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図書館で『ポケットに外国語を』という文庫本を、手にしたのです。下手の横好き外国語といえば・・・俺のことか?と思う大使でおます♪【ポケットに外国語を】黒田竜之助著、筑摩書房、2013年刊<「BOOK」データベース>より世界に通用するために外国語を勉強しなければ!そんな気持ちを脱力させて、言葉本来の面白さを感じ取りたい。古本屋で知らない外国語のテキストを買ってみたり、時には現地にいってみたりとあちこち思考をめぐらした結果がこのエッセイに詰まっている。しかも、外国語をもっと楽しく勉強したい人へ向けたアドバイスとして読める。文庫化に際して未収録作品多数!<読む前の大使寸評>下手の横好き外国語といえば・・・俺のことか?と思う大使でおます♪rakutenポケットに外国語を第三章で言語学が語られているので、見てみましょう。p148~151<にぎやかな言語学> いつもうまく答えられない質問が二つある。 ①「いったい本を何冊持っているのですか?」 ②「いったい何ヶ国語話せるのですか?」 このうち①を尋ねるのは、わたしの自宅や研究所に所狭しと積み上げられた本の山を見て驚いた人である。実際、自分でも何冊あるかわからないし、数えようと考えたこともない。 とはいえ、わたしだけが特に蔵書数が多いとは思えない。周りにいる人はみんな本に埋もれており、お互いに顔を合わせれば場所がないと嘆いている。そういう人は誰一人として自分の蔵書数を把握していない。 思うに、蔵書数を聞きたがる人は本にあまり興味がないのであろう。さらに、「これ、全部読んだのですか?」と聞く人は、絶対といってよいほど読書をしない人である。 ところが、②を尋ねる人は、決して言語に興味のない人ではない。むしろことばが好きで、外国語に関心のあることが多い。いろんな言語を操ることを好意的に捉え、どんな外国語を知っているんだろうと、むしろ興味津々で目を輝かせながら、こちらの答えを待っているのである。 ごめんなさい。うまく答えられません。 これを「自分でもいくつなのか、わからないんです」などと答えてしまうと、相手には必ず誤解してたいへんなことになる。へー、数え切れないほど話せるのか。なんてすばらしいんだろう。あるいは、数えられないわたしを助けようと、一つ一つ確かめながら確認を始める親切な人もいる。「えーと、英語はもちろんできますよね。それからロシア語は教えていらしたのでしょ? これで二つ。あとは、そうだ、フランス語はどうですか?・・・」 しかし、わたしが答えられないといっているのは、そういうことではない。 まず、「何ヶ国語」というが、言語の数と国の数は同じではない。一つの国の中でいろいろな言語が使われていることは、決して珍しいことではない。インドや中国、ロシアなどは多言語国家である。日本だって、日本語のほかにアイヌ語がある。これが両方できれば「二ヶ国語」なのか? 反対に、イギリス英語、アメリカ英語、オーストラリア英語などと、別々に数えていけば、あっという間に数ヶ国語できることになる。 もう一つ、「話せるのか」と聞かれても、それはどういう話をするのかによる。ちょっと旅行するだけだったら、わたしはフランス語、ドイツ語、イタリア語のどれも困らない。レスットランで注文をし、必要なものを買い、目的地までの切符を求めることができる。それどころか、ほとんど勉強したことのないブルガリア語だって、旅行して何も困らなかった。このレベルのも数えていいのだろうか? しかし、たとえば新聞を読むとなると、英語やチェコ語、ウクライナ語などと、その数は限られてくる。さらにはトラブルを解決すべく交渉したり、ビールを飲みながらジョークの一つも披露するとなれば、それはもうロシア語でしかできない。 職業柄いろんな言語に触れることが多いので、「こんにっちは」だけだったら、きっと40言語ぐらい知っていると思う。でも、そんなことは何の自慢にもならない。ときどき、Ilove you.を世界の言語でコレクションする人がいるけれど、そんなことがんばって一体どうしようというのだろう? それほど頻繁に使う表現とも思えないし・・・。『ポケットに外国語を』1
2021.02.28
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図書館で『ポケットに外国語を』という文庫本を、手にしたのです。下手の横好き外国語といえば・・・俺のことか?と思う大使でおます♪【ポケットに外国語を】黒田竜之助著、筑摩書房、2013年刊<「BOOK」データベース>より世界に通用するために外国語を勉強しなければ!そんな気持ちを脱力させて、言葉本来の面白さを感じ取りたい。古本屋で知らない外国語のテキストを買ってみたり、時には現地にいってみたりとあちこち思考をめぐらした結果がこのエッセイに詰まっている。しかも、外国語をもっと楽しく勉強したい人へ向けたアドバイスとして読める。文庫化に際して未収録作品多数!<読む前の大使寸評>下手の横好き外国語といえば・・・俺のことか?と思う大使でおます♪rakutenポケットに外国語を『人間の絆』サマセット・モームの『人間の絆』が語られているので、見てみましょう。p142~145<サマセット・モームの「外国語学習小説」> 18歳の春、大学生活がスタートし、何もかもが楽しかったのだが、教養英語だけは絶望的につまらなかった。教師は見るからにやる気のない老人で、講読に選んだ作品は、生まれつき足の悪い青年の物語。暗いし辛気臭い。そんな授業は聴く気になれなかったし、前期試験だってロクな準備もせずに臨んだ。ところがこのテストがとんでもなく難しくて、手も足も出ない。こりゃマズい。 そこで後期に邦訳書を買うことにする。それがサマセット・モームの『人間の絆』だった。おかげで後期試験はなんとかパスできた。お世話になった。 だが不幸なことに、そういう本は単位が取れれば用がない。ところがこの分厚い上下二巻の文庫本は、書棚に並べておくとやたらに目立つ。そこである日、通学途中の読書用にと、なんとなくカバンに入れて、電車内で読み始めてみた。 そしたら止まらなくなった。こんなに熱中する読書は久しぶり。あまりにも面白くて、今度は原書で読もうと思い立ち、洋書店でペンギンブックのW.Somerset Maugham Of Human Bondageを買い求めた。そしてこれも通学の電車内で毎日毎日読み進め、ついには大いなる満足をもって読了したのである。全六百ページ以上。私が十代で読み上げた、もっとも長い英文小説だ。 このあまりにも有名な小説は、身体的コンプレックスを抱えた主人公フィリップの成長を追った物語である。著者の自伝的色彩が強いといわれ、邦訳や作品論も数多い。だが、それをここで繰り返すつもりはない。 私は別の角度からこの作品に注目したい。 『人間の絆』は「外国語学習小説」である。 もちろん、文学にそのようなジャンルがあるわけではない。だが小説の中には、主人公が外国語を学習する姿が克明に描かれる物語がある。ヘッセの『車輪の下』あたりは典型だ。外国語を学ぶことだけに熱心だった当時の私は、小説を読んでもそんなことばかりが気になっていた。 『人間の絆』の主人公フィリップも、実によく外国語を学ぶ。そこには劣等感を克服しようという気持ちが強く働くことが多い。オックスフォードへの進学を断念して向かったハイデルベルグでは、下宿の主人である高校教師からドイツ語とラテン語を学ぶ。親友アルセニーの影響を受けてスペイン語を学習する。彼の人生が大きく変わろうとするとき、外国語が重要な役割を果たすのだ。 なにより印象的なのは、フランス語を習っていた家庭教師の話である。モームはその姿を次のように描写している。 The oddest of philip's masters was his teacher of french. Monsieur Ducroz was a citizen of geneva. He was a tall old man, with a sallow skin and hollow cheeks; his grey hair was thin and long. He wore shabby black clothes, with holes at the elbows of his coat and frayed trousers. His linen was very dirty. このように、語学教師はいつの時代もパッとしない。無口なデュクロウ先生には、パリ・コミューンに参加したらしいという華やかな噂まであるのだが、今は極貧に喘ぎ、授業料を受け取らなければ生活していけない。フィリップはそこに彼の過酷さを垣間見る。 一方、私はこの長い小説を英語で読み切るという経験を通して、外国語で読書するという人生の醍醐味を知った。以来、外国語の読書は欠かせない。読みかけの洋書は常に何冊か抱えている。 とはいえ、あのつまらなかった教養英語の教師が私に影響を与えたとは考えたくない。感謝もしていない。あの教師は、この作品の魅力を直接に語るべきだったのだ。 ただ最近、あの教師とデュクロウ先生が、妙に重なるのである。『人間の絆』はかなりの長編のようです。先日、ちょっとかじった『剃刀の刃』も上下2巻の長編だったので、読破するのはあきらめた大使でおます。『剃刀の刃』3
2021.02.28
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図書館で『Apres le tremblement de terre』という新書サイズの本を手にしたのです。「神の子どもたちはみな踊る」が含まれた短篇集のようであるが、「Apres le tremblement de terre」(大震災後)という書名の日本版なんてあったかな?【Haruki Murakami-Apres le tremblement de terre】Haruki-Murakami著、10*18、2002年刊<カスタマー・レヴュー>より①Un simple battement d'aile de papillon en Amazonie peut-il declencher par une reaction en chaine un tremblement de terre au Japon ? Cela tombe bien, Murakami nous le prouve dans cette suite de nouvelles, toujours aussi subtiles, profondes et surnaturelles ! Oui, un evenement peut bouleverser votre vien comme la lecture de mon commentaire et l'achat de ce roman que vous ne regretterez pas !②この短編小説集は、阪神淡路大地震の闇と少なからず孤独な心が通ずる主人公達の魂の再生の物語だと私は理解しました。最後の「蜂蜜パイ」の淳平は西宮市夙川出身で早稲田の文学部を卒業した短編専門の小説家、つまりそれはもう一人の有り得たかもしれない村上さんの姿でした。本書は読者の人生経験に即して深いメッセージを伝えることが出来る優れた短編小説だと思います。<読む前の大使寸評>「神の子どもたちはみな踊る」が含まれた短篇集であるが、「Apres le tremblement de terre」(大震災後)という書名の日本版なんてあったかな?amazonHaruki Murakami-Apres le tremblement de terre『Apres le tremblement de terre』2 byドングリ 次に短篇「蜂蜜パイ」の冒頭を、見てみましょう。p125~126 <Galette au miel>―Masakichi avait pris tellement de miel qu'il ne pouvait pas tout le manger, aossi le mit-il dans un seau pour aller le vendre a la ville au pied de la montagne.―Comment un ours fait-il pour avoir un seau? demanda Sara.―C'etait par hasard, expliqua Junpei. Il en avait trouve un par terre, sur la route, et l'avat ramasse en se disant que ca pourrait lui servir un jour.―Et ca lui a bien servi!―Exactement. Donc, Masakichi et desecendu a la ville.Il s'est s'installe sur laplace principale, et il aecrit sur une pancarte:≪Delicieux miel naturel. deux cents yen ke pot≫,et il s'est mis a vendre son miel.―Ca sait ecrire, un 0ours?―No, dit Junpei, Les ours ne savent pas ecrire, mais Masakichi a demande a un vieuxmonsieur a cote de lui d'ecrire pour lui avec son stylo.―Et un 0ours, ca sait compter de l'argent?―Yes. Masakichi avait ete eleve par des humains quand il etait petit, et il avait appris a parler et a compter, et ce genre de choses. Il faut dire qu'il etait doue de nature.―Ah, il n'etait pas comme les ours normaux, alors?―C'est ca, il etait different des ours normaux.Masakichi etait un ours un peu special et, pour cette raison, les autres ours de son entourage le snobaient.―Ca veut dire quoi, ≪snobaient≫?―Ca veut dire que les autres ours disaient:≪Eh, qu'est-ce qu'il a, selui-la? pour qui il se prend?≫ou alors ils faisaient ≪Pff!≫(転記に疲れたので、これまでとします)『Haruki Murakami-Apres le tremblement de terre』1
2021.02.28
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図書館で『Apres le tremblement de terre』という新書サイズの本を手にしたのです。「神の子どもたちはみな踊る」が含まれた短篇集のようであるが、「Apres le tremblement de terre」(大震災後)という書名の日本版なんてあったかな?【Haruki Murakami-Apres le tremblement de terre】Haruki-Murakami著、10*18、2002年刊<カスタマー・レヴュー>より①Un simple battement d'aile de papillon en Amazonie peut-il declencher par une reaction en chaine un tremblement de terre au Japon ? Cela tombe bien, Murakami nous le prouve dans cette suite de nouvelles, toujours aussi subtiles, profondes et surnaturelles ! Oui, un evenement peut bouleverser votre vien comme la lecture de mon commentaire et l'achat de ce roman que vous ne regretterez pas !②この短編小説集は、阪神淡路大地震の闇と少なからず孤独な心が通ずる主人公達の魂の再生の物語だと私は理解しました。最後の「蜂蜜パイ」の淳平は西宮市夙川出身で早稲田の文学部を卒業した短編専門の小説家、つまりそれはもう一人の有り得たかもしれない村上さんの姿でした。本書は読者の人生経験に即して深いメッセージを伝えることが出来る優れた短編小説だと思います。<読む前の大使寸評>「神の子どもたちはみな踊る」が含まれた短篇集であるが、「Apres le tremblement de terre」(大震災後)という書名の日本版なんてあったかな?amazonHaruki Murakami-Apres le tremblement de terre冒頭の5ページにドストエフスキーとゴダールの文章が引用されているので、見てみましょう。なかなか粋な計らいでんな♪p5 Liza,qu'est-ce qui s'est passe hier? Il s'est passe ce qui s'est passe. Ca, c'est terrible. C'est cruel. (Dostoievski,Les possedes) Les informations a la radio:On deplore de nombreux mrts du cote viet-cong egalement,cent quinze combattants ont ete abattus. La femme:C'est terrible, l'anonymat. L'homme:Qu'est-ce que tu dis? La femme:On n'apprend rien quand on nous dit que cent quinze guerilleros sont morts. On ne sait rien d'eux. Avaient-ils des femmes, des enhants? preferaient-ils le theatre ou le cinema? On n'apprend rien du tout. La mort de cent quinze hommes au combat, c'est tout. (Jean-Luc Godard, Pierrot le Fou)Pierrot le Fou 次に短篇「神の子どもたちはみな踊る」の冒頭を、見てみましょう。p51~52 Tous les enfants de Dieu savent danser Yoshiya se reveilla avec la pire gueule de bois qu'il ait jamais connue.Il avait beau essayer de toutes ses forces de soulever les paupieres,son oeil gauche refussait de lui obeir et ne s'ouvrait pas. Il eprouvait la meme sensation que si sa tate entiere s'etait emplie de caries pendant la nuit:un jus putride coulait de ses dents pourries, et liquefiant son cerveau de l'interieur. S'il laissait les choses continuer ainsi, bientot son cerveau serait completement fondu. Mais en meme temps, pourquoi pas? Cela lui etait indifferent.Tout ce qu'il voulait c'etait dormir encore un peu, si possible. Mais il savait bien qu'il ne pourrait pas se rendormir. Il se sentait trop mal pour ca. Il voulut jeter un coup d'oeil a la montre posee a son chevet mais, pour une raison inconnue, elle avait disparu. Elle ne se trouvait pas a l'endroit ou elle aurait du etre. Ses lunettes non plus, d'ailleurs peut-etre les avait-il inconsciemment jetees quelque part? Ca lui etait deja arrive.≪Il faut que je me leve≫, se dit-il, mais a peine avait-il souleve ke torse que sa conscience flancha a nouveau et qu'il retomba sur le lit, la tete dans l'oreiller. La voiture d'un marchand de perches a secher passait dans le voisinage.(転記に疲れたので、これまでとします)なお、大使のパソコンでは以下の仏語フォント(アクセント記号表記)は導入していないのでご容赦ください。● アクソン・テギュ(accent aigu) → [e"]● アクソン・グラーブ(accent grave) → [e`]● アクソン・シルコンフレクス(accent circonflexe) →[e^]● トレマ(trema)[tre`ma] → [e:]● セディーユ(cedille)[ce"dille] → [c_]
2021.02.27
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図書館で『コロンブスの図書館』という本を、手にしたのです。先日『図書館超活用術』を読んだばっかりで、この本のタイトルに反応したわけです。【コロンブスの図書館】エドワード ウィルソン リー著、柏書房、2020年刊<「BOOK」データベース>より1539年、スペイン・セビーリャー世界最高の図書館をつくりあげたのはコロンブスの息子だった。あらゆる分野におよぶ蔵書は、ヨーロッパ一の規模を誇り、さらにその図書館には驚くべき“仕掛け”があったー。持ち主の名はエルナンド・コロン、コロンブスの私生児である。15世紀半ばのグーテンベルクの印刷革命から100年足らず、ルネサンス、宗教改革、大航海時代の最前線で世界のありとあらゆる情報を集めて目録化しようと試みた書物狂の知られざる物語。<読む前の大使寸評>先日『図書館超活用術』を読んだばっかりで、この本のタイトルに反応したわけです。rakutenコロンブスの図書館第2部「絵であらわされる言語」を、見てみましょう。p141~142<第2部第6章 靴と船と封蝋> 新世界を離れて5年後の1509年8月15日、エルナンドはふたたびエスパニョ-ラ島のサント・ドミンゴにいて、この島で最初にできた通りにある総督公邸の一室で21歳の誕生日を祝っていた。オマサ川を臨む砦から、公館が次々に建造されているエリアまでをつなぐフォルタレサ通りに建つこの公邸は、エルナンドと父がジャマイカでの苦しい体験から立ち直るために滞在したまさにその場所だった。 サント・ドミンゴに最初につくられた建造物の多くは消滅し、スペインによる支配が強固になるにつれて石造りの堂々たる建物に取って代わられたが、エルナンドの部屋は、すべてをリスト化したいという彼のやむにやまれぬ衝動により、琥珀に閉じ込められた蝿のようにそのまま残されていた。 誕生日のあとまもなく、彼は自分の部屋を見回し、最も貴重な所有物から金銭的価値は高くないがこの環境で生きのびるのに必要な品にいたるまで、新世界での生活のために持ってきた品物をすべて網羅した目録をつくった。 こうして挙げられた、エルナンドの部屋にある品々を見ると、過去に類を見ない品揃えだ。この時代の目録は遺言書の形で残っているものがほとんどで、故人が譲るに値すると思った財産のみが挙げられており、当然ながら、この世で手に入れた物の大部分が除外される。だがここでもまた、エルナンドの目は大抵の人が取るに足らないと考える品々をみごとなまでに見過ごさず、それらを目録にまとめることで、植民地時代初期のカリブ海地域と、彼がそこで送ろうとしていた生活の手がかりにあふれた静物画を我々に残してくれたのである。 目録の下のほうには、エルナンドの几帳面な細かい筆跡で次のようなものが書き込まれている。弾丸をつくる鋳型、帆布製の靴八足、柄と鞘のあるナイフが数本、顔当て付き兜がひと頭、白と薄茶色の糸、鍵が二つある南京錠一つ、大量の釘、そして工具がいくつか。紳士の所有物にこういった工具類が混じっているのは不思議に思えるが、エルナンドは前回の初航海で金物のありがたみを学んだのだろう。フナクイムシに食われた船を放棄する前に、父コロンブスが釘さえも取っておこうとするのを見ていたのだ。 新世界を訪れるスペイン人は柔らかで混じり気のない黄金を見つけることしか頭になかったが、カリブ海で生死を分けたのは、じつは彼らが携行した加工鉄だった。このように目録の終りのほうからは、困難や危険、そして新天地で一から築く生活に備えようとしているイメージが伝わってくるが、リストの上のほうに目を転じると印象が変わり、より洗練された道具類が並んでいる。 たとえば、羽ペン4ダース、小さなリンゴほどの大きさの樹脂細工の魚、クラヴィコードの弦、絵を描くための硫黄やその他の顔料の塊、弓の弦など。この弓の弦が身を守るためのものだったのか、それとも少しは狩りをしてみようと思ったのかは定かでない。しかし、彼が新世界において植物を育てたり利益を出したりするだけではなく自分自身の芸術的才能をも養おうとしていたのは、他の道具を見れば明らかだ。『コロンブスの図書館』4:シパンゴ(日本)への到着『コロンブスの図書館』3:コロンブスとスペイン王室の関係『コロンブスの図書館』2:エルナンド・コロンの幼少期『コロンブスの図書館』1:プロローグ()
2021.02.27
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図書館で『コロンブスの図書館』という本を、手にしたのです。先日『図書館超活用術』を読んだばっかりで、この本のタイトルに反応したわけです。【コロンブスの図書館】エドワード ウィルソン リー著、柏書房、2020年刊<「BOOK」データベース>より1539年、スペイン・セビーリャー世界最高の図書館をつくりあげたのはコロンブスの息子だった。あらゆる分野におよぶ蔵書は、ヨーロッパ一の規模を誇り、さらにその図書館には驚くべき“仕掛け”があったー。持ち主の名はエルナンド・コロン、コロンブスの私生児である。15世紀半ばのグーテンベルクの印刷革命から100年足らず、ルネサンス、宗教改革、大航海時代の最前線で世界のありとあらゆる情報を集めて目録化しようと試みた書物狂の知られざる物語。<読む前の大使寸評>先日『図書館超活用術』を読んだばっかりで、この本のタイトルに反応したわけです。rakutenコロンブスの図書館シパンゴ(日本)への到着あたりを、見てみましょう。p39~42<第1部第1章 太洋からの帰還> コロンブスの物語を“運命を背負ったひとりの男”の物語に絞ることで、彼の家庭生活や個人的背景は消し去られ、代わりに彼を取り巻く人々のほうが伝説づくりの流れに組み込まれていった。ジョアン王からの支援獲得に失敗したのち、コロンブスが突如ポルトガルを去ったのは、彼が断固として自分の運命に従ったからだとされているが、実際は妻フィリーパの死にも原因があったのかもしれない。 フィリーパは長男ディエゴを産んだが、その早すぎる死によって、コロンブスとポルトガルとのつながりが突如断ち切られてしまったのだ。スペインでの行き先を決めたのは亡くなった妻の親戚たちで、とくに最初の航海の出発地となるパロスでは、つてを紹介するなど便宜を図っている。その時点で、コロンブスが名前をイタリア語の「Colombo(コロンボ)」からスペイン語の「Colon(コロン)」に変えたことについても伝説は多くを語っていないが、のちにエルナンドは、どちらの名前も象徴的な意味においてコロンブスにふさわしいものだったと述べている。 「コロンボ」は「鳩」を意味し、彼もまたノアの箱舟の鳩のように大海へ出ていき、神とその民との契約として、陸地が存在する証を持ち帰る。一方の「コロン」は、ギリシャ語では救世主の「一員」すなわち神の手足となってその意思を実行するする者という意味で、彼が先住民を「coloni」すなわち「キリスト教徒の一員」にさせることを予見しているというのだ。もっとも、じつに皮肉な話だが、この「coloni」は「to colonise(植民地化する)」の語源でもある。 スペイン王室の猛反対に遭いながらも、先見の明をもち、みずからの運命を全うしようとする孤独な夢想家というコロンブス像は、コルドバで陳情に費やした年月のあいだに年若いベアトリス・エンリケス・デ・アラーナと関係をもったことで、いささか複雑なものとなった。すでに亡くなってイタベアトリスの両親は低い身分の出身だったが、彼女の叔父で後見人でもあるロドリゴ・デ・アラーナは医者であり、彼を取り巻くコルドバの医師仲間を通じて、コロンブスはベアトリスと知り合ったようだ。(中略) 最初の航海での出来事が、すでに絶対の自信をもっていた男をいかにして桁外れの自己陶酔に駆り立てたかは容易に理解できる。コロンブスは西へ航行し、“太洋”へ出た。地球上の大陸を囲んでいると考えられていた海だ。記録に残る誰よりも遠くへ到達し、コロンブス自身の説明によると、乗組員たちの暴動さながらの反乱にもひとりで立ち向かった。脅しつける一方で、陸地は近いと励ましながら、なんとか乗り切ったのだ。彼が陸地に近づいた兆候と解釈したものを、のちにエルナンドが詳細に記録している。漂流するマスト、羅針盤の針の奇妙な動き、空から降りかかる巨大な炎、一羽のサギ、緑色がかった海藻、西へ向かう鳥の群れ、一羽のペリカン、小鳥、ラボ・デ・フンコ、一頭のクジラ、カモメ、鳴き鳥、カニ、空気の清涼感、サンゴ礁に生息する魚、カモ、遠くに見える灯り ただの漂流物にしか見えないようなものも、陸地の兆候だと思い込めばそう見えたのだろう。一方で、コロンブスは明らかに策を弄しており、自分たちが知る世界からどんどん離れていくことで水夫たちが感じる不安を軽減しようと、実際に航行したと思われる距離よりも意図的にかなり少なく告げていた。こうして水夫たちをなだめながらどうにか船を進めた甲斐あって、予測どおりの場所に陸地を発見する。そこはカナリア諸島の西750レグアの地点で、緯度計算と、アルフラガヌスの唱えた経度一度につき56と2/3マイルという数値からコロンブスが推測した東アジアまでの距離と完全に一致していた。 コロンブスは自他ともに認める、西回り航路で既知の世界の果てに到着した最初の人物として、シパンゴ(日本)の島に到着した。現地では、その島はキューバと呼ばれていた。こうして史上初めて太洋の境界を越え、当時の人々が知るかぎりにおいて地球の円周はひとつにつながった。コロンブスはさらに、島で出会った人々を(彼らと言葉が通じなかったにもかかわらず)ヨーロッパ人が抱く、堕落以前の無垢な人間のイメージに当てはめることができた。『コロンブスの図書館』3:コロンブスとスペイン王室の関係『コロンブスの図書館』2:エルナンド・コロンの幼少期『コロンブスの図書館』1:プロローグ()
2021.02.27
