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どうして上方落語の神様は、存在は地味でも、本格派の噺家を、早くあの世に連れて行ってしまうのか。米朝師のお弟子さんの枝雀師匠・吉朝師匠と並ぶ、上方落語の大損失だと思う、昨日の訃報は。…こういうこと書くと来るかな、批判が…。笑福亭松鶴一門の中で、一番の本格派と言われ、「らくだ」や「天王寺詣り」などで、その至芸を存分に魅せてくれた、笑福亭松喬師匠が逝った。享年62。あまりに早い。一昨年末に、手術不可能の末期の肝臓がんと宣告され、闘病しながら高座に上がり続けていた、という話は聞いてはいたが…。先々週だったろうか、NHK教育の「日本の話芸」でその姿を見たとき、思わず絶句した。どちらかと言えば、丸っこい体つきで、アクの強い独特のダミ声だった松喬師匠が、半分以下に痩せて、全くの別人になっていた。高座にメクリが無かったら、本当に誰だか分からない状況だったかもしれない、お客さんも。「網舟」という、今まで一度も聴いたことのない噺(当人もマクラで、そんなことを言っていたが)を演っていたのだが、あの歯切れの良さも全くなく、何を言っているのか、聞き取れない箇所が幾つかあったほどだった。でも、家元の最期じゃないが、松喬師匠の口から出るひと言ひと言が、「落語への慈しみとお別れ」のように私は聴こえた。まあ、ご本人としては、「お客様、いつも通りにどうぞ笑って下さい」という気持ちで高座に上がっていたとは思うのだが、多分落語が始まってしばらく経つまでは、客席は同情の目で見ていたような風に受け取れたのだ、テレビを見てて。ところが、後半に入ったら「普通に笑いを取っていた」ということに、私は驚き、感動で震えた。あのテレビが、限りなく最期の高座に近いと思うが、かなり辛かっただろうに、よくあれだけの高座を務めることが出来たと思う。やはり気力かな…。私は10年近く前に、有楽町・よみうりホールでやってた「東西落語研鑽会」で、一度拝見している。上方落語に興味が薄い私だが、その話芸に酔ったのをよく覚えている。松喬師匠、闘病お疲れさまでございました。ゆっくり、お休みください。心から、ご冥福をお祈りいたします。
2013年07月31日
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その1:KAWADE夢ムック・立川談志(河出書房出版・1200円)50年近く前からの家元の対談や、様々なエッセイなどを1冊に纏めた、談志ファン垂涎のムック本。私も初めて読んだ文が多く、新鮮に楽しむことができた。この本の目玉は、何といっても志の輔・談春の兄弟弟子対談に尽きる…と思う。この対談は初めてだろうから。家元が亡くなった今こそ語れる本音…みたいな言葉が随所にあり、特に志の輔師匠の言葉には、軽妙な中に重いものが、随分とあったような気がする。対談が、また実に面白い。春風亭柳朝・三笑亭夢楽師らとの鼎談では、先輩2人に遠慮したのか、あまり口を挟んでいなかったり(笑)。酔って絡んで、家元を萎縮させた(!)勘三郎、映画の話で相当家元にはまったと思しき三谷幸喜。最も気を許して喋っているように見える対談が、高田文夫・太田光などなど…。個人的には、澤田隆治さんとの「文学」についての対談が一番面白く読めた。「立川談志」を、様々な角度で濃厚に楽しめる一冊だと思います、これは。ページを繰っていると、耳に家元の声が聞こえてくるのが、ちょっと嬉しくて、凄く悲しい。その2・樋口毅宏「タモリ論」(新潮新書・680円)タモリファンとして、このタイトルは見逃せなかったので、即購入した一冊。幼いときは、笑いの取り方に「大人」を感じて、日テレの「今夜は最高!」の凄さもわからず、敬遠していた節があった人だった。「笑っていいとも!」は、学校を休んだときや、夏休みにゃ必ず見ていたけども。しかし、大きくなるにつれて…まあ、私がお笑いマニアになってからだが、その思想や笑いの取り方に惚れ込んで、今では「かなりファン」の部類に、私は入ると思う。