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2015.03.16
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カテゴリ: 自然・環境
図書館で借りた『発酵する夜』をしばらくほったらかしにしていて、いま読んでいるのだが・・・
小泉武夫さんの学問的バックグラウンドの奥深さに驚くわけです。


小泉さんと南伸坊さんの対談の一部です。
バカばっか言ってるわけでないことが見てとれるわけで・・・・
この本の学問的な面が表れていて、圧巻でおま♪

<35億年の力>
:エート、そもそも発酵って何なんでしょうか。

小泉 :うーん、いきなりお勉強モードですね。それは、僕の中公新書の『発酵』という本を読めば660円でわかってしまうんですけど(笑)。要するに、微生物がなにか作用して起こることはすべて発酵なんです。それが人間にとって有益となることについてはすべて。
 ですから、実は酒やら納豆やら味噌やらという人間の口から入る発酵というのは、日本の発酵産業の17%にしかすぎない。あとの83%はなにかというと、その大きな部分を占めるのが医薬品です。抗生物質、抗ガン剤、抗エイズ剤など、発酵の薬がどんどん出てきています。 それから化学製品の分野、アミノ酸もビタミンもホルモンもみんな発酵です。 
 あとは酵素、これは微生物がつくりだすタンパク質で、ものを分解したり合成したりするんですが、消化酵素とか汚れを落とす酵素とかいろいろな酵素があります。

:汚れを落とすと言えば、先生の本の中で、色をなくしてしまう微生物を見つけられたという話があって、これはおもしろいなぁと思ったんです。

小泉 :そうなんです。色が消えるというのは、専門的に言うとアゾリダクターゼという脱色酵素があって、その酵素は、最初偶然にネズミの肝臓の細胞の中から見つかったんです。
 それでわれわれは、そんな高等動物にあるのだから、これは微生物の中にもこの酵素を持っているものがいるだろうということで、探したんですよ。ところが、何千という微生物を探しても、ない。

 そしたら、やっぱり最後はウンコです。全国の猟友会の人たちに頼んで、日本全国の山のありとあらゆる野生生物のウンコを拾ってきてもらった。猿もいればイノシシも、熊もカモシカも、カンムリワシまで、北海道から沖縄まで全部集めた。

 そうしたらなんと、秋田県の八幡平のクヌギ林にいたキジのウンコの中に、色を消してしまう酵素を持つ微生物がいたんです。探し出すのに5年くらいかかりました。

:その脱色酵素って、どういうふうにして色を消しちゃうんですか?

小泉 :なぜかというと、色というのは発色団という構造を持っていて、そこには必ず二重結合を持っている。その酵素は発色の二重結合のところだけをスパッと切ってしまうんです。だから色が消える。

:その酵素は、何だってそれを切ろうとするんですか。何か本人にとっていいことがあるわけですか。

小泉 :鋭い質問ですね。それはどうしてかというと、数億年遡らないと結論は出てこないと思います。ただ、切るというのはアクションですから、アクションを起こすとエネルギーが出ますね。そのエネルギーで彼らは生きているわけです。

 ものをくっつけたり、切ったりするエネルギーで微生物は生きている。だから生きるためには働かなければいけない、そのために、色を消してしまうやつもいるというわけです。

:ちょん切るということによって自分にとって何かいいことがあるから、ということだけなんですね。本人は別に色を消そうとしているわけじゃない。

小泉 :そういうことです。だから、そのために脱臭するやつもいれば、色を濃くする微生物もいます。

:でも、なんでネズミの肝臓の中に色を消す酵素がいたんでしょう。どういう研究で出てきたんですか。

小泉 :ネズミは雑食でいろんなものを食いますから、色素のあるものをたくさん食っているわけです。たとえばある絵をかじっている。すると色素が入る。それを分解すれば、結局その過程でエネルギーになるわけでしょう。
 ネズミの体の中にも何兆という微生物がいますから、その微生物の中には、よし、この色素を分解してエネルギーを取ってやろうというやつも当然いるはずだと思うんですね。
 ある微生物がネズミが捕食した色素を何年、何百年にもわたって摂取して、まあ一つの遺伝子のサイクルはだいたい百年ぐらいでしょうか。その間に色を分解すれば俺たちエネルギーを取れるぞということで、おそらくその色素を分解する性質を持った酵素をつくりだしたんじゃないか。そこに分解されるものがあって、よし、あれを分解したら俺は生きられるぞ、と涎を垂らす微生物がそこにいれば、新しく酵素をつくってしまうわけです。
:すごい順応力っていうか、進化ですね。

小泉 :人間で言うと進化ということになりますが、そういうのを適応酵素と言います。だから彼ら微生物は思考能力はないけれど、無意識のうちにターゲットを持っているわけです。

:無意識のうちに、ってのが不思議ですね。

小泉 :でも、事実は全くわかりません。なにしろ、地球ができて46億年、微生物が出てきたのは35億年前です。微生物は地球に存在した最初の生命体です。で、哺乳類がやっと1億5千年前にあらわれ、人間なんかはやっと400万年前に、こそこそ出てきたわけですから。

 それ以前にダーッと微生物の世界が広がっていたわけで、色を消してしまう酵素がどこで出てきたのか、なんで出てきたのか、われわれには全くわからないのです。ただ、もし色を消してしまう微生物を人間が今つくろうとしたら、日本の総国家予算をかけたって、そんなものはできません。




発酵

小泉武夫著、新潮社、2002年刊

<「BOOK」データベース>より
荒俣宏とは「世界一臭い缶詰」を開けながら、椎名誠とは上海でビールを飲みながら......「食の冒険家」小泉教授が、東海林さだお、日高敏隆、立川談志、杉浦日向子、村上信夫、高橋昇、南伸坊、嵐山光三郎ら、食にうるさい10人と、日本のうまみの原点「発酵」の薀蓄談義。臭くてうまい肴をつまみに、お酒とともに豪快愉快な対談がグイグイと進む!

<読む前の大使寸評>
著者が対談した食にうるさい10人というのが、すごい♪

Amazon 発酵する夜






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Last updated  2015.03.16 00:01:41
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