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2015.03.16
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カテゴリ: アート
図書館で借りた『発酵する夜』をしばらくほったらかしにしていて、いま読んでいるのだが・・・
小泉武夫さんの学問的バックグラウンドの奥深さに驚くわけです。

小泉さんと今はなき杉浦日向子さんの対談の一部です。
鎖国時代の日本はパラダイスみたいなものだったけど、アングロサクソンの蒸気船がその夢をぶち壊してくれましたね。

<江戸に学んで楽々21世紀>
杉浦 :今の世の中は「若さ」と「速さ」と「強さ」にしか価値を置いていないから、老人の立場がなくて、みんな実年齢より若ぶって見せる。せっかく60歳から夢のパスポートを手に入れられるというのに・・・・。なんというか、今の人は幼いんですね。自主性がない。

小泉 :自分を見誤っているところがあります。


杉浦 :世間で流行っているから、地位の高い人が薦めているからいいんだろうということで、自分はどのへんにいるのかなということばかり気にしている。偏差値的です。そして何か都合の悪いことがあると、責任転嫁する。

 江戸の人たちは自分の第六感を信じていましたし、嘘か本当かを聞き分ける能力があった。嘘を鵜呑みにしていたら明日からの生活がなくなってしまうわけですから、人の言葉の言葉尻までしっかり聞き取り、裏の裏まで読み取りました。情報に踊らされないんです。今は食べることひとつとっても、自分が何を食べたいのか、何を飲みたいのか、自分の味覚とか五感をしていないんですよね。

小泉 :江戸人と現代人の違い。それが食文化が衰退する根源です。

杉浦 :自分の健康さえ責任を持てない。たとえば健康診断なんていうのは、趣味的なものであって、あってもなくてもいいものだと私は思います。

小泉 :私もそれに大賛成。

杉浦 :病気になるには、それなりの積み重ねがあっただろうし、それはそれとして受け入れたほうがいい。いまは、健康のためなら死んでもいいみたいな人が多いじゃないですか(笑)。でも、自分に責任を持って、いつ死んでもいいというような毎日を積み重ねるのが大人でしょう。つまり生きているのと死んでいるのとが、フィフティフィフティで一緒なんです。裏表。

小泉 :いいことを言うね。うふふふ。

杉浦 :現代人は腹をくくってないという感じがします。

小泉 :命をかけていないというか。

杉浦 :江戸の人はきっぱりしている分、自分の一生に責任を持っていました。それにものすごく個人主義で、お上に何も期待していないんです。「三日法度」って言って、幕府が何を発令しても聞いちゃいないですよ。自分たちで勝手にやっていますから。

 お上なんか関係ないから、俺っちは楽しくやろうぜ、という世界なんです。「お上がやってくれない」と文句を言うのは、近代化以降の庶民です。

小泉 :そういう江戸時代の庶民の姿は、なかなか正しく伝わっていないですね。みんな江戸文化を誤解すると同時に、軽く見ているんじゃないかしら。

杉浦 :だいたい英語の片言がわかっても、古文書を読める人はいないじゃないですか。百年前の日本の文字が読めないというのは由々しきことです。たった百年ですよ。
 版木というのは活字と一緒ですから、すぐに覚えられる。やれば中学の三年間で全部読めます。でもやらない。

小泉 :教育ですね。日本は、いかに自分の国がすばらしいかということを教えず、歴史と言えば大陸から何が渡来したとか大化改新がどうのこうのとかいうことばかり。今、日本人が変なところにきちゃったのは、この5、60年で日本文化を見誤ったからじゃないかしら。

 その話が出たからお話ししますけれど、21世紀に入って、非常に大きな四つの問題があるんです。環境問題、エネルギー問題、人間の健康問題、それから食糧問題。ところがこの四つを、江戸人は全部解決していたんです。

杉浦 :そうですね。リサイクルもエコロジーも全部です。健康によい旬のものだけを食べるとか、添加物なしとか当たり前ですよね、農薬もないしね(笑)。日本がもし150年間鎖国のままでいたら、エコロジー、リサイクルで世界のトップランナー、みんなが視察に来たっでしょうね。

小泉 :そういう意味からして、江戸学は21世紀へ一歩踏み出したこれからのバイブルになる。何も科学の知識のない世界で科学をつくった江戸人の生活様式を振り返るべきです。

杉浦 :自給自足していたし。なぜ江戸は300年間も平和状態で存在しつづけたのか。しかも百万人もが暮らす非常に人口密度が高い都市で、様々な文化を育みながらやっていたんですからね。

小泉 :これはどこの文明国にもないことです。

杉浦 :上下水道完備で、ものすごく清潔で完全リサイクル。もちろんゴミ問題は多少ありましたけど。

小泉 :畑に堆肥をバーッとまいて野菜を育てて。葉っぱにくっついているサナダ虫の卵が口に入れば、お腹の中で飼う(笑)。これが江戸時代は健康のもとだったんです。

杉浦

小泉 :出世払いの世界ですね。

杉浦 :さらに表通りに面していない所に住んでいる商人は納税の義務さえないんです。大家が払う。楽チンですよ。貧しいほど楽なんです。だから出世しようという気持ちにならないし、あんまり働かない(笑)。給料が上がらなくても、食うに困らなければ今のままでいいやって。

小泉 :ラテン的ですなぁ。





発酵

小泉武夫著、新潮社、2002年刊

<「BOOK」データベース>より
荒俣宏とは「世界一臭い缶詰」を開けながら、椎名誠とは上海でビールを飲みながら......「食の冒険家」小泉教授が、東海林さだお、日高敏隆、立川談志、杉浦日向子、村上信夫、高橋昇、南伸坊、嵐山光三郎ら、食にうるさい10人と、日本のうまみの原点「発酵」の薀蓄談義。臭くてうまい肴をつまみに、お酒とともに豪快愉快な対談がグイグイと進む!

<読む前の大使寸評>
著者が対談した食にうるさい10人というのが、すごい♪

Amazon 発酵する夜


ところで新聞広告によれば・・・
杉浦日向子さんの『百日紅』がアニメーション映画として近日公開されるそうです♪
とにかく四面ブチ抜きの広告というものを初めて見て、ビックリしたのです。

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Last updated  2015.03.16 08:13:49
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