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2018.05.02
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カテゴリ: 歴史
図書館で『明治の外国武器商人』という新書を、手にしたのです。
日清・日露戦争勝利の礎を築いた武器商人となると、聞き捨てならないわけで・・・興味深いのです。





長島要一著、中央公論新社、1995年刊

<「BOOK」データベース>より
デンマークの名門の牧師の家に生まれ、優れた海軍士官であったバルタサー・ミュンターだったが、軍上層部との対立もあって退役、その後アームストロング社の代理人となって来日し、帝国陸海軍との関係を深めていく。特に海軍には戦艦・武器を売り込むとともに、自らの海軍の知識と経験を生かして技術・操練指導を行ない、後の日清・日露戦争勝利の礎を築くことになる。なぜか滞日時代が謎に包まれている親日武器商人の実像に迫る。

<読む前の大使寸評>
日清・日露戦争勝利の礎を築いた武器商人となると、聞き捨てならないわけで・・・興味深いのです。

rakuten 明治の外国武器商人

定遠

「第3章 仕掛人ミュンターの根回し」で日清戦争の海戦を、見てみましょう。
p139~142
■日清戦争勃発
 1894年(明治27)6月1日、荷物を横浜のジャーディン・マセソン商会の倉庫に預けたミュンターは、ノーブル夫妻とともにカナディアン・パシフィックの汽船でバンクーバーに向かい帰途についた。

 そして8月1日、ニューヨーク到着の日に、日清戦争勃発の報せを聞いたのだった。アームストロング社建造になる巡洋艦「浪速」に乗った東郷平八郎が清国の「高ショウ」号を撃沈したことも知った。
(中略)

 急ぎの用事はロンドン支社ですませ、ニューカッスルの本社へは後日帰国の報告に赴くことにして、ミュンターは故国デンマークへもどった。そして、エルシノアの近くに妻が借りておいた別荘に移り、家族とともにのんびり過ごすことになった。
 中国にいた長男のテオドー、海軍の練習船に乗り組んで航海中だった6男のヘアマンをのぞいた家族全員にとり囲まれて、ミュンターは生き返ったような心持ちがしていた。
(中略)

 その間にも、当然のことながらミュンターは日清戦争の経過を興味津々として追っていた。遠隔の地に残してきた自分の「子供」の安否を気づかうような気持ちで、海戦の結果を伝える報道を読みあさっていた。

 鴨緑江口の海戦(黄海海戦)はアームストロング社の大勝利であった。防御装甲板を張った「高千穂」と「浪速」、甲鉄艦「吉野」はいずれもアームストロング社建造、第一遊撃隊に属して先陣を切り、19ノットという当時としては最高の速度だった。おまけにアームストロング社製の速射砲を装備していて、これが充分に活用された。日本艦隊にはベルタンの設計した海防艦3隻(「松島」「厳島」「橋立」)にフランス製の大砲が装備されていたが、このうち直接戦闘に加わったのが「松島」の1隻のみ、それも3発目で砲台を破壊されてしまった。「鎮遠」号の砲弾が命中したためである。

 一方、清国海軍は「定遠」「鎮遠」の大型甲鉄砲塔艦、ならびに「済遠」「靖遠」「致遠」の小型甲鉄巡洋艦と、いずれもドイツのシチェチンで建造された艦船で、クルップ社の大砲を装備していた。

 ミュンターは、フランス製、ドイツ製に比べて英国製アームストロング社建造になる艦船の優秀さ、速射砲の有効性を確信するにいたった。ミュンターの目には、日清戦争が両国間の戦争である以前に、英国製の武器と独仏製の武器との間の性能戦争として映っていた。それが死の商人ミュンターの本音であった。

 いや、そればかりではない。アームストロング社の武器を売るほかにも、日本、中国の双方に、沿岸警備等の件について相談を受け、助言を与え、要塞建設を手がけてきた。黄海海戦のあとで威海衛が攻撃されたと聞けば、あそこの要塞は自分が設計を手伝って築かれたもの、日本軍が台湾を占領したと聞けば、基隆の要塞も自分が建造したものと、ミュンターは、日清戦争を自分が東洋で果してきた役割と切り離して考えることなどできないでいた。

 それは痛快であると同時に一抹の淋しさを呼び起こすものであったろうと思う。なぜならば、ミュンターが売りさばき築いていたものは、ことごとく破壊されることを運命づけられていたからである。

ウーム 当然として、死の商人としての淋しさを感じていたようですね。

『明治の外国武器商人』6 :ミュンターの中国体験
『明治の外国武器商人』5 :ミュンターの仕事
『明治の外国武器商人』4 :伊藤博文や西郷隆盛の話
『明治の外国武器商人』3 :ミュンターの来日
『明治の外国武器商人』2
『明治の外国武器商人』1 :「はじめに」





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Last updated  2018.05.02 20:53:45
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