全18件 (18件中 1-18件目)
1
世界的インフレと円安が原因と思われる輸入食材の高騰は、ぼくのような食い意地の張る者には非常に厳しい状況と言わざるを得ません。影響を被った食材は数多くてそれを列挙するのは虚しいのですが、例えばオリーブ油やアンチョビ、パッサータなどはとんでもない値上げで買い置きしておくべきだったと今になって後悔しています。と悉くが値上がりしている現状に合って、今回取り上げる黒いんげん豆が特段高額となった訳でもないのですが、成城石井でイタリア産の黒い豆の缶詰がここにしては比較的安価で取り扱いがあって重宝していたのですが、身近ないくつかの店舗を覗いてみても値上げどころか商品が棚から姿を消してしまったのです。何たる不覚か、豆の種類がどういったものであるかすら確認しておらず、いずれ再入荷するまではその豆の正体は知れぬままとなりかねませんが、まあ似たものであろうと乾燥の黒いんげん豆を買い求めてみたのです。乾燥豆を戻して煮るのは面倒だと思い込んでいましたが、缶詰商品がなかなか手に入らぬうずら豆なんかを煮ているうちに、実はさほどの事もないことを知ってからは色々な豆を試してみたくなったのです。で、最近になってイタリアの黒い豆に煮てるんじゃないかなと思われる黒いんげん豆を買ってみました。これがうまくいけば缶詰の入荷を待ち焦がれることもなく、いつでも食べられるようになりますしね。といったことで早速煮てみました。思ったよりも浸水時間はかかるけれど、非常に美味しく煮えました。これはいいと思った矢先、近所の大型スーパーが改装を終えてみると、何たることか、以前は陳列されていなかった黒いんげん豆の缶詰が並んでいるじゃないか。しかも成城石井よrお手頃だぞ。他にもひよこ豆やレッドキドニーなどの定番も不思議なことに値段も落ち着いていたのです。まあね、すぐに使いたい時など缶詰は重宝するからね。使い分けしたらいいんだもんね。ということで何にせよ手頃にすぐに豆が手に入るのは何にしたって有難いことです。 やはり黒いんげん豆を使った料理の代表選手はブラジル料理のフェジョアーダでしょうか。カリオカ豆や赤、白のいんげん豆を使う場合もあるみたいですが、定番はやはり黒いんげん豆のようです。ソーセージは本場ブラジルのリングイッサなるものを入手したいところですが、近所で取り扱っている店もなさそうですし、ネットで買うのもなあということで簡単に妥協してしまうのでした。【材料】黒いんげん豆(浸水[一晩]) 100g/ソーセージ(1cm角) 4本/ベーコン(1cm角) 2枚/豚肉(1cm角) 50g/玉ねぎ(くし型切り) 1/2個/にんにく 1片/ローリエ 2枚/塩 小さじ1/胡椒 小さじ1/4/オリーブ油 大さじ1/水 500ml【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱してにんにくを炒める。ベーコン、豚肉、玉ねぎ、ローリエを加える。黒いんげん豆(漬け汁も)、水を加えて煮る。塩、胡椒、ソーセージを加える。 おや、以前も作っているのですが今度のはとりわけ美味しくなりました。やはり豆を自ら煮たのが良かったのか。もう少し肉を控えて豆も割合を増やしてもいいかもしれないなあ。 フェジョアーダを春巻きの皮で包んでみました。そのままだとヘビーなので、千切りキャベツとみじん切りの玉ねぎをたっぷりとのせてみました。【材料】春巻きの皮(上:1枚/下:2枚) 3枚/フェジョアーダ・キャベツ(千切り)・玉ねぎ(みじん切り)・溶けるチーズ 適宜【備考】 そのままよりもむしろ食べやすい気がするなあ。本場ではそのままが基本なのかもしれませんが、ぼくにはサルサなどさっぱりしたトッピングを用意するのが正解に思えました。 フェジョアーダをフジッリにのせて食べてみました。【材料】フジッリ(茹でる)・フェジョアーダ・パルミジャーノ・胡椒 適宜【作り方】1. 器にフジッリを盛ってフェジョアーダをのせ、パルミジャーノ、胡椒を散らす。 こちらも当然美味しいですね。パルミジャーノとたっぷりの胡椒がいい感じでした。オリーブ油をかけてもよさそうですが、ちょっとくどくなるかもしれません。 スペインにアルビアス ネグラス コン ベルサという料理があるようです。こちらはギリシャ在住の日本人女性の方が紹介していたレシピですが、キャベツを炒めるヴァージョンもあるようです。【材料】黒いんげん豆(浸水[一晩]) 100g/ポロ葱(みじん切り) 3cm/ニンジン(みじん切り) 3cm/キャベツ(ざく切り/茹でる) 適宜/にんにく 1片/オリーブ油 小さじ1+α/塩 適宜/ローリエ1枚【作り方】1. 鍋に黒いんげん豆(漬け汁も)、ポロ葱、ニンジン、ローリエ、塩、オリーブ油を入れて煮る。2. フライパンにオリーブ油を熱してにんにくを炒め、1.にかける。皿に盛ってキャベツを添える。【備考】MIS FAVORITOS 「アルビアス ネグラス コン ベルサ」http://correcalles.blog.fc2.com/blog-entry-714.html これは驚いたなあ。無茶苦茶濃厚な味でしかも添え物のキャベツが実にいい役割を果たしているのです。こんな簡単なレシピなのにこれ程に旨いとはしてやられました。 キューバのフリホーレス・ネグロスなる豆の煮込みを作ります。こちらは上の料理よりスパイシーかつハービイな味付けですねえ。【材料】黒いんげん豆(浸水[一晩]) 300g/ピーマン(みじん切り) 1個/玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/にんにく 4片/オリーブ油 大さじ1/クミンパウダー 小さじ1//ドライオレガノ 小さじ1/2/水 1200ml/ローリエ 2枚/塩 小さじ1/ライム(くし型切り) 1個/ごはん・胡椒 適宜【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱して玉ねぎを炒める。にんにくを加える。ピーマン、クミンパウダー、ドライオレガノを加える。黒いんげん豆、水、ローリエ、塩を加えて蓋をし、弱火で2時間煮る。皿にごはんを盛ってかけ、胡椒を散らしてライムを添える。【備考】Fish Trip Cafe 「Frijoles Negros」https://fishtripcafe.com/jp/?p=4627 あらら、これはこれで非常に美味しいんですが、どういうことかよりさっぱりした味わいになっています。不思議なものだなあ。これをごはんにかけただけじゃ物足りないんじゃないのって懸念もありましたが、これはこれでいいなあ。ライムを搾ったら(これうっそ、ポッカライム(?)をかけました)さらにさっぱりと頂けました。 と黒いんげん豆料理はかなりシンプルなレシピでも相当に濃い味が楽しめて大いに満足しました。また色々試してみたいけど、こうした素朴な位の調理法がいいのかも。アメリカ料理でもブラックビーンズは多用されるみたいですが、まずは手持ちのそれらレシピを作ってみようかな。
2024/08/31
コメント(0)
麩というとつい思い出す小説があります。室生犀星著『蜜のあわれ』です。ぼくが若い頃にはすっかり忘れられた小説だったはずで、ぼくも講談社文芸文庫に所収されてようやくこの小説の存在を知ったのです。全篇が会話で構成されていて、これは小説として評価していいものか迷いながらもその不可思議な生々しさに魅了されたことを思い出します。二階堂ふみ主演で若者層にも知られるようになったかなあと思っていたら、映画から小説に辿り着く若い人たちも多いようで、彼らはこの小説への賛辞を隠そうともしないのだ。それはそれで嬉しいような気もする一方で秘かに隠し事をするように読んでいたぼくにとっては、はしたなく思えるのでした。後ろめたさを伴って読むという背徳感というのは、今では過去の感情となったんでしょうか。ともあれ同書の麩が登場する場面を拾ってみる。「では麩でもおあがり。」「あたい、麩なんかぐにゃぐにゃしていや、塩からい、わかさぎの乾干がつっつきたいんですもの、くたびれちゃった。」--「論文なんていやね。そしてあたいが麩をたべているときに、いのちを感じると仰有りたいんでしょう。あたいの生きていることは、おじさまを困らせている時ばかりだ。」--「あ、お水が来たわ、そのお水ここに頂戴、あたいが入れてあげるから、みんなおつむをならべるのよ、したしたと、……どう、とても、さっぱりと快い気持でしょう、したしたというこの音たまらないわね、みんな鱗の色も悪いし痩せているのね、硬い麩ばかり食べているからよ、ほら、お好きなお塩よ、それをぐっと飲んで胃ぶくろがひりついたぐあいが、とても、たまらないでしょう、みてご覧、ほら、ほら、眼につやが出て来たし、紅鱗たちまち栄えて来たわ。」 おやっ、ぼくにはやけに印象的だったのですが、これだけだったのね。でも改めて読み返してみてもこれを読んで麩を食べたいとは少しも思えなかったということが確認できました。 正直なところ、麩という食材にはあまり縁がなかったし、好きってほどでもありませんでした。吸い物や味噌汁なんかに浮かべて食べるのはまあありかと思うけれど、なければないでさほど困りもしないはずです。例外的に好きだったのは生麩ですが、これは所謂麩とは別物なのでここでは取り上げません。ぼくが好きになったのは、仙台油麩を食べたから。今回はその仙台油麩を使った料理数品です。 油麩を好きになったのは、思い付きで作った油麩入りゴーヤチャンプルを食べてからです。多分、ここでは初めて紹介していますが、実はゴーヤの食べられる時期には何度となく食べているのでした。【材料】豚肉(一口大/塩、胡椒する) 150g/塩・胡椒 適宜/木綿豆腐(2等分/1cm幅) 200g/ゴーヤ(縦2等分/5mm幅) 1本/油麩(ぬるま湯で戻す/1cm厚) 1/2本/卵 2個/鰹節 1袋/【調味料】酒 大さじ1/醤油 大さじ1.5/オイスターソース・ごま油 大さじ1/顆粒だし 小さじ1/2【作り方】1. フライパンにごま油を熱して豚肉、豆腐を炒める。油麩を加える。ゴーヤを加える。【調味料】を加える。溶き卵を加える。皿に盛って鰹節をふる。 もはや油麩抜きのチャンプルーはぼくには詰まらなく思えるようになりました。ちなみにチャンプルーにオイスターソースは邪道かもしれませんが、これまたぼくには抜きはもはやあり得なくなっています。 仙台油麩の大定番料理、油麩丼です。以前も書いたことがありますが、その時は実はあまり感心しなかったのです。味がぼやけている気がするんですね。具材が麩だけだとそれ自体に味がある訳じゃないから一辺倒になってしまうからなんでしょうね。【材料】ごはん 適宜/油麩(ぬるま湯で戻す輪切り[1cm]) 1/4本/長ねぎ(斜め薄切り) 1/4本/卵 1個/だし 90ml/醤油 15ml/みりん 20ml/甘酢生姜(千切り) 適宜【作り方】1. 