…「笑っていいとも」は、一切見なくなったが(笑)。この本の著者の方は、私より8歳年上。昭和56年~57年、「今夜は最高」や「いいとも」、「タモリ倶楽部」が始まった、お笑い番組花ざかりの頃に、小学校高学年~中学生だったという、羨ましい世代。そして、はまったら「タモリ信者」になるであろう世代。私が勝手にそう思ってるだけだけど(笑)。というわけで、楽しみにページを捲っていったのだが…。この著者のファンの方なら、楽しめたのかもしれないが、私にはとても消化不良だった。まず、何というか「タモリ論」なのに、あんまり「論」になっていないような気がする、文章全体が。タモリを語るつもりで、別のことを引き合いに出したら、そっちの分量が多くなりすぎて、話があちこちに飛んで本末転倒になっちゃった…という感じ。このブログと似てるよ、ある意味(苦笑)。これだったら昔、ラサール石井氏が書いたお笑いの本があったが、そこに短く記されていた文章の方が、よっぽど「タモリ論」だった気がしてならない。あと、タモリについて語るとき、避けて通れないのが「BIG3」のことだと思うが、この本は全体的にたけし・さんまの分量が多すぎて、何がどうやってタモリの話に繋がるのかが、よく見えてこなかった。「タモリ論」と銘打って本を書くなら、「タモリ=8:たけし=1:さんま=1」位の比率にすべきだろう。でも、この本は「タモリ=3:たけし=4:さんま=3」くらいの比率に感じてしまったのだ、私は。過去の番組についても、ほぼ「笑っていいとも」にしか触れていないのも、腑に落ちなかった。他の番組のことが、殆ど書いてないってのは、流石に「タモリ論」と銘打ってて酷いんじゃないか?と思う。せめて自分が見ていなくとも、周囲にリサーチするとか何かして、「ボキャブラ天国」や「ジャングルTV」、「音楽は世界だ」などの、「別角度からのタモさんが見られる番組」についても言及して欲しかった。「いいとも!事件史」みたいなのも、誰でも知ってる話ばかりだったしねえ…。う~ん…調べてないよな~、この著者は。「笑いを論じることが野暮」なら、あえて徹底的に「野暮」になって、「落語ファン倶楽部」並に(笑)カルトな内容にすべきだったんじゃないかしら?「野暮」も一周すると「粋」になると思うけど。「BIG3への愛」とかいう題名なら、この内容でもいいけれど、少なくとも「タモリ論」ではない。著者の方には申し訳ないが、これだけは言い切れる。…あんまりオススメできないかな?この本は。
2013年07月28日
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久々の上野鈴本の定席。いつ以来だろう?少なくとも、高座に往年の屏風が復活してからは、初めて行ったことになる…(『囀の会』は特別興行だったのでね)。「主任の喬太郎は、性的な表現や残酷な描写が含まれる噺を申し上げる予定ですので、予めご了承ください」…と、プログラムに書いてあるのが、凄い。「双蝶々」か、「吉田御殿」か、「宮戸川の通し」か…。とにかく「エグってエグってエグりまくる噺」を期待し、私は鈴本に向かった…ワクワクしながら(笑)。落語協会の人気者総登場!みたいな番組だったので、平日だってえのに、18時の時点で、ほぼ満員だった。今日は、全ての噺家さんの高座がパーフェクトに近い、素晴らしい出来だったと言える。こういうことは、しょっちゅう寄席通いをしていても、年に1~2度あるかないか、という感じ。…てなわけで、感想を幾つか。入船亭小辰 「悋気の独楽」二つ目になって日が浅い小辰さんだが、とにかく巧い。先日、らくごカフェで「鈴ヶ森」を聴いてぶっ飛んでから、気になる存在になってきた。今日は「悋気の独楽」だったが、女将さんとお妾さん、女性の演じ方は、見事の一言に尽きた。ただ若干、演じ方が三三師と印象が被る感じがあったが、これは高座をこなしていくうち、徐々に独自の演じ方にスライドしていくことだろう。…小辰さん、偉そうな書き方して、ごめんなさい(汗)。