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2018.04.20
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カテゴリ: アート
<『隠居大学』3>

それにしても、表紙にも見えるように蒼々たる対談相手である・・・
老人をなめてはあかんでぇ♪






天野祐吉著、朝日新聞出版、2011年刊

<「BOOK」データベース>より
原始、「隠居」は遊びの達人だった。若いモンの憧れだった。遊びの達人6氏が、オモシロキビシク、いい加減精神の真髄を語り明かす。

<読む前の大使寸評>
それにしても、表紙にも見えるように蒼々たる対談相手である・・・
老人をなめてはあかんでぇ♪

rakuten 隠居大学



お二人の対談者が文語体と口語体について語っているので、見てみましょう。
p152~155
■『即興詩人』と文語と口語
天野: それに文語体の文章は、本来は、黙読じゃなく音読されることを前提に書かれていますよね。だから、流れるようなメロディというかリズムがあって、音楽的なものと分かちがたく結びついている。『平家物語』の「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理を顕す」なんてのも、とうとうと朗読してこその良さがある。黙読して意味だけ追ってたら、魅力が半減してしまいます。

安野: 学習参考書みたいに解説するともう全然ダメですよね(笑)。

天野: 「祇園精舎にある鐘の音は、諸行無常の教えを唱えるように響きます。釈迦が入滅した時に白い色に変わったという沙羅双樹の花の色は栄えるものは必ず滅びるという道理を表しているようです」なんて解説されてもね。まあ、意味は伝えてるけども、文章が持っている音の世界は伝えてない。でもいまは、そういう言葉の音をどんどん削っちゃって、意味ばかり取るようになっている気がしますね。

安野: なんでも試験問題になっちゃうからね。「この文章は何を表現しているか?」なんていわれても、こっちは音や気分で読んでいるんだから、答えられない。ではどうしたらいいかというと、試験では、外国語を直訳したようなぎこちない解釈をすればマルをもらえるんでうから、あれは、いけませんね。

天野: 安野さんの『絵本平家物語』は素晴らしかった。まさに目の前に、華麗な平家物語の舞台装置が、まるで芝居のせり上がりのように見えてきました。意味だけとっていては、そんなものぜんぜん伝わってこない。

安野: 感覚的に捉えることをせず、意味だけ深読みをすると、身も蓋もなくなってしまいますよね。部分的なことにだけ捉われてちゃ、大事なことを見失う。

天野: 明治のはじめに言文一致運動ってのが起こりましたよね。文語体だった書き言葉を、話し言葉に近づけようってことで、口語体が生れた。それに、正岡子規ははじめは反対しているんですよ。芸術上の言葉というのは、ひとつの虚構の世界をつくり上げるために必要な言葉であって、日常の言葉とは違う。すべてを日常の話し言葉にしてしまったら、虚構の建造物はできなくなってしまうんだといって反対している。

安野: 正岡子規はいいことを言いますね。ほんとにそう。いまでも、中国の人は日常的に使う言葉と文章の世界の言葉とを完全に分けて使っています。日本だって、完全に言文一致させるのなんて、本当は無理な話なんです。井上ひさしは、言文一致に反対するわけじゃないけど、山形弁の立場からすると無理だって言っていました。(中略)

 とはいえ、いまの若い人の感覚からしたら、「てふてふ」と書いて「ちょうちょう」と読むのは、やっぱり、ちょっとややこしいよね。

天野: まああれは、てふてふてふてふ飛んでく感じがあるんですけどね。

安野: そういわれてみれば、そうだけれども(笑)。

天野: 俳句と短歌だけが、頑固に文語体を守っているというか、使いつづけていますよね。口語体に直したら、世界が崩れちゃうからかな。「柿食えば鐘がなるなり法隆寺」が「柿食えば鐘が鳴ります法隆寺」だと、なんだか鐘の音が聞こえてこないんですよ。説明っぽくなっちゃって。

安野: 文語体はさっきおっしゃったように虚構の世界をつくりやすいんです。虚構の世界を書くっていうことは、それは、音楽になっているわけで。「」なんて、わたしが直に誰かをつかまえて言おうものなら、気持ち悪いでしょ(笑)。だけど、音楽なら言える。「着てはもらえぬセーターを寒さ堪えて編んでます」なんてのも、そんな思いがこもりすぎたセーターはもらいたくないと思うけど(笑)、歌なら言えるし、聞ける。

天野: そうですね(笑)。


安野光雅さんはアンデルセンの『即興詩人』を、5年かけて口語訳したそうで・・・
水彩画に秀でているが、絵本作家にも通じるような趣きがあるのです。

『隠居大学』2
『隠居大学』1





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Last updated  2018.04.20 00:04:41
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