鍋にだし、醤油、みりん、油麩を入れて煮る。長ねぎを加える。溶き卵を注ぐ。丼にごはんを盛ってかけ、甘酢生姜をのせる。 このレシピでは甘酢生姜をトッピングしているだけなのです。でもこれがバッチリハマるのです。味のアクセントになるような食材をプラスするだけで一挙に印象がアップしました。 なんとなく気になったので油麩入りカレーライスを試してみました。【材料】ごはん・カレールー・油麩(ぬるま湯で戻す輪切り[1cm]) 適宜【作り方】 う~ん、別にダメってことじゃないんですけど、わざわざカレーに入れるまでもないかな。 沖縄では炒め物をチャンプルーと呼ぶってことらしいのですが、それじゃあ1品目のゴーヤチャンプル―も野菜炒めそのものなんですかね。だから油麩入り野菜炒めも馴染んだ味でしかなさそうです。【材料】キャベツ(一口大)・もやし・ニンジン(銀杏切り)・長ねぎ(斜め薄切り)・キクラゲ(水で戻す/一口大)・豚肉(一口大)・油麩(ぬるま湯で戻す輪切り[1cm])・にんにく・生姜・赤唐辛子・ごま油・【調味料】鶏がらスープの素・水・オイスターソース・豆板醤・甜面醤・酒・醤油・塩・胡椒 適宜【作り方】1. フライパンにごま油を熱してにんにく、生姜、赤唐辛子を炒める。豚肉を加える。キャベツ、ニンジン、油麩を加える。長ねぎ、キクラゲを加える。もやし、【調味料】を加える。 まあ凡庸な料理ではありますが、これはこれで美味しいからいいのだ。油麩に限らず麩料理はまだまだ色んなアイデアが試せそうではあります。が、グルテンの人気がガタ落ちしているみたいだからそのうち食べられなくなるのかもしれないなあ。
2024/08/30
コメント(0)
とある土曜日の昼間に日暮里在住の知人から「軽く呑まない、ご馳走するから」とのお誘いを受けました。昔のぼくなら仮に誰かと会うなどの予定があったとしても何とかやり繰りして一目散に駆け付けたものです(ただし1度限りの映画上映の場合は迷いに迷って泣く泣く映画を取ったはずです)。ぼくは何度も言うように極端なぐうたらものですから、インドア生活が理想なのです。歩くのは嫌いではないですけど、願わくば巨大迷宮のような西洋の城なんかを彷徨っていたいと思うのです。人気の疎らなアーケード街や地下街なんかもいいですねえ。って話がそれてしまいましたが、そんな都合のいい話はないから休みの日には読書なんかで引き籠り生活を堪能したいのです。といった次第で若い頃は色気もあったりしてそういう呼び出しには、面倒ではあるけれどそれなりに嬉々として出向いたのですが、今は一日が若い頃より圧倒的に短く感じられるので、うっかり昼呑みなどしようものなら本当に瞬く間に時が過ぎ去るのです。それはそれでその場はいいのだけれど(酒場は大概インドアですから)、でも気付いて目を覚ましてそのまま出勤となるとさすがにゾっとしない。といったようなことをつらつら思っている間に出掛ける準備をしたらいいんですけどね。でも何だかんだとお付き合いすることにしたのでした。 出向いたのは、「日暮里 串まる」。見たとこはごくありふれた今風の居酒屋さんで、貴重な土曜日の昼下がりをここで過ごすというもの抵抗感を抱いた原因ではあります。何度かお邪魔していて悪い印象はないけれど、特段いい印象もなかったんですね。以前は表の立ち呑みコーナーは割引料金となっていたけれど(もっとも3人も並ぶと定員一杯といったキャパではありました)、今はそのシステムもなさそうです(西日暮里の系列店はそもそもそんなシステムはなかったような)。15時に開店だったかな、近頃は土日祝日には開店を早める酒場が増えていますが、ぼくとは違って世間の皆さんは昼呑みがお気に召しておられるようです。需要がなければ供給もないというのが道理ですからきっとそうなのでしょう。こちらも15時の開店前だというのにすでに数名のお客さんが今や遅しと店が開くのを待ち構えています。若い店主らしき人がオープン開始を告げるのですが、あらあら並んでいたのはその方のご家族のようですね。自分の家族に身銭を切らせるというのは余程自信をもって商品を提供されているに違いない、とこれまでの印象を拭い去って、まっさらな気持ちでこの店と対峙しようと思うのです。なんてことは思ってもいなかったわけで、スポンサーさんがお勧めメニューの恐らくぼくならまず注文することのない一串300円以上するサーロインだったかイチボだったかよく分からないけれど高級牛肉の串揚げなどなどを迷うことなくオーダーするのでありました。これを覚えていたのはこれがですねとりわけ美味しかったからでありまして、家族を呼んじゃうような店主がやってる店に関してはお勧めメニューってのは非常に有効かつ信用がおけると思ったのです。そして美味しい物を食べていると当然に酒も進み、時間もどんどん過ぎ去って、やがて飛び込みの知人も参戦して、さらには店も移って昼呑みはいつしか夜吞みとなり果てるのでした。ふう。
2024/08/26
コメント(2)
近頃、やけに西日暮里で呑む機会が増えています。コロナ以前には、お気に入りの「はやしや」に通うため、しばしば立ち寄っていましたが、理由は分からぬけれどとにかくそこがひっそりと閉店して以降は、西日暮里駅で下車することはめっきり少なくなりました。それでもこの駅をヘビーユーズする知人がいて、たまにはご一緒することもあったから全く縁が途絶えたって訳ではなかったけれど、激減したことは間違いないはずです。でも酒場巡りへの意欲の減退が著しいなりにゆるゆる書き継いでいるこのブログを継続してご覧くださっている方なら、むしろ近頃は西日暮里を大いに気に入っていると感じられるかもしれません。実際に新規オープンのお店にもお邪魔していたりします。でも何度か登場願っているそば屋さんはちょくちょくお邪魔しているけれど、基本的には改めてもう一回って思える酒場はそうはないのです。一度行っておけばいいかなって程度ですね。それを言いだすと多くの町が再訪に値しないとぼくが感じる酒場が大部分だからことさらに西日暮里に限ったことではないのだろうなあとも思うのです。でも先日、実に8年ぶりに訪れた酒場が記憶していたよりずっと感じの良いお店だったということが判明したのです。どういう理由から8年振りに訪れようと思ったのか、その理由は極めて退屈で、たびたび登場のO氏がやはり久々に立ち寄ってみたらとても良かったとの報告があったからなのです。 道灌山通り沿いを駅西側方面に進むとご存じ開成学園があるんですが、それを通り越してすぐに「とり花」はあります。前回お邪魔した際にはまだそう古い酒場に思えなかったのですが、改めてよくよく観察すると結構古びた印象に変わっています。8年という歳月が如実に反映されただけなのかぼくの加齢がもたらす感受性の変化が原因なのかは定かではありません。でも店内の印象はぼくの印象の変化などではなく明らかに経年劣化を被っているように感じられました。女将さんの印象も以前よりぐっとマイルドになっていたような気がします。でも数多いアレンジ料理の品書きとそのお手頃価格は変わっていません。当時、あんまりお手頃ではないなあと感じてその後、縁が切れてしまっていたのですが、少なくとも現在の相場と比べると変わらず頑張ってくれているということはいえそうです。こちらの肴は、店のムードが予想させる典型的な居酒屋メニューとは一線を画していて通り一遍の品よりむしろちょっと手の込んだものが数多いから日頃、正統派の酒場を好んで利用される方にむしろ支持されるんじゃないかなあ。ぼくなんかもそうあれこれは頼めないけれど、気になる品がたくさんで目移りしてしまうのでした。最近、決まりきった酒場で呑むことが多いから、週に一度交えてもいいかもしれないなあなんて思ったりするのでした。しかし、実際にはあれから早くも2カ月が経過。それほど気に入ったのならすでに再訪しているかとお思いかもしれませんが、実のところはそれっきりになってしまっているのです。
2024/08/25
コメント(0)
本格的なラーメンじゃなくて、そこらの中華屋さんのラーメンで一向に構わない。できることならラーメンは家では作りたくないのです。ラーメンを作ると麺を茹でる鍋やスープ用の湯を沸かす鍋、物によっては具を炒めるための中華鍋(はうちにはないので本当はフライパンであす)と3つ口のガスコンロがフル稼働して特に夏場は熱くて敵わんのです。しかも作るにはそれなりの時間を要するのに比して食べる時間はほんの数分、しかも食べ終えると大量の洗い物が待っている(実際には調理しつつ大部分の洗い物を片付けているけれど)。そうまでしてもあまり外食せずに自宅で食べるのは、端的に自分で作った方がお手頃なのと食べに行く時間がもったいないからに過ぎないのです。そして自宅の方が安価で時間の節約になると書いたけれど、それが事実であるかどうかは非常に怪しいとも思っているのだ。特に町場の中華屋さんで提供されている中華そば(醤油ラーメン)なんかは、ぼくの思うところの相場の500円前後を正しいとすると自宅では、その費用で済ますのは案外難しいかもしれないのだ。中華麺、スープ(これは麺の付属のものとする)、これ以外にチャーシュー、メンマ、ねぎという必需品に加えて、ナルト、ほうれん草、茹で卵、のりといった推奨品の王道トッピングを用意するとなると優に500円オーバーとなるのだ。最近ではコンビニでチャーシュー、メンマなどを1袋のセットとして販売しているが、これが結構お高い割にサイズも小さく、味もイマイチとくるから考え者であります。それでも家で作るのは、時として思ったよりも手間を要することなくそれなりに実際売られているのと遜色のない仕上がりに近くなるのが面白く思えるからなのです。ということで今回は実際に提供されているもしくは提供されていたラーメンのあれこれを試みた記録になります。 横浜名物のサンマーメンは、何度か食べていますが、基本は醤油ベースのスープに麺を入れて野菜炒めをのせただけって印象です。実際に色々とレシピを眺めてみても大概そんなところであります。【材料】中華麺(細麺/茹でる) 2玉/豚肉(一口大) 100g/にんにく 1片/水 300ml/【A】ニンジン(薄切り) 1/8本/長ねぎ(斜め薄切り) 1/4本/キクラゲ(細切り) 20g/もやし 1/2袋/片栗粉・ごま油 大さじ1/【B】昆布 4g/鯖節(厚削り) 5g/干し椎茸 10g/醤油 大さじ5/みりん・酒 大さじ1/塩・ポン酢 適宜【作り方】1. 鍋に【B】の材料を入れて3分煮る。2. フライパンにごま油を熱してにんにくを炒める。豚肉を加える。【A】を加えて取り出す。鶏がらスープ(600ml)を加える。1.、塩を加える。3. 1.の鍋に湯を沸かし、2.の具材、もやし、ポン酢を加えて水溶き片栗粉を加える4. 丼に中華麺を盛って1.のスープ、3.のあんを盛る。 