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「おもちゃ」で破られたハイテク神話 復讐心高めた抑止力論パレスチナ自治区ガザ地区を拠点とするイスラム組織ハマスとイスラエルによる戦闘は犠牲者が増え続けている。ハマスはなぜ「奇襲」を仕掛けたのか。イスラエルはなぜ、反撃の手を緩めないのか。紛争の背後に潜むナラティブ(物語、語り)の存在を追った。10月7日早朝、イスラエルが最先端の監視システムを搭載してガザとの境界に設けたフェンスを、ハマスが突破した。イスラエルの「ハイテク神話」が崩れ落ちた瞬間だった。フェンスの上部にはAI自動兵器システムが装備されていた。~だがハマスは爆発物を載せた市販のドローンを直接カメラにぶつけるなど単純な手法で次々と破壊した。2015年春、ガザでハマスの司令官にドローンの利用について聞いた。エジプトに通じる秘密トンネルを使い、イランで売られている小型ドローンやその部品を持ち込んでいるという。「おもちゃレベルのドローンだが、カメラや爆弾を載せれば十分、偵察や攻撃に使える」。司令官はそう語った。イスラエル軍は当時から、ハマスのそんな試みを認識していたが、「おもちゃ同然」と一笑に付していた。~そんなイスラエルも、かつては「おもちゃ」で強者の虚を突いたこちがあった。それはイスラエル軍情報担当幹部が米国出張で土産に買った無線操縦機だ。1967年春、エジプトやヨルダンとの緊張が高まる中~改造してカメラを装着し~イスラエル初のドローン探勝秘話である。~16年春、紛争心理学が専門のテルアビブ大ダニエル・バルタル氏に聞いた。「イスラエルのユダヤ人は敵対的な人々に囲まれている、という被害者意識を持っている。パレスチナはアラブ諸国の大軍の一部で、小さいとも弱いとも思っていない。自分たちこそがアラブの憎悪の海に浮かぶ孤島だと感じている。」この強い危機感ともいえる感覚は、ホロコーストをはじめ脈々と続て生きた差別の中で「血となり肉となってきた」ものだという。~イスラエルはテロ組織は意思と実行能力に基づき行動すると考える。ハマスが打倒イスラエルの意思を失うことはないだろうから、テロ実行能力をそぐことで抑止力につなげるのだという。だが、こうした抑止力論は効果が実証しにくい。イスラエルで英雄と称えられる軍人イスラエル・タル氏は、抑止手段を使いすぎると敵は屈辱感を強め、復讐心を高め、むしろその軍事能力を高める結果になると指摘。抑止力論は対中国をにらんで沖縄の基地存続の根拠などにも使われるが実証は難しく、その意味ではむしろ「抑止力物語」であり、あいまいな言説にすぎない。(要旨)---元記事は、ネット上では有料記事で、登録しないと冒頭部分しか読めませんが、私は紙の新聞で毎日新聞を取っています。かなりの分量の記事なので、一部のみを転記しています。ユダヤ人が、歴史的に激しい差別と迫害を受け続けてきたことは、歴然たる事実です。その結果、現在のイスラエルの地(2000年前の故郷)を安住の地と考えたこと自体は、やむを得ない側面はあったでしょう。イギリスの二枚舌外交に問題はありましたが、「自分たちの国を持ちたい」というユダヤ人の思いを全面否定はできませんし、その土地がイスラエル以外にには考えにくいことも確かです。それ以前からイスラエルには少数のユダヤ人が住んでいたし、アラブ人との間で多少の対立や紛争はあったにしろ、何とか両者は共存してきたわけです。しかし、その危うい共存関係はイスラエルの独立と同時に崩れます。イスラエル独立と同時に勃発した第一次中東戦争においては、イスラエルは明らかに弱い立場にありました。経緯はあるにせよ、アラブ側がイスラエルに対して仕掛けた戦争だし、イスラエルはこの当時は極めて貧弱な武器しか持っていませんでした。しかし、アウシュビッツの虐殺からたいした年月も経っていないこの当時、「負ければ再び民族ごと抹殺が」という恐怖心もあり、イスラエル軍の戦意と戦闘力は凄まじく高く、アラブ側を撃退して多くの土地を占領します。ここまでの段階であれば、イスラエルは明らかに弱い立場であり、パレスチナに対する弾圧者として指弾されることもなかったでしょう。しかし、悲しいかな人間は得てして「潮時」というものを見誤ります。勝って一挙に強国となったイスラエルは、このあと第二次第三次中東戦争で、今度は強力な武装を整えて、イスラエル側から攻め込む形でアラブ側に戦争を仕掛け、一方的勝利を重ねます。が、勝っても勝ってもイスラエルの安全は確保できませんでした。アラブ側が、一方的に負けたままでの幕引きをよしとしなかったからです。敗戦を重ねてもアラブ側は戦意を失わず、第四次中東戦争でイスラエルを攻撃します。そして、4度の戦いの中で初めてアラブ側がイスラエル軍を圧倒しました。最終的にはイスラエルが逆転勝利したものの、一時はイスラエル軍は壊滅寸前の状態に追い込まれました。アラブ側がイスラエルと互角以上に戦った第四次中東戦争以降、エジプトが親米路線に転換してイスラエルと和解したこともあって、イスラエル対アラブ諸国の戦争は以降起こっていません。皮肉なことに、イスラエルが連戦連勝を重ねても戦争は終わらず、アラブ側が一矢を報い、イスラエルが負けそうになったことで初めて戦争が終わったのです。もっとも、エジプトの路線変更を主導したサダト大統領は後にイスラム原理主義の軍人に暗殺されましたが。こうして国家間の戦争としての中東戦争は終わりましたが、パレスチナを占領し続けるイスラエルとパレスチナ人の軋轢は終わりません。それでも、一度は両者の和解の可能性が開かれました。1993年のオスロ合意です。しかし、一方の当事者であるイスラエルのラビン首相は極右派のユダヤ人に暗殺され、パレスチナ側でも和解を主導した、アラファト率いるPLO主流派のファアタハの勢力は次第に減衰し、ガザ地区では強硬派のハマスが実権を握る状況となっています。今回ハマスが行ったテロは言語道断にしても、何もないのにいきなりハマスが言語道断の蛮行を引き起こしたわけではありません。直近では2014年にイスラエル軍はガザに侵攻していますし、それ以前にも何度も侵攻しています。また、ヨルダン川西岸でパレスチナ人を追い払ってのユダヤ人入植地拡大、それに付随してパレスチナ人に対するいわれなき暴力や殺人も続いてきました。一連の紛争をハマスのテロを起点にそれ以前を無視して考えれば、ハマスが一方的全面的に悪く、イスラエルは純然たる被害者でありハマスへの反撃は正当な自衛権の行使ということになります。しかし、それ以前からの経緯を考えれば、それでもハマスのやっとことは正当化できませんが、イスラエルのやってきたことを正当化することも、到底不可能なのです。今回のテロでも、イスラエル側の受けた人的被害は空前の人数と言われますが、報復によってパレスチナ側で失われた人命は、すでにイスラエル側を越えています。目には目を、歯には歯を、というのはハムラビ法典の罰則ですが、イスラエルの場合はもっとすごく、1人殺されたら3人殺す、みたいな3倍返しの法則で報復を行っています。それがイスラエルの考える安全保障策なのでしょうが、現実を見ればパレスチナ側は3倍返しを恐れて矛を収めることはありません。まさしく引用記事が指摘するイスラエル・タル少将(イスラエルの主力戦車メルガバの開発責任者)の言葉どおり、復讐心を高めて脅威を増す状態がずっと続いてきたわけです。そのことに気付いている人は。イスラエルの中にもいる、ということです。それでもなお、そのような「抑止力」を使うのは、もはや根拠の不明確な抑止力「物語」に過ぎないというのは、まさしく言い得て妙と思います。
2023.10.31