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「香辛料貿易」をめぐる戦いが、ポルトガル、スペイン、オランダ、フランス、イギリスなどの間で繰り広げられたが、その経済的背景には、香辛料貿易が運送が容易な割に利益が大きいという事情があったのです。・・・そのあたりの状況について、ネットを覗いてみました。ハイパー世界史用語集「香辛料」より インド、東南アジアが産地の、西欧の食生活で不可欠とされた産物。インド洋交易圏・東方貿易の主要な交易品であり、特に大航海時代以降の香辛料貿易は活発に行われた。 広い意味で香料ということもあるが、厳密には香辛料(スパイス)は口に入れて刺激を味わうもので、胡椒・丁字・肉桂(シナモン)・ナツメグ(肉ずく)・カルダモン・ジンジャーなどがある。それに対して狭い意味の香料は、香りを楽しむもので、乳香や白檀などであるが、これも東南アジアの特産であった。 これら香辛料類は育成に気候の適したインド、東南アジアの特産のものであったのでインド洋交易圏の主要な交易品であったことが『エリュトゥラー海案内記』などからもうかがえる。さらにムスリム商人によって紅海を経て地中海に運ばれ、レヴァント貿易(東方貿易)で主としてヴェネツィアの商人によってヨーロッパにもたらされ、肉食文化の中で需要が高まり、高額で取引された。一方、香辛料は南シナ海を経て中国にも運ばれていた。 15世紀に入り、オスマン帝国の地中海への進出によってレヴァント貿易が困難になると、香辛料を求めて直接アジアに進出しようとしたポルトガルによってアフリカ南端を廻るインド航路が開発され、ヨーロッパとの間の直接的な香辛料貿易が始まった。つづいてスペインやオランダ、フランス、イギリスなどが香辛料貿易に乗り出し、香辛料はさらに重要な交易品となった。 しかし、インドにおいてはイギリスの覇権が確立する過程で、イギリス東インド会社の扱うインドからの輸出は綿花や茶が主力となっていき、香辛料貿易はインドネシアに進出し、オランダ領東インドを植民地支配したオランダが主導権を握ることとなる。■香辛料の種類と産地 注意しなければならないのは、香辛料と言ってもその種類が多く、また種類ごとに産地が違うと言うことである。またその多くは現在でも産地の風土が限定されるためか、特定の土地に限られることが多い。胡椒は最も広く見られ、インドのマラバール海岸(カリカット、コチンなど)、東南アジアのスマトラ島などが有名であった。肉桂(シナモン)はセイロン島(スリランカ)の特産であった。丁字(クローブ)はモルッカ諸島のテルナテ、ティドーレなど5つの島でしか産出しなかった。肉ズク(ナツメグ)はモルッカ諸島の南のバンダ諸島でしか産出しなかった。 特に丁字・肉ずくの特産は香料諸島と言われ、16~17世紀にはポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスが激しくその利権を巡って争うことになる。■香辛料の需要 ヨーロッパでは12世紀頃から、牧草の枯れる冬の前に家畜を屠殺して保存し、食料とする肉食が一般化したが、塩漬けにされた肉を食べるには、胡椒などの香辛料でにおいを消さなければならなかったため、その需要が急速にのびた。つまり、肉の味付けと保存のために胡椒などの香辛料が必要であったので、特に上流社会で次第に多量に用いられるようになった。そしてこの香辛料貿易は、運送が容易な割に利益が大きかったので、貿易商人達は競ってその輸入を行った。「香辛料貿易」をめぐる戦いとしては、以下の本が興味深いのです。『カレーの世界史』1『東インド会社とアジアの海賊』4:オランダ東インド会社の登場『スパイス戦争』3:日本人海賊の登場運送が容易な割に利益が大きいと言えば、イギリス―清国間のアヘン貿易が酷かったようです。
2021.02.26
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図書館で『昆虫たちはどこにきえた?(ナショナルジオグラフィック2020年5月号)』という雑誌を、手にしたのです。特集のニホンザル、南米の自然が興味深いのです♪【昆虫たちはどこにきえた?(ナショナルジオグラフィック2020年5月号)】雑誌、日経ナショナルジオグラフィック社、 2020年刊<「BOOK」データベース>よりデータなし<読む前の大使寸評>特集のニホンザル、南米の自然が興味深いのです♪amazon昆虫たちはどこにきえた?(ナショナルジオグラフィック2020年5月号)特集でニホンザルが語られているので、見てみましょう。p109~113<サルたちはサッカーのユニホームを着ていた。:レネ・エバーソール> 日光さる軍団で披露されている芸は、日本の伝統文化「猿まわし」に根ざしたもので、サルは馬の守り神であり、神々と人間を橋渡ししてくれるという信仰に基いている。日本では古来、サルは邪気を払い、幸運をもたらすと信じられ、猿まわしも長い伝統がある。 一般社団法人アニマル・リテラシー総研の代表理事を務める山崎恵子によれば、多くのサルが褒めることで良い行動を引き出す「陽性強化」と愛情をもって訓練されているものの、なかには、調教師から厳しい罰や虐待を受けているケースもあるという。 人間が飼育するサルに関しては、「動物の愛護及び管理に関する法律」によって守られているが、この法律で重点が置かれているのは、犬や猫といった一般的な哀願動物だ。 「子猫や子犬のために活動する動物愛護グループはたくさんあります。殺処分の禁止などを訴えているのです」と山崎は言う。「私たちが目指しているのは、家畜や動物園の動物、実験動物も含め、あらゆる動物を対象とした動物福祉に関する法律を日本につくることです」 日本には動物たちに芸をさせてきた長い歴史があるが、伝統文化だからといって、芸をするサルを虐待から守れないはずもないと山崎は言う。「サーカスのようなものです。歴史を振り返ってみれば、極めて虐待的な方法で動物たちが芸を仕込まれてきた時代もあるのです。猿まわしも例外ではありません。しかし文化は進化します。不変なものではありません」 21世紀版の猿まわしは、サルがフリルのついたドレスを着て路上で後方宙返りをするものから、You Tubeに投稿されている日光さる軍団の学園物コント「おさるの学校」でサルたちがピアノを弾く動画までさまざまだ。 文化としての猿まわしを知りたいと、私は日本でさまざまな公演を見物したほか、宇都宮市にある一軒の居酒屋を訪れた。そこではサルたちが冷えたビールや温かいお絞りを運んでくれ、お面をかぶって客を楽しませていた。世界で有名なスノーモンキー 「スノーモンキー」としても知られるニホンザルは寒さに強く、たくましい生き物だ。ヒトを除く霊長類のなかで、最も緯度の高い場所に生息する。雑誌やテレビですっかりおなじみだが、長野県の地獄谷野猿公苑では雪の降るなか、ニホンザルが温泉でくつろぎ、その姿を写真に撮ろうと大勢の観光客が押し寄せている。 実のところ、ニホンザルは日本列島に広く分布し、雪と無縁の亜熱帯地域にもいる。食性はといえば、果実を主食としながら、葉や花、キノコ、昆虫など多様なものを食べ、この特性が原因で、農家の人たちから目の敵にされることがある。日本では毎年、サルによる食害はおよそ10億円にのぼり、そのほとんどが野菜や果実への被害だ。 生産者たちはサルによる被害を防ぐためにフェンスやかかし、爆竹を使ったりしている。自治体による駆除も行われていて、環境省によると、日本全国で年間に2万5000匹ほどのサルが捕獲されているという。 こうした駆除プログラムの副産物として、親が殺されて子ザルだけが残されることがある。そうしたサルたちを地元の人が保護し、猿まわしの団体などに引き渡すこともあるのだ。
2021.02.26
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図書館で『アディオス! ジャパン』という本を、手にしたのです。真山仁さん初の社会派エッセイてか・・・週刊誌連載の書籍化とのことで興味深いのです。【アディオス! ジャパン】真山仁著、毎日新聞出版、2018年刊<「BOOK」データベース>より「ハゲタカ」の著者、初の社会派エッセイ。日本は終わった国なのか。「週刊エコノミスト」の人気連載が待望の書籍化。【目次】外からの視点でニッポンを見つめてみる/変凹君ニッポン漫遊記/ミャンマーは民主主義の学校か/先進国への狼煙 TOKYO1964/ビバ!富士山/ワインは語る/さらば築地のはずが/地熱は日本を救えるか/銀座でお金の重みを考える/IRは日本復活の成長産業となるのか/問われる震災復興/韓国は近くて遠いのか/沖縄は可哀そうな場所なのか/ニッポンの“国技”野球の底力/トランプ大統領は、民主主義の申し子なのか/ものづくり大国はいずこにー阪神工業地帯盛衰/大政奉還150年ーその探訪遠慮と誤算/言葉とは裏腹の平成時代/名門・東芝は何を失ったのか<読む前の大使寸評>真山仁さん初の社会派エッセイてか・・・週刊誌連載の書籍化とのことで興味深いのです。rakutenアディオス! ジャパン東芝の転落あるいは凋落を見てみましょう。・・・団塊世代にとっては見るのが辛いのだが。p290~295<製造業として原発ビジネスを見誤ったツケ> 東芝の転落は、2006年(平成18年)2月6日に始まったと、私は考えている。 この日、東芝は英国の国営企業・英国核燃料(BNFL)から原子力関連企業の雄、WH(米国ウェスチングハウス)を54億ドル(約6400億円)で買収した。 BNFLが当初想定した売却額は18億ドル程度だと言われているので、東芝は約3倍で買収したことになる。 日本では、東芝のWH買収に喝采を送ったアナリストが多かった。なぜならWHは、原子力発電所の軽水炉の一つであるPWR(加圧水型軽水炉)を開発した企業だからだ。 近年では、WHが直接携わっているのは原発の設計管理のみで、実際の建設は、ライセンス生産によって各分野で高い技術力を培ってきた企業に委ねられている。東芝が買収するまでは、三菱重工業がプラント部分のほぼ全てを、そして、基礎工事は大成建設や清水建設が担ってきた。 ところで原子炉には二つのタイプがあり、世界の原子力発電所のほとんどはPWRとBWR(沸騰水型軽水炉)のどちらかである。そしてBWRタイプの原発は、GE(米国ゼネラル・エレクトリック)が開発し、日立製作所と東芝がライセンス生産していた。 要するに、原発建設は、日本企業がほぼ独占受注し、世界の原発の安全を担保してきた。だが、それらは全て下請けであり、原発プラントの受注ビジネスはWHとGEの両雄が山分けし、共に大きな富を得ていたのだ。 設計から完成までの全てを自社で行うことは、日本の原発メーカーの悲願だった。だから東芝がWHを買収した際に関係者はみな喝采したのだ。 しかし、原発関係者は、正反対の反応を示した。 拙著『ベイジン』の取材中、「東芝は、PWRを製造するつもりでWHを買収したのだろうけど、それは無理」という声を何人もの関係者から聞いた。それどころか、「PWRを世界で独占的に製造している三菱重工が適正価格で買収しようとしたのを、東芝は大枚をはたいて奪取した。それによって失った国益は計り知れない」と憂う声も聞いた。 なぜか…。BWRを製造するノウハウと技術力と、PWRのそれとは全く別物だからだ。 原発は核燃料を利用し、核分裂によって水を沸騰させてタービンを回す。つまり放射能汚染された水蒸気で発電するのだ。しかし、原子力潜水艦用に開発されたというPWRは、200度以上に熱した水を、蒸気発生器という強靭かつ極薄の金属の配管に注入し、タービンを回すのだ。つまり核汚染されていない蒸気が電気を生む。 この蒸気発生器の製造には、豊富な知識や特殊な金属の製造技術などが必要だ。もし、その条件が満たされない場合、破断事故が起きる。実際に、関西電力美浜原子力発電所では、蒸気発生器の破断による死亡事故が過去に発生している。そうした事故も踏まえ、WHと三菱重工は改良を重ねて、他社が真似できない技術を蓄積してきたのだ。そして東芝はそのノウハウを知らなかった。 地球温暖化が問題視されたことで二酸化炭素をほとんど発生しない発電方法である原発が見直され、さらに沸騰水型より安全だというイメージもあって、世界からPWRの新規原発プラントの発注依頼が相次いでいる。WHを手に入れても、それらの新規建設が可能になれば、初期投資など安いもの…。当時の東芝経営陣あそう踏んだのだろう。 しかし、WHが受注し、東芝が製造したPWR型の新規原発は、建設中も含め一基も存在しない。 結果、宝の持ち腐れとなった。 メーカーとしての技術力の実績を踏まえて、自社の製造能力をしっかり測っていれば、PWRの新規受注の独り占めなどという夢は、取らぬタヌキの皮算用だとわかったはずだ。 製造業としての本分を失い、ビックビジネスに目がくらんだのだろうか。現在の東芝を見る限り、そう批判されても致し方ない。 経営危機に瀕する東芝は2018年1月、経営破綻したWHを、カナダの投資ファンドに46億ドル(約52000億円)で売却することを決めた。ウン 小説『ベイジン』を執筆しただけあって、原発ビジネスに関する知見は実に詳しいのである。(かく言う私も在職中は原発関連装置に関わっていたんだが)()
2021.02.26
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今回借りた5冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「外国語」でしょうか♪<市立図書館>・アディオス! ジャパン・昆虫たちはどこにきえた?(ナショナルジオグラフィック2020年5月号)・Apres le tremblement de terre・ポケットに外国語を・翻訳教室 <大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【アディオス! ジャパン】真山仁著、毎日新聞出版、2018年刊<「BOOK」データベース>より「ハゲタカ」の著者、初の社会派エッセイ。日本は終わった国なのか。「週刊エコノミスト」の人気連載が待望の書籍化。【目次】外からの視点でニッポンを見つめてみる/変凹君ニッポン漫遊記/ミャンマーは民主主義の学校か/先進国への狼煙 TOKYO1964/ビバ!富士山/ワインは語る/さらば築地のはずが/地熱は日本を救えるか/銀座でお金の重みを考える/IRは日本復活の成長産業となるのか/問われる震災復興/韓国は近くて遠いのか/沖縄は可哀そうな場所なのか/ニッポンの“国技”野球の底力/トランプ大統領は、民主主義の申し子なのか/ものづくり大国はいずこにー阪神工業地帯盛衰/大政奉還150年ーその探訪遠慮と誤算/言葉とは裏腹の平成時代/名門・東芝は何を失ったのか<読む前の大使寸評>真山仁さん初の社会派エッセイてか・・・週刊誌連載の書籍化とのことであるが興味深いのです。rakutenアディオス! ジャパン************************************************************【昆虫たちはどこにきえた?(ナショナルジオグラフィック2020年5月号)】雑誌、日経ナショナルジオグラフィック社、 2020年刊<「BOOK」データベース>よりデータなし<読む前の大使寸評>特集のニホンザル、南米の自然が興味深いのです♪amazon昆虫たちはどこにきえた?(ナショナルジオグラフィック2020年5月号)************************************************************【Haruki Murakami-Apres le tremblement de terre】Haruki-Murakami著、10*18、2002年刊<カスタマー・レヴュー>より①Un simple battement d'aile de papillon en Amazonie peut-il declencher par une reaction en chaine un tremblement de terre au Japon ? Cela tombe bien, Murakami nous le prouve dans cette suite de nouvelles, toujours aussi subtiles, profondes et surnaturelles ! Oui, un evenement peut bouleverser votre vien comme la lecture de mon commentaire et l'achat de ce roman que vous ne regretterez pas !②この短編小説集は、阪神淡路大地震の闇と少なからず孤独な心が通ずる主人公達の魂の再生の物語だと私は理解しました。最後の「蜂蜜パイ」の淳平は西宮市夙川出身で早稲田の文学部を卒業した短編専門の小説家、つまりそれはもう一人の有り得たかもしれない村上さんの姿でした。本書は読者の人生経験に即して深いメッセージを伝えることが出来る優れた短編小説だと思います。<読む前の大使寸評>「神の子どもたちはみな踊る」が含まれた短篇集であるが、「Apres le tremblement de terre」(大震災後)という書名の日本版なんてあったかな?amazonHaruki Murakami-Apres le tremblement de terre************************************************************【ポケットに外国語を】黒田竜之助著、筑摩書房、2013年刊<「BOOK」データベース>より世界に通用するために外国語を勉強しなければ!そんな気持ちを脱力させて、言葉本来の面白さを感じ取りたい。古本屋で知らない外国語のテキストを買ってみたり、時には現地にいってみたりとあちこち思考をめぐらした結果がこのエッセイに詰まっている。しかも、外国語をもっと楽しく勉強したい人へ向けたアドバイスとして読める。文庫化に際して未収録作品多数!<読む前の大使寸評>下手の横好き外国語といえば・・・俺のことか?と思う大使でおます♪rakutenポケットに外国語を************************************************************【翻訳教室】柴田元幸著、新書館、2006年刊<「BOOK」データベース>よりチュアート・ダイベック『故郷』、バリー・ユアグロー「鯉」、レイモンド・カーヴァー「ある日常的力学」、ハルキ・ムラカミ=村上春樹(英訳はジェイ・ルービン)“かえるくん、東京を救う”、イタロ・カルヴィーノ『見えない都市』より「都市と死者2」、アーネスト・ヘミングウェイ『われらの時代に』より第5章と第7章の抜粋、ローレンス・ウェシュラー「胞子を吸って」、リチャード・ブローティガン「太平洋ラジオ火事」、レベッカ・ブラウン「天国」。村上春樹、ジェイ・ルービンもゲスト参加!東大文学部の翻訳演習を完全収録。<読む前の大使寸評>柴田さんと村上春樹の対談が載っていて、興味深いのです。rakuten翻訳教室************************************************************図書館大好き469
2021.02.25
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図書館で『コロンブスの図書館』という本を、手にしたのです。先日『図書館超活用術』を読んだばっかりで、この本のタイトルに反応したわけです。【コロンブスの図書館】エドワード ウィルソン リー著、柏書房、2020年刊<「BOOK」データベース>より1539年、スペイン・セビーリャー世界最高の図書館をつくりあげたのはコロンブスの息子だった。あらゆる分野におよぶ蔵書は、ヨーロッパ一の規模を誇り、さらにその図書館には驚くべき“仕掛け”があったー。持ち主の名はエルナンド・コロン、コロンブスの私生児である。15世紀半ばのグーテンベルクの印刷革命から100年足らず、ルネサンス、宗教改革、大航海時代の最前線で世界のありとあらゆる情報を集めて目録化しようと試みた書物狂の知られざる物語。<読む前の大使寸評>先日『図書館超活用術』を読んだばっかりで、この本のタイトルに反応したわけです。rakutenコロンブスの図書館サンタ・マリア号コロンブス親子の出自やコロンブス親子の思想を、見てみましょう。p34~35<第1部第1章 太洋からの帰還> エルナンドの図書館では、父コロンブスの著作は、他のヨーロッパ諸国で使われていたラテン語のColumbus(コルンブス)でも、本来の名前であるイタリア語のColombo(コロンボ)でもなく、あくまでもスペイン語のCristobal Colon(クリストバル・コロン)の項目に分類されていた。 コロンブスは名前を変え、若年期についてもベールに包んでいたようだが、彼が毛織物職人というつつましい家系の出身であることを現代の伝記作家が明らかにしている。コロンブスが伝統的な工芸の世界と生まれ故郷ジェノヴァを10代後半のある時点で離れ、貿易事業を始めたという明らかな証拠がいまでは発見され、とくに地元ジェノヴァのチェントゥリオーネ家のために、新興の砂糖貿易に携わっていたことがわかっている。 書籍もまた彼が扱う商品のひとつであったことは十分に考えられ、息子エルナンドが自然と本に親しむようになったのは、父親の影響なのかもしれない。一方、何世紀にもわたる調査によっても、1470年代後半に30歳前後でリスボンにやってくる前のコロンブスの活動については断片的な証拠しか見つかっていない。彼の若年期は、のちに本人が必要に応じてところどころ明かした部分を除き、すべて空白なのだ。 リスボンに移り住んで、ようやく彼の人生がある程度わかるようになり、エルナンドの図書館にもこの時期の文書が集まりはじめる。そうした文書のなかには、ポルトガル人だった妻の父親からコロンブスが受け継いだ書類や地図もあったようだ。コロンブスはこの結婚によって、エルナンドの兄ディエゴを授かっただけでなく、ポルトガルの海運業を支配していた一族とのつながりも得た。妻フィリーパ・モニス・ペレストレーロの父親は,15世紀のなかばにマデイラ諸島の所有権を主張し、そこに定住した者のひとりだった。 エルナンドの図書館には、コロンブスが息子に残した本も所蔵されており、そのなかの一冊に、イタリアの地理学者パオロ・ダル・ポッツォ・トスカネッリの手紙が転記されている。当時のコロンブスの思想を形成したとされるその手紙は、トスカネッリがポルトガルの司祭へ書き送ったもので、そこには彼の“狭い大西洋”説の概要が書かれていた。 それによると、リスボンからカタイ(中国)までの距離は地球のほぼ三分の一にあたる130度、距離にして26エスパシオ、すなわち6500マイルとされていた。まだ無名だったコロンブスが直接トスカネッリとやりとりしていたとするのちの主張は真実味に欠けるが、コロンブスがトスカネッリの理論とザイトン(現在の泉州)に関するじつに魅力的な記述に影響を受けたのはまちがいない。 ザイトンは毎年船100隻分の胡椒を出荷する世界有数の貿易港だが、大ハーン(皇帝)がカタイから統治する無数の都市のひとつにすぎないと説明されていた。 カタイやそこへ行く途中の恰好の寄港地になるはずのアンティリアやシパンゴ(日本)を描写するさい、トスカネッリは13世紀の旅行家マルコ・ポーロやウィリアム・ルブルック、ジョヴァンニ・ダ・ピアン・デル・カルピネの記述に頼り、中国を指すのにモンゴル語のカタイ(キタイ)をそのまま使ったが、その名前は中国ではすでに数百年も前から使われていなかった。 コロンブス親子の偉大な業績のひとつ(クリストファーによって着手され、エルナンドによって完成された)は、その後の一連の出来事を、ひとりの人間に課された宿命の物語に変えたことだ。『コロンブスの図書館』2:エルナンド・コロンの幼少期『コロンブスの図書館』1:プロローグ
2021.02.25
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お天気良~し♪ 今日(2月24日)はまさに観梅のピークでおます。・・・とうことで気象庁の黄砂情報を覗いてみると、あまり心配ないようでおます。で、この際、黄砂予測の推移を並べてみます。(R3:2月24日情報を追加)黄砂情報(2月24日)黄砂情報(2月20日)黄砂情報(2月10日)黄砂情報(1月16日)この黄砂のピークは例年2月~4月のようだが、コロナ渦で慌しいのに迷惑千万である。気象庁・黄砂解析予測図黄砂予測の推移R2
2021.02.25
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図書館で『柴田元幸の意見100』という本を、手にしたのです。おお 翻訳に関する100の意見てか・・・大使のツボが疼くのでおます♪【柴田元幸の意見100】柴田元幸著、株式会社アルク、2020年刊<「BOOK」データベース >より近現代の英米文学作品を、独自の視点で選び抜いて翻訳し、日本の読書界を動かしている翻訳家・柴田元幸が、翻訳に対する考え方や自身の翻訳手法について述べたとっておきの100の言葉(と、なぜか本人のボケツッコミ)を集めた一冊。東京大学での翻訳の授業や、講演、対談、インタビューなど、さまざまなシーンのシバタセンセイが登場。柴田訳のファン、翻訳に興味のある方、英語を勉強中の方、言葉について考えるのが好きな方、そして、なぜだかこの本を手に取ってしまったあなた。-どなたにもおすすめの一冊です。<読む前の大使寸評>おお 翻訳に関する100の意見てか・・・大使のツボが疼くのでおます♪rakuten柴田元幸の意見100ラテン語と英語の関係が述べられているので、見てみましょう。p114~115<48 漢語と和語のせめぎ合い> 漢語と和語のせめぎ合いという問題は、現代の翻訳でも、少なくとも英語の翻訳に関する限り変わっていません。 英語は種に二つの言語から成り立っていて、ブリテン島でもともと使われていたシンプルなアングロサクソン語がまずあって、そこに征服民族のラテン語、フランス語が入ってくる。たとえば「得る」はアングロサクソン系の英語だとgetですが、ラテン語起源の語ではobtainとかaquireなどがある。 この対比は、大和言葉と漢語の対比とほぼ同じだと思います。だから、英語から翻訳する時に、getやhaveだったら「得る」「持つ」ですが、aquireだったら「獲得する」、possessだったら「所有する」と訳し分ける。 もちろん文脈でいくらでも変わってきますが、そういう原則はしっかりあるべきです。案外問題にされないことですが。翻訳するスピードを、見てみましょう。p138~139<59 読むスピードで訳す> (翻訳するスピードは)意識して速くあろうともしているんです。ゆっくり訳すとどうしてもセンテンス単位で訳してしまうけれど、読者は文章の流れで読むわけだから、個々のセンテンスが自己完結していてはダメなんです。読むときの感覚、ノリを訳文で再現するためにも速く訳すべきで、速いから雑ということではないですよ。村上春樹さんの凄さが述べられているので、見てみましょう。p198~199<87 外国語で書き始める> ご存知の方も多いと思いますが、村上春樹さんも第1作『風の歌を聴け』の最初の数ページを英語で書いていました。 まだ『風の歌を聴け』というタイトルも付いていなかった時点で、生まれて初めて小説を書いてみたはいいが、いかにも日本文学という感じがして嫌だなあと思った村上さんは、オリベッティのタイプライターを引っぱり出してきて、書き出しの数ページを英語で書いてみた。そうすると、凝った表現を使えず、シンプルに語らざるをえない。 それで日本文学臭さを抜くことができて、自分のスタイルに行き着くことができたと村上さんは言っています。二葉亭が1880年代にやったことを、村上さんは1970年代にやっていた。 二人とも、彼らから見て手垢の付いたスタイルから逃れようというときに、まず外国語で自分の文章を書いてみることを始めたというのは興味深いことだと思います。『柴田元幸の意見100』2:「!」やコロンについて『柴田元幸の意見100』1:翻訳の勘所()
2021.02.24
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図書館で『柴田元幸の意見100』という本を、手にしたのです。おお 翻訳に関する100の意見てか・・・大使のツボが疼くのでおます♪【柴田元幸の意見100】柴田元幸著、株式会社アルク、2020年刊<「BOOK」データベース >より近現代の英米文学作品を、独自の視点で選び抜いて翻訳し、日本の読書界を動かしている翻訳家・柴田元幸が、翻訳に対する考え方や自身の翻訳手法について述べたとっておきの100の言葉(と、なぜか本人のボケツッコミ)を集めた一冊。東京大学での翻訳の授業や、講演、対談、インタビューなど、さまざまなシーンのシバタセンセイが登場。柴田訳のファン、翻訳に興味のある方、英語を勉強中の方、言葉について考えるのが好きな方、そして、なぜだかこの本を手に取ってしまったあなた。-どなたにもおすすめの一冊です。<読む前の大使寸評>おお 翻訳に関する100の意見てか・・・大使のツボが疼くのでおます♪rakuten柴田元幸の意見100「!」の処理について見てみましょう。まさに翻訳家のノウハウですね。p62~63<23 「!」の処理について> 僕は英文にエクスクラメーションマークがあったらほとんど全部再現します。クエスチョンマークも再現するし、段落も絶対変えない。 この3点はもうそのままにして何も考えないですね、面倒だし。ただ、割とそれを嫌う人は多い。 エクスクラメーションマークってそんなに日本語で使わないと考える人も多いので、これは正解はなし。僕はとにかく変えないです。よほどのことがないと取らないですね。次にコロンとセミコロンの訳し方を、見てみましょう。p74~75<29 コロンとセミコロンの訳し方> まず、英語における「:」(コロン)と「;」(セミコロン)の基本的な違いは覚えてくださいね。最初の段落の終りにI turned my gaze aside;I no longer dared look anyone in the face のセミコロンがありますよね。 ここからわかるように、セミコロンというのは、カンマとピリオドの間くらいだと思えばいいですね。ちょっと一呼吸あける感じ。 それに対してコロンというのは、「すなわち」「具体的には」というはっきりした意味があります。この場合[The vegetable vender rased her face:she was my grandmother.] 顔をあげた結果、具体的にどういうことがわかったかというと、「まさに私の祖母だった」という事実。『柴田元幸の意見100』1:翻訳の勘所
2021.02.24
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図書館で『柴田元幸の意見100』という本を、手にしたのです。おお 翻訳に関する100の意見てか・・・大使のツボが疼くのでおます♪【柴田元幸の意見100】柴田元幸著、株式会社アルク、2020年刊<「BOOK」データベース>より近現代の英米文学作品を、独自の視点で選び抜いて翻訳し、日本の読書界を動かしている翻訳家・柴田元幸が、翻訳に対する考え方や自身の翻訳手法について述べたとっておきの100の言葉(と、なぜか本人のボケツッコミ)を集めた一冊。東京大学での翻訳の授業や、講演、対談、インタビューなど、さまざまなシーンのシバタセンセイが登場。柴田訳のファン、翻訳に興味のある方、英語を勉強中の方、言葉について考えるのが好きな方、そして、なぜだかこの本を手に取ってしまったあなた。-どなたにもおすすめの一冊です。<読む前の大使寸評>おお 翻訳に関する100の意見てか・・・大使のツボが疼くのでおます♪rakuten柴田元幸の意見100第1章の冒頭を見てみましょう。p16~17<1理想の翻訳> 合っているか間違っているかでいえば、翻訳なんて、全部、間違っているんですよ。何もかも全部を伝えるなんて、原理的に無理なんですから。 ただ、「どう間違うのがいちばんいいのか」を細かく考えるしつこさがあるといい、とはいえるかもしれませんね…(中略)…翻訳で伝わっていないことというのは、いくらでも挙げることができます。 その中で、「ここでは、何が伝わるのがいちばん望ましいのか」ということを見極める。そうやって大体を伝えていけば、小説の場合、総体として、「よさ」は伝わるんじゃないかと思います。 翻訳の勘所を見てみましょう。p28~29<7 いくら正確でも> 世の中では「誤訳」ということをよく問題ににし、正しい翻訳と誤まった翻訳があると考えられがちだが、極論すればあらゆる翻訳は誤訳である。 すべてを伝えた、正しい翻訳などありえないことはすでに述べたことから明らかだろう。いわゆる英文和訳レベルでの正確さもむろん翻訳における重要な要素だが、決して最優先事項ではない。 訳者が原文を読んだときに感じたような快感が伝わるような訳文になっていなければ、いくら正確でも意味はない。たとえばその快感は、ユーモアから生まれていたり、恐怖感から生まれていたり、厳密な論理性から生まれていたりするかもしれない。 そのような「快感の源」がうまく伝わっていかなければ、その訳文は一見正確でも、本当の意味で正確ではないというべきだろう。
2021.02.24