そんな簡単なシロモノなのにこれがなかなか美味しいのは不思議です。既製品の手抜き感を具沢山で野菜の旨味が染み出したあんが覆い隠してしまうからだろうか。一応レシピになるべく忠実な材料を揃えたけれど、残り物野菜でもイケそうではあります。 続いては店名指定のあるレシピ。「玉泉亭」という老舗店のサンマーメンの再現レシピを再現しました。【材料】中華麺(醤油/細麺) 1玉/豚肉(こま) 30g/もやし・キャベツ(1cm幅)40g/ほうれん草(ざく切り)・ニンジン(細切り) 8g/玉ねぎ(5mm幅薄切り) 25g/キクラゲ(水で戻す) 5g/中華スープの素 小さじ2/水 200ml/塩 小さじ1/4/砂糖 小さじ1/2/白胡椒 適宜/片栗粉・水 大さじ1/ごま油 大さじ1/湯 300ml/サラダ油 大さじ1【作り方】1. 鍋に湯を沸かし、鶏がらスープの素を加える。2. フライパンにサラダ油を熱して豚肉を炒める。もやし、キャベツ、ほうれん草、ニンジン、玉ねぎ、キクラゲを加える。1.を加える。塩、砂糖、胡椒を加える。水溶き片栗粉を加える。ごま油を加える。3. 丼に付属のタレ、湯を注いで中華麺を入れる。1.をのせる。 これがなんてことないようなのにかなり旨い。このレベルが家で食べられるのなら店に行くことがあっても他のメニューを頼むことになりそうです。 何度も書いていますが、ぼくは和歌山に住んでいたので、お茶屋さんの玉林園が出しているグリーンコーナーというフードコート風のお店にはしばしば立ち寄っていました。といっても今回の天かけラーメンなる品は食べたこともなく、いつもグリーンソフトを食べていました。天かけラーメンなんて覚えがないのですね。きっと今、グリーンコーナーいっても抹茶ソフトを選ぶだろうな。【材料】中華麺(醤油) 1人前/わかめ・揚げ玉・紅生姜・青ねぎ(小口切り)・ヤンニョンジャン 適宜【作り方】1. 丼に付属のタレ、湯を注いで中華麺を盛り、わかめ、揚げ玉、紅生姜、青ねぎをのせる。ヤンニョンジャンを添える。 というのもこれなら家でそれなりに本物に近い物ができると感じたからです。実際とは全く違っているかもしれないけれど、これでもまずまず旨いからそれでいいのだ。 参考までにトッピングとして用意されているというヤンニョンジャンのレシピも。【材料】長ねぎ(みじん切り) 5cm/はちみつ 小さじ1/コチュジャン・ごま油 大さじ1/すりごま・醤油・酢 大さじ1/2/にんにく・生姜 小さじ1【作り方】1. 全ての材料を混ぜる。 さっぱりしたラーメンだからこれを入れるとかなり味に変化が生じます。そのままの方が好みかなあ。 埼玉の岩槻の市民会館にある「レストラン 大手門」で提供されている豆腐ラーメンを作ってみました。豆腐をひし形に切るといった妙な拘りもありますが、材料を見る限りはコクのない麻婆豆腐でしかないと思っていたのです。【材料】中華麺(醤油/茹でる) 1玉/絹豆腐(ひし形) 1/2丁/豚ひき肉 40g/サラダ油・ラード 大さじ1/片栗粉・水 小さじ2/わかめ・長ねぎ(小口切り) 適宜/豆板醤 小さじ1/2/にんにく・生姜 小さじ1/【調味料】水 100ml/鶏がらスープの素 小さじ1/2/醤油 小さじ1/酒 大さじ1/2/ラー油 小さじ1/2【作り方】1. フライパンにサラダ油、ラードを熱して豚ひき肉を炒める。豆板醤、にんにく、生姜を加える。【調味料】、豆腐を加える。水溶き片栗粉を加える。2. 丼に付属のスープ、湯を注いで中華麺を入れる。1.をのせてわかめ、長ねぎを添える。 ところが食べてみるとこのシンプルな味付けが実にいいのです。ちゃんとした麻婆豆腐とは違ったチープさが不思議と癖になります。わかめがさり気なくもいい働きをしているような気もします。これは書きながらまた作ってみたくなってます。いや、実物を食べてみたいかも。
2024/08/24
コメント(0)
実家を出てから随分と日が経ってしまったし、その後、引っ越しもしているから現在はどうなっているのか確認しているわけではないけれど、きっと当時と変わっていないとぼくが確信していることがあります。それは実家の食器棚かどこか知らないけれど、カニ缶が開缶されることなく放置されたままとなっているだろうということなのです。それは両親たちが自ら買い求めたものでないことは明白なのだ。恐らくは中元か歳暮かどちらだって構わないけれど、どこかの誰かがどういう意図があってかは知らぬけれど、送ってくれたものだと思われるのだ。カニ缶というのは、専ら貰ったりあげたりするものであって自分で買うことのない食料品の代表的な商品だと思われるのです。それは、値段が高いことが最大の理由でありますが、サイズが中途半端に大きいことも特徴として挙げられるでしょうか。開缶して一度に使い切れる量ではないのです。それもあって開缶するのが躊躇われるらしく、いつまで経っても台所の片隅に追いやられ、やがて風景の一部として溶け込んでしまうことになるのです。実はツナ缶と同様に様々な料理に活用できそうなものですが、公開されているレシピを眺めるとそのヴァリエーションの少なさがよく分かります。カニ玉、カニチャーハン、カニピラフといった辺りが大定番でしょうか。炊き込みご飯や酢の物、サラダ、ちょっと気張ってカニクリームコロッケやグラタン、ムースなんていった使い方もあって、こうして改めて思い起こしてみると結構色々な食べ方がある気もしてくるけれどどうも定番以外の料理を作るのは気が向きません。というか正直なところカニ缶ってあんまり美味しいと思えないんですよね。もっと言えばカニそのものにあまり興味がないんですよね。身はいらないから味噌が欲しいというのが本当のところなのです。実はさほど好きじゃないっていう事こそがなかなか料理しない理由なのかもしれません。と今回はカニ缶を使った料理ですが、左記のとおり随分以前にもらったものをさすがにそろそろ食べておこうと思ったまでで、結局は定番ばかり作ってしまったのです。 カニ玉がカニ缶を使った料理では一番好きです。というかこれまでカニ缶があるとこればかり作ってきたような気がします。でもカニ玉単品で食べる事はせず、大概は天津飯として食べていたのです。ごはん 200g/カニ缶(ほぐす) 1/2缶/卵 2個/牛乳 大さじ1/ごま油 大さじ1/小ねぎ(小口切り) 適宜【あん】椎茸(薄切り) 2個/水 200ml/オイスターソース・醤油・鶏がらスープの素 小さじ1/片栗粉(水で溶く) 小さじ2/水 大さじ21. 鍋に水溶き片栗粉以外の【あん】の材料を加熱する。水溶き片栗粉を加える。2. ボウルにカニ、卵、牛乳を入れて混ぜる。フライパンにごま油を熱して炒める。3. 皿にごはんを盛って2.をのせる。1.をかけて小ねぎを散らす。 天津飯っていう料理は卵とカニ以上にあんの主張が強くって、例えば「餃子の王将」のそれが関東と関西ではまったく別物だったりして好みが分かれるものです。ぼくはどっちも住んでいたからどっちも好きです。これは酸味なしのヴァージョンです。安定の美味しさ。 せっかくなので、同じあんを使って天津麺を作ることにします。中華麺(醤油/茹でる) 1玉/カニ缶(ほぐす) 1/2缶/卵 2個/牛乳 大さじ1/ごま油 大さじ1/小ねぎ(小口切り) 適宜【あん】椎茸(薄切り) 2個/水 200ml/オイスターソース・醤油・鶏がらスープの素 小さじ1/片栗粉(水で溶く) 小さじ2/水 大さじ21. 鍋に水溶き片栗粉以外の【あん】の材料を加熱する。水溶き片栗粉を加える。2. ボウルにカニ、卵、牛乳を入れて混ぜる。フライパンにごま油を熱して炒める。3. 丼に付属のスープ、湯を注いで中華麺を盛り、2.をのせて1.をかけ、小ねぎを散らす。2024/7/24 自分で天津麺を作った事なかったですけど、美味しくできました。天津飯は味が単調になりがちですが、こちらは醤油のラーメンスープとの混じり方で味に変化があるのがいいみたい。 蟹肉炒蛋を作ります。中華風の名前ですがこれもカニ玉。あんに酸味を加えています。【材料】卵 6個/カニ缶 60g/生姜 1片/小ねぎ・油・グリーンピース 適宜/【甘酢あん(混ぜる)】水 150ml/鶏がらスープの素 小さじ1/2/カニ缶 20g/砂糖・醤油・酢 大さじ1/片栗粉・水 小さじ2【作り方】1. フライパンに油を熱して生姜を炒める。カニ、溶き卵を加える。2. フライパンに【甘酢あん】の材料を入れて加熱する。3. 皿に1.を盛って2.をかける。グリーンピースを散らす。 天津飯にするならぼくはこの酸っぱい方が好みでした。今回は作りませんでしたが、トマトケチャップでさらに膨らみをもたせるタイプもありますね。 残りはカニピラフにしました。ピラフっていってもチャーハン方式でざっといため合わせただけのもの。【材料】ごはん 1膳分/カニ缶 1/4缶/マッシュルーム(水煮/薄切り) 5枚/ミックスベジタブル 大さじ4/玉ねぎ(みじん切り) 1/4個/オリーブ油・バター 小さじ2/顆粒コンソメ 小さじ1/2・オニオンパウダー・ガーリックパウダー・塩・白胡椒・ドライパセリ 小さじ1/4【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱して玉ねぎを炒める。カニ缶、マッシュルーム、ミックスベジタブルを加える。ごはんを加える。顆粒コンソメ、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、塩、白胡椒を加える。バターを加える。皿に盛ってドライパセリを散らす。 まあそこそこ美味しいのですが、同じ魚介ならエビのピラフの方が好きかなあ。カニの方がだしが出て美味しくなりそうなんですけど。
2024/08/23
コメント(0)