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デジタル一眼レフを買い換えたから、しばらく鳥写真のアップが途絶えていましたが、新しい望遠連レンズを購入したので再開しました。新しい望遠レンズはキヤノンRF100-400mm F5.6-8 IS USMで、新しいと言っても実は中古なのですが(長らくカメラとレンズは中古しか買っていません)、写り自体は前に使っていたSIGMA100-400mm F5-6.3と大同小異と思います。400mmテレ端での明るさはSIGMAの方が上です。ということは、SIGMAの方がよいレンズか?ひょっとすると、描写だけならそうかもしれません。ただ、EFレンズのSIGMA100-400mmをマウントアダプタを介してR50に装着すると、ピントに迷うときがかなり多いのです。迷わない時もありますが、飛んでいる鳥、機敏に動く鳥などはほぼ絶望的です。RF100-400mmも飛んでいる鳥はピントが迷うときがありますが、SIGMAのレンズよりピントは早いことが圧倒的に多いです。そして、重さが全然違います。SIGMA100-400mmは1.1kgほどあります。これも、400mmクラスの望遠レンズの中では、従前は最軽量クラスでしたが、RF100-400mmの重さは驚異の630g、R50のボディにこのレンズを装着した合計重量がなんと丁度1kgなのです。今まで、KissX7iとシグマ100-400mmで合計約1.7kgだったので、圧倒的に軽く、これまでのX7i+標準ズームの重量と同等です。この軽さは感動的で、山にもっていっても苦になりませんし、もう重いレンズには戻れません(笑)ただ、いいことばかりのRF100-400mm F5.6-8 IS USMですが、唯一の弱点はお値段が中古で8万円くらいしたこと。R50も7万円以上したので、本体+レンズで合計15万円以上です。ミラーレス機の装着するには、シグマ100-400mmは前述のとおり、ピントに迷うことが多いのが弱点ですが、一眼レフのEOSに装着するなら、ピントも描写も同等で、値段は(中古なら)だいぶ安いと思います。重いけど。というわけで、10月からの鳥写真はすべてR50+RF100-400mm F5.6-8 IS USMで撮影しています。10月7日浅間山黒斑山山の写真はすでに公開済ですが、実はこの時この望遠レンズも持っていきました。コガラ。山に望遠レンズを持っていく場合は、ウエストポーチに入れていくのですが、これまではそれがずっしり重かったのですが、1.1kgが0.6kgに変わっただけで、それがまったく重く感じないのは不思議です。コガラ10月14日東京港野鳥公園オオムシクイ昔はメボソムシクイの亜種とされて、事実上区別されていませんでしたが、最近は別種として扱われています。メボソムシクイは本州の1500m以上の亜高山帯で繁殖しますが、オオムシクイは北海道東部と千島以北で繁殖し、春秋に本土を通過します。メボソムシクイとは姿で識別は不可能ですが、鳴き声に多少の違いがあります。東京港野鳥公園のスタッフが「オオムシクイだ」と言っていたので、鳴き声で確認済だったのだと思います。オオムシクイ今まで撮影した「メボソムシクイ」の中にオオムシクイが混じっていた可能性はありますが、確認できないので一応初めて撮影でした鳥です。今シーズン、ヒタキ系の渡り鳥にフラれ続けて、まったく撮影できていませんでしたが、ついに遭遇できました。エゾビタキ。オオムシクイに続いてエゾビタキにも遭遇しました。エゾビタキ。地味だし、時期になれば都内の大きめの公園で珍しくはない鳥ですが、春秋の限られた時期しか見られないので、人気はあります。10月18日葛西臨海公園カワセミこの写真、ISO6400で撮影しています。EOSKiss7iでは、ISO6400は粗くてノイズが多くて、マトモな写真にはなりませんでしたが、R50のISO6400は、やや粗いですが、充分実用になる画質と思います。10月21日石神井公園キビタキ(オス)やはり暗くてISO6400になってしまいましたが、何とかみられる画質です。キビタキ(メス)キビタキ(オス)キビタキ(オス)10月28日三番瀬海浜公園ハマシギ。ずっと顔を水につけて採餌しているので、たまに顔を上げる瞬間を撮影するのは大変です。シロチドリ。個人的には、こうやって体を膨らましているシロチドリはとても可愛いと思います。本来の体型は他の千鳥と大同小異ですが、日本では冬鳥なので寒いときにこんな風に体を膨らませることが多々あります。他のチドリ類(例えばコチドリ、メダイチドリ、イカルチドリなど)は日本ではあまり越冬しないので、寒いときに体を膨らませるこのスタイルは、そんなに見ないように思います。ミヤコドリが大群になっていまた。ミヤコドリ。ハマシギ。翼の付け根、肩のところにわずかに夏羽が残っていますが、ほぼ冬羽です。トウネン。ハマシギ、ミユビシギより小さな、おそらく日本を通過するシギの中では最小だと思います。ミユビシギ。ところで、この日の三番瀬では、二度も惜しいシャッターチャンスを逃してしまいました。一度目は、見慣れない大きな海鳥が飛んでいたのです。カモメ類とミヤコドリが集まる干潟に降り立ちそうだったので、降り立ったら撮影しようとカメラを構えていたら、結局下り立たずに飛び去ってしまいました。あわてて撮影しようとしたら、肝心な時にピントが迷って撮影できず。肉眼と双眼鏡での観察が正しければ、多分カツオドリの仲間の幼鳥(全身が茶褐色だったので)ではなかったかと思います。三番瀬では、一昨年アカアシカツオドリが飛来し、私も撮影しましたが、また来ている、という情報は持っていませんが・・・・。ただ、何分写真がないので確実ではありません。大きさも飛び方もカモメ類とは違ったと思いますが・・・・(翼の長さはミズナギドリ類の可能性もありそうでしたが、ミズナギドリ類のように海面すれすれは飛んでいませんでした)2度目は、なんだか鳩が飛び立ったのです。いや、鳩くらいの大きさの鳥が。ドバトかキジバトか、と思って、近づいてきたのをよく見たら、鷹でした。ハイタカでしょう。あわててカメラを構えたら、ファインダーにとらえるより早く、産廃置き場(?)の塀の向こうに消えてしまいました。私が干潟の上にいれ、ば死角に入らず撮影できたのではないかと思うのですが、塀の近くにいたために、死角に入るのが早かったです。うーーん、残念。
2023.10.29
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岸田首相の減税額明示、与党冷ややか 手法に不満、所得制限で溝も岸田文雄首相が26日、与党幹部らに所得・住民税減税を指示した。「1人当たり4万円」と明示。自身の指導力アピールに躍起だ。ただ、所得制限を巡る溝が早くも表面化。強引と映る手法に対しても、与党内から冷ややかな声が漏れる。「千載一遇のチャンスを逃すことなくデフレ脱却を確実にする」。首相は同日の政府与党政策懇談会でこう力を込めた。複数の政府高官は当初、同懇談会で「減税額は示さない」との見通しを語っていた。自民党では長年、税制に関しては党税制調査会の「聖域」とされ、歴代政権も尊重してきたためだ。しかし、首相は今回、官邸主導を印象付けるため、あえて明言に踏み切った。年末に向けた党内の議論にたがをはめる進め方に、税調幹部の間では「何を議論しろというのか」などとの不満が渦巻く。所得減税を巡っては、そもそも経済対策として「意味があるのか」(自民若手)と疑問視する向きが強い。実施時期は来年6月で、首相の掲げる「国民への還元」を早期に具体化するには、給付金の方が望ましいとの意見は消えない。今後の焦点は所得制限の有無だ。首相は26日夜、記者団に「子育て世帯の分断を招くようなことはあってはならない」と表明。政府側は原則、納税者全員を対象とする方針だが、与党側は一定の「線引き」が必要との意見が支配的だ。「上位5%」や「年収2000万円超」を対象外とする案などが飛び交う。与党幹部は「これで実現できなければ首相が持たない」と指摘。4万円の減税額については「税調も最後は従うだろう」との見通しを示すが、所得制限を巡る議論は曲折も予想される。---消費税は下げない、「防衛増税」もする(来年度の実施は見送るようですが)、でも減税もする、ガソリン税は下げないけどガソリンに補助金は投入し続ける。なんというか、料理に塩を入れすぎたから砂糖入れる、砂糖も入れすぎたからまた塩を入れる、またまた入れすぎたから砂糖を・・・・みたいな、その料理、もう食えたものじゃないんですが、というのが現下の政治状況であるように思えてなりません。根本的なところで筋が通っていないまま、場当たり的な対症療法で減税と補助金を乱発しつつ増税はそのまま、それで日本の経済状態が改善していくために効果を発揮できるのか、私には疑問と不安しか感じられません。この先どうなっていくのでしょうか。
2023.10.27