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図書館で『コロンブスの図書館』という本を、手にしたのです。先日『図書館超活用術』を読んだばっかりで、この本のタイトルに反応したわけです。【コロンブスの図書館】エドワード ウィルソン リー著、柏書房、2020年刊<「BOOK」データベース>より1539年、スペイン・セビーリャー世界最高の図書館をつくりあげたのはコロンブスの息子だった。あらゆる分野におよぶ蔵書は、ヨーロッパ一の規模を誇り、さらにその図書館には驚くべき“仕掛け”があったー。持ち主の名はエルナンド・コロン、コロンブスの私生児である。15世紀半ばのグーテンベルクの印刷革命から100年足らず、ルネサンス、宗教改革、大航海時代の最前線で世界のありとあらゆる情報を集めて目録化しようと試みた書物狂の知られざる物語。<読む前の大使寸評>先日『図書館超活用術』を読んだばっかりで、この本のタイトルに反応したわけです。rakutenコロンブスの図書館サンタ・マリア号エルナンド・コロンの幼少期を、見てみましょう。p23~26<第1部第1章 太洋からの帰還> 記録に残るエルナンド・コロンの最初の記憶は、じつに正確だ。 1493年9月25日水曜日、夜明けの1時間前。エルナンドは異母兄ディゴの横でカディスの港を眺めていた。水面に星座のごとく浮かび上がるランプの灯りが、きらきらと踊っている。海上では17隻の船が錨を上げ、出航の時を待っていた。彼らの父親が初上陸を果してからまだ1年もたたない西の島々へ向けての、二度目の航海である。 クリストファー・コロンブスはいまや“太洋の提督”の称号と名声を手に入れ、5歳のエルナンドの目の前で繰り広げられるこの光景を、年代記編者たちが克明に記録していた。 船隊はスペイン北部カンタブリアで調達された多くの軽量船と、速度では劣るが耐久性にすぐれたカラベル船で編成され、総勢1300人の乗組員のなかには、コロンブスが語った驚くべき無限の富が目当ての職人や人夫に加え、仕事よりも冒険を求めて志願した上流階級の紳士たちもいた。 ほどよい追い風が吹き、町の空が白みはじめると、点々とともる灯りの間隙を埋めるように、ランプにが取り付けられた船室やマスト、索具などの形が徐々に浮かび上がる。その光景といい、雰囲気といい、すべてが輝かしい勝利に満ちあふれていた。 舷側にはタペストリーが掛けられ、太綱に三角旗がはためき、船尾にはカトリック両王の王室旗が掲げられている。アラゴン王フェルナンドとカスティーリャ女王イサベル…この偉大な統治者どうしの結婚により、分裂していたスペインは統合された。 船出を祝い、オーボエやバグパイプ、トランペット、クラリオンが奏でるけたたましいファンファーレ。その音はセイレーンや海の精霊たちを驚かせ、響き渡る大砲の音は海底にまで届いたと伝えられる。港の入り口では、交易の任務を終えてブリテン諸島から帰ってきたヴェネツィアの船団が、こちらも祝砲をとどろかせながら、コロンブスがどのような航路をたどるのか途中までついていってみようと待ちかまえていた。 エルナンドがのちに、この記憶よりもさかのぼり、その年の三月に父親が最初の大西洋横断の旅から帰還したときのことを思い出したかどうかは定かでないが、それはこの華々しい船出とはだいぶ様相が異なっていた。 1492年8月3日、コロンブスは三隻の船で最初の航海に出発したが、帰還したのはそのうちの一隻だけだった。旗艦サンタ・マリア号はクリスマスイブにエスパニョーラ島沖で座礁し、ピンタ号は帰港の途中、嵐のさなかにアゾレス諸島の近くで姿を消した。また、もともと90人余りいた乗組員のうち39人は、大西洋のかなたエスパニョーラ島に残された。 島の首長グァカナグァリの助けを借り、サンタ・マリア号の廃材を使って築かれた砦は、建設に着手した日がクリスマスイブだったことから、スペイン語でクリスマスを意味するラ・ナビダッドと名づけられた。(中略) エルナンドの幼少期が普通の子どもとは異なる、おそらく前例のないものであったのは、ごく幼いころから、父親に関する自身の思い出と、そのころ広く出回っていたコロンブスの偉業を伝える文書とが競合していたせいかもしれない。三月にコルドバの大聖堂で父親の書簡が読み上げられたとき、エルナンドもその場にいたのだろうか。 コロンブスの新発見を世に知らしめたその書簡は、最初にバルセロナで印刷され、その後もいくつか異なる版が刷られ、のちにエルナンドはそれらを大切な記念品として自身の図書館に保管している。彼の世界図書館では、まさにこの種の安価な印刷物が重要な蒐集物となるが、そのきっかけとなったのはコロンブスの旅の報告書だったのかもしれない。『コロンブスの図書館』1()
2021.02.23
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図書館で『コロンブスの図書館』という本を、手にしたのです。先日『図書館超活用術』を読んだばっかりで、この本のタイトルに反応したわけです。【コロンブスの図書館】エドワード ウィルソン リー著、柏書房、2020年刊<「BOOK」データベース>より1539年、スペイン・セビーリャー世界最高の図書館をつくりあげたのはコロンブスの息子だった。あらゆる分野におよぶ蔵書は、ヨーロッパ一の規模を誇り、さらにその図書館には驚くべき“仕掛け”があったー。持ち主の名はエルナンド・コロン、コロンブスの私生児である。15世紀半ばのグーテンベルクの印刷革命から100年足らず、ルネサンス、宗教改革、大航海時代の最前線で世界のありとあらゆる情報を集めて目録化しようと試みた書物狂の知られざる物語。<読む前の大使寸評>先日『図書館超活用術』を読んだばっかりで、この本のタイトルに反応したわけです。rakutenコロンブスの図書館コロンブスの上陸エルナンド・コロンの死から始まる冒頭の語り口を、見てみましょう。p10~13<プロローグ> セビーリャ 1539年7月12日 死を迎える日の朝、エルナンド・コロンは枕元にひと椀の土を運ばせると、使用人たちに言った。私にはもう腕を持ち上げる力もない、その土を顔に塗ってくれないか…。 10年以上も忠実に仕えてきた使用人たちも、主人はついに正気を失ってしまったのかと、今度ばかりは指示に従おうとしなかった。そこでエルナンドは最後の力をふりしぼって椀に手をのばすと、みずからの顔に土をこすりつけた。 グアダルキビル川の土…セビーリャの街をくねりながら進み、彼の屋敷をその腕に抱くゆるやかな流れが運んできた土で顔を汚しながら、エルナンドはラテン語でつぶやいた。それを聞いてようやく、集まっていた者たちは彼のこの行為の意味を理解したのである。「人はみな土より生まれ出で、土に還る」 その少し前、グアダルキビル川の対岸で、エルナンドの父である“太洋の提督”クリストファー・コロンブスの亡骸が、その同じ土から(30年間眠りつづけた墓から)掘り起こされた。史実がエルナンドの言葉どおりならば、探検家の骨とともにあらわれたひと山の鎖を見て、墓を掘り返した男たちは驚いたことだろう。 その鎖は、エルナンドの過去のある一点へとつながっている。当時12歳だった彼の目の前に久方ぶりにあらわれた父は、その鎖で縛られていた。みずからが発見者であるはずの楽園、スペインへの贈り物であった楽園から、コロンブスは囚われの身として帰還したのである。 偉大なる探検家の副葬品、コロンブスが自身の亡骸とともに埋葬してほしいと望んだその鎖の意味をエルナンドが明かしたのは、晩年になって父の伝記を書きはじめてからだが、死の朝にみずからの顔に土を塗った意味は、その場にいた全員に伝わったことだろう。それは卑屈なまでの謙遜のしるしだ。 自分はそうやって堂々とへりくだって見せるに値する偉業を成し遂げた人物だと、彼は自覚していたのだ。わが身がまもなく朽ち果てていくのを喜んで受け入れようとしているこの男は、時の猛攻撃にも永遠に耐えうる、ある仕組みを構築したのだから。 このパフォーマンスのあとまもなく、午前8時ちょうどに、エルナンド・コロンは息をひきとった。 1時間後、エルナンドの次なる出し物、風変わりな死のページェントが始まった。遺言の読み上げのために、近親者たちが彼の屋敷に集まってきた。彼らはプエルタ・デ・ゴーレスの門をくぐり、名も知らぬ植物が植えられた庭園を抜けて、グアダルキビル川のほとりに建つイタリア風のヴィラへやってきた。 並外れた記憶力をもつリストマニアで、細やかな道義心の持ち主であったエルナンドの遺言書は、じつに詳細だった。そこには、なにがしかの借りがある相手の名前が、それこそ20年近くも前に借りをつくったラバ追いにいたるまで、ずらりと書き連ねてあった。道義心にもとづくこのリストが尽きたあと、遺言はいよいよ本題に入るのだが、その内容は当時の人々にはとうてい理解不能なものだった。 エルナンドが遺した財産の主たる相続人は人間ではなく、彼の驚くべき創造物…図書館だった。この世で築いた財産を一群の“本”に遺すなど、ヨーロッパの歴史が始まって以来のことであり、その行為そのものが当惑を招いたに違いないが、それをさらに理解不能にしていたのが問題の図書館の“形態”だった。 エルナンドの蔵書の多くは、当時の大型図書館に大切に所蔵されていた手稿本、すなわち神学や哲学、法学などの大冊、その価値に見合う豪華な装丁がほどこされた貴重な書籍ではなく、むしろ地位も名声もない著者による本や小冊子、さらに酒場の壁を飾るような、1枚の紙きれに印刷された物語詩(バラッド)など、当時の人々には紙くずにしか見えない代物だった。 偉大なる探検家の息子が遺したものは、はたから見ればなんの役にも立たないごみ同然だったのである。しかしエルナンドにとっては、あらゆるものを蒐集し、それまで誰も思いつかなかった“ユニバーサル”な図書館をつくりあげたいという夢へ近づけてくれるかけがえのないものだった。 いつ始まりいつ終わたのかもわからない種々雑多なコエクションには、書物に加え、いくつもの収納箱に入った版画(史上最大なコレクションだった)のほか、1ヶ所に集められたものとしては最多となる楽譜も含まれていいた。また、外の庭園には世界中から集めた植物が植えられていたと伝えられるが、当時はまだ、そうした庭を呼ぶ“植物園”という言葉は存在しなかった。 エルナンドの図書館を訪れた人々は、じつは奇異な光景に出迎えられたことだろう。膨大なコレクションはまさに壮観で、当時の個人蔵書としては他の追随を許さず、視界に入りきらないほど先の先まで本がずらりと並び、遠くのほうはかすんで見えたに違いない。そしてどこか方向感覚を失ったような感じがするのは、図書館の壁が消えているせいだと気づいただろうか。 壁があるはずの場所には、特別にしつらえた木のケースに本が“立てて”並べられ、それが何段にも積み重ねられていた。現代人の目にはなんの変哲もない書架だが、当時この図書館を訪れた人々にとっては初めて目にするものだった。 この書架は、エルナンドの途方もない図書館にこらされた驚くべき意匠のひとつにすぎず、ほかにも入り口に掲げられた「この建物は糞の上に築かれた」と誇らしげに宣言する銘文をはじめ、なんとも説明のつかないものがいくつもあったのである。()
2021.02.23
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図書館で『カウボーイの米国史』という本を、手にしたのです。先ごろモームの『剃刀の刃』を読んだのだが、物語の背景がちょうどカウボーイが出てくる米国だったので、カウボーイの歴史に興味が湧いたのです。【カウボーイの米国史】鶴谷 寿著、朝日新聞社、1989年刊<「BOOK」データベース>より西部劇に登場するカウボーイと現実のカウボーイはどう違っていたか!カウボーイのすべてをたどる。<読む前の大使寸評>先ごろモームの『剃刀の刃』を読んだのだが、物語の背景がちょうどカウボーイが出てくる米国だったので、カウボーイの歴史に興味が湧いたのです。amazonカウボーイの米国史カウボーイの実態にふれたエピローグを、見てみましょう。p266~268<否定的カウボーイ論> このアメリカ人が抱いているカウボーイ像を、従来と異なった、むしろ逆の一見否定的とも思える観点から見ながらも、結局は、アッメリカ人がカウボーイ神話を肯定していることを書いた作家がいる。それは『セールスマンの死』(1949)などで知られている現代アメリカ演劇界の代表的作家、アーサー・ミラー(1915-)である。 彼は『時代錯誤者』(1961)の中で、主人公のゲイというカウボーイが、現代社会の中で独りで反抗している姿を描いた。 彼と同様に現代社会に対して疎外感をもつ賞金稼ぎのロデオ・カウボーイと、ノイローゼのパイロットのギドと共に、かつての古き西部時代には英雄的行為であった「野生馬狩り」にでかける。しかしこの「野生馬狩り」は、現代社会では、もはや何の価値も持たないものとなっている。それは今日の世界では、完全に時代錯誤になっている行為なのである。 また、この劇の中の重要なシーンとなっているロデオ大会も、かつての西部文化の表現に欠くことのできないものであったが、今日では何の意味も持たない古い時代錯誤であり、人間と動物が現実的な目的もないもののために傷つく意味のない残酷なスポーツであるにすぎない。 また、この劇の中では、現代社会の立場を代表するような女性を配してある。彼女の影響で、ゲイは時代は変化することを悟り、過去の価値はもはや必ずしも現在のものと同じでないことを理解していくというのが大筋である。この劇の中でミラーは、社会と個人の葛藤、それに戦争体験の意義などを問いながら、主人公が現実と妥協することの必要性を悟ると書いている。つまり、変化という事実に妥協することが人間にとって必要であるというのである。 これらのことから、一般のアメリカ人は、現実はともかく夢としては、カウボーイ神話の存在を認めている「時代錯誤者」であるといってもよいかもしれない。 なおこの劇は、1961年にユナイテッド・アーチスト社によって、クラーク・ゲーブル、マリリン・モンロー、モンゴメリ・クリストフなどの豪華な顔ぶれで映画化され、日本語題名『荒馬と女』として上映されている。 先の『真夜中のカウボーイ』と同様に、単なる社会風刺だけでなく、現実を見つめて、そこから再びよきアメリカを再建すべきであるというアメリカ人への警告が感じられるのである。 ノーベル賞作家であり、『怒りの葡萄』(1939)、『エデンの東』(1952)などの作品と、その映画化されたものでわが国でもよく知られているジョン・スタインベック(1902-68)も、カウボーイのことにふれている。 それは彼が独自のアメリカ観によってアメリカやアメリカ人の本質を捉えるために書いた『アメリカとアメリカ人』(1966)という作品の中でである。 彼は、この作品の「逆説と夢」という章で、アメリカ人には、絶えず夢想と現実との間にギャップがあるが、それは、アメリカの夢とアメリカの生活様式との比較対照んいおいて、明確に見られ得るとしている。 この中の一文に「一般大衆の夢は、大衆の文学を生み出すか、あるいはその中にミチを求めて入り込むのである。また大衆文学は、いつも実際に起きた事柄に基いている。変わることなく本や映画やテレビで繰り返し語られるアメリカで最も永続している大衆的物語は、カウボーイや果し合いをする保安官やインディアンの戦士に関するものである。このような民衆の人物は実在した。伝えられる通りでなくとも、また示される数ほどでなくとも、彼らは現実に実在していたのである。(以降略)」と書いている。『カウボーイの米国史』2:カウボーイの食事、歌『カウボーイの米国史』1:映画『真夜中のカウボーイ』()
2021.02.23
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図書館で『カウボーイの米国史』という本を、手にしたのです。先ごろモームの『剃刀の刃』を読んだのだが、物語の背景がちょうどカウボーイが出てくる米国だったので、カウボーイの歴史に興味が湧いたのです。【カウボーイの米国史】鶴谷 寿著、朝日新聞社、1989年刊<「BOOK」データベース >より西部劇に登場するカウボーイと現実のカウボーイはどう違っていたか!カウボーイのすべてをたどる。<読む前の大使寸評>先ごろモームの『剃刀の刃』を読んだのだが、物語の背景がちょうどカウボーイが出てくる米国だったので、カウボーイの歴史に興味が湧いたのです。amazonカウボーイの米国史ジャンバラヤカウボーイの食事とか歌とかを、見てみましょう。p130~133<カウボーイの食事> 放牧地でのラウンドアップや牛のロング・ドライブに従事するカウボーイにとって最大の楽しみは食事であった。カウボーイをよく働かせ、士気を高めるのも食事しだいであった。したがって腕のよいコックを雇うことが、牧場主や牧童頭にとって極めて重要なことであった。(中略) カウボーイの食事には、欠かせない五つの食品があった。それは、コーヒー、豆、肉、パン、シチューである。 コーヒーが、食事ごとに必要であったのはもちろんのこと、チャック・ワゴンの近くにきた時には必ずカウボーイは一、二杯飲むのが常であったので、昼間でも炭火の上にポットを置いていたし、特に夜の見張りの出入りの時には、欠かせないものであった。 コックは自分のコーヒーを自慢にしていた。強くて、ブラックなコーヒーが要求されることを知っていたので、彼はコーヒーの量を多くしたのである。その沸かし方は、強火で一気に沸かし、すぐ飲ませたものである。コーヒーが沸き上がる前にかすを沈めるために、一つまみの塩と少量の水を加えた。(中略) チャック・ワゴンは必ず、良質の豆も積んでいた。豆類は、西部で重要な食糧の一つであった。カウボーイは豆類についてはかなり好みがやかましく、インゲン豆や白インゲン豆を好まず、ウズラ豆かササゲ豆を最も好んだ。彼らは蛋白質やミネラル、ビタミンなどについては何も知らなかったが、このウズラ豆類が彼らの空腹を満たし、しかもおいしい食物であることは知っていた。p135~136<カウボーイ・ソング> ロング・ドライブは、単調で退屈な長旅である。大平原の真っ只中では娯楽などあるはずがない。それにアルコール類は原則として禁止されていた。それでチャック・ワゴンの近くではキャンプ・ファイアーを囲んで、雑談したりカウボーイ・ソングを歌ったり、またトランプをした。しかし、このトランプも金銭や物品を賭けることは、禁じられていたのである。 西部劇の中では、ハリウッド・カウボーイはギターをしばしば弾く。本物のカウボーイは、馬にギターを乗せたりしてはいない。たとえ彼がギターを持っていても、牛追いの旅にそれを持ってくる者はほとんどいなかった。また、カウボーイの歌うカウボーイ・ソングも決してロマンティックなラブソングなどではなかった。 その歌は単純で単調なものであって、自分たちの辛い仕事のことを歌っているワークソング(作業歌)の一種である。西部文学の作家アンディ・アダムス(1859-1935)は、『カウボーイ日記』のなかで、本当のカウボーイの歌は「インディアンの叫び声の不気味さと、黒人のうばの子守唄のまじったものである。それは、広大な空間と平原と、変化しない砂漠を表現しているのである」と書いている。 カウボーイの娯楽の一つであるカウボーイ・ソングというものはどんなものであったかを述べる。 ギターを抱えてさまよい、歌うカウボーイのイメージは、ハリウッド製のものである。実際にカウボーイの間に人気のあったのは、バンジョーとバイオリンであった。この二つの楽器は、ギターより携帯に便利であり、またダンスとも調子がよく合った。楽器がない場合は、手拍子や足拍子でリズムを取ってダンスをしたり歌ったりしたものであった。 カウボーイ・ソングは、南北戦争以前からよく歌われていた。カウボーイが南部の産物であったので、当然、その音楽も南部の系統であった。多くの歌は、古い民謡やイングランド、スコットランド、アイルランドの民謡に源を発するものであった。『カウボーイの米国史』1:映画『真夜中のカウボーイ』
2021.02.22
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図書館で『カウボーイの米国史』という本を、手にしたのです。先ごろモームの『剃刀の刃』を読んだのだが、物語の背景がちょうどカウボーイが出てくる米国だったので、カウボーイの歴史に興味が湧いたのです。【カウボーイの米国史】鶴谷 寿著、朝日新聞社、1989年刊<「BOOK」データベース>より西部劇に登場するカウボーイと現実のカウボーイはどう違っていたか!カウボーイのすべてをたどる。<読む前の大使寸評>先ごろモームの『剃刀の刃』を読んだのだが、物語の背景がちょうどカウボーイが出てくる米国だったので、カウボーイの歴史に興味が湧いたのです。amazonカウボーイの米国史プロローグに映画『真夜中のカウボーイ』が出てきたので驚いたのです。そのあたりを見てみましょう。p9~11 1969年にアメリカで製作された『真夜中のカウボーイ』という映画作品がある。 冒頭で、主役の一人であるジョー。バックという男が、カウボーイ姿で、テキサスからニューヨークに出てくるのである。彼は、カウボーイ姿の恰好良さと美貌と、たくましい肉体によってニューヨークの女性たちを魅惑し、あわよくば富みと栄光を手に入れようというのである。 しかし現実は、甘くもロマンチックでもない。逆に、金を捲きあげられてしまう。ここでもう一人の主人公であるラッツオというペテン師と知り合う。二人の間に友情が生れた。ラッツオの夢はフロリダに行くことである。 このラッツオのためにジョーは男娼にまで身を落とし、金を稼ぐ。若干の金を手にしたジョーは屈辱と泥にまみれたカウボーイ姿と訣別しラッツオと二人で太陽と新しい生活を求めてフロリダへ出発する。しかし体の衰弱していたラッツオはマイアミの日光の輝く海辺を見ることもなく途中で死ぬのである。 この作品は虚飾に満ちた大都会ニューヨークの混沌とした泥沼から必死にはい上がろうとする二人の若者を、鮮烈な感覚で捉えた異色の作品である。筆者には、颯爽としたカウボーイが最後には、テキサス男の栄光の象徴であるカウボーイ姿を脱ぎ捨てて悄然とフロリダに去ることに興味がある。 カウボーイは、テキサス男ばかりでなく、アメリカの男性の象徴でありイメージなのである。その背景には強いアメリカという意識があり、開拓時代のロマンが生きつづけている。この映画は、現実には、古き良き西部の夢がすでに消え去っているにもかかわらず、それが、郷愁としてアメリカ人の心に強く残っていることを思わせるのである。(中略) このようにアメリカ人自身が、カウボーイはアメリカ人を代表するものとみなしている。アメリカ合衆国以外の国の人たちも、アメリカ人について抱いているイメージの中で、まず心に浮かぶのは、この「カウボーイ」イメージであろう。カウボーイは、単にアメリカ男性のイメージを最もよく代表しているだけでなく、アメリカの国家そのものを象徴していると考えられる。
2021.02.22
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ブレイディみかこの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』という本を読んで以来、この著者にぞっこんの大使である。そこで、ブレイディみかこについて集めてみました。・ブロークン・ブリテンに聞け(2020年刊)・(対談)誰も否定されないこと(2020年元旦対談)・ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー(2019年刊)***********************************************************************『ブロークン・ブリテンに聞け』4:英国英語はしちめんどうくさい『ブロークン・ブリテンに聞け』3:コロナの沙汰も金しだい『ブロークン・ブリテンに聞け』2:英国の子育て『ブロークン・ブリテンに聞け』1:パブの近況(対談)誰も否定されないこと2020.1.01『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』6:中国人の生徒会長『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』5:意外と深いニーハオ問題『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』4:公営団地のラップ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』3:荒れている地域『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』2:「元底辺中学校への道」の続き『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』1:元底辺中学校への道***********************************************************************【ブロークン・ブリテンに聞け】ブレイディみかこ著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より EU離脱、広がる格差と分断、そしてコロナ禍ー。政治、経済、思想、テレビ、映画、英語、パブなど英国社会のさまざまな断片から、激動と混沌の現在を描く傑作時事エッセイ集。<読む前の大使寸評>2020年刊10月刊行の本なので、当然として新型コロナに対するイギリスの対応が載っているので興味深いのです。<図書館予約:(12/9予約、1/30受取)>rakutenブロークン・ブリテンに聞け【ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー】ブレイディみかこ著、新潮社、2019年刊<「BOOK」データベース>より大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽く飛び越えていく。世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、落涙必至のノンフィクション。<読む前の大使寸評>待つこと11ヶ月か・・・個人的には最も長く待っていた本だろう。<図書館予約:(11/13予約、副本19、予約546)>rakutenぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルーなお、ブレイディみかこ著『ワールドサイドをほっつき歩け』を去年予約したのだが(9/19予約、副本13予約218)現在92位の順番待ちでおます。
2021.02.22
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図書館で『シルバー・デモクラシー』という本を手にしたのです。この本でシルバーと称している世代は団塊世代を指すわけで、ちょうど我々の世代であり無視できないわけでおます。ところで、帰って調べてみるとこの本を借りたのは2度目だと判明したのです。・・・で、この記事を(その7)とします。【シルバー・デモクラシー】寺島実郎著、岩波書店、2017年刊<「BOOK」データベース>より戦後日本人の先頭として民主主義、高度成長の恩恵を受けてきた団塊の世代。世界的な民主主義の危機が語られる今、1980年の論稿「われら戦後世代の『坂の上の雲』」のタイムカプセルを開け、35年後の高齢化した都市新中間層の現状をみつめ、シルバーが貢献する新たなデモクラシーへの視界を探る。参画型社会構築への提言。<読む前の大使寸評>この本でシルバーと称している世代は団塊世代を指すわけで、ちょうど我々の世代であり無視できないわけでおます。rakutenシルバー・デモクラシー第6章で望まれるシルバー・デモクラシーが語られているので、見てみましょう。p185~187■シルバー・デモクラシーの起点 農業の安楽死を図ってきたのが日本の戦後だとするならば、そこで蓄積した技術や人的資源を投入して「食と農」を取り戻し、より多くの人が参画していけるようなプラットフォームをつくる社会工学的構想力がターニングポイントになっていくだろう。 システムとしての農業を促進して、食料自給率を高め、高齢者の参画を図ることで社会との接点や社会への貢献、参画を拡大していく総合エンジニアリング力が求められている。そして、これこそが実はデモクラシーの原点なのである。 自分が額に汗して参画している視点から社会との関係性を自覚し、あるべき社会への問題意識を持つという、シルバー・デモクラシーの起点はここにあるといえる。 相模原モデルは、国道16号線沿いの東京のベッドタウン地域の象徴として、高齢化するこの地域を未来に向けて再設計することを模索するための表現でもあるが、戦後日本が形成してきた都市新中間層の居住空間たる団地、ニュータウン、マンションをどうするかという問題でもある。戦後日本が作り出してきた個人が分有するコンクリート・ブロック空間を、「独居老人が閉じこもるコンクリート・ブロック」にしないために、可能な限り住民が協力して住む「シャハウス」化していかなければならなくなるであろう。 戦後日本が作った「個を分断した無機的な孤独な空間」を、血の通った世代にまたがる有機的連帯可能な空間に変えていかねばならなくなるのではないか。住環境でも車でも「所有から共有へ」という仕組み作りが求められるであろう。そのための試金石が相模原モデルなのである。『シルバー・デモクラシー』1:日本の貧困化と世代間格差p123~128『シルバー・デモクラシー』2:現在進行中の国家資本主義p151~153『シルバー・デモクラシー』3:日本の産業構造のあり方p174~177『シルバー・デモクラシー』4:都市新中間層としてp54~56『シルバー・デモクラシー』5:二極分化する高齢者p126~128『シルバー・デモクラシー』6:都市新中間層の高齢化p163~165
2021.02.21
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図書館で『シルバー・デモクラシー』という本を手にしたのです。この本でシルバーと称している世代は団塊世代を指すわけで、ちょうど我々の世代であり無視できないわけでおます。ところで、帰って調べてみるとこの本を借りたのは2度目だと判明したのです。・・・で、この記事を(その6)とします。【シルバー・デモクラシー】寺島実郎著、岩波書店、2017年刊<「BOOK」データベース>より戦後日本人の先頭として民主主義、高度成長の恩恵を受けてきた団塊の世代。世界的な民主主義の危機が語られる今、1980年の論稿「われら戦後世代の『坂の上の雲』」のタイムカプセルを開け、35年後の高齢化した都市新中間層の現状をみつめ、シルバーが貢献する新たなデモクラシーへの視界を探る。参画型社会構築への提言。<読む前の大使寸評>この本でシルバーと称している世代は団塊世代を指すわけで、ちょうど我々の世代であり無視できないわけでおます。rakutenシルバー・デモクラシー第6章で都会の高齢化と田舎の高齢化が語られているので、見てみましょう。p163~165 <1 「都市新中間層の高齢化」という核心的問題>■何が変わったのか―高齢者となった都市新中間層 1980年の論稿から35年、80年代末のバブル期、そして冷戦の終焉とバブルの崩壊を経て、1990年代以降の日本は、「失われた20年」といわれる経済の低迷期に入った。結局、この間、日本の社会構造はどう変わったのか。80年論稿はどこまで正鵠を射ていたのか。 戦後生まれ世代が中核を形成した都市新中間層なるものがどうなったのか、現時点での事実確認をしっかりと踏み固めておきたい。 第2章に収録した論稿では、今となっては懐かしい「ニューファミリー」を論じているが、核家族化が日本をどう変えるかという視点に立っていた。そして、暗黙の期待感として、都市新中間層こそ戦後民主主義の担い手になるのではという思いが存在していたともいえる。 田舎の農村社会的しがらみから解放され、一定の豊かさを手にして労働者階級意識からも距離を取り始めたこの階層が民主主義の基盤である「市民社会」を形成していくのではないか、という認識であった。だが高齢化した戦後世代が見せているのは、残念ながらとても民主主義の担い手といえる状況ではない。 そして、戦後世代が発信したライフスタイルについて、「やさしさの時代」「柔らかい個人主義の誕生」などという言葉もあったが、それが何に帰結したのかといえば、とても「やさしさ=他者への配慮」などといった余裕のある精神状況ではない。 結局、時間の経過とともに、ニューファミリーもやさしさの時代も貧血状態になっているのではないかという思いがある。(中略) そして、「ニューファミリー」も「戦争を知らない子供たち」も年齢を重ね、高齢者になった。あの頃、「新しい」と思えたものはどうなったのか。私が「都市新中間層」の高齢化こそ、日本の高齢化社会の核心的問題と考える問題意識はそこに始まる。「田舎の高齢化と都会の高齢化は違う」ことを注視するならば、問題の本質が見えてくる。21世紀の日本社会が抱える高齢化社会の課題は、戦後日本が都市に集積させた都市新中間層の高齢化なのである。 ■問題は都会の高齢者である 私は、一般財団法人日本総合研究所を率いる中で、2013年以来三回にわたって『全47都道府県幸福度ランキング』(東洋経済新報社)を監修し、その分析にあたって問題意識を次のように述べた。「高齢化社会の分析をしていて最も気になっている点が、都会の高齢化と田舎の高齢化は違うということである。田舎には田舎なりの強みがあるということに気がつかなければならない。至近距離に第一次産業があることである。今までは、農業や水産業などを中心とする地域は、第二次産業が劣後しているために何か出遅れている感覚があったが、超高齢化社会にあっては、宝の山が眠っている状態であることをに気づかなければならない。つまり、体力・気力に応じて、高齢者が貢献を実感できる産業基盤が身近にあるということである」 たとえば県民幸福度において上位ランクに出てくる北陸三県や長野県における高齢化社会の実情をじっくり見つめて、つくづく思うのは、田舎の高齢化社会はまだ制御可能であり、高齢者が幸福を実感できる社会を形成できる可能性が高いということである。その理由は、高齢者が参画できる手立てとしての土台、インフラとしての第一次産業が生活の至近距離にあるということであり、それが高齢化社会の質を変えるということである。 産業構造は家族構成にも投影する。農業を抱える田舎ほど「一人暮らしの老人の比率」が低い。もちろん、大家族、何世代にもわたって住んでいることが幸せとは単純には言えないが、多くの世代にまたがる家族の中で暮らしている高齢者が、体力・気力に応じて、裏山の芝刈り、田畑の草むしりでも何でもいいが、自分も家族の一員として生活に参加し、貢献しているという手応えを感じられることは、精神的に充実した歳の取り方ができるということであろう。 一方で、都会の高齢化は容易ならざる問題を顕在化させつつある。80年論稿の主役とした都市新中間層、つまり都市近郊型の団地、ニュータウン、マンションなどに人口を集積させて産業化を進めたためにつくり出された存在が、いま急速に高齢化し、それらの人たちの精神状況、社会心理が、これからの日本のシルバー・デモクラシーの性格を決めかねないような重要な要素になってきている。『シルバー・デモクラシー』1:日本の貧困化と世代間格差p123~128『シルバー・デモクラシー』2:現在進行中の国家資本主義p151~153『シルバー・デモクラシー』3:日本の産業構造のあり方p174~177『シルバー・デモクラシー』4:都市新中間層としてp54~56『シルバー・デモクラシー』5:二極分化する高齢者p126~128
