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2020.10.28
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カテゴリ: 気になる本
図書館で予約していた『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』という本を待つことおよそ11ヶ月でゲットしたのです。
待つこと11ヶ月か・・・個人的には最も長く待っていた本だろう。





ブレイディみかこ著、新潮社、2019年刊

<「BOOK」データベース>より
大人の凝り固まった常識を、子どもたちは軽く飛び越えていく。世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、落涙必至のノンフィクション。

<読む前の大使寸評>
待つこと11ヶ月か・・・個人的には最も長く待っていた本だろう。

<図書館予約:(11/13予約、副本19、予約546)>

rakuten ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー


「8 クールなのかジャパン」で中国人に対するヘイトクライムもどきを、見てみましょう。
p119~123
<意外と深いニーハオ問題>
 うちの息子は11歳だが、昨年9月から日本の中学校にあたるセカンダリー・スクールに通っている。で、どこの国でもそうだろうと思うが、小学校から中学校に進むと、子どもたちが急にやりたがることがある。
 友人どうしで、街に行きたがるのだ。

 うちの息子は体が小さくて顔も幼いため、どう見ても10歳以下にしか見えないから、「両親はどこだ」と警察に保護とかされて育児放棄と見なされても困るしと最初は渋っていたのだが、「大丈夫じゃね? あいつの友だち、ガタイのでかい老け顔がけっこういるから、弟がついてきたみたいな感じで、問題にはならんと思う」と配偶者が言うので、わたしも折れた。

 だから、このごろではすっかり味を覚えて週末になると映画だビーチだと、いっちょ前に友たちと外出したがるのだが、学校用の黒いスニーカーが小さくなったので、新しい靴を買うために久しぶりに母子で街に出た。

 黒いパーカーを着ていっぱしのティーンぶっている息子は、店に入るたびにそこの無料Wi-Fiにスマホを繋いで何ごとかをチェックし始めるので、「あんたいい加減にしなさいよ」と叱っていると、
「やべ。母ちゃんここ出よう」
 とフードを被って顔を隠すようにうつむいて歩き始めた。
「どうしたの?」
「同じクラスの女子たちが二階にいる。いま、そのうちのひとりが買い物している写真をインスタグラムに投稿した」
「いいじゃない、別に」
「ダメだよ。母親と一緒に買い物しているところなんて見られたくない。ダサすぎる」
 そう言って息子はそそくさと店の外に出ていく。

 いつの間にかこんなことを言う年齢になりやがって。と思いながらわたしも後を追った。息子に画像を見せてもらうと、さすがにこの年齢では女の子たちのほうがませて見える。すっかりティーン・ガール然とした女子3人組が、唇をすぼめて目を見開き、斜め上から写すセルフィー顔で水着売り場の隅に立っていた。
(中略)

 銀行のキャッシュマシーンの脇にホームレスの男性が座っていた。
「ニーハオ、ニーハオ、ニーハオ、ニーハオ」
 毛布を肩から羽織ったその男性は、わたしと息子に視線を合わせてにやにやしながらしつこく何度もそう言っている。わたしは彼から目を逸らし、完全無視をきめて前を通り過ぎた。

 昼間っからラリっているのか濁った目つきで、ずいぶん失礼な態度だな。いくらホームレスであろうとも失礼なものは失礼なので、そこに温情を侵入させる余地などないぞ、と思っていると息子が言った。
「中国人じゃないのにね」
「まあ、そこは重要ポイントではないけどね」
 わたしが答えると息子が呟いた。

「すごいひさしぶりにあの言葉を聞いた」
「ニーハオ、ニーハオ?」
「うん。友人と一緒に外出しているときは、言われたことないから」
 お。と思った。これは、ついにあれが始まったということだろうか。

 よく在英日本人の、欧州人配偶者との間に子どもを持つ人々が言う「思春期になると子どもが日本人の親から距離を取りたがる」現象。むかし。ロンドンの日系企業に勤めていたとき、現地社員の日本人女性たちがよくそういう話をしているのを耳にした。母親が日本人であることを隠したがる子どもとか、「訛ってて恥かしいから人前で英語をしゃべるな」と子どもに言われていまった母親の話とか。

 ついにわが家にもそのときがきたのだろうか、と身構えていると息子が言った。
「さっき起きたことについては、考え方が二つあるよね。まず一つ目は、友人と一緒にいるときは僕は東洋人には見えないんだという考え方。実際、僕はラテン系と間違えられることもあるしね。でも、母ちゃんと一緒にいると、やっぱ親子だから、東洋人に見えるということ」
「うん」
 息子がなんか理論整然と語りはじめてしまったので、ついわたしは頷く。


『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』4 :公営団地のラップ
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』3 :荒れている地域
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』2 :「元底辺中学校への道」の続き
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』1 :元底辺中学校への道
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Last updated  2020.10.28 02:01:16
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