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京都で生存権を求めるデモ 「たまにはウナギも食べたいぞ」「生存権を求める京都デモ」が1日、京都市であった。生活保護の利用者と支援者100人が路上から訴えた。「たまには旅行に行きたいぞ」「たまにはオシャレもしたいぞ」「たまにはウナギも食べたいぞ」憲法25条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するよう政府に命じている。その政府は生活保護費を大きく削っている。京都では、生活保護を使いながら地域で自立生活をしている障害者が「生活保護改悪に反対する人々の会」(小松満雄代表)をつくり、「全京都生活と健康を守る会連合会」とともに政府を相手に裁判中だ。「人々の会」がさらに重大視しているのが「バッシング報道」の後遺症だ。政府による削減方針とおなじころさかんに報じられたのが芸能人の家族の「不正受給」で、実際は不正はなく生活保護への偏見と差別をあおっただけだった。そうした報道のせいで生活保護制度はとても使いづらいものへとおとしめられたと「人々の会」は怒っている。対抗手段として2019年にはじめたのが「生存権デモ」で、この日も先頭集団をあるいた。(以下略)---このデモをめぐっては、各方面から様々な意見が出ているようです。というか、例によってネット上ではバッシングする意見があふれかえっているようです。良し悪しとか「べき」論を度外視して現実論を言えば、今の日本のこの現実、生活保護叩きが跋扈している状況のなかで、私自身がもしもこのデモに参加していたとしたら、「たまには旅行に行きたいぞ」「たまにはオシャレもしたいぞ」「たまにはウナギも食べたいぞ」は言わないかな、と思います。ただでさえ生保バッシングで満ち溢れているのに、火に油を注ぐことになるのは明らかですから。と、言わざるを得ないのが今の日本の現実です、残念ながら。出る杭は打たれる、声高に主張する者は、とりわけ弱者の立場から声高に主張する者は、寄ってたかって袋叩きにされるのがこの国の現状です。賛否とか、それが実現できるかどうかはともかくとして、「旅行」「おしゃれ」「ウナギ」は、人間の欲望として、少なくとも道を踏み外したものではまったくありません。だって、わたしも旅行は好きだし、ウナギも好きですから(ただし、ウナギは絶滅危惧種なので、最近は食べないようにしています)。男だからおしゃれにはそれほど興味はないですけどね。世の大半の人は、その程度のささやかな願望は持っているはずです。ならば生活保護受給者が同様の願望を持っていたとして、なにもおかしくはありません。もちろん、それが権利として保証できるかどうかは別の問題です。願望がすべて認められる、というわけにはいきません。私も「旅行」「おしゃれ」「ウナギ」という願望をすべて実現すべきだ、とは思いません。でも、そのような主張を掲げること自体がおかしい、異常だ、反社会的だ、などということは、まったくありません。「旅行」「おしゃれ」「ウナギ」と具体例を書いてしまうと、共感を得にくくなってしまう傾向は否めないものの、一般論として言えば、生活保護の根拠である憲法第25条の生存権は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障と書いてあります。一切何の娯楽も余裕もなく、餓死せずにギリギリ命をつなぐだけ、というのが生存権の趣旨ではありません。正直なところを言えば、かつて、十数年前に知人から保護基準(最低生活費)の金額のいろいろなパターンを教えてもらった時、多人数世帯の最低生活費は「なんでこんなに高いの?」と思ったことがあることは事実です。母子加算なんかも、個人的には、思うところがないわけではありません。しかし、現実に生活保護世帯の大半を占める高齢単身世帯の最低生活費が「高い」とは思えないのです。元々がそうでしたが、それ以降保護基準はどんどん引き下げられています。かつて私が「高い」と感じた多人数世帯の保護基準は、その後大幅に引き下げられていますし、元々高いとは思えない単身世帯の保護基準も引き下げられています。それなのに、急激に物価上昇しつつある今、単身世帯の保護基準ですら、引き上げとはなっていません。「旅行」「おしゃれ」「ウナギ」などという表現の問題ではなく、そのことに対して、受給者が不満を抱くのは、おかしなことではありません。にもかかわらず、そのような主張をすること自体を許さないような社会状況が、この国をよい方向に導くことは決してないと言わざるを得ません。
2023.10.24
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2か月前にエンパナーダづくりの記事を書きましたが、実は、本日22日、中野区新井区民活動センターまつりでエンパナーダを提供するための予行演習でした。前回は麺棒だけで生地を広げましたが、今回は文明の利器登場です。麺棒でざっくりと平らにした生地を、これに通せば必要な厚さの生地が完成です。ただし、いきなり必要な厚さにしようとするとうまくいきません。まず4倍厚→2倍厚→必要な厚さと、3回通す必要があります。が、それでも麺棒だけでやるより早くて、厚みが均等です。具はこちら生地は強力粉1対薄力粉3にバターとマーガリンを足して作っています。具はひき肉、ゆでたまご、長ねぎ、玉ねぎ、オリーブ等です。圧延機のおかげで前回よりより薄い生地で、より多くの具が入りました。ただ、その代わり前回は焼いたときに破れたエンパナーダは1個もなかったと思いますが、今回は百個あまり作ったうち3つか4つ破れました。まあ歩留まりは充分に高かったですけど。卵黄を塗ってオーブンで焼き美味しく出来上がりました。しかし、エンパナーダづくりが大変すぎて、本番の演奏はかなりボロボロに。それに、他のステージの演奏等をほとんど見られませんでした。唯一見たのが「中野新道エイサー」だけでした。毎度のことながら、素晴らしかったです。
2023.10.22
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10月22日中野区新井区民活動センターまつりにて 演奏:ティエラ・クリオージャ(西武新宿線沼袋駅から徒歩10分、JR中央線中野駅から徒歩15分)1.エンパナーダとマテ茶のイートイン(演奏もあり)2.ステージでの演奏は午後3時55分頃よりティエラ・クリオージャ
2023.10.20
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政府有料チャーターに批判の声 外務省幹部「退避搭乗8人は想定外」政府がイスラエルからの出国を希望する在留邦人向けに手配した大型ジェットのチャーター機について、搭乗希望者に1人3万円の負担を求め、利用者が8人しかいなかったことがSNS上で批判されている。実は外務省でも搭乗者数の少なさは「想定外」。どういう事情があったのか。政府は13日、イスラエルとハマスの戦闘激化を受け、出国希望者向けのチャーター機1便を手配したと発表。テルアビブの国際空港を現地時間14日に出発し、アラブ首長国連邦のドバイに同日到着した。しかし、搭乗した邦人は8人にとどまり、一部報道で「自己負担が3万円で行き先がドバイまでであることに不満が出ている」などと伝えられると、日本政府への批判が噴出。韓国軍の輸送機が14日、空き座席に邦人51人を乗せて無料でイスラエルからソウルまで輸送したことも、日本政府への批判に拍車をかけた。外務省によると、事前の意向調査では100人以上の搭乗希望があったため、200席以上の機種のチャーター機を手配した。ただ、中東のチャーター機需要が増し、刻一刻と状況が変わるため、調査段階で行き先を明示しなかった。ドバイ行きに決まったのは早期運航を優先した結果で、蓋を開けたら搭乗者は8人だったという。同省幹部は「邦人退避は、その国から避難させるのが目的で日本に帰すことが目的ではない。8人でもやってよかった」と説明した。なお搭乗者の費用負担について、日本政府は、商用便が運航している間は自己負担を原則としている。商用便利用者との公平性を確保するためで、米英なども同様の対応をしている。テルアビブの国際空港は現在、平時に比べ便数が約4割減少しているものの発着が続いており、チャーター機はあくまで商用便の補完という位置づけだ。ただし、過去には例外もある。政府は「内戦の発生や武力攻撃など、保護の観点から政府として退避をお願いせざるを得ない場合」や「チャーター機以外に移動手段がない場合」は公費負担すると説明してきた。イラクがクウェートに侵攻した1990年にイラクからチャーター機で退避させた際はすべて公費で賄った。(要旨)---民間機をチャーターした場合に自己負担を求めること自体は、間違いとは思いませんが、その価格が適正だったかどうか、ということです。事前の希望者が100人以上もいたのに、ふたを開けたら8人しか乗らなかったのは、その値段でドバイまで片道、というのが高すぎると大半の在留邦人が判断した、ということです。もちろん、緊急時にそんな値段を言っていられるか、という意見もあるでしょうが、引用記事にあるようにテルアビブ国際空港は民間航空機の発着が止まっているわけではありません。「チャーター機はあくまで商用便の補完という位置づけ」なのに高い自己負担を求めたら、そんな「補完」手段を利用する人がいなくなるのは当然の話です。ちなみに、ざっくり検索した限り、今の時点でテルアビブ-ドバイ間の片道の航空運賃は最安だと2万円を切るようです。さらに、テルアビブ-東京とドバイ-東京を比較すると、それぞれ運賃はかなり幅がありますが、乗継便は総じてドバイ-東京の方が安い傾向はあるものの、最安は何故かルフトハンザのテルアビブ-羽田。