2021.02.21
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図書館で『㈱貧困大国アメリカ』という本を手にしたのです。大使がかねてより嫌っていたウォール街やモンサント社のあくどさが告発されているようですね。・・・ということで借りたわけです。【㈱貧困大国アメリカ】堤未果著、岩波書店、2013年刊<「BOOK」データベース>より「1%vs99%」の構図が世界に広がるなか、本家本元のアメリカでは驚愕の事態が進行中。それは人々の食、街、政治、司法、メディア、暮らしそのものを、じわじわと蝕んでゆく。あらゆるものが巨大企業にのまれ、株式会社化が加速する世界、果たして国民は主権を取り戻せるのか!? 日本の近未来を予言する、大反響シリーズ待望の完結編。<読む前の大使寸評>大使がかねてより嫌っていたウォール街やモンサント社のあくどさが告発されているようですね。・・・ということで借りたわけです。rakuten㈱貧困大国アメリカエピローグでGM作物がとりあげられているので、見てみましょう。p255~259 <エピローグ>■企業はモラルより損得で動かせ 2013年3月 全米最大のオーガニック・スーパー「ホールフーズ・マーケット」は、2018年までに店内に置くすべてのGM作物および原料にGM由来の有機物を使用した食品にラベル表示することを発表した。 毎週二回はホールフーズで買い物をするという、カリフォルニア州サンタバーバラ在住のルイーズ・レイエスは、ホールフーズの決定をこう称賛する。 「去年、GMラベル表示義務化の住民投票がアグリビジネスの横槍で否決されたときはづごくショックでした。全米の果物と野菜の八割を作っているカリフォルニア州の結果は全国に影響しますから。でもお金儲けしか考えない企業ばかりではなく、ちゃんとモラルある企業っもあったんですね」 2012年の大統領選挙と同時にカリフォルニアで行われた「GMラベル表示義務化」をめぐる住民投票は、それまで全米各地で何度も提出されたGMラベル法案と同様に、否決された。 すさまじいネガティブ・キャンペーンに、モンサント社を始めとするバイオテクノロジー企業や、大手食品メーカー、農薬関連企業は4000万ドル(約40億円)を超える資金を投入。賛成派の40万ドル(約4000万円)の100倍だ。「ラベル表示で食品価格が上昇」は、テレビや広告を信じる州民たちに恐怖心を抱かせるには効果的なマーケティングだった」。 「ホールフーズが方針を180度変えたのは、それから3ヵ月たった後でした」 そう言うのは独立系環境ジャーナリスト、マイク・アダムスだ。 「ちょうど住民投票の少し前に、環境NGOのメンバーがホールフーズを覆面捜査したんです。扱っている商品にGM作物は使われていないのかどうか。顧客を装って各地の店舗で何十人もの店員に聞いてみた。その結果は驚くべきものでした。なんと商品全体の二割から三割にGM作物が使われているというんです。なかには『会社のガイドラインで、外の人間にGM作物使用のことは言わないようにというルールがあるので』と言う店員もいた。このビデオをユーチューブにアップしたところ、あっと言う間に削除されたので、自分たちで立ち上げた専用の投稿サイトで公開しました。すごい反響があり、ホールフーズには問い合わせが殺到したようです」 「でもホールフーズはオーガニック食品を中心に、安全や環境に配慮しているPRをしていますね」 「広告ではそうですが、忘れてはいけないのは、彼らもまたピラミッド形のビジネスモデル内で商売をしている会社だということです。GMラベル表示義務化の住民投票キャンペーンには、オーガニックや環境保全を掲げる団体や企業がたくさんの寄付をしていましたが、賛同人リストにホールフーズの名前はなく、1ドルの寄付金も出ていません。GM入り食品をラベル表示なしで販売していれば、当然の行動ですよね」 「動画の反応はどうだったのでしょう」 「反応は日に日に大きくなる一方でした。私たちはありとあらゆる市民メディア・ネットワークを使って拡散したからです。ホールフーズに嫌がらせをするためではなく、消費者の信頼を裏切るような商売は続かないというメッセージを企業側に伝えるために。するとホールフーズは急に、GMラベル表示義務化の住民投票の賛同人に加わったのです。そしてその数ヵ月後、同社は全米で初めて、GMラベル表示を宣言しました」 「何が同社の方針を転換させたのだと思いますか」 「商業マスコミはホールフーズが従来のポリシーを貫いたとその勇気を絶賛していましたが、あれだけ大きな企業がモラルだけで動くなら、最初からGMラベル表示義務化の住民投票を支持し、資金を出してその姿勢をアピールしたはずです。ですが実際には水面下で猛烈な勢いで拡散された動画の影響が大きくならないうちに手を打ったという所でしょう。企業にとってのアキレス腱は何と言っても「イメージ」ですから」 ホールフーズ社はどこまでも、今回の決断は「消費者の側に寄り添った」からだと言い続けるだろう。資金の動きが表す本音はそれとは逆だが、それでも同社のこの方向転換を、自分たちは全力で支援してゆくつもりだとマイクは言う。2018年までの間に、逆側からの圧力は必ず来るだろう。そのときはじかれる収支決算によって、せっかくできたこの流れが後退してしまわないように、支えるのはメディアと消費者の役目なのだと。 住民投票が否決されたあとも、人々はあきらめず動き続け、2011年3月にはが、超党派議員代表のバーニー・サンダース上院議員から提出された。 だがこれは2ヶ月後にまたしても否決される。 「政治家はすでに大半が「1%」に買われてしまっています」 「ならば次はその「1%」のアキレス腱に対し、私たち消費者が力を行使する番でしょう」 フェイスブックやツイッター、ユーチューブなどの新技術は諸刃の剣だ。それは利益のために大衆を操作する「1%」側のマーケティングにも、真実を伝え意識改革をうながす、「99%」側の武器にもなる。 4000万ドルという巨大な資金力であっさりと買われた商業マスコミあ、住民投票を否決させた。だがお金ではなく知恵と口コミ力で企業を動かした市民メディアの力は、「1%」に対峙する、決してあなどれない重要な力になるだろう。『㈱貧困大国アメリカ』2:遺伝子組み換え作物p78~81『㈱貧困大国アメリカ』1:アグリビジネスのメカニズムp73~75
2021.02.21
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お天気良~し♪ 今日(2月20日)は南風が吹き、気温が上昇するようです。ということで気象庁の黄砂情報を覗いてみると、今後やや心配のようでおます。で、この際、黄砂予測の推移を並べてみます。(R2:2月20日情報を追加)黄砂情報(2月20日)黄砂情報(2月10日)黄砂情報(2月06日)黄砂情報(2月02日)黄砂情報(1月25日)黄砂情報(1月16日)この黄砂のピークは例年2月~4月のようだが、コロナ渦で慌しいのに迷惑千万である。なお、黄砂の正体については黄砂の季節にそなえてで紹介しています。
2021.02.20
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モームの代表作と言えば「月と六ペンス」となるのかもしれないが、わたしの出会いは「アシェンデン」だったわけで・・・「アシェンデン」について集めてみました。・現代に生きるサマセット・モーム(2020年刊)・アシェンデン(2017年刊)・物語の旅(2002年刊)・スパイだったスパイ小説家たち(1990年刊)*********************************************************************** <『現代に生きるサマセット・モーム』>図書館で『現代に生きるサマセット・モーム』という本を手にしたのです。モームの代表作と言えば「月と六ペンス」となるのかもしれないが、わたしの出会いは「アシェンデン」だったわけで・・・情報部に属してお国のために働いたモームを評価しているのでおます。【現代に生きるサマセット・モーム】清水明著、音羽書房鶴見書店、2020年刊<「BOOK」データベース>より名作『月と六ペンス』出版から一世紀、いま、時代の岐路に立つ人々への指針となるモーム文学の魅力。<読む前の大使寸評>モームの代表作と言えば「月と六ペンス」となるのかもしれないが、わたしの出会いは「アシェンデン」だったわけで・・・情報部に属してお国のために働いたモームを評価しているのでおます。rakuten現代に生きるサマセット・モーム『現代に生きるサマセット・モーム』2:『剃刀の刃』『現代に生きるサマセット・モーム』1:「月と六ペンス」***********************************************************************<『アシェンデン』>図書館に予約していた『アシェンデン』という本を、待つこと2日で超速ゲットしたのです。諜報員としての経歴を持つモームの描くスパイ小説とは如何なるものか・・・期待できそうである。【アシェンデン】サマセット モーム著、新潮社、2017年刊<「BOOK」データベース>より時はロシア革命と第一次大戦の最中。英国のスパイであるアシェンデンは上司Rからの密命を帯び、中立国スイスを拠点としてヨーロッパ各国を渡り歩いている。一癖も二癖もあるメキシコやギリシア、インドなどの諜報員や工作員と接触しつつアシェンデンが目撃した、愛と裏切りと革命の日々。そしてその果てにある人間の真実―。諜報員として活躍したモームによるスパイ小説の先駆にして金字塔。Star Classics名作新訳コレクション。<読む前の大使寸評>諜報員としての経歴を持つモームの描くスパイ小説とは如何なるものか・・・期待できそうである。<図書館予約:(10/22予約、10/24受取)>amazonアシェンデン『アシェンデン』1:第3章ミス・キング『アシェンデン』2:第6章 ギリシャ人のスパイ***********************************************************************【物語の旅】和田誠著、フレーベル館 、2002年刊<「BOOK」データベース>より書物の国からの絵はがき。著者が選んだ54作品。カラー挿絵とともに四方山ばなし満載!子どもの頃に初めて読んだ「かちかち山」から現在に至るまでの“読書体験”の数々。本好き・装丁好きの著者がその思い出をふり返る。<読む前の大使寸評>ぱらぱらとめくってみると、和田さんのカラー挿絵がええでぇ♪この挿絵のために紙質を選んだと思われるが、この本を持つとずっしりと重たいことに驚いたのです。amazon物語の旅『物語の旅』3:霧笛『物語の旅』2:アシェンデン 『物語の旅』1:長いお別れ***********************************************************************<『スパイだったスパイ小説家たち』>図書館で『スパイだったスパイ小説家たち』という本を、手にしたのです。ジョン・ル・カレやサマセット・モームが元スパイだったって・・・これは読んでみるしかないようです。【スパイだったスパイ小説家たち】アンソニー マスターズ著、新潮社、1990年刊<「BOOK」データベース>よりジョン・ル・カレ、イアン・フレミング、グレアム・グリーン、サマセット・モーム…。元スパイだった彼らの作品はいかなる状況のもとに生みだされたのか。作家の実人生と作品との関りあいを綿密に探る。<読む前の大使寸評>ジョン・ル・カレやサマセット・モームが元スパイだったって・・・これは読んでみるしかないようです。amazonスパイだったスパイ小説家たち『スパイだったスパイ小説家たち』1:生い立ちから情報部員への登用まで『スパイだったスパイ小説家たち』2:アシェンデン物語に関する部分***********************************************************************
2021.02.20
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図書館で『守られてきた地球(ナショナルジオグラフィック2020年4月号)』という雑誌を、手にしたのです。おお ナショナルジオグラフィックの50回アースデイ特別号ではないか、これは借りるしかないでえ♪【守られてきた地球(ナショナルジオグラフィック2020年4月号)】雑誌、日経ナショナルジオグラフィック社、2020年刊<商品レビュー>より幅広くいろんなことを知るにはとてもよかった。傷つけられた・守られた、で印刷が逆さになっておりますが、本を立てようとすると「守られた」の方になります。ナショナルジオグラフィックは、希望ある地球の未来を歩みたいというメッセージなのかなと勝手に妄想しました。<読む前の大使寸評>おお ナショナルジオグラフィックの50回アースデイ特別号ではないか、これは借りるしかないでえ♪amazon守られてきた地球(ナショナルジオグラフィック2020年4月号)世界のCO2排出量削減が語られているので、見てみましょう。p22~28<地球が破綻する理由:エリザベス・コルバート> 「米国史上、例を見ないユニークな一日が終わろうとしています」。1970年4月22日、米CBS放送「イブニングニュース」のメインキャスター、ウォルター・クロンカイトは厳かにそう言った。 この日、地球環境について考える「アースデイ」が初めて開催されたことを祝して、米国人の10人に1人、約2000万人が街頭でデモ行進に参加した。それは、この行事を発案したゲイロード・ネルソン上院議員の期待を、はるかに上回る数だった。 人類はこれまで、ただ生き延びてきただけでなく、大方の指標において繁栄を遂げてきた。世界の平均寿命は、1970年の59歳から今や72歳に延びている。世界の人口が2倍以上に増えたにもかかわらず、極度の貧困状態にある人口は半減した。 振り返ってみれば、ダウンズの予測が外れた理由はよくわかる。当時は、この50年に新たな植物品種や農業技術が普及し、人口増加を上回る量の穀物が生産されるようになるとは、予見できなかったからだ。また、1970年にはほとんど存在しなかった水産養殖産業により、現在では年間数億トンの魚が生産されている。 そしてアースデイ自体も変革の推進力なった。米国で、水質浄化法や絶滅危惧種法をはじめとする主な環境関連の法律や、大気浄化法の主要な改正案が議会で承認されたのは、アースデイが始まって数年以内のことだ。こうした法整備が背景にあったからこそ、発電所の排ガスを浄化する排煙脱硫装置などの技術も生まれている。(中略) 現在、地球の平均気温は1880年代に比べて約1℃上昇しているが、これからさらに0.5℃は上昇すると予測されている。気候変動の影響には、時間差がつきものなのだ。 ではあとどのくらい暑くなったら、文字通り破滅的な変化が始まるのだろうか。たとえば、グリーンランドの氷床が完全に融解したら、地球の海面水位が6メートル上昇するおそれがある。研究者はその境を、産業革命前と比較しておそらく2℃程度、もしくは1.5℃とみている。 現段階で気温はすでに1℃上がっていて、さらに0.5℃の上昇が“約束”されているため、このままいけば1.5℃を超えるのは確実だ。気温の上昇を2℃以内に抑えるには、この数十年で世界全体の排出量を半分以下に減らし、2070年頃までにはゼロにする必要がある。 ゼロにすることは、理論上は可能だ。化石燃料を利用している世界のインフラの大半、いや、おそらくすべてを、太陽光、風力、原子力を利用したエネルギーに置き換えることができるだろう。だが現実は、風力や太陽光による発電がこれほどさかんになっても化石燃料の使用量は減っていない。私たちが求めるエネルギーの量も増え続けているからだ。 気候変動の影響が顕著になる一方で、世界のCO2排出量は増え続け、2019年は過去最高の431億トンを記録した。同年12月にスペインのマドリードで開かれた国連の気候変動会議は、またも不調に終わった。この傾向が続けば、2070年の地球は、今とは様変わりした危険な場所になるだろう。洪水、干ばつや火災、そしておそらく気候が関係して生じた混乱から、数百万人が家を失っていると思われる。
2021.02.20
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歳のせいか、このところ図書館での2度借りが増えてきたのです。これではいかん!・・・ということで、(注意喚起の意味もあり)予約分受取目録を作った次第でおます。<2015年予約分受取>24-39・日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う(12/15予約、5/2受取)・ダイオウイカは知らないでしょう(4/30予約、5/8受取)・町内会は義務ですか?(4/30予約、5/8受取)・キャプテンサンダーボルト(1/07予約、5/19受取)・だから日本はズレている(12/08予約、5/26受取)・恋するソマリア(3/3予約、6/11受取)・日本の文脈 (6/09予約、6/16受取)・イチョウ 奇跡の2億年史(12/03予約、6/21受取)最長待機記録・在日の地図(7/01予約、7/05受取)・鳥の王さま (6/06予約、7/10受取)・ヘンな日本美術史(7/05予約、7/10受取)・沢田マンションの冒険 (7/18予約、7/22受取)・イスラム国(2/25予約、7/29受取)・ベン・シャーンを追いかけて(8/17予約、8/22受取)・街場の戦争論(6/01、9/06受取)・貧者を喰らう国 中国格差社会からの警告(9/15予約、9/17受取)・台湾の歓び(3/15予約、、9/19受取)・オートメーション・バカ(5/15予約、9/19受取)・対華二十一カ条要求とは何だったのか(7/05予約、9/19受取)・教団X (5/4予約、9/23受取)・飲み食い世界一の大阪(9/22予、9/27受取)・北欧女子オーサが見つけた日本の不思議(5/22予約、10/7受取)・ボクが韓国離れできないわけ(10/03予約、10/10受取)・シノワズリーか、ジャポニスムか(10/14予約、10/25受取)・潜水艦(歴群「図解」マスター)(10/06予約、10/31受取)・絵巻物に見る日本庶民生活誌(10/27予約、11/04受取)・日本語の科学が世界を変える(6/11予約、11/07受取)・かたづの!(8/24予約、11/19受取)・シェール革命再検証 (11/09予約、11/27受取)・職業としての小説家(10/27予約、大学図書館で11/27借出し)・李朝残影 : 梶山季之朝鮮小説集(11/28再予約、12/04受取)・ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ(12/01予約、12/05受取)・オールドテロリスト(7/21予約、12/13受取)・利己的な遺伝子(12/05予約、12/18受取)・反知性主義(6/22予約、12/23受取)・夜また夜の深い夜(5/12、12/23受取)・中東湾岸ビジネス最新事情(12/16予約、12/23受取)<2016年予約分受取>40-64・対話録・現代マンガ悲歌(12/22予約、1/06受取)・マグリット事典(1/07予約、1/17受取)・日本戦後史論(7/27予約、1/19受取)・ハトはなぜ首を振って歩くのか(8/13予約、1/19受取)・百代の過客(1/19予約、1/26受取)・最終定理(1/23予約、1/28受取)・忘れられた巨人(7/18予約、2/09受取)・セルデンの中国地図(2/04予約、2/09受取)・谷崎潤一郎『陰翳礼讃』(2/15予約、2/18受取)・日本語大博物館(2/28予約、3/04受取)・データの見えざる手(11/20予約、3/15受取)・電気は誰のものか(12/09予約、3/23受取)・日本の漫画への感謝(3/16予約、3/23受取)・紙の動物園(9/27予約、4/12受取)・食糧と人類(3/26予約、4/26受取)・「中国共産党」論(12/11予約、4/26受取)・美麗島紀行(2/19予約、4/26受取)・第2図書係補佐(11/29予約、5/03受取)・フラットランド(4/30予約、5/05受取)・越境者の政治史(1/29予約、5/10受取)・キョウコのキョウは恐怖の恐(5/14予約、5/19受取)・隣のアボリジニ(5/03予約、5/24受取)・小泉武夫『漬け物大全』(5/26予約、6/5受取)・南シナ海(3/01予約、6/5受取)・限界費用ゼロ社会(1/28予約、6/17受取)・かくれた次元(6/14予約、6/18受取)・江戸日本の転換点(1/06予約、7/06受取)・文体の科学(3/14予約、11/28再予約、7/07受取)・夢売るふたり 西川美和の世界(7/04予約、7/08受取)・中国と日本(1/06予約、7/21受取)・事件の地平線 (7/05予約、7/21受取)・介護民俗学へようこそ!(7/09予約、7/23受取)・長いお別れ(11/23予約、7/23受取)・勝者なき戦争 世界戦争の二〇〇年(7/22予約、7/27受取)・戦後日中関係と同窓会(7/28予約、8/02受取)・吉原御免状(8/03予約、8/06受取)・蔡英文 新時代の台湾へ(7/31予約、8/11受取)・帝国日本の生活空間(8/08予約、8/12受取)・米中百年戦争(8/13予約、8/18受取)・『言葉を離れる』横尾忠則著(8/17予約、8/23受取)・永続敗戦論(9/01予約、9/03受取)・櫻画報大全 (9/05予約、9/09受取)・沙漠の事典(9/11予約、9/16受取)・漁港の肉子ちゃん (7/07予約、9/27受取)・現代思想の遭難者たち(9/19予約、10/06受取)・謎のアジア納豆(6/11予約、10/08受取)・料理の起源(10/04予約、10/08受取)・新「ニッポン社会」入門(4/25予約、10/21受取)・ダーリンは70歳(5/11予約、10/21受取)・夜を乗り越える(7/11予約、10/22受取)・植物はすごい (10/25予約、10/29受取)・イエスの幼子時代(7/27予約、11/05受取)・絲山秋子「薄情」(10/31予約、11/05受取)・福沢諭吉の朝鮮(11/06予約、11/10受取)・観察する男(11/01予約、11/12受取)・熱風大陸(11/16予約、11/20受取)・ワイルド・ソウル(11/27予約、12/15受取)・帰郷ノート 植民地主義論(12/10予約、12/15受取)・最後の敵(12/18予約、12/22受取)・『中国人の愛国心』(12/23予約、12/28受取)<2017年予約分受取>65-111・「戦後」の墓碑銘(1/15予約、1/21受取)・バラカ(5/01予約、1/22受取)・スペース金融道(9/28予約、1/27受取)・日本人はどこから来たのか?(10/11予約、1/28受取)・世界マヌケ反乱の手引書(11/24予約、2/07受取)・村上春樹『雑文集』(2/07予約、2/11受取)・限りなく完璧に近い人々(11/20予約、2/14受取)・火星に住むつもりかい?(2/12予約、2/16受取)・世界「最終」戦争論(2/13予約、2/18受取)・「おバカ大国」オーストラリア(1/12予約、2/23受取)・属国民主主義論(10/06予約、3/02受取)・亜米利加ニモ負ケズ(3/02予約、3/05受取)・人類が消えた世界(3/04予約、3/09受取)・林業がつくる日本の森林(1/08予約、3/11受取)・イネが語る日本と中国(3/19予約、3/24受取)・本は友だち(3/20予約、3/24受取)・コンビニ人間(8/26予約、3/28受取)・ニッポニア・ニッポン(3/22予約、3/30受取)・半農半Xという生き方(3/26予約、3/30受取)・忘却された支配(11/17予約、4/04受取)・南米「棄民」政策の実像(4/07予約、4/13受取)・シュヴァンクマイエルの博物館(4/14予約、4/25受取)・漂うままに島に着き(10/27予約、4/25受取)・西加奈子「i」(1/06予約、4/26受取)・老いる家崩れる街(12/28予約、5/10受取)・戦争のグラフィズム(5/06予約、5/10受取)・トウガラシの文化誌(5/08予約、5/12受取)・知の編集術(4/24予約、5/23受取)・『英語という選択 アイルランドの今』(5/02予約、5/24受取)・人口と日本経済(12/20予約、6/02受取)・日本の「アジール」を訪ねて(1/25予約、6/04受取)・田中慎弥『宰相A』(6/06予約、6/09受取)・浅田次郎『ブラック オア ホワイト』(6/08予約、6/11受取)・南方マンダラ(5/12予約、6/16受取)・ぼくがいま、死について思うこと(6/14予約、6/18受取)・『キトラ・ボックス』(4/19予約、7/05受取)・世界史のなかの中国(6/27予約、7/05受取)・戦争まで(12/9予約、7/05受取)・フクシマの荒廃(2/02予約、7/25受取)・『暗黒神話』と古代史の旅(7/13予約、7/30受取)・『新・観光立国論』(8/9予約、8/11受取)・アンマーとぼくら(9/25予約、8/19受取) ・垣根涼介『室町無頼』(2/06予約、8/23受取)・みみずくは黄昏に飛びたつ(5/30予約、8/26受取)・トヨトミの野望(3/05予約、9/17受取)・翻訳夜話(9/08予約、9/17受取)・『恐怖の地政学』(5/28予約、10/28受取)・『日本人と中国人』(10/05予約、10/28受取)・『愛の見切り発車』(11/02予約、11/07受取)・九十歳。何がめでたい(12/14予約、11/07受取)・今のアメリカがわかる映画100本(9/25予約、11/09受取)・雨宮処凛著『不透明な未来についての30章』(11/22予約、11/26受取)・THE PIVOT-アメリカのアジア・シフト(11/23予約、11/28受取)・土屋賢二著『哲学者かく笑えり』(11/28予約、11/30受取)・船戸与一著『国家と犯罪』(12/05予約、12/08受取)・吉岡桂子著『人民元の興亡』(7/27予約、12/10受取)・ヒルビリー・エレジー(6/19予約、12/12受取)・あなたの人生の物語(6/23予約、12/16受取)・『エキタス 生活苦しいヤツ声あげろ』(12/18予約、12/24受取)・アジア辺境論(9/20予約、12/26受取)<2018年予約分受取>112-150・ウニはすごい バッタもすごい(8/20予約、1/14受取)・島田雅彦著『ひなびたごちそう』(1/11予約、1/14受取)・福岡ハカセの本棚(1/23予約、1/25受取)・自民党―「一強」の実像(7/18予約、2/01受取)・ダーウィンのジレンマを解く(1/28予約、2/03受取)・宮部みゆき『荒神』(2/02予約、2/06受取)・椎名誠著『ノミのジャンプと銀河系』(10/12予約、2/10受取)・堀江貴文著『多動力』(8/14予約、2/17受取)・ビッグデータの罠(2/15予約、2/20受取)・飯場へ(10/07予約、2/23受取)・ひとり出版社という働きかた(2/23予約、2/28受取)・ボブという名のストリート・キャット(2/9予約、3/10受取)・『今こそ、韓国に謝ろう』(8/29予約、3/14受取)・ロアルド・ダール『キス・キス』(5/08予約、5/12受取)・世界のミリメシを実食する(5/08予約、5/12受取)・『ニューギニア紀行』(5/16予約、5/22受取)・翻訳出版編集後記(5/21予約、5/25受取)・椎名誠著『ONCE UPON A TIME』(5/28予約、6/06受取)・『わたしたちが孤児だったころ』(3/25予約、6/10受取)・池内紀著「亡き人へのレクイエム」(5/27予約、6/10受取)・リチャード・ノース・パターソン『罪の段階』(6/06予約、6/10受取)・頭に来てもアホとは戦うな!(12/26予約、6/15受取)・真山仁著『オペレーションZ』(1/05予約、6/15受取)・変調「日本の古典」講義(5/13予約、6/30受取予定)・アメリカ 暴力の世紀(1/15予約済み、7/04受取)・菅ちゃん英語で道案内しよッ! (2/28予約、7/04受取)・萩野アンナ著『カシス川』(1/20予約、7/13受取)・重松清『たんぽぽ団地』(7/03予約、7/13受取)・『オンブレ』(5/02予約、7/13受取)・『熱帯雨林コネクション』(7/13予約、7/29受取)・宮本常一『日本文化の形成』(8/04予約、8/12受取)・堀田善衛『ゴヤ(3巻)巨人の影に』(8/11予約、8/17受取)・頼れない国でどう生きようか(8/15予約、8/25受取)・村上春樹『騎士団長殺し第一部』(4/12予約済み、8/30受取)・村上春樹『騎士団長殺し第二部』(4/12予約済み、8/30受取)・萩野アンナ『ブリューゲル、飛んだ』(8/24予約、8/30受取)・カズオ・イシグロ『夜想曲集』(9/09予約、9/13受取)・原田マハ著『スイート・ホーム』(4/16予約、9/16受取)・EVシフト(6/28予約、9/21受取)・野地秩嘉『食の達人たち』(9/14予約、9/21受取)・アマゾンのすごいルール(5/18予約、9/28受取)・渋谷由里『馬賊で見る「満州」』(10/01予約、10/06受取)・佐野洋子『あっちの女 こっちの猫』(10/01予約、10/06受取)・デズモンド・モリス『猫の美術史』(10/06予約、10/11受取)・円城塔『文字渦』(9/05予約、10/16受取)・サマセット・モーム『アシェンデン』(10/22予約、10/24受取)・中国古代史研究の最前線(10/22予約、10/28受取)・ミヒャエル・エンデ『モモ』:10/28バザーで購入した。・堀田善衛『方丈記私記』(10/26予約、11/02受取)・ロアルド・ダール『飛行士たちの話』(11/05予約、11/09受取)・南伸坊「オレって老人? 