抜けてくれなくなったのです。一方で顔面は蒼白になり(と後で指摘される)、妙な脂汗も噴出して、腹具合も悪くなり、一度外の空気を吸いに荷物も財布もそのままに(これが馴染みの店のいいところ)店を出て便所で軽く用を足して戻るものの食欲、呑欲が戻ることはなく、竜田揚げだけ持ち帰りにしてもらったらの常連さんの言葉に従うつもりがそれを待つだけの気力もなく店を後にすることになったのです。その後の自宅の最寄り駅までの車中は地獄の苦しみでした。いよいよ駅が近付いたと思った僅か30秒すらもう立っていられない位のこれまで感じたことのないような不快感に見舞われ、とうとう列車の非常ベルが押されてしまうことになるんじゃないかという情景だけは想像することができたのです。辛うじて持ち堪えて列車を出ると噴き出すことのやまない脂汗を拭うこともままならない常態で何とかベンチにへたり込み10分程度休まざるをえないといった体たらくであったのです。断食だろうとプチ断食だろうと重湯からゆるゆると通常食へと身体を慣らすというのは重要なことなのだなあと感じたおっさんの春だったのです。 このところ立て続けに訪れているけれど、ぼくはここ「蕎麦吉里 童心舎」の事が大いに気に入っているのです。気に入ってるって言い方、何か上から物を言ってるみたいで何か感じ悪いかな。例えばぼくが女性に向かってに向かって君のこと気に入ったよ、なんてことを耳元で囁やこうものなら、確実にウザっとかキモって思われるに違いないのだ。店の方もきっと同じように感じると考えるに越したことはないのだ。つまり気に入るなんて回りくどい言い方はこうした私的(?)文章に留めて、当の相手には好きだと単刀直入告げるべきではないか。さて、この晩もまた知人3名と一緒だったのですが、以前の面子より歳は若くとも大人な人たちなので、一気に揚げ物や肉料理に向かったりはしないのだ。というか注文も慌てず騒がすじっくり吟味する。ぼくはさすがに見慣れているので、初めての3名に敢えて委ねることにしたのです。するとそのオーダーがすごもり、そば味噌、そばしんじょ、そしてずっと食べたかったそばがきにいってくれたのでした。やったね。すごもり、そば味噌は間違いない。そしてそばしんじょはふっくらもっちりでこれまたよろし。さて肝心のそばがきに箸を伸ばす。期待一杯で口に入れるのだがあれれ、春日に粉っぽさが残るしそばの風味もちょっとイマイチかも。他のそば料理のレベルを思うとまだまだレベルアップを目論んで頂きたい。それとここのお通しのそばの切れ端がもう最高に旨いのだから是非そば切りも提供して欲しいものです。麺とはまた別の旨さがありますからね。でもまあ最後は麺を食べるんですけどね。やっぱりここはいい。
2024/04/08
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3日に及ぶ闘病生活で経験したことの最重要ポイントは何かというと、病院に行くのがかつてほど苦痛ではなくなったということです。子供の頃は、本当に病院に行くのが嫌で嫌で仕方がありませんでした。何が嫌いだったのか改めて思い出そうとしてもよく分かりません。まあ、好きになるような場所でないことは、当たり前といえば当たり前なのです。でも嫌う程にも病院に行ったことのないぼくは(中学卒業まで歯医者を含めて片手程度、出生時を除く)、その後、歯医者などにはたまに行くようになったけれど、風邪などの内科関係の診療を受けるために病院に行ったのはもう40代になっていたのではないでしょうか。これは統計的なエビデンスなどまるでない単なる印象なのですが、酒場通いする人にそうした人が多い気がするのです。何かしら疾患があると思いつつ経済面で秤に掛ける人もいるにはいるけれど、それよりも目前に迫っている(かもしれない)冷酷な現実から目を背けたいと考えて炒るように思えるのです。ちなみにぼくはそんなんじゃないですけどね。 さて、明日も同じく近況を述べつつ、もう書きたいことも余りないけれど常連とまでは言えないまでもちょくちょく通う酒場を書いて窮地をしのぐことにしたのです。今回は北松戸の「あみ焼元祖 しちりん 北松戸店」であります。北松戸で呑む機会はめっきり少なくなりましたが、稀に呑むことになっても一人ってことが少なくなって、誰かと一緒にってことになるとここに来ることが多いかな。