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2018.04.19
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カテゴリ: アート
図書館で『隠居大学』という対談本を、手にしたのです。
それにしても、表紙にも見えるように蒼々たる対談相手である・・・
老人をなめてはあかんでぇ♪






天野祐吉著、朝日新聞出版、2011年刊

<「BOOK」データベース>より
原始、「隠居」は遊びの達人だった。若いモンの憧れだった。遊びの達人6氏が、オモシロキビシク、いい加減精神の真髄を語り明かす。

<読む前の大使寸評>
それにしても、表紙にも見えるように蒼々たる対談相手である・・・
老人をなめてはあかんでぇ♪

rakuten 隠居大学



言動が若々しいご老人といえば、筆頭はなんと言っても横尾忠則ということで・・・対談を見てみましょう。
p18~21
■隠居は趣味で忙しい
天野: でも隠居生活を送る上では、猫の自由をもう一度学びなおすことがあってもいいんじゃないかと思って。それで『猫の自由に学ぼう』を隠居大学の校訓その一にしたいなと思ったんですね。

横尾: ぼくだって猫みたいに生きられてはいないよ。

天野: やりたいことをする、やりたくないことはしない、っていうのを見事に実践しているじゃないですか。同じように世の隠居も、小説でもなんでも、自分の好きなことや興味のあることを自由にやればいいと思うんです。

横尾: ねえ、いまのでもう、今日の結論出ちゃったんじゃないですか。「隠居はやりたいことをやればいい。やりたくないことはしない」。

天野: そうですね、じゃあこの辺で・・・いやいや(笑)、隠居大学には結論なんてないんです。お茶を飲みまんじゅうでもつまみながら、いかに与太話をするかというのが隠居話の醍醐味ですからね(笑)。

■隠居の遊びは知恵次第
天野: でもね、そうやって「好きなことをしましょう」というと、こういうことを言われたりするんですよ。「隠居して好きなことをしたいのはやまやまだけど、金がなきゃなにもできやしない。隠居なんて金がある人の道楽だ」って。実際にそういうこと言われたことあるんですけど、それについてはどう思います?

横尾: 金のことを考える人は隠居は無理だね。即身成仏する気だったら隠居はできますね。道楽がお金になるってこともあるんだから。だけど、だれが見たって天野さんは大金持ちには見えないのに、その人、何を言っているんだって感じだよね。

天野: はい、お金にならないことばかりしていると言われつづけてきました(笑)。いや、ぼくはね、お金がなくちゃ遊べないっていうのはつまらない考え方だと思うんです。まあ、お金があったら遊べるのは当たり前でしょ。あっても遊べない人もいるけど・・・。逆に、時間がたくさんあってお金がそんなになかった江戸の人たちは、遊ぶ知恵がすごいのね。『滑稽外道遊』っていう本があるんです。「金はなくても一人でも遊べる遊び方集」とでもいうような薄い絵本。たとえば「耳つまみ」は、「右手を首の前から回して、自分の右耳がつかめますか」というような遊びなんだけど、そういうのが、イラスト付きでいろいろ描いてある。

横尾: 右手を首の前から回して・・・って、そんなの老人には難しいですよ(笑)。

天野: 腕の関節が外れた友人がいますので、みなさんくれぐれも無理はなさらず(笑)。
(中略)

遊ぼうと思ったら、知恵や想像力でいくらでも面白いことができるんですよね。

横尾: そもそも遊びって、目的がないから遊びなんだよね。

天野: 子どもはやっている行為自体が目的だから楽しいけれど、大人は行為を目的のための手段にしちゃうからたのしめない。


ウン 横尾さんは、なんか北斎のような心境に達しているようですね♪
北斎が版画から肉筆画、新技法に傾倒したように、横尾さんもポスターから肉筆画、小説にシフトしたのも、よく似ています。
晩年は肉筆画に邁進した北斎が 『芸術新潮(2017年11月号)特集:北斎』2 で、見られます。

天野、横尾のお二人が、隠居の心得などを語っているので見てみましょう。
p28~30
■隠居のイメージを変えていこう
天野: ところで、横尾さんが隠居宣言をしたとき、奥さんは何か言いましたか。

横尾: 「やめてよー」のひとことです。

天野: (笑)。「いいわね」とは言われなかった?

横尾: そんなの、言わないよ。

天野: きっと、一般的に隠居という言葉にあまりいいイメージがないからですよね。なんでこんなことを聞いたかというと、そのイメージが、現代の日本で隠居文化が成熟しない大きな原因だと思っているからなんです。さっきも話に出たぼくの父は明治の生まれでもう亡くなりましたけど、晩年は「外に出ると若い人の邪魔になるし、迷惑になるから」とか言って、毎日家の中で静かに過ごしていました。
(中略)

横尾: ぼくも昔は、天野さんのお父さんと同じような考え方でしたよ。嫌だったもん、隠居なんて。ジジくさいし、怠け者だと思ってた。ただそれって、きっと、いろんな言葉のイメージが混在しているんですよ。たとえば隠居と隠遁。これはいまでもよく、混同したまま話しかけてくる人がいるもの。

天野: いんとん? あぁ、隠遁か。俗世から離れて・・・。
横尾: どこか山奥の洞窟にでもこもっておとなしく霞でも食っているような。それと勘違いして「横尾さんは隠居したのにどうして東京に住んでいるんですか」なんて聞いてくる人がいるんですよ。隠居は市井のど真ん中にいていいんだってば。そこで水面から目だけをひょこっと出して、きょろきょろ社会を見ていればいいんだよ。

天野: 俗世界と切れてしまうのではなく、むしろ真ん中にいる。そういう隠居のあり方って、江戸時代ではステイタスだったんですよね。若者が「早くなりたいなあ」と憧れるような存在だった。これも横尾さんの『隠居宣言』に書いてあったと思うけれど。

横尾: うん。というのは、江戸時代には今の年金制度みたいに、隠居制度があって、お上から隠居手当てがもらえるの。それで好きなことやっているんだから、いいよね。

天野: いいなァ、隠居手当。いまはそういう敬老の念ってないですからねぇ。後期高齢者だなんて呼ばれるからね。横尾さんはまだでしょうけど。

横尾: いや、ぼくもうすぐ後期高齢者。

天野: そうかあ。いやあれはね、ひどい言葉だと思った。管理上、どうしても分類をしなければならないのなら、65歳以上70歳までを若年寄、70歳から75歳までを老中、75歳以上を大老と呼ぶべし、と新聞のコラムに書いたんだけど、何の反応もなかったですね。

横尾: ないでしょうね(笑)。そんなの、書くほうがバカだと思われるよ、さっきの話じゃないけど(笑)。そういうふうに社会とかかわるのは隠居っぽくないんじゃないの。相手が何と呼ぼうが、知らん顔してればいいんですよ。好きじゃないことには口出さない。

天野: そうか、それは失敗でした。今度から新聞に書かずにTwiterでつぶやきます。いまの言葉はメモしなきゃ・・・。

横尾: 天野さんのブログに、「隠居大学でノートなんかとったらぶつよ」って書いてありましたよ(笑)。


『隠居大学』1





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Last updated  2018.04.19 08:46:06
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