」(11/20予約、11/25受取)・与那覇潤『知性は死なない』(7/25予約、12/09受取)・谷川雁「極楽ですか」 (12/01予約、12/09受取)・半藤一利『歴史と戦争』(7/11予約、12/09受取)・佐藤哲也「ぬかるんでから」(12/13予約、12/18受取)・南伸坊「ねこはい」 (12/13予約、12/18受取)・高村薫「神の火」 (12/15予約、12/21受取)・原田マハ『フーテンのマハ』(8/06予約、12/21受取)<2019年予約分受取>151-207・いしいしんじ『トリツカレ男』(1/09予約、1/14受取)・装丁/南伸坊(1/13予約、1/20受取)・『ギャシュリークラムのちびっ子たち』(1/14予約、1/20受取)・莫言『転生夢現(上)』(1/18予約、1/25受取)・浅田次郎著『天子蒙塵(1)』 (1/24予約、2/02受取)・創造&老年 横尾忠則と9人の生涯現役クリエーターによる対談集(1/31予約、2/05受取)・天子蒙塵(2)(2/07予約、2/10受取)・文明に抗した弥生の人びと(2/10予約、2/13受取)・スメルジャコフ対織田信長家臣団(2/12予約、2/19受取)・加村一馬著『洞窟おじさん』(6/07予約、2/28受取)・フィールドサイエンティスト 地域環境学という発想(3/04予約、3/08受取)・山尾悠子『飛ぶ孔雀』(11/08予約、3/14受取)・陳舜臣『江は流れず』(3/08予約、3/14受取)・ねじまき鳥クロニクル・第一部(3/12予約、3/30受取)・the four GAFA 四騎士が創り変えた世界(10/13予約、4/03受取)・更科巧「絶滅の人類史」(11/18予約、4/09受取)・梅原猛『隠された十字架』(4/07予約、4/27受取)・古処誠二『ニンジアンエ』(4/26予約、4/29受取)・角幡唯介「極夜行」 (12/02予約、5/06受取)・村上春樹『羊をめぐる冒険』(5/02予約、5/06受取)・大東建託の内幕(1/06予約、5/06受取)・『闇の奥』(5/06予約、5/12受取予定)・小林ふみ子『へんちくりん江戸挿絵本』(5/07予約、5/12受取)・開高健『日本三文オペラ』(4/30予約、5/18受取)・サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』(5/15予約、5/21受取)・トランスヒューマンガンマ線バースト童話集(2/16予約、5/26受取)・ジョセフ・コンラッド『闇の奥』(5/23予約、5/26受取)・天子蒙塵・第三巻(3/25予約、6/11受取)・J・G・バラード『クラッシュ』(6/05予約、6/11受取)・池澤夏樹『科学する心』(5/11予約、6/15受取)・巨大ブラックホールの謎(5/28予約、6/22受取)・子安美智子『エンデと語る』(6/19予約、6/22受取)・E・スエンソン『江戸幕末滞在記』(6/27予約、7/03受取)・中尾佐助『農業起源をたずねる旅』(7/02予約、7/09受取)・三浦しおん「愛なき世界」(11/25予約、7/13受取)・堀江貴文「これからを稼ごう」(1/12予約、7/17受取)・大江健三郎『キルプの軍団』(7/10予約、7/17受取)・『新・日本の階級社会』(7/18予約、8/10受取)・浅田次郎『帰郷』(8/08予約、8/10受取)・多和田葉子『地球にちりばめられて』(2/18予約、8/28受取)・多和田葉子「エクソフォニー」(8/31予約、9/05受取)・『ソロモンの指環』(9/03予約、9/08受取)・リービ英雄『天安門』(9/17予約、9/21受取)・米中ハイテク覇権のゆくえ(6/30予約、9/25受取)・チャイナ・スタンダード(9/22予約、10/02受取)・五日市哲雄『もの忘れと記憶の科学』(9/24予約、10/05受取)・多和田葉子「献灯使」(12/09予約、10/13受取)・多和田葉子『容疑者の夜行列車』(10/11予約、10/17受取)・落合淳思『漢字の字形』(9/20予約、10/22受取)・阿辻哲次『漢字再入門』(10/15予約、10/22受取)・日本が売られる(2/05予約、10/26受取)・『AI VS.教科書が読めない子どもたち』(2/22予約、10/26受取)・グレゴリ青山『薄幸日和』(10/30予約、11/04受取)・はすみとしこ『そうだ難民しよう!』(11/02予約、11/07受取)・そしてバトンは渡された(4/19予約、11/15大学図書館で見っけ)・川村元気『百花』(6/14予約、11/19受取)・樹木希林『一切なりゆき』(2/27予約、12/06受取)・吉荒夕記『バンクシー』(11/27予約、12/11受取)・上田岳弘『キュー』(8/26予約、12/19受取)・有馬哲夫『原発・正力・CIA』(12/15予約、12/22受取)<2020年予約分受取>207-235・Coloring in Wadaland 和田誠カラー作品集(11/24予約、1/04受取)・与那覇潤『知性は死なない』(1/04予約、1/07受取)・金子勝『平成経済 衰退の本質』(11/17予約、1/19受取)・浅田次郎『プリズンホテル』(1/13予約、1/19受取)・橘玲「言ってはいけない中国の真実」(1/18予約、1/26受取)・伊坂幸太郎『クジラアタマの王様』(7/31予約、2/02受取)・村上龍『村上龍料理小説集』(1/26予約、2/14受取)・横尾忠則『死なないつもり』(2/12予約、2/14受取)・デービッド・アトキンソン『日本人の勝算』(8/20予約、3/01受取)・森絵都『カザアナ』(9/21予約、3/18受取)・雑草はなぜそこに生えているのか(3/17予約、3/22受取)・イーユン・リー『千年の祈り』(3/25予約、3/31受取)・川上弘美『某』(10/27予約、4/05受取)・満州国のラジオ放送(2/26予約、5/20受取)・劉慈欣『三体』(9/09予約、5/20受取)・呉善花『韓国を蝕む儒教の怨念』(10/02予約、5/31受取)・鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。(7/15予約、7/22受取)・門井慶喜『定価のない本』(1/12予約、7/22受取)・多和田葉子『雪の練習生』(8/01予約、8/08受取)・有川ひろ『倒れるときは前のめりふたたび』(2/18予約、8/16受取)・村上春樹『猫を棄てる』(5/31予約、8/16受取)・橘玲「上級国民/下級国民」(10/24予約、8/20受取)・サル化する世界(3/25予約、9/02受取)・浅田次郎『草原からの使者 沙高楼奇譚』(9/05予約、9/10受取)・『装丁・装画の仕事』(9/08予約、9/13受取)・メーター検針員テゲテゲ日記(7/10予約、9/18受取)・多和田葉子『雪の練習生』(8/01予約、)・森見登美彦「四畳半神話体系」(9/19予約、9/23受取)・ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(11/13予約、10/15受取)・小野正嗣『獅子渡り鼻』(10/9予約、10/15受取)・スーザン・ネイピア『ミヤザキワールド』(10/25予約、11/01受取)・浅田次郎『大名倒産(上)』(2/01予約、11/05受取)・小野正嗣『踏み跡にたたずんで』(11/3予約、11/05受取)・チャン・ガンミョン『韓国が嫌いで』(7/03予約、11/10受取)・多和田葉子×徐京植『ソウル-ベルリン玉突き書簡』(11/29再予約、12/5受取)・白川静さんに学ぶ これが日本語(12/14予約、12/17受取)<2021年予約分受取>236-244・山本文緒『日々是作文』(12/23予約、1/05受取)・紗倉まな『春、死なん』(6/14予約、1/05受取)・浅田次郎『大名倒産(下)』(3/17予約、1/13受取)・小川洋子『ことり』(1/19予約、1/22受取)・ユヴァル・ノア・ハラリ『緊急提言 パンデミック』(11/14予約、1/22受取)・ブレイディみかこ『ブロークン・ブリテンに聞け』(12/9予約、1/30受取)・わたしたちが孤児だったころ(2/02予約、2/05受取)・丸谷才一「笹まくら」(2/04予約、2/09受取)・剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻(2/08予約、2/13受取)予約分受取目録R26
2021.02.19
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今回借りた4冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「チェーン読書」でしょうか♪<市立図書館>・コロンブスの図書館・柴田元幸の意見100・カウボーイの米国史・小説の読み方<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【コロンブスの図書館】エドワード ウィルソン リー著、柏書房、2020年刊<「BOOK」データベース>より1539年、スペイン・セビーリャー世界最高の図書館をつくりあげたのはコロンブスの息子だった。あらゆる分野におよぶ蔵書は、ヨーロッパ一の規模を誇り、さらにその図書館には驚くべき“仕掛け”があったー。持ち主の名はエルナンド・コロン、コロンブスの私生児である。15世紀半ばのグーテンベルクの印刷革命から100年足らず、ルネサンス、宗教改革、大航海時代の最前線で世界のありとあらゆる情報を集めて目録化しようと試みた書物狂の知られざる物語。<読む前の大使寸評>先日『図書館超活用術』を読んだばっかりで、この本のタイトルに反応したわけです。rakutenコロンブスの図書館************************************************************【柴田元幸の意見100】柴田元幸著、株式会社アルク、2020年刊<「BOOK」データベース (ちくま文庫)>より近現代の英米文学作品を、独自の視点で選び抜いて翻訳し、日本の読書界を動かしている翻訳家・柴田元幸が、翻訳に対する考え方や自身の翻訳手法について述べたとっておきの100の言葉(と、なぜか本人のボケツッコミ)を集めた一冊。東京大学での翻訳の授業や、講演、対談、インタビューなど、さまざまなシーンのシバタセンセイが登場。柴田訳のファン、翻訳に興味のある方、英語を勉強中の方、言葉について考えるのが好きな方、そして、なぜだかこの本を手に取ってしまったあなた。-どなたにもおすすめの一冊です。<読む前の大使寸評>おお 翻訳に関する100の意見てか・・・大使のツボが疼くのでおます♪rakuten柴田元幸の意見100************************************************************【カウボーイの米国史】鶴谷寿著、朝日新聞社、1989年刊<「BOOK」データベース >より西部劇に登場するカウボーイと現実のカウボーイはどう違っていたか!カウボーイのすべてをたどる。<読む前の大使寸評>先ごろモームの『剃刀の刃』を読んだのだが、物語の背景がちょうどカウボーイが出てくる米国だったので、カウボーイの歴史に興味が湧いたのです。amazonカウボーイの米国史************************************************************【小説の読み方】平野啓一郎著、PHP研究所、2009年刊<「BOOK」データベース>より好評『本の読み方スロー・リーディングの実践』の続編。P・オースター『幽霊たち』、綿矢りさ『蹴りたい背中』、伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』、美嘉『恋空』…本書では、現代の純文学、ミステリーさらにはケータイ小説も含めた計九作品を題材に、小説をより深く楽しく味わうコツをわかりやすく解説する。それぞれの読解で提示される着眼点は、読者がブログで感想を書いたり、意見を交換するうえで役に立つものばかり。作家をめざしてる人はもちろん、一般の読書ファンにとっても示唆に富んだ新しい読書論。<読む前の大使寸評>ぱらぱらめくってみると、小説の4~5ページを取りあげてその読み方をレクチャーする構成となっています。これはとりもなおさず「小説の書き方」にも通じるわけで、興味深いのでおます。amazon小説の読み方************************************************************図書館大好き468
2021.02.19
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『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・川越宗一『熱源』(6/08予約、副本33、予約676)現在188位・ブレイディみかこ『ワールドサイドをほっつき歩け』(9/19予約、副本13予約218)現在92位・小川洋子『密やかな結晶』(10/8予約、副本4、予約59)現在22位・ショーン・タン『内なる町から来た話』(11/3予約、副本3、予約35)現在14位・池井戸潤『半沢直樹 アルルカンと道化師』(11/29予約、副本33、予約644)現在487位・NHKスペシャル取材班『やばいデジタル』(12/23予約、副本3、予約18)現在10位・多和田葉子『星に仄めかされて』(1/05予約、副本5、予約20)現在8位・内田樹『コモンの再生』(1/05予約、副本2、予約21)現在17位・出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記:(1/06予約、副本5、予約58)現在41位・三浦しをん『マナーはいらない』(1/9予約、副本11、予約58)現在30位・村上春樹『一人称単数』(1/27予約、副本26、予約301)現在265位・ウイルスの意味論 : 生命の定義を超えた存在(2/18予約、副本2、予約9)<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・椎名誠『遺言未満』:図書館未収蔵・桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』・桐野夏生『日没』・平松洋子『買えない味』・『ラガナ一家のニッポン日記』・オードリー・タン 自由への手紙・オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る・高野秀行『幻のアフリカ納豆を追え!』・「仮住まい」と戦後日本・頭木弘樹『食べることと出すこと』:図書館未収蔵・小野正嗣『多和田語の世界』:図書館未収蔵・本村凌二『馬の世界史』・柏耕一『交通誘導員ヨレヨレ日記』・藻谷浩介『進化する里山資本主義』・多和田葉子『文字移植』:図書館未収蔵・山内 一也『ウイルス究極の寄生生命体 (NHK人間講座)』・高野秀行「怪獣記」・キネマ旬報(ありがとう、和田誠さん)・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・つげ義春『ガロ 1968 前衛マンガの試行と軌跡』・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・内澤旬子『ストーカーとの七00日戦争』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』<予約分受取:12/17以降> ・白川静さんに学ぶ これが日本語(12/14予約、12/17受取)・山本文緒『日々是作文』(12/23予約、1/05受取)・紗倉まな『春、死なん』(6/14予約、1/05受取)・浅田次郎『大名倒産(下)』(3/17予約、1/13受取)・小川洋子『ことり』(1/19予約、1/22受取)・ユヴァル・ノア・ハラリ『緊急提言 パンデミック』(11/14予約、1/22受取)・ブレイディみかこ『ブロークン・ブリテンに聞け』(12/9予約、1/30受取)・わたしたちが孤児だったころ(2/02予約、2/05受取)・丸谷才一「笹まくら」(2/04予約、2/09受取)・剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻(2/08予約、2/13受取)***********************************************************************【熱源】川越宗一著、文藝春秋、2019年刊<「BOOK」データベース>より故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/08予約、副本33、予約676)>rakuten熱源【ワールドサイドをほっつき歩け!】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2020年刊<「BOOK」データベース>よりEU離脱、競争激化社会、緊縮財政などの大問題に立ち上がり、人生という長い旅路を行く中高年への祝福に満ちたエッセイ21編。第2章は、現代英国の世代、階級、酒事情についての著者解説編。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/19予約、副本13、予約218)>rakutenワールドサイドをほっつき歩け【内なる町から来た話】ショーン・タン著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より“人間を訴えたクマ”“カエルを救う秘書”“空の魚を釣り上げた兄弟”25話のセンス・オブ・ワンダー!世界三大児童書賞のひとつ、ケイト・グリーナウェイ賞2020年受賞作!<読む前の大使寸評>マルチタレントのショーン・タンは元々、絵本作家であり・・・大使はそのイラストが大好きでおます♪<図書館予約:(11/3予約、副本3、予約35)>rakuten内なる町から来た話【半沢直樹 アルルカンと道化師】池井戸潤著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとに、とある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版舎・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とはー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/29予約、副本33、予約644)>rakuten半沢直樹 アルルカンと道化師【やばいデジタル】NHKスペシャル取材班著、講談社、2020年刊<出版社>よりあなたの人生は、わずか2.74GB(ギガバイト)。2020年の1年間で生み出されたデータ量は「50,000,000,000,000GB」。デジタルは、私たちの社会をさらに自由に、豊かにしてくれるーー。しかし、それが実にはかない願望であったことを、私たちはいま実感させられている。SNSの広がりは「真実」と「フェイク」の境界をあいまいにし、私たちは「フェイク」に踊らされるようになった。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(12/23予約、副本3、予約18)>rakutenやばいデジタル【星に仄めかされて】多和田葉子著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より世界文学の旗手が紡ぎだす国境を越えた物語の新展開!失われた国の言葉を探して地球を旅する仲間が出会ったものはー?<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、副本5、予約20)>rakuten星に仄めかされて【コモンの再生】内田樹著、文藝春秋、2020年刊<出版社>より天下りのマッチポンプ、地方の過疎化、アンチ・グローバル化現象……コモン(共有地)の再生が日本の活路を開く!・西部劇『シェーン』が示すコモンをめぐる原理的な主題・ベーシックインカムの成否を決定づける要素とは?・トランプ現象とアンチ・グローバリズムの流れ・マナーの悪い「幼児的」なオヤジのマウンティングについて・明治維新前の藩制度とフランスのコミューンの共通点・「自我の支配」から解放される瞑想のやり方……etc.分断を超えて、新しい共同幻想が立ち上がる希望の書。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、副本2、予約21)>rakutenコモンの再生【出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記】宮崎伸治著、フォレスト出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より30代のころの私は、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込み、1年365日フル稼働が当たり前だった。その結果、30代の10年間で50冊ほどの単行本を出すに至った。が、そんな私もふと気がついてみれば、最後に本を出してから8年以上も経っていた。-なぜか?私が出版業界から足を洗うまでの全軌跡をご紹介しよう。出版界の暗部に斬りこむ天国と地獄のドキュメント。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/06予約、副本5、予約58)>rakuten出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記【マナーはいらない】三浦しをん著、集英社、2020年刊<「BOOK」データベース>より長編・短編を問わず、小説を「書く人」「書きたい人」へ。人称、構成、推敲など基本のキから、タイトルのつけ方や取材方法まで、本書タイトルにあやかって「コース仕立て」でお届けする大充実の全二十四皿。あの作品の誕生秘話や、手書き構想メモを初公開。もちろん(某きらめく一族への)爆笑激愛こぼれ話も満載で、全・三浦しをんファン必読の書…!金言ばかりのWeb連載「小説を書くためのプチアドバイス」を完全書籍化。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/9予約、副本11、予約58)>rakutenマナーはいらない【一人称単数】村上春樹著、文藝春秋、2020年刊<「BOOK」データベース>より短篇小説は、ひとつの世界のたくさんの切り口だ。6年ぶりに放たれる、8作からなる短篇小説集。【目次】石のまくらに/クリーム/チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ/ウィズ・ザ・ビートルズ/ヤクルト・スワローズ詩集/謝肉祭/品川猿の告白/一人称単数<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/27予約、副本26、予約301)>rakuten一人称単数【ウイルスの意味論】山内一也著、みすず書房、2018年刊<出版社>よりその生と死はどこか奇妙だ。分解された親から複製され、破壊されても蘇り、体を捨て情報として潜伏し、突然実体化する。常識を問う書。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/18予約、副本1、予約0)>amazonウイルスの意味論【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。図書館予約の軌跡243
2021.02.19
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図書館で『小説の読み方』という本を、手にしたのです。ぱらぱらめくってみると、小説の4~5ページを取りあげてその読み方をレクチャーする構成となっています。これはとりもなおさず「小説の書き方」にも通じるわけで、興味深いのでおます。帰って調べてみるとこの本を借りたのは2度目だと判明したのです。・・・で、この記事を(その3)とします。【小説の読み方】平野啓一郎著、PHP研究所、2009年刊<「BOOK」データベース>より好評『本の読み方スロー・リーディングの実践』の続編。P・オースター『幽霊たち』、綿矢りさ『蹴りたい背中』、伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』、美嘉『恋空』…本書では、現代の純文学、ミステリーさらにはケータイ小説も含めた計九作品を題材に、小説をより深く楽しく味わうコツをわかりやすく解説する。それぞれの読解で提示される着眼点は、読者がブログで感想を書いたり、意見を交換するうえで役に立つものばかり。作家をめざしてる人はもちろん、一般の読書ファンにとっても示唆に富んだ新しい読書論。<読む前の大使寸評>ぱらぱらめくってみると、小説の4~5ページを取りあげてその読み方をレクチャーする構成となっています。これはとりもなおさず「小説の書き方」にも通じるわけで、興味深いのでおます。amazon小説の読み方高橋源一郎の「日本文学盛衰史」を、見てみましょう。p124~132<『日本文学盛衰史―本当はもっと怖い「半日」』> 【読む前に】 高橋源一郎さんは、先鋭的なポストモダン文学の代表的作家として誰もが知るところだが、この小説は、近代文学の黎明期をありとあらゆる趣向を凝らして描き出した近年の代表作に数えられるもので、取り上げた場面は、森鴎外の『半日』という作品を題材としたパロディである。 森鴎外の最初期の三つの短篇は、佐藤春夫によって「初期ロマンティック短篇あるいはドイツ三部作」と命名された、1890~91年の『舞姫』『うたかたの記』『文づかい』である。 ロマンティシズムの濃厚な香りが立ち籠めるこれらの雅文体の作品を執筆した後、鴎外の執筆活動は、しばらく評論や翻訳が中心となるが、20年近くたった1909年に突然、「半日」という口語体の作品を雑誌『スバル』に発表して、世間を驚かせた。 テーマは、家庭内の嫁姑問題だった。 この場面は、その有名な文学史上の事件を踏まえて書かれている。【作品】「あなた、どっちの味方?」 妻がいった。妻はパジャマを着ていた。妻はキッチンの近くのテーブルに座り「通販生活」を読んでいた。 「サッチーは絶対変よね。常軌を逸してるわよ。いくらんあんでも、他人の花瓶をわざわざロサンゼルスまで鑑定に出したりしないわよね」 「思うんですけどね、他人の花瓶だからこそ、わざわざ鑑定に出そうとするもんじゃないのかしら。そういう人情の機微がわからない人間が騒いでるんですよ」 母がいった。母はテレビの前のソファに深く、深く、座りこんでいた。そこは、リビングの中ではテーブルにもっとも遠い場所だった。 「それからもっと変なのが、コロンビア大学に留学したっていう一件ね。『聴講留学生』ってなんなの? そんな言葉、はじめて聞いたわよ」 「ええ、わかってますとも。自分と同じ程度だと思うから、腹が立つわけで、そう思わなければいいんですよ。自分の無知を棚に上げて、知らないものはないものだと思いこむんですよ。恥かしくないですかね」 鴎外はこめかみを手でおさえた。頭が痛くなりそうだった。いや、もうひどく痛んでいた。いったい、この女たちは誰に向かってしゃべってるんだ? 女たちはお互いに話し合おうとはしなかった。もう何年もの間、一度も話し合ったことはなかった。なのに、ふたりは年中しゃべっていた。(中略)【書けない症候群】 パッと見ると、結構な分量の文章のようだが、読み始めると、さらりと読めてしまったのではないだろうか。これが高橋さんの作品の特徴だ。 しかし、さらりと読めてしまうからといって、当然のことながら、さらりと書けるわけではない。 小説家を見舞う最大の危機は、言うまでもなく、書けなくなることだ。 作者は、二十代後半で見舞われた失語症の克服のために「ぼくはこのコップが好きだ」という文章を一日中書くような生活を送り、デビュー作『さようなら、ギャングたち』の中でも、その時の経験を思わせる、頭の中が「まっ白」という状態が非常に印象的に描かれているが、その後、90年代には、『ゴーストバスターズ』という作品の執筆中に、やはり小説を書くことの深刻な困難を経験したと語っている。 「あなたずっとスランプだろ。他の作家がどう噂してるか知ってる?『鴎外はもう終わった』『鴎外か、そんなやつもいたな』『鴎外?誰それ?』『鴎外、公害、問題外』」 典雅な初期三部作の執筆後、森鴎外は再び小説を書くまでに、約20年もの時間を要している。その事実がここでのテーマとなっているが、作者がそこに注目した理由は、文学史上の重大事だったからというだけでなく、そうした個人的な体験が切実に重ね見られていたからだろう。『小説の読み方』2:「四つ質問」から考えてみるp16~22『小説の読み方』1:ゴールデンスランバーp168~171
2021.02.18
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図書館に予約していた『笹まくら』という本を、待つこと5日でゲットしたのです。『猫のつもりが虎』で述べられた薀蓄が良かったので、引きつづいてこの本を予約していた次第です。【笹まくら】丸谷才一著、新潮社、1974年刊<レビュー>より米原万理さんの書評を見ていたら、この本が絶賛されていましたので、今回、購入いたしました。<読む前の大使寸評>『猫のつもりが虎』で述べられた薀蓄が良かったので、引きつづいてこの本を予約していた次第です。<図書館予約:(2/04予約、副本2、予約0)>rakuten笹まくら徴兵忌避者といえば逃亡者のようなもので、そのあたりを見てみましょう。p101~104<2> 彼は浜田の描いた砂絵の、スカイプールで染めた青と、それから寒水粉そのままの白とを、ゆっくりと指さしながら言った。 「星条旗がひるがえる。赤旗かもしれないな。そうなる公算は非常に大きい。これはぜったい喰いとめなければならない。東条幕府が倒れるのは一向かまわないが、祖国が亡ぶのは見るに忍びないという愛国心、この愛国心があるからこそ、炭鉱には…」 右翼なのだろうな。石炭業者の手伝いをしている右翼。転向者は右翼になるというから、たぶん、昔は共産党員だった男。浜田は蚊の音を聞きながら黙っていた。朝比奈は言葉を切ったままでいる。廊下で、誰かお客が女中をからかっている。女中が笑いながら、何か言い返した。最初、朝比奈の沈黙は言いよどんでいるのかと思われたが、あまり長いあいだ口をつぐんでいるので、これから述べることに意味を持たせようという配慮なのかと疑いかけたとき、猫背の男は一気に言いつづけた。 「…人殺しや強盗をして逃げてる連中も、来て働いている。炭鉱のなかなら安全だということもあるがね。移動申告なしでも、たらふく飯が食えるし。何しろ特配がたっぷりあるから。それに、徴兵忌避も大勢いる」 その「徴兵忌避」という言葉を耳にしたとき、浜田は自分でも意外に思うくらい冷静に、いつも考えていた通りに振舞うことができた。彼は問い返した。 「何ですか?その、キヒというのは」 朝比奈は無表情なままで丁寧に説明してくれた。浜田はじっと耳を傾け、ところどころでうなづいた。見やぶられたのだろうか? ひょっとしたら。鎌をかけているのだろうか? ほぼ確実に。それとも、単なる…? とにかく最後まで白を切るしかない。切りつづけるしかない。浜田は言った。 「つまり石炭会社は、そういう奴らをかくまって…」 「御奉公させてるわけだな。祖国のためにもなるし、連中だって罪のつぐないができて気が休まる。憲兵に渡したところで、何の役にも立たない」 「そんな奴らでも、朝鮮人よりは待遇がいいんで?」 朝比奈はうなづいた。 「それは、やはり民族の格ということがあるからな」 浜田は嘆くようにつぶやいた。 「どうも気が進みませんな。日本人の風上に置けない連中といっしょに働くなんて。わたしはこう見えても、犯罪(ワリゴト)も偽物売り(ガセバイ)もやらない、まともな露天商ですから」 「それはよく判ってる」 朝比奈はひどく事務的な、冷淡な口調で言った。浜田はわざとつかえながら、けだるそうに言った。 「米の通帳だって、堅気のみなさん同様ちゃんと持っていて、三度三度、銀シャリとまではゆかなくても長シャリぐらいは、長雨にでもやられないかぎり口に入れることができる。空腹で泣くなんてことは、旦那、めったにないことで…」 「しかしな、杉浦さん。いや、杉浦というのが本当の名前かどうか知らないが、わたしがこう言ったら、どうする?」 朝比奈がとつぜん態度を変え、にじり寄るようにして膝を乗り出し、浜田の顔をまともに見すえながら何か言おうといたとき、戸口の外で派手な明るい声があった。 「ごめんなさい。はいっていい?」 「ああ」 浜田が答えた。戸をあけて、丈を短くした銘仙の絣のもんぺの阿貴子がはいって来た。髪はネットで覆い、リュックサックをせおって、両手に一つずつ風呂敷包みをさげている。部屋のなかの険しい雰囲気がたちまち崩れた。阿貴子はきちんと座って、まず朝比奈にお辞儀をして言った。 「いらっしゃい。いつも杉浦がお世話になりまして」 朝比奈はあわてて座り直し、反射的にお辞儀をした。彼女は浜田に顔を向けて言った。 「晩御飯、まだでしょ。とてもいいもの、持って来たの」 浜田は、それには答えないで言った。 「汽車は座れた?」 朝比奈は呆気にとられて二人のやりとりを眺めていた。そのとき彼にはもう、その直前までの、激しくて不吉な気配はすっかり失われてしまっていた。彼はまるで愚痴をこぼすようにして訊ねた。 「何だ、砂絵屋さんは二人づれで旅行してるのかい?」 「ええ、寂しがるものですから」 「のろけられちゃったな。これなら、川西町へゆかなくたっていいわけだ」 阿貴子は団扇で咽喉のへんをあおぎながら、幸福そうにほほえんだ。朝比奈は立ち去った。ただし、戸口のところでこう言い残したけれども。 「その気になったら連絡してくれよ。葉書一本ですむことだから」『笹まくら』1