そして、直行便だとドバイからのエミレーツよりテルアビブからのエルアル航空の方が安く、要するに出国希望者にとって、「一刻も早く脱出しないと明日にも殺される」というのでなければ、ドバイで降ろされるメリットがあまりに少なかったと考えられます。そんな事態が生じている同じとき、一方では韓国は空軍の輸送機を出して自国民だけでなく、空席に日本人も51名乗せて自己負担なしで運んだわけです。韓国の輸送機だから韓国までしか飛ばないのは当然ですが、ドバイがいくら中東最大の(というより、今や世界最大の)ハブ空港でも、ソウルとは日本までの距離があまりに違います。日本に帰るにはソウルからの方が圧倒的に楽ですし、そこまで無料となれば、そりゃみんなそちらを選ぶに決まっています。もちろん、軍用機だから無料だったのであって、民間機のチャーターなら韓国だって無料にはしなかったかもしれませんが、いくらそんな理屈を並べたところで、タイミングとしてあまりに間が悪かったことは歴然としています。今回に限らず、例えば2021年にアフガニスタンで米国が樹立した政権が倒壊してタリバンが政権を握った時、日本は首都カブールからの避難民輸送のために自衛隊の輸送機を飛ばしたもの、タリバンが空港への道を封鎖していたため、避難民の大半が空港にたどり着けず、十数人しか運べなかったことがありました。一方の韓国は、当時は前政権の時代でしたが、輸送機3機によって400人近い避難民を韓国まで運ぶことに成功する、という差が生じたことがあります。今回のように民間チャーター機と軍用機という違いはなく、どちらも軍用機(自衛隊機)でしたが、それでもこの差はなぜ生じたのか。政変と同時に日本は大使館員がほとんど国外に脱出していましたが、韓国は大使がアフガニスタンに残っており、そのことがタリバン新政府との交渉力の差になって結果の差を生んだことは歴然としています。今回も明らかに外務省が在留邦人の意向を読み誤ったことが原因になっていると思われます。前述のとおり、利用料を取ることそれ自体が悪いとは思いませんけど、その価格設定および行き先の選定の問題です。更に、不思議なことにチャーター機を飛ばしながら更に自衛隊の輸送機もジブチまで飛ばしているのです。そこまで準備しておいて、2年前のアフガニスタンのように輸送機をテルアビブまでは飛ばさなかった理由は何でしょうかね。アフガニスタンでは民間機の運行が止まっていたけれど、テルアビブでは便は減っても民間機の発着が続いているからそこまでは必要ないと考えたのでしょうか?でも韓国は輸送機を出しているわけだし、このあたりの経緯は、正直言ってよくわかりません。
2023.10.18
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「Dappi」訴訟、ウェブ関連会社に220万円賠償命令 東京地裁匿名のツイッター(X)アカウント「Dappi」による投稿で名誉を傷つけられたとして、立憲民主党の小西洋之、杉尾秀哉両参院議員が、ウェブ関連会社「ワンズクエスト」に計880万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は16日、同社と代表取締役に計220万円の支払いを命じた。新谷祐子裁判長は「両議員の社会的評価を低下させる投稿が会社の業務として行われた」と認定した。判決によると、Dappiは2020年10月、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した近畿財務局職員について「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間つるしあげた翌日に自殺」と投稿した。会社側は、従業員が私的に投稿したとして両議員の名誉を傷つけたことは争わなかった。ただ、従業員の氏名や立場を明らかにせず、投稿が会社の業務かが争点だった。判決は、Dappiが平日の就業時間に多数の投稿をしており、「投稿者は業務時間の大半を投稿に充てた」と指摘。訴訟を通じて開示された給与明細から、投稿者の基本給が月110万円だったことを挙げて「会社で相応の地位にあった」とし、代表は投稿を容認・指示していたと結論付けた。同社は自民党と取引関係があり、関係性が取り沙汰されたが、判決は言及しなかった。同社は16日夕現在、コメントを発表していない。---当然の判決が出ました。そもそも、財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した近畿財務局職員についてDappiが書いた「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間つるしあげた翌日に自殺」というのは完全なデマで、というのは、杉尾秀哉議員と小西洋之議員がその日東京の財務省に行った事実は確認できますが、自殺した赤木さんは財務省近畿財務局に所属して、その勤務地は大阪ですから、「つるしあげる」ことなど物理的に不可能なのです。ただし、これはもちろんこんなデマを載せたDappiがとんでもないのは言うまでもありませんが、Dappi自体が創作したデマではありません。問題の投稿は、門田隆将が2020年10月25日産経新聞朝刊に書いた記事「新聞に喝」というコラムを引用してなされています。つまり、発端は門田隆将と産経新聞のデマにあるわけです。こちらについては、昨年11月に、今回の裁判と同額の220万円の賠償を認める判決が出ています。悪質なデマ宣伝が裁かれたちなみに、これは地裁の判決ですが、敗訴した門田らは控訴したものの、今年4月に二審の東京高裁も門田と産経新聞の控訴を棄却しています。産経新聞が2審も敗訴 森友問題の寄稿で立憲2議員の名誉毀損認めるで、今回はこの記事を転載したDappiのデマ宣伝も断罪されたわけです。しかし、この会社「ワンズクエスト」は、「従業員が私的に投稿した」と言いながら、その指摘に投稿した「従業員」の名前をついに明らかにせず、引用記事にある給与明細も氏名は黒塗りにして開示したものです。ただ、給与明細によると基本給が月110万円ということで、従業員数10人前後の会社で、そんな高給は下っ端やパート従業員のものであろうはずがないのは言うまでもありません。社長か専務のどちらかしかありえないでしょう。更に、投稿のほとんどがが平日の日中に行われていて土日には投稿がほとんどないことから、業務として行っていることは歴然としていました。裁判を傍聴したこちらのブログによると原告側弁護士はたたみかけるように次々と、質問というより検事のように追及した。「あなた自身がDappi本人なのではないですか?」この質問に小林幸太社長はボソボソと傍聴席にやっと届くくらいの声で何か言ったが、明確に否定する言葉はなかった。「Dappiは役員ですか従業員ですか?」原告代理人の尋問に小林社長は証言を拒否した。答えると人物が特定されてしまうというのが拒否の理由だ。あれれ、これまでワンズクエストはDappiは従業員であることを認め個人が勝手にやったことで会社は関与してしていなと言ってきている。それなら「役員ではなく従業員です」と答えなければおかしい。---ということです。もうこの時点で、Dappiは役員であること、それも社長自身でることを自白したも同然なわけです。しかし、この問題の核心部分は、引用記事末尾の「同社は自民党と取引関係があり、関係性が取り沙汰された」という記述です。たとえば、Dappiは自民党山本有二元農林水産大臣のホームページ制作を会社実績としてアピールしていましたが、山本元大臣が政治資金収支報告書に「ワンズクエスト」社への支払いが記載されていないことを追及されると突如としてこの記述を削除しています。このほか、小渕優子議員のホームページ保守管理も「ワンズクエスト」社が請け負っている(これは収支報告書にも記載されている)、その他自民党と多くの取引関係があることが分かっています。ということは、このデマも、ひょっとしたら自民党がネット工作として発注した仕事である可能性も否定はできないわけです。というわけで、判決は自民党との関係について何も言及しなかったそうですが、自民党のネット工作の闇を図らずも露呈する事件だったわけです。
2023.10.16