ここでそうも深酒するつもりはないけれど、それでも3名以上で来るなら各人の酒量を計算しつつ呑み切れると踏んだらボトルで頼んじゃうのですね。今回は3名でお邪魔しましたが、ぼく以外は男1名、女1名で前者は吞めば結構呑むのだけれど、普段の生活で呑む習慣がまるでない男でこの夜は酒量に伸びが見られません。後者の女は呑むことは呑むのですが、いつもなら悪酔いする性質なので程よい状況を見極める必要があるのです。この夜はどうも呑み気より食い気が優先したらしく、男2名を差し置いて勝手に一人バクダンなど頼みくさって全くもって身勝手なのだ。まあ、いいんですけどね。だからボトルの始末は必然的にぼくに託されることになり、あまり長居したくなかったこともあり、ハイピッチで呑んだため結構いい具合に酔ってしまったのでありました。
2024/04/07
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今回、更新の困難に追い込まれたのが原因不明の発熱が3日に及んだことが理由なのですが、今回は仕事が多忙で本来はとても休んでいる場合ではなかったこともあって急いで治さねばならぬという気持ちが優先して読書もテレビのスイッチを入れることもなく最初の2日はほぼ床に伏せって目を瞑っていたのです。ぼくは比較的大病もなく過ごしてきたのですが、それでも数年に1、2度は数日寝込むことがありました。でもそんな時でもひたすら寝ること、休息を取ることに集中したことは皆無でした。やってみるとこれ案外悪くない気がしたのです。初めのうちは仕事のことやらあれこれが脳裏に去来して、これだったら軽めの小説やマンガなど眺めるのが得策ではないかなどと思ったりもしたのですが、徐々にほとんど何も考えない余白が生じるのですね。どうやら今はまだ寝ていないんじゃないかという意識がある程度の。この時間が案外悪くないと知ったいい年したおっさんの病床の気付きでありました。今回はイカスミ。以前はイカスミペースト、結構頻繁に使っていたんですよね。というのが酒のやまやだったと思いますが、そこで瓶入りの大容量商品があって千円ちょっとで買えた(はず)からです。でも海外でイカが不漁とはあまり聞きませんがなぜか日本でイカが不漁になるのとほぼ時を同じくしてやたらと値上がりしてから余り手を伸ばさなくなったのでした。今回はたまたまとあるポイントが溜まっていて執行間近なので慌てて使うことにしたら瓶入りがあったので、買い求めた次第です。これにハマってまたすぐ欲しくなったらどうしよ。イカスミパエリヤ【材料】米 1.5合/イカ 200g/アサリ 100g/玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/パプリカ(1cm幅) 2個/にんにく 1片/オリーブ油 大さじ1+α/トマトペースト 大さじ1/白ワイン 1/2カップ/水 300ml/顆粒フュメ・ド・ポワソン 小さじ2/パプリカパウダー 小さじ1/イカスミペースト 8g/塩・胡椒・レモン汁 適宜【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱してにんにく、玉ねぎを炒める。米を加える。イカ、アサリを加える。トマトペーストを加える。白ワインを加える。水、顆粒フュメ・ド・ポワソン、パプリカパウダー、イカスミペースト、塩、胡椒を加える。パエリヤ皿に移してパプリカをのせ、オリーブ油をかける。オーブンで200℃20分焼く。レモンを添える。 定番ですね。それほど味が強い訳でもないのになぜか旨い。通常のパエリアとほぼ似たような材料なのに風味が違うのはやはりイカスミがどこかにいるからなんだろうなあ。このレシピではサフランを使っておらず、いずれも高額なサフランとイカスミのどちらを使うかこれから迷うことになりそうです。イカスミリゾット【材料】玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/粉チーズ 30g/米 150ml/イカスミペースト 4g/チキンブイヨン 1L/オリーブ油 大さじ1.5【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱して玉ねぎを炒める。米を加える。チキンブイヨン(半量)を加える。