2021.02.18
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図書館に予約していた『わたしたちが孤児だったころ』という文庫本を、ゲットしたのです。カズオ・イシグロがノーベル賞を受賞したことだし・・・ということで予約していたのだが、ゲッ、かなり分厚い本である。【わたしたちが孤児だったころ】カズオ・イシグロ著、早川書房、2001年刊<「BOOK」データベース>より1900年代初めに謎の失踪を遂げた両親を探し求めて、探偵は混沌と喧騒の街、上海を再訪する。現代イギリス最高峰といわれる作家が失われた過去と記憶をスリリングに描く至高の物語。<読む前の大使寸評>カズオ・イシグロがノーベル賞を受賞したことだし・・・ということで予約していたのだが、ゲッ、かなり分厚い本である。<図書館予約:(3/25予約、6/10受取)>rakutenわたしたちが孤児だったころ長い小説なので、まだ半分も読んでいないのです。で、全貌を俯瞰するために裏表紙のコピーを見てみました。 上海の租界に暮らしていたクリストファー・バンクスは十歳で孤児となった。貿易会社勤めの父と反アヘン運動に熱心だった美しい母が相次いで謎の失踪を遂げたのだ。 ロンドンに帰され寄宿学校に学んだバンクスは、両親の行方を突き止めるために探偵を志す。やがて幾多の難事件を解決し社交界でも名声を得た彼は、戦火にまみれる上海へと舞い戻るが・・・ 現代イギリス最高の作家が渾身の力で描く記憶と過去をめぐる至高の冒険譚前半の語り口を引き続いて、見てみましょう。p171~175<7> アキラはじっと考えていた。それから振り返ってわたしの顔を見た。彼の顔には深く、厳かな感謝の表情が浮かんでいた。 「明日、午後、三時」とアキラは言った。「お母さんは公園へ出かける。もしまた女中が居眠りをしたら、そのときがチャンスだ」 きっと女中はまた居眠りをするさ、とわたしは彼を力づけ、二人一緒にあの部屋に行けば、怖いことなんかなにもないと繰り返した。 「二人一緒にやろう、ねえきみ」アキラは突然笑みを浮かべてそう言い、立ちあがった。 帰り道に、わたしたちは最終的な計画をたてた。わたしはその翌日、彼の母親が出かけしだい、二人で階上に上がってリン・チェンのびんを用意し、女中が居眠りをするのを待つことになった。 アキラの気分はかなり明るくなったが、その午後別れるときに、不安な気持ちを見せまいと何気ないふうをよそおいながらわたしのほうを振り向き、明日は遅れるなよと念を押した。 翌日もまた、むし暑い日だった。何年ものあいだ、わたしはこの日の記憶すべてを何度も頭に思い浮かべ、細かいところも筋道が通るように整理しようと試みてきた。だが、午前中の早い時間のことはほとんど覚えていない。 父が仕事に出かけるときに自分がどういうふうに父にいってらっしゃいを言ったか、そのときのことははっきり覚えている。わたしはすでに外に出ていて、馬車道をうろうろしながら父が出てくるのを待っていた。白いスーツ姿で帽子をかぶり、書類かばんとステッキを手にした父がやっと出てきた。 父はまぶしそうに目を細め、それから門のほうをちらりと見た。父が近づいてくるのを待っていると、母が父のうしろから玄関に姿を見せ、何か言った。父は数歩後戻りして、母と何か言葉を交わし、微笑んで母の頬に軽くキスした。それからわたしが待っているところへ大またで歩いてきた。その日、父がどういうふうに家を後にしたか、わたしが覚えているのはこれだけだ。 わたしたちが握手をしたのか、父がわたしの肩をぽんと叩いたのか、父が最後に門のところで振り返って手を振ったかどうか、わたしは覚えていない。記憶を総動員しても、あの日、父が出ていったときの様子は、いつも仕事に出かけていくときと変わったところはひとつもなかった。 午前中の残りの時間で覚えているのは、自分の部屋の絨毯の上でおもちゃの兵隊で遊んでいたことだけだ。ずっとその日の午後にわたしたちを待ちうけている恐ろしい仕事のことで頭がいっぱいだった。(中略) わたしが台所に入るとすぐに足音が聞こえて、母が入ってきた。そのときの母の顔(そこに浮かんでいた正確な表情)を思い出そうと何度も試みてみたが、どうしても思い出せない。ひょっとしたら本能的に見ないほうがいいと思ったのかもしれない。わたしが覚えているのは、母がそこにいたということだけだ。 母は低い、しかし完全に冷静な声でわたしに言った。 「クリストファー、シンプソンさんと一緒の男の人たちは警察の方なの。お母さんはあの方たちとのお話を終えなければならないのよ。それが終わったらすぐにあなたに話すことがあるの。図書室で待っててくれる?」 わたしは口答えしようとしたが、母の強い視線に気圧されて黙り込んだ。 「じゃあ、図書室でね」母はそう言うと踵を返した。「あの方たちとの話が終りしだい行くから」 「お父さんに何かあったの?」 母はわたしのほうを振り返った。「お父さんは今朝、会社に現れなかったのよ。でも、きっと何か簡単に説明がつくようなことにちがいないわ。図書室で待っていてちょうだい。すぐ行くから」『わたしたちが孤児だったころ』2『わたしたちが孤児だったころ』1()
2021.02.18
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図書館に予約していた『剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻』という本を、待つこと5日でゲットしたのです。神戸市が堅牢な外装を施しているが、中身は1951年刊行のままなので、茶色く変色しています。・・・どおりで、この本を楽天とアマゾンで探しても出なかったわけだ。【剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻】サマセット・モーム著、三笠書房、1951年刊<「BOOK」データベース (ちくま文庫)>よりイザベルの叔父で上流社会に出入りすることを生き甲斐とするエリオット。イザベルの幼なじみで、非業の最期をとげるソフィ…。人物描写鋭く、次々と展開してゆくストーリー。その中に人間の根源、人間本来の生き方を鋭く問う著者晩年の傑作小説。<読む前の大使寸評>予約後5日でゲットした本である。神戸市が堅牢な外装を施しているが、中身は1951年刊行のままなので、茶色く変色しています。・・・どおりで、この本を楽天とアマゾンで探しても出なかったわけだ。<図書館予約:(2/08予約、副本1、予約0)>amazon剃刀の刃(ちくま文庫)ラァリーとイザベルが登場するあたりを、見てみましょう。p19~22<5> また、執事がカクテルのお盆を持ってはいって来た。 ブラッドリ夫人は、一杯受取りながら、「わたし達は、イザベルを待ちますまい」といった。 「あの子はどこにいるんだね?」とエリオットが訊ねた。 「ラァリーとゴルフをやりに行ったんですの。遅くなるかも知れないって、いってましたわ」 エリオットが私のほうをふり向いた。 「ラァリーってのは、ローレンス・ダーレルです。イザベルは彼と婚約するものと思われているんですよ」 「あなたがカクテルをお飲みになろうとは思いませんでしたね、エリオットさん」と私はいった。 彼は手に持っていたコップを啜りながら、「飲みませんよ」とキッとなって答えた。「しかし、この禁酒の野蛮国じゃあ、一体なにが飲めるんですな?」彼は溜息をついた。「パリのニ、三の邸でもカクテルを出しはじめているんですよ。悪しき交わりは良俗を害う、ですな」 「馬鹿なことをおっしゃい、エリオット」とブラッドリ夫人がいった。 夫人はそれを、まったく品よくではあるが、はっきりといった。それで、私には夫人が気骨のある女だということがいく分判った。そしてテムプルトンを眺めた。面白がってはいるが、鋭い目つきから、夫人が彼に対しては、全然錯覚を持っていないということを、私はひそかに思った。 グレゴリー・ブラバズンを夫人はどうするんだろうと私は思った。ブラバズンがはいって来た時に、職業的な眼差しをこの部屋に投げかけ、そして、そのもじゃもじゃした眉毛を、思わず釣上げたのを、私は見て取っていた。それは全く驚くべき部屋だった。壁紙も、窓掛の木綿更紗も、詰め物をした家具の上の木綿更紗もおなじ模様で、壁にはどっしりした金縁の油絵がかけてあった。それらは明らかにブラッドリ一家がローマにいた当時、買い入れたものだった。(中略) われわれが、カクテルを丁度飲み終った途端に、ドアがさっと開いて、少女が一人の青年をあとに従えて、はいって来た。 「わたし達、遅くなって?」と少女が、訊ねた。「ラァリーを連れて帰ったのよ。なにかこの人の食べる物あって?」 「そうだろうと思っていましたよ」とブラッドリ夫人は微笑んだ。「ベルを鳴らしてもう一つ席を作るように、ユジーンにおっしゃい」 「わたし達に、あれが、ドアを開けてくれたのよ。わたし、もうそういっといたわ」 「これが娘のイザベルでございます」と私のほうを向きながらブラッドリ夫人がいった。「それから、これがローレンス・ダーレルでございますわ」 イザベルは私に素早く握手をすると、性急にグレゴリー・ブラバズンのほうを向いた。 「ブラバズンさんですの? わたし、とてもお目にかかりとうございましたわ。クレメンタイン・ドーマーにあなたがなすったお仕事、大変気に入っていますの。このお部屋、凄かありません? なん年間もお母さんに、このお部屋をなんとかさせようと、わたし、努力して来ましたのよ。今、あなたがシカゴにいらっしゃるんですもの、本当にいい機会ですわ。このお部屋どうお思いになるか、正直におしゃって頂戴」 ブラバズンが、到底そんなことを口にするはずのないのは、私に判っていた。彼はブラッドリ夫人を素早く一瞥したが、その淡々とした顔つきは、彼になに一つ物語らなかった。ブラバズンは、イザベルが発頭人だと決め込んで、騒々しい笑い声を立てた。 「たしかに、このお部屋は、至極く居心地はよろしうございますし、それにあれこれとな」と彼はいって、「でございますが、率直ということをお求めになれば、さてそりゃあ、多少すさまじいように、実は存じますな」 イザベルは背の高い娘で、卵なりの顔立ちに、鼻筋の通った、美しい目の、そして、この家族の特徴とおぼしいふっくらとした口許をしていた。その歳頃のせいだろうとは思うが、肥ったほうで、それにも拘わらず美しく、もっと歳がいったら、すっきりして来るだろうと、私は思った。ウーム ここまで読んできて思うんだが・・・翻訳の文章が古めかしいのが気になるのです。もっとも1951年刊行なので、いたしかたないのかも。『剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻』2『剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻』1
2021.02.17
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図書館に予約していた『剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻』という本を、待つこと5日でゲットしたのです。神戸市が堅牢な外装を施しているが、中身は1951年刊行のままなので、茶色く変色しています。・・・どおりで、この本を楽天とアマゾンで探しても出なかったわけだ。【剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻】サマセット・モーム著、三笠書房、1951年刊<「BOOK」データベース (ちくま文庫)>よりイザベルの叔父で上流社会に出入りすることを生き甲斐とするエリオット。イザベルの幼なじみで、非業の最期をとげるソフィ…。人物描写鋭く、次々と展開してゆくストーリー。その中に人間の根源、人間本来の生き方を鋭く問う著者晩年の傑作小説。<読む前の大使寸評>予約後5日でゲットした本である。神戸市が堅牢な外装を施しているが、中身は1951年刊行のままなので、茶色く変色しています。・・・どおりで、この本を楽天とアマゾンで探しても出なかったわけだ。<図書館予約:(2/08予約、副本1、予約0)>amazon剃刀の刃(ちくま文庫)エリオット・テムプルトンのお話しの続きを、見てみましょう。p15~17<5> エリオットが招待してくれた午餐に出かけるに先立って、私が、洗ったりブラシをかけたりしていると、帳場から電話で、彼が下にいるといって来た。私はいささか驚いたが、身支度が出来ると、すぐ降りて行った。 われわれが握手をした時、「やって来てお連れしたほうが、間違いないだろうと思ったんでね。あなたがどの程度シカゴをご存じか判らなかったんですよ」と彼はいった。 アメリカは、ややこしい、危険でさえある場所で、ヨーロッパ人が自分で行く先を見つけるのは、不安で放っておけないと、永らく外国で暮らして来た数人のアメリカ人が考えているのを、私は気づいていたが、エリオットもそうした考えを持っていた。 「まだ早いですね、途中、少し歩いてもよさそうですな」と彼はいい出した。 風はいく分冷たかったが、空には一片の雲もなく、足を伸ばすのは気持がよかった。 「あなたが妹に逢う前に、あれのことを話しておいたほうがいいかと思ったんですよ」とエリオットは、われわれが歩いていると、いった。「妹はわしと一緒に一、二度パリに滞在いていたんですがね。その当時、なたはあそこにいらっしゃらなかったと思いますな。なに、大したパーティーじゃないんですよ。ねえあなた、たった妹とその娘のイザベルと、グレゴリー・ブラバズンだけなんです」 「装飾家の?」と私は訊ねた。 「ええ、妹の家はひどいざまなんでね。イザベルとわしは、妹にそれを模様替えさせようと思ってるんです。ふと、グレゴリーがシカゴにいることを耳にしたんで、わしは妹に、今日あの男を午餐に招ばせたんですよ。無論あの男はちゃんとした紳士じゃありませんがね。見る目は持っていますよ。メァ・オリファントのために、レイニイ・キャッスルを、それから聖アースのために聖クレメント・タルボットを装飾したんです。 一体どうして妹がシカゴに住んでいられるのやら、これまたわしには到底合点が行きますまいよ」 ブラッドリ夫人は、息子二人に、娘一人という三人の子持の寡婦だということが判った。しかし、息子たちはずっと歳うえで、結婚していた。一人はフィリッピンで官職にあり、もう一人は父親がそうだったように、外交畑で、ブェノス・アイレスにいた。ブラッドリ夫人の夫は、世界の各地で任務に就き、数年の間、ローマで一等書記官を務め上げ、その後、南米西岸の一共和国の公使に任命され、そこで死んだのだった。 「あれの主人がこの世を去った時に、わしはルイザにシカゴの家を売り払わせかったんですがねと」とエリオットは言葉を続けた。「しかし、あれは、その家にあにか感慨を持っていたんですな。ブラッドリ一家の手にはいってから、あの家はもうずい分永い間になるんでしてね。ブラッドリ家は、イリノイスでの一番古い家柄の一つなんですよ。1839年にヴァージニアからやって来て、現在のシカゴからおよそ60哩ばかり離れた土地を手に入れたんです。今日でもまだそれを持っていますよ」エリオットはちょっとためらった。 そして、私がそれをどう取るだろうか知ろうと、私をじっと眺めた。「そこに落ち着いたブラッドリ一家というものは、とにかく前世紀の中頃、中西部が開発されはじめた当時は、実に沢山のヴァージニア人が、良家の若い子弟どもですな、そういう連中が未知の世界の誘惑にひかれて、自分たちの故郷の豊かな食べ物を捨て去ったんですよ。 わしの義弟の親爺のチェスター・ブラッドリは、シカゴが将来のあることを見抜いて、ここで法律事務所にはいったんです。そして、とにかく、十分な金を作り、あとに残した息子に、なに不自由なくやって行けるほど、あてがったんですよ」 エリオットのこうした言葉より、むしろその素振りのほうが、相続した堂々たる邸宅や、広い耕地をあとにして事務所にはいったことも、故チェスター・ブラッドリにとってはおそらく決して不面目なことでなく、一財産築き上げて少なくとも、一部分ではあるが、それらを埋合わせたのだという事実を仄めかしていた。この長編小説の主人公とも言えるラァリーはまだ登場してこないのです。この小説が第二次大戦中の米軍兵士の間でよく読まれたそうだが、どこが面白かったのでしょうね。『剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻』1()
2021.02.17
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図書館に予約していた『剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻』という本を、待つこと5日でゲットしたのです。神戸市が堅牢な外装を施しているが、中身は1951年刊行のままなので、茶色く変色しています。・・・どおりで、この本を楽天とアマゾンで探しても出なかったわけだ。【剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻】サマセット・モーム著、三笠書房、1951年刊<「BOOK」データベース (ちくま文庫)>よりイザベルの叔父で上流社会に出入りすることを生き甲斐とするエリオット。イザベルの幼なじみで、非業の最期をとげるソフィ…。人物描写鋭く、次々と展開してゆくストーリー。その中に人間の根源、人間本来の生き方を鋭く問う著者晩年の傑作小説。<読む前の大使寸評>予約後5日でゲットした本である。神戸市が堅牢な外装を施しているが、中身は1951年刊行のままなので、茶色く変色しています。・・・どおりで、この本を楽天とアマゾンで探しても出なかったわけだ。<図書館予約:(2/08予約、副本1、予約0)>amazon剃刀の刃(ちくま文庫)冒頭の語り口を、見てみましょう。p3~5<1> これほど懸念しながら、私が小説を書きはじめたことはこれまでなかった。これを小説と呼ぶとすれば、それは、ほかに呼びようを知らないからに過ぎない。私は、物語るような筋を殆んど持っていないし、死とか、結婚とかで終りを結んでもいない。死は、万事の終りであり、また物語の大尾でもあるが、結婚もまた、甚だ適切に物語の終りをつける。 俗に幸福な結末といわれているものを、詭弁を弄する連中は浅はかにも冷笑する。しかし、一般の人々は、その健全な直覚のお陰で、幸福な結末を見ると、当然物語られる筈のことが、すっかりいい尽くされてということを納得するものだ。 なんであれ、諸君のお気に入るような有為転変のあとで、男と女とがとどの詰まり一緒になれば、その二人は生物学的な役割を果していることになり、関心は、次にくる筈の世代へ移って行く。ところが私は、読者を宙においてけぼりにしてしまう。 この本は、私が永い間を置いては、わずかに親しくつき合うことになったある男に関する、私のいろいろな想い出で、出来上がっていて、つき合わない間に、どんなことが、その男に起こっていたものやら、私は殆んど知らない。創意を働かせて、その穴を体裁よく埋め、私の物語をもっと条理の立ったものにすることも、出来たろうと思っている。 しかし、私にはそうする気持が全然ない。私自身の見聞で知っていることだけを、ここに書きしるしたいのだ。 久しい以前、私は『月と六ペンス』という小説を書いた。その中で、有名な画家のポール・ゴーガンを扱い、小説家の特権を利用して、このフランスの画家について、私の知っていた乏しい事実から獲た、その示唆に基いて、あまたの出来事を案出し、私の創造したゴーガンの性格を描き出した。 しかし、この現在の書物では、そうしたことはなにもしなかった。私はなんにも創り出さなかった。今日なお生きている人々に迷惑をかけないために、この物語の中で一役買っている連中には、私の工夫した名前をつけた。それからまた、あれこれと骨を折って、誰にもその連中が、決してそれと判らぬようにした。私の描きつつある人物は有名ではない。今後決してそうならないかも知れない。 やがてその生命が終りを告げた時にも、その男は、川に投げ込まれた小石が、水面になんの跡も残さないように、この地上に永らえていたという足跡を、少しも残さないかも知れない。そこで私の本がとにかく読まれるとすれば、それは、この本が持っているかもしれない、本質的な面白さだけで、読まれるのだろう。(中略) 私が懸念を抱いたままで、この作品に手をつけるようになった、もう一つの理由は、扱っている登場人物が主としてアメリカ人ということだ。人を知るということは非常にむずかしく、自分自身の国の連中以外は、決して本当には解らないものだと、私は思っている。 というのは、男も女も単にその個々の人間であるばかりか、彼等は、その生まれついた地方であり、歩むことを習い覚えたその都会の住居とか、あるいは農家とかであり、子供の頃遊び戯れた遊戯であり、ふと耳にしたばかばかしい言い伝えであり、自分らの食べた食物であり、通っていた学校であり、いつもやっていたスポーツであり、読んだ詩人たちであり、信じていた神様なのである。 彼等の現在の在りようを、造りあげたものは、実にこうしたすべての事柄であって、それらは伝聞などでは、到底知り尽くすようにはなりえない事柄で、諸君がそうした生活をして来て、やっと知ることが出来るものなのだ。諸君が、そうした事柄であって、はじめて解るのだ。(中略) 私が、ポール・ゴーガンをイギリス人にしてしまっているのなら、どうしてこの本の登場人物にも、同じ真似がやれなかったのかと、訊ねられるかも知れない。その答えは簡単である。私には出来なかったのだ。もしやれたら、ここの登場人物は、現在あるがままの人間ではなくなっていたことだろう。 私は、この登場人物がアメリカ人自身の眺めている通りのアメリカ人だなどと、空とぼけはしない。それは、イギリス人の目を通して眺められたアメリカ人なのだ。アメリカ人の言葉の独特なところを、そのまま写し出そうなどとは企てなかった。そんな真似をしようとした場合、英国の作家が犯す失敗は、アメリカの作家がイギリスで話される英語を、そのまま写し出そうとした場合に犯す失敗と、一般である。 俗語が最大の罠だ。ヘンリー・ジェイムズは、そのイギリス人の物語の中で、しょっ中俗語を使わせているが、イギリス人の使うとおりだったためしは絶えてなく、その結果は、ジェイムズの求めていた会話の効果を挙げるどころか、余りにもたびたび、それはイギリス人の読者に、しっくりしない、ぎくしゃくした感じを与えているのだ。<2> 1919年、私は極東への途すがら、ふとしたことでシカゴに足をとどめた。それはこの物語とは、なんの関係もない、いろいろな事情のためだったが、そこに私はニ、三週間滞在した。つい最近、私は評判のいい小説を出したばかりだったので、当時新聞種となっていて、到着するや否や、会見を求められた。翌朝、私の電話が鳴った。私は出た。 「エリオット・テムプルトンです」 「エリオット? パリにいらっしゃると思っていましたよ」 「いいえ、妹を訪ねて来ているんですよ。今日、わたしどもにいらしって、お昼を一緒に食べて戴きたいんですがね」 「是非そうしましょう」彼は時間をいって、その所番地を教えてくれた。 私は15年来、エリオット・テムプルトンと近づきだった。その当時、彼は五十代も末で、背の高い、立派な顔立ちの、瀟洒な人物で、房々として波打つ黒い髪の毛も、ほどよく白くなりかけていて、風采に重味を添えていた。ちなみに、現代のイギリス英語の俗語の難しさについては『ブロークン・ブリテンに聞け』4でレポートされています。()
2021.02.17
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図書館で『図書館超活用術』という本を手にしたのです。知ってる人だけトクをする「技」だって?・・・これは必読でんな。【図書館超活用術】奥野宣之著、朝日新聞出版、2016年刊<「BOOK」データベース>よりこれからの時代、「図書館利用術」が最強である!図書館がいま、スゴいことになっている!?知ってる人だけトクをする「技」が満載!! --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。<読む前の大使寸評>知ってる人だけトクをする「技」だって?・・・これは必読でんな。amazon図書館超活用術活用術「教養力」編を、見てみましょう。p150~152 <6 一生もののレファレンスブック> 歴史や科学技術などの話題が出てきてもついていけるように「ざっくりと理解しておきたい」という人には、レファレンスブックを買うことを勧めます。 図書館には大量のレファレンスブックがありますが、多くは貸出禁止です。手元に置くには買うしかありません。何十巻もある百科事典を置くスペースを確保するのは難しくても、一冊ものならなんとかなるでしょう。 買うものは、レファレンスコーナーで興味のあるジャンルの棚を見て決めます。 どれを買うか、決めるときのコツは「調べものの役に立つか」より「めくって楽しいか」で決めることです。 たとえば、人名辞典で言えば、2013年刊と新しく、学術的に評価の高いものとして『岩波世界人名大事典』(岩波書店)があります。単純に人名を検索するなら、これにかなうものはないでしょう。おそらく最強の人名辞典です。 しかし、人名辞典を持っていない人の一冊目としては、これはあまりおすすめできません。写真や図版がなく、すべて活字の辞典なので「パラパラめくって楽しむ」という雰囲気ではないからです。 自宅に置くことを考えれば「ある人物を調べるときに調べる」より、「なんとなくおもしろいから開く」という用途の方が、活用度が高くていいのです。 人名辞典のケースで言えば、なにより重視したいのは、顔写真か肖像画が収録されていることです。レファレンスコーナーだけでなく、児童コーナーでも探すと、そんなビジュアル重視の参考文献を見つけられます。 大辞典のたぐいは、広い範囲をカバーしています。興味のあるところから読んでいけば、知識の穴がだんだん埋まっていき、「それについてはさっぱり…」ということがなくなってきます。 また、ビジュアル本のレファレンスブックを無目的にめくって、気になったところを読むとおうのは、活字を追う読書とはまるで違う楽しみがあります。散歩のような気ままさで、まさに精神の自由を味わえるのです。 めくって楽しいレファレンスブックは、死ぬまで読み終わらない一生ものの本です。CHECK POINT1~6を、見てみましょう。p208~211 <6 有料データベースが使えるか?> 「デジタル資料に力を入れているか」も、注目しておかねばなりません。 ひとくちにデジタル資料と言っても、CD-ROMやDVD形式の百科辞典からタブレット端末で読む電子書籍など、さまざまなものがありますが、ここでチェックしておきたいのは「インターネットの有料データベースが利用できるかどうか」です。 最近はほとんどの人がスマートフォンを持っているので、わざわざカウンターでインターネット端末の利用を申し込んで、グーグル検索をする必要はないでしょう。 しかし、ここまで何度か書いたように、無料で使えるのはインターネットの「無料ゾーン」だけであって、「有料ゾーン」はお金を払わないと使えないのです。 ところが、図書館なら有料ゾーンに入れます。個人で契約すると月に1万円くらいかかる商用データベースであっても、無料で使えるのです。 どんなデータベースが使えるかは館によって違いますが、代表的なものを挙げると次の通りです。・ジャパンナレッジLib(ネットアドバンス):百科辞典、歴史事典、日本語辞典、外国語辞典などを一括検索できる・日経テレコン(日本経済新聞デジタルメディア):日経新聞の過去記事、企業情報、POSデータなどが閲覧できる・聞蔵=(朝日新聞社):朝日新聞や「週刊朝日」「アエラ」の過去記事、知恵蔵などが険悪可能・ヨミダス歴史館(読売新聞社):読売新聞のデータベース。・D1-Law.com(第一法規):法令・判例のデータベース。 有料データベースはアメリカの公共図書館でよく利用されているため、日本でも「必ずニーズがある」と考えて導入する館が増えています。 ただ残念なことに利用はあまり進んでいないようで、先日も、ある公共図書館で「データベースをお願いします」と言ったら、担当者が一瞬、目を丸くしたあと喜んでいました。データベースがいかに使われていないか、よくわかります。 データベースの利用が進まない理由は、まずサービスが知られていないこと。加えて、意外と扱うのが難しいからです。 キーワードや検索範囲を間違いなく指定しないと何も出てきません。グーグルならキーワードが間違っていたら「もしかして〇〇ですか」と修正してくれるし、アマゾンなら「他の人はこれも検索しています」と助け舟を出してくれるけれど、データベースには、まだそういった親切機能はほとんどありません。 それでも、個人で持てないような大量のレファレンスブックを横断検索できたり、過去の新聞紙面をプリントアウトしたりできるメリットは、いくら強調しても足りないくらいです。『図書館超活用術』2:図書館を使うメリット2、3『図書館超活用術』1:なぜいま図書館なのか ()
2021.02.16
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図書館で『図書館超活用術』という本を手にしたのです。知ってる人だけトクをする「技」だって?・・・これは必読でんな。【図書館超活用術】奥野宣之著、朝日新聞出版、2016年刊<「BOOK」データベース>よりこれからの時代、「図書館利用術」が最強である!図書館がいま、スゴいことになっている!?知ってる人だけトクをする「技」が満載!! --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。<読む前の大使寸評>知ってる人だけトクをする「技」だって?・・・これは必読でんな。amazon図書館超活用術「図書館を使うメリット1~7」を、見てみましょう。p167~169 <2 どこの街にもある> 図書館は近年、大幅に増えました。 2014年時点で、全国に公共図書館は3246館あります。2004年には2825館だったので、この10年間で15%ほど増えたことになります。 理由としてまず考えられるのは、老若男女だれでも居場所がある公共施設として、図書館のニーズが高いことでしょう。「国民の4人に1人が65歳以上」という高齢社会になった日本では、今後さらに「誰もがおもいおもいの時間を過ごせる空間」としての図書館が求められそうです。 また図書館には自治体のイメージアップとしての効果もあります。サービスのいい図書館がある街には、移住者も増える。街のブランド価値を上げるのです。 また、最近の動向としては、老朽化にともなう建て替えにくわえ、駅ビルへの移転やほかの公共施設と同じ建物に入る「合築」の流れがあります。単体としての図書館を建てるより、公民館や福祉会館と一緒の建物にした方が建設コストが下げられるからです。 駅ビルへの移転の原因としては、「インターネット予約」の普及も大きいでしょう。図書館のウェブサイトで本を予約し、準備ができ次第カウンターで受け取りできるサービスです。いわばネット書店の「アマゾン」のような感覚で気軽に使えるため、利用者が増えています。 「カウンターで本を受け取り、返すだけ」という人が多いので、本棚や閲覧スペースの少ない分館や、駅前などに予約した本の受け取りと返却だけができる「専用カウンター」を作る自治体も増えています。 図書館を設置していない自治体も減り、全国の市では98%、政令市と特別区は100%と、ほぼすべての街に図書館があります。まだ日本中どこにいようとすぐ図書館に行ける、というわけにはいきませんが、都市部に限れば、一昔前と比べて、ずいぶん図書館へのアクセスは良くなってきているのです。(中略) 県立の図書館や市立の中央図書館といった大きい図書館ばかりに目がいきがちですが、分館などの小規模なものなら、案外、近くにもあるものです。ウン 我が街の分館も新築の駅ビルに移転するようだが、全国でも同時進行の動きがあるようですね。p170~172 <3 プライバシーが守られる> 情報を手に入れる場所として図書館を見たとき、書店やネットカフェとのいちばん大きな違いは、利用者のプライバシーに配慮していることでしょう。 小説『図書館戦争』で有名になった「図書館の自由に関する宣言」でも「図書館は利用者の秘密を守る」としっかり書かれています。 「秘密を守る」と言われても、あまりピンとこないかもしれませんが、これは意外と重要なこと。「どんな本を読んでいるか」というのは、個人の内面につながるデリケートなことだからです。 しかし、『真剣に離婚を考えたときに読む本』を図書館で借りていたのが妻や夫にバレたら大問題ですね。DV絡みのケースなんかだと、命に関わる。また「どんな本を読んでいるか」の情報から、秘密にしておきたい業務内容や持病、政治活動なんかがバレる可能性もあるし、ストーカー行為や詐欺のネタにされることも考えられます。 このような理由から、図書館は「個人情報の扱い」に非常に敏感なのです。 ドラマや映画では、刑事が図書館にやってきて「この本を借りた人物を捜している」と聞くシーンがありますが、令状もなしに図書館員が利用者のことをホイホイ教えることはありえません。 いまの図書館では、そもそもそういうことが起きないよう、個別の利用者の貸出履歴データは本の返却時に消えるようになっています。館内に監視カメラがある場合も利用者の顔や本のタイトルが映らないように配慮されているそうです。 だから、図書館をいつどのように利用したか、どんな資料や本を使ったか、といった情報が図書館から漏れることはありません。 その証拠(?)に、逃亡中の指名手配犯も図書館を使っていたという話があります。 リンゼイ・アン・ホ-カー殺害事件の容疑者・市橋達也は、自宅に捜査員がやってきたとき、裸足のまま自宅を飛び出し、2年7ヶ月もの間、逃亡を続けたことで知られています。何度もニュースで取り上げられたので知っている人も多いでしょう。 彼の手記『逮捕されるまで』(玄冬社)には、逃亡のための交通手段を調べたり、潜伏先の島でサバイバル生活をするための情報集めとして、何度も図書館を使ったことが書かれています。ウン この図書予約システムは利便性に富んでいることは実感していたが、プライバシーの保護にこれだけ配慮しているとは知らんかったでぇ♪『図書館超活用術』1