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TBS報道番組にイスラエル大使が大激怒『これは何だ?』連呼 ネット上では「国際問題」「子に罪はない」BS‐TBSで11日に放送された「報道1930」にジャーナリスト、重信メイさんが出演したことに対し、イスラエルのギラッド・コーヘン駐日大使が13日の記者会見で「これは何だ?」と連呼し、怒りを表明した。コーヘン大使は、日本外国特派員協会で記者会見。番組の画面が印刷された紙を手に「50年前にイスラエル人を暗殺した犯人の娘が日本のテレビでコメンテーターをしていた。これは何だ?これは何だ?」「これはひどい。こんなのを見てしまって本当に残念」「殺人者とテロリストの家族に発言の場を与えるのを許すべきではない」などとまくしたてた。重信さんの母は「日本赤軍」重信房子元最高幹部で、父はパレスチナ人。日本赤軍は1972年、イスラエルの空港で旅行客らに自動小銃を乱射し、24人が死亡する事件を起こしている。11日の番組で、重信さんは「中東やパレスチナ問題を長年取材しているジャーナリスト」という紹介で出演。「例えて言うと、日本の学校で毎日のようにいじめられていた子が初めてやり返したら、それに焦点が当たったような状況」「なぜかパレスチナは『抵抗』ではなく『テロ』になるのは問題」などと語った。X(旧ツイッター)でも放送後から一部の界隈を中心に波紋が広がっていたが、この会見でさらに大荒れに。「ほら、見ろ。やべーぞ、国際問題じゃないか」「そりゃ駐日イスラエル大使も怒るよ。まあ別にイスラエルが正義だとは思わないけれど、それでもあれはない」「親がテロリストだからといって子に罪はないけどね」など、さまざまな反応が出ている。---イスラエルの駐日大使が重信房子の娘がテレビに出てきてパレスチナ擁護の発言をすることを容認できないのは、その立場から言って分かります。でも、別の立場なら別の主張がありますから、イスラエルの大使の言い分に従う義務はありません。重信房子がやったことは、確かに弁護の余地のない犯罪です。しかし、江戸時代なら親の犯罪に子も連座したしたでしょうが、現在はそんなことはありませんから、本人ならともかく、親が犯罪人だから子どもをテレビのコメンテーターにしてはいけない、などということはないのです。そもそも、テロリストの子どもがテレビのコメンテーターどころか、テロリスト本人が首相にまで登り詰めたのがイスラエルという国です。ベギン首相(在任1977-1983年)は、イスラエル建国前、ユダヤ民族軍事機構エツェルのリーダーであり、1940年代にはアラブ人の虐殺などのほか、イギリスに対するテロも引き起こしていたため、イギリス植民地当局からは指名手配されていました。主張への賛否はともかくとして、日本にパレスチナの専門家はそう多くはなく、その数少ない専門家の一人である重信メイが出演することに、問題があるとは思いません。また、先の記事で指摘したように、ハマスの今回のテロは論外としても、これまでイスラエルがパレスチナに対して相当酷いことをやってきたし今もやっていることも確かなのです。国際赤十字委員会は、イスラエルが通告しているガザへの攻撃について、こう主張しています。「イスラエルに対する恐ろしい攻撃があったからといって、ガザでの無制限の破壊を正当化することはできない。今回の退避要求は(ガザ地区の)完全封鎖とともに、国際人道法と合致しない」まったくその通りですが、イスラエルが耳を貸す様子はありません。この一連の経緯から目を逸らしてイスラエル擁護の発言のみを取り上げるべきだ、とは思いません。まあ、一言で言えば、大使の言い分は分かった、でもそれに従う必要性はないよね、ということに尽きます。
2023.10.15
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先日浅間山・黒斑山の写真をアップしましたが、この際に主要な針葉樹の写真も撮ってきましたので、それをアップします。車坂峠が標高2000m近くあるので、そこはすでに亜高山帯針葉樹林の領域になっています。山登が好きな人で植物が好きな人は多いですが、高山植物の花が好きな人は多くても(もちろん私も好きでよく写真をアップしていますが)針葉樹が好きだ、という人はさほど多くはない気がします。針葉樹、それも亜高山帯の針葉樹は種類が少なく、局地的な分布の希少な種を除けば10種もないので、だいたいはすぐに覚えられます。まず、亜高山帯と言えば、代表的なのはモミの仲間です。本州ではシラビソとオオシラビソ、北海道ではトドマツがこの仲間です。シラビソの葉オオシラビソの葉オオシラビソシラビソは四国の石鎚山から宮城県の蔵王までに分布、オオシラビソは石川県の白山から青森県の八甲田山まで分布します。両者はたいてい混生していますが、亜高山帯の下部、また雪の少ない太平洋側ではシラビソが多く、亜高山帯上部、また雪の多い日本海側ではオオシラビソが多い傾向にあります。ただ、浅間山は太平洋側気候で雪はさほど多い山ではありませんが(と言っても1mやそこらは積もりますが)オオシラビソも結構多かったです。両者ともマツ科モミ属に分類されますが、モミ属の中では系統的にかなり離れており、シラビソの近縁な種は北海道のトドマツをはじめ、東アジアやヨーロッパ、北米に広く分布しますが、オオシラビソに近縁な種は、日本の近くにはまったくありません。唯一、オオシラビソに近縁な種は、なんと北米西部、米国からカナダにかけての太平洋沿いの山岳地帯に分布するアマビリスモミとされています。コメツガコメツガもまた亜高山帯に多い木ですが、どちらかというと亜高山帯下部に多いようです。九州の祖母山から青森県八甲田山まで分布します。カラマツカラマツの葉カラマツもまた亜高山帯の代表的な樹種です。ただし、上記のシラビソ、オオシラビソ、コメツガがどちらかと言えば陰樹つまり日陰でよく育つ木なのに対して、カラマツは陽樹、つまり日向でないと育たない木です。何らかの理由で森が消滅した後、真っ先に生える「先駆植物」の代表例ですが、いったん森が広がると、その中で子孫を残すことはできず、消えてしまいます。しかし、土壌条件の厳しい場所では陰樹がなかなか入ってこられないため、カラマツが勢力を維持し続けることがあります。土壌条件が厳しいというのは、具体的には例えば河川の周囲、湿地帯、そして火山の溶岩などです。というわけで、火山である浅間山には、カラマツは結構多かったです。もう一つ、浅間山には高山植物の代表格であるハイマツが分布しないため、ハイマツが生えるような環境にカラマツが多い傾向があるようです。シベリア東部では、近縁種のグイマツが、広大なタイガの森を形成しています。針葉樹の中では比較的珍しい、落葉する針葉樹です。ゴヨウマツ、またはキタゴヨウゴヨウマツまたはキタゴヨウの葉モミの仲間やカラマツもマツ科つまり広い意味ではマツの仲間ですが、その中ではいわゆる松と同じグループではありません。ゴヨウマツは正真正銘の松つまりマツ科マツ属に分類されます。ただし、一般にマツと言ってイメージするアカマツやクロマツが二様松、つまり葉が2本対になっているのに対して、ゴヨウマツは文字どおりの五葉松、つまり葉は5本が対になっています。ハイマツも同じ仲間です。日本の亜高山帯林では、高木にならないハイマツを除くと、マツ属の木はあまり主流ではないのですが、浅間山はハイマツが分布しないためか、ゴヨウマツがかなり多かったです。ゴヨウマツと、その変種のキタゴヨウ(北方系)とヒメコマツ(南方系)がありますが、場所から考えてヒメコマツではありません。キタゴヨウかゴヨウマツか、私には同定出来ないのですが、ネットで検索すると浅間山はキタゴヨウが多いとあるので、キタゴヨウなのかな。おそらくチョウセンゴヨウおそらくチョウセンゴヨウの葉これも、マツ属のなかの五葉松に分類されます。先ほどのゴヨウマツ(またはキタゴヨウ)より、かなり葉が長いので、おそらくチョウセンゴヨウと思われます。名前のとおり、朝鮮半島、それに中国東北、ロシア沿海州に広く分布します。日本では、最終氷期にはかなり勢力があったようですが、現在はあまり数が多くあません。さて、亜高山帯の針葉樹と言えば、このほかに前述のハイマツ、さらにトウヒをはじめとしたトウヒ属があります。しかし、前述のとおりハイマツは浅間山には分布せず、トウヒは分布しているはずですが、見つかりませんでした。北海道ではトウヒの仲間(エゾマツ、アカエゾマツ)はかなり数が多いですが、本州の山では比較的少ないように感じます。以前に他の山で撮った写真はありますが、それはまた別の機会にご紹介しようと思います。
2023.10.13
