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2021.11.09
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カテゴリ: カテゴリ未分類
図書館に予約していた『生態学者の目のツケドコロ』という本を、待つこと1ヶ月ほどでゲットしたのです。
いまのところコロナ禍は小康状態であり、ニッポンはウィズコロナを目指して折り合いをつけようとしているが・・・生態学者の見たコロナ禍は如何なるものか。






伊勢武史著、ベレ出版、2021年刊

<「BOOK」データベース>より
生物と生物、生物と環境との関係を調べる、生物学の一分野である生態学。生きものについて知りたい、自然を守りたいと願う人にとって、生態学的な見方は必ず役に立つ。自然と生きもの、人間との関係を見つめ直す7つの章。
【目次】
第1章 人に囲まれて/第2章 暮らしのなかで/第3章 文化に触れて/第4章 外国を旅して/第5章 里山に生きて/第6章 森を歩いて/第7章 研究をとおして

<読む前の大使寸評>
いまのところコロナ禍は小康状態であり、ニッポンはウィズコロナを目指して折り合いをつけようとしているが・・・生態学者の見たコロナ禍は如何なるものか。

<図書館予約:(6/28予約、副本3、予約21)>

rakuten 生態学者の目のツケドコロ



シューマッハの言葉「Small is beautiful」について、見てみましょう。
p38~42
<Small is beautiful>
 Small is beautiful.
 小さいことはうつくしい。
 20世紀に活躍したドイツの経済学者、È・F・シューマッハの書いた本のタイトルである。この考え方は、一見すると世間の常識に反しているようにも思われる。人はたいてい、お金持ちになりたい、そしたら大きな家を買って、大きな車に乗って…、みたいな夢を見がちである。このように、状況と力の許すかぎり、経済的に大きくなってやろうという傾向は、人間が本能的に持つ性質なのかもしれない。

 歴史をひも解くと、成功者たちはたしかに、大きくなりたがっていた。アレクサンダー大王、始皇帝、豊臣秀吉…、権力者たちはみな国を大きくし、巨大な宮殿や城をつくり、後宮に女をはべらせ…、みたいなことをしてきたのだった。生物学的に解釈すると、この現象は人間に生じた自然選択が原因だということが可能である。

 社会的に成功した人は富をかき集めることができ、それは自分の適応度を上げることにつながる。たくさんの食べものと従者と配偶者を集めると、繁殖に有利になるのは当然だろう。その結果、成功者の遺伝子は分布を拡大する。これこそが適者生存であり、生きものに普遍的な現象なのである。

 ところがこの、なんでも拡大してやろうという人間の本能ではカバーできない問題もある。それが環境問題だ。

 人口密度が低く科学技術なんてものが存在しなかった原始時代は、当時の人間が全力を尽くしても、世界のすべての資源を使い切るなんてことは不可能だった。だから太古のむかしは、環境問題については深く考えず、ただ目先の資源を独占するというモチベーションと能力を持つ者の適応度が高くなったのである。

 しかし時は移り現代。人間は世界中で数を増やし、いろんな資源を我がもの顔で利用するようになった。このままのやり方では、世界の資源の枯渇が現実味を帯びてきたのである。

 たとえばアメリカ人のように、大きいけど気密性が低く古い家で暖房をガンガンかけて、冬でもTシャツで過ごすようなライフスタイルを世界中の人が送るようになると、世界は破綻するのである。これについては、人間は本能だけに従うのではなく、理性をはたらかせて後先を考える必要がある。そこで出てくる考え方が、「Small is beautiful」である。

 人間は幸い、原始時代からその大きな脳みそを長所として生きてきた。脳みそが大きいことの利点は、本能にプログラムされていない新しい環境に置かれても、その状況を観察して理解し、考えて合理的な行動ができることにある。このように、それまで体験したことがないないことにも適応できるというのが人間のすばらしさであり、環境問題という近年深刻化する問題に適応する原動力になるのではないだろうか。

 ちなみに広い意味では、環境問題というのは、生物の世界でもいろいろ発生している。環境が変われば、それは生物の生存と繁殖を脅かすことになる。たとえば、ある離島に外来種のネズミがやってきたとしよう。その島にそれまではネズミのような生物はいなかったので、そこに暮らしている生きものたちは、ネズミに対して無力だった。
(中略)

 この島にやってきたネズミたちは、不幸なことに、後先を考えるという能力を持っていなかかった。だから彼らは、食べられるだけの獲物をひたすら食べ、産めるだけの子を産みつづける。その先に破たんが待っていたとしても、それを止めることはできなかった。では、いままさに環境を食い荒らしている人類も、荒廃を止めることはできないんだろうか?そうとも限らない、と僕は思う。

 何度も言うけれど、人間のおもしろさは後先を考えることができること。未来のためにいまがまんしよう、という理屈に沿って行動できるのだ。これは人間が持つ、農耕や牧畜という産業形態にも現れている。木の実や子羊を手に入れたら、その場で食べてしまうのがいちばん楽だ。しかし農耕や牧畜には、食べるのをがまんして未来のために苦労して育てるという知能が必要になる。

 このように、未来を思い描く能力と、未来のためにいま苦労する自制心によって農耕や牧畜という産業を発明できた人類は、将来の環境問題のために、いま欲望を抑えるという判断もできるんじゃないかと僕は思っている。

 「Small is beautiful」は、発想の転換を迫る言葉である。これまでは大きいことが富と力の証しだったが、これからは小さいことに美しさを見いだしていこうという勧めである。20世紀後半、ちょうどさまざまな環境問題が注目されはじめた時期に出版されたシューマッハのこの本は、世界中の人びとに知られるようになり、環境問題の解決に果たした役割は計り知れない。

『生態学者の目のツケドコロ』2 :科学的リテラシー
『生態学者の目のツケドコロ』1 :生態系エンジニア





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Last updated  2021.11.09 00:03:19
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