2021.02.16
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図書館で『図書館超活用術』という本を手にしたのです。知ってる人だけトクをする「技」だって?・・・これは必読でんな。【図書館超活用術】奥野宣之著、朝日新聞出版、2016年刊<「BOOK」データベース>よりこれからの時代、「図書館利用術」が最強である!図書館がいま、スゴいことになっている!?知ってる人だけトクをする「技」が満載!! --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。<読む前の大使寸評>知ってる人だけトクをする「技」だって?・・・これは必読でんな。amazon図書館超活用術やや長めの「まえがき」から、なぜいま図書館なのか、見てみましょう。p3~7 <なぜいま「図書館」なのか>■ネットでは見つからない自分だけの“解” 「これから活躍するには何を勉強し、どんな能力を身につえねばならないのか」 「どんな仕事や会社を選べば、将来も豊かでいられるのか」 「どうすればウチの商品がもっと売れるようになるんだろう?」 こんな「問い」と直面したとき、私たちはどうやって“解”を得ることができるのでしょうか?■みんなが同じようなインプットとアウトプットをする時代 「インターネットがあるじゃん!」と言う人がいるかもしれません。 では、「何を勉強すればいいのか」の“解”を得るために、「仕事 これから 能力」というキーワードでネット検索してみましょう。…おっ! さっそく「これからの時代、絶対必用な仕事スキル」という記事が出てきたぞ。 冒頭から「何より大事なのはコミュニケーション能力」とある。なるほど、グローバル時代には多言語を使いこなして仲間と協力しながら働けることが大事になってくる、と。まずは英語か…。 おや、会社の近くの英会話教室で無料の体験授業が受けられるらしいぞ。予約してみるか。でも英語って学生のころから苦手だったんだよね…。 こうやって活字にしてみるとバカみたいに見えるかもしれません。 でも言ってしまえば、ほとんどの人はこれと似たり寄ったりのプロセエスで意思決定をしているのではないでしょうか。 みんな検索でヒットした二つか三つのサイト、書店で買った2、3冊の本、1人か2人くらいの先輩のアドバイスといった情報をもとに“解”を出している。 飲み会のお店選びや電車の乗り換えなど、簡単な調べものくらいならネット検索で充分でしょう。そのほうが時間の節約にもなります。 しかし、ネットだけでさっき挙げた、「これからどんなことを勉強すればいいか」といった大事な選択ができるでしょうか?■実は、ネットで得られる情報は質量ともに「貧しい」のです。 ネット検索では「10万件ヒットしました」といった具合に数ばかりは出てきますが、「よし今年中にすべて読もう!」という人はいません。だいたい読むのは2、3件、多い人でも10件くらいです。しかもネットで流行りの記事は「〇〇するための7つのポイント」とか、あまりにも断片的すぎる知識です。(中略) ネットとは「多様で豊かな情報に出会うこと」が難しいメディアになってしまっているのです。 もはやネットは、テレビのように「誰もがほぼ同じ情報に出会うメディア」になったと言っても過言ではありません。 もちろんインターネットでも、有料契約のデータベースを使ったり、検索式やキーワードを工夫したり、と凝った検索をすればかなりマシです。 しかし、もっと誰でもできて、時間もカネもかからない方法があります。 それが「近くの図書館に行ってみること」なのです。 ネットだけでなく、図書館の中を歩き回り、五感を使いながら大量の本や資料を探し、情報を使いこなしていく。 そうすることで、ビジネスパーソンは自分の課題に対する“解”を自分で見つけることができる。このように私は考えています。 それはとりもなおさず「生き方を自己決定する」ということでもあります。
2021.02.16
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図書館に予約していた『笹まくら』という本を、待つこと5日でゲットしたのです。『猫のつもりが虎』で述べられた薀蓄が良かったので、引きつづいてこの本を予約していた次第です。【笹まくら】丸谷才一著、新潮社、1974年刊<レビュー>より米原万理さんの書評を見ていたら、この本が絶賛されていましたので、今回、購入いたしました。<読む前の大使寸評>『猫のつもりが虎』で述べられた薀蓄が良かったので、引きつづいてこの本を予約していた次第です。<図書館予約:(2/04予約、副本2、予約0)>rakuten笹まくら旧仮名づかいの弔慰電報が出てくるあたりを、見てみましょう。p60~64<2> 郊外電車を降りると、浜田は勤め先と反対のほうへ歩いて行った。郵便局へ寄って香電を送るためである。彼は家を出るまで、四国のお葬式には香電をどうするのかと陽子に訊かれたときの返事を考えていたのだが、満足した妻は死亡通知のことはもう忘れていた。 灰いろの郵便局のなかはまだ閑散で、いくつかの窓口には局員の姿がなく、ある窓口では局員がのんびりと煙草をふかしている。彼は1万円の電報為替を組み、それか頼信紙を貰った。弔慰電報の文案が貼ってあるのを見たが、どれもみな自分の気持とはそぐわないような気がする。しかし、備えつけの、端に長い紐がついている鉛筆を手にしたまま、ずいぶん長いあいだ思案した末できあがったものは、ごくありふれた紋切り型の文章である。 アキコサンノフハウニセツシ」 カナシミニタヘマセン」 ハマダ シヤウキチ 配達のとき特別の封筒に入れるように頼んで、頼信紙を渡すと、窓口の若い男はうなづき、電文を読みはじめたが、二度も三度も読み返してから謝るように言った。 「ちょっと、これ、読んでみて下さい」 「阿貴子さんの訃報に接し悲しみに堪えません。浜田庄吉」と浜田は声を出した。 係員の態度から、詫びるような気配がすばやく消えた。彼は舌打ちして、赤くて細いマジック・インキのペンを取り上げ、「フハウ」のハをホに、「タヘマセン」のヘをエに、そして「シヤウキチ」のヤをヨに、乱暴に書き改め、浜田のほうには目もくれずに、まるでその頼信紙に向かってどなるようにして料金を言う。浜田は金を払い、郵便局を出た。 彼は、自分がひどく年を取ったように感じながら、駅前のバスの停留所へ向かって歩いた。ふだんの朝、この駅の近くを通るときとは、ほんの数十分しか違わないわけなのに、もう、出勤時間のあわただしさはすっかり薄れている。そのせいで自分を、働くのをやめた老人のように感じるのかもしれぬ、などと考えたけれども、その理屈がおかしいことは最初から判っている。 仮名づかいを直されたことで、自分を時代遅れな人間だと思ったのだ。大学の書類は新仮名で書くのがきまりで、もちろんそれに従っているが、家で葉書や手紙を書くときはいつも自然に旧仮名になる。靴をはいて洋服を着ているときは新仮名、和服でいるときは旧仮名というのが浜田の国語生活であった。 今、靴で洋服なのについうっかりその区分を乱したことは、まるで自分が今の社会と適応できない、人生から降りてしまった若隠居であるような寂しさを彼に味わわせた。「残躯」という言葉が不意に意識に浮かぶ。…いつか、どこかで(いつ?どこで?)見かけた言葉。いまのぼくがちょうどそれだ。そのとき彼は、まるで自分が戦前の社会には適応できた人間であるように錯覚していた。 列の末尾についたが、二台も三台も立てつづけに出たばかりなのだろう、バスはなかなか来ない。彼は郵便局員の舌打ちを思い浮べ、旧仮名を書けるのは尊敬されていいわけなのに、かえって軽蔑されるのはおかしいと憤慨していた。そして、世の中がすっかり変わってしまったのだから仕方がないと自分を慰め、急激な変化を思いつくままにあげてみた。 たとえば子供の時分よく遊んだ、あの青山の寺の境内は三分の一くらいになった。一般に、子供のころ大きいと思ったものは大人になると小さく見えるもので、それがまた実際に小さくなっているから、ますます小さく見えるわけだけれども。 まずオリンピック道路に削られ、次にアパートを建て…レストランの看板と料理屋の看板のあいだをとおして、小さなわびしい山門が見える。坊主は儲かったろうが、近所の子供は遊べない。墓石や卒塔婆にとまっている蜻蛉(とんぼ)をつかまえることも、もうできないだろう。それから松の木の蝉も。第一、蜻蛉も蝉も蝶々も、東京では見かけなくなったし、東京だけではなく日本じゅう虫がいなくなった。 浜田は晩春の駅前の雑沓のなかで、幼いころに聞いた蝉の鳴き声をなつかしみ、それからの連想で、そういえば物売りの呼び声もさっぱり聞かれないし、羅宇(らお)屋なんか商売そのものが亡んだと考えつづけた。 何しろ近ごろの金魚屋は黙ってのそのそ歩くだけだし、焼芋屋はマイクを使うのだから。彼は微笑した。去年の夏、珍しく「竿や竿竹」という声を耳にして、別に買うつもりなあど全然ないのにアパートの窓から顔を出すと、竿竹屋の爺さんが縮(ちぢみ)のシャツにジーパンという服装なのを見かけて呆れたことを思い出したからである。たぶん、あの爺さんも煙管なんか使わず、フィルターつきの煙草を喫うのだろう。(中略) そして浜田はとつぜん、戦争の最後の年の夏にはちっとも蝉の鳴き声を聞かなかった、ぼくは変だと思って阿貴子に、ねえ、四国には蝉はいないのかいと訊ねた、と二十年前のよく晴れた午後のことを思い浮かべた。阿貴子とぼくは段々畠にいて、阿貴子はトマトを籠に入れ、ぼくは耕していた。すると阿貴子は、あら、あんまり馬鹿にしないでよと言って笑ったっけ。 バスが二台、つづいてやって来た。列が動きだした。丸谷才一さんの文章といえば、まず旧仮名づかいが注目されるが・・・その発祥は、この本の弔慰電報のくだりあたりだったのかもしれないなあ。
2021.02.15
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図書館で『㈱貧困大国アメリカ』という本を手にしたのです。大使がかねてより嫌っていたウォール街やモンサント社のあくどさが告発されているようですね。・・・ということで借りたわけです。【㈱貧困大国アメリカ】堤未果著、岩波書店、2013年刊<「BOOK」データベース>より「1%vs99%」の構図が世界に広がるなか、本家本元のアメリカでは驚愕の事態が進行中。それは人々の食、街、政治、司法、メディア、暮らしそのものを、じわじわと蝕んでゆく。あらゆるものが巨大企業にのまれ、株式会社化が加速する世界、果たして国民は主権を取り戻せるのか!? 日本の近未来を予言する、大反響シリーズ待望の完結編。<読む前の大使寸評>大使がかねてより嫌っていたウォール街やモンサント社のあくどさが告発されているようですね。・・・ということで借りたわけです。rakuten㈱貧困大国アメリカ遺伝子組み換え作物が述べられているので、見てみましょう。p78~81 <業界関係者だらけのFDA> アイオワ州のトム・ハーキン上院議員によると、1995年から2003年の間にUSDA(農務省)から支払われた農作物助成金は約1000億ドル(約10兆円)、うち七割は上位10%の巨大アグリビジネスに流れたという。こうした助成金で自国の農業を保護する国は少なくないが、アメリカでは過去数十年で、その受給者が小規模農家からアグリビジネスに上書きされていった。 シャーマン博士はこうした公的資金の無駄を撤廃するというオバマの公約が、就任後百八十度翻ったと批判する。 「オバマ大統領は選挙時の公約と真逆なことをやりました。食の安全に関わる要職に、業界関係者をずらりと任命したのです。 FDA(食品医薬品局)の上級顧問には、遺伝子組み換え種子の最大手であるモンサント社の副社長マイケル・テイラー。農務長官には、元アイオワ州知事で、自治体によるの発案者デアルトム・ビルサック。これでは規制される業界の人間を規制する側に入れているのと同じです。 オバマ大統領の就任で、やっと食品業界と政府の間の回転ドア人事にメスが入るかと思ったが、これでは垂直統合と規制緩和がまた進み、業界はさらに巨大化するでしょう。結局のところ、彼も歴代大統領と同じだったのです」 だがマイケル・テイラーに関しては、回転ドアが回るのはこれが初めてではなかった。 1992年にFDAが「遺伝子組み換え作物を実質的に通常の食品と同等に扱う」ことを発表した際、モンサント社の顧問弁護士を経て、FDAのGM作物政策担当副長官の座に就いていたのはテイラーだった。 彼はFDAの食品ガイドラインからGM表示義務を削除し、企業のGM作物安全評価データの一般公開を免責した。GM作物市販製品第一号である、モンサント社製「遺伝子組み換え牛成長ホルモン(rBGH)」を承認し、同ホルモン剤を投与した牛の牛乳について、ラベル表示を不要にしたのもテイラーだった。 牛に注射すると牛乳の生産量が三割増産するこの成長ホルモンは、カナダ、EU、オーストラリア、ニュージーランド、日本、国際食品規格委員会など27カ国といくつかの国際機関で禁止されている。 モンサント社が安全性を主張する一方で、通常2年は必要とされる長期的影響のテストデータの不在、モンサント社による90日間の自社試験結果の非公開、投与した牛の乳房感染症増加と、rBGHミルクに含まれる、人間の乳ガン、結腸ガン,前立腺ガンに関係する高レベルインスリン様成長因子(IGF-1)、牛乳への膿汁混入がもたらす抗生物質の過剰使用など、安全面への懸念からの禁輸措置だ。 だがFDAは今も「健康に影響はない」としてrBGHを承認し続け、全米の牛の三割が、週二回rBGHを注射されている。先進国で唯一rBGH入りの牛乳を飲み続けているのは、GM表示義務のないアメリカの国民だけなのだ。 テイラーは94年に食品安全検査局行政官に就任し、その後政府を離れてすぐモンサント社の副社長に「栄転」している。 シャーマン博士の言うとおり、いくら大統領選挙期間中に立派なことを豪語しても、就任後の本音は予算や人事を見れば一目瞭然だ。 オバマ大統領は今回新しく、議会の承認が不要なUSDA(農務省)直属機関である食料農業国立研究所を政府内に設立、所長にはモンサント社が出資するダンフォース・プラント科学センターのセンター長だったロジャー・ビーチーを指名した。ビーチーは大統領選挙の際、オバマ陣営の選挙資金に大きく貢献した一人だ。 TPP交渉における要職である、USTR農業交渉主任には、以前クリントン政権下のUSDAでバイオテクノロジーを推進したイスラム・シディキが任命された。彼は世界の農薬市場の四分の三を占めるモンサント他五社を代表するロビー団体「クロップ・ライフ・アメリカ」の副社長でもある。『㈱貧困大国アメリカ』1
2021.02.15
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図書館で『㈱貧困大国アメリカ』という本を手にしたのです。大使がかねてより嫌っていたウォール街やモンサント社のあくどさが告発されているようですね。・・・ということで借りたわけです。【㈱貧困大国アメリカ】堤未果著、岩波書店、2013年刊<「BOOK」データベース>より「1%vs99%」の構図が世界に広がるなか、本家本元のアメリカでは驚愕の事態が進行中。それは人々の食、街、政治、司法、メディア、暮らしそのものを、じわじわと蝕んでゆく。あらゆるものが巨大企業にのまれ、株式会社化が加速する世界、果たして国民は主権を取り戻せるのか!? 日本の近未来を予言する、大反響シリーズ待望の完結編。<読む前の大使寸評>大使がかねてより嫌っていたウォール街やモンサント社のあくどさが告発されているようですね。・・・ということで借りたわけです。rakuten㈱貧困大国アメリカアグリビジネスのメカニズムが述べられているので、見てみましょう。p73~75 <食品業界とウォール街の最強タッグ> 垂直統合による食と農業ビジネスの巨大化を誰よりも歓迎したのは「ウォール街」だ。 大手銀行や投資銀行、資本家、ヘッジファンドらは、食の業界における吸収・合併に積極的に関与し、資金融資から入札のための有価証券発行、新規株式公開手続きや戦略的アドバイスにいたるまで、あらゆる金融サービスを提供して後押しした。数十億ドル市場の農業ビジネスと食品加工業界は、銀行にとってはトップクラスの大口有料顧客だ。海外からの原材料仕入れが拡大するなか、海外市場とのキャッシュ管理だけで毎月莫大な手数料が入ってくる。 食と農業ビジネスの統合が進めば進むほど、ウォール街には手数料が湯水のごとく流れこんだ。リーマンショックでアメリカ経済全体が、深刻な不況と高失業率に苦しんでいたときでさえ、ウォール街から活気が消えることはなかった。アメリカ国内のSNAP受給者が4600万人という史上最大記録を突破する一方で、食品業界では2009年から2011年の2年間でおよそ1000件の吸収・合併契約が成立。そしてこの勢いは、今も衰えることなく加速し続けている。 「この数十年で最も二極化が大きく進んだのは、リーマンショックで景気が一気に悪化した時期でした。経済破綻を起こした張本人であるウォール街の人間たちは、自分たちの引き起こした惨事への反省はそっちのけで、どんどんスケールが大きくなる食品業界の買収・合併で得られるブローカー手数料の計算に夢中だったのです」 そう語るのは、マンハッタン在住の証券アナリスト、マーク・ブラウンだ。 「今でも忘れられないのは、このころ大きくニュースになった、クラフト社による、英系企業キャドバリー社の買収ですね。190億ドル(約1兆9000億円)という大きな額で行われたこの買収劇には大手金融機関や投資銀行がたくさん関わった。そのときの筆頭アドバイザー兼融資元は、政府から最大額の公金を受けて救済されたばかりの、シティグループとモルガンスタンレーでしたよ」 ウォール街とタッグを組んで吸収・合併を繰り返し、企業規模が拡大するにつれ、食品・アグリビジネス企業の役員会や株主には、金融業界幹部の名が増えていった。食品加工企業上位20社の株式を直接または間接保有する株主は現在436人だ。彼らは特定の業界または相互に便宜を図る形でさまざまな決定を下し、国境を越えたネットワークを着々と張りめぐらせてゆく。 「ビジネスは大規模になると、ウォール街にとってのドル箱になります。規制緩和と寡占化で巨大化した「食」と「農業」が優良投資商品になる条件が揃ったところで、金融業界は強力なロビー活動を行ない、政府に対し一気に法改正の圧力をかけました」 2000年にクリントン大統領は、商品市場の規制を緩和するに署名、これにより「食料価格」は、ウォール街の望みどおり、株式と同じようなマネーゲームの対象になった。 この法改正によって、先物取引の性質は大きく変えられてゆく。 それまで農家とメーカーの間の先物契約は、収穫された作物を重量あたりの合意価格で売買し、メーカーが作物をその価格のまま関連会社に売却するしくみだった。これによって、生産者もメーカーも極端な価格変動から守られる。ところが「商品先物近代化法」によって、この図の中にウォール街という第三プレイヤーが入り、メーカーは農家との「先物契約」を、合意価格に上乗せした「商品」として投資銀行に売れるようになった。ウーム 「食料」は投機の対象となったのか・・・ウォール街の資金にあかしたロビー活動が効いたようですね。まったくアグリーな(汚い)業界である。
2021.02.15
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図書館で『シルバー・デモクラシー』という本を手にしたのです。この本でシルバーと称している世代は団塊世代を指すわけで、ちょうど我々の世代であり無視できないわけでおます。ところで、帰って調べてみるとこの本を借りたのは2度目だと判明したのです。・・・で、この記事を(その5)とします。【シルバー・デモクラシー】寺島実郎著、岩波書店、2017年刊<「BOOK」データベース>より戦後日本人の先頭として民主主義、高度成長の恩恵を受けてきた団塊の世代。世界的な民主主義の危機が語られる今、1980年の論稿「われら戦後世代の『坂の上の雲』」のタイムカプセルを開け、35年後の高齢化した都市新中間層の現状をみつめ、シルバーが貢献する新たなデモクラシーへの視界を探る。参画型社会構築への提言。<読む前の大使寸評>この本でシルバーと称している世代は団塊世代を指すわけで、ちょうど我々の世代であり無視できないわけでおます。rakutenシルバー・デモクラシー老後破産とか二極分化する高齢者が気になるので、見てみましょう。p126~128 <二極分化する高齢者の経済問題> 高齢者の経済状態は、一般論で単純に判断できないほど、二極分化が進んでいる。人口の27%、3400万人が2015年時点での高齢者人口だが、あえて高齢者を経済状態で分類するならば、約20%(700万人)が「金融資産1000万円以下で、年金と所得の合計が200万円以下」の「下流老人」であり、約15%(500万人)が「金融資産5000万円以上で、年金と所得の合計が1400万円以上」の「金持ち老人」で、残りの約2200万人が「中間層老人」といえるが、この中間層老人が「病気・介護・事故」などを機に、下流老人に没落する事例が急増しているという。 生活保護受給世帯159万世帯のうち79万世帯が高齢者世帯であり、「貧困化する高齢者」問題も深刻である。 確かに、高齢者の平均貯蓄額(2014年)は2467万円と意外なほど高いが、1000万円以下が36%、2000万円以下が60%で、富は偏在しているのである。つまり、安定した経済状態にある高齢者層が確実に圧縮しているといえよう。 「老後破産」の現実について、NHKスペシャル『老人漂流社会~“老後破産”の現実』での放送を単行本化した『老後破産―長寿という悪夢』(新潮社2015年)は注目すべき現実を報告している。年金生活は、些細なきっかけから破産へと追い込まれる危うさを抱えていることを思い知らされる。 また、『週刊東洋経済』は、「下流老人」特集や「キレる老人」特集と、支えるコミュニティを失った高齢化社会の断面に迫る規格を積み上げており、高齢化の現実について深く考えさせられる。 こうした潜在不安を抱える高齢者、とりわけ中間層から金持ち老人にかけての層、約270万人が、金融資産、株式投資に最も敏感な層であり、「とにかく株が上がればめでたい」という心理を潜在させ、アベノミクス的「資産インフレ誘発政策」を支持する傾向を示すのである。 結局、アベノミクスの恩恵を受けるのは、資産を保有する高齢者と円安メリットを受ける輸出志向型企業だという構図がはっきりとしてきた。ここから生ずる世代間格差と分配の適正化という問題意識を持たねば、金融政策に過剰に依存して「調整インフレ」を実現しようとする政策は社会構造の歪みを招き、まちがった国えと向かわせるであろう。 <本当に深刻なのはこれから来る高齢化社会> 日本の社会的意思決定において、高齢化が問題になるのは、現在よりも5年から10年先の時代においてであろう。高齢者の貧困化、二極分化がより一層際立つと予想されるからである。つまり、現在40歳から60歳前後の現役の壮年層が高齢者となる頃の日本において、より一層厳しい格差と貧困が予想されるのである。ウーム 高齢者の医療負担を2割とする応分負担が決まったが、高齢者の貧困化に加えて容赦のない経済政策ではある。『シルバー・デモクラシー』1:日本の貧困化と世代間格差p123~128『シルバー・デモクラシー』2:現在進行中の国家資本主義p151~153『シルバー・デモクラシー』3:日本の産業構造のあり方p174~177『シルバー・デモクラシー』4:都市新中間層としてp54~56
2021.02.14
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今回借りた4冊です。だいたい支離滅裂に借りているけど、今回の傾向は、強いていえば、「チェーン読書」でしょうか♪<市立図書館>・笹まくら・剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻・図書館超活用術・守られてきた地球(ナショナルジオグラフィック2020年4月号)<大学図書館>(ただいま市民への開放サービスを休止中)図書館で手当たり次第で本を探すのがわりと楽しいが・・・これが、図書館での正しい探し方ではないかと思ったりする(笑)***********************************************************【笹まくら】丸谷才一著、新潮社、1974年刊<レビュー>より米原万理さんの書評を見ていたら、この本が絶賛されていましたので、今回、購入いたしました。<読む前の大使寸評>『猫のつもりが虎』で述べられた薀蓄が良かったので、引きつづいてこの本を予約した次第です。<図書館予約:(2/04予約、副本2、予約0)>rakuten笹まくら************************************************************【剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻】サマセット・モーム著、三笠書房、1951年刊<「BOOK」データベース (ちくま文庫)>よりイザベルの叔父で上流社会に出入りすることを生き甲斐とするエリオット。イザベルの幼なじみで、非業の最期をとげるソフィ…。人物描写鋭く、次々と展開してゆくストーリー。その中に人間の根源、人間本来の生き方を鋭く問う著者晩年の傑作小説。<読む前の大使寸評>予約後5日でゲットした本である。神戸市が堅牢な外装を施しているが、中身は1951年刊行のままなので、茶色く変色しています。・・・どおりで、この本を楽天とアマゾンで探しても出なかったわけだ。<図書館予約:(2/08予約、副本1、予約0)>amazon剃刀の刃(ちくま文庫)************************************************************【図書館超活用術】奥野宣之著、朝日新聞出版、2016年刊<「BOOK」データベース>よりこれからの時代、「図書館利用術」が最強である!図書館がいま、スゴいことになっている!?知ってる人だけトクをする「技」が満載!! --このテキストは、tankobon_hardcover版に関連付けられています。<読む前の大使寸評>知ってる人だけトクをする「技」だって?・・・これは必読でんな。amazon図書館超活用術************************************************************【守られてきた地球(ナショナルジオグラフィック2020年4月号)】雑誌、日経ナショナルジオグラフィック社、2020年刊<商品レビュー>より幅広くいろんなことを知るにはとてもよかった。傷つけられた・守られた、で印刷が逆さになっておりますが、本を立てようとすると「守られた」の方になります。ナショナルジオグラフィックは、希望ある地球の未来を歩みたいというメッセージなのかなと勝手に妄想しました。<読む前の大使寸評>おお ナショナルジオグラフィックの50回アースデイ特別号ではないか、これは借りるしかないでえ♪amazon守られてきた地球(ナショナルジオグラフィック2020年4月号)************************************************************図書館大好き467
2021.02.14