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イスラエル「総攻撃」宣言 双方死者、計2100人超にイスラエルのガラント国防相は10日、イスラム組織ハマスが侵入したイスラエル領内の支配を取り戻したと表明し、今後イスラエル軍は「総攻撃に向かう」と宣言した。イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザに対する空爆でハマス政治部門の幹部ら2人を殺害したと発表。ハマスはイスラエル中部アシュケロンに多数のロケット弾を撃ち込み、応酬が激化している。死者の合計は2100人以上となった。バイデン米大統領は10日の演説で、イスラエルには「対抗する権利と義務がある」と述べ、武器供与などの支援を加速する考えを表明。米中央軍は原子力空母を中核とする空母打撃群が東地中海に到着したと発表した。ハマスは10日、レバノン南部からイスラエル側にロケット弾攻撃を行ったと明らかにした。イスラエル軍とレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラは同日、両国国境付近で誘導ミサイル弾などにより交戦した。両者の衝突は3日連続で、国境で緊張が続いている。---イスラム原理主義勢力「ハマス」による数千発のロケット弾と戦闘員による襲撃によって、イスラエル側だけで1000人以上の死者を出し、人質として連行された人も100人以上に及ぶということです。もとより、このような蛮行が許されるはずありません。イスラエル側の反応も例によって強烈で、10倍返し、百倍返しの勢いで報復攻撃を行っています。ただ、ハマスという狂信的イスラム原理主義勢力の行動に賛同するところは一切ありませんが、そのような勢力がなぜ多くの支持を得て、戦闘力を維持できるのか、ということは考える必要があります。今回、乳幼児を含む無辜の一般市民が数多く殺され、拉致されました。それはもちろん恐るべきことです。しかし、これまで長きにわたり、パレスチナ側でも乳幼児を含む多くの無辜の市民が殺されてきたこともまた事実なのです。ガザ地区とレバノン川西岸地区には、オスロ合意によってパレスチナ自治政府が設立され、現在では独立国となっています。しかし、そのパレスチナの領域であるヨルダン川西岸では、ユダヤ人の入植地が次々と作られています。レバノン川西岸は、すべてがパレスチナ政府の実効支配のもとにあるわけではなく、パレスチナ側が行政権を持つA地区(警察権もパレスチナ側)とB地区(警察権はイスラエル側)合わせて4割程度の面積しかなく、残りの6割はイスラエル側が行政権、警察権を持つC地区です。そのC地区に入植地が拡大しているわけです。いくらイスラエル側が行政権と警察権を持っていると言っても、そこには先祖代々パレスチナ人が生活を営んできたわけです。そこにある日突然ユダヤ人の入植者がやってきて、武器で威嚇してパレスチナ人を追い払って入植地を作るのです。紛争が起こらないわけがありません。その中で、ユダヤ人入植者が周囲に住むパレスチナにな人を襲撃する事態は結構な頻度で起こっています。住宅や車を焼き払い、暴力をふるい、時には死者も出る襲撃事件が、今年前半の半年間で591件も起こっていると報告されています。しかも、それらの襲撃はほとんど処罰されることがありません。もちろん、パレスチナ側も完全に無実というわけではなく、報復でユダヤ人側を殺害する例もあります。報復への報復、報復への報復への報復、報復への報復への・・・・・、もはや暴力の連鎖です。ただ、土地強奪の経緯から言って、そのような事態の主因はイスラエル側にあるというしかありません。ただし、今回ハマスによる攻撃の拠点になったガザ地区は、すべてパレスチナ側が行政権を握っており、ユダヤ人の入植地もありません。その代わり、360平方キロの面積に200万人以上の人口のひしめく土地で、イスラエル軍が何度も侵攻しており、当然、多くの死傷者が出ています。何度も激しい攻撃を受け、多くの建物が瓦礫と化しており、水や電気のライフラインも頻繁に止まり、すさまじい貧困が広がっている、それがガザ地区の現状です。要するに、イスラエルはパレスチナ人を人間扱いしてこなかったわけです。もちろん、すべてのイスラエルのユダヤ人がそうではありません。が、今世紀に入って以降、対立の激化の影響もあって、イスラエルの政治情勢は極右勢力の伸長が著しく、あえてイスラム教徒を冒涜したシャロンのように、パレスチナ人を人間扱いしない風潮が急拡大しているのが現状です。もちろん、だからといって狂信的イスラム原理主義勢力のハマスのやったことが正当化できるわけではありません。が、このような状況下でハマスのような過激な反イスラエル勢力を支持するパレスチナ人の存在(これも、もちろんパレスチナ人みんながみんなハマスを支持しているわけでは決してありませんが)は不可避なのです。今回の衝撃的な事態への報復によって、イスラエルはハマスを壊滅させるかもしれません。が、ハマスを壊滅させても、パレスチナ人の恨みは残ります。結局、別の新しい武力組織が作られ、そこに多くの支持が集まり、何年か後に再び・・・・・ということにしかならないでしょう。イスラエル軍は強力な武器と豊富な戦闘経験で世界最強と言われます。そして攻撃を受けたら10倍返し、百倍返しの報復を行い、時には報復どころか先制攻撃をいとわないという、ネトウヨや軍国手記愚者が理想と考えそうな国策を実行し続けている国です。しかし、そのような強面の対外政策で、この国は平和を得たでしょうか、安全を得たでしょうか。絶え間ない紛争、暴力の応酬、その挙句に今回の激しいテロ攻撃、とうてい平和が維持できているとは言えませんし、その先に平和で明るい未来が舞っているとは、とうてい思えません。とはいえ、ことこの段階まで来てしまったら、今更進む道を変えたところで問題が簡単に解決などしないでしょう。とりあえずイスラエルとパレスチナの将来は当事者に決めてもらうしかありませんが、重要なことは、日本がイスラエルと同じ轍を踏んだりしないことです。ネトウヨ連中や軍国主義者には、強力なイスラエル軍、強面なイスラエルの安全保障策を礼賛する向きがありますが、冗談ではないのです。非武装国であれ、などというつもりはありませんけど、強力すぎる軍備と、強硬過ぎる安全保障策を振りかざした挙句に、周辺の憎悪を一身に浴びてテロの集中砲火を浴びるような国になることが、国民にとって幸せなことですか?と言いたいです。私には到底そうは思えませんがね。
2023.10.11
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「生活できない」 埼玉県の“子供留守番禁止条例案”に批判相次ぐ埼玉県の自民党県議団が県議会に提出した虐待禁止条例改正案がSNS上などで波紋を呼んでいる。小学3年生以下の子供を自宅などに残して外出したり、公園などに放置したりすることを禁じた「留守番禁止」「放置禁止」の規定に対し「現実的ではない」などと疑問の声が噴出している。「保育園児がいるシングルマザーです。この条例が可決されたら、生活していけません」「一人親家庭には死ねと言っているも同然。子育て家庭は今すぐ埼玉から転居することをお勧めします」改正案に罰則規定はないが、子供を預ける環境が身近になければ外に働きに行くことが難しくなる。この問題は何も一人親に限った話ではない。夫婦共働きの家庭にも影響が及ぶ。改正案では、養護者の義務として、小学3年生(9歳)以下の児童の放置禁止のほか、同6年生(12歳)以下の児童についても努力義務とした。養護者に当たるのは保護者や保育士、教職員など。自民県議団は、未成年のきょうだいと一緒に自宅にいても「放置」とする。こうした規定に対し「放置はよくありませんが、生活の中での一般的な範囲でのお留守番や子供たちだけでの行動に制限をかけること自体が無謀すぎます」という声もあった。これは保護者が働いているかに関わらず、対象家庭に共通する懸念だ。また、兄に弟の面倒を見させて働きに出ているとみられる人からは「こんな条例成立したら、『きょうだい育児』やっていられません」といった投稿もあった。議会では改正案に反対の会派から「子育て家庭への負担が大きい」などと反論が相次いだ。しかし、10月6日の福祉保健医療委員会で賛成多数で可決されたことから、13日の本会議で成立する見通しだ。虐待防止の趣旨には理解を示す投稿も多く見受けられるが、一方でこうした批判も相次ぐ虐待禁止条例改正案。13日の本会議の行方に注目が高まっている。(要旨)---唖然とせざるを得ません。罰則規定がないとはいえ、こんなトンデモ条例が許されてよいはずがありません。確かに、乳幼児を一人だけで放置することはよくありません。しかし、それは常識的に言って未就学児までの話です。条例案を提案した自民党県議団によると、児童の放置に当たるとされる例は、子どもだけで公園で遊ぶ、登下校する、買い物に行く、スーパーの駐車場で自家用車内にいる、子どもと高校生の兄弟で自宅で留守番、だそうです。それが小学3年生以下は禁止、6年生以下もその努力義務だそうです。いや、狂っているでしょう。もちろんひとり親家庭や共稼ぎ家庭にとって影響は深刻ですが、それだけの問題では済みません。たとえひとり親や共稼ぎでなくても、どんな家庭でも、こんな規定を完全に守れる親などほとんど存在しないということは断言できます。まず、子どもだけで登下校が禁止となると、通学自体がほぼ違法化されます。だって、たとえ集団登校、集団下校が行われている学校でも、あくまでも子どもだけでの集団登下校です。親や教員が付き添っている例など、何か特別な事件が起きた後以外はほぼ皆無でしょう。