モルドバという東欧の国家について、ぼくが知ることは実に少ないのです。ある程度の蘊蓄を持っていると自負している映画に関してさえ知ることはほとんどありません。それもそのはず、Wikipediaを頼ってみたところ以下の記載があるばかりです。--モルドバにおける映画文化は1960年代初頭のソ連時代に発展していたが、様々な要因が重なったことから停滞が続き、1991年にMSSRが現在のモルドバ共和国として独立した後、同国における映画業界は事実上ほぼ完全に消滅している状態である。-- なるほど。ソ連時代には映画が作られてはいたようです。ということで今度はソ連映画を調べてみると、--ソビエト連邦の映画には、ソビエト連邦を構成する共和国によって製作された映画が含まれている。それらすべてはモスクワ中央政府によって統制されていたが、ソビエト以前の文化、言語、歴史的要素の要素を反映している。ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国に続き、共和国の映画製作においてアルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア、ウクライナが最も多作であり、次いでリトアニア、ベラルーシ、モルダヴィアも、それほど多くはないが映画を製作した。-- モルダヴィアと現在のモルドバとは同一ではない。とにかく非常にややこしいのだ。世界史の窓https://www.y-history.net/appendix/wh1202-015_1.html とにかく「発展していた」とまではいえないんじゃないかと思うけれど、映画というのは現物を見ない限りは、何もいえない。映画はいつだって遅れて発見されるものなのだ。 ちなみに正確にはモルドバではないけれど(モルドバ内の分離国家「沿ドニエストル共和国(トランスニストリア)」とのこと)でエウジェン・マリヤンという人が『鳥のミルク』を作ったそうです。これがこの国初の劇映画とのこと。https://centralasia.jinsha.tsukuba.ac.jp/info/6724 とまあ何にしても渦中のウクライナやロシアとも深い深い関りを持つモルドバですが、日本唯一を標榜するお店がどういうことか亀有にあるので行ってみることにしました。「NOROC」です。店の雰囲気はごく一般的なレストラン風であまり東欧色が感じられません。もうちょっと内装を工夫して気分を盛り上げるようにしてもいいんでないかな。以前、テレビで見た際には現地出身の女性が応対してくれていましたが、我々(我々以外はお客さんがいなかったのですが)には日本人男性が対応してくれました。テレビで見た彼女も店内で見掛けたんですけどね。調理の様子は見えませんでしたが、盛り付けなども男性がしていたようです。NOROCのHPhttps://www.noroc2014.com/ さて、詳しい紹介は、以下をご覧ください。でもうこれを見てもらえば概ねの情報は伝わってしまうと思いますが、実食した感想位は追記することにします。有名なモルドバワインを呑みたいところですが、思っていたよりお高かったので今後の課題とし、今回は料理を中心に感想を述べる所存です。お通しはインゲンのサラダとビーツのサラダ ごく普通に美味しいです。地味な料理なのに不思議と美味しいです。こういうの家で作るとレシピ通りにやってもあまり美味しく感じられないんですよね。キングレバ(pecionacinii tort)※レバーを薄く焼いてタマネギ、人参、マヨネーズを間に挟みミルフィーユにしました(HPより)。 これは濃厚だけどさっぱりもしていてとても美味しいです。にしてもいかつい料理名です。ペレメニ(Peremeni)肉(豚肉ミックス)※お好みでサワークリームを付けてお召し上がりください(HPより)。 東欧風の餃子ですね。ほぼ見たまんまの味で美味しい。これがお手頃価格になれば、もっと普及すると思うんですけど。ニシンのマリネ※モルドバ風にヴィネガーを利かせた1品!ワインに合います(HPより)。 ニシンのマリネ、大好きなんですよね。北欧なんかでも良く食べられていますけど、さほど違いはないかな。日本でももっと普及して普通に食べられるようになればいいのに。ミッチ※モルドバの調味料を使った牛肉のハンバーグ1個250g牛肉ハンバーグが2個ついています(HPより)。「モルドバの調味料」ってのが今となっては謎ですが、ぼくにはとても食べやすい味でした。もはや大概のスパイスやハーブでは驚けなくなってます(ジョージアのミックススパイス、フメリスネリにはその不可思議な風味に驚かされました)。サルマーレ(葡萄の葉)モルドバの葡萄の葉の中に豚肉、野菜、お米で包まれてトマトソースでこんがり※オーブン焼きして作られるモルドバの郷土料理!NOROC自家製サワークリームを付けてお召し上がりください(HPより)。 これが一番食べたかったのです。ヨーロッパ各地で葡萄の葉を使ったロールキャベツ風の料理がありますが、日本でも普及して良さそうなものだと思ってるんですが、そうはなっていませんね。 といった辺りを頂きました。ぼくにはとても食べやすく美味しかったのですが、他の3名で1名が好きなだけで、2名はどうも苦手だったようです。和食舌の人たちではあることは知っていましたが、そう癖がないので大丈夫かと思ったんですけどね。
2024/08/19
コメント(0)
書くこともないのでこの夜訪れたそば屋のある通りについて、蘊蓄を述べることにします。この通りの名前は、冠新道といいます。なかなかに風情のあるいわくありげな感じで、ずっと気になりつつも怠惰ゆえに調べることもせぬままとなっていたのです(余談ですが、こうして日々何某かの文章を書くことがきっかけとなり、かねてからの疑問の解決に繋がることがあります)。実は、冠新道の「冠」は江戸時代に新堀村の名主を務めた冠家の名字にあやかっているそうです。大地主であった冠権四郎氏が自身の所有地を区画整理し、冠町と名付ける同時に、新設した道路を冠新道と命名したのでした。と分かってみると案外面白くもない答えが明るみに出たのでありますが、それでも知らずに悶々としているよりは余程いい。とさも自らが汗水垂らして郷土史を掘り起こしたような書きっぷりとなりましたが、実は以下の資料によっているだけのことなのです。荒川ふるさと文化館だよりhttps://www.city.arakawa.tokyo.jp/a016/bunkageijutsu/furusato/dayori.html こちらの第2号により詳細な記述があるので興味ある方は一読されるのもよろしいかと。とかく歴史というのは大文字で記された歴史に視線は向きがちですが、ぼくにはこうした地に足のついた身近な歴史がとても大事に思えます。図書館なんかには、大文字の歴史には残されることのない記述が含まれる資料やそれらを参照して執筆された市井の研究者たちの業績が郷土資料として保管されていますが、そうしたささやかな成果は大学などの研究機関では行き届かない重要な財産として永く残され人目に触れていくことを願うのです。 とまあ、もっともらしい感想を述べたところで、もう何度も書いていてこれ以上書くこともなさそうな「蕎麦吉里 童心舎」について、書くことにします。と今年の冬場に集中的に訪れたこちらですが、この日を境にパッタリ訪れる機会を逸してしまいました。近頃、こちら方面で呑むことの多い方と呑む機会が減っているのです。嫌われてしまったのかしら。それはともかく、何か書いておくことはないかと写真を見返してみたら、おお、すっかり失念していましたが、重要なことがありました。美味しいそば屋というのは、当然そばも美味しいけれど、そば湯も実に旨いものです。酒を呑ますそば屋の半分程度では焼酎のそば湯割りという他の飲食業界ではまずお目に掛かることのできないメニューが用意されています。身体に良さそうだし、そんなことより何よりもまったりと甘くて風味が良いのでぼくも大いに好んで頼むことが多いのですが、不思議とこちらで呑むのは初めてなのでした。そば湯割りとなると湯と付くこともあって熱々の焼酎割りであるのが定番ですが、こちらは何と冷たいそば湯(?)割りが存在するのです。そば湯が覚めるとそば粉が澱の様にデロデロになってしまうという印象がありますが、こちらのはさらりと舌触りもサラリとしていて実に上品で美味しいのです。焼酎の嫌味さをまったりと包み込んでくれてついつい呑み過ぎてしまいそうな危険な美味しさです。いやはやこんなに旨いなら早く勧めてくれたら良かったのにと、田端の立ち呑み屋のセミレギュラーである息子さんについ毒づいてしまうのです。にしてもこちらはそばも美味しいけれど、肴もどれもとてもいいのだ。外れがない。ご一緒した方は大の卵好きで、あれば大概玉子焼きを頼んじゃうんですが、ぼくはいい加減に呑んでからの玉子焼きはどうも胃に重く感じられて苦手なのですが、ここのはペロリと食べてしまいます。また、ここはそば屋の定番の鴨焼きもいいけれど、若鶏だって遜色のない美味しさなのです。ぼくの自宅の近所に数年前までお気に入りの酒が呑めるそば屋がありましたが、店を畳んでしまいました。叶う事ならこちらのお店、うちの近所に動いてきてくれないかなあ。老後のたまの愉しみに通えたら僥倖なんだけどなあ。
2024/08/18
コメント(0)
昨日は中華料理の定番をアップしましたが、今日はアメリカ南部の定番料理を作ってみることにしました。各サイトの仕上がり写真を見るといかにもアメリカって感じのジャンクな見た目ですが、レシピを眺めてみるとそこそこ材料も多いし、手間が掛かってるんですね。というかナチョスっていう料理はリフライドビーンを始め、色んな常備菜を組合わせて賑々しく盛合せた料理って感じです。考えてみるとアメリカの食べ物の多くが、いくつかの料理の寄せ集めって気がします。ハンバーガーにせよサンドイッチにせよ、作り置きしてあったあれやこれやを一緒くたにしてみましたってもののように思えるのです。こういう料理って日本料理や中華料理、ヨーロッパの料理ではあまり見かけない気がするんですけど気のせいだろうか。中南米の料理にそうした流れが見受けられそうですが、考えてみるとインドやネパールのカレー料理も似たところがあります。南アジアと中南米の食文化にはなんとなく共通点が多いように感じられるのですが、それを検討するだけの気力と興味はなかったりするのでした。にしてもジャンクな料理ばかり食べている印象のあるアメリカですが、アメリカの料理を紹介されているブログなどを拝見していると、従来のイメージが覆されるような思いです。まあ、そういう人たちも余程に意識の高い人でもない限りは毎日毎食ちゃんと自らで料理した食事を撮っているとは限らないんでしょうね。 ナチョスという料理がずっと気になっていました。その理由は、アメリカの特に南部を代表するような料理でありながら食べたことがなかったからってこともあるにはあるのですが、それよりも切迫した理由があったのです。というのが気まぐれで買い求めたトルティーヤチップスが封を切ったはいいけれどちっとも減る気配がないので、これが料理のキモとなるというこの料理はその消費にうってつけであろうと思ったのです。【材料】トルティーヤチップス 160g/溶けるチーズ 80g/牛ひき肉 300g/オリーブ油 大さじ2/リフライドビーン 300g/サルサ 180ml/香菜(みじん切り) 適宜/【スパイス類】塩・胡椒・ガーリックパウダー 小さじ1/2/パプリカパウダー 小さじ1/ドライオレガノ・クミンパウダー 小さじ1/2【作り方】1. フライパンにオリーブ油を熱して牛ひき肉を炒める。【スパイス類】を加える。リフライドビーンを加える。2. 耐熱容器にトルティーヤチップを敷いて溶けるチーズ(半量)を散らす。オーブントースターで5分焼く。1.、溶けるチーズ(半量)をのせてオーブントースターで5分焼く。サルサ、ピコデガロ、香菜を添える。