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2017.08.20
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『にっぽん全国百年食堂』という本を、手にしたのです。
おお シーナの得意なルポ旅もの(各県2店厳選)ではないか♪
ルポ先が東日本に片寄っているが…良しとするか。



百

椎名誠著、講談社、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
ずーっと続いているのがエライ!北は釧路から南は石垣島まで。和食洋食からラーメン、ジャンクフードまで。おらが街の名物食堂42店。汗をかきかき、ビールをぐびぐび。どこへいっても楽しかったうまかった、4年がかりの探訪記。
【目次】
青森 喜びも悲しみもあんまりねがったなあ/北海道 銅釜に手打ち。きれいはうまい/岐阜 ともに独自に75年/群馬 関東ソースカツ丼包囲網/福島 みちのく最古ラーメン探訪/新潟 和的洋食の歩んできた道/福井 越前おろしそばにあとずさる/静岡 元気な店は気持ちがいい/長野 女将がつなぐ百年の貫禄/沖縄 ぬるくもうまい八重山そば〔ほか〕

<読む前の大使寸評>
おお シーナの得意なルポ旅もの(各県2店厳選)ではないか♪
ルポ先が東日本に片寄っているが…良しとするか。

rakuten にっぽん全国百年食堂


最古ラーメンについて、見てみましょう。
p49~53
<福島:みちのく最古ラーメン探訪>
 前に簡単に書いたが、少しまえ約2年にわたって、ある小説雑誌で全国のあらゆる麺(蕎麦、うどん、ラーメン、ソーメン…等々)を食って、どれが一番うまいか、という、大変ご苦労さまな、うまくて苦しい(1日に7,8麺を食うのだ)取材仕事をした。

 題して「すすれ! 麺の甲子園」。
 その実地踏査の結果わかったことは、日本は世界でも稀な「麺大国」であり、同時に「ラーメン大国」でもある、ということだった。

 全国どこへ行ってもラーメン屋は必ずあり、長年にわたって、どこそこのラーメンはうまいとか、いやこっちのほうが断然絶品!などというガイド、評論のたぐいでけんけんゴウゴウ。テレビはネタがなくなるとタレントをラーメン屋に行かせて「すご…い!」とか「まいう…」などと言わせてお茶の間をにぎわすというかお茶をにごしてきた。

 人々はそういう話題にあおられ、うまいラーメン屋と聞くと行列をつくり、それによって店の親父がカン違いして作務衣などはおり「無限天竺細長流」とか「秘伝鳴門細切海苔麺道」などとわけのわからない説法をカウンターの向こうで叫んだりして、もうたいへんなことになっているのを目の当りにした。

 そしてそういう行列のできる店がかならずしもうまいとは限らず、話題先行で、さまよえるラーメン小僧(親父も姉ちゃんもいるが)らが錯覚の味覚に喜んでいるだけだったりするのだった。
(中略)

 年明け早々、我々取材班(いつものメンバー4人)は福島県の会津若松市にむかった。道々、取材リーダーの西澤から(この取材は)相手の許諾をもらうのがけっこう難しいんですよ。という思いがけない話を聞いた。理由は簡単なことだった。

 ただ古いというだけの店なので、これまであまりマスコミに取材されたことのない店が多い。だから取材したいという話をしてもチンプンカンプンになることがよくある。取材されるかわりにカネを取られる、というケースを想定される場合もあるという。それから全国で販売されている雑誌に載せられたとしても、北海道や九州から客がやってきて大繁盛する、というわけでもないだろう。
(中略)

 そのようなことを話しているうちに「三角屋」に着いた。本当は「坂本屋」というのだが、三角形の土地に建っているので、町の人がみんなそう呼ぶようになってしまい、いつしか店のほうも「三角屋」と自認するようになってしまった、という、これぞ愛される庶民の店…とでも言えるような微笑ましい逸話ではないか。

 なるほど暖簾には「三角屋」と染めぬいてある。脇の看板に「みちのく最古の手打ち中華そば」とある。店内はかなり広く、テーブルが20卓ぐらいあった。
 営業時間は11時からである。それより少し前に着いたのだが、すでに客がいた。いかにも地元の常連客ふうのおじさんおばちゃんだがストーブを囲んで世間話をしている。
 調理用の白衣を着た4代目の西田一彦さん(74歳)と、5代目を継ぐ予定の息子さん西田弘一さん(46歳)が我々を迎えてくれた。

 4代目、5代目なんて歌舞伎役者か噺家みたいだが、こういうところが「百年食堂」の凄いところだ。創業年はお店の人にもわからないらしいが大正初期にはもうやっていたという。初代の西田留吉さんは井戸掘り職人で全国を渡り歩いていた。そのときに横浜あたりでラーメン作りを覚えて、ここで開業したのではないか、と4代目は言う。けれど当時は豚でダシをとったので、話題にはなったけれど肉食はまだ馴染みが薄く、商売にはならなかったらしい。

 でも生き残ったのはなぜなのか。
 推測の域を出ないのだが「すすれ! 麺の甲子園」で約2年全国のラーメン屋を取材した感覚で言うと、時代背景を考えるに「ラーメン」そのものが珍しかったからではないか、と思う。

 日本で最初にラーメンを食わせた店はどこか、ということになると諸説あって互いに譲らず、どうしようもないので触れないが、たぶん「百匹目の猿」のようなものなのだろう、とぼくは思う。世界のあちこちに散らばっている猿が、泥で汚れた芋を川の水で洗って食いはじめたのが、ほぼ同時だった、というアレである。離れた地にいて情報交換できない猿が、同じタイミングで賢くなったのは、ナニゴトにもそういう同時多発性がある、ということ(だったような気がする)。


『にっぽん全国百年食堂』1





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Last updated  2017.08.20 09:13:16
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