田舎で学校が遠方でスクールバスで通学しているような例でも、スクールバスはすべての児童の家の前まで送迎するわけがなく、停留所までは一人で、あるいは子どもだけで歩いて行っている例が大半でしょう。乳幼児ならいざ知らず、小学3年生にもなって、近所に住む友達同士で遊ぶのに、親がくっついていくなんて例は、およそ聞いたこともありません。まして6年生となったら「異常」と言わざるを得ません。小学3年生にもなって(努力義務とはいえ、小学6年生まで!!)、一人で買い物にも行かせられない、というのは、これまた異常というしかありません。ひとことで言えば、通学も日常の日中時間帯も、子どものありとあらゆる行動について、親が四六時中監視していろ、というのと同じことです。子どもの側から見たらうざったいことおびただしいはずです。言い換えれば「過保護」です。過保護がいいか放任がいいか、よほど極端な例でなければ、それはその家の任意に任されるはずですが、県議会サマが、「過保護でなければ条例違反だ!!」と、ありがたくもないご宣託を下さるようになるらしいです。その弊害たるや、恐ろしいものがあります。罰則規定がないとはいえ、条例として成立してしまえば、役所と公立校はそれに準拠せざるを得なくなります。現場で阿鼻叫喚の地獄が始まることは想像に難くありません。物理的にほとんど不可能なことを条例の名の下に県民に強いるわけですから。こんな条例を提案する前に、こんなことが実施可能かどうか、自民党の埼玉県議がまず1年間実証してみろよと思います。幸いなことに、私は埼玉県民ではありません。こんな条例がもし成立してしまったら、決して埼玉県の住民にはなりたくありませんね。で、埼玉県の自民党が、なんでこんなトンデモ条例案を出してきたのでしょうか。実際のところは分かりません。ただ、あえて悪意に満ちた想像をするなら、「母親は専業主婦でなければならない」「シングルマザーなんて、存在自体が許しがたい、母親は子どもが小学生の間くらいは何が何でも子供の面倒に専念すべきである」というような、歪んだ(あるいは異常な)価値観に支配されて、こんな条例案を作ったのではないか、と。いや、もちろん悪意に満ちた想像です。でも、この条例案自体があまりに異常であるだけに、その背景については悪意に満ちた想像をせざるを得ません。
2023.10.09
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この3連休は今日明日と予定が入ってしまい、初日の7日だけ山に行ってきました。どこの山に行くか、直前まで迷ったのですが、那須岳か浅間山のどちらかにしようと思っていたところ、那須岳は予報がよくなかったので、浅間山にしました。中央火口丘の前掛山まで行きたいところでしたが、公共交通機関を使った日帰りではちょっと無理なので、あきらめて外輪山の黒斑山までにしました。というか、着いてみたら、今は噴火警戒レベル2で前掛山までは登れないんですね。東京を朝出て、新幹線で佐久平まで、JR場に乗り継いで、海抜1970mの車坂峠まで行けます。晴天ですが、結構寒いです。車坂峠から上り始めてすぐのところ。まだ、紅葉の見ごろには少々早いようでした。今年は、先週までは8月の蒸し暑さで、9月をすっ飛ばして、いきなり10月末の寒さになってしまいました。気温はともかく、紅葉は季節に追いつけないのでしょう。車坂峠を挟んで向こう側に水ノ塔山、池之平湿原などが見えます。往路のJRバスの乗客の感じだと、浅間山方面に行く人よりこちらに行く人の方が多いようでした。車坂峠から外輪山まで1時間ちょっと、いきなり浅間山の中央火口丘がドーンと目の前に現れます。浅間山。前述のとおり、現在前掛山までは入山禁止なので、誰もここを登ることは出ません。外輪山と中央火口丘の間は、上から見下ろすと、笹原に針葉樹の疎林が広がっているようです。黒斑山に到着。標高2404m、車坂峠から1時間半余りの短いコースです。黒斑山から撮影した浅間山中央火口丘。少し雲が出てきました。ここでまだ時間は11時半なので、先に進むことにしました。この暇晴天でしたが、地面には盛大に霜柱が立っていましたし、木の枝には雪か霧氷がついていました。風が吹くとそれが舞い落ちてきます。歩いている限りは寒くはありませんが、じっとしていると結構寒いです。とても雰囲気の良い場所です。稜線上の登山道はまだ続きます。蛇骨岳を超えて、仙人岳へ。稜線歩きは気持ちいいです。仙人岳に到着外輪山の登山道を振り返ります。剣が峰、下界の街並みが遠方に見えます。蛇骨岳付近の登山道。向こう側に見えるのが、今回の引き返し地点である仙人岳です。もちろん笛も吹いてきました。下山は、ほぼ登りと同じルートでした。次に行くときは前掛山に登りたいなと思います。
2023.10.08
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ジャニーズ事務所会見 会場に質問指名の「NGリスト」ジャニー喜多川氏の性加害の問題をめぐりジャニーズ事務所が2日に記者会見を開いた際、事務所から会見の運営を任されていた会社側が、複数の記者やフリージャーナリストの名前や写真を載せて質問の指名をしないようにする「NGリスト」を会場に持参していたことが関係者への取材でわかりました。リストには実際に会見で挙手し続けながら指名されなかった記者らが掲載されていて、企業の危機管理に詳しい専門家は「真摯に説明すると言いながら、実際の行動が異なっているという印象で、広報対応のやり方として不適切だと思う」と指摘しています。~関係者によりますとリストには質疑応答の際に手を挙げても指名しないようにする新聞社の記者やフリージャーナリストなどが掲載され、座席の位置なども確認していたということです。NHKが会見場で撮影した映像にも、スタッフが少なくともあわせて6人の名前と顔写真が掲載されたリストを持っているのが写っていました。---NHKのニュース映像を確認しました。ひとことで言って、頭隠して尻隠さずという印象です。あるいは近視眼的というか、目の前の「うるさい記者」を除け者にすることしか考えず、そのあとそれが発覚しないで済むかどうか、発覚したらどうなるか、まで頭が回らなかったのでしょうか。あんなNGリストを小脇に抱えてスタッフが歩き回っていれば、バレるに決まっています。案の定NHKにバッチリ撮られて立往生しているわけですが、それ以前に、スタッフがあんなものを持って堂々と歩きまわっていれば、他にも気が付いた人はかなり大勢いたに違いありません。---ところでも話は違いますが、私の相棒が、ある日曜紙を定期購読しているのですが(あえて名前は書きません。某日曜版)、先週号を見て私はちょっと驚きました。よりによって稲垣吾郎のインタビュー記事です。退所したとはいえ、元はジャニーズの看板たるSMAPのメンバーです。いや、出すことがいかん、とは言いません。でも、インタビュー中に、あるいは他の記事にも、一言もこの問題への言及はありません。まあ、当然そこへの言及はNG質問だったんでしょうけど。これだけジャニーズのやってきたことが問題になっていて、しかもその問題を薄々は知りながら、見て見ぬふりをしてタレントを起用してきたマスコミ各社が批判を受けているときです。その問題に切り込むインタビューだったら、「素晴らしい」と思うところですが、その視点抜きで、今この人のインタビュー記事を載せてしまうことには、ちょっと私はびっくりしました。「悪い」とまでは断定しませんが、いささか残念な気分ではあります。
2023.10.05