柳家さん生 「親子酒」普通「親子酒」を演る際、酔っ払って帰ってきた倅は、障子を開けて「おとっつぁん、ただいま帰りました~!」と大半の噺家は倒れながら言うが、さん生師は違った。障子を開けて無言でバッタリ倒れ、親父が話しかけた後「たらいま帰りましたぁ~~!」…この方が、個人的にはリアリティがあったと思う。春風亭百栄 「鼻ほしい」私より、もっともっと寄席通いを頻繁にしてる方々は「そんなことないよ、頻繁に演ってるよ」とおっしゃるかもしれないが、百栄師匠の古典落語は、私は初めて聴いた(苦笑)。独自の味付けをしてはいたが、思った以上に忠実な「鼻ほしい」で、結構驚いた。せいぜい寺子屋の場面ぐらいしか、入れ事がなかったし。今は亡き、三遊亭圓彌師匠の端正な高座を思い出した。全然キャラクター違うのに(笑)。林家たい平 「不動坊火焔」生の高座は、個人的に久しぶりのたい平師匠。噺の前半部をカットして、短く纏めた「不動坊火焔」。「アルコール」と「あんころ」の間違いから起こる屋根の上の喧嘩をフィーチャーして、独自のサゲに繋げたのは、流石としか言いようのない素晴らしさ。演出はクド過ぎず、かと言って、あっさりし過ぎず。特に場面転換の巧さは、昔の喜劇映画のテイストに似ていた気がした。橘家文左衛門 「馬のす」喬太郎師を除いて、個人的に、今日のMVP。擦れっ枯らしの落語好き、滅多な落語では笑わないイヤ~なマニアのこの私(苦笑)が、腹がよじれて窒息寸前になってしまった。文左衛門師匠は、強面のルックスだが(怒られる…)、落語の演出はピカイチだと思う。所作の細かさ&巧さ、巧みな声のトーンの使い分け。今日の「馬のす」では、その全てが存分に生かされ、客席を大爆笑に叩き込んだ。噺の前半は、黒門町もかくや…と思わせるほどの抜群の演技力で、噺に引きずり込まれた。…ところが後半。黒門町なら「電車混むね」のとこが、大脱線(笑)。「『あまちゃん』見てる?」だの「矢口真里が…」だの、時事ネタやら、噺家の悪口暴露大会で、私ゃ悶絶(笑)。ただ脱線しただけなら、「目先の笑いが欲しいのか」的な批判もあるかもしれないが、あれだけ噺の根幹を崩さずに演るのなら(しかも抜群の腕があるのだから)、文句言う奴ぁいないだろう。また聴きたいなぁ、これ!柳家喬太郎 「本当は怖い松竹梅」喬太郎師匠が、こういう噺を拵えた…というのは、確か「落語ファン倶楽部」で読んだ覚えがあった。その噺を、ついに聴くことが出来て感無量(笑)。前半は普通の「松竹梅」なのだが、後半が思いっきりサスペンス&エロ&同性愛などなど、エグり放題。オチも陰惨なもので、確かに子供にゃ聴かせられないもんだった。R指定は正しい(笑)。ストーリーを詳細に書きたいが、サスペンスだから…ストーリー書いたら、まだ聴いてない方々に、私自身が殺されてしまうので…(笑)。しかしエロ場面はあったものの、不快な感じは全くなく、むしろサスペンス落語(そんな噺は他にないだろうが)だったので、グイグイ物語に引き込まれていく感じが強かった。噺の先が分からないから…ってのも大きいが、こんなに夢中になって落語を聴いたのは、何年ぶりだろう?今日はホントに行ってよかった。己の勘を、己で褒めてあげたい(笑)。
2013年07月17日
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一昨日、神保町らくごカフェで開催させて頂きました「昭和歌広場」!お出でいただきました皆さま、有難うございました。心から感謝申し上げます。正直言いますと、開催前に急なキャンセルが相次いて、「こりゃ『つばなれ』しないかもな…」と、私は内心大赤字覚悟でおりました(苦笑)。しかし!「事前予約なし」にお出でいただいたお客様が想像以上に多く、最終的に盛況になりまして、有難いことこの上なし!次回は、10月19日(土)の日中に開催予定です。ゲストは我が師匠、保田武宏先生を予定しております。次回テーマは、まだ未定ですが、テーマが決まり次第ここで発表させて頂きます!次回も沢山のご来場、心からお待ち申し上げます!