チキンブイヨン(半量)を徐々に加えて煮る。火を止めてイカスミペースト、粉チーズ、塩、胡椒を加える。 これまた定番のリゾットです。今回はほぼ具材なしで作ってみました。ブイヨンも何かのレシピを参考にしたので魚介だしのフュメ・ド・ポワソンにしなかったのですが、それでも魚介の風味が感じられ美味しく頂けます。イカスミスパゲッティ【材料】スパゲッティ(茹でる)・イカスミペースト・トマトペースト・オリーブ油・にんにく・玉ねぎ(みじん切り)・赤唐辛子(砕く)・アンチョビ(刻む)・イカ(一口大)・白ワイン・水・塩・胡椒 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱してにんにく、玉ねぎ、赤唐辛子、アンチョビを炒める。イカ、白ワイン、イカスミペースト、トマトペースト、水を加えて煮る。スパゲッティを加える。塩、胡椒を加える。 またまた、お馴染みのイカスミパスタ。サイゼリヤのイカスミパスタが真っ黒じゃなくなったと話題になってましたが、自分で作ればいくらでも黒くできるから嬉しいなあ。やはりイカスミパスタは真っ黒じゃなきゃつまらない。イカスミとしらすのミニピザ風【材料】餃子の皮・イカスミペースト・しらす・溶けるチーズ・胡椒・大葉(細切り) 適宜【作り方】1. 餃子の皮に混ぜたイカスミペースト、しらす、溶けるチーズ、胡椒をのせてトースターで焼く。皿に盛って大葉を散らす。 最後にちょっとだけアレンジ料理を。しらすとイカスミペーストを混ぜるという禁断の所業に出ました。せっかくの白を塗りつぶしてしまう無法。でもこれがやはりというべきか美味しいのでした。
2024/04/06
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先般、日記代わりと喧伝していたこのブログの更新を週4回に減らしたばかりというのに早くもそれすら実行が困難となりつつあります。さすがに怠け性のぼくでもそれはいかにもだらしないことと思えたので、今こうして通勤途上の車中でせっせこ入力作業を行っているのでした。このブログを初めて十数年になりますが、毎日書き続けさえすればそのうち息をするように言葉が漏れ出してくると思っていたのですが、残念なことにそうした変化がぼくに訪れる事はなく、未だに以前と似たような文章を以前と同じようなところで躓いたりしながら、それなりにヒーヒー言いながら書く毎日なのです。むしろかつての方が文章にこっそり他人の文章を忍び込ませてみたり、文章の骨子を模倣したりと、せせこましくも工夫があったんだけどなあ。手塚治虫は書きたいことがありすぎて手が追いつかないなんてことを言っていましたがぼくなどは言いたいこともそれを表現する言葉すら追いつかないのです。 で早速、本題に入りますが、今回はキムチ。大概の食材はキャベツならキャベツで出来の良し悪しや生産地のどこそこが影響を及ぼす場合がありますが、基本的にどれもそう代わりはありません。ところが、キムチというのは自分で作らない限り、もともとが美味しくない限りはどこまでいっても美味しくないからキムチ選びは慎重を要するのでした。キムチスパゲッティ【材料】スパゲッティ(茹でる)・キムチ(一口大)・マヨネーズ 適宜【作り方】1. 皿にスパゲッティを盛ってマヨネーズをかけ、キムチを散らす。 キムチとマヨネーズは相性がいいのは、分かり切っているけれど、どうしてもその背徳感は拭いきれぬのです。キムチトースト【材料】食パン(トースト)・キムチ(一口大)・マヨネーズ 適宜【作り方】1. 食パンにマヨネーズを塗ってキムチをのせる。 でもやっちゃうのだ。これでも美味しいのだ。キムチカレー【材料】ごはん・キムチ(一口大)・【カレールー】豚肉(一口大)・玉ねぎ(くし型切り)・ニンジン(銀杏切り)・にんにく・生姜・ラード・カレー粉・小麦粉・水・鶏がらスープの素・塩 適宜【作り方】1. 鍋にラードを熱してにんにく、生姜を炒める。豚肉、玉ねぎ、ニンジンを加える。カレー粉、小麦粉を加える。水、鶏がらスープの素を加える。キムチ、塩を加える。皿にごはんを盛ってかける。 カレーだって当然相性がいいのだ。こうなるともう背徳感すら感じない。豚キムチ炒め【材料】豚肉(一口大)・キムチ(一口大)・もやし・ニラ(4cm幅)・キクラゲ(水で戻す)・ごま油・鶏がらスープの素・オイスターソース・塩・胡椒 適宜【作り方】1. フライパンにごま油を熱して豚肉を炒める。キムチ、もやし、ニラ、キクラゲを加える。鶏がらスープの素、オイスターソース、塩、胡椒を加える。 でもこういう平凡な食べ方が一般的だろうなあ。無論美味しいし。キムチそば【材料】そば(茹でる/水で洗う)・キムチ(一口大)・揚げ玉・めんつゆ 適宜【作り方】1. 皿にそばを盛ってめんつゆを注ぎ、キムチ、揚げ玉を散らす。 そばにだって合うんですねエ。