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国籍喪失規定「合憲」確定 最高裁、欧州在住8人敗訴外国籍を取得すると日本国籍を失うとした国籍法の規定は違憲だとして、欧州在住の男女8人が日本国籍を持つことの確認などを国に求めた訴訟で、最高裁第1小法廷は原告側の上告をいずれも退ける決定をした。9月28日付。規定を合憲とした一、二審判断が確定した。国籍法は「自分の希望で外国籍を取得したときは日本国籍を失う」と規定し、複数国籍を認めていない。8人はスイスやフランスなどに居住。現地での仕事や生活のために外国籍を必要とする一方、日本国籍を持ち続けることも望んでいた。---国籍喪失規定が違憲かどうか、という話になると、憲法の規定に明示的に半している、とまでは言い切れないかもしれません。が、同時にもちろん憲法が二重国籍を禁じているものでもありません。そして、二重国籍を排除する規定はやめるべきであると私は思います。そもそも、この規定は無意味なものです。一審判決は、二重国籍を容認すると納税義務や外交保護権などを巡って国家間や国と個人の権利義務に矛盾や衝突を生じさせる恐れがある、としたそうです。しかし、現実には大半の国で二重国籍は容認されています。二重国籍によって「納税義務や外交保護権などを巡って国家間や国と個人の権利義務に矛盾や衝突」が発生するのはどこの国でも同じはずですが、それでも大半の国が二重国籍を容認しているのは、その矛盾や衝突はそれほど重大な問題ではない、ということです。それに、日本においても実質的には二重国籍は容認状態です。引用記事にあるとおり、国籍法は「自分の希望で外国籍を取得したときは日本国籍を失う」と規定していますが、逆に言えば自分の希望ではなく外国籍が生じた場合は日本国籍は失わないわけです。国籍に生地主義を採用している国々(南北アメリカ大陸の大半の国やフランスなど)では、その国で生まれれば、両親が外国人でも自動的に国籍が付与されます。日本人の両親から米国滞在中に生まれた子どもは米国籍が生じますし、もちろん日本国籍もあるので二重国籍になります。私のいとこは、メキシコ在住中に次男が生まれたので、その子(というか、もう30過ぎですが)は日墨二重国籍でした。当然自分の意思で外国籍を撮ったわけではないので、日本国籍は失いません。その代わり、一定の年齢までに国籍の選択を行わなければならないことになっています。しかし、この国籍選択手続きには、実質的に意味はありません。まず、この法律の改正が施行された1985年時点ですでに二重国籍であった人は、国籍選択の手続きをしなくても自動的に日本国籍を選択したものとみなされます。(昭和59年附則第3条)そして、国籍選択の手続きを行わなくても、ペナルティはありません。「書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる」という規定がありますが(第15条第1項)、実際にはこの催告が行われたことはなく、もちろん日本国籍が剥奪されたこともありません。更に、国籍選択の手続きをしたとして、それは日本の役所又は日本大使館で手続きをするだけです。日本政府は日本国籍を与えたり剥奪する権限はありますが、外国の国籍を与えたり奪ったりする権限はありません。日本国籍を選択する手続きを行っても、外国籍が消滅するわけではありません。単に、日本の役所が「日本国籍しか持っていない人とみなす」というだけのことです。国籍法は、日本国籍を選択肢したら外国籍からの離脱に努めなければならないと規定しています(16条)が、ペナルティのない努力義務であり、実際に外国籍から離脱する人は少数です。つまり、国籍選択手続きというのは実質的には形骸化しており、わざわざ「外国籍を選択」という手続きを行わない限りは、日本国籍を失うことはないのです。現に日本には100万人近い重国籍者がいると推計されています。それに比べれば、自らの志望で外国籍を取得する人は圧倒的に少数であり、そこの部分だけ二重国籍排除することになんの意味があるのでしょうか。しかも、「自らの志望で外国籍を取得」したとしても、その事実は本人がわざわざ日本の役所、大使館に届け出ない限り、日本の役所が知るすべはありません。つまり、元々少数の「自己の志望で外国籍を取得した人」のうち、律儀に、あるいは馬鹿正直にその事実を大使館に届け出た人だけが日本国籍を失うという、およそ意味の分からない状態になっています。と、このように書くと、国籍国粋主義者たちが「政府の怠慢」を叫ぶのです。政府が何もやらないのが悪い、国籍選択の催告をして国籍を剥奪しろ、というのですが、そんなことができるわけがないのです。そもそも重国籍者がどこに住んでいるか把握するすること自体困難の極みです。国籍法はその場合、官報に乗せることで催告したものとみなし、さらに催告から1か月以内に日本国籍の選択を行わなければ日本国籍を失う、と規定していますが(第15条第2項、第3項)、国籍という人権の根幹部分を、この規定を盾に奪い取るような所業は、さすがの日本政府てもできるわけがありません。しかも、そのようなことをやって、何の意味があるのでしょうか。いま日本は人口減少状態に陥っています。それにもかかわらず、こういう化石化した規定を錦の御旗に掲げて多くの人から日本国籍を奪い、つまり言い換えればさらに日本人の数を減らすことに、いったいどんな政策的合理性があるのでしょうか。ノーベル賞受賞者にも、米国在住日本人が少なからずいるわけですが、南部陽一郎氏など、米国籍を取ったために日本国籍を失った人が何人かいるようです。日本の頭脳ともいえる人たちの日本国籍を奪うことに、どのような政策的合理性があるのでしょうか。二重国籍排除という法体系は見直し、二重国籍容認に転換すべき時が来ていると私は考えます。
2023.10.04
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維新・藤田幹事長 万博建設費450億円増「身を切る改革」に反しない「そういうことを言う政党がおかしい」日本維新の会の藤田文武幹事長が国会内での定例会見で、2025年開催予定の大阪・関西万博の建設費見通しが現行の1850億円から2300億円程度に膨らみ、450億円上振れすることについて「国の負担分、大阪府・市の負担分、話し合いの中と適正な按分でやっていくものだろうと思います。感情論でいろいろ言う方がいらっしゃいますが、応分の負担で、大阪府・市も受けるべきだと思うし、適正にやっていったらいいだけの話」と、増額分を国と大阪府・市が割り振って負担すべきとの考えを示した。上振れ分について、立憲民主党の岡田克也幹事長が「何とか予算の範囲内でいけないかということをまずは努力すべき」とした上で「国ではなく、大阪それから大阪を中心とする経済界。そこが負担するのが本来ではないか。国民にまで負担をお願いするということであれば、きちっと説明してみらいたい」と述べた。藤田氏は「多くの国民の皆さんが、成功を願っているんじゃないですかという中で、すでにこれは党派性を超えて行政手続きに入ってるものですから、政治マターである種おもちゃにしたりするものじゃないというのが私の考え。むちゃくちゃな引っ張り合いや非難の仕合をするんじゃなくて、スケジュールに向けて各所各所でベストを尽くしていくということが、やると決まったイベントへの向き合い方」と指摘した。 押し付け合いはするべきではないとした藤田氏は「大阪府・市が応分の負担を求められれば、合意的・合理的な理由で応分な負担額が決まれば、当然負担せざるを得ない」と強調した。---引用記事は現行の建設費見通しを1850億円としていますが、これ自体がすでに、最初の計画からは増えています。一番最初は1250億円と言っていたはずです。つまり、最初の計画からは2倍近くに膨らんでいます。物価高騰は収まる気配がありませんから、今後もさらに上方修正になるんじゃないでしょうか。というか、東京オリンピックもそうでしたが、この種のイベントの開催費用は、常に雪だるま式に膨らんでいくので、当初計画費用なんて、何の意味もないものになっています。そもそも前提において私は、今の時代に万博を誘致すること自体が、時代錯誤的であると思います。70年の大阪万博とは、もはや時代が違うからです。極論すれば、万博とは見本市です。新しい技術や珍しい風物の見本市。珍しい風物そのものであれば、本物をみる価値は今でもありますが、見本市ならバーチャルで良いじゃない、というのが正直なところです。ただ、岡田氏の「大阪それから大阪を中心とする経済界。そこが負担するのが本来」というのは正論ながら、残念ながら、つい2年前、東京オリンピックに国費を大々的に投入してしまった前歴があるため、オリンピックでそれをやって万博でやってはいけない決まりがあるのか、と言われたら少々厳しいものがあります。もっとも、その東京オリンピックの惨憺たる結末を見て、それでも万博をやろうという考えは、私には到底理解できません。藤田氏は「多くの国民の皆さんが、成功を願っているんじゃないですか」との言い分ですが、多くの国民は万博の成功など願っていません。大阪・関西万博「関心ある」35%、「関心ない」65%…読売世論調査 大阪・関西万博「関心ない」63% 「ある」22% 毎日新聞世論調査万博に関心のある国民が2-3割しかいないのに、多くの国民が成功を願っているなどと、よく言えたものです。だいたい、万博万博開催まであと1年半ですが、海外パビリオンの多くで、まだ建設業者すら決まっていないと報じられています。主催国なら威信を懸けて建設するかもしれませんが、外国ですから、そのまま撤退する国も出てくるんじゃないでしょうか。結局、スカスカの万博、膨らむ経費と萎む収入、東京オリンピックと同じ轍を踏むことになるでしょう。維新が自分たちの威信を見せるためだけに開催する、自分の身は切らない改革の象徴としての万博になるでしょうね。
2023.10.02
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