【備考】US Southern Kitchen アメリカ南部の台所 「ナチョス」https://southern-kitchen.com/nachos/ これ自体は大した手間ではないのだ。でもその材料にあるリフライドビーンをまずは用意せねばならぬのだ。だから思い付いたその日にいきなり作り出すって訳にはいかず、前夜からの事前準備が必要なのです。【材料】玉ねぎ(みじん切り) 1個/にんにく・クミンパウダー・ドライオレガノ 小さじ1/塩 小さじ1/2/オリーブ油 大さじ2/香菜 1枝/ライム 1/2個/溶けるチーズ 大さじ2/【ピントービーン】ピントービーンズ(うずら豆/乾燥/浸水[6時間]) 190g/玉ねぎ(くし型切り) 1/2個/にんにく 1片/ローリエ 1枚/水 適宜【作り方】1. 鍋にピントービーンズ、玉ねぎ、にんにく、ローリエ、水を入れて中火で煮る。玉ねぎ、にんにく、ローリエを取り除いて豆、煮汁(300ml)を取り置く。2. フライパンにオリーブ油を熱して玉ねぎを炒める。にんにくを加える。1.を加える。クミンパウダー、ドライオレガノ、塩を加える。豆を潰す。皿に盛って香菜、溶けるチーズ、ライムを添える。【備考】US Southern Kitchen アメリカ南部の台所 「リフライドビーン」https://southern-kitchen.com/refried-beans/ せっかくだからピコデガロも作ることにするのです。【材料】トマト(粗みじん切り) 4個/にんにく 2片/ライム汁 大さじ2/赤玉ねぎ(みじん切り) 1/4個/ハラペーノ(代替:青唐辛子/みじん切り) 1本/香菜 3枝/クミンパウダー 小さじ1/2/ドライオレガノ 小さじ1/2/塩 適宜【作り方】1. 全ての材料を混ぜる。【備考】US Southern Kitchen アメリカ南部の台所 「ピコデガロ」https://southern-kitchen.com/pico-de-gallo/ 同じくサルサも作ることにするのです。【材料】トマト(粗みじん切り) 5個/にんにく 2片/ライム汁 大さじ2/玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/ハラペーノ(代替:青唐辛子/みじん切り) 1本/香菜 3枝/クミンパウダー 小さじ1/2/塩・カイエンヌペッパー 適宜【作り方】1. 全ての材料をフードプロセッサーにかける。【備考】US Southern Kitchen アメリカ南部の台所 「サルサ」https://southern-kitchen.com/salsa/ 当然ながら結構な量が出来上がるので、色々とアレンジするのであります。リフライドビーンのサンドイッチ【材料】バゲット(切れ目を入れる/バター、マスタード、マヨネーズを塗る) 1/3本/リフライドビーン 適宜/ベーコン(2等分/焼く) 1枚/溶けるチーズ・レタス 適宜/バター・マスタード・マヨネーズ 適宜【作り方】1. バゲットにリフライドビーン、溶けるチーズをのせてトースターで焼く。ベーコン、レタスを挟む。ピコデガロとサルサのそば【材料】そば(茹でる/冷水で冷やす)・ピコデガロ・サルサ・めんつゆ 適宜【作り方】1. 器にめんつゆを注いでそばを盛る。ピコデガロ、サルサをのせる。ナチョスとピコデガロのペンネ【材料】ペンネ(茹でる)・ナチョス・ピコデガロ・オリーブ油 適宜【作り方】1. 器にペンネを盛ってナチョス、ピコデガロをのせ、オリーブ油をかける。ナチョスとピコデガロのサンドイッチ【材料】バゲット(切れ目を入れる/トースト/バター、マスタードを塗る) 1/3本/ナチョス・ピコデガロ 適宜【作り方】1. バゲットにナチョス、ピコデガロを挟む。 結論としては、手間の割にはそこまでじゃないなあというのが本音です。ここまで手間をかけてもう一度作ろうとは思わないかな。ということで結局トルティーヤチップスは今でも中途半端な状態で残っているのです(さすがに処分した方がいいかな)。
2024/08/17
コメント(0)
子供の頃は、中華料理ってとんでもなく作るのが大変だと思っていました。だじゃら家で食べるものではなく、外食するしかないないなって。大変さの理由としては、まず思ったのが食材の多さ。これは今となっては実はそんなでもないんですけどね。炒め物をするのにもにんにく、生姜、ねぎをみじん切りしたりするようなレシピが多くてこれが結構な負担に感じられたのだ。それから単なる炒め物でも食材ごとに油通し、湯通しなんかしなくてはならないこと。家庭料理で例えば野菜炒めを作るためにたっぷりの湯を沸かしたり、揚げ油を用意するなんてのは、あまり現実的とは思えないのでした。当然、洗い物も増えるし。それと今では調味料や食材など大概のものは手に入れることができますが、ひと昔前まではプロですら容易に入手できなかったものが今ではネットに限らずそこら辺に当たり前にある中華食材店で買い求めることができるようになったのです。町中華と呼ばれる類の古くからやっている中華屋さんなんかで麻婆豆腐を食べると、いやいやこれは違うでしょと思わず口走りそうになる料理が出されることがあるけれど、かつてはなかなか揃わなかった甜面醤や豆鼓(ちなみに「鼓」の字が誤りであることは分かっています)などの調味料の穴を埋めるために工夫を凝らしたその名残を見て取ることができますが、本場風のレシピではそんなにも多くの食材を用いる訳ではないことを我々は知るに至ったのです。かつての料理人は多くの調味料を駆使して煩雑な手順を踏んで麻婆豆腐を仕上げていたのです。だから時代とともに我々が目にするレシピも修正を加えられています。そしてぼくの感想としては、ひと昔前よりずっと食材と調味料の数も減り、入手も容易く、そしてシンプルに手早く調理することができるようになったと思うのです。 この鶏肉とカシューナッツ炒めだって、以前はカシューナッツすら入手するにはそれなりの苦労が伴ったはずです。でもこのレシピを見ると調味料さえ合わせておけば実に手早く作れそうです。【材料】鶏肉(もも/2cm角/【下味】に漬ける) 150g/カシューナッツ 50g/ピーマン(1.5cm角) 1個/赤ピーマン(1.5cm角) 1個/長ねぎ(縦2等分/斜め切り) 1/4本/にんにく 1片/生姜 10g/赤唐辛子(輪切り) 適宜/サラダ油 大さじ1/2+1/2/【下味】醤油 小さじ2/紹興酒・サラダ油 小さじ1.5/片栗粉 大さじ1/【調味料(混ぜる)】醤油・紹興酒・酢・砂糖 大さじ1/2/鶏がらスープの素・片栗粉 小さじ1/水 大さじ1/2【作り方】1. フライパンにサラダ油を熱してカシューナッツを炒めて取り出す。サラダ油を熱してにんにく、生姜、赤唐辛子を炒める。鶏肉を加える。長ねぎ、ピーマン、赤ピーマンを加える。火を止めて【調味料】を加える。火を付けて中火で炒める。カシューナッツを加える。 なんと簡単なんだろう。しかも美味しいではないか。店で食べるよりずっとお手頃に好きな量が食べられるんだから、もう中華屋さんでこれを注文しなくてもいいかもしれません。 続いてもお馴染みの定番中華料理、青椒肉絲(チンジャオロース)です。調理は簡単なのに味がピタッと決まることがなくてこれまたよく外食していました。レトルト調味料もこれぞという商品がなくて、近頃この料理もまた外食のお楽しみと化していました。【材料】豚肉(5mm幅/片栗粉をまぶす) 200g/タケノコ(茹でる/細切り) 100g/ピーマン(縦2等分/5mm幅) 5個/片栗粉 大さじ1/【調味料(混ぜる)】オイスターソース・酒 大さじ1/塩 適宜/醤油 大さじ1/2/ごま油 小さじ1【作り方】1. フライパンを熱して豚肉を炒める。タケノコを加える。ピーマンを加える。【調味料】を熱して混ぜる。 なんて美味しいんだろう。ちょっとだけいいオイスターソースとそれを他の調味料合わせたものをしっかり煮詰めておくだけだけのことでこんなに味が決まるとは。もうこれは自宅でなんとでもなりそうです。『町中華で飲ろうぜ』で「啓ちゃん」というお店が出してるrキクラゲ卵」が何度も登場していたので、これまた食材そのものはシンプルで作るのに時間を要さないのだから有難い。【材料】卵3個/豚肉(バラ/4cm幅/茹でる) 100g/キクラゲ(水で戻す/一口大) 10切/玉ねぎ(薄切り) 30g/にんにく・豆板醤 小さじ1/片栗粉・水 大さじ1.5/ラード 大さじ1.5+1.5/ごま油 大さじ1/【タレ(沸かす)】水 75ml/鶏がらスープの素 小さじ1/2/砂糖 大さじ1/2/醤油 大さじ1/オイスターソース 小さじ1/2【作り方】1. フライパンにラードを熱して溶き卵を炒めて取り出す。ラードを熱して豚肉、キクラゲ、玉ねぎを炒める。にんにくを加える。【タレ】、豆板醤を加える。卵を加える水溶き片栗粉を加える。ごま油を加える。 なるほど、キクラゲを欲張って使い過ぎて味が薄めでボンヤリしてしまいましたが、次はかなりいい具合に仕上がる予感があります。また、無性にキクラゲが食べたくなったら作ってみることにしよう。 蒸水蛋、つまりは中華風茶碗蒸しといったものを作ってみることにしました。以前から何度も色んなレシピを試していますが、まだまだ納得のいく仕上がりに至っていません。【材料】香菜 適宜/【具材】蛤・帆立・皮蛋(ピータン)・鹹蛋(塩漬け卵) 適宜/【卵液】卵 3個/春雨(水で戻す/4cm幅) 30g/鶏がらスープの素・醤油 小さじ1/水 200ml/酒 大さじ1/みりん 小さじ1.5/胡椒 適宜/【たれ(混ぜる)】醤油・ごま油 小さじ2【作り方】1. 丼に【具材】、【卵液】を入れて蒸し器で20分蒸す。【たれ】をかけて香菜を散らす。 混ぜて蒸すだけなのだからなんも難しいことがなさそうなのにやはりぼくのイメージとは異なってしまいました。今回、具材を入れずにプレーンタイプを作りましたがやはり何かしら具材を入れた方が味が決まるのでしょうか。
2024/08/16
コメント(0)
