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2017.07.13
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カテゴリ: 歴史
図書館に予約していた『戦争まで』という本を、待つこと7ヵ月でゲットしたのです。
ぱらぱらとめくってみると、歴史や地政学、軍事同盟から説き起こす、ものすごくファンダメンタルなスタンスに驚いたのです。



戦争

加藤陽子著、朝日出版社、2016年刊

<出版社情報>より
この講義の目的は、みなさんの現在の日々の生活においても、将来的に大人になって社会人になった後においても、交渉事にぶちあたったとき、なにか、よりよき選択ができるように、相手方の主張、それに対する自らの主張を、掛け値なしにやりとりできるように、究極の問題例を挙げつつ、シミュレーションしようとしたことにあります。
1章 国家が歴史を書くとき、歴史が生まれるとき
2章 「選択」するとき、そこで何が起きているのか --リットン報告書を読む
3章 軍事同盟とはなにか --20日間で結ばれた日独伊三国軍事同盟
4章 日本人が戦争を選んだのはなぜか --日米交渉から見える痕跡と厚み
講義のおわりに 敗戦と憲法

<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくってみると、歴史や地政学、軍事同盟から説き起こす、ものすごくファンダメンタルなスタンスに驚いたのです。

<図書館予約:(12/9予約、7/05受取)>

rakuten 戦争まで


著者は経済を絡めて帝国日本を語っているので、見てみましょう。
p50~53
<植民地帝国日本の経済力とは>
 少し情念を前に出して語ってしまいましたが、ここからは安心して聞いていただけます(笑)。談話を読んで、日本近代史の研究成果と関連づけたとき、不満に感じられた箇所は、世界恐慌、ブロック経済、植民地支配について、この三つを関連づけた展開部分です。

 先ほど引用した、日露戦争の戦勝について述べた第二段落と、植民地経済について書いた第四段落をつなぐ部分、そのつなぎ方に、私はひっかかりを覚えました。植民地帝国を早くから築いていた西欧列強が世界恐慌に際し、いち早く経済のブロック化を進めたのに対して、遅れてきた帝国主義国であり、経済的に脆弱な資本主義国であった日本が、経済的な打撃を受け、打開の道を武力による侵攻に求めた、そのような理解でこの部分は書かれています。

 左のグラフ(イギリス・フランス・日本の対植民地輸出)を見てください。これは、戦前期に植民地帝国となっていた日本の経済史について、画期的な研究を進められてきた京都大学経済学部の堀和生先生がつくったグラフです。これがめっぽう面白い。

 イギリス、フランス、日本、この三つの国が、それぞれの植民地にむけて、どのくらい輸出していたかを表すグラフです。
 1921年時点では、やはりイギリスは力がある。インドなどの英国植民地へ向けて輸出した額は、フランスや日本を引き離して8億ドルに迫っている。対して、同じ時点での日本の対植民地輸出額は2億ドルに届かない。

(中略)
 英仏が、自国と植民地間の帝国経済をブロック化し、自国の利益のみを考えて、他国を出し抜いた結果、英仏ほどは経済の強くなかった日本などが損害を蒙り、国際協調に背を向けてグレました、とのイメージが頭の中に根強くある方もいるかもしれませんが、それは実態とは違うのです。このようなイメージは、太平洋戦争が始まって以降、特に戦況が悪化して以降の新聞やジャーナリズムにおいて、徹底して描かれたイメージに過ぎません。


更に読み進めました。
p57~59
<日本帝国と植民地との緊密な経済的結びつき>
 では、台湾、朝鮮を見てみましょうか。台湾が1937年に日本から輸入しているのは83%。日本への輸出は92%で、ほとんどが日本向けですね。朝鮮を見ても、輸入、輸出の両方とも日本との関係が8割を超えている。

 ここからなにがいえるというば、戦前期の日本は、植民地と非常に緊密な経済的連携をつくっていた国だったということです。意外にも英仏は、手から水がこぼれていっている。
 なんだか、こう、イメージが変わっていきませんか。英仏など世界帝国がブロック経済化を進めた結果、後発の遅れた帝国主義国日本は経済的に生きる道を絶たれ、やむなく武力に手を出したというイメージが。

 日本と台湾・朝鮮など植民地との関係性は、経済的な側面から確認すると、英仏とその植民地との関係性よりも、ずっと密なものでした。支配される側から見れば、それは親密な関係というより、息もつけないほど逃げ場のない緊密さだったのではないでしょうか。ですから、考えをめぐらせば、韓国など、日本の植民地にされた国の人々の記憶が、他の欧米の植民地であった国々の人々の記憶と異なったものとなったのは、ある意味では当然だといえるのです。

 堀先生によれば、台湾よりも朝鮮のほうが、日本帝国への包摂の度合いが高かったといいます。1930年代においては、朝鮮から輸出される産品の97%から98%が日本帝国内に向けたものでした。台湾には日本向けではなく、世界市場に向けて輸出しうる品目があった。このあたりに、戦後の日本に対する認識という点で、現在の韓国と台湾の間に違いが見られる要因の一つがあるのかもしれません。帝国の本国であった日本側からは与りしれない、植民地とされた国の側の戦後の歴史認識の生まれる原風景があると思います。


『戦争まで』1 :7世紀、東アジアで戦われた、日中戦争
『戦争まで』2 :談話の中の日本近代の歩み





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Last updated  2017.07.13 05:43:54
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