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2011.02.23
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カテゴリ: 経済
 23日の国会中継でも、ヤッシーこと田中議員がTPP参加の愚かしさを追及していましたね。

宇沢弘文さんのTPP批判



 TPPは2006年にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国で締結された自由貿易協定ですが、その後アメリカが東アジアにおける経済的主導権を確保・維持するため、これを環太平洋地域全体に適用しようと動いています。
 2015年までに工業製品、農産物、金融サービスなどすべての商品についての関税、その他の貿易障壁を実質的に撤廃するだけではありません。医療、公共事業、労働力まで自由化しようとしています。
 アメリカは、この究極的な貿易自由化の実現を目標に掲げて、政府間交渉を進める一方で、アメリカ自身は政府間交渉で決めたものも、自国の議会の承認がないからと、議会の要求をどんどん押しつけてくるでしょう。アメリカ的な医療を日本に持ち込もうとか。結局、日本は大きな犠牲を負うことになるのです。
 パートナーシップとはいい加減な名前です。

 菅首相は「平成の開国」といっています。「安政の開国」が念頭にあるのでしょう。
 1858年、幕末の大老・井伊直弼によって締結された日米修好通商条約は、治外法権、関税の税率は相手国が決める関税自主権の放棄、片務的最恵国待遇の三つからなる、不平等条約の最たるものです。
「安政の開国」で日本の農業は壊減的な打撃を受けました。農村は疲弊し、物価は高騰し、社会不安が形成されていきました。不平等条約改正への道はきびしく、関税自主権が回復したのはようやく1911年になってです。
「開国」を新しい明るい世界が開けると思っていたらとんでもありません。「平成の開国」と言う菅首相は、こうした歴史をどう考えているのでしょうか。

 貿易自由化の理念は、参加各国が同じ土俵に上がって、同じルールにしたがって市場競争を行うものです。
 しかし、たとえば農家一戸あたりの平均耕地面積はアメリカが日本の100倍、オーストラリアは日本の1500倍です。その差はまさにケタ違いです。それを同じルールで競争するのを良しとする考えは、社会正義の感覚に反します。
 同じ状況が世界の多くの国々にあります。だから関税の格差があるのです。各国は、それぞれの自然的、歴史的、社会的、文化的諸条件を十分考慮し、社会的安定性と持続的経済発展を求めて、自らの政策判断に基づいて関税体系を決めています。
 それをまったく根拠もない自由貿易の命題を適用し、すべての商品に対する関税の撤廃をめざすTPPに参加するなら、日本の農業を破壊し、農村がその機能を果たせなくなってしまいます。

 農業の問題を一つの産業の観点から眺めるのではなく、より広く、農の営みという人間本来のあり方に深く関わるものとして考えなければいけないと思います。
 農村の特性は、人々が生存していくために欠くことのできない食料を生産する機能を栗たしていりだけでなく、水田耕作の保水機能など自然環境を保全します。
 また人々が農業に従事するとき、工業とは違って、各人がそれぞれ主体的意思にもとづいて生産計画をたて実行に移すことが可能です。将来にわたつて大切な役割を果たすのが農村です。
 一つの国が経済的な観点だけでなく、社会的、文化的な観点からも安定的な発展を遂げるためには、農村の規模が安定的な水準に維持されることが不可欠です。

 日本は第2次大戦後のパックス・アメリカーナ(アメリカの力によるアメリカのための平和)
支配下にあって、多くのものを失ってきました。
 長い年月を通じて大事に守られてきた社会的通資本ーとくに農業、医療や教育に関わるものが壊されました。そのパックス・アメリカーナの根幹にある考えがネオリベラリズム(新自由主義)です。
 小泉政権の5年半の間に新自由主義を極限的進めた市場原理主義が「改革」の名の下に導
入され、日本社会のあらゆる分野で格差が拡大し、殺伐とした国になってしまいました。
 そんな状況のなかで2009年に政権交代があり、民主党に対して圧倒的な国民の支持がありました。ところが大多数の国民の期待を次から次へと裏切り、切り捨て、今は無残としか言いようがありません。
 TPPでも官僚ペースで着々と流れをつくて、国益を壊そうとしています。国民からみれば、自民党でも民主党でも救いがなくなっています。

 私が経済学に組み込むべきと考える社会的共通資本というのは、一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、豊かな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような自然環境や社会的装置のことです。森や大気などの自然環境、鉄道、郵便・通信などの社会的インフラストラクチャー、教育や医療、文化などの制度資本がその要素です。
 旧制一高時代のことで今でも印象に残っていることがあります。
 敗戦後の1945年9月、占領軍の将校たちが一高を接収に来ました。
 その時、哲学者でもある安倍能成校長が「一高はリベラルアーツのカレッジである。専門を問わないで人類の残してきた貴重な遺産をひたすら学んで一人の人間として成長する。同時に大切な遺産を次の世代に伝える聖なる営みをする場所だ。それを世俗的な占領の目的には使わせない」と。
 将校たちはそれを聞いて黙って帰ったのです。私はその場にいて、感動しました。これは社会的共通資本を考える私の原点です。


TPPに関して頭悪すぎの民主党中枢に対しては、頭悪すぎ包囲網を敷く必要がありそうです。






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Last updated  2011.02.23 15:51:09
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