埼玉高速鉄道線は全長14.6 km、わずか8駅だけの小規模な鉄道路線です。そこまでの鉄道オタクでもないのに走行距離を覚えているはずもなく、今さっきネットでお手軽に調べた情報を並べてみせているだけなのです。ともあれあえてこの路線を紹介するような書き出しとしたのには、相応の理由がある訳ですが、けして初めてこの路線を使ったといったことではなかったりするのです。いやまあほぼそれに近しいのですが、実は初めてこの鉄道で沿線の酒場に呑みに行ったのです。沿線の2駅の近隣で呑んだことはあります。赤羽岩淵駅と川口元郷駅の周辺です。って実際には前者は赤羽駅、後者はやや距離はあるけれど川口駅の利用して訪れているのです。しかし、開業が2001年とのことですが、ちょうどその頃に所用でこの路線を使って鳩ヶ谷駅に行ったことがあります。しかし、記憶にある限りにおいて、この路線で同車したのはこの1度きりだと記憶します。酒場巡りを始めてから何度もこの路線への進出を目論んではいたのですが、果たせぬままとなっていたのです。どうもこの路線の高額な運賃が足枷となってしまっていたようです。一方で、アクセスもイマイチなんじゃないかという思い込みもありましたが、こちらは勘違い、ぼくの住処からは案外利便な場所でもあるのです。足枷が一つ外れただけで急激に訪れたい気分が高まるのですが、運賃は確かに安くないけれど、近場に未知の町があって容易に行けるのならば行かぬ手はないと思い出したのです。我ながら単純にできているなあ。 さて、先の2駅はあえて電車に乗るまでもない、せっかくなら降りたことのある鳩ヶ谷駅は避けてまずは南鳩ヶ谷駅に向かうことを決めました。何となく町並みのイメージを確認するためにGoogle Mapを眺めていたらぼく好みのやきとん店に辿り着いたのです。これはもう南鳩ヶ谷駅に行くしかないでしょ。ってそのお店、駅から10数分の距離があって、灼熱の夏の日差しの下を向かうのは非常に気分が萎えるのです。でも怠けている暇はありません。高速鉄道は近頃黒字に転じたらしく、素人考えでは沿線住民が増加したのがその理由ではないかと思ったのだ。こうした公共交通僻地だった土地には地元住民以外は訪れることのない土着の酒場があるはずです。一定数以上の人が住む土地に酒場が存在しないなんてことはないのだ。しかし、その地域が便利になると好んで地元で呑む必要もなくなるのだ。客が減れば当然店を続けるのも困難になるというのが道理でありまして、それでも続ける人がいるとすれば、再三覚悟の趣味と割り切るか、営業時間を短縮するなりで合理化を図るというパターンが多いようです。南鳩ヶ谷の「やきとんの名店」と評される店は後者でした。と決めつけてしまったけれど、酒場の仕事というのが営業時間のみの客の目に触れる仕事だけで成り立っていないことなど百も承知なのです。さて、気になったのは外観に負っています。サッシ戸に紺暖簾というぼくが最も好みにする外観です。一軒家の感じからするとこちらは住居も兼ねているのだろうか。カウンター8卓、2人掛け1卓(ここは持ち帰り客の待機場所として使われているようです)、奥には意外にもそこそこ広い座敷席もあります。400円の酎ハイは樽ハイ倶楽部でありました。早速焼き物を注文します。やきとん以外にも煮込み、もつ刺などを始め定番の枝豆なんかも用意されていますが、周囲の方たちの器を見るとかなりのボリュームでぼくには厳しそうであります。数人で分け合えればいいのですが、ここでグループで呑むのは難しそうです。脇目を振らずにやきとんを食べる事にしました。トロットロのホルモンがちょっと珍しいだけでなくかなりの美味しさでした。さすがにアド街で紹介されるだけある。って実はそのことこの後に訪れた酒場で伺ったのですが、さて翻ってみても2020年4月18日の川口のベストには登場しない。さらに調べを進めてようやく見つけました。2012年5月26日の鳩ヶ谷篇に登場したようです。もう随分以前の事じゃないの。ところで放映当時営業時間は17~21時だったみたいですが、今では17~20時の営業となっていました。店名は「やまとや」です。駅からはちょっと歩きますが、やきとん好きなら一度は行っておきたいお店です。なんて迷惑な言葉を残すのでした。
2024/08/12
コメント(2)
金町には何度も訪れているけれど、書き洩らしていることがあったことを思い出しました。思い出したといっても書誌的なレベルで思い出しただけで体験としての具体的な記憶は抜け落ちてしまっています。と抽象的なことばかり述べていますが、金町というと『瞼の母』がパッと出てくるようであれば教養があるねえってことで一目置かれる存在に慣れるんじゃないかなんて思ってみたりするのだ。しかしまあ、時代劇をみることのほとんどなくなっているであろう若い世代の人にとっては、大方、股旅物なんていってもキョトンとされるばかりで、その代表的な作品である『瞼の母』なんて聞いたこともないかもしれない。そもそもこのタイトルを見ただけでゲンナリとした気分になるんだろうなあ。実はぼくもそうでした。何度か映画化されているこの作品ですが、加藤泰による作品を見るまではその存在を知らなかったので、今の若い人たちとそう大差ないのです(股旅物はさすがに知ってたけどね)。この映画で主役の番場の忠太郎を演じるのは中村錦之助(この人も忘れ去られているかもしれないなあ)。物語の序盤に松方弘樹(さすがにこの役者の事は知ってるだろう)が演じる金町の半次郎の窮地を救うのでありますが、通り名にあるとおりやくざ者に追われて故郷の金町に逃げ込んだっていう設定なのでした。物識り顔で語って見せましたが、映画の中で具体的に金町を指し示す描写があったかとなると正直ちっとも覚えがないのです。恐らく江戸川とその河川敷は描写されたものと思われますが、確実なことは言えないのが現状です。そのうち見返す機会があればいいのだけど、加藤泰なら見返したい作品が他にもわんさとあるからねえ。とこの先の酒場巡りとこの豆知識程度の話題がリンクすればそれなりに気が利いているのだけれど、そんなことはありはしないのでした。 今回お邪魔したのは京成金町駅を発着する金町線の踏切を渡った先にある呑み屋街の一軒、「呑み処 たまりば」なのでした。たまりばって響きは悪くないけれど、字面をどうするかで迷ってしまいそうです。「溜り場」と書くと酒場らしくないし、「たまりBar」はいかにも安直(そういや「多摩リバー」とかいうお店もあったような)です。五感はいいのに文字に落とすとしっくりこない言葉って案外あるんですよね。それはともかく「たまりば」っていう言葉は嫌いではないけれど、ちょっと考えてみると溜り場っていうのは、仲間たちが寄り集まる場所って意味だから仲間でもない通りすがりの酒呑みには、これ程入り辛い店もない訳です。店が綺麗だったせいか、お客さんは馴染みの方ばかり、しかも女性が男性客を圧倒しているし、さらには子供なども混じっています。たまりばではあるかもしれませんが、呑み処という感じではないですね。呑み処でたまりばっていうとどうしても新宿のゴールデン街なんかのワイルドな雰囲気が想起されるけれど、ここにはそうしたアブナイ印象は微塵も感じられないのです。それが悪いってことではありませんが、思っていたのとは違っていたということです。こちらのコンセプトは美味い肴をお手頃な価格でってところにありそうで、家庭料理の延長線上にあるけれど、家庭ではなかなか行き届かない丁寧な仕上がりとなっており、なるほどこれは女性が好むだろうなって合点するのでした。加えて、とんがった料理じゃないから子供にも食べさせたいって思うだろうし、子供たちもまた好んで食べたいと思えるんだろうな。と通常であれば好ましい印象のお店なんですが、どうもぼくには座りが悪いのだ。気に入って通っている方が多勢なんだろうからこれは全くぼく個人の特殊な受け止めではあるのだけれど、ここは酒を呑む場所ではなく、美味しい肴や家族、友人との語らいを楽しむためにある場所で酒はそのおまけに過ぎないんじゃないか。それはもはやぼくの求める酒場とは違ったものだ、そんな風に感じてしまったのです。
2024/08/11
コメント(0)
今でもレタスについて思いを巡らせると思い出す小説があります。梅崎春生著『ボロ家の春秋』です。うろ覚えだったのですが、青空文庫で確認したら大体記憶していたとおりの内容でした。以下に引用しますが、不快な気分になられる方もおられるかもしれないので、神経質な方は以下はスルーしてください。-- そこで僕は怒りを静めあれこれ考えた揚句、向う一箇月毎日レタスを一株僕に提供すること、それも野呂菜園のは虫の卵がないから八百屋より買い求めること、その条件で許すことにしました。野呂はしきりに一箇月を半月に値切って来たが、僕は頑として受けつけなかった。こうしてこの件は一応僕の言い分が通った形ですが、実際に八百屋のレタスを食べたのは、十日ぐらいなものです。経済的に毎日毎日レタスを購うことの非を悟った野呂は、ついに野呂菜園のレタスに人肥を使い始めたのです。勿論それを僕に食べさせようという魂胆からです。しかもその人肥は、我が家のそれであって、野呂の言によるとこれには卵が確実に多量に含有していると言う。それは確実に含有しているでしょうが、自分のハイセツ物をかぶって汚染したレタスを食べることは、流石の僕も感覚において忍びず、仮釈放という形で以後のレタスの提供は免じてやりました。しかし野呂の側からしても、賠償義務は免除されはしたものの、自分の菜園のレタスが卵持ちになったわけですから、大したトクにはならなかったでしょう。-- 他愛無いと言えばそれまでですが、改めて読むと昔より楽しく読めました。いつか時間ができたらまとめて読み返してみてもいいかな。なんて本題のレタスとは全く関係のない話で終始してしまいました。 そうそう、前の日の青梗菜に続いてレタスでもこの食べ方してしまいました。レタスの油菜(ヤウチョイ)です。【材料】レタス(千切る.油を入れた湯で茹でる) 1玉/湯・油 適宜/オイスターソース・ごま油 大さじ1【作り方】1. 皿にレタスを盛って熱したごま油を、オイスターソースをかける。 美味しいですね。これも悪くない。生のサラダもいいけどそればかりだと飽きちゃいますしね。買ってから日が絶ったレタスはこうして火を通すのもありですね。 レタスはコンソメのスープだったり味噌汁の具材としても美味しいのです。それは分かっているんですが、やりそうでなかなかやる機会がないんですね。たまたま歯の調子が悪くて咀嚼が辛くなったことがあったので、その際にレタスの中華スープを作ってみました。【材料】レタス 4枚/春雨(水で戻す/3cm幅) 15g/鶏肉(笹身/ほぐす) 1本/生姜 1/4片/白ごま 小さじ2/水 2カップ/ごま油 小さじ1/香酢 適宜/【調味料】鶏がらスープの素 小さじ2/酒・醤油・塩・胡椒 適宜【作り方】1. 鍋に水を沸かして鶏肉を茹でて取り出し、ほぐす。【調味料】を加える。レタス、春雨、鶏肉、生姜、白ごま、ごま油を加える。香酢を添える。 まあ、ごく普通に美味しいです。スープ系は具材や味付け次第でいくらでもヴァリエーションを増やせそうです。食感だけで味を左右する食材ではないですから。 このレシピを見た時から作ってみたいと思っていました。レタスのお浸し2種です。ネット上には似たようなレシピが散見されいずれがオリジナルか分かりませんが、すりごまが黒だったりと色んなパターンがあります。【材料】レタス(茹でる) 1個/すりごま(白) 大さじ1/胡椒 適宜/梅干し(包丁で叩く) 2個/めんつゆ 大さじ1.5/ごま油 大さじ1/2【作り方】1. レタスを広げてすりごま、胡椒を散らし、巻いてひと口大に切る。2. レタスを広げて梅干しをのせ、巻いてひと口大に切る。3. 皿に1.、2.を盛って和えためんつゆ、ごま油を添える。 なるほどねえ。くるくる巻くことでそのまま食べるのとは食感がまるで違ってくるものですね。それと巻き込む材料にも色んなアレンジが可能と思われます。のりの佃煮とかも色合いだけでなく味も良さそうです。大葉にしらすやタラコなんかも美味しいかな。 なんでこれまで試さなかったんだろう。レタスカレーを作ってみました。大した捻りはありませんが、クミンシードとたっぷりの生姜(ベースと針生姜の2弾使い)が合うんじゃないかと思って使ってみることにしました。【材料】ごはん 1膳分/レタス(千切る) 5枚/豚ひき肉 50g/玉ねぎ(粗みじん切り) 1/4個/ニンジン(銀杏切り) 2cm/生姜 小さじ1/2+1/4片(千切り)/にんにく 小さじ1/2/赤唐辛子(砕く) 1本/オリーブ油 小さじ1/クミンシード 小さじ1/4/カレーフレーク 大さじ2/水 200ml【作り方】1. 鍋にオリーブ油を熱して生姜、にんにくを炒める。クミンシード、赤唐辛子、豚ひき肉を炒める。玉ねぎ、ニンジンを加える。水を加える。カレーフレークを加える。皿にごはんを盛ってかけ、生姜をのせる。 クミンも生姜も悪くないですね。でもどちらか一方にしておくのが風味がより際立ったかもしれません。それと肝心のレタスですが、思った以上にいいです。嵩増しになるばかりでなく、カレーでは通常感じられないシャキシャキ食感が楽しめました。