2013年07月15日
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『昭和歌広場~SPレコードとトークでつづる歌謡史~』第1回・伝説の懐メロスナック、中野坂上『艶歌』の思い出7月13日(土) 会場・神保町らくごカフェ18時30分開場・19時開演入場料・予約1,200円 当日1,500円司会・林田雄一 トークゲスト・加藤浩(オフィスM’S)内容のお問い合わせ・チケット予約はこちらまで↓CBC01742@nifty.com0ps388121401v2y@ezweb.ne.jpお問い合わせ及びご予約は、電話でも承ります。090-4183-2028までどうぞ。夜間にお電話いただけた方が、確実に出られるかと思いますので、宜しくお願い致します。もう、あちこちで宣伝させていただいております!昭和の名曲を、オリジナルSP原盤で楽しめます。落語を愛する方でも、昭和の流行歌を愛する方でも、両方にご満足頂けるべく、全身全霊で進行を務めます。ご来場、心よりお待ち申し上げます!
2013年07月07日
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今日、日比谷の帝国ホテルで開かれた、バタヤンの「お別れの会」に行ってきた。一般のファンの参列は、13時からという話だったので、当初は12時半ぐらいに行く予定にしていた。ところが今日のために、わざわざ名古屋から出てきた私の懐メログループの仲間で、田端義夫後援会会員のM君が、11時に行くという連絡があって、私もついでに早く行くことにしたのだ。M君は、後援会の会員ということで、関係者サイドとして参列することができ、早く行くことにした…とのこと。私もズルすれば、関係者で潜り込むこともできたのだが、凄く気が引けたので、受付にいた歌手協会のIさんに「2時間ここで待ってるわ」と伝え、M君は中に入り、私は入口のソファに座ってた。…少し遅れて、我が師匠の保田武宏先生もいらして(すぐ帰っちゃったけど)、しょうがないからロビーで暇つぶしに、誰が来るかを観察していた(苦笑)。青木光一、石川さゆり、五木ひろし、世志凡太、三遊亭圓楽、堺正章、ペギー葉山、こまどり姉妹、小林幸子…などなど、物凄い顔ぶれ。だから、待ち時間が比較的早く過ぎていき、そんなには待ってて苦ではなかった(笑)。先だって、代々木上原でご挨拶させて頂くことができた、ボニージャックスの西脇さんと、少し話もできたし。関係者サイドのお別れ会が終わり、ロビーに出てきたM君。「どうだった?」と聞いたら、「前後左右に有名人がいてかなり緊張しました」とのこと。ふと、私が玉置宏先生のお別れ会に行ったときのことを思い出した(苦笑)。…それで、13時前になって、もう1人の後輩(例の、私のレコードコンサートのチラシの似顔絵を書いてくれた)も合流して、M君にロビーで待っててもらい、記帳を済ませ会場内に。「島の船唄」「別れ船」などの数々の大ヒット曲が流れる中、献花用の白いカーネーションを持ち、静々と祭壇の前へ。それがトップに載せた写真だが、南国をイメージしたという色とりどりの花々に囲まれた、バタヤンの写真。祭壇の前に立って手を合わせた瞬間、改めて「ホントにバタヤンは、あの世に行っちゃったんだな」という思いが湧き上がってきて、祭壇の脇に飾られた、主を亡くした愛用のギターを見て、目頭が熱くなった。↑正真正銘、レプリカじゃない本物のギター!…これで一般参列者は、そのままフェードアウトしろってことかと思いきや、ここからがホントに驚いた。奥様や、歌手協会のトップである田辺靖雄代表理事らが並んで見送ってくださったあと、何と関係者と同じように、立食の準備が整っていたのだ!私たちゃ手ぶらで行ったというのに、何たる大盤振舞い!有難う、テイチク!有難う、バタヤン!私たちも、周りにいた年配の方も、「なんだか…バタヤンにご馳走になってるみたいだ」と涙ぐみながら、美味い料理に舌鼓を打った。昼飯抜いて行って良かった…(笑)。様々な写真や、貴重なSP盤などが多く飾られていて、ファンが目の色変えて、写真を撮っていたのが怖か…もとい!素晴らしかった(苦笑)。途中で、例のアルタミラ・ピクチャーズが編集したという追悼VTRも流された。映画での未使用カットが幾つか入っていたように見受けられたので、是非ともDVDに特典映像で入れて欲しいもんだ。それで「大利根月夜」が流れたら、来てた参列者全員が、小声で歌ってたのが凄かった…ファンは偉い!今日、バタヤンにちゃんとお別れを言ったことによって、やっと訃報を納得して受け入れることが出来たと思う。田端先生、長い間本当にお疲れさまでした。あと、ごちそうさまでした!有難うございます!改めて、ご冥福をお祈りいたします。
2013年07月03日
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