2024/04/05
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外食というのは昭和のある時期までは、特別なイベントであったようなのだ。ぼくの両親というのは、いずれも料理下手(というか料理嫌い)だったので、実にしばしば外食していた覚えがあります。はっきりと記憶にある最初は、大きめのスーパーマーケットのレジの傍にあった「寿がきやラーメン」で食べるラーメンでした。円卓式のカウンター店という今では余り見掛けぬスタイルの店構えですが、当時は結構多かったように思います。その数年後には駅ビルの地下にあったやはり同様の円卓カウンターの明石焼き店にしばしば通いました。その頃にあると近頃脚光を浴び出した「ドムドム」なんかにもしばしば通いました。その近くにあった一膳めしやにいくのも楽しみでした。でもどこよりも足繁く通ったのはファミリー中華屋さんといった風情のそれなりにキャパのある「来々軒」で、そこでは決まってチャーシュー麺、鶏の唐揚げを頼みました。めでたい日にはチョコパフェを付けてもらえたのも思い出です。そことちゃんこ鍋屋だけが地方の小都市在住時代の歩いて通える店だったのです。中学校に上がる頃には両親と食事に行く機会も途絶えてしまいましたが、そんな家庭環境もあって外食にはスレたガキであったのです。そんな独立心の芽生えるギリギリの頃に足繁く通ったのが洋食店でした。そこは広い洋間に閑静でクラシックなムードがあって、当時はちょっとドキドキしたものです。そこで名物のビーフシチューなどを食べたのですが、子供心にちょっと大人びた気持ちになったことを思い出します。思えばこれがぼくがフレンチ好きになるきっかけだったのですちょっとだけ気取った店で食事するってのが楽しく思えたのです。気取った雰囲気の店で気取った気分と振舞いで食事をするとそれが味にも影響を及ぼすように思えたのです。実はそこは郵便貯金会館とかの施設でお手頃ではあったのですが。 今でも気取った店で食べたり飲んだりするのが好きです。スカした店で飲食しても味がしないなんてことを語る人がいるけれど、ぼくには多少緊張した方が味に集中できるような気がしたのです。余りに高級すぎるのはどうもよろしくないようだ。「ル・マルカッサン(Le Marcassin)」位の日常生活から半歩程度はみ出た位の気軽な気取った店がちょうど按配がいいのです。この夜は、フランス人男性4人組がいました。フランス料理のお店にフランス人がいるというのは当たり前のようでいて、実のところそうした現場に立ち会う機会はそうそうないものです。彼らがいるだけでここが本当にパリの町外れにあるビストロのように思えるものなのです。彼らは故郷でそうするのと同じようにリエットの塗られたトーストされたバゲット1枚を肴にすでにワインをボトル1本空けてしまっています。時間など気にする風もないその時間の贅沢な使い方がなんとも羨ましい。この夜は前菜にこちらで久々に遭遇することになったカキの香草焼きをオーダー。これがまあなんとも酒呑み泣かせの一品なのです。近頃は一皿目でパンを食べる事は控え目にしているのですが、カキの風味の移った香草バターを残す愚だけは避けねばならぬとばかりに、フランス人までではないけれどあっという間にボトルが空いてしまいます。これはこの時期の定番なのかもしれませんが、久しく出会えていませんでした。これから先、ここでこの料理を見たら間違いなくまた同じものをオーダーしてしまうはず。いつも以上の満足感にまた近いうちに来なけりゃな。と大概思うのだけど、何だかんだと半年置きになっちゃうんですね。
2024/04/01
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