p38~42 <Small is beautiful>
Small is beautiful. 小さいことはうつくしい。 20世紀に活躍したドイツの経済学者、È・F・シューマッハの書いた本のタイトルである。この考え方は、一見すると世間の常識に反しているようにも思われる。人はたいてい、お金持ちになりたい、そしたら大きな家を買って、大きな車に乗って…、みたいな夢を見がちである。このように、状況と力の許すかぎり、経済的に大きくなってやろうという傾向は、人間が本能的に持つ性質なのかもしれない。
たとえばアメリカ人のように、大きいけど気密性が低く古い家で暖房をガンガンかけて、冬でもTシャツで過ごすようなライフスタイルを世界中の人が送るようになると、世界は破綻するのである。これについては、人間は本能だけに従うのではなく、理性をはたらかせて後先を考える必要がある。そこで出てくる考え方が、「Small is beautiful」である。
「Small is beautiful」は、発想の転換を迫る言葉である。これまでは大きいことが富と力の証しだったが、これからは小さいことに美しさを見いだしていこうという勧めである。20世紀後半、ちょうどさまざまな環境問題が注目されはじめた時期に出版されたシューマッハのこの本は、世界中の人びとに知られるようになり、環境問題の解決に果たした役割は計り知れない。