2024/08/10
コメント(0)
青梗菜は、今では日本でもそこら辺のスーパーマーケットでも簡単に手に入るメジャーな野菜となりましたが、日本に持ち込まれたのはなんと1972年の日中国交回復以降だったんですね。ぼくにとっては、思いがけずに最近のことのように思えますが、すでに半世紀を経ていることを踏まえるとまあそんなものなのかなという気もしてきます。何にせよ今のリタイア世代の人たちが子供時代に通った中華屋さんでは青梗菜は見られなかったということで何だか不思議な気がします。東坡肉(トンポーロー)の盛り付けられた皿には肉を囲むように青梗菜が飾られているものと思い込んでいましたが、1903年に刊行された村井弦斎著『食道楽』はもちろん、1970年に刊行された東坡肉のレシピを紹介した檀一雄著『檀流クッキング』ですら青梗菜が飾られてはいなかったということになります。ちなみに青梗菜は、緑黄色野菜として栄養が豊富なのはもちろんのこと、胸焼けを抑える効用もあるとのことで、肉料理に加えたり添え物とするのは誠に理にかなっているとのことであります。が、今回の青梗菜の食べ方ではあくまでも主役として青梗菜を調理しています。青梗菜メインの料理が果たしてぼくを満足させ得るのか、その結果は以下をご覧ください。 まずは定番の青菜炒めです。青梗菜のオイスターソース炒めという直球の料理名で紹介されていました。蒸し焼きにするタイプの調理法です。【材料】青梗菜(10cm幅) 1/2株/生姜・にんにく 小さじ1/赤唐辛子(小口切り) 1/2本/オイスターソース・醤油・水・ごま油 小さじ1【作り方】1. フライパンにごま油を熱して生姜、にんにく、赤唐辛子を炒める。青梗菜(茎)を炒める。水を加えて蓋をし、1分加熱する。青梗菜(葉)を加える。醤油、オイスターソースを加える。 改めて食べると青梗菜って美味しいものですねえ。にしても青梗菜などの青菜は淡泊だからオイスターソースの濃厚さが不可欠に思えてしまいます。実際今回のレシピは全てオイスターソースを使っています。 今井亮って人が紹介していたヴァージョンです。どれも似たり寄ったりですけど。砂糖をちょっぴり加えているのが特徴かな。水に浸すことでシャッキリさせているのかな。【材料】青梗菜(3等分/浸水[2分]) 2株/サラダ油 大さじ1/にんにく 1片/赤唐辛子 1本/【調味料】オイスターソース・ごま油 小さじ1/酒 大さじ1/砂糖 小さじ1/2/塩 小さじ1【作り方】1. フライパンにサラダ油をを熱してにんにく、赤唐辛子を炒める。青梗菜(軸)を加える。青梗菜(葉)を加える。【調味料】を熱して混ぜる。 砂糖の効果はともかくとして非常に美味しいです。単に炒めただけの方が好みってことなのかなあ。 最もシンプルな茹であげ青梗菜です。青梗菜のお浸しにオイスターソースとごま油を掛けるだけです。【材料】青梗菜(縦8等分) 2株/サラダ油 大さじ1/塩 小さじ1/【ソース(混ぜる)】オイスターソース 大さじ2/ごま油・湯 小さじ1【作り方】1. 鍋に湯を沸かして塩、油を加え、青梗菜を茹でる。皿に盛って【ソース】をかける。 これが美味しいんですね。これにハマってからは、色んな青菜で試しています。 横浜の中華街に「北京飯店」って店があるそうで、そこで青菜飯なる料理が提供されているようです。果たして青梗菜だけで満足できる丼物になるのだろうか。【材料】青梗菜(8等分/葉と茎を切り分ける) 4把/にんにく 4片/創味シャンタン・酒 大さじ2/水 200ml/オイスターソース・塩 小さじ1/2/胡椒 適宜/片栗粉 大さじ1.5/水 大さじ3/油 大さじ2/ごま油 小さじ1/ごはん 1膳分【作り方】1. 中華鍋に油を熱してにんにくを炒める。青梗菜(茎)を加える。青梗菜(葉)を加える。水を加える。創味シャンタン、オイスターソース、塩、胡椒を加える。水溶き片栗粉を加える。ごま油を加える。ご飯を盛った皿にかける。 これはびっくり。青梗菜だけでもバッチリ満足できました。これは旨いなあ。しかもヘルシーな感じがするし。でもこれって創味シャンタンとオイスターソースの旨味で食べてるんじゃないのって気がしなくもない。ひとつ大事なことがあって、オイスターソースは敢えて銘柄は書きませんが、安物はダメね。そこそこいいのを使うというのがポイントといえばポイントかと。
2024/08/09
コメント(0)
もう随分長いこと居酒屋巡りをしてきたし、随分ペースダウンはしたけれど未だにゆるゆるとレポートも書き継いできました。と書くとさもこのブログを幕引きしようって話みたいですが、そんなものではなくて単に今更の話をしようと思っているだけなのです。そもそも話をするってだけなのです。でそもそもでありますが、ぼくにとって酒場を巡るのは観光スポットを巡るのと同様な行為なのです。ぼくは観光スポットの食事処で美味しい料理を期待したりはしません。腹が減っていたとして、それなりに食べられさえすればそれで十分なのだ。だから酒場でも肴や酒には大した拘りはないのです。また、超有名だったり立派過ぎる観光スポットにもさほどの興味は抱けません。一度位見てもいいけれど、長々と見惚れたりすることにはならないものです。酒場だって似たようなものです。だからといってB級スポットと呼ばれるような施設・場所がいいかといえばそうでもないんですね。そうしたレッテルが貼られて人々が群がるようになると途端に魅力を失ってしまうのは、ご周知のとおりです。観光地よりは酒場の方が愛好者の数が絞られると思われるし、施設としての寿命も短いのが普通だから一過性のブームで終わる場合が多いようには思います。言いたいのは単純で誰もが知るような観光地というのは確かにそれなりに見ごたえがあるものであるのと同様に良く知られた酒場というのもそりゃまあ有名になるだけの価値はあるはずなのです。でもそういう観光地や酒場というのは有名になった時点で何某かの美徳を損なってしまうもののようです。訪れる客側が勝手に美化したり場合によっては神格化してしまったりするとより一層実物に接した際のギャップの開きに落ち込むことになるのです。結局のところなるべく早く下手な情報には振り回されなくなることが肝要です。 そうなるとまあ、情報によって盲目化されていた視界が開けてくることがあります。それまで意識に留めることのできなかった酒場が視界に浮上してくるのです。浮上してきた酒場はきっとぼくが魅力的だと感じている酒場なんだと思うのです。それには時としてリスクが伴います。好きな酒場の傾向が似ているのだから当然に以前訪れた酒場に繰り返しお邪魔してしまうことがあるのです。自分が好ましいと思っている似た傾向の酒場を目指すのだからいかにも起こり得ることではありますが、2度ならまだしも3度目なのに初めてと思い込むのはいかにも脳の老化を疑いたくもなるのです。しかも今回のお店は亀有の地下飲食店街という非常に印象的な場にあるのだから、そのつもりで訪れていない以上、さすがにまずい気がするのです。そのお店は「三京」。それでも入店した瞬間にここには何度か訪れていると思えたからまあギリギリセーフとしておくことにしよう。外観がちょっといい感じであるという加減が最も陥りがちですが、ここはいかにもそういったタイプのお店であります。何かが特別に秀でたお店ではありません。値段もそこそこで酒も肴も定番でちょっと古めかしい感じがあるし、店の人たちもアットホームではあるけれど、ちょっと緩すぎる気もします。でもなぜだかとても落ち着くんですね。そういえば有名酒場でぼくが気に入っている酒場というのは、決まって居心地の面では必ずしも良くない店が多い気がします。もしかすると記憶が曖昧な場合、いかにも寛いだりのんびりできそうな店を本能で嗅ぎ取っているのかもしれません。
2024/08/05
コメント(0)