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<図書館予約の軌跡243>『朝日デジタルの書評から』フォームや『読みたい本』フォームを作っているのだが、これを市図書館の予約に利用しようと、思い立ったのです。これまでの予約内容と予約候補は以下のとおりです。<予約中>・川越宗一『熱源』(6/08予約、副本33、予約676)現在201位・ブレイディみかこ『ワールドサイドをほっつき歩け』(9/19予約、副本13予約218)現在99位・小川洋子『密やかな結晶』(10/8予約、副本4、予約59)現在23位・ショーン・タン『内なる町から来た話』(11/3予約、副本3、予約35)現在17位・池井戸潤『半沢直樹 アルルカンと道化師』(11/29予約、副本33、予約644)現在498位・NHKスペシャル取材班『やばいデジタル』(12/23予約、副本3、予約18)現在11位・多和田葉子『星に仄めかされて』(1/05予約、副本5、予約20)現在8位・内田樹『コモンの再生』(1/05予約、副本2、予約21)現在18位・出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記:(1/06予約、副本5、予約58)現在44位・三浦しをん『マナーはいらない』(1/9予約、副本11、予約58)現在34位・村上春樹『一人称単数』(1/27予約、副本26、予約301)現在276位<カートで待機中>・N・ネフスキー著『月と不死』・8月の果て・ある日うっかりPTA(副本4、予約39)・グレタたったひとりのストライキ<予約候補>・椎名誠『遺言未満』:図書館未収蔵・桜庭一樹『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』・桐野夏生『日没』・平松洋子『買えない味』・『ラガナ一家のニッポン日記』・オードリー・タン 自由への手紙・オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る・高野秀行『幻のアフリカ納豆を追え!』・「仮住まい」と戦後日本・頭木弘樹『食べることと出すこと』:図書館未収蔵・小野正嗣『多和田語の世界』:図書館未収蔵・本村凌二『馬の世界史』・柏耕一『交通誘導員ヨレヨレ日記』・藻谷浩介『進化する里山資本主義』・多和田葉子『文字移植』:図書館未収蔵・山内 一也『ウイルス究極の寄生生命体 (NHK人間講座)』・高野秀行「怪獣記」・キネマ旬報(ありがとう、和田誠さん)・橋本治『黄金夜界』・中園成生『日本捕鯨史』・高野秀行「ワセダ三畳青春記」・つげ義春『ガロ 1968 前衛マンガの試行と軌跡』・ヘミングウェイで学ぶ英文法:図書館未収蔵・内澤旬子『ストーカーとの七00日戦争』:図書館未収蔵・ジョージ・ミーガン『世界最長の徒歩旅行』:図書館未収蔵・ネルケ無方著『迷える者の禅修業』<予約分受取:12/17以降> ・白川静さんに学ぶ これが日本語(12/14予約、12/17受取)・山本文緒『日々是作文』(12/23予約、1/05受取)・紗倉まな『春、死なん』(6/14予約、1/05受取)・浅田次郎『大名倒産(下)』(3/17予約、1/13受取)・小川洋子『ことり』(1/19予約、1/22受取)・ユヴァル・ノア・ハラリ『緊急提言 パンデミック』(11/14予約、1/22受取)・ブレイディみかこ『ブロークン・ブリテンに聞け』(12/9予約、1/30受取)・わたしたちが孤児だったころ(2/02予約、2/05受取)・丸谷才一「笹まくら」(2/04予約、2/09受取)・剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻(2/08予約、2/13受取)***********************************************************************【熱源】川越宗一著、文藝春秋、2019年刊<「BOOK」データベース>より故郷を奪われ、生き方を変えられた。それでもアイヌがアイヌとして生きているうちに、やりとげなければならないことがある。北海道のさらに北に浮かぶ島、樺太(サハリン)。人を拒むような極寒の地で、時代に翻弄されながら、それでも生きていくための「熱」を追い求める人々がいた。明治維新後、樺太のアイヌに何が起こっていたのか。見たことのない感情に心を揺り動かされる、圧巻の歴史小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(6/08予約、副本33、予約676)>rakuten熱源【ワールドサイドをほっつき歩け!】ブレイディみかこ著、筑摩書房、2020年刊<「BOOK」データベース>よりEU離脱、競争激化社会、緊縮財政などの大問題に立ち上がり、人生という長い旅路を行く中高年への祝福に満ちたエッセイ21編。第2章は、現代英国の世代、階級、酒事情についての著者解説編。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(9/19予約、副本13、予約218)>rakutenワールドサイドをほっつき歩け【内なる町から来た話】ショーン・タン著、河出書房新社、2020年刊<「BOOK」データベース>より“人間を訴えたクマ”“カエルを救う秘書”“空の魚を釣り上げた兄弟”25話のセンス・オブ・ワンダー!世界三大児童書賞のひとつ、ケイト・グリーナウェイ賞2020年受賞作!<読む前の大使寸評>マルチタレントのショーン・タンは元々、絵本作家であり・・・大使はそのイラストが大好きでおます♪<図書館予約:(11/3予約、副本3、予約35)>rakuten内なる町から来た話【半沢直樹 アルルカンと道化師】池井戸潤著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとに、とある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版舎・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とはー。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(11/29予約、副本33、予約644)>rakuten半沢直樹 アルルカンと道化師【やばいデジタル】NHKスペシャル取材班著、講談社、2020年刊<出版社>よりあなたの人生は、わずか2.74GB(ギガバイト)。2020年の1年間で生み出されたデータ量は「50,000,000,000,000GB」。デジタルは、私たちの社会をさらに自由に、豊かにしてくれるーー。しかし、それが実にはかない願望であったことを、私たちはいま実感させられている。SNSの広がりは「真実」と「フェイク」の境界をあいまいにし、私たちは「フェイク」に踊らされるようになった。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(12/23予約、副本3、予約18)>rakutenやばいデジタル【星に仄めかされて】多和田葉子著、講談社、2020年刊<「BOOK」データベース>より世界文学の旗手が紡ぎだす国境を越えた物語の新展開!失われた国の言葉を探して地球を旅する仲間が出会ったものはー?<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、副本5、予約20)>rakuten星に仄めかされて【コモンの再生】内田樹著、文藝春秋、2020年刊<出版社>より天下りのマッチポンプ、地方の過疎化、アンチ・グローバル化現象……コモン(共有地)の再生が日本の活路を開く!・西部劇『シェーン』が示すコモンをめぐる原理的な主題・ベーシックインカムの成否を決定づける要素とは?・トランプ現象とアンチ・グローバリズムの流れ・マナーの悪い「幼児的」なオヤジのマウンティングについて・明治維新前の藩制度とフランスのコミューンの共通点・「自我の支配」から解放される瞑想のやり方……etc.分断を超えて、新しい共同幻想が立ち上がる希望の書。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/05予約、副本2、予約21)>rakutenコモンの再生【出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記】宮崎伸治著、フォレスト出版、2020年刊<「BOOK」データベース>より30代のころの私は、次から次へと執筆・翻訳の依頼が舞い込み、1年365日フル稼働が当たり前だった。その結果、30代の10年間で50冊ほどの単行本を出すに至った。が、そんな私もふと気がついてみれば、最後に本を出してから8年以上も経っていた。-なぜか?私が出版業界から足を洗うまでの全軌跡をご紹介しよう。出版界の暗部に斬りこむ天国と地獄のドキュメント。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/06予約、副本5、予約58)>rakuten出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記【マナーはいらない】三浦しをん著、集英社、2020年刊<「BOOK」データベース>より長編・短編を問わず、小説を「書く人」「書きたい人」へ。人称、構成、推敲など基本のキから、タイトルのつけ方や取材方法まで、本書タイトルにあやかって「コース仕立て」でお届けする大充実の全二十四皿。あの作品の誕生秘話や、手書き構想メモを初公開。もちろん(某きらめく一族への)爆笑激愛こぼれ話も満載で、全・三浦しをんファン必読の書…!金言ばかりのWeb連載「小説を書くためのプチアドバイス」を完全書籍化。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/9予約、副本11、予約58)>rakutenマナーはいらない【一人称単数】村上春樹著、文藝春秋、2020年刊<「BOOK」データベース>より短篇小説は、ひとつの世界のたくさんの切り口だ。6年ぶりに放たれる、8作からなる短篇小説集。【目次】石のまくらに/クリーム/チャーリー・パーカー・プレイズ・ボサノヴァ/ウィズ・ザ・ビートルズ/ヤクルト・スワローズ詩集/謝肉祭/品川猿の告白/一人称単数<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(1/27予約、副本26、予約301)>rakuten一人称単数【剃刀の刃/サマセット・モーム選集第5巻】サマセット・モーム著、新潮社、1974年刊<「BOOK」データベース (ちくま文庫)>よりイザベルの叔父で上流社会に出入りすることを生き甲斐とするエリオット。イザベルの幼なじみで、非業の最期をとげるソフィ…。人物描写鋭く、次々と展開してゆくストーリー。その中に人間の根源、人間本来の生き方を鋭く問う著者晩年の傑作小説。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(2/08予約、副本1、予約0)>amazon剃刀の刃(ちくま文庫)【月と不死】N・ネフスキー著、平凡社、1971年刊<出版社>より著者は日本民俗学界の異色の存在として知られるロシア人学者で,柳田国男,折口信夫らと親交を結び,沖縄,東北などの民俗を採録した。本書は日本語で発表された論文・書簡を網羅した唯一の著作集。<読む前の大使寸評>ロシア人にして、日本民俗学界の異色の存在が気になるのです。<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>heibonsha月と不死【8月の果て】柳美里著、新潮社、2007年刊<「BOOK」データベース>より日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。<読む前の大使寸評>追って記入<図書館予約:(とりあえずカートに入れておこう)>rakuten8月の果て予約分受取目録R26好書好日トップ図書館情報ネットワーク 蔵書検索システム図書館予約の運用にも慣れて、速攻で入手するコツも何となくつかんだと思うのだ♪・朝日書評欄で探すとしたら、3ヶ月前掲載くらいのモノが狙い目かも。・専門的すぎるほどのモノは、予約0となっていることが多い。・受取館に収蔵しているモノは、移送する手間が省けるので早くなるだろう。・本屋の店頭に出た直後の新刊本・ウィキペディアでめぼしい著作を探す・神戸市図書館の予約順位は毎週火曜日(午前1時~3時) に更新されます。・Kindle版を購入すれば、その本の全て読めるのだが、紙の本から書き写す手間が好きなわけでおます。図書館予約の軌跡242
2021.02.14
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<『わたしたちが孤児だったころ』2>図書館に予約していた『わたしたちが孤児だったころ』という文庫本を、ゲットしたのです。カズオ・イシグロがノーベル賞を受賞したことだし・・・ということで予約していたのだが、ゲッ、かなり分厚い本である。【わたしたちが孤児だったころ】カズオ・イシグロ著、早川書房、2001年刊<「BOOK」データベース>より1900年代初めに謎の失踪を遂げた両親を探し求めて、探偵は混沌と喧騒の街、上海を再訪する。現代イギリス最高峰といわれる作家が失われた過去と記憶をスリリングに描く至高の物語。<読む前の大使寸評>カズオ・イシグロがノーベル賞を受賞したことだし・・・ということで予約していたのだが、ゲッ、かなり分厚い本である。<図書館予約:(3/25予約、6/10受取)>rakutenわたしたちが孤児だったころ前半の語り口を、ちょっとだけ見てみましょう。p89~97PART2 1931年5月15日 ロンドン 上海の我が家の庭の奥には草の生えた小山がひとつあり、その頂上にカエデの木が一本生えていた。アキラとわたしは6歳のころから、その小山あたりで遊んでいた。今、少年時代のこの友人のことを考えるときはいつも、二人でこの小山を駆け上がったり駆け下りたり、ときには傾斜がいちばんきつくなっているところから飛び降りたりしていたことを思い出す。 ときどき疲れはてると、小山のてっぺんに座ってカエデの木の幹に背中をもたせかけて、はあはあとあえいだ。この見晴らしのいい場所からは、うちの庭全体とその庭の端に建っている白い大きな我が家がはっきりと見渡せた。 一瞬でも目を閉じると、その光景がありありと目に浮かんでくる。丹念に手入れされた“イギリス風”の芝生、うちの庭とアキラの家の庭とを区切るニレの木立が投げかける午後の木陰、それから格子状の柵で囲まれたバルコニーと翼部がいっぱい突き出た巨大な白い建物の我が家。 この家の記憶は子供の目から見たものであって、実際はそれほど壮大なものではなかったと思う。当時でさえ、我が家がバブリング・ウェル・ロードのあたりにある豪邸にはとても及ばないものだということは自分でも意識していた。しかし、その建物が両親とわたしとメイ・リーと他の使用人しかいないわたしたち一家にはじゅうぶんすぎるものだったことは確かだった。 その家はモーガンブルック&バイアット社の社宅だった。それは、家の中にはわたしが触れることを禁じられている装飾品や絵画がたくさんあるということであり、ときどき我が家に“お客様”を泊めることをも意味した。この“お客様”とは上海に着いたばかりで、これからこの地に慣れなければならない新しい社員のことだ。 わたしの両親がこの取り決めを不服に思っていたかどうかは知らない。わたしとしてはまったくかまわなかった。お客様はふつう若い男性で、『たのしい川辺』でしか知らないイギリスの小道や牧場、あるいはコナン・ドイルの推理小説に出てくる霧深い通りなどの雰囲気を持ちこんできてくれたからだ。これら若いイギリス人男性は、好印象を与えようと一生懸命だったのだろう、わたしの矢継ぎ早の質問にも、ときには無茶な要求にもいやな顔もせずに答えてくれた。 今から考えると、彼らの大半は、おそらく今のわたしよりも若く、故郷を遠く離れて途方に暮れていたのだろう。しかし、当時のわたしから見れば、彼らはみな間近に観察して熱心に習うべき先輩たちなのだった。(中略) それから、アキラは実際にはわたしより1ヵ月年長なだけだったが、彼のほうがずっと世知に長けているとわたしは感じていた。彼はわたしの知らないいろいろなことを知っているようだった。中でも彼が租界の外に何度も冒険に出かけていると言っている点では勝てなかった。 今から振り返ると、まだ幼かったわたしたちがよくもあれほど遠くまで監視もなしに遊び回るのを許してもらえたものだと、多少驚くほどだ。とはいっても、それはもちろん租界の比較的安全な圏内に限っての話だった。わたしは街の中国人居住区に入ることは絶対にだめだと禁止されていた。 わたしの知るかぎりでは、アキラの両親もこの件に関しては同様に厳しかったはずだ。そこはぞっとするような病気がはびこる不潔な場所で、悪人の巣窟だと言われていた。わたしが疎開の外に出て中国人街にもっとも近づいたのは、母と一緒に乗った馬車が、思いがけず閘北地区に隣接している蘇州河に沿った道を行ったときのことだった。運河の向こうに屋根の低い家々がひしめきあって並んでいるのが見えた。 わたしはこの狭い運河をわたって疫病が空中を飛んでくるのではないかと恐れて、我慢できるかぎり息を止めていた。だから、そのような地区に何度も冒険に出かけていったと主張する友人の言葉が、わたしの心を捉えたのも無理はなかった。 わたしはアキラにそれらの大手柄のことを繰り返ししつこく訊いたことを覚えている。中国人居住区の実態は噂よりもはるかにひどいものだ、とアキラはわたしに言った。まともな建物などはなく、ただみすぼらしい小屋が互いに折り重なるようにひしめきあって建っている。その様子はブーン・ロードの市場に似ている。ウン 1930年代の上海を舞台にした冒険譚といえば『タンタンの冒険』を彷彿とするが・・・期待できそうやでぇ♪『わたしたちが孤児だったころ』1
2021.02.13
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図書館に予約していた『わたしたちが孤児だったころ』という本を、ゲットしたのです。カズオ・イシグロがノーベル賞を受賞したことだし・・・ということで予約していたのだが、ゲッ、かなり分厚い本である。【わたしたちが孤児だったころ】カズオ・イシグロ著、早川書房、2001年刊<「BOOK」データベース>より1900年代初めに謎の失踪を遂げた両親を探し求めて、探偵は混沌と喧騒の街、上海を再訪する。現代イギリス最高峰といわれる作家が失われた過去と記憶をスリリングに描く至高の物語。<読む前の大使寸評>カズオ・イシグロがノーベル賞を受賞したことだし・・・ということで予約していたのだが、ゲッ、かなり分厚い本である。<図書館予約:(3/25予約、6/10受取)>rakutenわたしたちが孤児だったころこの分厚い小説の語り口を、ちょっとだけ見てみましょう。p12~13PART1 1930年7月24日 ロンドン その最初の出来事は、わたしの14歳の誕生日のことだ。当時の親友二人、ロバート・ソーントン・ブラウンとラッセル・スタントンが、わたしを村のティー・ルームに連れていってくれ、そこでわたしたちはスコーンとクリーム・ケーキを食べながら楽しんでいた。 雨の降る土曜の午後、他のテーブルもすべて満席だった。数分おきに雨でびしょ濡れになった村人が店に入ってきては店内を見回し、まるですぐさま席を空けるべきだというような目つきで、わたしたちを見た。しかし、店主のミセス・ジョーダンはいつもわたしたちに対してやさしく、わたしの誕生日であったその日の午後、わたしたちは村の広場を眺められる張り出し窓のわきの選ばれたテーブルを占める当然の権利があるような気がしていた。 その日なにをしゃべったのか大半は忘れてしまった。しかし、思う存分食べたあと、二人の友人は互いに目配せをし、それからソーントン・ブラウンが肩掛けかばんに手をつっこんで、わたしにプレゼント用の包装をした包みを渡した。 包みを開けようと手にしたとたんに、わたしはこの包みが紙で何重にも包まれていること、そしてわたしが1枚はがしても、また次の包装紙が出てくるだけなので、そのたびに友人たちが声を出して笑うだろうということがわかった。そしてそれらをすべて開けた最後に、なにか冗談のようなばかばかしいものがみつかるのだと。最後の包みを開けて出てきたものは、古色蒼然とした皮製の箱で、わたしが小さな掛け金をはずしてふたを開けると、そこには拡大鏡が入っていた。 その拡大鏡は今もこの目の前においてある。あれから何年もたったのに見た目はそれほど変わっていない。あの日の午後にすでにこの拡大鏡はかなり時代を経ていた。当時その事実にわたしが気づいていたこと、そしてこの拡大鏡がひじょうに倍率が高くて、驚くほど重かったこと、それから象牙の柄の片面にだけ文字が下まで彫りこんであったことを覚えている。後になってわかったことだが(その文字を読むためには別の拡大鏡が必用だった)この拡大鏡は1887年にチューリヒで製造されたものだった。 この贈り物をもらったわたしの最初の反応は異常なまでの興奮だった。あまりに夢中になったために、二人がわたしをからかっておおげさに笑っているのにもわたしはぼんやりとしか気づかなかった。恥ずかしくなってようやく顔を上げたときには、二人とも不安そうに押し黙っていた。そのときソーントン・ブラウンが所在なげに笑いながら、こう言った。 「きみは探偵になるつもりらしいから、こういうものがいるんじゃないかと思ったんだ」 この時点で、わたしはあわてて機知を取り戻して、おおげさな反応はすべて冗談だったという振りをした。だが、そのときにはすでに二人とも自分たちの当初の目論見がはずれたような気になっていて、そのティー・ルームでの残りの時間、どうしてもそれまでのような居心地のいい雰囲気を取り戻すことはできなかった。このあと、この小説はミステリー調で続くのでしょうか?とにかくカズオ・イシグロは、SF調であれ何であれ、どんなジャンルでも書いてしまうオールラウンダーな作家である。1930年代の上海を舞台にしたミステリーなら・・・期待できそうやでぇ♪ちなみに、『カズオ・イシグロの世界』という本の解説では、『わたしたちが孤児だったころ』はエモーショナルな自伝であると言及しています。
2021.02.13
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『アシェンデン』という本を読んだのです。このところ、なにかとモームが気になるので、モームに関して集めてみます。・アジア幻想(1989年刊)・スパイだったスパイ小説家たち(1990年刊)・アシェンデン(2017年刊)・現代に生きるサマセット・モーム(2020年刊)ラッフルズ・ホテルR2:『現代に生きるサマセット・モーム』を追記*****************************************************************************【アジア幻想】村松友視著、講談社、1989年刊<「BOOK」データベース>より“擬似楽園”に深く刻まれた?マークの謎。ラッフルズ・ホテルの木陰にたたずむとなぜか苦渋にみちたモームが現われてきた…。<読む前の大使寸評>この本の副題が「モームを旅する」となっているが、和田誠さんの本で『アシェンデン』の書評を読んだあとだけに・・・モームにいたく惹かれる大使でおます。amazonアジア幻想『アジア幻想』1:イギリス文壇から冷遇されたモーム『アジア幻想』2:東洋におけるモーム*****************************************************************************【スパイだったスパイ小説家たち】アンソニー マスターズ著、新潮社、1990年刊<「BOOK」データベース>よりジョン・ル・カレ、イアン・フレミング、グレアム・グリーン、サマセット・モーム…。元スパイだった彼らの作品はいかなる状況のもとに生みだされたのか。作家の実人生と作品との関りあいを綿密に探る。<読む前の大使寸評>ジョン・ル・カレやサマセット・モームが元スパイだったって・・・これは読んでみるしかないようです。amazonスパイだったスパイ小説家たち『スパイだったスパイ小説家たち』1:生い立ちから情報部員への登用まで『スパイだったスパイ小説家たち』2:アシェンデン物語に関する部分『スパイだったスパイ小説家たち』3:ロシアでの任務*****************************************************************************【アシェンデン】サマセット モーム著、新潮社、2017年刊<「BOOK」データベース>より時はロシア革命と第一次大戦の最中。英国のスパイであるアシェンデンは上司Rからの密命を帯び、中立国スイスを拠点としてヨーロッパ各国を渡り歩いている。一癖も二癖もあるメキシコやギリシア、インドなどの諜報員や工作員と接触しつつアシェンデンが目撃した、愛と裏切りと革命の日々。そしてその果てにある人間の真実―。諜報員として活躍したモームによるスパイ小説の先駆にして金字塔。Star Classics名作新訳コレクション。<読む前の大使寸評>諜報員としての経歴を持つモームの描くスパイ小説とは如何なるものか・・・期待できそうである。<図書館予約:(10/22予約、10/24受取)>amazonアシェンデン『アシェンデン』1:第3章ミス・キング『アシェンデン』2:第6章 ギリシャ人のスパイ***************************************************************************** <『現代に生きるサマセット・モーム』2>図書館で『現代に生きるサマセット・モーム』という本を手にしたのです。モームの代表作と言えば「月と六ペンス」となるのかもしれないが、わたしの出会いは「アシェンデン」だったわけで・・・情報部に属してお国のために働いたモームを評価しているのでおます。【現代に生きるサマセット・モーム】清水明著、音羽書房鶴見書店、2020年刊<「BOOK」データベース>より名作『月と六ペンス』出版から一世紀、いま、時代の岐路に立つ人々への指針となるモーム文学の魅力。<読む前の大使寸評>モームの代表作と言えば「月と六ペンス」となるのかもしれないが、わたしの出会いは「アシェンデン」だったわけで・・・情報部に属してお国のために働いたモームを評価しているのでおます。rakuten現代に生きるサマセット・モーム『現代に生きるサマセット・モーム』2:『剃刀の刃』『現代に生きるサマセット・モーム』1:『月と六ペンス』
2021.02.12
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図書館で『作家の履歴書』という本を手にしたのです。この本については、昔読んだような気がするが、再読しても面白そうだからということで借りたのです。帰って調べてみたら、やはり7年前に借りていました。で、この記事を(その5)としました。【作家の履歴書】阿川佐和子、他著、KADOKAWA、2014年刊<商品説明>より当代きっての人気作家が、志望動機や実際に応募した文学賞、デビューのきっかけなど、作家になるための方法を赤裸々に語るノンフィクション。作家志望者必読の、様々なデビュー方法が具体的に学べる決定版!<読む前の大使寸評>この本については、昔読んだような気がするが、再読しても面白そうだからということで借りたのです。rakuten作家の履歴書朝日新聞に週1回、著者の小説『火の鳥』が連載されていて、てっきり男の作家だと思っていたが女性作家だったのです。その桜庭一樹を、見てみましょう。p78~11<桜庭一樹>■志望動機 ものごころつくぐらいから読むことが好きでした。まだ字が読めないうちに絵本を音読していて親は「神童?」といろめきたったようですが、開いたページの先まで読むので、読み聞かせてもらった内容を覚えてただけとわかったそうです。 小学五、六年生のとき同じクラスにいたのが大人向けの世界文学全集を読むような子で、同人誌みたいな感じで自分でも書いているのを見てマネするようになりました。中学生のときには、ギャグばかりの短いものを書いて、友達に受けるのが楽しかったです。 とにかく本が好きだったので、作家か本屋さんか図書館の司書になりたいと思っていました。田舎の子どもですからそれ以外に本にかかわる仕事ってわからなくて。高校生で作家デビューする人を見るとすごいと思いますね。私は長いものが全然書けなくて、頭の中にはすごいシーンがあるのに、ちょっと書いてはまとまらないということの繰り返しでした。 二十代半ばぐらいのとき、フィリップ・マーゴリンの『黒い薔薇』という複雑なプロットのミステリーを読んでいると、図式みたいなものが急に頭に浮かんだのでA4の紙に書いてみたんです。ここで語り手が変わり、この真実がわかり、ここで伏線がとけ、って。プロットとか構成というものがようやくわかったんですね。それからはよくできていると思った本や映画の構成をA4の紙に書きだすようになりました。 しばらくはゲームのノベライズの仕事などをいていたのですが、あるときまとまったギャラが入ってきたので、2ヶ月かけて一作書き上げ、ファミ通文庫の新人賞に送りました。 神林長平さんの影響が出すぎているし設定もありがちな作品でしたが、選考委員の中村うさぎさんが、虐待されている子供がそれを愛だと思ったり、自分をかわいそうじゃないと思っていることがかわいそうだという書き方が独特で作家性があると佳作に推してくださったんです。 いま思うと、直木賞をとった『私の男』も、『GOSICK』も、『砂糖菓子の弾丸は撃ちむけない』も、転機となった作品にはすべてそのとき中村さんに言われたテーマが入っています。埋もれている資質を見つけていただき幸運にもデビューできたんですが、言われた意味が自分でわかるまでには時間がかかりました。■転機デビューしてから迷走しまして。ファミ通でも、角川スニーカー文庫でも、富士見ミウテリー文庫でも売れない。次がだめならさうがにもう声をかけてもらえないという時期に友達四人と海外旅行に行ったんです。 海外に慣れてる子がツアコン役で、行き先は教えない、水着と夏服を持って成田に集合と言われ、行きの飛行機で『地球の歩き方』のプーケット編を渡されて。一ヶ所だけ行きたいところはと聞かれ、格闘技が好きなのでエムタイが見たいと言いました。 旅先でも仕事が頭から離れませんでしたが、エムタイを見たりしているうちに一回、空っぽになって。帰って頭に浮かんだのが、非合法のキャットファイトをやる、帰る場所のない女の子たちの物語『赤×ピンク』だったんです。 一ヶ月で書き上げて、レーベルのカラーにあってないかもしれないかもしれないと思いながらも初めてすんなり企画会議を通りました。『最終兵器彼女』『いいひと』の高橋しん先生が表紙を描いてくださいました。 それでも売れなかったんですよ。もうほんとにだめだと思ったけれど、読んだ編集者たちが「あれはよかった」と言ってくれて。「ここまで自分の感情をあらわに書く人ではなかったので驚いた」と言う人もいて、それまでは照れもあって自分を隠していたのが、一回解放することができたんですね。 あれが書けるなら、こういうのはどうかと富士見書房の担当者があれこれアイディアを出してくれて始まった企画が『GOSICK』です。 『GOSICK』が出て五日目、女子ボクシングの試合を見ていると携帯に電話がかかtってきました。「重版かかりました。シリーズ化します」って言われたとき、初めてプロの作家としてやっていけるかも、と思いました。■自分を作家にした経験(長くなるので、この項は割愛) 『作家の履歴書』4:阿川佐和子文p6~11『作家の履歴書』3:白石一文p103~106『作家の履歴書』2:椎名誠p86~89『作家の履歴書』1:アンケートへの回答()
2021.02.12
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図書館で『作家の履歴書』という本を手にしたのです。この本については、昔読んだような気がするが、再読しても面白そうだからということで借りたのです。帰って調べてみたら、やはり7年前に借りていました。で、この記事を(その4)としました。【作家の履歴書】阿川佐和子、他著、KADOKAWA、2014年刊<商品説明>より当代きっての人気作家が、志望動機や実際に応募した文学賞、デビューのきっかけなど、作家になるための方法を赤裸々に語るノンフィクション。作家志望者必読の、様々なデビュー方法が具体的に学べる決定版!<読む前の大使寸評>この本については、昔読んだような気がするが、再読しても面白そうだからということで借りたのです。rakuten作家の履歴書阿川佐和子さんのなりゆきが面白いので、見てみましょう。p6~11<阿川佐和子>■志望動機 人生すべてなりゆきなんで、作家になりたいと思ったことはないんです。小さい頃からなりたかったのは専業主婦ですから、大学を卒業するかしないかの内からお見合いに励み、数撃ちゃ当るはずだったのに、ね。 二十代の終りになって、どうなるんだろう私の人生と思っていたときに、たまたまテレビのリポーターの仕事をやらないかと言われて、そのギャラを当時やっていた織物の材料費にあてられるなら、という軽い気持で引き受けました。単発の仕事でしたが、二年後に同じプロデューサーから別の番組にレギュラー出演しないかと言っていただいたんです。 テレビの仕事を始めたら、父(作家の阿川弘之さん)を担当していたことのある講談社の編集者の方が「うちの『IN★POCKET』で作家にインタビューしてみない?」って。同じ頃「とらばーゆ」という雑誌でもインタビューの仕事を始めました。取材経験がないにもかかわらず、親の七光りで相手の家の玄関に入ることを許されている気がしました。 それから「婦人画報」や「週刊文春」でもエッセイの連続が始まって。これは結婚するまでの仮の姿だと思っていたんだけど、テレビを辞めてアメリカへ行って、またテレビに復帰する頃にはなんとなく仕事を続けるモードになっていました。お見合いの話もなくなってきたし。 アメリカから戻ってきた頃、飲み友達の編集者氏に「そろそろフィクションを書きませんか」って言われたんです。「子どもの物語なんだけど子どもに媚びてない、チャペックやケストナーの世界に通じるようなお話がいつか書けたらいいな」なんて話してたらしいんですよ、私。 エッセイの延長のつもりで「私」を語り部にして、普通の女の子が幼稚園に転園しtきた奇妙奇天烈な女の子と仲良くなって冒険する成長物語はどう? って。なのに五話まで進んでも二人は幼稚園に行ってる。「いつ小学校にあがるんですか」って担当の方に聞かれて、じゃあずっと幼稚園にしよう、と。計画性がないことはなはだしい。最後のつじつま合わせに苦心しながら書き上げたのが『ウメ子』です。 『ウメ子』で賞をいただき仰天していたら、今度は講談社から大人の小説を書いてくださいという話が来ました。それを書き上げたら、次は新潮社が拾ってくれて。初めての小説誌連載で、ページをめくると小池真理子さんや伊集院静さんが書いていらして、「すみません、勘弁してください」って気持ちでした。■転機(長くなるので、この項は割愛)■自分を作家にした経験 村上春樹さんに「IN★POCKET」で一度だけインタビューしたことがあるんです。小説家の苦悩も、小説の面白さもほとんどわかってない時期だったので、ほんとに「猫に小判」だったんだけど。 村上さんは「マラソンと小説を書くことは似ている」っておっしゃいました。そのときは「私はマラソン嫌いだし、だから文章書くのも嫌いなんだな」って思ったんだけど、苦しくても書き続けていたらどこかにゴールが見えてくるかもしれない、というのは、いま書いていて思うことです。 長いあいだインタビューの仕事でいろいろな方にお会いしてきて、あの時そんなふうに落ち込んでいたのか、とか、そんな悲しい思いをしたのか、といった話を聞いたことは、やっぱり小説を書くときにどこかでヒントになっています。『作家の履歴書』3:白石一文p103~106『作家の履歴書』2:椎名誠p86~89『作家の履歴書』1:アンケートへの回答()
2021.02.12
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