日本から四季が失われつつあるのは、事実かどうかはともかく実感として受け止めざるを得ないところです。そもそも四季というものがきっちりと定義付けできるものではないのであって、その曖昧となることはぼくがたどたどしい言葉でくどくどと語ってみるまでもないことです。でもぼくが子供の頃には確かに春なら春、夏なら夏、秋なら秋、冬なら冬って感じられる期間が確かにあったように思うのです。でも今では、夏と冬ばっかりで春と秋はあるかないかってな具合で、近頃は今年はなかったなんて思うこともあったりします。でも子供の頃には、春秋よりも夏冬が圧倒的に好きでした。そしてそれが望み通りとなったのだから本来であればぼくは喜ぶべき状況のはずなのだ。と書きはしたけれど、お察しのとおりちっとも喜べてはいないのです。現代の夏がぼくの子供時代の夏であれば喜んでいたかもしれません。当時の夏は今の夏に比べるとせいぜいが爽やかさを留める初夏の陽気でしかなかったと思えるのだ。だとすれば現代の酷暑を経験しているぼくには、むしろ当時の夏は物足りなく思えて、それこそこれは夏ではなかったと感じてしまうのかもしれません。結局、人(自分が人を代表しているような書き方は品がよろしくないけれど)なんてのは、いつだって現状に不満を抱いてしまう生き物なんだろうなあってみっともない結論に至るのでありました。 四季のことを語ったのは、一応今回お邪魔した「四海春」に引っ掛けたからなのです。不勉強というか無教養なのでこの語の意味どころかこういう熟語があることすら知らなかったのですが、ネットで見ると「海山すべてのものが春の足音をたたえていること」とのこと。となると「四」というのは「山」を意味する語なのかねえと思わぬでもないけれど、それは違っている気がします。ともあれ何やらおめでたい言葉だから店名にしてみましたってところなのでしょう。広くはないけれど、上品でもうちょっと飾れば高級中華屋風な印象にもなりそうなお店でありました。この夜はシミタレオヤジが一緒だったので、このセミ高級路線のお店では2人で1品の注文となりそうで、厚顔無恥を決め込みましたが、幸いにも牛肉のオイスターソース炒めと餃子の2品を頼んでいました。この前者の料理については、彼には思い入れがあったようです。彼が若かりし頃にアメリカ(確かシカゴだったかなあ)に留学していたそうで、そこの中華料理店でよく頼んだ品だったようです。この人、事あるごとに自分や家族の自慢話を話題として投入してくる人で近頃はさすがに自慢ネタも一巡りしたのでさほどイラっとすることもなく聞き流すことができましたし、自慢ネタを繰り出すため料理を注文してくれるのならばいくらだって自慢話にも付き合おうってものです。ただでさえ旨味の強い牛肉に危険な量の旨味成分を含有しているように思えるオイスターソースを掛け合わせたら、いかにもくどくなるんじゃなかろうか。実際、パーティメニューなどでこの料理は定番となっていますが、味が濃厚過ぎてくどく感じられしかも冷め切っていることがほとんどだからより一層にいい印象を持てずにいたのです。でもここのはちゃんとしてます。ちゃんと作って熱々のうちに食べたら美味しいものだなあ。でもこの料理、その気になれば自分でも簡単に作れそうって思うのは間違いだろうか。餃子を食べてみるとこれが素人ではなかなか至れないレベルのかなり本気の餃子だったことを思うと、きっと牛肉炒めも仕上がりが雲泥の差になりそうだと考え直すのでした。
2024/08/04
コメント(0)
片岡義男に『夏と少年の短篇』に収録された「夏はすぐに終る」は、主人公の青年が人生で初めてもずくを食べることになります。この作家らしく小説の大部分が会話から成り立っています。-- 今日は焼き魚の日だと、真理子は言った。彼女は焼き魚を注文し、晴彦は煮た魚にした。魚のほかに、ほうれん草の胡麻あえとひじき、そしてもずくを、真理子は注文に加えた。晴彦は魚に天丼だった。それだけではいけないと真理子は言い、野菜の煮つけともずくを彼の注文につけ加えた。(中略) ほうれん草の胡麻あえとひじき、そしてもずくが、ふたりのテーブルに届いた。真理子は御飯をもらい、ふたりは食べはじめた。(中略) 話をしながらふたりは昼食を食べていった。もずくを気にいった晴彦は、小さな容器に入っているのをもうひとつ、注文した。白い上っぱりにミニ・スカート、そして金色のサンダルの女性が、もずくの入った容器を退屈そうにふたりのテーブルに置いた。彼女が配膳カウンターまで戻ってから、(中略)「もずくがおいしい」(中略) 真理子に勧められて、ほうれん草の胡麻あえをひとかたまり、晴彦は割り箸でつまみ上げた。-- もずくの記述を含む段落をピックアップしてみました。(中略)箇所はすべて会話です。この引用箇所だけを読んで二人の関係性を読み取るのは困難と思うのですが、いかがでしょう。母子もしくは姉弟のような関係性を読み取りたくなります。しかし、このお話は、車で旅する青年と同級生の看護学生が食事して語り合うという物語です。地の文章だけでは二人の関係を誤解してしまうということを抜きにすると会話箇所が無駄に思えてきます。というかこれによって引用中たった一文の会話が際立ってくるようです。にしてもなぜもずくなのだろう。 もずくって買ったはいいけれど、三杯酢なんかで食べる以外、それほど多くのレシピがあるわけじゃないようです。天ぷらが定番ですが、揚げ物は例によってパスします。ということで、まずはオリジナルの韓国風もずくの冷製スープです。【材料】もずく・きゅうり(細切り)・水・ダシダ・顆粒だし・醤油・酢・砂糖・にんにく・胡椒・ごま油・白ごま 適宜【作り方】1. 全ての材料を混ぜる。 まあ、この味付けならわかめだって合うんですけどね。スープの具材にするとスルっと喉を通り抜けてしまうから、もずくを堪能できないような気もして果たしてこれがもずく料理として成功しているかは微妙なところ。味は悪くないんですけど。 大定番のもずくときゅうりの甘酢和えをすしのこで作ってみました。もずくときゅうりのすしのこ和えです。【材料】もずく・きゅうり(包丁で叩く)・生姜(千切り)・すしのこ 適宜【作り方】1. 全ての材料を和える。 手軽に作れはするけれど、どうも味がぼんやりとして決まらなかったかな。いっそのことごはんを混ぜてもずく寿司にするとよかったかも。 もずくそばです。実際に食べられていても不思議ではないけれど、まだぼくはであったことがありません。【材料】そば(茹でる/冷水で洗う) 1人分/もずく・揚げ玉・めんつゆ 適宜【作り方】1. 器にそばを盛ってめんつゆを注ぎ、もずく、揚げ玉をのせる。 そばのツルシコともずくのゾゾツルが混じって思わぬか化学変化を及ぼすことはなかったのでした。 最後は沖縄で実際に食べられているというもずくのヒラヤーチーを作ってみました。【材料】サラダ油 大さじ2/【ヒラヤーチー(混ぜる)】薄力粉 100g/水 100ml/卵 1個/顆粒だし 小さじ1/2/もずく 100g/ニラ(3cm幅) 50g/【タレ(混ぜる)】醤油・酢 大さじ1.5/一味唐辛子 小さじ1/4【作り方】1. フライパンにサラダ油を熱して【ヒラヤーチー】を焼く。一口大に切って皿に盛って【タレ】を添える。 もずくって火を通すとモチモチするんですよね。天ぷらなんかがそうですね。でも天ぷら同様、もずくの風味はどこかへ消し飛んでしまうみたいでなんだかもったいない気もします。
2024/08/03
コメント(0)
ひと口にニラ玉といっても色んなタイプがあるようです。食べログまとめ 「【へぇぇ~!】ニラ玉研究家によるニラ玉の種類いろいろ」https://tabelog.com/matome/1633/ そりゃまあ、ニラと卵を使った料理をニラ玉って料理名で括れるのであれば、ここに紹介されている以外にもいくらだって作ることはできるのです。単にニラと卵を炒めるといっても炒り卵タイプもあれば、オムレツタイプもあるし、玉子焼きだったり、お好み焼き風もあったりするし、焼き加減にも作り手毎の拘りもあったりする。味付けはそれこそ千差万別です。当然、オプションの具材も肉、魚介、野菜、きのこなどなどありとあらゆる食材が対象となってきます。となるとぼくはミニマムなニラ玉にこそ真価を問いたくなるのです。材料はニラと卵、あとせいぜい一品目程度に留めたい。ベストなニラ玉のレシピをひと通り試しておきたいのには理由があります。実はニラに限ったことではないのですが、青菜系の食材というのは値段が極端に乱高下するので、安価で売られているとついつい必要以上に買い過ぎてしまったりします。案の定、調理する間もないうちに傷みだして、捨てるのはもったいないからと傷んだ箇所を間引いたりすることになる。その処理に要する時間が余りにももったいない。なので、さっと下茹でしてヤバくなってきたら冷凍庫に放り込んでそれがまた冷凍庫の肥やしとなるなどなかなかに厄介なのだ。シンプルなニラ玉のヴァリエーションがあれば日替わりで消費に勤しむことができるであろうという思惑があるのだ。 まずは、ニラ玉炊き込みご飯です。2カ月前に作ったようですが、実は全く記憶がないのです。ある意味でこれほどに簡単な料理はそうはないと思うのですが、作った記憶も食べた記憶もないのです。【材料】米 2合/ニラ(3cm幅) 5本/卵 3個/水 適宜/【調味料】酒 大さじ1/塩 小さじ1/4/めんつゆ 大さじ2【作り方】1. 炊飯器(内釜)に米、【調味料】、水を入れて卵をのせ、炊く。ニラを混ぜて蒸らす。 記憶にないということは、やはりそれ相応の手間と味であったということでありましょう。 ニラと卵を別個調理(というほどのものではないけれど)するタイプのニラ玉ユッケ丼です。冒頭のサイトでも紹介されていますが、茹でニラと生の卵黄というユッケスタイルは、ニラ玉そのものであるけれど、以前はニラ玉とは呼ばれていなかったはずです。が、ぼくはこれも確かにニラ玉だなあと思っています。【材料】ごはん 200g/ニラ(3cm幅/電子レンジで600W2分加熱/塩をふる/【調味料】と和える) 1束/塩 適宜/卵黄(醤油に漬ける) 1個分/醤油 小さじ1/2/【調味料】オイスターソース 大さじ1/2/だし 大さじ1/にんにく・ごま油・白ごま 小さじ1【作り方】1. 丼にごはんを盛ってニラ、卵黄をのせる。 これは間違いのない旨さ。でもこれって朝メシ向きの食事という気がするけれど、平日には危険だし、かといって昼には寂しい気もする。夜をこれで終えるのもちょっとなあってなるといつ食べるのが適当なんだろうかと悩んでしまうのだ。ぼくは休みの朝に食べました。 山谷にある「遠州屋髙尾」式ニラ玉であります。ニラ炒めにトロトロ炒り卵をのせるスタイル。【材料】卵(三温糖、酒、醤油を混ぜる) 2個/ニラ(4等分) 1束/白ごま 小さじ1/2/ラード 大さじ1/2/サラダ油 小さじ1/三温糖 小さじ1/4/酒 小さじ1/2/醤油 小さじ1/2/塩・胡椒・旨味調味料 適宜/酒 小さじ1/酢 小さじ1/4/醤油・ごま油 小さじ1/2【作り方】1. フライパンにラード、サラダ油を熱して溶き卵を焼き、取り出す。ニラを炒める。塩、胡椒、旨味調味料を加える。酒、酢、醤油を加える。ごま油を加えて皿に盛る。白ごまを散らして卵をのせる。 酒の肴に悪くないんだけどねえ。でも何か物足りない感じがするんですね。これをごはんにのせて食べるならいいんですけど、このままってなるともうひと具材欲しい気がします。 ニラ玉ラーメンです。和風のニラ玉というと炒めるんじゃなく濃い目のタレで炊くのが定番です。玉子は溶き卵を注いだかきたまスタイルが一般的かな。これをラーメンの具材にしてしまいました。【材料】中華麺(醤油/茹でる) 1人前/ニラ(3cm幅) 1/3束/卵 1個/ごま油 小さじ1/湯・胡椒 適宜【作り方】1. 鍋に湯を沸かして付属のタレ(半量)を加える。ニラを加える。溶き卵を加える。ごま油を加える。2. 丼に付属のタレ(半量)、湯を注いで中華麺を盛る。1.を注いで胡椒を散らす。 当初、想定していたより美味しいですね。ニラと卵の風味がスープに溶け出してなかなか旨し。家ラーメンは本格派は材料を用意するだけで一苦労ですが、こういう手軽な材料でも美味しくなるもんです。
2024/08/02
コメント(0)
全18件 (18件中 1-18件目)
1